1 00:00:05,606 --> 00:00:12,479 (美佐江)「けど この東京で 私は ただの女にすぎず➡ 2 00:00:12,479 --> 00:00:19,486 掌で転がすはずが 知らぬ間に転がされていた」。 3 00:00:23,156 --> 00:00:30,163 (美佐江)「身籠れば 特別な何かに なれるかと期待したが無駄だった」。 4 00:00:36,303 --> 00:00:41,174 (美佐江)「私の中に辛うじて残る➡ 5 00:00:41,174 --> 00:00:47,481 『特別な私』が消えぬうちに 消えるしかない」。 6 00:00:55,656 --> 00:00:59,960 (美佐江)「あの人を拒まなければ 何か変わったの?」。 7 00:01:02,262 --> 00:01:08,602 (佐江子) 美雪は昨日 警察に補導されました。➡ 8 00:01:08,602 --> 00:01:13,273 こんなお願いを佐田さんにすることは 間違ってると分かっています。➡ 9 00:01:13,273 --> 00:01:18,979 でも美雪に このまま 娘をなぞってほしくない。 10 00:01:20,614 --> 00:01:25,319 (佐江子)どうか… どうか…。 11 00:01:37,164 --> 00:01:41,301 ♬「どこから春が巡り来るのか」 12 00:01:41,301 --> 00:01:45,639 ♬「知らず知らず大人になった」 13 00:01:45,639 --> 00:01:50,310 ♬「見上げた先には燕が飛んでいた」 14 00:01:50,310 --> 00:01:52,980 ♬「気のない顔で」 15 00:01:52,980 --> 00:01:56,850 ♬「もしもわたしに翼があれば」 16 00:01:56,850 --> 00:02:01,254 ♬「願う度に悲しみに暮れた」 17 00:02:01,254 --> 00:02:05,926 ♬「さよなら100年先でまた会いましょう」 18 00:02:05,926 --> 00:02:09,262 ♬「心配しないで」 19 00:02:09,262 --> 00:02:13,133 ♬「いつの間にか 花が落ちた」 20 00:02:13,133 --> 00:02:17,604 ♬「誰かがわたしに嘘をついた」 21 00:02:17,604 --> 00:02:21,274 ♬「土砂降りでも構わず飛んでいく」 22 00:02:21,274 --> 00:02:27,614 ♬「その力が欲しかった」 23 00:02:27,614 --> 00:02:32,486 ♬「誰かと恋に落ちて また砕けて」 24 00:02:32,486 --> 00:02:35,489 ♬「やがて離れ離れ」 25 00:02:35,489 --> 00:02:39,626 ♬「口の中はたと血が滲んで」 26 00:02:39,626 --> 00:02:42,963 ♬「空に唾を吐く」 27 00:02:42,963 --> 00:02:47,834 ♬「瞬け羽を広げ 気儘に飛べ」 28 00:02:47,834 --> 00:02:50,837 ♬「どこまでもゆけ」 29 00:02:50,837 --> 00:02:54,975 ♬「100年先も憶えてるかな」 30 00:02:54,975 --> 00:02:56,910 ♬「知らねえけれど」 31 00:02:56,910 --> 00:02:59,646 ♬「さよーならまたいつか!」 32 00:02:59,646 --> 00:03:06,953 ♬~ 33 00:03:16,596 --> 00:03:22,602 (航一)寅子さんの独り言を 盗み聞きするつもりはないよ。 34 00:03:32,612 --> 00:03:39,319 (寅子)例の子 やっぱり美佐江さんの娘だった。 35 00:03:41,955 --> 00:03:49,663 そして美佐江さんは 彼女が小さい頃に亡くなっていた。 36 00:03:51,298 --> 00:03:56,603 蓋をしてきたものと向き合うのは 苦しいわね。 37 00:04:18,925 --> 00:04:21,928 ちちんぷいぷい~! 38 00:04:23,597 --> 00:04:29,269 今 寅子さんが強い意志…。 39 00:04:29,269 --> 00:04:32,606 強い いっ… 意志~…。 40 00:04:32,606 --> 00:04:38,478 ああ~! ああ… ああ…。 41 00:04:38,478 --> 00:04:44,217 ハハハ… えっと あの 無理をしてくれて ありがとう。 42 00:04:44,217 --> 00:04:47,521 はい 無理をしました。 むちゃをしました。 43 00:04:49,956 --> 00:04:52,959 でも その気持ちが うれしいわ。 