1 00:01:56,531 --> 00:01:59,167 他出された月光院様を… 刻限が過ぎたと言って… 2 00:01:59,167 --> 00:02:02,167 瀬山様が… 七ツ口をお通しにならないの 3 00:02:13,381 --> 00:02:18,420 何と申されても規則ゆえ この門 開くことなりませぬ 4 00:02:18,420 --> 00:02:21,022 規則と申されますが 瀬山様 5 00:02:21,022 --> 00:02:24,159 規則は使用人に初めて通ずるもの 6 00:02:24,159 --> 00:02:29,697 月光院様は 先の上様ご生母様にございます 7 00:02:29,697 --> 00:02:33,935 そのようなこと改めて聞かいでも 分かっている 8 00:02:33,935 --> 00:02:37,372 されど曲げることならぬのじゃ 9 00:02:37,372 --> 00:02:39,407 なぜでございます? 10 00:02:39,407 --> 00:02:45,246 大奥の規則は そのことごとくが 春日局様の作られしもの 11 00:02:45,246 --> 00:02:49,918 春日局様は その死の間際のご遺言に 12 00:02:49,918 --> 00:02:53,588 「大奥の規則のこと たとえ何人といえども」 13 00:02:53,588 --> 00:02:55,723 「曲げること かなわず」 14 00:02:55,723 --> 00:02:57,926 そう書き残された 15 00:02:57,926 --> 00:03:02,864 では どうあっても この御門 開けていただけぬのですね? 16 00:03:02,864 --> 00:03:06,067 開けられぬ それでは 17 00:03:06,067 --> 00:03:10,638 お方様共々 ここで 夜明けを待たねばなりませぬ 18 00:03:10,638 --> 00:03:14,442 待たれるがよい フフフ 19 00:03:14,442 --> 00:03:18,613 それとも御老中 間部殿に 訴えて出られ 20 00:03:18,613 --> 00:03:23,184 お下屋敷に立ち戻って 泊めていただくか 21 00:03:23,184 --> 00:03:25,286 なんということを 22 00:03:25,286 --> 00:03:28,286 これ 駕籠を開けるのじゃ 23 00:03:40,668 --> 00:03:42,937 いかに大奥総取締とはいえ 24 00:03:42,937 --> 00:03:45,373 先程から聞いていれば そなたの言い条 25 00:03:45,373 --> 00:03:48,743 臣下の分際で言語道断 許せぬ 26 00:03:48,743 --> 00:03:53,915 おや 月光院様は臣下で おいであそばしませんので? 27 00:03:53,915 --> 00:03:56,951 では何となさいます? 28 00:03:56,951 --> 00:04:02,323 この瀬山に言わせれば お方様のなさり方こそ慮外千万 29 00:04:02,323 --> 00:04:04,325 何を言う! 30 00:04:04,325 --> 00:04:07,495 そうでございましょう? 31 00:04:07,495 --> 00:04:10,932 例えば上様のお心を無視して 32 00:04:10,932 --> 00:04:13,034 お袖を大奥に 33 00:04:13,034 --> 00:04:15,670 その袖を横取りしようとしたのは 誰じゃ 34 00:04:15,670 --> 00:04:18,106 そなたではないか! 35 00:04:18,106 --> 00:04:20,708 横取りしたつもりはありませぬ 36 00:04:20,708 --> 00:04:23,144 あれが横取りでのうて… 37 00:04:23,144 --> 00:04:26,047 瀬山 ここを開けぬか! 38 00:04:26,047 --> 00:04:28,049 開けませぬ 39 00:04:28,049 --> 00:04:30,652 ええい 40 00:04:30,652 --> 00:04:34,822 口惜しかったら 開けてごらんあそばせ 41 00:04:34,822 --> 00:04:37,592 何事によらず ことごとく 42 00:04:37,592 --> 00:04:42,630 先の上様ご生母であられることを 鼻にかけられる月光院様 43 00:04:42,630 --> 00:04:46,601 上様同様 この瀬山も 大奥も 44 00:04:46,601 --> 00:04:49,170 思いのとおりにはなりませぬ 45 00:04:49,170 --> 00:04:52,106 瀬山 瀬山 46 00:04:52,106 --> 00:04:56,544 ハハハ! ここを開けるのじゃ 47 00:04:56,544 --> 00:05:01,416 ここを開けぬか 開けるのじゃ 瀬山 開けぬか 48 00:05:01,416 --> 00:05:04,552 ハハハ 瀬山! 49 00:05:04,552 --> 00:05:10,458 