1 00:01:32,097 --> 00:01:50,097 ♬~ 2 00:01:53,085 --> 00:01:55,087 <六代将軍 家宣の世> 3 00:01:55,087 --> 00:01:59,087 <将軍職の跡目を巡って 尾張> 4 00:02:01,093 --> 00:02:03,095 <紀州> 5 00:02:03,095 --> 00:02:09,101 <水戸の徳川御三家が 鋭く対立していた> 6 00:02:09,101 --> 00:02:13,105 <天下騒乱をたくらむ 山内伊賀介は➡ 7 00:02:13,105 --> 00:02:17,105 甲賀衆に命じて 紀州藩主 綱教を暗殺> 8 00:02:19,044 --> 00:02:23,048 <かつて 余計者として 一命を奪われようとした頼方が➡ 9 00:02:23,048 --> 00:02:27,052 今は吉宗と名を改めて 藩主の座に就き➡ 10 00:02:27,052 --> 00:02:31,052 心ならずも 闘争の渦中に飛び込んだのである> 11 00:02:33,058 --> 00:02:37,062 <そのころ 剣客 柳生新六郎は➡ 12 00:02:37,062 --> 00:02:41,066 その壮絶な技に 更に磨きをかけ➡ 13 00:02:41,066 --> 00:02:46,071 根来忍者が 尾張藩主 吉通を倒したことから➡ 14 00:02:46,071 --> 00:02:50,071 動乱は いやがうえにも もつれていくのであった> 15 00:02:53,078 --> 00:02:55,080 <正徳2年10月> 16 00:02:55,080 --> 00:02:59,084 <病床にあった六代将軍 家宣の容体が急変> 17 00:02:59,084 --> 00:03:02,087 <そのまま 息を引き取った> 18 00:03:02,087 --> 00:03:18,103 ♬~ 19 00:03:18,103 --> 00:03:22,103 <御三家をはじめ 幕閣たちが急ぎ はせ参じ> 20 00:03:26,044 --> 00:03:32,050 <大奥からも御台所 側室 年寄たちが中奥へ参集> 21 00:03:32,050 --> 00:03:36,050 <しめやかに通夜の式が 執り行われた> 22 00:03:42,060 --> 00:03:45,063 <席上 思いもかけぬことが起こった> 23 00:03:45,063 --> 00:03:51,063 <正妻 煕子を通じて 家宣の遺言が公表されたのである> 24 00:03:55,073 --> 00:03:59,077 (煕子)「遺言のこと 世継ぎ 鍋松➡ 25 00:03:59,077 --> 00:04:05,083 幼少病弱につき 無事成人も危うく よって 次期将軍職は➡ 26 00:04:05,083 --> 00:04:08,086 御三家閣僚協議の上➡ 27 00:04:08,086 --> 00:04:14,086 尾張 紀伊 いずれかへの継承を 認むるものなり」 28 00:04:21,033 --> 00:04:23,035 御覧くだされ (男性)信じられません 29 00:04:23,035 --> 00:04:27,035 まごうかたなき 上様の御直筆 30 00:04:31,043 --> 00:04:35,047 お喜世殿 お見定めくださりませ 31 00:04:35,047 --> 00:04:39,051 (お喜世)はい 確かに 32 00:04:39,051 --> 00:04:42,054 (綱條)誠 御賢明なる御遺志 33 00:04:42,054 --> 00:04:46,058 しかも この世を 身まかられるに当たっての➡ 34 00:04:46,058 --> 00:04:51,063 お覚悟のほど 感服この上もございません 35 00:04:51,063 --> 00:04:55,067 (煕子)されば 次期将軍の件で ござりまするが➡ 36 00:04:55,067 --> 00:04:59,071 御遺言に従い 御三家筆頭格の尾張様に➡ 37 00:04:59,071 --> 00:05:04,076 お引き継ぎいただければ 亡き上様も 殊の外➡ 38 00:05:04,076 --> 00:05:07,079 お喜びあそばすものと 存じ上げまする 39 00:05:07,079 --> 00:05:09,081 (綱條)ごもっとも 40 00:05:09,081 --> 00:05:12,084 当水戸家としても 異存はございません 41 00:05:12,084 --> 00:05:17,084 おのおの方 いかがおぼし召される? 42 00:05:20,025 --> 00:05:24,029 尾張殿 どうでござろう 43 00:05:24,029 --> 00:05:30,035 (綱友)御一同の御推挙があれば 喜んでお受け申す 44 00:05:30,035 --> 00:05:32,037 それは重畳 45 00:05:32,037 --> 00:05:37,042 されば徳川家も ますますもって安泰 46 00:05:37,042 --> 00:05:40,045 (吉宗)あいやしばらく 47 00:05:40,045 --> 00:05:44,049 紀伊殿 何か御異存でも? 48 00:05:44,049 --> 00:05:50,055 亡き先代様には 鍋松君という お世継ぎがおわします 49 00:05:50,055 --> 00:05:55,060 鍋松君は いまだ4歳 しかもお体がお弱い 50 00:05:55,060 --> 00:05:59,064 それを御案じなさればこその 御遺言でござりましょう 51 00:05:59,064 --> 00:06:02,067 御病弱とは申せ お世継ぎが この世におられる以上➡ 52 00:06:02,067 --> 00:06:06,071 その君を廃し 尾張公に御譲位あっては➡ 53 00:06:06,071 --> 00:06:09,074 将軍職の筋目を 乱すばかりでなく➡ 54 00:06:09,074 --> 00:06:12,077 天下大乱のもとになります 55 00:06:12,077 --> 00:06:15,080 なんと 我ら御三家としては 今こそ➡ 56 00:06:15,080 --> 00:06:20,018 お世継ぎ 鍋松君を助け 徳川家の本流を貫き➡ 57 00:06:20,018 --> 00:06:24,022 慈悲深き善政を広く天下に 知ろしめすときでござろう 58 00:06:24,022 --> 00:06:27,025 誠 仰せのとおりでござる 59 00:06:27,025 --> 00:06:31,029 嫡子相続の伝統は 幕府の根幹をなすもの 60 00:06:31,029 --> 00:06:34,032 さよう この際 万難を排して➡ 61 00:06:34,032 --> 00:06:37,035 鍋松君を 擁立いたすべきでござろう 62 00:06:37,035 --> 00:06:42,040 お喜世の方様 いかがでございますかな 63 00:06:42,040 --> 00:06:46,044 御生母として 鍋松君の御身➡ 64 00:06:46,044 --> 00:06:51,049 武門の棟りょうとして天下国家に