1 00:00:02,603 --> 00:00:07,941 (航一)こちらに 目を通していただけないでしょうか?➡ 2 00:00:07,941 --> 00:00:14,815 昭和25年の あの判例を変更する時です。➡ 3 00:00:14,815 --> 00:00:19,286 尊属殺の重罰規定が違憲かどうか➡ 4 00:00:19,286 --> 00:00:24,291 大法廷で いま一度 判断を迫る時ではないでしょうか? 5 00:00:26,960 --> 00:00:30,631 (桂場)これは駄目だ。 受理はできない。 6 00:00:30,631 --> 00:00:34,301 尊属殺を扱うのは 時期尚早だ。➡ 7 00:00:34,301 --> 00:00:36,603 分かるだろう? 8 00:00:41,174 --> 00:00:46,880 なるほど 分かりました。 9 00:01:04,264 --> 00:01:07,601 (ドアが閉まる音) 10 00:01:07,601 --> 00:01:09,603 何だ。 11 00:01:11,271 --> 00:01:16,977 いや やっぱり分かりません。 12 00:01:20,614 --> 00:01:26,954 時期尚早とは つまり どういうことでしょうか。 13 00:01:26,954 --> 00:01:30,824 ♬「どこから春が巡り来るのか」 14 00:01:30,824 --> 00:01:35,295 ♬「知らず知らず大人になった」 15 00:01:35,295 --> 00:01:39,633 ♬「さよなら100年先でまた会いましょう」 16 00:01:39,633 --> 00:01:43,503 ♬「心配しないで」 17 00:01:43,503 --> 00:01:47,307 ♬「いつの間にか 花が落ちた」 18 00:01:47,307 --> 00:01:51,178 ♬「誰かがわたしに嘘をついた」 19 00:01:51,178 --> 00:01:55,182 ♬「土砂降りでも構わず飛んでいく」 20 00:01:55,182 --> 00:02:01,254 ♬「その力が欲しかった」 21 00:02:01,254 --> 00:02:06,126 ♬「誰かと恋に落ちて また砕けて」 22 00:02:06,126 --> 00:02:09,129 ♬「やがて離れ離れ」 23 00:02:09,129 --> 00:02:13,600 ♬「口の中はたと血が滲んで」 24 00:02:13,600 --> 00:02:16,937 ♬「空に唾を吐く」 25 00:02:16,937 --> 00:02:21,808 ♬「瞬け羽を広げ 気儘に飛べ」 26 00:02:21,808 --> 00:02:24,811 ♬「どこまでもゆけ」 27 00:02:24,811 --> 00:02:28,548 ♬「100年先も憶えてるかな」 28 00:02:28,548 --> 00:02:30,951 ♬「知らねえけれど」 29 00:02:30,951 --> 00:02:33,620 ♬「さよーならまたいつか!」 30 00:02:33,620 --> 00:02:39,926 ♬~ 31 00:02:41,495 --> 00:02:46,967 時期尚早とは つまり どういうことでしょうか。 32 00:02:46,967 --> 00:02:55,308 少年犯罪が急増し 道徳心の欠如や 家族崩壊が問題になっている今➡ 33 00:02:55,308 --> 00:02:59,012 君は冷静な議論がされると思うのか? 34 00:03:00,914 --> 00:03:07,587 法は法 道徳は道徳だと思いますが? 35 00:03:07,587 --> 00:03:11,258 机上の理想論ではな。 36 00:03:11,258 --> 00:03:15,128 人は間違える。 だから法がある。 37 00:03:15,128 --> 00:03:19,599 だから法について考える際に 万全な時を選ぶ。 38 00:03:19,599 --> 00:03:24,938 尊属殺の規定が違憲であるかどうかを問う 裁判をするならば なおさらだ。 39 00:03:24,938 --> 00:03:27,607 反発は来るかもしれない。 40 00:03:27,607 --> 00:03:31,478 でも たとえ どんな結果になろうとも 判決文は残る! 41 00:03:31,478 --> 00:03:35,482 ただ何もせず 人権蹂躙から目をそらすことの➡ 42 00:03:35,482 --> 00:03:38,485 何が司法の独立ですか! 43 00:03:43,957 --> 00:03:46,860 星君…。 44 00:03:46,860 --> 00:03:49,563 えっ…。 45 00:03:55,302 --> 00:03:57,304 星君! 46 00:04:04,578 --> 00:04:07,481 (寅子)桂場さん。 佐田です。 ⚟(桂場)遅い! 入れ! 47 00:04:07,481 --> 00:04:09,483 はい。 48 00:04:13,253 --> 00:04:17,124 はて? 開口一番 それか! 49 00:04:17,124 --> 00:04:21,595 ごめんなさい 状況が状況なもので…。 50 00:04:21,595 --> 00:04:24,498 部下の方にご連絡いただきまして…。 51 00:04:24,498 --> 00:04:27,467 桂場さんが じきじきに 手当てしてくださったんですね。 52 00:04:27,467 --> 00:04:30,937 ありがとうございます。 