44 00:04:58,965 --> 00:05:03,803 まあまあ まあまあ。ああ…。 フフフ。 45 00:05:03,803 --> 00:05:05,772 (朋一)あの~…。 46 00:05:05,772 --> 00:05:09,910 あら…。 (朋一)もうそろそろ いいかな。 47 00:05:09,910 --> 00:05:11,845 あっ 夜遅く ごめん。 48 00:05:11,845 --> 00:05:17,584 盗み聞きするつもりでは なかったんだけど ただ…。 49 00:05:17,584 --> 00:05:19,519 ちちんぷいぷいが聞こえて 入りづらくて…。 50 00:05:19,519 --> 00:05:21,454 ああ~… ああ…。 51 00:05:21,454 --> 00:05:25,458 ああ ごめんって。 ごめんって。 52 00:05:25,458 --> 00:05:28,161 ハハハハ。 53 00:05:35,135 --> 00:05:41,841 電話じゃなくて 直接会って 2人に言いたくてさ。 54 00:05:46,279 --> 00:05:51,618 考えた結果…。 55 00:05:51,618 --> 00:05:58,291 僕 家具職人になることにしました。 56 00:05:58,291 --> 00:06:00,227 (2人)えっ? 57 00:06:00,227 --> 00:06:03,129 (朋一)だから明日から 修業のために 岐阜に行ってくる。 58 00:06:03,129 --> 00:06:06,566 えっ? フフ。 59 00:06:06,566 --> 00:06:11,438 それは ハハ… 随分と急な話ね。 60 00:06:11,438 --> 00:06:18,912 朋成を育てるために稼ぎはいるけど 法律とは距離を置きたい…。➡ 61 00:06:18,912 --> 00:06:21,581 で ふと思い浮かんで。➡ 62 00:06:21,581 --> 00:06:24,918 ほら 僕 手先が器用だろ。➡ 63 00:06:24,918 --> 00:06:29,256 それで 知り合いのツテを頼って。 64 00:06:29,256 --> 00:06:31,558 そうなの。 65 00:06:34,127 --> 00:06:40,600 思いついた時 法律を学んだ時と同じくらい➡ 66 00:06:40,600 --> 00:06:42,902 胸が熱くなったか? 67 00:06:51,244 --> 00:06:53,546 なった。 68 00:06:58,952 --> 00:07:03,256 じゃあ 楽しんでおいで。 69 00:07:06,760 --> 00:07:09,062 遅いけど 飲もう。 70 00:07:11,231 --> 00:07:14,234 いいね。 フフッ。 71 00:07:18,104 --> 00:07:20,240 ありがとう。 72 00:07:20,240 --> 00:07:23,143 よし どうぞ。 73 00:07:23,143 --> 00:07:25,845 (グラスに酒を注ぐ音) はい。 74 00:07:29,249 --> 00:07:32,152 乾杯。 (朋一 寅子)乾杯。 75 00:07:32,152 --> 00:07:34,154 (グラスを合わせる音) 76 00:07:39,592 --> 00:07:41,928 はあ~。 77 00:07:41,928 --> 00:07:44,931 (笑い声) 78 00:07:48,268 --> 00:07:51,938 最高裁大法廷で行われる➡ 79 00:07:51,938 --> 00:07:55,241 美位子の裁判が近づいています。 80 00:08:00,213 --> 00:08:04,084 (轟)こんな しがない事務所の弁護士が➡ 81 00:08:04,084 --> 00:08:09,889 お偉い先生方15人の前で 弁論するなんてなあ。➡ 82 00:08:09,889 --> 00:08:14,227 そりゃあ おじけづくよな。 83 00:08:14,227 --> 00:08:18,098 (よね)別に そんなんじゃない。 84 00:08:18,098 --> 00:08:26,806 私は ただ 今 この憲法に見合った 世の中になっているのかどうか➡ 85 00:08:26,806 --> 00:08:29,109 考えていただけだ。 86 00:08:33,913 --> 00:08:36,583 うあ~! う~ 山田~! 87 00:08:36,583 --> 00:08:40,253 心を痛めてる暇も 緊張してる暇もないぞ!➡ 88 00:08:40,253 --> 00:08:43,923 そんな暇があるなら弁論の練習だ~! 