1 00:00:34,132 --> 00:00:40,138 (鳥の鳴き声) 2 00:00:40,138 --> 00:00:43,458 (塚原親右衛門)真尋 早く来い! 3 00:00:43,458 --> 00:00:46,461 (真尋)兄上 怖い。 4 00:00:46,461 --> 00:00:49,464 神様に会いたくないのか? 5 00:00:49,464 --> 00:00:51,466 けど…。 6 00:00:51,466 --> 00:00:58,840 今夜 ご神殿の扉が開いて 鹿島の大神様が 目を覚まされる。 7 00:00:58,840 --> 00:01:01,959 一緒に見よう。 8 00:01:01,959 --> 00:01:04,796 はい。 9 00:01:04,796 --> 00:01:07,131 行くぞ! 10 00:01:07,131 --> 00:01:12,804 (鳥の鳴き声) 11 00:01:12,804 --> 00:01:32,807 (太鼓の音) 12 00:01:32,807 --> 00:01:38,129 <それは 正月7日。➡ 13 00:01:38,129 --> 00:01:41,799 年に一度 本殿の扉が開き➡ 14 00:01:41,799 --> 00:01:49,690 鹿島の大神様が お目覚めになる 御戸開神事の夜のことです> 15 00:01:49,690 --> 00:02:00,234 (太鼓の音) 16 00:02:00,234 --> 00:02:03,671 物忌様の輿だ。 17 00:02:03,671 --> 00:02:07,642 扉を開けに来たんだ。 18 00:02:07,642 --> 00:02:25,259 (太鼓の音) 19 00:02:25,259 --> 00:02:33,801 (笏拍子の音) 20 00:02:33,801 --> 00:02:39,123 (雷鳴) 21 00:02:39,123 --> 00:02:41,142 剣。 [ 心の声 ] 22 00:02:41,142 --> 00:02:46,798 (笏拍子の音) 23 00:02:46,798 --> 00:02:51,798 [ 心の声 ] あれが 大神様の剣か。 24 00:02:55,306 --> 00:02:59,127 (雷鳴) 25 00:02:59,127 --> 00:03:05,466 (笏拍子の音) 26 00:03:05,466 --> 00:03:15,166 (雷鳴) 27 00:03:19,130 --> 00:03:25,136 (物忌)そなた 鹿島の太刀を継ぐ者か? 28 00:03:25,136 --> 00:03:30,124 (笏拍子の音) 29 00:03:30,124 --> 00:03:34,795 そなたは いずれ 鹿島の太刀の…。 30 00:03:34,795 --> 00:03:54,795 (笏拍子の音) 31 00:04:06,460 --> 00:04:26,130 ♬~ 32 00:04:26,130 --> 00:04:28,449 兄上! 33 00:04:28,449 --> 00:04:33,454 <この夜 兄は 不思議な言葉を聞いたのです。➡ 34 00:04:33,454 --> 00:04:41,462 兄の名は 新右衛門 後の 塚原卜伝にございます> 35 00:04:41,462 --> 00:04:47,802 ♬~ 36 00:04:47,802 --> 00:04:53,791 ♬~ (テーマ音楽) 37 00:04:53,791 --> 00:05:50,791 ♬~ 38 00:06:29,787 --> 00:06:37,128 <常陸の国 鹿島は 日の本の東の端にあります。➡ 39 00:06:37,128 --> 00:06:42,950 武甕槌大神をお祭りする 鹿島大神宮を中心に➡ 40 00:06:42,950 --> 00:06:49,590 はるか昔から 東国鎮守の要と される地でございました。➡ 41 00:06:49,590 --> 00:06:56,113 御社の西側には 常陸大掾氏の一族 鹿島氏が 城を構え➡ 42 00:06:56,113 --> 00:07:03,454 ご城主は 神宮を警固する神官をも 兼ねておいででした。➡ 43 00:07:03,454 --> 00:07:11,595 永正2年 春 お城にて 兄の 元服の儀式が執り行われました。➡ 44 00:07:11,595 --> 00:07:17,518 烏帽子親は ご城主 鹿島景幹様です> 45 00:07:17,518 --> 00:07:25,626 ♬~ 46 00:07:25,626 --> 00:07:29,797 (鹿島景幹)我が名より 一字を与える。 47 00:07:29,797 --> 00:07:34,452 ♬~ 48 00:07:34,452 --> 00:07:40,374 これより 塚原新右衛門➡ 49 00:07:40,374 --> 00:07:45,162 高幹と名乗るがよい。 50 00:07:45,162 --> 00:07:47,198 はっ! 51 00:07:47,198 --> 00:08:01,996 ♬~ 52 00:08:01,996 --> 00:08:08,819 叔父御 よい跡継ぎができ 塚原の家も安泰じゃの。 53 00:08:08,819 --> 00:08:12,456 吉川殿より 養子にもらい受けて 7年。 