瀬山 そなた 臣下の分際で このわらわを何と心得る 50 00:05:10,458 --> 00:05:14,028 ハハハ 51 00:05:14,028 --> 00:05:16,228 お方様 お方様 52 00:05:27,442 --> 00:05:31,279 お方様 お医師を お連れいたしました 53 00:05:31,279 --> 00:05:33,815 何を言うか 医師など要らぬ 54 00:05:33,815 --> 00:05:37,315 少しお熱がありますれば… わらわに必要なのは… 55 00:05:39,787 --> 00:05:41,787 下がるように言うてたもう 56 00:05:44,392 --> 00:05:46,392 ご苦労でした 57 00:05:54,469 --> 00:05:59,607 お方様の申されているのは 袖のことでございましょう 58 00:05:59,607 --> 00:06:05,480 そのことならば昨夜 間部様も 申されたではありませんか 59 00:06:05,480 --> 00:06:10,918 袖が身重と分かった以上 単身にて遠くへやるわけはなく 60 00:06:10,918 --> 00:06:14,389 仮に遠方だとしたら ゆかりの地 61 00:06:14,389 --> 00:06:18,660 それをめどに くまなく 探索するよう命じてあることなら 62 00:06:18,660 --> 00:06:21,262 間もなく知れようと 63 00:06:21,262 --> 00:06:26,701 ハハハ 64 00:06:26,701 --> 00:06:32,273 袖に上様のお子とは… 月光院様 65 00:06:32,273 --> 00:06:38,546 ようやく我らにも 運が回ってきたようでござるな 66 00:06:38,546 --> 00:06:41,983 目的は お子じゃ 67 00:06:41,983 --> 00:06:45,753 こうなれば袖などは どうでもよい 68 00:06:45,753 --> 00:06:50,153 何としてでも袖を捜し出して お子を産ませる 69 00:06:52,193 --> 00:06:56,230 お子さえ こちらの手に 入れてしまえば 70 00:06:56,230 --> 00:07:00,068 次の天下は我らのものじゃ 71 00:07:00,068 --> 00:07:05,306 そうでござろう?ナハハハ 72 00:07:05,306 --> 00:07:07,906 ハハフフフ 73 00:07:30,531 --> 00:07:35,369 アハハハ 昨夜は愉快であったのう 74 00:07:35,369 --> 00:07:38,406 今の季節 夜明かししたからというて 75 00:07:38,406 --> 00:07:42,310 まさかのこと凍え死に するようなこともなかろうが 76 00:07:42,310 --> 00:07:46,781 先の将軍ご生母が 御門の前で夜明かしとは 77 00:07:46,781 --> 00:07:49,050 ハハハ 78 00:07:49,050 --> 00:07:51,152 よいのじゃ あれで 79 00:07:51,152 --> 00:07:56,424 たとえ上様のお耳に入ろうと 間部殿のお耳に入ろうと 80 00:07:56,424 --> 00:08:00,094 規則は規則 何の後ろめたいこともない 81 00:08:00,094 --> 00:08:03,231 さあ 皆の者 遠慮のう食べるがよい 82 00:08:03,231 --> 00:08:07,802 越後屋の最中 今日のために 特別に取り寄せた 83 00:08:07,802 --> 00:08:12,340 何をしておる さあ さあ 84 00:08:12,340 --> 00:08:15,140 遠慮のう食べるがよい さあ 85 00:08:28,790 --> 00:08:30,892 ところでのう 皆の者 86 00:08:30,892 --> 00:08:34,729 月光院様の昨日の他出は にわかのもの 87 00:08:34,729 --> 00:08:36,798 行き先は分かっているのだが 88 00:08:36,798 --> 00:08:40,198 何のためか 聞き知った者はおらぬか? 89 00:08:43,504 --> 00:08:47,441 皆 いくら言うたからいうて よう食べるが 90 00:08:47,441 --> 00:08:51,746 何ひとつ役には立たぬのう 91 00:08:51,746 --> 00:08:56,250 あの… それは お袖様のことではありませぬか? 