1 00:00:34,431 --> 00:00:38,602 (常子)おかげさまで 全て売り切りました。 2 00:00:38,602 --> 00:00:41,802 (花山)増刷しても すぐに売れるだろう。 3 00:00:44,107 --> 00:00:48,107 いろいろと ありがとうございました。 4 00:00:49,780 --> 00:00:52,282 (3人)ありがとうございました。 5 00:00:52,282 --> 00:00:56,953 約束は守った。 あとは 自分たちでやるんだな。 6 00:00:56,953 --> 00:01:02,759 花山さん。 これからも 編集長を続けて頂けませんか? 7 00:01:02,759 --> 00:01:04,694 一度だけという約束のはずだ。 8 00:01:04,694 --> 00:01:07,597 私も鞠子も美子も 花山さんに 一から➡ 9 00:01:07,597 --> 00:01:11,968 雑誌作りを 教えて頂きたいんです。 10 00:01:11,968 --> 00:01:14,871 (美子)お願いします。 (鞠子)お願いします。 11 00:01:14,871 --> 00:01:18,308 私は もう ペンを握らない。 12 00:01:18,308 --> 00:01:20,977 今回は 君たちを見守るだけだった。 13 00:01:20,977 --> 00:01:22,913 でしたら 次号も同じように…。 14 00:01:22,913 --> 00:01:25,148 本気で 関わるとなると そうはいかん! 15 00:01:25,148 --> 00:01:27,984 だったら 本気で関わって下さい! 16 00:01:27,984 --> 00:01:32,823 花山さんが 本気で 関わりたいと思う本作りを➡ 17 00:01:32,823 --> 00:01:35,823 私たちにも携わらせて下さい。 18 00:01:39,429 --> 00:01:44,267 すまないが そのつもりはない。 19 00:01:44,267 --> 00:01:46,467 失礼するよ。 20 00:01:48,772 --> 00:01:51,441 ♬「普段から」 21 00:01:51,441 --> 00:01:54,477 ♬「メイクしない 君が」 22 00:01:54,477 --> 00:02:00,116 ♬「薄化粧した朝」 23 00:02:00,116 --> 00:02:06,790 ♬「始まりと終わりの狭間で」 24 00:02:06,790 --> 00:02:14,464 ♬「忘れぬ約束した」 25 00:02:14,464 --> 00:02:19,970 ♬「花束を君に贈ろう」 26 00:02:19,970 --> 00:02:26,643 ♬「愛しい人 愛しい人」 27 00:02:26,643 --> 00:02:32,449 ♬「どんな言葉並べても」 28 00:02:32,449 --> 00:02:37,587 ♬「真実には ならないから」 29 00:02:37,587 --> 00:02:40,423 ♬「今日は贈ろう」 30 00:02:40,423 --> 00:02:48,765 ♬「涙色の花束を君に」 31 00:02:48,765 --> 00:02:57,941 ♬「涙色の花束を君に」 32 00:02:57,941 --> 00:03:04,741 ♬~ 33 00:03:10,287 --> 00:03:13,623 常子君。 はい。 34 00:03:13,623 --> 00:03:16,126 一つ 忠告しておくが➡ 35 00:03:16,126 --> 00:03:19,162 今のままでは すぐに売れなくなるぞ。 36 00:03:19,162 --> 00:03:21,298 なぜです? 37 00:03:21,298 --> 00:03:24,634 まねされて売れなくなるのは 経験済みだろ? 38 00:03:24,634 --> 00:03:27,470 そうならないためには➡ 39 00:03:27,470 --> 00:03:31,741 一朝一夕には まねされない本を 作るしかない。 40 00:03:31,741 --> 00:03:34,411 そういう本を作るのであれば➡ 41 00:03:34,411 --> 00:03:36,746 編集長を 引き受けて頂けるんですか? 42 00:03:36,746 --> 00:03:39,249 そんな事は言っとらん。 43 00:03:39,249 --> 00:03:41,918 こんな時代だからこそ➡ 44 00:03:41,918 --> 00:03:45,118 伝えなくてはいけない事が あるはずだ。 45 00:03:46,790 --> 00:03:50,593 だが 実際には作れんよ。 46 00:03:50,593 --> 00:03:53,393 そんな金のかかる雑誌。 47 00:03:55,098 --> 00:03:57,033 では。 48 00:03:57,033 --> 00:04:05,108 ♬~ 49 00:04:05,108 --> 00:04:08,011 (花山)やっと 一区切り ついた。 