1 00:00:09,610 --> 00:00:12,946 (寅子)「日常生活と民法」 読み返しましたが➡ 2 00:00:12,946 --> 00:00:15,616 法律を身近に感じることができる 名著ですね。 3 00:00:15,616 --> 00:00:17,551 法改正された箇所を改稿すれば➡ 4 00:00:17,551 --> 00:00:21,555 更に長きにわたり愛されることは 間違いないと思います。 5 00:00:25,292 --> 00:00:27,628 (航一)なるほど。 6 00:00:27,628 --> 00:00:31,331 だから何? なるほどって。 7 00:00:37,971 --> 00:00:41,842 ♬「どこから春が巡り来るのか」 8 00:00:41,842 --> 00:00:46,313 ♬「知らず知らず大人になった」 9 00:00:46,313 --> 00:00:50,651 ♬「さよなら100年先でまた会いましょう」 10 00:00:50,651 --> 00:00:54,321 ♬「心配しないで」 11 00:00:54,321 --> 00:00:58,191 ♬「いつの間にか 花が落ちた」 12 00:00:58,191 --> 00:01:02,129 ♬「誰かがわたしに嘘をついた」 13 00:01:02,129 --> 00:01:05,933 ♬「土砂降りでも構わず飛んでいく」 14 00:01:05,933 --> 00:01:11,805 ♬「その力が欲しかった」 15 00:01:11,805 --> 00:01:17,277 ♬「誰かと恋に落ちて また砕けて」 16 00:01:17,277 --> 00:01:20,180 ♬「やがて離れ離れ」 17 00:01:20,180 --> 00:01:24,151 ♬「口の中はたと血が滲んで」 18 00:01:24,151 --> 00:01:27,921 ♬「空に唾を吐く」 19 00:01:27,921 --> 00:01:32,826 ♬「瞬け羽を広げ 気儘に飛べ」 20 00:01:32,826 --> 00:01:35,963 ♬「どこまでもゆけ」 21 00:01:35,963 --> 00:01:39,633 ♬「100年先も憶えてるかな」 22 00:01:39,633 --> 00:01:41,969 ♬「知らねえけれど」 23 00:01:41,969 --> 00:01:44,638 ♬「さよーならまたいつか!」 24 00:01:44,638 --> 00:01:50,944 ♬~ 25 00:01:53,981 --> 00:02:01,288 こちら 休日返上で 星長官の手伝いに向かう寅子。 26 00:02:04,591 --> 00:02:10,263 長官の著書 「日常生活と民法」の改稿作業で➡ 27 00:02:10,263 --> 00:02:15,969 戦後 法改正された部分の調整を 行っています。 28 00:02:23,276 --> 00:02:32,285 ちなみに今日で3回目の作業となりますが 長官は一度も顔を見せていません。 29 00:02:32,285 --> 00:02:37,290 共にいるのは 長官の息子 航一。 30 00:02:39,960 --> 00:02:42,863 なるほど。 31 00:02:42,863 --> 00:02:45,298 どうでしょうか? 32 00:02:45,298 --> 00:02:49,636 「むしろ 民法は現実の家庭生活を目標にして➡ 33 00:02:49,636 --> 00:02:52,973 その中で人々が互いに尊重し合いながら➡ 34 00:02:52,973 --> 00:03:00,580 協力していくような民主的な家庭を 作り出そうとしているのであります」。 35 00:03:00,580 --> 00:03:03,583 何か 問題が? 36 00:03:05,452 --> 00:03:08,455 いいですね ここ。 37 00:03:08,455 --> 00:03:11,758 あ… ありがとうございます。 38 00:03:14,928 --> 00:03:16,863 (朋彦)どうかね 順調かね? 39 00:03:16,863 --> 00:03:19,800 長官! (航一)あれ 百合さんたちは? 40 00:03:19,800 --> 00:03:22,602 表で待ってもらってるよ。 41 00:03:22,602 --> 00:03:26,473 佐田君 なかなか来れずに すまなかったね。 42 00:03:26,473 --> 00:03:29,276 これ 差し入れ。 ありがとうございます。 43 00:03:29,276 --> 00:03:32,612 悪いね 休みの日に わざわざ。 44 00:03:32,612 --> 00:03:36,283 とんでもない。 