1 00:00:02,202 --> 00:00:04,204 (梅子)どうぞ。 2 00:00:06,139 --> 00:00:10,143 昭和38年6月。 3 00:00:12,846 --> 00:00:19,152 桂場は 最高裁判事の一人に任命されました。 4 00:00:30,964 --> 00:00:35,836 (拍手) 5 00:00:35,836 --> 00:00:38,305 (鐘の音) 6 00:00:38,305 --> 00:00:40,974 (梅子)あ… ありがとうございます。 7 00:00:40,974 --> 00:00:45,846 (拍手) 梅子さん おめでとう。 8 00:00:45,846 --> 00:00:50,984 よく頑張ったね。 これで安心して… なあ? 9 00:00:50,984 --> 00:00:56,857 ええ! 安心して この店を任せられるわ。 10 00:00:56,857 --> 00:01:00,160 (梅子)ありがとうございます。 11 00:01:03,263 --> 00:01:07,134 いらっしゃい。いらっしゃい。 (寅子)道男。 12 00:01:07,134 --> 00:01:11,138 どうしたの? 2人で話したいって。 13 00:01:11,138 --> 00:01:16,276 (道男)おっちゃん 実は もう ほとんど歩けなくてさ。 14 00:01:16,276 --> 00:01:19,579 ごめんなさい 何にも知らなかった。 15 00:01:21,615 --> 00:01:25,485 おっちゃんが 俺に笹寿司を継がないかって。 16 00:01:25,485 --> 00:01:30,290 えっ! でも断った。 17 00:01:30,290 --> 00:01:35,295 来月には店を畳むことになったから。 えっ! 18 00:01:38,165 --> 00:01:40,934 俺 バカだろ? 19 00:01:40,934 --> 00:01:46,640 金勘定とか 店の客との おしゃべりも下手だ。 20 00:01:46,640 --> 00:01:54,648 だから 料理は好きだけど 客商売には向かないと思うんだよ。 21 00:02:00,587 --> 00:02:06,293 せっかく俺の居場所を作ってくれたのに ごめん。 22 00:02:14,134 --> 00:02:19,439 ばあちゃんにも花江ちゃんたちにも 合わせる顔がねえよ。 23 00:02:31,284 --> 00:02:34,955 なら 一緒にやる? 24 00:02:34,955 --> 00:02:39,292 はっ? 和菓子とお寿司のお店を ここで。 25 00:02:39,292 --> 00:02:44,164 1人で店をやるのは 心細いと思っていたの。 26 00:02:44,164 --> 00:02:52,305 私だけじゃ 継いだところで そう長くはお店を続けられないし…。 27 00:02:52,305 --> 00:02:54,975 どうでしょうか? 28 00:02:54,975 --> 00:02:58,845 その場合 彼の身元は私が保証します! 29 00:02:58,845 --> 00:03:02,783 梅子さんのやりたいように やったらいいわ。 30 00:03:02,783 --> 00:03:05,252 ねえ。 ああ。 31 00:03:05,252 --> 00:03:08,555 梅子さんと彼で決めなさい。 32 00:03:11,925 --> 00:03:14,227 どう? 道男。 33 00:03:17,264 --> 00:03:19,599 (梅子)どうかしら? 34 00:03:19,599 --> 00:03:25,939 さっき あなたが苦手と言ったもの 私 全部 得意。 35 00:03:25,939 --> 00:03:31,812 あと… 私 頭は すこぶるいいわよ? 36 00:03:31,812 --> 00:03:33,814 ウフフフ。 37 00:03:43,490 --> 00:03:45,792 よろしくお願いします。 38 00:03:47,627 --> 00:03:50,630 よろしくお願いします。 39 00:03:54,301 --> 00:03:58,171 ♬「どこから春が巡り来るのか」 40 00:03:58,171 --> 00:04:02,576 ♬「知らず知らず大人になった」 41 00:04:02,576 --> 00:04:06,913 ♬「さよなら100年先でまた会いましょう」 42 00:04:06,913 --> 00:04:10,784 ♬「心配しないで」 43 00:04:10,784 --> 00:04:14,588 ♬「いつの間にか 花が落ちた」 44 00:04:14,588 --> 00:04:18,458 ♬「誰かがわたしに嘘をついた」 45 00:04:18,458 --> 00:04:22,462 ♬「土砂降りでも構わず飛んでいく」 46 00:04:22,462 --> 00:04:28,602 ♬「その力が欲しかった」 47 00:04:28,602 --> 00:04:33,473 ♬「誰かと恋に落ちて また砕けて」 48 00:04:33,473 --> 00:04:36,476 ♬「やがて離れ離れ」 49 00:04:36,476 --> 00:04:40,947 ♬「口の中はたと血が滲んで」 50 00:04:40,947 --> 00:04:44,284 ♬「空に唾を吐く」 51 00:04:44,284 --> 00:04:49,156 ♬「瞬け羽を広げ 気儘に飛べ」 52 00:04:49,156 --> 00:04:52,159 ♬「どこまでもゆけ」 53 00:04:52,159 --> 00:04:55,896 ♬「100年先も憶えてるかな」 54 00:04:55,896 --> 00:04:58,298 ♬「知らねえけれど」 55 00:04:58,298 --> 00:05:00,901 ♬「さよーならまたいつか!」 