お委ね願えましょうぞ 65 00:06:51,049 --> 00:06:54,052 はい 66 00:06:54,052 --> 00:06:58,052 何とぞよろしくお願いいたします 67 00:07:01,059 --> 00:07:07,065 <かくして 僅か4歳の幼君 鍋松が将軍職を継いだ> 68 00:07:07,065 --> 00:07:10,065 <七代将軍 家継である> 69 00:07:19,011 --> 00:07:22,011 (絵島)紀州様 こちらでございます 70 00:07:32,024 --> 00:07:34,026 (家継)ここじゃ ここじゃ! 71 00:07:34,026 --> 00:07:38,030 <お喜世の方は 先代 家宣に殉じて落飾> 72 00:07:38,030 --> 00:07:41,030 <月光院と号していた> 73 00:07:44,036 --> 00:07:49,041 上様には御機嫌麗しゅう 祝着に存じます 74 00:07:49,041 --> 00:07:51,043 (月光院)まあ 75 00:07:51,043 --> 00:07:55,047 上様の今日あるも この紀州殿の おかげでございますよ➡ 76 00:07:55,047 --> 00:07:57,049 これ 上様 77 00:07:57,049 --> 00:08:01,053 (家継)絵島 ついてまいれ (絵島)上様 78 00:08:01,053 --> 00:08:04,056 ハハハ… 79 00:08:04,056 --> 00:08:10,062 紀州殿 その節は 誠 ありがとうございました 80 00:08:10,062 --> 00:08:14,066 改めて厚くお礼申します 何の 81 00:08:14,066 --> 00:08:18,066 さあさあ どうぞお楽になさいませ はっ 82 00:08:23,008 --> 00:08:28,013 それがし 将軍家の 筋目を通したまでのこと 83 00:08:28,013 --> 00:08:31,016 あのような 御遺言はございましたが➡ 84 00:08:31,016 --> 00:08:37,022 亡き家宣公も内心 御嫡流のことを 深く案じ召されていたはず 85 00:08:37,022 --> 00:08:43,028 はい 私も母として あの子を立派な将軍家に➡ 86 00:08:43,028 --> 00:08:47,032 お育て申し上げる 覚悟にございます 87 00:08:47,032 --> 00:08:52,037 つきましては 紀州殿にも さきざき 格別のお力添え➡ 88 00:08:52,037 --> 00:08:54,039 お願いいたします 89 00:08:54,039 --> 00:09:00,045 月光院殿 何か御心配事でも? 90 00:09:00,045 --> 00:09:06,051 大奥は女の館とは申せ 陰謀術策の渦巻く所 91 00:09:06,051 --> 00:09:10,055 この度の将軍家相続を 喜ばぬ一派もございます 92 00:09:10,055 --> 00:09:14,059 先の御台所 天英院殿ならびに➡ 93 00:09:14,059 --> 00:09:18,059 尾州家の息のかかった者どもに ございますな 94 00:09:23,001 --> 00:09:26,004 上様? 95 00:09:26,004 --> 00:09:28,006 上様 96 00:09:28,006 --> 00:09:31,009 (絵島)上様 (家継)わーい こっちこっち 97 00:09:31,009 --> 00:09:35,013 (絵島)上様 お待ちください➡ 98 00:09:35,013 --> 00:09:38,013 あっ 上様 危ない 99 00:09:45,023 --> 00:09:47,023 (忍者)うっ… 100 00:09:51,029 --> 00:09:53,029 (お麻)上様 101 00:10:02,040 --> 00:10:04,042 (お麻)さあ早く (忍者)死ね! 102 00:10:04,042 --> 00:10:08,046 (絵島)くせ者 くせ者 お出合い召され 103 00:10:08,046 --> 00:10:21,993 ♬~ 104 00:10:21,993 --> 00:10:25,997 (女性)くせ者! (女性)捕らえい! 105 00:10:25,997 --> 00:10:28,997 (月光院)上様 上様 (家継)母上 106 00:10:31,002 --> 00:10:33,004 上様におけがは 107 00:10:33,004 --> 00:10:36,007 (家継)母上 (月光院)おかげをもちまして 108 00:10:36,007 --> 00:10:39,010 ありがとうございます 109 00:10:39,010 --> 00:10:42,013 忍びの者とみましたが 何者でしょう 110 00:10:42,013 --> 00:10:45,016 (お麻)多分 尾張お土居下衆 111 00:10:45,016 --> 00:10:47,018 やはりそうか 112 00:10:47,018 --> 00:10:50,021 紀州殿 この者は? 113 00:10:50,021 --> 00:10:53,024 麻と申します 114 00:10:53,024 --> 00:10:57,028 少々 気が強うござりまするが 頼りになる女子 115 00:10:57,028 --> 00:11:01,032 月光院様のおそば近く 仕えさせようと引き連れました 116 00:11:01,032 --> 00:11:05,036 それは心強い よろしく頼みますよ 117 00:11:05,036 --> 00:11:09,036 はい 命に代えましても 118 00:11:12,043 --> 00:11:18,049 ♬~ 119 00:11:18,049 --> 00:11:31,062 ♬~ 120 00:11:31,062 --> 00:11:38,069 ♬~ 121 00:11:38,069 --> 00:11:41,072 お頭 122 00:11:41,072 --> 00:11:44,075 (不折)首尾は?