92 00:08:56,250 --> 00:08:58,619 そんなことは分かっておる 93 00:08:58,619 --> 00:09:01,689 ただ 夜分にまでかかる にわかの他出 94 00:09:01,689 --> 00:09:04,058 よほどの返事があったに違いない 95 00:09:04,058 --> 00:09:06,758 知りたいのは そのことなのじゃ 96 00:09:10,097 --> 00:09:13,634 さくら様がツテを求めて 走り回っておりまする 97 00:09:13,634 --> 00:09:15,634 やがて知れましょう 98 00:09:18,005 --> 00:09:22,009 申し上げます 京よりの書状にございます 99 00:09:22,009 --> 00:09:24,109 京? 100 00:09:30,084 --> 00:09:32,520 大丈夫かい お袖ちゃん 101 00:09:32,520 --> 00:09:35,823 あっ 茶店があるよ 休んでいこう でも… 102 00:09:35,823 --> 00:09:37,892 そんなこと言ったって 持ちゃしないよ 103 00:09:37,892 --> 00:09:41,262 そうでなくったって 当たり前の体じゃないんだから 104 00:09:41,262 --> 00:09:43,998 休ませてもらうよ お茶と団子 くんな 105 00:09:43,998 --> 00:09:47,168 へい 106 00:09:47,168 --> 00:09:50,071 あっ そうか 107 00:09:50,071 --> 00:09:54,909 わらじの結び方がきついんだよ 少し緩めてあげる 108 00:09:54,909 --> 00:09:58,946 ありがとう ごめんなさいね 源太 109 00:09:58,946 --> 00:10:02,083 私のために急に こんなことになってしまって 110 00:10:02,083 --> 00:10:04,085 なあに いいんだよ 111 00:10:04,085 --> 00:10:07,855 俺はね 今までそんな話を したことはなかったけど 112 00:10:07,855 --> 00:10:11,492 頼方様も… 113 00:10:11,492 --> 00:10:14,492 お袖ちゃんも… 好きなんだ 114 00:10:16,497 --> 00:10:19,133 あっ そうか 115 00:10:19,133 --> 00:10:23,004 頼方様の話は しちゃいけなかったんだね 116 00:10:23,004 --> 00:10:25,206 ううん 117 00:10:25,206 --> 00:10:27,975 覚悟をして出てきたはずなのに 118 00:10:27,975 --> 00:10:31,279 江戸を離れれば離れるほど 119 00:10:31,279 --> 00:10:34,348 恋しくなってくる 120 00:10:34,348 --> 00:10:38,252 久兵衛さんにだって どう話していいのか 121 00:10:38,252 --> 00:10:40,888 そのことだって… 大丈夫 122 00:10:40,888 --> 00:10:42,924 久兵衛さんなら分かってくれるよ 123 00:10:42,924 --> 00:10:45,159 もし仮に俺が久兵衛さんなら 124 00:10:45,159 --> 00:10:49,063 「大丈夫 任しておけ」って そう言うよ 125 00:10:49,063 --> 00:10:52,433 それが つらい ハハハ 126 00:10:52,433 --> 00:10:55,069 そんなに難しく考えることないさ 127 00:10:55,069 --> 00:10:58,806 世の中はね なるようにしかならないんだぜ 128 00:10:58,806 --> 00:11:01,006 はいはい お待ちどおさま 129 00:11:08,082 --> 00:11:10,082 はい どうも 130 00:11:23,431 --> 00:11:26,801 おい 出入り商人の言うことを 真に受けて 131 00:11:26,801 --> 00:11:29,870 袖の故郷は丹波 その丹波には確か 132 00:11:29,870 --> 00:11:33,040 決められたはずの許婚がいると 聞いて 133 00:11:33,040 --> 00:11:36,043 それを頼りに東海道を 追ってきたんだが 134 00:11:36,043 --> 00:11:38,112 どうも心許ないな 135 00:11:38,112 --> 00:11:40,681 というて他に方法はあるまい うん 136 00:11:40,681 --> 00:11:43,084 休もう休もう 茶店だ ヘッ 137 00:11:43,084 --> 00:11:45,119 いらっしゃいまし 138 00:11:45,119 --> 00:11:48,689 おやじ 若い二人連れの男女を 見かけなかったか? 139 00:11:48,689 --> 00:11:51,325 若い二人連れ? 