89 00:08:43,923 --> 00:08:47,227 聞いてやる! おう! 90 00:08:56,269 --> 00:08:58,271 いけ~! 91 00:09:09,549 --> 00:09:11,551 ご起立ください。 92 00:09:57,263 --> 00:09:59,566 (桂場)開廷します。 93 00:10:09,275 --> 00:10:15,148 論点は 誰の目から見ても 分かりきっていますので➡ 94 00:10:15,148 --> 00:10:18,284 回りくどい前置きはしません。 95 00:10:18,284 --> 00:10:20,954 刑法 第200条。 96 00:10:20,954 --> 00:10:27,827 尊属殺の重罰規定は 明らかな憲法違反です。 97 00:10:27,827 --> 00:10:37,504 昭和25年に言い渡された 刑法 第200条の最高裁合憲判決。 98 00:10:37,504 --> 00:10:44,511 その基本的な理由となるのは 人類普遍の道徳原理。 99 00:10:47,981 --> 00:10:49,983 はて? 100 00:10:54,654 --> 00:11:01,461 本件において 道徳の原理を踏みにじったのは誰か? 101 00:11:01,461 --> 00:11:06,599 尊属である父を殺した被告人ですか? 102 00:11:06,599 --> 00:11:12,939 それとも 家族に日常的に暴力を振るい➡ 103 00:11:12,939 --> 00:11:19,812 妻に逃げられ 娘を強姦し続け 子を産ませ➡ 104 00:11:19,812 --> 00:11:25,818 結婚を阻止するために娘を監禁した 被害者である父親ですか? 105 00:11:28,488 --> 00:11:32,292 暴力行為だけでも許し難いのに➡ 106 00:11:32,292 --> 00:11:41,301 背徳行為を重ね 畜生道に落ちた父親でも 彼を尊属として保護し➡ 107 00:11:41,301 --> 00:11:44,203 子供である被告人は➡ 108 00:11:44,203 --> 00:11:48,508 服従と従順な女体であることを 要求されるのでしょうか? 109 00:11:51,945 --> 00:11:57,317 それが人類普遍の道徳原理ならば➡ 110 00:11:57,317 --> 00:12:03,923 この社会と我々も 畜生道に墜ちたと言わざるをえない。 111 00:12:03,923 --> 00:12:08,928 いや 畜生以下… クソだ! 112 00:12:13,933 --> 00:12:20,273 弁護人は 言動に気を付けるように。 113 00:12:20,273 --> 00:12:24,277 不適切な発言でした。 おわびいたします。 114 00:12:26,613 --> 00:12:28,915 (小声で)いけ 山田。 115 00:12:32,485 --> 00:12:41,160 憲法 第14条は 「すべての国民が 法の下に平等である」とし➡ 116 00:12:41,160 --> 00:12:48,468 第13条には 「すべての国民は 個人として尊重される」とある。 117 00:12:52,305 --> 00:12:57,644 (よね) 本件は 愛する人と出会った被告人が➡ 118 00:12:57,644 --> 00:13:02,248 全ての権利を取り戻そうとした際➡ 119 00:13:02,248 --> 00:13:06,953 父親から 監禁と暴力による 妨害を受けた結果であります。 120 00:13:09,589 --> 00:13:15,895 当然 正当防衛 もしくは過剰防衛に該当する。 121 00:13:19,599 --> 00:13:29,609 もし 今もなお 尊属殺の重罰規定が➡ 122 00:13:29,609 --> 00:13:36,949 憲法 第14条に 違反しないものとするならば…。 123 00:13:36,949 --> 00:13:43,823 無力な憲法を 無力な司法を➡ 124 00:13:43,823 --> 00:13:50,496 無力なこの社会を 嘆かざるをえない!➡ 125 00:13:50,496 --> 00:13:54,967 著しく正義に反した原判決は➡ 126 00:13:54,967 --> 00:13:57,270 破棄されるべきです。 127 00:14:00,773 --> 00:14:03,076 (よね)以上です。 128 00:14:08,247 --> 00:14:22,795 ♬~ 129 00:14:22,795 --> 00:14:31,270 そのころ 美佐江の娘 美雪が 再び家裁に送致されてきました。 130 00:14:31,270 --> 00:14:55,261 ♬~