1 00:00:10,611 --> 00:00:13,514 (直言)俺は とんでもないことをしてしまった。➡ 2 00:00:13,514 --> 00:00:16,950 お前たちに合わせる顔がない。➡ 3 00:00:16,950 --> 00:00:19,853 すまない! 4 00:00:19,853 --> 00:00:23,824 (穂高)どうも 直言君の態度は すっきりしない。➡ 5 00:00:23,824 --> 00:00:29,963 だが 罪を自白している。➡ 6 00:00:29,963 --> 00:00:34,835 直言君の口から 何があったのか➡ 7 00:00:34,835 --> 00:00:41,541 いわれなき罪を背負っているならば そのことを聞き出してほしい。 8 00:00:53,654 --> 00:01:00,460 (はる)「10月15日 直言さんは寝たきり。➡ 9 00:01:00,460 --> 00:01:03,463 食欲も変わらずなし」。 10 00:01:05,599 --> 00:01:09,469 ♬「どこから春が巡り来るのか」 11 00:01:09,469 --> 00:01:13,941 ♬「知らず知らず大人になった」 12 00:01:13,941 --> 00:01:18,278 ♬「さよなら100年先でまた会いましょう」 13 00:01:18,278 --> 00:01:21,949 ♬「心配しないで」 14 00:01:21,949 --> 00:01:25,819 ♬「いつの間にか 花が落ちた」 15 00:01:25,819 --> 00:01:29,823 ♬「誰かがわたしに嘘をついた」 16 00:01:29,823 --> 00:01:33,560 ♬「土砂降りでも構わず飛んでいく」 17 00:01:33,560 --> 00:01:39,499 ♬「その力が欲しかった」 18 00:01:39,499 --> 00:01:44,972 ♬「誰かと恋に落ちて また砕けて」 19 00:01:44,972 --> 00:01:47,874 ♬「やがて離れ離れ」 20 00:01:47,874 --> 00:01:51,845 ♬「口の中はたと血が滲んで」 21 00:01:51,845 --> 00:01:55,615 ♬「空に唾を吐く」 22 00:01:55,615 --> 00:02:00,454 ♬「瞬け羽を広げ 気儘に飛べ」 23 00:02:00,454 --> 00:02:03,457 ♬「どこまでもゆけ」 24 00:02:03,457 --> 00:02:07,227 ♬「100年先も憶えてるかな」 25 00:02:07,227 --> 00:02:09,596 ♬「知らねえけれど」 26 00:02:09,596 --> 00:02:12,265 ♬「さよーならまたいつか!」 27 00:02:12,265 --> 00:02:18,572 ♬~ 28 00:02:29,616 --> 00:02:31,952 猪爪君。 (寅子)はい。 29 00:02:31,952 --> 00:02:35,822 ついでに ひとつ頼まれてくれないか。 30 00:02:35,822 --> 00:02:40,293 その資料を 早急に書き写す必要があるんだが…。 31 00:02:40,293 --> 00:02:44,631 私には助手もおらず 本業の授業もある。 32 00:02:44,631 --> 00:02:50,504 人を雇おうと思ったが 信頼の置ける者も見つからずで。 33 00:02:50,504 --> 00:02:53,507 是非 私にやらせてください! 34 00:03:02,916 --> 00:03:06,586 事件の流れを きちんと理解していくために➡ 35 00:03:06,586 --> 00:03:09,489 寅子は 授業以外の時間を全て➡ 36 00:03:09,489 --> 00:03:13,260 膨大な調書の筆写に充てていきました。 37 00:03:13,260 --> 00:03:24,604 ♬~ 38 00:03:24,604 --> 00:03:28,275 (涼子)何か手伝えることはないか?➡ 39 00:03:28,275 --> 00:03:31,611 そう お声をかけたら よろしいんじゃなくて? 40 00:03:31,611 --> 00:03:46,159 ♬~ 41 00:03:46,159 --> 00:03:49,629 (花岡)猪爪のお父上は 共亜株取り引きにおいて➡ 42 00:03:49,629 --> 00:03:52,966 帝都銀行 高井理事や ほかの被告人と共謀の上➡ 43 00:03:52,966 --> 00:03:57,637 株券や金品の運搬役を担い 贈賄罪に問われている。➡ 44 00:03:57,637 --> 00:04:00,907 お父上と高井理事の証言から➡ 45 00:04:00,907 --> 00:04:05,612 芋づる式に 政界 財界の大物の罪が 暴かれていった。 