56 00:05:00,901 --> 00:05:07,774 ♬~ 57 00:05:07,774 --> 00:05:09,910 (漆間)以上の理由により…。 58 00:05:09,910 --> 00:05:12,579 昭和38年 秋。 59 00:05:12,579 --> 00:05:15,916 (漆間) その余の点について 判断するまでもなく…。 60 00:05:15,916 --> 00:05:20,253 判事補の漆間が 判決の草案を書き上げました。 61 00:05:20,253 --> 00:05:27,127 (漆間)訴訟費用について 民事訴訟法 第89条 第93条を適用して➡ 62 00:05:27,127 --> 00:05:29,129 主文のとおり判決する。 63 00:05:31,865 --> 00:05:34,801 (汐見)残念ながら➡ 64 00:05:34,801 --> 00:05:38,939 原告に 賠償請求する権利があると 認めることは➡ 65 00:05:38,939 --> 00:05:42,275 法的に不可能と言わざるをえません。 66 00:05:42,275 --> 00:05:44,578 (漆間)そうですね…。 67 00:05:54,287 --> 00:05:56,289 はて? 68 00:05:58,158 --> 00:06:00,894 そうでしょうか? 69 00:06:00,894 --> 00:06:08,235 請求棄却のひと言で この裁判を 判決を 終わらせてはいけない。 70 00:06:08,235 --> 00:06:11,538 それは 我々の総意では? 71 00:06:14,107 --> 00:06:19,112 例えば 最後に もう少しだけ 書き加えるのは どうでしょう? 72 00:06:21,781 --> 00:06:24,584 (ドアの開閉音) 73 00:06:24,584 --> 00:06:39,933 ♬~ 74 00:06:39,933 --> 00:06:48,942 (時報) 75 00:07:18,772 --> 00:07:22,776 お義母さん。 76 00:07:27,447 --> 00:07:35,588 最近 お月のものが 遅くなったり早くなったりして…。 77 00:07:35,588 --> 00:07:41,261 更年期ってやつは 随分と たちが悪いけれど➡ 78 00:07:41,261 --> 00:07:49,269 でも 生理の苦しみから解放されることが 心から待ち遠しくもあったりして…。 79 00:07:52,872 --> 00:07:57,610 (百合)朋彦さんのところに行きたい…。 80 00:07:57,610 --> 00:08:02,449 (泣き声) 81 00:08:02,449 --> 00:08:05,218 情けない…。 82 00:08:05,218 --> 00:08:09,089 (泣き声) 83 00:08:09,089 --> 00:08:12,792 ごめんなさい…。 84 00:08:15,562 --> 00:08:21,568 ごめんなさい… ごめんなさい…。 85 00:08:24,237 --> 00:08:28,541 (泣き声) 86 00:08:31,111 --> 00:08:34,581 ごめんなさい…。 87 00:08:34,581 --> 00:08:38,251 ごめんなさい…。 88 00:08:38,251 --> 00:08:41,154 ごめんなさい…。 89 00:08:41,154 --> 00:08:43,123 ごめんなさい…。 90 00:08:43,123 --> 00:08:52,265 私ね 苦しいっていう声を 知らんぷりしたり➡ 91 00:08:52,265 --> 00:08:56,269 なかったことにする世の中には したくないんです。 92 00:08:57,937 --> 00:09:01,207 だから ねっ。 93 00:09:01,207 --> 00:09:04,544 うん… うん…。 94 00:09:04,544 --> 00:09:16,556 (泣き声) 95 00:09:16,556 --> 00:09:21,227 ごめんなさい…。 大丈夫 大丈夫。 96 00:09:21,227 --> 00:09:24,130 ごめんなさい…。 97 00:09:24,130 --> 00:09:54,928 ♬~ 98 00:09:54,928 --> 00:09:58,598 (汐見)開廷します。 99 00:09:58,598 --> 00:10:06,473 判決主文を後に回し 先に判決理由の要旨を読み上げます。 100 00:10:06,473 --> 00:10:13,613 この当時 民事裁判で 主文を後回しにして 理由を読み上げるのは➡ 101 00:10:13,613 --> 00:10:16,916 異例の出来事でした。 