54 00:08:12,456 --> 00:08:16,827 立派な若武者となり 養育の甲斐がありもうした。 55 00:08:16,827 --> 00:08:19,430 (景幹)剣の腕前は どうじゃ? (松本備前守)近頃では➡ 56 00:08:19,430 --> 00:08:24,101 それがしも 時に 打ち負かされる事もございまする。 57 00:08:24,101 --> 00:08:28,572 ほう。 備前守を負かすか。 58 00:08:28,572 --> 00:08:32,893 (塚原土佐守)幼少の頃より 吉川殿が 鹿島中古流の太刀を➡ 59 00:08:32,893 --> 00:08:36,163 備前守と それがしが 神道流の太刀を➡ 60 00:08:36,163 --> 00:08:39,783 厳しゅう仕込んで参りましたゆえ。 61 00:08:39,783 --> 00:08:43,120 何か 望みはあるのか? 62 00:08:43,120 --> 00:08:46,457 はい 一つございます。 63 00:08:46,457 --> 00:08:48,959 (景幹)申してみよ。 64 00:08:48,959 --> 00:08:53,797 他国を巡りとう存じます。 他国を? 65 00:08:53,797 --> 00:08:57,451 はい 武者修行にございます。 66 00:08:57,451 --> 00:09:01,121 回国修行に出て 強い武芸者達と戦い➡ 67 00:09:01,121 --> 00:09:04,421 剣の腕を磨きとう存じまする。 68 00:09:07,127 --> 00:09:11,131 それが 願いでございます。 69 00:09:11,131 --> 00:09:27,131 ♬~ 70 00:09:36,123 --> 00:09:49,623 ♬~ 71 00:10:03,133 --> 00:10:05,433 来い 左門。 72 00:10:08,789 --> 00:10:12,493 (山崎左門)参った。 左門 いま 一太刀。 73 00:10:12,493 --> 00:10:15,779 いや。 74 00:10:15,779 --> 00:10:18,279 今日は これまで。 75 00:10:20,467 --> 00:10:23,454 うん。 76 00:10:23,454 --> 00:10:25,806 広い世の中には たくさんの流派があり➡ 77 00:10:25,806 --> 00:10:30,127 強い武芸者もいるだろうに。 確かに。 78 00:10:30,127 --> 00:10:32,663 愛洲移香斎の陰流があり➡ 79 00:10:32,663 --> 00:10:35,466 西には 京八流という 古い流派がございますが。 80 00:10:35,466 --> 00:10:37,468 戦ってみたいのう。 81 00:10:37,468 --> 00:10:40,454 鹿島の太刀は ほかの流派よりも 強いのだろうか? 82 00:10:40,454 --> 00:10:44,858 無論にございます。 まず 鹿島中古流と申すは➡ 83 00:10:44,858 --> 00:10:48,362 国摩真人様が 神より授かりし剣法にて➡ 84 00:10:48,362 --> 00:10:51,799 およそ800年 神官の家に 代々受け継がれ…。 85 00:10:51,799 --> 00:10:54,468 左門は 他流と 戦った事があるのか? 86 00:10:54,468 --> 00:10:56,804 いいえ ございません。 87 00:10:56,804 --> 00:11:00,791 ならば 強いかどうか 分からぬではないか。 88 00:11:00,791 --> 00:11:04,528 なれど 回国修行は いかがなものかと…。 89 00:11:04,528 --> 00:11:10,117 若は… いや 塚原新右衛門高幹様は➡ 90 00:11:10,117 --> 00:11:13,137 鹿島家御一門 塚原家の跡取りにござりまするぞ。 91 00:11:13,137 --> 00:11:15,122 それよ。 塚原の父が➡ 92 00:11:15,122 --> 00:11:17,992 回国修行は まかりならんと うるそうてかなわぬ。 93 00:11:17,992 --> 00:11:22,129 [ 回想 ] いかんと言ったら いかん! 94 00:11:22,129 --> 00:11:25,799 塚原の家を どうするつもりじゃ? 95 00:11:25,799 --> 00:11:28,419 もっともな お言葉にござります。 96 00:11:28,419 --> 00:11:31,722 そこで 大先生に 後押しをお願い しようと思っていたのだが➡ 97 00:11:31,722 --> 00:11:34,558 今日は 稽古に見えられなんだ。 98 00:11:34,558 --> 00:11:37,795 吉川のお屋敷に おいでですよ。 俺の実家に? 99 00:11:37,795 --> 00:11:41,782 はい。 御社の普請の事で 旦那様に ご相談があるとか。 100 00:11:41,782 --> 00:11:45,582 それは 好都合。 