大変名誉で光栄だと思っております。 45 00:03:36,283 --> 00:03:39,619 佐田さん 作業しながら いつも父さんを褒めちぎってくれてるよ。 46 00:03:39,619 --> 00:03:42,956 えっ そうなの? はい。 47 00:03:42,956 --> 00:03:47,294 私なんて 偉そうに言うだけの 口だけジジイだよ。 48 00:03:47,294 --> 00:03:49,963 そんな ご謙遜を。 49 00:03:49,963 --> 00:03:55,635 私が長官になる前 裁判官の職を離れていたのはね➡ 50 00:03:55,635 --> 00:03:59,506 弁護士の方が 断然 稼げたからなんだ。 51 00:03:59,506 --> 00:04:02,242 それは母さんが病気になったからで。 52 00:04:02,242 --> 00:04:06,113 あいつが死んでからも 裁判官に戻らなかった。 53 00:04:06,113 --> 00:04:11,251 結局 信念より金を取ったわけで…。 54 00:04:11,251 --> 00:04:13,587 百合さんたちを待たせているんでしょ? 55 00:04:13,587 --> 00:04:16,256 あ~ そうだった。 56 00:04:16,256 --> 00:04:18,592 百合は 今の女房でね。 57 00:04:18,592 --> 00:04:23,263 航一の子供たちの世話も よくしてくれて。 58 00:04:23,263 --> 00:04:27,134 そうだ 佐田君の知り合いで➡ 59 00:04:27,134 --> 00:04:31,138 息子に合いそうなご婦人は いらっしゃらないかね? 60 00:04:31,138 --> 00:04:33,273 (ため息) はて? 61 00:04:33,273 --> 00:04:37,144 航一の妻も 戦時中に病気で亡くなってね。➡ 62 00:04:37,144 --> 00:04:40,614 そんなところまで 親に似なくてもいいのに…。➡ 63 00:04:40,614 --> 00:04:44,951 このままじゃ 私も…。 ほら もう行きなよ。 64 00:04:44,951 --> 00:04:48,822 これ 佐田さんと僕が書いた原稿。 はい。 65 00:04:48,822 --> 00:04:51,825 帰って読んでおいて。 はいはい。 66 00:04:51,825 --> 00:04:56,830 佐田さん 楽しみに読ませていただくよ。 ありがとうございます。 67 00:04:58,498 --> 00:05:00,800 じゃあ。 68 00:05:11,912 --> 00:05:16,583 父の言うこと 真に受けないでください。 69 00:05:16,583 --> 00:05:19,586 ええ 分かっています。 70 00:05:22,255 --> 00:05:27,928 寅子と航一が お互いの原稿を読み合い調整したものを➡ 71 00:05:27,928 --> 00:05:30,931 長官が更に書き直す。 72 00:05:40,941 --> 00:05:45,645 仕事抜きで法律と向き合える この時間が…。 73 00:05:47,814 --> 00:05:53,520 寅子は 楽しくて楽しくて たまりませんでした。 74 00:05:53,520 --> 00:06:14,207 ♬~ 75 00:06:22,916 --> 00:06:25,585 (戸が開く音) (汐見) お帰り 佐田さん。(稲垣)おう お帰り。 76 00:06:25,585 --> 00:06:27,587 ただいま戻りました。 77 00:06:29,456 --> 00:06:33,927 (稲垣)ん? 今日 交流昼食会じゃなかったか? 78 00:06:33,927 --> 00:06:38,798 はい 私が主催した「家事部と少年部の 親睦を深めよう」昼食会の日です。 79 00:06:38,798 --> 00:06:41,601 (汐見)じゃあ 何で ここに? 80 00:06:41,601 --> 00:06:45,272 誰一人 いらっしゃいませんでした。 (汐見 稲垣)えっ? 81 00:06:45,272 --> 00:06:51,144 誰も現れず 頭の中の小橋さんが騒ぎだして。 82 00:06:51,144 --> 00:06:55,615 (小橋)少年部と家事部は 抱える案件の性質が違う。 83 00:06:55,615 --> 00:07:00,220 協力し合う必要はない。 目立つ女は嫌いだ 面白くない。 84 00:07:00,220 --> 00:07:05,558 面白くない。 いいかげん現実見ろ。 理想を捨てろ~。 