102 00:10:20,286 --> 00:10:27,627 当時 広島市には およそ33万人の一般市民が➡ 103 00:10:27,627 --> 00:10:34,501 長崎市には およそ27万人の一般市民が 住居を構えており➡ 104 00:10:34,501 --> 00:10:41,641 原子爆弾の投下が 仮に軍事目標のみを その攻撃対象としていたとしても➡ 105 00:10:41,641 --> 00:10:47,514 その破壊力から 無差別爆撃であることは明白であり➡ 106 00:10:47,514 --> 00:10:53,520 当時の国際法から見て 違法な戦闘行為である。 107 00:10:55,989 --> 00:11:01,261 (汐見)では 損害を受けた個人が➡ 108 00:11:01,261 --> 00:11:04,931 国際法上 もしくは国内法上において➡ 109 00:11:04,931 --> 00:11:09,802 損害賠償請求権を有するであろうか? 110 00:11:09,802 --> 00:11:16,276 残念ながら 個人に国際法上の主体性が認められず➡ 111 00:11:16,276 --> 00:11:20,280 その権利が存在するとする根拠はない。 112 00:11:23,616 --> 00:11:29,489 人類始まって以来の 大規模 かつ強力な破壊力を持つ➡ 113 00:11:29,489 --> 00:11:32,625 原子爆弾の投下によって➡ 114 00:11:32,625 --> 00:11:35,295 被害を受けた国民に対して➡ 115 00:11:35,295 --> 00:11:41,167 心から同情の念を抱かない者は ないであろう。➡ 116 00:11:41,167 --> 00:11:45,939 戦争を廃止 もしくは最小限に制限し➡ 117 00:11:45,939 --> 00:11:54,314 それによる惨禍を最小限にとどめることは 人類共通の希望である。➡ 118 00:11:54,314 --> 00:11:57,216 不幸にして戦争が発生した場合➡ 119 00:11:57,216 --> 00:12:04,591 被害を少なくし 国民を保護する必要が あることは言うまでもない。➡ 120 00:12:04,591 --> 00:12:13,600 国家は 自らの権限と自らの責任において 開始した戦争により➡ 121 00:12:13,600 --> 00:12:18,271 国民の多くの人々を死に導き 傷害を負わせ➡ 122 00:12:18,271 --> 00:12:22,942 不安な生活に追い込んだのである。➡ 123 00:12:22,942 --> 00:12:27,614 原爆被害の甚大なことは 一般災害の比ではない。➡ 124 00:12:27,614 --> 00:12:32,485 被告が これに鑑み 十分な救済策をとるべきことは➡ 125 00:12:32,485 --> 00:12:35,488 多言を要しないであろう。 126 00:12:35,488 --> 00:12:40,960 しかしながら それは もはや裁判所の職責ではなく➡ 127 00:12:40,960 --> 00:12:46,833 立法府である国会 および行政府である内閣において➡ 128 00:12:46,833 --> 00:12:50,637 果たさなければならない職責である。 129 00:12:50,637 --> 00:12:55,975 それでこそ 訴訟当事者だけでなく➡ 130 00:12:55,975 --> 00:13:02,248 原爆被害者全般に対する救済策を 講ずることができるのであって➡ 131 00:13:02,248 --> 00:13:09,589 そこに立法 および立法に基づく 行政の存在理由がある。➡ 132 00:13:09,589 --> 00:13:16,462 終戦後 十数年を経て 高度の経済成長を遂げた我が国において➡ 133 00:13:16,462 --> 00:13:24,937 国家財政上 これが不可能であるとは 到底考えられない。➡ 134 00:13:24,937 --> 00:13:29,275 我々は本訴訟を見るにつけ➡ 135 00:13:29,275 --> 00:13:33,579 政治の貧困を嘆かずには おられないのである…。 136 00:13:36,949 --> 00:13:39,285 (汐見)主文。 137 00:13:39,285 --> 00:13:43,589 原告らの請求を棄却する。 138 00:13:46,626 --> 00:13:51,931 (汐見)訴訟費用は 原告らの負担とする。 139 00:13:59,972 --> 00:14:02,875 (汐見)閉廷します。 140 00:14:02,875 --> 00:14:08,781 8年に及ぶ裁判は 国側の勝訴で幕を閉じました。 141 00:14:08,781 --> 00:14:14,087 (ドアの開閉音) 142 00:14:22,929 --> 00:14:35,274 ♬~ 143 00:14:35,274 --> 00:14:39,612 第5代最高裁長官に桂場等一郎氏が就任。 144 00:14:39,612 --> 00:14:43,483 桂場さんらしくないというか 焦っているというか…。 145 00:14:43,483 --> 00:14:49,789 現少年法の基本的構造を変えることに 我々は反対する。 146 00:14:51,624 --> 00:14:55,328 頼んだからな 桂場。