1 00:00:03,170 --> 00:00:08,141 (穂高)君たちなら どう弁護するか どんな判決が出ると思うか➡ 2 00:00:08,141 --> 00:00:11,278 考えてみるというのは どうだろうか?➡ 3 00:00:11,278 --> 00:00:15,616 どうだ? 面白そうだろ。 4 00:00:15,616 --> 00:00:21,955 考えた者がいたら 来週の授業の前に教えてくれたまえ。➡ 5 00:00:21,955 --> 00:00:27,294 では 解散。 それぞれの授業に戻るように。 6 00:00:27,294 --> 00:00:38,639 ♬~ 7 00:00:38,639 --> 00:00:40,641 (寅子)よしっ。 8 00:00:42,309 --> 00:00:45,212 私が先! 私の手の方が下にあるから! 9 00:00:45,212 --> 00:00:47,648 (よね)同時だ。 今の私の話 聞いてました? 10 00:00:47,648 --> 00:00:51,318 お願いします。お願いします。 (涼子)ちょっと よろしいかしら?➡ 11 00:00:51,318 --> 00:00:55,022 私たちも ご一緒に考えてもいいかしら? 12 00:00:58,659 --> 00:01:02,529 ♬「どこから春が巡り来るのか」 13 00:01:02,529 --> 00:01:06,934 ♬「知らず知らず大人になった」 14 00:01:06,934 --> 00:01:11,271 ♬「さよなら100年先でまた会いましょう」 15 00:01:11,271 --> 00:01:15,142 ♬「心配しないで」 16 00:01:15,142 --> 00:01:18,946 ♬「いつの間にか 花が落ちた」 17 00:01:18,946 --> 00:01:22,816 ♬「誰かがわたしに嘘をついた」 18 00:01:22,816 --> 00:01:26,820 ♬「土砂降りでも構わず飛んでいく」 19 00:01:26,820 --> 00:01:32,960 ♬「その力が欲しかった」 20 00:01:32,960 --> 00:01:38,298 ♬「誰かと恋に落ちて また砕けて」 21 00:01:38,298 --> 00:01:40,968 ♬「やがて離れ離れ」 22 00:01:40,968 --> 00:01:45,305 ♬「口の中はたと血が滲んで」 23 00:01:45,305 --> 00:01:48,642 ♬「空に唾を吐く」 24 00:01:48,642 --> 00:01:53,513 ♬「瞬け羽を広げ 気儘に飛べ」 25 00:01:53,513 --> 00:01:56,516 ♬「どこまでもゆけ」 26 00:01:56,516 --> 00:02:00,587 ♬「100年先も憶えてるかな」 27 00:02:00,587 --> 00:02:02,522 ♬「知らねえけれど」 28 00:02:02,522 --> 00:02:05,258 ♬「さよーならまたいつか!」 29 00:02:05,258 --> 00:02:11,565 ♬~ 30 00:02:20,807 --> 00:02:23,944 (梅子)今日は 私のおごり。 好きなの食べて。 31 00:02:23,944 --> 00:02:26,847 え~! ありがとうございます。 32 00:02:26,847 --> 00:02:30,617 玉ちゃんもね。 お相伴にあずかりなさい。 33 00:02:30,617 --> 00:02:33,286 (玉)ありがとうございます。 34 00:02:33,286 --> 00:02:36,189 うわ~ 悩むなあ。 35 00:02:36,189 --> 00:02:39,960 (よね)何で ここ? (梅子)だから あなたが どうしても➡ 36 00:02:39,960 --> 00:02:43,296 この判例集を 今 読みたいって譲らなくて➡ 37 00:02:43,296 --> 00:02:47,167 じゃあ 一緒に読んで 一緒に考えようって トラちゃんが誘ってくれたんでしょ。 38 00:02:47,167 --> 00:02:50,170 (香淑)図書館だと 小さい声でしか しゃべれないし➡ 39 00:02:50,170 --> 00:02:53,306 小腹もすいたしね。 40 00:02:53,306 --> 00:02:55,642 (梅子)何にしよう。 41 00:02:55,642 --> 00:03:12,926 ♬~ 42 00:03:12,926 --> 00:03:16,263 (梅子)一度は離婚訴訟で 勝訴しているんでしょう?➡ 43 00:03:16,263 --> 00:03:19,166 なら 控訴審は有利に進むはず。➡ 44 00:03:19,166 --> 00:03:23,937 着物は諦めて 離婚成立を優先すべきじゃないかしらね。 45 00:03:23,937 --> 00:03:26,606 それ 優三さんも 同じようなこと言ってました。 46 00:03:26,606 --> 00:03:29,943 (香淑)優三さん? 私の家にいる書生さんで➡ 47 00:03:29,943 --> 00:03:34,281 法学部の夜学に通ってて。 (梅子)その書生さんの言うとおり。➡ 48 00:03:34,281 --> 00:03:36,616 着物なんて 所詮 物よ。 49 00:03:36,616 --> 00:03:42,622 お子さんもいなかったんだし ここから また 新たな人生をね。 50 00:03:47,627 --> 00:03:50,297 諦めたら そこで終わりじゃないですか。 51 00:03:50,297 --> 00:03:54,301 そもそも 男と女 同じ土俵に立ててすらいないんだ。 