江戸言葉を使う 140 00:11:51,325 --> 00:11:53,327 行き先は丹波だ 141 00:11:53,327 --> 00:11:55,997 はて… あの2人かな 142 00:11:55,997 --> 00:11:57,997 よし 143 00:12:00,735 --> 00:12:02,737 はい 144 00:12:02,737 --> 00:12:05,840 だいぶ足の腫れも引いたわ もう大丈夫 145 00:12:05,840 --> 00:12:07,840 そう? 146 00:12:32,800 --> 00:12:34,800 そこの2人 待て! あっ 147 00:12:37,204 --> 00:12:39,840 お袖ちゃん 待て待て 148 00:12:39,840 --> 00:12:41,840 待て 149 00:12:48,349 --> 00:12:51,886 何か用かい 俺たちに? お前ら 江戸は湯島 昌平黌の寮 150 00:12:51,886 --> 00:12:53,921 清明寮の者でお袖と源太 151 00:12:53,921 --> 00:12:56,991 違うよ 俺たちは 駆け落ちもんだい 152 00:12:56,991 --> 00:12:59,360 てやんでい 駆け落ち者が 153 00:12:59,360 --> 00:13:01,762 てめえたちから 駆け落ち者だって言うかよ 154 00:13:01,762 --> 00:13:05,199 じゃあ どこに お袖と源太だって 証拠があるんだい 155 00:13:05,199 --> 00:13:10,671 俺たちに命令を下したお方に 手落ちってことはねえんだ 156 00:13:10,671 --> 00:13:13,307 やっぱり それっ 157 00:13:13,307 --> 00:13:15,776 おい くそっ 何しやがんだい 158 00:13:15,776 --> 00:13:19,180 ええい この野郎 おい くそっ 159 00:13:19,180 --> 00:13:21,949 ええい 160 00:13:21,949 --> 00:13:24,819 だてに昌平黌で 働いていたんじゃねえやい 161 00:13:24,819 --> 00:13:26,754 船の櫓ぐらいには使えるんだい 162 00:13:26,754 --> 00:13:29,390 源太 さあ 俺のことはいいから 163 00:13:29,390 --> 00:13:31,759 早く逃げるんだい こら 待て 164 00:13:31,759 --> 00:13:34,959 ええい ええい 165 00:13:37,031 --> 00:13:40,501 来い 離してよ 何すんのよ 離して 166 00:13:40,501 --> 00:13:42,670 お袖ちゃん あー! 167 00:13:42,670 --> 00:13:45,139 源太 来るんだ 168 00:13:45,139 --> 00:13:48,309 源太 あー! 169 00:13:48,309 --> 00:13:51,011 源太 170 00:13:51,011 --> 00:13:55,683 源太 源太 171 00:13:55,683 --> 00:13:58,285 源太 172 00:13:58,285 --> 00:14:01,021 源太 う… 173 00:14:01,021 --> 00:14:03,824 源太 あ… あ… 174 00:14:03,824 --> 00:14:06,924 源太! あ… あっ 175 00:14:30,351 --> 00:14:34,021 お方様 よい知らせでございます 176 00:14:34,021 --> 00:14:36,190 間部様よりお知らせがあり 177 00:14:36,190 --> 00:14:39,393 お袖が見つかった由 何? 178 00:14:39,393 --> 00:14:43,397 小田原より飛脚があり 連れ戻るそうにございますが 179 00:14:43,397 --> 00:14:46,901 いずれにと 180 00:14:46,901 --> 00:14:49,401 亀岡を呼びや はっ 181 00:14:52,640 --> 00:14:55,075 上様 182 00:14:55,075 --> 00:15:00,347 突然 このような所に上られて どうされたというのです? 183 00:15:00,347 --> 00:15:05,452 見たら分かろう 考え事をしている 184 00:15:05,452 --> 00:15:09,823 考え事なら 別に 天守でのうてもできまする 185 00:15:09,823 --> 00:15:12,523 町が見えるのだ ここからは 186 00:15:14,695 --> 00:15:16,695 江戸の町が 187 00:15:22,269 --> 00:15:24,338 余は 188 00:15:24,338 --> 00:15:28,742 将軍になったことを悔やんでいる 189 00:15:28,742 --> 00:15:31,946 何を仰せられます 急に 190 00:15:31,946 --> 00:15:34,715 急にではない 191 00:15:34,715 --> 00:15:37,484 将軍になってから 192 00:15:37,484 --> 00:15:40,684 いつも そのことが胸の内にあった 193 00:15:43,490 --> 00:15:47,728 余は将軍になると決意をした時 194 00:15:47,728 --> 00:15:50,497 1つのことが支えになった 195 00:15:50,497 --> 00:15:52,497 何でございます? 