50 00:04:08,011 --> 00:04:11,614 そちらの仕事に参加させて頂くよ。 51 00:04:11,614 --> 00:04:17,120 うん。 では 月曜に。 52 00:04:17,120 --> 00:04:19,820 よろしく。 53 00:04:25,462 --> 00:04:28,131 背広とネクタイを 出しておいてくれないか。 54 00:04:28,131 --> 00:04:30,166 次の仕事に必要になるから。 55 00:04:30,166 --> 00:04:35,572 (三枝子)あ… みんな 食糧に 換えてしまったので ないんです。 56 00:04:35,572 --> 00:04:38,241 (花山)そうか…。 57 00:04:38,241 --> 00:04:40,910 すみません。 58 00:04:40,910 --> 00:04:43,246 いや。 59 00:04:43,246 --> 00:04:48,118 (三枝子) 本当に もう 挿絵や文章を 描かないおつもりですか? 60 00:04:48,118 --> 00:04:54,758 もう ペンを握らないという方が あんなに きれいに筆記用具を…。 61 00:04:54,758 --> 00:05:00,430 ♬~ 62 00:05:00,430 --> 00:05:02,930 ただの習慣だ。 63 00:05:07,937 --> 00:05:34,898 ♬~ 64 00:05:34,898 --> 00:05:37,567 [ 回想 ] (花山)こんな時代だからこそ➡ 65 00:05:37,567 --> 00:05:40,567 伝えなくてはいけない事が あるはずだ。 66 00:05:43,740 --> 00:05:47,077 だが 実際には作れんよ。 67 00:05:47,077 --> 00:05:50,580 そんな金のかかる雑誌。 68 00:05:50,580 --> 00:06:01,380 ♬~ 69 00:06:20,276 --> 00:06:26,449 (長澤)花山。 この辺り一帯だ 事務所が入るビルの建設予定地は。 70 00:06:26,449 --> 00:06:29,285 (花山)何だって? (長澤)どうした? 71 00:06:29,285 --> 00:06:31,321 (花山)ちょっと待ってくれ。 そうなると➡ 72 00:06:31,321 --> 00:06:33,556 ここに住んでいる人たちは どうなるんだ? 73 00:06:33,556 --> 00:06:35,492 (長澤) よそに行ってもらうしかないな。➡ 74 00:06:35,492 --> 00:06:37,894 国が すすめている事だ。 しかたない。 75 00:06:37,894 --> 00:06:40,730 (花山)立ち退かせるのか? 空襲で焼け出されて➡ 76 00:06:40,730 --> 00:06:43,566 行き場がない人たちだぞ。 (長澤)しかたないだろ。 77 00:06:43,566 --> 00:06:45,602 こいつらは 勝手に住み着いているんだ。 78 00:06:45,602 --> 00:06:49,372 出ていけと言われて 文句を言える立場じゃない。 79 00:06:49,372 --> 00:06:53,172 ≪お~い 長澤さん! ああ! 80 00:06:57,747 --> 00:06:59,747 ≪なあ あんた。 81 00:07:01,584 --> 00:07:04,087 たばこ 持ってないかい? 82 00:07:04,087 --> 00:07:06,422 いえ 私は吸わないので。 83 00:07:06,422 --> 00:07:08,358 そうか…。 84 00:07:08,358 --> 00:07:12,762 あんた 陸軍さん? それとも 海軍さん? 85 00:07:12,762 --> 00:07:16,633 はい? どうなってんだ? 今の戦局は。 86 00:07:16,633 --> 00:07:18,635 何を おっしゃってるんです? 87 00:07:18,635 --> 00:07:21,104 戦争は もう終わったじゃありませんか。 88 00:07:21,104 --> 00:07:25,441 戦争が終わった? 勝ったのか? 89 00:07:25,441 --> 00:07:28,478 負けたんです。 何を今更…。 うそをつくな! 90 00:07:28,478 --> 00:07:32,215 日本は神国だぞ。 神風が吹くんだ! 91 00:07:32,215 --> 00:07:37,554 負けるなんて事 絶対にあるか! 分かってんのか! 92 00:07:37,554 --> 00:07:41,724 フフフフ… ハハハハハ! 93 00:07:41,724 --> 00:07:44,761 日本国 万歳! 94 00:07:44,761 --> 00:07:48,898 万歳! 万歳! 95 00:07:48,898 --> 00:07:53,069 おい 分かったよ。 日本国 万歳!➡ 96 00:07:53,069 --> 00:07:57,369 うわぁ~! 