85 00:07:05,558 --> 00:07:07,494 やめて~! 86 00:07:07,494 --> 00:07:09,429 現実って何ですか? 87 00:07:09,429 --> 00:07:12,232 理想は掲げ続けなきゃ ただのゴミくずですよ! 88 00:07:12,232 --> 00:07:16,569 (多岐川)君 今日は一段と荒ぶってるなあ。 89 00:07:16,569 --> 00:07:19,873 戻りました。 (汐見)ああ お帰り。(稲垣)おお。 90 00:07:24,244 --> 00:07:26,546 何だよ。 91 00:07:28,581 --> 00:07:31,484 (梅子)はい どうぞ。 ありがとうございました。 92 00:07:31,484 --> 00:07:33,787 ありがとうございました。 93 00:07:36,256 --> 00:07:40,126 すいません せっかく来ていただいたのに。➡ 94 00:07:40,126 --> 00:07:42,595 序文は自分で書きたいと。➡ 95 00:07:42,595 --> 00:07:45,899 もう少しで出来上がるそうなので お待ちを。 96 00:07:47,467 --> 00:07:49,469 もちろん。 97 00:07:49,469 --> 00:07:53,940 それに ちょうどいいです。 今日でお手伝いも終わりでしょ? 98 00:07:53,940 --> 00:07:56,643 何だか とても さみしくて。 99 00:08:00,547 --> 00:08:02,849 あら 航一さんも? 100 00:08:05,218 --> 00:08:08,922 最後の確認をしておきましょう。 ええ ですね。 101 00:08:15,228 --> 00:08:18,898 んっ? 102 00:08:18,898 --> 00:08:21,568 えっ これは…。 103 00:08:21,568 --> 00:08:23,903 (航一)表紙の装丁ですね。 104 00:08:23,903 --> 00:08:28,241 ではなくて なぜ ここに私の名前が? 105 00:08:28,241 --> 00:08:30,577 佐田さんも この本を書かれているでしょ? 106 00:08:30,577 --> 00:08:34,447 いえ 私は ただ お手伝いを頼まれただけで。 107 00:08:34,447 --> 00:08:37,751 (航一)お手伝いの度は とうに超えていますよ。 108 00:08:45,125 --> 00:08:47,827 (航一)佐田さん? 109 00:08:51,598 --> 00:08:54,601 あっ… ごめんなさい。 110 00:08:57,270 --> 00:09:00,173 夫が言ってたんです。 111 00:09:00,173 --> 00:09:03,543 (優三)法律の本を出したかった。 112 00:09:03,543 --> 00:09:11,217 僕が法律を学ぶ楽しさを知ったように 誰かにも伝えられたらなって。 113 00:09:11,217 --> 00:09:16,523 いつか 法律の本を出すのが夢だって。 114 00:09:21,861 --> 00:09:23,863 うん…。 115 00:09:25,765 --> 00:09:29,769 代わりに夢をかなえたってことに しちゃおうかしら。 116 00:09:34,441 --> 00:09:37,243 なるほど。 117 00:09:37,243 --> 00:09:40,580 フッ… 出た なるほど。 118 00:09:40,580 --> 00:09:44,250 あっ… すみません。 119 00:09:44,250 --> 00:09:49,923 そんなふうに喜んでもらえるならば 父さんも出涸らし冥利に尽きます。 120 00:09:49,923 --> 00:09:52,225 出涸らし…。 121 00:09:57,263 --> 00:10:02,969 穂高先生に 最高裁判事をお願いした日でした。 122 00:10:04,604 --> 00:10:10,477 (穂高)いや~ 私なんぞに 声をかけてくださるとは…。 123 00:10:10,477 --> 00:10:12,946 分かりますよ。 124 00:10:12,946 --> 00:10:16,616 もう自分は人生を頑張り尽くした。 125 00:10:16,616 --> 00:10:20,954 時代も変わった。 役目を終えた。 126 00:10:20,954 --> 00:10:22,889 いわば 出涸らしだ。 127 00:10:22,889 --> 00:10:27,627 ハハハハハハハハ 出涸らし。 そりゃいい。 