吉川の父にも 後押しを頼んでおったのじゃ。 101 00:11:50,124 --> 00:11:54,128 (覚賢)蔀戸が落ち 瑞垣の破れもひどい。 102 00:11:54,128 --> 00:11:57,948 先の造営から はや70年がたっておるでの。 103 00:11:57,948 --> 00:12:03,020 その折も 造営遷座は諦め 修理のみで済ませたと聞くが➡ 104 00:12:03,020 --> 00:12:07,691 今は それすら おぼつかぬ。 105 00:12:07,691 --> 00:12:11,161 とは申せ このままでは 我ら神官一同➡ 106 00:12:11,161 --> 00:12:16,461 鹿島の神に対し奉り 申し訳が立たぬわ。 107 00:12:18,569 --> 00:12:23,457 <吉川家と松本家は 鹿島家の家臣であるとともに➡ 108 00:12:23,457 --> 00:12:27,461 代々続く 神官の家でもありました。➡ 109 00:12:27,461 --> 00:12:31,799 応仁の大乱から40年➡ 110 00:12:31,799 --> 00:12:37,454 打ち続く戦乱で 庇護者を失った 鹿島大神宮は➡ 111 00:12:37,454 --> 00:12:41,454 古びた御社の修理も できずにおりました> 112 00:12:46,447 --> 00:12:52,469 <また 神野の郷には 物忌館と いわれるお屋敷があり➡ 113 00:12:52,469 --> 00:12:57,458 物忌様が籠もり 住まわれておられます。➡ 114 00:12:57,458 --> 00:13:05,666 物忌様とは 巫女様であり 一生を 神に捧げられるお方です> 115 00:13:05,666 --> 00:13:12,122 ♬~ 116 00:13:12,122 --> 00:13:19,797 <申し遅れました。 私は 塚原新右衛門の妹 真尋。➡ 117 00:13:19,797 --> 00:13:24,497 今は 物忌様に お仕えしております> 118 00:13:26,570 --> 00:13:31,091 物忌様 お濡れになりませぬか? 119 00:13:31,091 --> 00:13:34,394 ♬~ 120 00:13:34,394 --> 00:13:36,394 大事ない。 121 00:13:38,449 --> 00:13:40,984 <神官の皆様にとっては➡ 122 00:13:40,984 --> 00:13:47,784 大神宮と物忌館の再建が 悲願でございました> 123 00:13:53,464 --> 00:13:56,133 ≪(足音) 124 00:13:56,133 --> 00:13:58,802 (家臣)若! 神野の郷より 知らせあり。 125 00:13:58,802 --> 00:14:02,456 賊が入り込んだとの事! 神野? 126 00:14:02,456 --> 00:14:04,958 物忌館か? 127 00:14:04,958 --> 00:14:07,158 出ていけ! 128 00:14:09,463 --> 00:14:12,783 左門! 若! 129 00:14:12,783 --> 00:14:14,802 物忌様は ご無事か? 130 00:14:14,802 --> 00:14:18,472 備前守のお働きにて。 131 00:14:18,472 --> 00:14:20,457 大先生! 132 00:14:20,457 --> 00:14:23,757 ♬~ 133 00:14:26,463 --> 00:14:28,463 (賊)わ~っ! 134 00:14:30,784 --> 00:14:36,123 ♬~ 135 00:14:36,123 --> 00:14:40,460 愚か者! 戦場では 気を許すな! 136 00:14:40,460 --> 00:14:42,760 申し訳ございません。 137 00:14:46,133 --> 00:14:49,469 若 おけがは? 何ともない。 138 00:14:49,469 --> 00:15:00,447 ♬~ 139 00:15:00,447 --> 00:15:04,785 まるで 鬼神じゃ。 140 00:15:04,785 --> 00:15:07,485 あっ 兄上。 141 00:15:09,456 --> 00:15:12,459 真尋。 142 00:15:12,459 --> 00:15:14,461 兄上。 143 00:15:14,461 --> 00:15:18,131 真尋。 はい。 144 00:15:18,131 --> 00:15:20,431 申し上げます! 145 00:15:22,119 --> 00:15:25,122 物忌様はご無事で 皆様のお働きを➡ 146 00:15:25,122 --> 00:15:28,822 ねぎらうようにとの 仰せにございます。 147 00:15:41,138 --> 00:15:54,801 ♬~ 148 00:15:54,801 --> 00:15:58,138 今宵は 夜通し 警固するゆえ➡ 149 00:15:58,138 --> 00:16:02,125 ゆるりとお休み下されと お伝え申せ。 150 00:16:02,125 --> 00:16:05,125 かしこまりました。 