97 00:07:58,942 --> 00:08:02,745 悪いな。 いえ。 98 00:08:02,745 --> 00:08:07,917 あいつ まだ戦争が終わってない って思ってんだよ。 99 00:08:07,917 --> 00:08:10,954 戦地で 息子亡くして➡ 100 00:08:10,954 --> 00:08:14,424 空襲で 女房 娘を亡くして➡ 101 00:08:14,424 --> 00:08:18,761 全てを失って 耐えてきたのに➡ 102 00:08:18,761 --> 00:08:24,100 ある日 突然 「はい 負けました」じゃ➡ 103 00:08:24,100 --> 00:08:26,936 やりきれねえよ。 104 00:08:26,936 --> 00:08:30,440 たとえ 戦争に勝ったとしても➡ 105 00:08:30,440 --> 00:08:34,210 かあちゃんと子どもたちと 引き換えに➡ 106 00:08:34,210 --> 00:08:38,081 何が残るってんだ。 107 00:08:38,081 --> 00:08:40,083 なあ。 108 00:08:40,083 --> 00:08:47,757 (男の泣き声) 109 00:08:47,757 --> 00:08:53,062 分かった。 ほら。 (男の泣き声) 110 00:08:53,062 --> 00:09:13,362 ♬~ 111 00:09:16,286 --> 00:09:18,586 花山さん。 112 00:09:24,594 --> 00:09:27,263 こんにちは。 113 00:09:27,263 --> 00:09:33,536 お宅に伺ったら 奥様が 仕事仲間の方と ここへと。 114 00:09:33,536 --> 00:09:36,236 何の用だ? 115 00:09:38,875 --> 00:09:44,047 答えが 何となく分かったんです。 116 00:09:44,047 --> 00:09:46,549 花山さんが おっしゃっていた➡ 117 00:09:46,549 --> 00:09:50,720 誰にも まねされない雑誌。 118 00:09:50,720 --> 00:09:55,058 衣服だけでなく 衣食住にまつわる全ての中で➡ 119 00:09:55,058 --> 00:09:59,395 毎号 私たちが大切だと思うものを 調べて➡ 120 00:09:59,395 --> 00:10:03,066 実際に その生活の知恵を実験してみて➡ 121 00:10:03,066 --> 00:10:07,904 体験した事を 読者に伝えて➡ 122 00:10:07,904 --> 00:10:12,241 皆さんの生活が 今日よりも明日と➡ 123 00:10:12,241 --> 00:10:15,578 少しでも豊かになるような雑誌。 124 00:10:15,578 --> 00:10:20,249 ああ。 そんな雑誌を 作る事ができたらと➡ 125 00:10:20,249 --> 00:10:22,752 このところ 考えていたんだ。 126 00:10:22,752 --> 00:10:25,752 しかし それには とても金がかかる。 127 00:10:27,423 --> 00:10:32,762 何もかも 実際に作ったり試したり…。 128 00:10:32,762 --> 00:10:35,098 そんな事ができる訳がない。 129 00:10:35,098 --> 00:10:37,133 夢みたいな雑誌だ。 130 00:10:37,133 --> 00:10:40,436 できますよ。 私となら。 131 00:10:40,436 --> 00:10:42,372 なぜ できると言い切れる? 132 00:10:42,372 --> 00:10:44,607 根拠はありません。 でも➡ 133 00:10:44,607 --> 00:10:46,943 私が 花山さんと一緒に➡ 134 00:10:46,943 --> 00:10:48,978 やってみたいと思ったんです。 135 00:10:48,978 --> 00:10:52,448 それだけです。 136 00:10:52,448 --> 00:10:56,953 それに 花山さん おっしゃってたじゃないですか。 137 00:10:56,953 --> 00:11:00,790 「何よりも優先して守るべきだと 思い込んでいたものが➡ 138 00:11:00,790 --> 00:11:04,460 間違っていたと気付かされた」と。 139 00:11:04,460 --> 00:11:08,297 だったら…➡ 140 00:11:08,297 --> 00:11:11,968 もう 間違えないように しませんか? 141 00:11:11,968 --> 00:11:22,612 ♬~ 142 00:11:22,612 --> 00:11:25,515 私は 戦争中➡ 143 00:11:25,515 --> 00:11:29,819 男には 毎日の暮らしなどよりも➡ 144 00:11:29,819 --> 00:11:33,423 もっと大事なものがあると 思い込んできた。 