➡ 123 00:11:44,075 --> 00:11:46,077 なんというざまだ➡ 124 00:11:46,077 --> 00:11:49,080 それでも必殺を宗とする お土居下衆か 125 00:11:49,080 --> 00:11:53,084 (忍者)面目ございません 次の機会には必ず 126 00:11:53,084 --> 00:11:55,084 (不折)お前たちに もはや機会はない 127 00:11:58,089 --> 00:12:03,094 (不折)顔を見知られたかもしれん それに その傷では➡ 128 00:12:03,094 --> 00:12:06,094 さしたる働きはできん 129 00:12:19,110 --> 00:12:23,114 <その後 大奥では 幼君 家継の身辺警護に➡ 130 00:12:23,114 --> 00:12:25,116 厳戒態勢が敷かれた> 131 00:12:25,116 --> 00:12:37,128 ♬~ 132 00:12:37,128 --> 00:12:42,133 <落飾し 天英院となった 先代御台所 煕子にとって➡ 133 00:12:42,133 --> 00:12:47,138 月光院が将軍家生母として 大奥に実権を振るうのが➡ 134 00:12:47,138 --> 00:12:49,140 我慢できなかった> 135 00:12:49,140 --> 00:12:52,143 (天英院)上様 136 00:12:52,143 --> 00:12:54,145 上様 137 00:12:54,145 --> 00:13:00,151 何故 お一人で逝かれて しまったのでござりまするか 138 00:13:00,151 --> 00:13:06,157 何故 私一人を残して… 139 00:13:06,157 --> 00:13:11,157 (泣き声) 140 00:13:13,164 --> 00:13:15,164 (宮路)天英院様 141 00:13:23,108 --> 00:13:27,112 見過ごしておいて よいものでしょうか 142 00:13:27,112 --> 00:13:30,115 虎の威を借るきつね 143 00:13:30,115 --> 00:13:34,119 月光院様は いよいよ我が物顔に 振る舞うておられます 144 00:13:34,119 --> 00:13:38,123 成り上がり者が 145 00:13:38,123 --> 00:13:44,129 いずれ必ず 目に物見せてくれようぞ 146 00:13:44,129 --> 00:13:56,141 ♬~ 147 00:13:56,141 --> 00:13:58,143 (柳田)柳生新六郎 覚悟 148 00:13:58,143 --> 00:14:03,148 (黒須)この場にて 左馬助殿の恨み晴らす 149 00:14:03,148 --> 00:14:06,151 (新六郎)尾張柳生か 150 00:14:06,151 --> 00:14:08,151 性懲りもなく 151 00:14:10,155 --> 00:14:13,158 あれはあくまでも尋常な勝負 152 00:14:13,158 --> 00:14:16,094 <この男 柳生新六郎は➡ 153 00:14:16,094 --> 00:14:20,098 かつて 尾張柳生の総帥 左馬助を倒し➡ 154 00:14:20,098 --> 00:14:23,101 陰からずっと吉宗を守ってきた 剣客である> 155 00:14:23,101 --> 00:14:25,101 (柳田)問答無用! 156 00:14:28,106 --> 00:14:30,106 (男性)逃げれんぞ! 157 00:14:33,111 --> 00:14:37,111 (男性)後ろ後ろ (男性)後ろだ! 158 00:14:41,119 --> 00:14:43,119 (男性)おのれ! 159 00:14:45,123 --> 00:14:47,123 (助八)さあ早く おっ 160 00:14:55,133 --> 00:14:57,133 (柳田)向こうだ 161 00:15:07,145 --> 00:15:09,147 うまく化けたな 162 00:15:09,147 --> 00:15:12,150 (助八)新六郎様もあまり人目に つかぬ方がよろしゅうございますな 163 00:15:12,150 --> 00:15:16,087 それでなくても敵の多い体 しばらく江戸を留守にするか 164 00:15:16,087 --> 00:15:18,089 その方がよろしゅうございます 165 00:15:18,089 --> 00:15:22,089 その前に 片をつけておくことがある 166 00:15:24,095 --> 00:15:29,095 <尾張柳生の道場は 尾州家 上屋敷内にあった> 167 00:15:31,102 --> 00:15:34,102 (柳田たち)あっ… 168 00:15:37,108 --> 00:15:40,111 (柳田)おのれ 何のまねだ 169 00:15:40,111 --> 00:15:44,115 ああつけ回されては うるさくてかなわん 170 00:15:44,115 --> 00:15:48,119 俺を斬ることが いかに徒労か 思い知らせるために参った 171 00:15:48,119 --> 00:15:50,121 (黒須)何だと! 172 00:15:50,121 --> 00:15:52,123 願ってもない すぐにも決着をつけよう 173 00:15:52,123 --> 00:15:55,126 そのかわり 真剣はならんぞ 174 00:15:55,126 --> 00:15:58,129 勝つと決まっておる相手を 斬りたくはない 175 00:15:58,129 --> 00:16:01,129 くそ… ほざいたな 176 00:16:05,136 --> 00:16:08,136 一人ずつでもよし 177 00:16:11,142 --> 00:16:13,142 束になってもよし 178 00:16:24,088 --> 00:16:27,091 おのれ 179 00:16:27,091 --> 00:16:30,094 もうこのぐらいで 十分 納得したろう 180 00:16:30,094 --> 00:16:33,094 ならん! かまわん 斬れ! 181 00:16:39,103 --> 00:16:42,106 (不折)待て 182 00:16:42,106 --> 00:16:44,106 待て 183 00:16:46,110 --> 00:16:50,114 お前たちのかなう相手ではない (柳田)しかし 不折殿 184 00:16:50,114 --> 00:16:54,118 こやつ柳生新六郎は 我ら尾張柳生 不倶戴天の宿敵 185 00:16:54,118 --> 00:16:57,121 やめろ 186 00:16:57,121 --> 00:17:04,128 尾張柳生の道場で敗れては 恥の上塗りも甚だしい 187 00:17:04,128 --> 00:17:07,128 さあ 行かれるがよい 188 00:17:12,136 --> 00:17:14,136 それでは 御免 189 00:17:20,078 --> 00:17:24,082 柳生新六郎 190 00:17:24,082 --> 00:17:27,085 恐ろしい男よ 191 00:17:27,085 --> 00:17:32,085 だが いずれは斬らずばなるまい 192 00:17:36,094 --> 00:17:38,096 (男性) どうもありがとうございました➡ 193 00:17:38,096 --> 00:17:40,098 またどうぞ (助八)毎度どうも➡ 194 00:17:40,098 --> 00:17:42,100 ありがとうございました (男性)番頭さん 195 00:17:42,100 --> 00:17:45,103 おかえりなさいまし (助八)ああ ただいま➡ 196 00:17:45,103 --> 00:17:47,105 はい ただいま 変わったことなかったかい? 