151 00:16:11,468 --> 00:16:15,138 賊は 香取の海一帯を荒らし回る 雑兵の一味だそうです。 152 00:16:15,138 --> 00:16:18,125 物忌様の館だと知っての事か? 153 00:16:18,125 --> 00:16:21,128 はい。 なんと! 154 00:16:21,128 --> 00:16:24,131 神域と知りながら 押し入ったのか? 155 00:16:24,131 --> 00:16:36,476 ♬~ 156 00:16:36,476 --> 00:16:43,116 この騒ぎの責めは 我ら 神官にある。 157 00:16:43,116 --> 00:16:49,139 尊い館を 血で汚されてしもうた。 158 00:16:49,139 --> 00:16:58,439 このままでは 鹿島の大神までが 侮られる。 159 00:17:06,473 --> 00:17:09,126 新右衛門。 160 00:17:09,126 --> 00:17:11,128 はっ。 161 00:17:11,128 --> 00:17:14,428 一手 立ち合わぬか? 162 00:17:40,123 --> 00:17:50,133 ♬~ 163 00:17:50,133 --> 00:17:54,137 [ 心の声 ] 首を狙うと見せて 足を打つ。 164 00:17:54,137 --> 00:18:22,132 ♬~ 165 00:18:22,132 --> 00:18:26,119 [ 心の声 ] 足を狙わせて 上から打ち下ろす。 166 00:18:26,119 --> 00:18:47,619 ♬~ 167 00:18:56,800 --> 00:19:03,800 新右衛門 そなた 鹿島を出よ。 168 00:19:06,126 --> 00:19:11,448 望みどおり 回国修行に出て 戦って参れ。 169 00:19:11,448 --> 00:19:19,122 そなたの剣で 鹿島の太刀の名を 世に広めるのじゃ。 170 00:19:19,122 --> 00:19:24,461 ♬~ 171 00:19:24,461 --> 00:19:26,797 はっ! 172 00:19:26,797 --> 00:19:35,122 ♬~ 173 00:19:35,122 --> 00:19:40,460 旦那様 新右衛門が 武者修行に 出るとは どういうわけです!? 174 00:19:40,460 --> 00:19:45,115 不承知の塚原様も 備前守様が ご説得なされたとか。 175 00:19:45,115 --> 00:19:47,801 殿のお許しも出た。 176 00:19:47,801 --> 00:19:50,787 もはや 我らが とやこう 口を出す事ではない。 177 00:19:50,787 --> 00:19:55,809 なれど 回国修行に出れば 命はないと。 178 00:19:55,809 --> 00:19:58,461 そのような危ない目に 遭わさずとも…。 179 00:19:58,461 --> 00:20:01,131 騒ぐな。 180 00:20:01,131 --> 00:20:06,453 新右衛門は 鹿島の神とともに戦うのだ。 181 00:20:06,453 --> 00:20:09,122 神とともに? 182 00:20:09,122 --> 00:20:12,809 新右衛門が 鹿島の太刀の名を上げれば➡ 183 00:20:12,809 --> 00:20:17,797 大神宮のご神徳も 再び 世に広まるという事か? 184 00:20:17,797 --> 00:20:25,472 さすれば おのずと寄進も増え 御社再建の足がかりともなる。 185 00:20:25,472 --> 00:20:28,458 鹿島の太刀の名が高まれば➡ 186 00:20:28,458 --> 00:20:32,796 敵対する者をひるませ 国の守りともなる。 187 00:20:32,796 --> 00:20:37,117 では 新右衛門は 鹿島のために? 188 00:20:37,117 --> 00:20:39,469 そればかりではないわ。 189 00:20:39,469 --> 00:20:43,473 言うてみれば 日々 伸びる苗木よ。 190 00:20:43,473 --> 00:20:47,127 苗木にございますか? 191 00:20:47,127 --> 00:20:50,463 より高う跳ぶための苗木じゃ。 192 00:20:50,463 --> 00:20:54,451 新右衛門は それを探しに行くのだ。 193 00:20:54,451 --> 00:21:38,151 ♬~ 194 00:21:43,466 --> 00:21:46,119 鹿島の浜風か。 195 00:21:46,119 --> 00:21:50,457 鹿島の浜風を聴くのも これが 最後かもしれんな。 196 00:21:50,457 --> 00:21:54,461 いずれ 旅の空で この海を 懐かしく思う日も来るであろう。 197 00:21:54,461 --> 00:21:57,130 さようですな。 198 00:21:57,130 --> 00:22:00,116 神の名を背負って 戦うのじゃ。 199 00:22:00,116 --> 00:22:03,119 敗れるわけにはいかんの。 