128 00:10:27,627 --> 00:10:29,562 (笑い声) 129 00:10:29,562 --> 00:10:32,499 (朋彦)でもね 先生。 130 00:10:32,499 --> 00:10:35,969 出涸らしにだからこそできる役目や➡ 131 00:10:35,969 --> 00:10:39,973 若いやつらに残せることが あるんじゃないかい? 132 00:10:46,613 --> 00:10:50,984 (航一)ただの口説き文句かもしれない。 133 00:10:50,984 --> 00:10:55,655 でも 今は この本も➡ 134 00:10:55,655 --> 00:10:59,659 父なりの出涸らしの役目なのかと。 135 00:11:01,928 --> 00:11:08,268 出涸らしにしては 味も香りも上等すぎますね。 136 00:11:08,268 --> 00:11:10,270 フッ…。 137 00:11:12,605 --> 00:11:19,479 でも その時の自分にしかできない 役目みたいなものは➡ 138 00:11:19,479 --> 00:11:22,182 確かにあるのかもしれないわ。 139 00:11:26,152 --> 00:11:29,856 (戸が開く音) いらっしゃい。 140 00:11:37,830 --> 00:11:41,301 待たせて すまないね。 141 00:11:41,301 --> 00:11:45,171 出来たてほやほやの序文 聞いてくれるかい? 142 00:11:45,171 --> 00:11:47,974 ええ もちろんです。 143 00:11:47,974 --> 00:11:50,877 では…。 (せきばらい) 144 00:11:50,877 --> 00:11:58,318 「今次の戦争で日本は敗れ 国の立て直しを迫られ➡ 145 00:11:58,318 --> 00:12:01,588 民法も改定されました。➡ 146 00:12:01,588 --> 00:12:07,927 私たちの現実の生活より 進んだところのものを取り入れて➡ 147 00:12:07,927 --> 00:12:10,263 規定していますから➡ 148 00:12:10,263 --> 00:12:13,600 これが 国民になじむまで➡ 149 00:12:13,600 --> 00:12:19,939 相当の工夫や 努力と日時を 要するでしょう。➡ 150 00:12:19,939 --> 00:12:22,609 人が作ったものです。➡ 151 00:12:22,609 --> 00:12:27,480 古くなるでしょう 間違いもあるでしょう。➡ 152 00:12:27,480 --> 00:12:33,253 私は この民法が早く国民になじみ➡ 153 00:12:33,253 --> 00:12:39,626 新しく正しいものに変わっていくことを 望みます。➡ 154 00:12:39,626 --> 00:12:46,499 民法は 世間 万人 知らねばならぬ 法律であります。➡ 155 00:12:46,499 --> 00:12:54,974 決して法律家にのみ託しておいて 差し支えない法律ではありません。➡ 156 00:12:54,974 --> 00:12:59,646 私の この拙著が いささかにても➡ 157 00:12:59,646 --> 00:13:04,484 諸君の民法に対する注意と興味とを➡ 158 00:13:04,484 --> 00:13:09,255 喚起する よすがとなることを えましたならば➡ 159 00:13:09,255 --> 00:13:13,593 まことに望外の幸せであります。➡ 160 00:13:13,593 --> 00:13:20,466 昭和25年6月 星 朋彦」。 161 00:13:20,466 --> 00:13:30,943 (拍手) 162 00:13:30,943 --> 00:13:32,879 ハハハ。 163 00:13:32,879 --> 00:13:38,184 星長官は 本の出版前に亡くなりました。 164 00:13:40,286 --> 00:13:44,157 長年 病と闘い続けていたことは➡ 165 00:13:44,157 --> 00:13:49,162 近しい僅かな人間しか 知らされていませんでした。 166 00:13:55,635 --> 00:13:58,971 (桂場)もう一軒 行きますか? 167 00:13:58,971 --> 00:14:05,778 ハハ… これも持て余してるくらいでね。 168 00:14:05,778 --> 00:14:08,581 フッ…。 169 00:14:08,581 --> 00:14:12,452 昔のようにはいかないね。 170 00:14:12,452 --> 00:14:55,161 ♬~