196 00:15:54,568 --> 00:15:57,805 母上も申された 197 00:15:57,805 --> 00:16:01,005 水戸様 長昌院様 198 00:16:03,010 --> 00:16:06,914 江戸の町の人々も 同じことを考えたはずだ 199 00:16:06,914 --> 00:16:11,014 余が市井の暮らしを 知ってるということを 200 00:16:13,187 --> 00:16:15,389 だがな 玄右衛門 201 00:16:15,389 --> 00:16:17,825 そのことが今までの余の 202 00:16:17,825 --> 00:16:21,428 将軍としての暮らしの中で 役に立ったことがあるか? 203 00:16:21,428 --> 00:16:24,431 ないとは申せませんでしょう 204 00:16:24,431 --> 00:16:26,667 目安箱のことなど 205 00:16:26,667 --> 00:16:29,370 江戸の市民は沸くようにして 喜んでおりまする 206 00:16:29,370 --> 00:16:31,372 ただ それだけだ 207 00:16:31,372 --> 00:16:34,141 急いてはなりません 上様 208 00:16:34,141 --> 00:16:36,377 まだ数ヵ月にしか なっておらんのでございますよ 209 00:16:36,377 --> 00:16:38,379 時の経つのは早い 210 00:16:38,379 --> 00:16:41,679 上様 そのように いら立たれて 211 00:16:44,652 --> 00:16:48,952 袖のことが やっぱり心にかかって おいでなんでございますね? 212 00:16:50,924 --> 00:16:54,328 この玄右衛門 近頃 213 00:16:54,328 --> 00:16:57,731 袖に対する考えが 変わってきたのと同様 214 00:16:57,731 --> 00:17:02,970 上様に対しても 考えが変わってまいりました 215 00:17:02,970 --> 00:17:05,406 どう変わった? 216 00:17:05,406 --> 00:17:08,809 豪快に見せかけておいでになるが 217 00:17:08,809 --> 00:17:12,109 思いのほか純情でおいでになる 218 00:17:14,048 --> 00:17:16,183 バカを申せ いやいや 219 00:17:16,183 --> 00:17:18,752 そう申されるそのお顔が 何よりの証拠 220 00:17:18,752 --> 00:17:20,752 はっきりと書いてあります 221 00:17:23,490 --> 00:17:25,859 ならば 222 00:17:25,859 --> 00:17:28,228 言おう 223 00:17:28,228 --> 00:17:31,165 余は 224 00:17:31,165 --> 00:17:33,165 袖が恋しい 225 00:17:38,439 --> 00:17:40,908 母上が 226 00:17:40,908 --> 00:17:43,777 「意地を張らずに」 227 00:17:43,777 --> 00:17:47,715 「袖を引き取ってはどうか」と 申された 228 00:17:47,715 --> 00:17:49,717 聞きました 229 00:17:49,717 --> 00:17:51,717 もう一度 聞け! 230 00:17:54,288 --> 00:17:56,757 母上は 231 00:17:56,757 --> 00:18:01,595 余が いつまでも 袖にこだわっていたら 232 00:18:01,595 --> 00:18:05,295 周りの者は更にもっと こだわろう 233 00:18:07,434 --> 00:18:11,438 そうなっては袖が気の毒 そして… 234 00:18:11,438 --> 00:18:13,841 こうも申されたのでしょう 235 00:18:13,841 --> 00:18:16,810 「美しいものは どこにおいても美しい」 236 00:18:16,810 --> 00:18:20,147 「周りにこだわらぬ強さを持て」 237 00:18:20,147 --> 00:18:24,752 で どうお覚悟あそばしました? 238 00:18:24,752 --> 00:18:29,352 余は まだ 袖を引き取る決意がつかぬ 239 00:18:31,458 --> 00:18:34,658 なぜならば なあ 玄右衛門 240 00:18:37,264 --> 00:18:42,736 袖は やはり野の花ではないのか 241 00:18:42,736 --> 00:18:44,736 野の花? 242 00:18:48,208 --> 00:18:53,108 余は そのことを考える 243 00:18:59,186 --> 00:19:02,623 爺 野駆けに出ぬか? 244 00:19:02,623 --> 00:19:04,858 野駆け?