200 00:22:03,119 --> 00:22:08,124 はい そのとおりにございます。 201 00:22:08,124 --> 00:22:14,424 しかし なぜ そのお供が 俺なのだ…。 202 00:22:18,134 --> 00:22:21,121 必ず ここに戻ってくる。 203 00:22:21,121 --> 00:22:24,124 鹿島の太刀とともに。 204 00:22:24,124 --> 00:22:32,132 ♬~ 205 00:22:32,132 --> 00:22:36,136 (雷鳴) 206 00:22:36,136 --> 00:22:39,139 青空に雷とは 妙ですな。 207 00:22:39,139 --> 00:22:42,792 我らへの はなむけかもしれん。 はい。 208 00:22:42,792 --> 00:22:46,296 行くぞ 左門。 鹿島立ちじゃ! 209 00:22:46,296 --> 00:22:53,296 (雷鳴) 210 00:23:10,470 --> 00:23:13,456 ♬~ 211 00:23:13,456 --> 00:23:15,792 う~ん。 212 00:23:15,792 --> 00:23:18,092 う~ん。 213 00:23:20,130 --> 00:23:23,466 真尋。 はい。 214 00:23:23,466 --> 00:23:29,456 新右衛門の旅立ちは 神の御心に かのうた。 215 00:23:29,456 --> 00:23:34,127 必ずや ご加護があろう。 216 00:23:34,127 --> 00:23:36,129 はい。 217 00:23:36,129 --> 00:23:40,133 (雷鳴) おや。 218 00:23:40,133 --> 00:23:45,138 雷が鳴っておるぞ。 219 00:23:45,138 --> 00:23:50,126 武甕槌大神が➡ 220 00:23:50,126 --> 00:23:53,630 旅立ちを祝うておられる。 221 00:23:53,630 --> 00:23:56,116 (雷鳴) 222 00:23:56,116 --> 00:24:01,137 兄上 ご武運を。 223 00:24:01,137 --> 00:24:14,134 ♬~ 224 00:24:14,134 --> 00:24:16,469 静かだな。 225 00:24:16,469 --> 00:24:19,139 この辺りは 代官の取り締まりも緩いゆえ➡ 226 00:24:19,139 --> 00:24:22,125 村人達も 用心してるんでしょう。 227 00:24:22,125 --> 00:24:25,128 …にしても 妙だな。 228 00:24:25,128 --> 00:24:27,130 構わずと急ぎましょう。 229 00:24:27,130 --> 00:24:30,784 石浜宿まで行かねば 宿はありませぬ。 230 00:24:30,784 --> 00:24:34,454 誰か 泣いてる。 赤子でございましょう。 231 00:24:34,454 --> 00:24:37,791 いや 女子じゃ。 232 00:24:37,791 --> 00:24:41,127 若! 寄り道はなりませぬ! 233 00:24:41,127 --> 00:24:43,797 じき 日が暮れまするぞ! 234 00:24:43,797 --> 00:24:48,797 こんな所で 野宿させられては たまらぬわ。 ふん! 235 00:24:56,793 --> 00:25:01,114 ≪(念仏の声と女達の泣き声) 236 00:25:01,114 --> 00:25:03,466 (高野聖)往生は ただ一度。➡ 237 00:25:03,466 --> 00:25:07,470 南無と唱うれば 来世は 極楽に生まる。 238 00:25:07,470 --> 00:25:09,456 ナムアミダブ ナムアミダブ…。 239 00:25:09,456 --> 00:25:13,126 念仏を唱えて 諸国を回る 高野聖にございます。 240 00:25:13,126 --> 00:25:16,129 弔いか? …にしては 様子がおかしい。 241 00:25:16,129 --> 00:25:20,467 (高野聖)ナムアミダブ ナムアミダブ ナム…。 242 00:25:20,467 --> 00:25:23,167 我々には 関わりなき事。 さあ。 243 00:25:25,121 --> 00:25:27,790 (女達の泣き声) (男1)しかたねえ。 244 00:25:27,790 --> 00:25:29,792 村を守るためじゃ。 245 00:25:29,792 --> 00:25:33,129 (男2)魔物に魅入られたと思うて 諦めてくれ。 246 00:25:33,129 --> 00:25:36,129 ≪あの…。 (悲鳴) 247 00:25:38,468 --> 00:25:41,804 すまぬ。 何をしておるのじゃ? 248 00:25:41,804 --> 00:25:44,791 主は 四郎兵衛の手下か? 249 00:25:44,791 --> 00:25:47,460 四郎兵衛? いや 俺は 塚原新右衛門。 250 00:25:47,460 --> 00:25:49,445 鹿島から来た者じゃ。 若! 251 00:25:49,445 --> 00:25:51,464 (村人の悲鳴) 252 00:25:51,464 --> 00:25:54,467 この者は 山崎左門。 俺の連れじゃ。 253 00:25:54,467 --> 00:25:59,138 四郎兵衛とは 何者じゃ? 訳を話してくれぬか? 254 00:25:59,138 --> 00:26:01,791 (娘1)四郎兵衛は 山賊の頭じゃ! 255 00:26:01,791 --> 00:26:04,460 これ! 余計な事 言うでねえ! 256 00:26:04,460 --> 00:26:06,462 わしらを さらいに やってくるだ! 257 00:26:06,462 --> 00:26:08,798 山賊が来るなら なぜ 逃げぬ? 258 00:26:08,798 --> 00:26:11,467 こんなとこに隠れていても すぐに 捕まってしまうぞ。 259 00:26:11,467 --> 00:26:16,472 隠れているのでねえ! おら達は 四郎兵衛を待っているだ! 260 00:26:16,472 --> 00:26:18,472 はっ? 261 00:26:21,794 --> 00:26:28,117 逃げれば 村人は 皆殺しでございます。 262 00:26:28,117 --> 00:26:31,454 娘達と米を差し出さねば➡ 263 00:26:31,454 --> 00:26:37,810 村は焼かれ 皆 虫けらのように ひねり殺されるのです。 264 00:26:37,810 --> 00:26:40,797 お侍様 わしらを 助けてくれ! 265 00:26:40,797 --> 00:26:43,800 (娘2)四郎兵衛を成敗してくれ! 266 00:26:43,800 --> 00:26:47,804 (男2)バカ言うでねえ! このお侍に 何ができる?➡ 267 00:26:47,804 --> 00:26:51,791 ヤツらは 何十人といるんだ。 代官は 何をしておるのじゃ? 268 00:26:51,791 --> 00:26:54,811 (男1)代官なんぞ 年貢をふんだくってくだけだ。➡ 269 00:26:54,811 --> 00:26:57,130 村は 自分達で守るしかねえんだ。 270 00:26:57,130 --> 00:27:02,118 百姓は 奪われるばかり。 哀れでござります。 271 00:27:02,118 --> 00:27:04,804 せめて 念仏なりとも。 272 00:27:04,804 --> 00:27:08,124 ナムアミダブ ナムアミダブ…。 273 00:27:08,124 --> 00:27:11,461 早う行ってくれ。 主らが居っては➡ 274 00:27:11,461 --> 00:27:15,114 かえって災いとなる。 若 参りましょう。 275 00:27:15,114 --> 00:27:17,800 (男2)早う行け!➡ 276 00:27:17,800 --> 00:27:20,136 早う行けよ! 277 00:27:20,136 --> 00:27:23,122 (娘達の泣き声) 278 00:27:23,122 --> 00:27:26,459 ナムアミダブ ナムアミダブ ナムアミダブ…。 279 00:27:26,459 --> 00:27:32,465 ♬~ 280 00:27:32,465 --> 00:27:36,119 うん! やはり 捨て置けぬ。 281 00:27:36,119 --> 00:27:39,122 見逃せば 己の心に 曇りが生じる。 282 00:27:39,122 --> 00:27:42,475 曇った心では 鹿島の太刀は使えぬ。 283 00:27:42,475 --> 00:27:44,794 若! 284 00:27:44,794 --> 00:27:49,799 若は まだ まことの戦を知らぬ。 285 00:27:49,799 --> 00:27:52,802 いかなる策をもって 山賊どもと やり合うおつもりか? 286 00:27:52,802 --> 00:27:55,471 策はない。 ただ 斬る。 287 00:27:55,471 --> 00:27:58,124 剣術を心得ぬやからといえど➡ 288 00:27:58,124 --> 00:28:01,127 大勢で来られては 万に一つという事もございます。 289 00:28:01,127 --> 00:28:04,130 まあ いい腕試しじゃないか。 290 00:28:04,130 --> 00:28:08,468 ここで 命を落とすほどなら この先も ろくな働きはできまい。 291 00:28:08,468 --> 00:28:11,120 ああ…。 292 00:28:11,120 --> 00:28:14,791 言いだしたら 聞かない。 293 00:28:14,791 --> 00:28:16,793 しかたない。 294 00:28:16,793 --> 00:28:23,132 では まず 弓にて 四郎兵衛を射ましょう。 295 00:28:23,132 --> 00:28:28,788 山賊など 頭分が討たれれば 存外 たあいなく崩れるものゆえ。 296 00:28:28,788 --> 00:28:32,125 ともに戦ってくれるな? 