52 00:03:56,636 --> 00:04:02,442 参政権もない 家督も基本的には継げない 遺産も相続できない。 53 00:04:02,442 --> 00:04:04,911 (梅子)姦通罪も女だけ。 54 00:04:04,911 --> 00:04:09,783 夫は家の外で 何人 女を囲おうが おとがめなし。 55 00:04:09,783 --> 00:04:16,523 またまた醸し出される 諦めスンッモード。 56 00:04:16,523 --> 00:04:22,929 寅子たちの時代の民法では 家単位の戸籍という制度の下➡ 57 00:04:22,929 --> 00:04:27,801 女性は 戸主という名の 父親や夫の庇護下に置かれ➡ 58 00:04:27,801 --> 00:04:31,605 社会的に不平等な立場だったのです。 59 00:04:31,605 --> 00:04:34,941 ごゆっくり どうぞ。 (2人)ありがとうございます。 60 00:04:34,941 --> 00:04:37,844 おいしそうだね。 おいしそう。 61 00:04:37,844 --> 00:04:40,814 穂高先生も 著書で おっしゃっています。➡ 62 00:04:40,814 --> 00:04:46,953 「妻の無能力 これは妻にとって 必ずしも不利益な制度ではない。➡ 63 00:04:46,953 --> 00:04:50,624 独断でした行為の結果が 面白くない場合には」。 64 00:04:50,624 --> 00:04:54,961 「夫に相談しなかったという理由で 取り消しうるからである」ですよね。 65 00:04:54,961 --> 00:04:57,864 (梅子)やだ 何 あなたたち暗記しちゃってるの? 66 00:04:57,864 --> 00:05:00,867 でも 先生は こうも おっしゃっています。 67 00:05:05,906 --> 00:05:08,241 …と。 (涼子)ですけど➡ 68 00:05:08,241 --> 00:05:15,582 夫による恥ずかしい保護を受けなければ 女にとっての茨の道が待っている。 69 00:05:15,582 --> 00:05:20,253 はあ… もう本当に 「はて?」としか言いようがない。 70 00:05:20,253 --> 00:05:22,923 でも これが現実だ。 71 00:05:22,923 --> 00:05:50,951 ♬~ 72 00:05:50,951 --> 00:05:53,286 暴力を振るわれた件で夫を訴えて➡ 73 00:05:53,286 --> 00:05:56,957 その賠償金の代わりとして 着物を返してもらうのは どう? 74 00:05:56,957 --> 00:05:59,292 だから 証拠がない。➡ 75 00:05:59,292 --> 00:06:03,897 離婚裁判で賠償金が支払われた判例は 今まで ほぼないはずだ。 76 00:06:03,897 --> 00:06:07,200 ん… 駄目か~。 77 00:06:09,769 --> 00:06:14,241 いい 実にいい。 78 00:06:14,241 --> 00:06:24,584 「その他 中間の争いにつき 裁判をなすに熟する時は➡ 79 00:06:24,584 --> 00:06:29,289 裁判所は中間…」。 80 00:06:31,925 --> 00:06:38,598 (優三)法律って その 自分なりの解釈を 得ていくものといいますか。 81 00:06:38,598 --> 00:06:40,901 うう… うああ~! 82 00:06:45,939 --> 00:06:49,276 (足音) (本を読み上げる声) 83 00:06:49,276 --> 00:06:51,611 (足音) 84 00:06:51,611 --> 00:06:55,282 全力で この裁判に向き合う寅子ですが➡ 85 00:06:55,282 --> 00:07:01,988 いざ どう弁護するかと尋ねられると なかなか難しく。 86 00:07:14,567 --> 00:07:18,905 瞬く間に1週間の時が流れました。 87 00:07:18,905 --> 00:07:25,779 (穂高)うん 山田君も 桜川君 大庭君 崔君同様➡ 88 00:07:25,779 --> 00:07:31,484 「原告敗訴 着物は取り戻せない」という 結論なんだね。 89 00:07:31,484 --> 00:07:34,454 (よね)はい そのとおりです。 90 00:07:34,454 --> 00:07:37,590 (穂高)ほかに意見はあるかね? 91 00:07:37,590 --> 00:07:40,927 (口々に)ありません。 92 00:07:40,927 --> 00:07:43,830 (穂高)猪爪君は? 93 00:07:43,830 --> 00:07:47,267 皆と同じです。 ほぼですが。 94 00:07:47,267 --> 00:07:52,138 (穂高)フフフ… 言いたいことがあれば 言いたまえ。 95 00:07:52,138 --> 00:07:57,911 この1週間 私なりに いろいろと 着物を取り返す方法を考えたのですが➡ 96 00:07:57,911 --> 00:08:02,549 法律においては やはり 結局 敗訴する結論しか出ず。 97 00:08:02,549 --> 00:08:07,253 でも 諦めたくもなく。 言い訳はいい。 結論だけを伝えろ。 98 00:08:08,888 --> 00:08:12,592 民事訴訟法 第185条に こうあります。 99 00:08:24,237 --> 00:08:26,239 …と。 