145 00:11:33,423 --> 00:11:35,923 思い込まされてきた。 146 00:11:38,294 --> 00:11:41,294 (花山)しかし そんなものは なかったんだな。 147 00:11:45,435 --> 00:11:49,105 毎日の暮らしを 犠牲にしてまで➡ 148 00:11:49,105 --> 00:11:52,975 守って戦うものなど 何も なかった。 149 00:11:52,975 --> 00:11:58,975 毎日の暮らしこそ 守るべきものだった。 150 00:12:00,817 --> 00:12:04,120 毎日の暮らし…。 151 00:12:04,120 --> 00:12:06,456 人間の暮らしは➡ 152 00:12:06,456 --> 00:12:10,126 何ものにも優先して 一番大事なものなんだ。 153 00:12:10,126 --> 00:12:12,795 それは 何ものも侵してはならない。 154 00:12:12,795 --> 00:12:15,631 たとえ 戦争であっても。 155 00:12:15,631 --> 00:12:18,331 今 ようやく分かった。 156 00:12:20,970 --> 00:12:25,808 もし 豊かな暮らしを取り戻す きっかけとなる➡ 157 00:12:25,808 --> 00:12:27,743 雑誌を作れるのなら…。 158 00:12:27,743 --> 00:12:32,243 私となら… 必ず できます。 159 00:12:34,517 --> 00:12:39,088 始めましょう。 新しい雑誌作りを。 160 00:12:39,088 --> 00:13:12,955 ♬~ 161 00:13:12,955 --> 00:13:15,458 あの2人は 何をしている? 162 00:13:15,458 --> 00:13:17,393 えっ? 163 00:13:17,393 --> 00:13:21,264 あっ 鞠子と美子ですか? 多分 今 家で…。 164 00:13:21,264 --> 00:13:24,800 バカ者! 一瞬たりとも 遊ばせておくんじゃない! 165 00:13:24,800 --> 00:13:27,703 四六時中 雑誌の事を 考えさせておけ! すみません。 166 00:13:27,703 --> 00:13:30,673 全く 明日からが思いやられる! 167 00:13:30,673 --> 00:13:35,411 お力を… 貸して頂けるんですか? 168 00:13:35,411 --> 00:13:39,749 君は家族思いだから 孝行娘の手伝いをしてやるだけだ。 169 00:13:39,749 --> 00:13:42,249 君らのために ペンを握ってやる。 170 00:13:45,621 --> 00:13:49,759 ありがとうございます! 本当に うれしいです。 171 00:13:49,759 --> 00:13:52,094 終戦の日以来➡ 172 00:13:52,094 --> 00:13:56,766 初めて 他人の… それも➡ 173 00:13:56,766 --> 00:14:00,603 女性の言葉を 信じてみたくなったんだ! 174 00:14:00,603 --> 00:14:07,376 ♬~ 175 00:14:07,376 --> 00:14:10,780 でしたら…➡ 176 00:14:10,780 --> 00:14:13,280 私も 人生を賭けます。 177 00:14:15,618 --> 00:14:19,455 私も 自分の人生の全てをかけて➡ 178 00:14:19,455 --> 00:14:21,955 新しい雑誌を作ります。 179 00:14:24,293 --> 00:14:27,093 ハハハハハ。 180 00:14:29,165 --> 00:14:31,901 分かった。 181 00:14:31,901 --> 00:14:35,571 よろしくな。 常子さん。 182 00:14:35,571 --> 00:14:38,074 「さん」だなんて そんな…。 183 00:14:38,074 --> 00:14:41,874 君は社長だ。 「君」という訳にはいかんよ。 184 00:14:44,747 --> 00:14:48,250 はい…。 185 00:14:48,250 --> 00:14:52,755 よろしくお願いします。 花山さん。 186 00:14:52,755 --> 00:14:54,690 ああ。 187 00:14:54,690 --> 00:14:58,094 <こうして 常子と花山の➡ 188 00:14:58,094 --> 00:15:02,598 人々の暮らしを豊かにするための 雑誌作りが➡ 189 00:15:02,598 --> 00:15:05,598 始まったのです> 190 00:15:40,770 --> 00:15:45,341 夏の埼玉と東京を ぶらり旅。 191 00:15:45,341 --> 00:15:47,276 (松井)きれい…。 192 00:15:47,276 --> 00:15:50,076 すてきな出会いがありました。