197 00:17:47,105 --> 00:17:50,108 (男性)おかえりなさいまし (助八)幸松 早く片づけなさい 198 00:17:50,108 --> 00:17:52,110 (幸松)はい (助八)お前 手が遅いんだから 199 00:17:52,110 --> 00:17:54,112 そんなことじゃ困りますよ (幸松)はい 200 00:17:54,112 --> 00:17:57,112 (おたか)助さん ちょっと (助八)へい 201 00:18:00,118 --> 00:18:02,120 (助八)おかみさん 何か? 202 00:18:02,120 --> 00:18:05,123 うちの人の様子が 近頃おかしいのよ 203 00:18:05,123 --> 00:18:07,125 旦那様が? 204 00:18:07,125 --> 00:18:09,127 (儀兵衛)おお 番頭さん 御苦労だったね 205 00:18:09,127 --> 00:18:11,129 (助八)ただいま帰りました (女性)番頭さん おかえりなさい 206 00:18:11,129 --> 00:18:14,065 (助八)ああ ただいま (儀兵衛)次の桐生からの荷は➡ 207 00:18:14,065 --> 00:18:16,067 いつになるかね (助八)月の15日です 208 00:18:16,067 --> 00:18:20,071 (儀兵衛)うん (助八)おたかさんが怪しんでるぞ 209 00:18:20,071 --> 00:18:23,074 女の勘は鋭いぞ 210 00:18:23,074 --> 00:18:25,076 まして恋女房となると 211 00:18:25,076 --> 00:18:29,076 しかし これも忍びの定め 212 00:18:31,082 --> 00:18:35,086 俺は 成瀬の動きを 探ろうと思ってる 213 00:18:35,086 --> 00:18:40,091 明日にも 尾張屋敷へ 忍び込むつもりだ 214 00:18:40,091 --> 00:18:44,091 気をつけろ 手ごわいぞ (儀兵衛)ああ 215 00:18:47,098 --> 00:18:51,102 (丸山)控えい 大奥より 天英院様御一行がお越しだ➡ 216 00:18:51,102 --> 00:18:54,102 控えい! (職人たち)へい 217 00:18:59,110 --> 00:19:11,122 ♬~ 218 00:19:11,122 --> 00:19:14,058 まあ 聞いてたもれ 今や大奥の美風も➡ 219 00:19:14,058 --> 00:19:16,060 卑しき女子に汚されておりまする 220 00:19:16,060 --> 00:19:19,063 (姉小路)月光院様のことに おじゃりまするな 221 00:19:19,063 --> 00:19:24,068 (宮路)それはもう目に余ります 何かにつけて上様 上様➡ 222 00:19:24,068 --> 00:19:28,072 御生母の威をかざして 我が世の春と浮かれ狂い➡ 223 00:19:28,072 --> 00:19:32,076 天英院様さえ大奥の片隅に 追いやられるありさま 224 00:19:32,076 --> 00:19:34,078 なんと無礼な 225 00:19:34,078 --> 00:19:38,082 成瀬殿 これは見過ごしには できませんぞえ 226 00:19:38,082 --> 00:19:41,085 あの折 鍋松が将軍家を継ぐのを➡ 227 00:19:41,085 --> 00:19:43,087 何としても 差し止めるべきであった 228 00:19:43,087 --> 00:19:47,091 ほんに 尾張様さえ 将軍におなりになっておれば➡ 229 00:19:47,091 --> 00:19:51,095 このような思いはせずに 済みましたものを 230 00:19:51,095 --> 00:19:54,098 (隼人正)雨降って地固まる 231 00:19:54,098 --> 00:19:56,100 これもいずれ 我が尾州家が➡ 232 00:19:56,100 --> 00:19:59,103 天下を握る布石の一つとして➡ 233 00:19:59,103 --> 00:20:01,105 お忍びくだされ 234 00:20:01,105 --> 00:20:05,109 そのような悠長な 私はもう息が詰まりそうじゃ 235 00:20:05,109 --> 00:20:08,112 成瀬殿 早う何とかしてたもれ 236 00:20:08,112 --> 00:20:12,116 (隼人正)もうお帰り召されますか 237 00:20:12,116 --> 00:20:19,056 大奥へお帰りになられても 天英院様のお立場はありますまい 238 00:20:19,056 --> 00:20:21,058 じゃが… 239 00:20:21,058 --> 00:20:25,062 よろしければ しばらく 我が尾張屋敷に➡ 240 00:20:25,062 --> 00:20:29,066 御とう留なされては いかがでございましょうか 241 00:20:29,066 --> 00:20:33,070 その間に我らが手で 大奥内を粛清いたし➡ 242 00:20:33,070 --> 00:20:38,070 月光院様の勢力を 失墜いたさせましょう 243 00:21:06,103 --> 00:21:08,103 ≪(物音) 244 00:21:10,107 --> 00:21:12,107 誰じゃ 245 00:21:26,123 --> 00:21:30,127 お休みになられたか 天英院様は (宮路)はい 246 00:21:30,127 --> 00:21:35,132 久しぶりに ぐっすりと (隼人正)うん 247 00:21:35,132 --> 00:21:38,135 天英院様は しかとお預かりした 248 00:21:38,135 --> 00:21:44,141 されば そなたは大奥へ立ち返り 手はずどおりに動け 249 00:21:44,141 --> 00:21:46,143 ≪(宮路)はい 250 00:21:46,143 --> 00:21:49,146 藤堂不折 そこにおるか 251 00:21:49,146 --> 00:21:51,148 (不折)はい 252 00:21:51,148 --> 00:21:56,153 聞いてのとおりじゃ よい策はあるか 253 00:21:56,153 --> 00:22:00,157 木挽町の山村座を 使うしかございません 254 00:22:00,157 --> 00:22:04,161 狂言一座か なるほどのう 255 00:22:04,161 --> 00:22:07,164 お任せください 256 00:22:07,164 --> 00:22:11,168 大奥を制する者は天下を制す 257 00:22:11,168 --> 00:22:14,105 幸い天英院様は我が手にある 258 00:22:14,105 --> 00:22:16,107 お静かに 259 00:22:16,107 --> 00:22:29,120 ♬~ 260 00:22:29,120 --> 00:22:32,123 くせ者じゃ 入れ 261 00:22:32,123 --> 00:22:44,135 ♬~ 262 00:22:44,135 --> 00:22:46,135 ≪(川又)庭へ逃げたぞ! 