騒ぎになったら面倒だからな。 53 00:04:30,937 --> 00:04:34,274 それだけだ。 54 00:04:34,274 --> 00:04:36,977 ありがとうございます。 55 00:04:42,149 --> 00:04:44,451 航一さん。 56 00:04:46,620 --> 00:04:48,622 寅子さん…。 57 00:04:51,491 --> 00:04:54,294 えっ! 長官!?落ち着け。 58 00:04:54,294 --> 00:04:57,631 また血が噴き出すぞ。 大丈夫? 立てそう? 59 00:04:57,631 --> 00:05:00,634 あっ… 大丈夫です。 60 00:05:02,235 --> 00:05:08,575 膝を借りてしまっていたようで… ありがとうございます。 61 00:05:08,575 --> 00:05:11,912 桂場さんも立てます? 足 しびれてませんか? 62 00:05:11,912 --> 00:05:16,249 君は 夫のことだけ心配したまえ。 63 00:05:16,249 --> 00:05:18,585 いいから つかまってください。 64 00:05:18,585 --> 00:05:20,887 ゆっくり頼む。 はい。 65 00:05:22,455 --> 00:05:27,260 (航一)大丈夫ですか? あっ ちょっ… うっ… 動くな。 66 00:05:27,260 --> 00:05:29,930 (3人)ああっ! 67 00:05:29,930 --> 00:05:33,266 (航一)足を伸ばしましょう。 駄目だ。 やめろ。 触るな。 星君。➡ 68 00:05:33,266 --> 00:05:35,569 さわ… 触るな! ああっ! 69 00:05:41,141 --> 00:05:44,144 うっ…。 70 00:05:57,958 --> 00:06:00,861 桂場さんは 若き判事たちに➡ 71 00:06:00,861 --> 00:06:04,564 取り返しのつかない 大きな傷を残しました。 72 00:06:04,564 --> 00:06:07,901 きっと 一生 許されない。 73 00:06:07,901 --> 00:06:13,907 私は 彼らには 許さず恨む権利があると思う。 74 00:06:16,243 --> 00:06:24,251 私自身 桂場さんに怒り 失望して 傷つきもしました。 75 00:06:26,253 --> 00:06:30,123 私が邪魔で面倒で 距離を置きたくても➡ 76 00:06:30,123 --> 00:06:32,125 司法の独立のために➡ 77 00:06:32,125 --> 00:06:35,829 共に最後まで 戦い続けるしかないんですよ。 78 00:06:38,832 --> 00:06:45,939 なにを君は ガキのような青臭いことを。 79 00:06:45,939 --> 00:06:50,277 あら 分かります? あっ? 80 00:06:50,277 --> 00:06:55,148 実は私 一周回って 心が折れる前の➡ 81 00:06:55,148 --> 00:07:02,856 いえ 法律を知った若い頃の 本当の自分に戻ったようなんです。 82 00:07:07,761 --> 00:07:13,233 いや でも どの私も私…。 83 00:07:13,233 --> 00:07:17,103 つまり 全部含めて ずっと私なのか。 84 00:07:17,103 --> 00:07:19,105 フフフ…。 85 00:07:19,105 --> 00:07:23,109 とにもかくにも さすが桂場さんです。 86 00:07:24,844 --> 00:07:27,580 少し やけるな。 87 00:07:27,580 --> 00:07:32,452 はて? やける? 何に? フフフ…。 88 00:07:32,452 --> 00:07:35,922 あっ そろそろ しびれ おさまりました? 89 00:07:35,922 --> 00:07:37,924 (桂場)ああ。 90 00:07:42,595 --> 00:07:44,597 置いていけ。 91 00:07:50,470 --> 00:07:53,940 では 失礼します。 92 00:07:53,940 --> 00:08:19,899 ♬~ 93 00:08:19,899 --> 00:08:21,835 (のどか)2本でいい? (朋一)うん。 94 00:08:21,835 --> 00:08:24,571 ⚟(寅子 航一)ただいま~。 95 00:08:24,571 --> 00:08:27,474 (のどか)あ~! お帰り~! あ~! ハハハハ。 96 00:08:27,474 --> 00:08:30,910 あ~ お酒臭い。 ハハハ。 (のどか)ハハハハ。 97 00:08:30,910 --> 00:08:36,583 (優未)すんごいお肉 買っちゃった。 朋一兄ちゃんのおごり~。 98 00:08:36,583 --> 00:08:41,254 (朋一) ああ この肉で ぜ~んぶ乗り越える! 99 00:08:41,254 --> 00:08:43,590 (笑い声) 100 00:08:43,590 --> 00:08:46,926 よし! とっておきのワイン 全部 あけてしまおう! 101 00:08:46,926 --> 00:08:49,929 やった~! (優未)おお~! 102 00:08:54,601 --> 00:08:57,937 うん…。 