297 00:28:32,125 --> 00:28:34,794 若に もしもの事あらば➡ 298 00:28:34,794 --> 00:28:38,094 それがしも 生きて 国には帰れませぬ。 299 00:28:43,469 --> 00:28:46,789 女達が待っておるぞ! (一同)おうっ! 300 00:28:46,789 --> 00:28:50,460 洗いざらい かっさらって 今宵は 宴じゃ! 301 00:28:50,460 --> 00:28:52,462 (一同)おうっ! 302 00:28:52,462 --> 00:28:55,782 それそれ! 303 00:28:55,782 --> 00:28:58,082 来たぞ。 304 00:29:03,456 --> 00:29:06,459 (男1)四郎兵衛様のご到着だ! 305 00:29:06,459 --> 00:29:10,129 (男2)早う出て参れ! ハハハ…。 306 00:29:10,129 --> 00:29:12,429 あれが 四郎兵衛か。 307 00:29:15,802 --> 00:29:19,789 (四郎兵衛) 女達は居るか? 早う出て参れ! 308 00:29:19,789 --> 00:29:23,089 出てこぬと 村ことごとく 焼き尽くすぞ! 309 00:29:28,464 --> 00:29:30,466 うっ! 310 00:29:30,466 --> 00:29:37,123 ♬~ 311 00:29:37,123 --> 00:29:39,125 うわっ! 312 00:29:39,125 --> 00:30:02,799 ♬~ 313 00:30:02,799 --> 00:30:05,802 (男)おのれ! 314 00:30:05,802 --> 00:30:09,806 おい 行くぞ! (一同)おう! 315 00:30:09,806 --> 00:30:18,631 ♬~ 316 00:30:18,631 --> 00:30:21,451 ヤツら 闇の中でも 目が利くようです。 317 00:30:21,451 --> 00:30:23,469 地をはって 向かって参ります。 318 00:30:23,469 --> 00:30:31,794 ♬~ 319 00:30:31,794 --> 00:30:34,464 囲まれては危ない! よし! 320 00:30:34,464 --> 00:30:40,164 ♬~ 321 00:30:41,788 --> 00:30:43,790 (男1)やあっ! 322 00:30:43,790 --> 00:30:46,790 えい! やあ! 323 00:30:51,798 --> 00:30:56,786 ♬~ 324 00:30:56,786 --> 00:31:00,456 (男2)敵は たった2人じゃ! 一気に かかれ! 325 00:31:00,456 --> 00:31:02,792 (一同)おうっ! 326 00:31:02,792 --> 00:31:06,128 [ 心の声 ] 落ち着け。 1人だ。➡ 327 00:31:06,128 --> 00:31:08,798 常に 1人とのみ斬り合えばよい。 328 00:31:08,798 --> 00:31:10,800 死ねっ! 329 00:31:10,800 --> 00:31:24,463 ♬~ 330 00:31:24,463 --> 00:31:28,134 おのれ! こわっぱ! 331 00:31:28,134 --> 00:31:31,137 ♬~ 332 00:31:31,137 --> 00:31:33,122 そりゃっ! 333 00:31:33,122 --> 00:31:54,622 ♬~ 334 00:32:00,116 --> 00:32:03,135 おけがは ありませぬか? 335 00:32:03,135 --> 00:32:05,135 若。 336 00:32:07,456 --> 00:32:12,128 初めて 人を斬った。 337 00:32:12,128 --> 00:32:18,128 このように ずしりと 身の奥にまで響くものか…。 338 00:32:20,469 --> 00:32:24,790 初陣 お見事でございました。 339 00:32:24,790 --> 00:32:27,460 うん 不思議じゃ。 340 00:32:27,460 --> 00:32:31,447 刀に導かれるように 体が動いた。 341 00:32:31,447 --> 00:32:35,117 それが 身に付いた 剣術でございます。 342 00:32:35,117 --> 00:32:40,623 強いものじゃ 鹿島の太刀は。 343 00:32:40,623 --> 00:32:46,796 ♬~ 344 00:32:46,796 --> 00:32:50,132 おかしいな。 あれだけ動いたというのに➡ 345 00:32:50,132 --> 00:32:54,132 少しも疲れてない。 それがしもです。 346 00:32:56,789 --> 00:33:04,130 血に酔うと申しまして 戦いの後は 誰しも 気が高ぶるものなのです。 347 00:33:04,130 --> 00:33:07,133 血に酔うか…。 348 00:33:07,133 --> 00:33:13,456 なるほど。 御酒を頂いた時の 心地に似ておる。 