263 00:22:51,142 --> 00:22:53,144 (不折)捜せ 264 00:22:53,144 --> 00:22:57,148 まだ屋敷内にいるはずだ (一同)はっ 265 00:22:57,148 --> 00:23:17,101 ♬~ 266 00:23:17,101 --> 00:23:23,107 ♬~ 267 00:23:23,107 --> 00:23:25,107 「山村座」 268 00:23:30,114 --> 00:23:35,119 (大伍)「山村座」? 何だい こりゃ 269 00:23:35,119 --> 00:23:41,125 儀兵衛からのつなぎだ ともかく当たってみてくれ 270 00:23:41,125 --> 00:23:45,125 (多三郎)芝居見物か 悪かねえよな 271 00:23:48,132 --> 00:23:50,134 (男性) さあさあ いらはい いらはい➡ 272 00:23:50,134 --> 00:23:55,139 一世一代 東西随一 花の大顔合わせだよ➡ 273 00:23:55,139 --> 00:23:57,141 久方ぶりのお江戸入り➡ 274 00:23:57,141 --> 00:24:01,145 その名は歌川雪之丞 生島新五郎が➡ 275 00:24:01,145 --> 00:24:05,149 この山村座で ひのき舞台で 火花を散らす➡ 276 00:24:05,149 --> 00:24:08,152 外題は「傾城蜘蛛の糸巻き」➡ 277 00:24:08,152 --> 00:24:13,090 これより大当たりの 幕開きでござい➡ 278 00:24:13,090 --> 00:24:15,092 さあ いらっしゃい いらっしゃい どうもありがとうございます➡ 279 00:24:15,092 --> 00:24:19,092 お二人さん はいどうぞ さあ いらっしゃい いらっしゃい 280 00:24:21,098 --> 00:24:23,100 (男性)雪之丞! (男性)日本一 281 00:24:23,100 --> 00:24:26,103 (男性)いいぞ 日本一! 282 00:24:26,103 --> 00:24:28,105 (男性)いいぞ! 283 00:24:28,105 --> 00:24:34,111 ♬~ 284 00:24:34,111 --> 00:24:36,113 雪之丞! (女性)こっち向いて! 285 00:24:36,113 --> 00:24:38,115 (男性)日本一! (男性)いいぞ 雪之丞 286 00:24:38,115 --> 00:24:40,117 (女性)こっち向いて! 287 00:24:40,117 --> 00:25:00,137 ♬~ 288 00:25:00,137 --> 00:25:10,147 ♬~ 289 00:25:10,147 --> 00:25:12,149 (歓声) 290 00:25:12,149 --> 00:25:17,088 (男性)日本一! (男性)雪之丞 日本一! 291 00:25:17,088 --> 00:25:31,102 (歓声) (拍子木) 292 00:25:31,102 --> 00:25:33,104 (新五郎)雪兄い どうもお疲れさまでございます 293 00:25:33,104 --> 00:25:36,107 (雪之丞)おう お疲れさん おい 新さん 294 00:25:36,107 --> 00:25:41,112 この分だと 千秋楽まで 大入りが続きそうだね 295 00:25:41,112 --> 00:25:43,114 これもみんな 雪兄いのおかげです 296 00:25:43,114 --> 00:25:48,119 何を言うんだ 今じゃ お前さんの方が数段上だよ 297 00:25:48,119 --> 00:25:52,123 江戸一番の男だてと 女子衆の熱は上がる一方だ 298 00:25:52,123 --> 00:25:56,127 だが いつも舞台をさらうのは 女形の雪兄いだ 299 00:25:56,127 --> 00:25:58,129 (雪之丞)言い合っても しょうがないか➡ 300 00:25:58,129 --> 00:26:02,133 これほど評判呼ぶというのも つまりはお互いの➡ 301 00:26:02,133 --> 00:26:04,135 息が合ってるってことだろうな 302 00:26:04,135 --> 00:26:10,141 何はともあれ ありがたいことです 5年前を思うと まるで夢のようだ 303 00:26:10,141 --> 00:26:14,078 侍の身分を捨てたかいが ありましたね 304 00:26:14,078 --> 00:26:20,084 侍といえども 足軽同然の軽輩者 305 00:26:20,084 --> 00:26:25,089 ましてや世を忍ぶお役目 306 00:26:25,089 --> 00:26:30,094 いつかは草として 使い捨てられる定めだった 307 00:26:30,094 --> 00:26:33,097 それが今やこうして 江戸中の人目をさらっている 308 00:26:33,097 --> 00:26:36,100 皮肉なもので 309 00:26:36,100 --> 00:26:40,100 (斯波)久しぶりだな 御両人 大層な羽振りじゃないか 310 00:26:42,106 --> 00:26:44,108 (雪之丞)すまないが お前らちょっと外しておくれ 311 00:26:44,108 --> 00:26:46,108 (男性たち)はい 312 00:26:49,113 --> 00:26:54,118 (川又)フフフ… どうした 妙な顔をして 313 00:26:54,118 --> 00:26:58,122 わしらのことを忘れてしもうたか (雪之丞)とんでもない 314 00:26:58,122 --> 00:27:00,124 あまり思いがけなかったもので 315 00:27:00,124 --> 00:27:04,124 頭が会いたがっておられる (雪之丞)不折様が? 316 00:27:13,070 --> 00:27:19,076 来たか 雪之丞 新五郎➡ 317 00:27:19,076 --> 00:27:22,079 懐かしいのう➡ 318 00:27:22,079 --> 00:27:25,082 さて その方ら2人➡ 319 00:27:25,082 --> 00:27:29,086 一時は尾州家に 一命をささげると誓った➡ 320 00:27:29,086 --> 00:27:32,089 お土居下衆の精鋭であった 321 00:27:32,089 --> 00:27:34,091 はい しかし今は… 322 00:27:34,091 --> 00:27:40,097 うん お前たちは他の者と違い 類いまれなる才に恵まれていた 323 00:27:40,097 --> 00:27:43,100 わしは それを江戸のひのき舞台で➡ 324 00:27:43,100 --> 00:27:46,103 花咲かせてやりたいと 思えばこそ➡ 325 00:27:46,103 --> 00:27:48,105 送り出してやったのだ 326 00:27:48,105 --> 00:27:52,109 (新五郎)御恩のほどは 今でも忘れてはおりませぬ 327 00:27:52,109 --> 00:27:59,109 そうか ならば