103 00:08:57,937 --> 00:09:01,541 (笑い声) 104 00:09:01,541 --> 00:09:18,091 ♬~ 105 00:09:18,091 --> 00:09:23,563 (航一)長官の膝の上で目が覚めた時から➡ 106 00:09:23,563 --> 00:09:26,866 心が軽くなった気がします。 107 00:09:30,437 --> 00:09:35,141 一区切りついたような…。 区切り? 108 00:09:37,110 --> 00:09:41,414 あの戦争のでしょうか…。 109 00:09:46,252 --> 00:09:54,260 いや でも そう思っていいのかも 正直 分かりません。 110 00:09:55,929 --> 00:09:59,799 じゃあ 分かる日が来るまで➡ 111 00:09:59,799 --> 00:10:05,105 少しずつ少しずつ 心を軽くしていきましょうよ。 112 00:10:08,274 --> 00:10:13,613 子供が巣立っても まだまだ余生にはできなそうね。 113 00:10:13,613 --> 00:10:16,316 ですね。 114 00:10:31,164 --> 00:10:33,933 その後 最高裁は➡ 115 00:10:33,933 --> 00:10:38,304 美位子の事件の 上告を受理することを決め➡ 116 00:10:38,304 --> 00:10:44,310 15人の裁判官による大法廷が 開かれることになりました。 117 00:10:45,979 --> 00:10:50,850 (梅子)頂きま~す。 (轟)は~い。 今日も うまいな。 118 00:10:50,850 --> 00:10:53,853 音羽さん ありがとうね。 助かったわ。 119 00:10:56,990 --> 00:11:01,828 (音羽)並木さん どうされましたか? どうぞ。➡ 120 00:11:01,828 --> 00:11:06,599 並木美雪さんの おばあ様です。 あら。 121 00:11:06,599 --> 00:11:11,604 (佐江子)私 森口美佐江の母です。 122 00:11:15,942 --> 00:11:17,877 ごめんなさい あの 私…。 123 00:11:17,877 --> 00:11:22,282 (佐江子) ずっと謝りたいと思っておりました。 124 00:11:22,282 --> 00:11:26,152 あの時は 娘を助けてくださろうとしたのに。 125 00:11:26,152 --> 00:11:30,156 いえ 私は…。 126 00:11:30,156 --> 00:11:33,860 あの 今 美佐江さんは…。 127 00:11:35,628 --> 00:11:39,966 美佐江は 死にました。➡ 128 00:11:39,966 --> 00:11:46,639 美雪が3歳になってすぐ 車にひかれて…。 129 00:11:46,639 --> 00:11:55,348 ここに 美佐江が最期に残した言葉が 書かれているんです。 130 00:12:25,945 --> 00:12:31,284 (美佐江)「私は たしかに特別だった。➡ 131 00:12:31,284 --> 00:12:35,622 私が望めば全てが手に入った。➡ 132 00:12:35,622 --> 00:12:38,625 全てが思い通りになった」。 133 00:12:40,960 --> 00:12:46,265 (美佐江) 「盗みも 体を売らせることもできた」。 134 00:12:51,604 --> 00:12:58,511 (美佐江)「けど この東京で 私は ただの女にすぎず➡ 135 00:12:58,511 --> 00:13:05,518 掌で転がすはずが 知らぬ間に転がされていた」。 136 00:13:09,122 --> 00:13:13,126 (美佐江) 「次々に沸く予期せぬことに翻弄された」。 137 00:13:15,795 --> 00:13:22,802 (美佐江)「身籠れば 特別な何かに なれるかと期待したが無駄だった」。 138 00:13:28,941 --> 00:13:33,813 (美佐江)「私の中に辛うじて残る➡ 139 00:13:33,813 --> 00:13:40,520 『特別な私』が消えぬうちに 消えるしかない」。 140 00:13:48,294 --> 00:13:53,633 (美佐江)「あの人を拒まなければ 何か変わったの?➡ 141 00:13:53,633 --> 00:13:57,303 あの人は私を➡ 142 00:13:57,303 --> 00:14:00,606 特別にしてくれたのだろうか?」。 143 00:14:05,912 --> 00:14:11,784 あの日 あと一歩だったのだ…。 144 00:14:11,784 --> 00:14:14,087 それなのに…。 145 00:14:18,491 --> 00:14:22,462 それなのに私は…。 146 00:14:22,462 --> 00:14:25,164 私のせいで…。 147 00:14:36,275 --> 00:14:42,949 私は今でも ご婦人が法律を学ぶことも 職にすることも反対だ。 148 00:14:42,949 --> 00:14:46,819 何か動いたとしても 社会は動かないし 変わらん。 149 00:14:46,819 --> 00:14:50,289 いけ~! 山田~! はて? 150 00:14:50,289 --> 00:14:54,594 今 変わらなくても その声が いつか何かを変えるかもしれない。