100 00:08:30,910 --> 00:08:35,582 法律や証拠だけでなく 社会 時代 人間を理解して➡ 101 00:08:35,582 --> 00:08:38,485 自由なる心証の下に 判決を下さなければならない➡ 102 00:08:38,485 --> 00:08:40,453 そういうことですよね? 103 00:08:40,453 --> 00:08:43,456 だからって 法そのものを覆すわけにはいかない。 104 00:08:43,456 --> 00:08:46,226 それは分かってる。 105 00:08:46,226 --> 00:08:49,596 見に行きませんか? 判決を。 106 00:08:49,596 --> 00:08:52,499 (ざわめき) 107 00:08:52,499 --> 00:08:58,271 裁判官が 目の前の事実から何を感じ どう判断を下すのか…。 108 00:08:58,271 --> 00:09:03,276 裁判官の自由なる心証に希望を託すしか ないのではないでしょうか。 109 00:09:10,550 --> 00:09:15,889 課外授業か 面白いじゃないか。 110 00:09:15,889 --> 00:09:20,560 せっかくだし 久保田君たちも誘おう。 111 00:09:20,560 --> 00:09:26,866 無理強いはせんが 時間のある者は 一緒にいらっしゃい。 112 00:09:35,909 --> 00:09:38,812 おい。 鈍くさいな。 113 00:09:38,812 --> 00:09:57,931 ♬~ 114 00:09:57,931 --> 00:10:00,633 ご一緒させていただきます。 115 00:10:03,269 --> 00:10:08,141 面白そうだし 行きましょうか。 ねっ? 116 00:10:08,141 --> 00:10:10,844 はい! 117 00:10:13,279 --> 00:10:16,616 (口々に)私も参ります。 118 00:10:16,616 --> 00:10:19,953 よねさんは? 119 00:10:19,953 --> 00:10:22,655 行くに決まってるだろ。 120 00:10:31,965 --> 00:10:34,968 (笹山)んん いまひとつだったな。 121 00:10:41,307 --> 00:10:43,643 んん? 122 00:10:43,643 --> 00:10:55,989 ♬~ 123 00:10:55,989 --> 00:10:57,991 (笹山)おお。 124 00:11:01,261 --> 00:11:04,597 どうなってるんですか? (笹山)何が?➡ 125 00:11:04,597 --> 00:11:06,599 こっちが聞きたいよ。 126 00:11:09,936 --> 00:11:11,871 ご機嫌よう。 (笹山)おお。 127 00:11:11,871 --> 00:11:13,806 えっ? 128 00:11:13,806 --> 00:11:24,117 ♬~ 129 00:11:36,629 --> 00:11:38,631 (田中裁判長)ふう~。 130 00:11:58,651 --> 00:12:00,653 起立。 131 00:12:04,257 --> 00:12:07,160 (笹山)何なんだい こりゃあ。 132 00:12:07,160 --> 00:12:10,463 どういうこと? 何だよ こりゃ。 133 00:12:16,836 --> 00:12:18,805 (峰子側の弁護士) 今まで申してきたとおり➡ 134 00:12:18,805 --> 00:12:22,942 被告は 半年以上前から 別の女のもとに転がり込み➡ 135 00:12:22,942 --> 00:12:28,281 生活費は渡さず 原告は ご近所から 裁縫の仕事をもらい受けることで➡ 136 00:12:28,281 --> 00:12:30,950 なんとか生活を続けてまいりました。 137 00:12:30,950 --> 00:12:33,853 (ひそひそ声) 138 00:12:33,853 --> 00:12:38,825 原告は 嫁入り道具の鏡台や茶だんす 形見である着物の返還➡ 139 00:12:38,825 --> 00:12:42,562 ただ それだけを 求めているのでございます! 140 00:12:42,562 --> 00:12:45,298 (東田側の弁護士) 民法 第801条に規定されたとおり➡ 141 00:12:45,298 --> 00:12:49,168 離婚が成立していないうちは 財産は夫が管理するものであって➡ 142 00:12:49,168 --> 00:12:52,171 妻に返還する筋合いはありません。➡ 143 00:12:52,171 --> 00:12:57,310 夫婦間で 財産返還を主張すること自体が 論理的矛盾であります。➡ 144 00:12:57,310 --> 00:13:02,615 裁判長の賢明なるご判断を仰ぎます。 以上です。 145 00:13:10,590 --> 00:13:14,594 休憩後 判決に移ります。 146 00:13:16,262 --> 00:13:19,599 (足音) 147 00:13:19,599 --> 00:13:22,902 (ドアの開閉音) 148 00:13:45,291 --> 00:14:12,919 ♬~ 149 00:14:12,919 --> 00:14:15,822 (ドアが開く音) 150 00:14:15,822 --> 00:14:18,591 起立。 (ドアが閉まる音) 151 00:14:18,591 --> 00:14:39,612 ♬~ 152 00:14:39,612 --> 00:14:41,547 主文。 153 00:14:41,547 --> 00:14:55,261 ♬~