46 00:04:07,247 --> 00:04:12,919 (轟)お父上は 最初 罪状を否認していたが 途中から全てを認めているようだな。 47 00:04:12,919 --> 00:04:19,259 残念ですけれども 調書の中には 自白を覆す糸口はありませんでしたね。 48 00:04:19,259 --> 00:04:23,597 あとは できることといったら 調書の事実確認か…。 49 00:04:23,597 --> 00:04:28,935 お金の受け渡しがされた場所に出向いて 直接確認してみるしかない。 50 00:04:28,935 --> 00:04:32,272 ありがとう。 とにかく 私 やってみる。 51 00:04:32,272 --> 00:04:36,143 (梅子)何言ってんの。 ここまで来たら手伝うわよ。 ねっ。 52 00:04:36,143 --> 00:04:38,145 でも…。 53 00:04:38,145 --> 00:04:41,148 (香淑)もっと頼ってよ トラちゃん。 54 00:04:46,620 --> 00:04:51,958 寅子は 仲間の手を借りて 調書内容の検証を続けました。 55 00:04:51,958 --> 00:04:54,628 (梅子)いかがでした? (よね)駄目だ。 去年の予約簿なんてものは➡ 56 00:04:54,628 --> 00:04:56,963 残ってないそうだ。 (梅子)行ったのかも 行ってないのかも➡ 57 00:04:56,963 --> 00:04:58,899 証明できないってことね。 58 00:04:58,899 --> 00:05:02,235 じゃあ 次は ここに行ってみましょう。 59 00:05:02,235 --> 00:05:05,138 あっ 香淑さん。 60 00:05:05,138 --> 00:05:11,244 私にしかできないことって 穂高先生は おっしゃったけど➡ 61 00:05:11,244 --> 00:05:15,248 お母さんにも話さないこと 聞き出す方法って…。 62 00:05:25,792 --> 00:05:29,262 (優三)あんまり 役に立たないかもしれないけど…。 63 00:05:29,262 --> 00:05:32,933 これ 試験のために 刑法をまとめておいたやつ。 64 00:05:32,933 --> 00:05:37,237 あっ… ありがとう 優三さん。 65 00:05:39,272 --> 00:05:45,612 (はる)「10月26日 直言さん変わらず。➡ 66 00:05:45,612 --> 00:05:55,288 もし 直言さんの自白が本当で 本当に罪に問われたとして…。➡ 67 00:05:55,288 --> 00:05:58,959 私にできることは何だろうか」。 68 00:05:58,959 --> 00:06:14,441 ♬~ 69 00:06:14,441 --> 00:06:20,580 (はる)昨日 丸亀の母から手紙が来たの。➡ 70 00:06:20,580 --> 00:06:28,455 身内から犯罪者が出ると困るから 縁を切るって。 71 00:06:28,455 --> 00:06:33,927 (直道)そんな手紙 送ってくるかね 普通。 72 00:06:33,927 --> 00:06:37,797 実家と縁が切れるのは いいの。 73 00:06:37,797 --> 00:06:42,936 けれどね これが世間の反応なんだと思った。 74 00:06:42,936 --> 00:06:47,941 だから あなたたち 猪爪から籍を抜きなさい。 75 00:06:50,810 --> 00:06:55,515 (はる)猪爪家が これから どうなるのか 正直なところ分かりません。➡ 76 00:06:55,515 --> 00:07:01,888 でも これ以上 2人や孫に迷惑かけられない。 77 00:07:01,888 --> 00:07:08,762 別にいいけど? それで お母さんの気が楽になるならさ。 78 00:07:08,762 --> 00:07:13,233 手続きのしかたは 調べてあります。 79 00:07:13,233 --> 00:07:19,572 (花江)お義母様 それ 今じゃないです。 80 00:07:19,572 --> 00:07:22,909 籍は いつでも抜けます。 81 00:07:22,909 --> 00:07:28,615 でも 今 やるべきは お義父様から真実を聞き出すことです。 82 00:07:32,919 --> 00:07:36,222 (花江)頑張りましょうよ お義母様。 83 00:07:41,261 --> 00:07:43,964 花江の言うとおり。 84 00:07:47,133 --> 00:07:50,136 ねっ お母さん。 85 00:07:53,606 --> 00:07:59,946 とはいえ 友達の手も借りて 頑張ってはみたものの➡ 86 00:07:59,946 --> 00:08:02,248 行き詰まってるの。 