もう一度だけ わしのために働いてはくれぬか 328 00:28:04,121 --> 00:28:06,123 嫌なのか? 329 00:28:06,123 --> 00:28:08,125 いえ そんな 330 00:28:08,125 --> 00:28:12,129 新さん 私たちはもう ただの芸人だぞ 331 00:28:12,129 --> 00:28:15,065 しかし 雪兄い 私たちが今日あるのは➡ 332 00:28:15,065 --> 00:28:20,070 全て不折様のおかげ たってと頼まれてお断りはできぬ 333 00:28:20,070 --> 00:28:22,072 (不折)よう言うてくれた➡ 334 00:28:22,072 --> 00:28:25,075 役目は新五郎一人で十分➡ 335 00:28:25,075 --> 00:28:29,079 なにも命までくれという 荒事ではない➡ 336 00:28:29,079 --> 00:28:33,083 人気役者として 江戸一番の和事師として➡ 337 00:28:33,083 --> 00:28:36,086 ある女子を もてなしてもらいたいのだ 338 00:28:36,086 --> 00:28:41,086 心を込めて 心ゆくまで 339 00:28:46,096 --> 00:28:48,098 逃がすな 追え 340 00:28:48,098 --> 00:28:50,098 くそ 待て 341 00:28:59,109 --> 00:29:03,113 尾張のお土居下衆頭が木挽町に? 342 00:29:03,113 --> 00:29:06,116 芝居茶屋の酒席に 人気役者を呼びつけましたが➡ 343 00:29:06,116 --> 00:29:09,119 ただのひいき筋と思われませぬ 344 00:29:09,119 --> 00:29:13,057 成瀬隼人正の差し金かな 345 00:29:13,057 --> 00:29:16,060 (大伍) 殿 くれぐれも御用心のほどを➡ 346 00:29:16,060 --> 00:29:20,064 尾張の野ぎつね 何をたくらんでおるやら 347 00:29:20,064 --> 00:29:22,066 うん 348 00:29:22,066 --> 00:29:28,072 時に その2人の役者だが それほどの評判か 349 00:29:28,072 --> 00:29:34,078 はい 歌川雪之丞は絶世の女形 生島新五郎は和事の天才 350 00:29:34,078 --> 00:29:36,080 今や人気は うなぎ登りにございます 351 00:29:36,080 --> 00:29:41,085 そうか わしも一度見てみたいな 352 00:29:41,085 --> 00:29:44,088 善は急げだ すぐにも繰り出そう (大伍・多三郎)はっ 353 00:29:44,088 --> 00:29:46,090 (安藤)殿 なりませぬぞ 354 00:29:46,090 --> 00:29:48,092 いかんのか 355 00:29:48,092 --> 00:29:50,094 (安藤)当たり前でございます 356 00:29:50,094 --> 00:29:53,097 紀州家の太守に なられたのですぞ➡ 357 00:29:53,097 --> 00:29:56,100 芝居見物など もっての外にございます 358 00:29:56,100 --> 00:29:58,102 いつもこれだ 359 00:29:58,102 --> 00:30:02,106 同じ付家老でも 尾張の野ぎつね➡ 360 00:30:02,106 --> 00:30:05,109 水戸のかわうそと違うて➡ 361 00:30:05,109 --> 00:30:10,114 紀州の古だぬきは不粋で困る 362 00:30:10,114 --> 00:30:13,050 は? 何か申されましたか? 363 00:30:13,050 --> 00:30:17,054 ん? いやいや 独り言だ 364 00:30:17,054 --> 00:30:20,057 まっ こういうわけで 芝居見物はできそうにもないが➡ 365 00:30:20,057 --> 00:30:25,062 その方ら わしの代わりに 心ゆくまで見てまいれ 366 00:30:25,062 --> 00:30:27,062 土産話を楽しみにしておる (多三郎・大伍)はっ 367 00:30:30,067 --> 00:30:46,083 ♬~ 368 00:30:46,083 --> 00:30:51,088 (宮路)過日 天英院様は外出先で 急に御気分が悪うなられ➡ 369 00:30:51,088 --> 00:30:55,092 とりあえず 尾張のお屋敷で 落ち着かれ➡ 370 00:30:55,092 --> 00:30:59,096 今もそちらにて 御静養なされております 371 00:30:59,096 --> 00:31:02,099 (月光院)それはお気の毒に➡ 372 00:31:02,099 --> 00:31:04,101 すぐにも奥医師の 了庵を差し向けねば 373 00:31:04,101 --> 00:31:09,106 (宮路)いいえ 今は御案じ 召されるほどのこともありませぬ 374 00:31:09,106 --> 00:31:12,109 (月光院)それならば よろしいのじゃが 375 00:31:12,109 --> 00:31:16,113 ただ 明13日は 文昭院様の月命日 376 00:31:16,113 --> 00:31:21,118 大奥総出で増上寺参詣が 取り決められておりますが➡ 377 00:31:21,118 --> 00:31:24,121 そのような事情で 私が天英院様の➡ 378 00:31:24,121 --> 00:31:27,124 名代を務めることに なりましたので➡ 379 00:31:27,124 --> 00:31:31,128 その旨 御了承いただきたく 参上いたしました 380 00:31:31,128 --> 00:31:34,131 それは御丁寧に 381 00:31:34,131 --> 00:31:41,138 ふつつか者ではございますが 何とぞよろしくお願いいたします 382 00:31:41,138 --> 00:31:43,140 こちらこそ 383 00:31:43,140 --> 00:32:01,158 ♬~ 384 00:32:01,158 --> 00:32:05,162 どうじゃ あの宮路の変わりよう 385 00:32:05,162 --> 00:32:09,166 今までの傲慢さが うそのようじゃ 386 00:32:09,166 --> 00:32:11,101 (絵島)寄らば大樹の陰➡ 387 00:32:11,101 --> 00:32:16,106 お方様の御威光に 恐れをなしたのでございましょう 388 00:32:16,106 --> 00:32:22,112 これより大奥を取りしきるのは 天英院様ではなく月光院様だと➡ 389 00:32:22,112 --> 00:32:24,114 見定めたのでは 390 00:32:24,114 --> 00:32:26,116 そうかのう 391 00:32:26,116 --> 00:32:31,121 (お麻)あの お方様 (月光院)何じゃ お麻 392 00:32:31,121 --> 00:32:35,125 はい 畏れながら この度の増上寺御参詣は➡ 393 00:32:35,125 --> 00:32:38,128 お差し控え召された方が 394 00:32:38,128 --> 00:32:40,130 何故じゃ 395 00:32:40,130 --> 00:32:42,132 申してみよ 396 00:32:42,132 --> 00:32:48,132 はい 万が一 お方様の御身に 何かが起これば 397 00:32:50,140 --> 00:32:55,145 (月光院)そのような ゆゆしき懸念があると申すのか 398 00:32:55,145 --> 00:33:00,145 (お麻)分かりませぬ ただ 妙に胸騒ぎを覚えます 399 00:33:03,153 --> 00:33:08,158 (絵島)そう言われれば あのずる賢い宮路殿のこと➡ 400 00:33:08,158 --> 00:33:12,095 何をたくらんでおるか 知れたものではございません 401 00:33:12,095 --> 00:33:17,100 しかし 参らぬとあっては 亡き六代様に申し訳が立たぬ 402 00:33:17,100 --> 00:33:20,103 いえ おやめくださりませ 403 00:33:20,103 --> 00:33:23,106 天英院様同様 お風邪でも 召されたことになされ➡ 404 00:33:23,106 --> 00:33:27,106 私が御名代として 代参いたします 405 00:33:32,115 --> 00:33:38,121 (隼人正)そうか 月光院が 増上寺の参詣を取りやめたか 406 00:33:38,121 --> 00:33:42,125 (不折)宮路殿の連絡によれば 年寄 絵島の代参で➡ 407 00:33:42,125 --> 00:33:47,130 事を済ますようです (隼人正)うん 的が外れたのう 408 00:33:47,130 --> 00:33:50,133 されば いかがなされます 409 00:33:50,133 --> 00:33:56,139 絵島といえども月光院付きの 年寄として権勢を誇っておる 410 00:33:56,139 --> 00:33:59,142 かまわぬ 手はずどおりに事を運べ 411 00:33:59,142 --> 00:34:01,142 シッ! 412 00:34:07,150 --> 00:34:12,089 近くに人の気配が 忍びかもしれません 413 00:34:12,089 --> 00:34:14,091 まさか 414 00:34:14,091 --> 00:34:18,095 屋敷の内外はその方の配下で 固めてあるはずじゃぞ 415 00:34:18,095 --> 00:34:20,097 いかにも 416 00:34:20,097 --> 00:34:24,097 猫の子一匹通さぬほど 万全でございますが 417 00:34:39,116 --> 00:34:43,120 (助八)「大奥年寄絵島」? 418 00:34:43,120 --> 00:34:45,122 絵島か 419 00:34:45,122 --> 00:34:56,122 ♬~ 420 00:34:58,135 --> 00:35:01,138 <芝の増上寺は 上野 寛永寺と並んで➡ 421 00:35:01,138 --> 00:35:04,141 代々 将軍家の菩提寺である> 422 00:35:04,141 --> 00:35:09,146 <六代 家宣 文昭院も ここに眠っている> 423 00:35:09,146 --> 00:35:14,084 <その日 年寄 絵島と宮路は それぞれ代参として➡ 424 00:35:14,084 --> 00:35:17,084 増上寺に参詣した> 425 00:35:20,090 --> 00:35:22,092 申し訳ありません 本日➡ 426 00:35:22,092 --> 00:35:24,094 御公儀様の 貸し切りでございまして はい 427 00:35:24,094 --> 00:35:26,096 (女性)まあ つまんないのね 428 00:35:26,096 --> 00:35:35,105 ♬~ 429 00:35:35,105 --> 00:35:40,110 <その帰途 絵島たち一行は 宮路の強い勧めで➡ 430 00:35:40,110 --> 00:35:42,110 山村座に立ち寄った> 431 00:35:47,117 --> 00:35:52,122 (拍子木) 432 00:35:52,122 --> 00:35:57,127 (囃子) 433 00:35:57,127 --> 00:36:17,080 ♬~ 434 00:36:17,080 --> 00:36:36,099 ♬~ 435 00:36:36,099 --> 00:36:38,101 (宮路)いかがでございます 絵島様 436 00:36:38,101 --> 00:36:42,105 下々の芸も また一興でございましょう 437 00:36:42,105 --> 00:36:48,111 あの男ぶり 体の芯までしびれてしまいそう 438 00:36:48,111 --> 00:36:52,115 ほんに 美しい 439 00:36:52,115 --> 00:36:57,120 さあさあ 何もかも忘れて 440 00:36:57,120 --> 00:37:00,123 存分にお過ごしなされませ 441 00:37:00,123 --> 00:37:08,131 ♬~ 442 00:37:08,131 --> 00:37:11,067 このあと 隣の茶屋へ席を設け➡ 443 00:37:11,067 --> 00:37:16,072 あの新五郎も呼んでおりますぞえ 444 00:37:16,072 --> 00:37:19,075 もうそろそろ帰る刻限では… (宮路)何をおっしゃいます 445 00:37:19,075 --> 00:37:22,078 これからがお楽しみ 446 00:37:22,078 --> 00:37:32,088 ♬~ 447 00:37:32,088 --> 00:37:35,091 全て天英院様が 御用意なさったこと 448 00:37:35,091 --> 00:37:39,095 早々に引き取っては 御無礼に当たりましょう 449 00:37:39,095 --> 00:37:41,097 しかし… (宮路)心配いりませぬ 450 00:37:41,097 --> 00:37:43,099 お広敷きの役人には➡ 451 00:37:43,099 --> 00:37:47,103 あらかじめ遅くなることを 申し伝えておきましたゆえ 452 00:37:47,103 --> 00:37:52,108 さあさあ 何もかも忘れて 楽しみましょうぞ 453 00:37:52,108 --> 00:38:12,062 ♬~ 454 00:38:12,062 --> 00:38:17,067 ♬~ 455 00:38:17,067 --> 00:38:21,071 (助八)「絵島から目を離すな 助」 456 00:38:21,071 --> 00:38:32,082 ♬~ 457 00:38:32,082 --> 00:38:34,084 分かりました 458 00:38:34,084 --> 