上様… 245 00:19:04,858 --> 00:19:09,763 将軍だとて 野駆けに出てはならぬ という決まりはなかろう 246 00:19:09,763 --> 00:19:11,865 内緒じゃ 誰にも 247 00:19:11,865 --> 00:19:16,069 したが上様 昌平黌はいけませんぞ 昌平黌だけは 248 00:19:16,069 --> 00:19:19,606 あそこへ行かれたら 上様が 元の学生に戻ると言われかねない 249 00:19:19,606 --> 00:19:21,606 分かっておる 250 00:20:23,036 --> 00:20:25,136 無事に運んできたか 251 00:20:27,441 --> 00:20:30,644 そこでよい はっ 252 00:20:30,644 --> 00:20:32,644 お確かめを 253 00:20:40,487 --> 00:20:43,724 フッ 254 00:20:43,724 --> 00:20:47,861 ご苦労であった 駕籠ごと置いていけ 255 00:20:47,861 --> 00:20:49,961 はっ こりゃどうも 256 00:20:53,734 --> 00:20:55,934 行け おう 257 00:21:00,908 --> 00:21:05,412 そなたたち 駕籠の中の者を西の間へ 258 00:21:05,412 --> 00:21:07,412 はい 259 00:21:28,535 --> 00:21:31,138 袖か 260 00:21:31,138 --> 00:21:34,141 しばらくであったのう 261 00:21:34,141 --> 00:21:38,041 亀岡じゃ 覚えているであろう 262 00:21:43,317 --> 00:21:47,754 そなたに 申し聞かせておくことがある 263 00:21:47,754 --> 00:21:50,090 そなた 264 00:21:50,090 --> 00:21:54,528 おなかに上様のお子を 身ごもっている由 265 00:21:54,528 --> 00:21:56,528 まことか? 266 00:21:58,565 --> 00:22:01,134 まあよい 267 00:22:01,134 --> 00:22:03,470 まことか否かということは 268 00:22:03,470 --> 00:22:07,270 奥医師の診断にて すぐにも分かること 269 00:22:09,509 --> 00:22:11,878 そこでだ お袖 270 00:22:11,878 --> 00:22:15,182 申し聞かせることは他でもないが 271 00:22:15,182 --> 00:22:18,018 そなたのおなかのお子 何としても 272 00:22:18,018 --> 00:22:21,722 無事 産み落として もらわいでは困る 273 00:22:21,722 --> 00:22:25,659 その約束をせいでは そなたの命 保証はせぬが 274 00:22:25,659 --> 00:22:28,762 よいか? 275 00:22:28,762 --> 00:22:31,098 フフフ 276 00:22:31,098 --> 00:22:33,433 おう そうよのう 277 00:22:33,433 --> 00:22:36,770 せめて猿ぐつわ解いてやらいでは 278 00:22:36,770 --> 00:22:38,805 口もきけぬか 279 00:22:38,805 --> 00:22:41,008 上様 にわかのお越し! 280 00:22:41,008 --> 00:22:43,543 上様のお越しにござります 281 00:22:43,543 --> 00:22:45,543 上様? 282 00:22:53,954 --> 00:22:57,724 上様 何としたことでございます 283 00:22:57,724 --> 00:23:01,061 留守居役の浜口新兵衛に ござりまする 284 00:23:01,061 --> 00:23:03,063 何ということはない 285 00:23:03,063 --> 00:23:07,000 急に野駆けに 出てみたくなったまでのこと 286 00:23:07,000 --> 00:23:09,000 爺はまだか 287 00:23:12,539 --> 00:23:15,809 あー うー 上様 288 00:23:15,809 --> 00:23:18,679 あー あんまりでございますよ 289 00:23:18,679 --> 00:23:21,815 少しは年寄りのことも 考えてやってくださいまし え? 290 00:23:21,815 --> 00:23:25,115 ハハハ はー 291 00:23:30,724 --> 00:23:34,695 玄右衛門 思いっきり 馬を走らせたら 292 00:23:34,695 --> 00:23:37,631 余は決心がついた 293 00:23:37,631 --> 00:23:39,633 何のでございますか? 294 00:23:39,633 --> 00:23:42,502 袖だ 295 00:23:42,502 --> 00:23:47,340 母上の言われたとおり 意地を張るのをやめて 296 00:23:47,340 --> 00:23:50,544 袖を城に呼ぼうと思う 297 00:23:50,544 --> 00:23:52,544 袖を捜してくれ