87 00:08:06,553 --> 00:08:10,857 お母さんの手帳も 検事に全部持っていかれちゃった? 88 00:08:12,425 --> 00:08:17,130 ここ数年のものは 全部 台所にありますよ。 89 00:08:21,101 --> 00:08:26,106 失礼します! 優三さん 見つけました 私にしかできないこと! 90 00:08:38,251 --> 00:08:41,588 ⚟(足音) 91 00:08:41,588 --> 00:08:43,923 失礼します。 92 00:08:43,923 --> 00:08:46,626 (直言)何だ 急に。 93 00:08:49,796 --> 00:08:56,503 今から家族会議 いえ 家族裁判を始めます。 94 00:08:56,503 --> 00:08:59,939 (直言)はあ? 単刀直入にお聞きします。 95 00:08:59,939 --> 00:09:05,211 お父さん 本当は無罪… 何もやっていないんでしょ? 96 00:09:05,211 --> 00:09:07,547 だから 俺がやったと言ってるだろう。 97 00:09:07,547 --> 00:09:11,217 じゃあ それを証明してください。 はあ? 98 00:09:11,217 --> 00:09:13,887 昭和9年5月4日。 99 00:09:13,887 --> 00:09:19,225 調書には お父さんは接待を受け 株券の贈賄の件を承諾したとあるけど➡ 100 00:09:19,225 --> 00:09:22,896 お父さんは その日 家で夕食を食べ➡ 101 00:09:22,896 --> 00:09:26,199 味醂干しで ごはんを3杯 お代わりしている。 102 00:09:29,235 --> 00:09:33,106 あっ しょ… あっ… しょ… 昭和9年10月7日。 103 00:09:33,106 --> 00:09:38,244 お父さんは 高井理事の指示で 共亜紡績の株券を換金し➡ 104 00:09:38,244 --> 00:09:42,582 浅松石油 長本社長に受け渡したと 認めてらっしゃいますが➡ 105 00:09:42,582 --> 00:09:44,918 その日は お父さんは腹を下し➡ 106 00:09:44,918 --> 00:09:47,921 会社をお休みに なられています。 107 00:09:50,256 --> 00:09:53,927 それは お前たちの記憶違いで。 108 00:09:53,927 --> 00:09:56,262 昭和10年2月20日。 109 00:09:56,262 --> 00:09:59,933 株取引のお礼で 株券と お母さんにと着物を贈られて➡ 110 00:09:59,933 --> 00:10:04,270 その着物は 検事が家宅捜索で 納戸から押収したとありますが。 111 00:10:04,270 --> 00:10:06,940 それは 私が へそくりで買ったもので➡ 112 00:10:06,940 --> 00:10:11,811 買い物の日付も へそくりのやりくりも 全部 記録してあります。 113 00:10:11,811 --> 00:10:17,283 それ以外にも 調書の証言と お母さんの手帳の記録との齟齬が➡ 114 00:10:17,283 --> 00:10:21,154 合計14点も見られます。 115 00:10:21,154 --> 00:10:25,158 それは 母さんが きっと間違えただけで…。 116 00:10:25,158 --> 00:10:30,630 それは お義父さんが一番ありえないと 分かってるじゃないですか。 117 00:10:30,630 --> 00:10:37,504 私たちは お母さんが結婚してから30年 毎日 毎日 つづってきた➡ 118 00:10:37,504 --> 00:10:41,641 この記録を信じます。 119 00:10:41,641 --> 00:10:43,643 (直道)俺には分かる。 120 00:10:45,512 --> 00:10:48,314 父さんは 悪者顔なだけで➡ 121 00:10:48,314 --> 00:10:51,017 悪いことができるたちじゃないだろ。 122 00:10:53,987 --> 00:10:58,691 やったというならば その証拠を見せて。 123 00:11:06,566 --> 00:11:09,269 そんなもん あるわけないだろ! 124 00:11:11,471 --> 00:11:14,173 何もやってないんだから。 125 00:11:16,242 --> 00:11:18,244 お父さん? 126 00:11:21,147 --> 00:11:26,886 高井理事に 頼まれたんだ。 127 00:11:26,886 --> 00:11:30,823 (高井)私は 自白した。 