00:38:47,084 ♬~ 459 00:39:11,054 --> 00:39:15,058 山村座の生島新五郎にございます 460 00:39:15,058 --> 00:39:19,062 お見知り置きの上 これからもごひいきのほど➡ 461 00:39:19,062 --> 00:39:21,062 よろしくお願い申し上げます 462 00:39:28,071 --> 00:39:31,074 どうしたのじゃ 463 00:39:31,074 --> 00:39:34,077 御無礼をいたしました 464 00:39:34,077 --> 00:39:38,077 お年寄様が あまりにお美しいので 465 00:39:41,084 --> 00:39:45,088 まあ 口のうまい 466 00:39:45,088 --> 00:39:47,090 宮路殿は? 467 00:39:47,090 --> 00:39:50,093 はい 別室の方で おくつろぎでございます 468 00:39:50,093 --> 00:39:54,097 私はこちらで お年寄様の お相手をするように➡ 469 00:39:54,097 --> 00:39:58,097 申しつけられました (絵島)そうか 470 00:40:06,109 --> 00:40:12,048 ほんに そなたの舞いは えも言われぬ美しさであった 471 00:40:12,048 --> 00:40:14,050 あ… 472 00:40:14,050 --> 00:40:17,053 お年寄様のような方に お褒めにあずかり➡ 473 00:40:17,053 --> 00:40:20,053 身に余る光栄に存じまする 474 00:40:27,063 --> 00:40:31,067 久しぶりに楽しい一日であった 475 00:40:31,067 --> 00:40:34,070 ああ いい気持ち 476 00:40:34,070 --> 00:40:36,070 少し酔うたようじゃ 477 00:40:38,074 --> 00:40:40,074 大丈夫でございますか お年寄様 478 00:40:42,078 --> 00:40:47,083 その呼び方は やめてたもれ 479 00:40:47,083 --> 00:40:50,083 あ… はい では… 480 00:40:54,090 --> 00:40:58,090 絵島様 またお越し願えますか? 481 00:41:05,101 --> 00:41:10,101 またここで こうして 私と会うていただけますか 482 00:41:25,121 --> 00:41:28,124 (お麻) 宮路様 お帰りでございますか➡ 483 00:41:28,124 --> 00:41:30,126 宮路様 484 00:41:30,126 --> 00:41:32,128 あの 絵島様は? 485 00:41:32,128 --> 00:41:35,131 もう少し ここで過ごされるそうじゃ 486 00:41:35,131 --> 00:41:38,131 わらわは一足先に帰る 487 00:41:44,140 --> 00:41:46,142 どうしよう 488 00:41:46,142 --> 00:41:55,151 ♬~ 489 00:41:55,151 --> 00:41:57,151 絵島様 490 00:41:59,155 --> 00:42:01,155 新様 491 00:42:03,159 --> 00:42:08,159 わらわ このような思いは 初めてじゃ 492 00:42:11,101 --> 00:42:17,107 私も このまま絵島様と お別れするのかと思うと➡ 493 00:42:17,107 --> 00:42:20,110 胸も張り裂けんばかりで ございます 494 00:42:20,110 --> 00:42:24,110 そのような 憎い世辞を 495 00:42:26,116 --> 00:42:29,119 でも うれしい 496 00:42:29,119 --> 00:42:31,121 ハァ… 497 00:42:31,121 --> 00:42:35,121 2人を隔てるお堀と石垣が 憎うてなりませぬ 498 00:42:40,130 --> 00:42:42,132 なりませぬ 499 00:42:42,132 --> 00:42:44,134 なりませぬ やめてたもれ 500 00:42:44,134 --> 00:42:49,139 この生島新五郎 恋に命を懸ける覚悟にございます 501 00:42:49,139 --> 00:43:01,151 ♬~ 502 00:43:01,151 --> 00:43:03,153 ≪(お麻)絵島様 503 00:43:03,153 --> 00:43:08,158 もう刻限より だいぶ遅くなっておりますゆえ 504 00:43:08,158 --> 00:43:10,158 分かっております 505 00:43:19,102 --> 00:43:21,104 お麻 506 00:43:21,104 --> 00:43:24,107 はい ここにございます 507 00:43:24,107 --> 00:43:30,113 そなた 男に恋したことがあるか 508 00:43:30,113 --> 00:43:32,113 ≪(お麻)はい 509 00:43:35,118 --> 00:43:38,121 悲しいものよのう 510 00:43:38,121 --> 00:43:40,123 許されぬ身には 511 00:43:40,123 --> 00:43:54,137 ♬~ 512 00:43:54,137 --> 00:43:56,137 (不折)新五郎 513 00:43:59,142 --> 00:44:03,142 (不折)お前の役目は まだ終わってはいない 514 00:44:07,150 --> 00:44:12,088 (不折)もう一度だけ➡ 515 00:44:12,088 --> 00:44:16,092 絵島に会いたいとは思わぬか? 516 00:44:16,092 --> 00:44:19,092 会えるのですか あの方に 517 00:44:21,097 --> 00:44:23,099 会えるのですか? 518 00:44:23,099 --> 00:44:43,119 ♬~ 519 00:44:43,119 --> 00:45:03,139 ♬~ 520 00:45:03,139 --> 00:45:23,092 ♬~ 521 00:45:23,092 --> 00:45:43,112 ♬~ 522 00:45:43,112 --> 00:45:51,112 ♬~ 523 00:45:54,090 --> 00:45:59,095 別室にて次期将軍のことでも 話しましょうかのう 524 00:45:59,095 --> 00:46:03,099 上様のお命 どうせ長くはもちますまい 525 00:46:03,099 --> 00:46:07,036 (綱條) それは ちとお言葉が過ぎますぞ 526 00:46:07,036 --> 00:46:09,038 (宮路)次は尾張様の出番と➡ 527 00:46:09,038 --> 00:46:13,042 決まっておるような ものでございます 528 00:46:13,042 --> 00:46:16,042 わしは将軍になるぞ もう心を決めた