128 00:11:30,823 --> 00:11:33,960 (直言)えっ? 諦めよう。 129 00:11:33,960 --> 00:11:37,630 検察は 絶対 引き下がらない。➡ 130 00:11:37,630 --> 00:11:44,637 若島大臣やお偉方も 何か月も勾留されて参ってるんだ。 131 00:11:46,639 --> 00:11:51,311 (高井)自白すれば 皆が解放される。 132 00:11:51,311 --> 00:11:59,986 あとは 我々下々が責任をとって 罪を軽くすることを考えよう。 133 00:11:59,986 --> 00:12:05,258 早く家に帰りたいだろう? 134 00:12:05,258 --> 00:12:09,596 でも…。(高井)ここで ごねても 家族のためにもならん。 135 00:12:09,596 --> 00:12:13,933 家族を 更につらい目に 遭わすことになるぞ。 136 00:12:13,933 --> 00:12:16,603 いいのか!? 137 00:12:16,603 --> 00:12:22,275 いいのかって… えっ… そりゃないですよ 高井さん! 138 00:12:22,275 --> 00:12:25,278 ねえ! 目を覚ましてください! (高井)猪爪君! 139 00:12:30,950 --> 00:12:34,287 (直言)自白は全て うそだ。 140 00:12:34,287 --> 00:12:38,992 だが 罪は全て受け入れる。 裁判でも やったと証言する。 141 00:12:40,627 --> 00:12:42,929 (直言)すまない。 142 00:12:45,498 --> 00:12:47,800 (直言)すまない。 143 00:12:49,636 --> 00:12:53,306 (すすり泣き) お父さん…。 144 00:12:53,306 --> 00:12:57,010 (すすり泣き) 145 00:13:02,115 --> 00:13:06,853 そうか… やはり 一筋縄ではいかないか。 146 00:13:06,853 --> 00:13:08,788 はい。 147 00:13:08,788 --> 00:13:15,561 だが それが真実ならば 我々の進む道は決まった。 148 00:13:15,561 --> 00:13:20,266 正々堂々と 無罪を主張するとしよう。 149 00:13:20,266 --> 00:13:24,604 でも 先生 刑事裁判において 予審で認めた起訴事実を覆すのは➡ 150 00:13:24,604 --> 00:13:27,507 とても難しいんですよね? 151 00:13:27,507 --> 00:13:29,942 (腰が鳴る音) あっ。 152 00:13:29,942 --> 00:13:33,613 いや~ お待たせ お待たせ。 153 00:13:33,613 --> 00:13:37,617 (錦田)待ちくたびれましたぞ。 (穂高)すまん すまん。 154 00:13:39,285 --> 00:13:42,955 (穂高)あっ 寅子君。 あっ。 155 00:13:42,955 --> 00:13:47,627 あちらは 錦田法律事務所の錦田君だ。 156 00:13:47,627 --> 00:13:49,562 初めまして。 157 00:13:49,562 --> 00:13:54,300 (穂高)前商工大臣 若島男爵の弁護人をされている。 158 00:13:54,300 --> 00:13:56,235 若島って えっ…。 159 00:13:56,235 --> 00:14:02,108 こちらは 前鉄道大臣 水戸氏の弁護人 七沼君。 160 00:14:02,108 --> 00:14:09,582 大蔵省 銀行局局長 長久保氏の弁護人 三島君。 161 00:14:09,582 --> 00:14:14,454 (雲野)あっ 大蔵事務官 酒田氏の弁護を担当する雲野だ。 162 00:14:14,454 --> 00:14:17,924 (穂高) 市川君は 前貴族院議員 黒川氏の…。 163 00:14:17,924 --> 00:14:20,259 (錦田)紹介は そのぐらいで。 164 00:14:20,259 --> 00:14:26,933 つまり ここにいる全員 共亜事件で 被告人の弁護を引き受けている。 165 00:14:26,933 --> 00:14:29,635 そういうことでしょう? 166 00:14:31,804 --> 00:14:33,806 ご明察! 167 00:14:33,806 --> 00:14:39,946 穂高先生 何をたくらんでらっしゃるんですか? 168 00:14:39,946 --> 00:14:46,285 私は依頼人の 無罪を主張しようと思ってる。 169 00:14:46,285 --> 00:14:51,591 (ざわめき)