349 00:33:13,456 --> 00:33:16,125 用心せねばなりませぬ。 350 00:33:16,125 --> 00:33:21,464 血に酔う事に溺れていては いずれ 身を滅ぼしますゆえ。 351 00:33:21,464 --> 00:33:23,449 うん。 352 00:33:23,449 --> 00:33:26,118 ≪(高野聖)お~い! 353 00:33:26,118 --> 00:33:28,804 何ぞ用じゃ? 354 00:33:28,804 --> 00:33:35,127 ああ 村の者達が 礼も申さず ご無礼をいたしました。 355 00:33:35,127 --> 00:33:37,127 かまわぬ。 356 00:33:51,794 --> 00:33:55,798 (蚊の羽音) 357 00:33:55,798 --> 00:34:03,139 お侍様は 回国修行と仰せでしたが お道筋は どのように? 358 00:34:03,139 --> 00:34:05,458 まずは 都を目指す。 359 00:34:05,458 --> 00:34:08,461 陸路で? いや 品川から船だ。 360 00:34:08,461 --> 00:34:10,629 (高野聖)品川からの出船は➡ 361 00:34:10,629 --> 00:34:13,632 打ち続く戦乱で 途絶えておりまするぞ。 362 00:34:13,632 --> 00:34:17,432 拙僧 それを お伝えに参ったのです。 363 00:34:19,121 --> 00:34:25,461 フフフ…。 ヘヘヘ…。 364 00:34:25,461 --> 00:34:28,464 しかし それは参ったな。 365 00:34:28,464 --> 00:34:31,117 しかたがない。 陸路で行くか。 366 00:34:31,117 --> 00:34:34,470 それでは 都に着くまでに 夜盗達と➡ 367 00:34:34,470 --> 00:34:37,473 幾たび 戦う事に なるかもしれませぬぞ。 368 00:34:37,473 --> 00:34:40,126 小田原に向かいなされ。 369 00:34:40,126 --> 00:34:44,130 桑名までの船が出ておりますゆえ。 370 00:34:44,130 --> 00:34:48,801 小田原か。 伊勢宗瑞様の政が行き届いて➡ 371 00:34:48,801 --> 00:34:51,137 穏やかな土地でござりますよ。 372 00:34:51,137 --> 00:34:55,124 伊勢宗瑞とは 誰じゃ? 373 00:34:55,124 --> 00:34:59,128 駿河の内紛を治め 伊豆を平定し➡ 374 00:34:59,128 --> 00:35:02,448 今では 小田原も 手に入れたお方。 375 00:35:02,448 --> 00:35:05,801 戦上手の傑物ですよ。 ハハハハ! 376 00:35:05,801 --> 00:35:09,121 お前様は 物知りじゃな ハハハ…。 377 00:35:09,121 --> 00:35:12,808 面白い。 そこに行けば 武芸者に出会えるかもしれぬ。 378 00:35:12,808 --> 00:35:16,128 はい。 行ってみるか? 小田原に。 379 00:35:16,128 --> 00:35:18,130 はい。 380 00:35:18,130 --> 00:35:21,467 ♬~ 381 00:35:21,467 --> 00:35:27,123 (高野聖)ナムアミダブ ナムアミダブ ナムアミダブツ。 382 00:35:27,123 --> 00:35:31,794 ♬~ 383 00:35:31,794 --> 00:35:35,798 では 御坊。 息災で。 384 00:35:35,798 --> 00:35:58,454 ♬~ 385 00:35:58,454 --> 00:36:02,124 何でございましょう? えっ? 386 00:36:02,124 --> 00:36:05,127 ご城内で 剣術の試合が あるようじゃ。 387 00:36:05,127 --> 00:36:10,132 「駿河の守護職 今川五郎氏親様が お抱えの武芸者➡ 388 00:36:10,132 --> 00:36:14,120 牧 元鬼なる者の 対戦相手を求めている。➡ 389 00:36:14,120 --> 00:36:16,789 腕に覚えのある者は 名乗り出よ」とあります。 390 00:36:16,789 --> 00:36:19,792 これは よい時に来合わせた。 391 00:36:19,792 --> 00:36:22,128 「牧 元鬼なる武芸者は➡ 392 00:36:22,128 --> 00:36:24,797 大浮流の使い手」とありまするが➡ 393 00:36:24,797 --> 00:36:28,450 はて 聞いた事もない流派だ。 お頼み申す。 394 00:36:28,450 --> 00:36:31,450 (番卒)こちらに では 一筆を。 心得た。 395 00:36:34,140 --> 00:36:37,840 若 もう お気の早い。 396 00:36:39,461 --> 00:36:41,461 若。 397 00:36:50,122 --> 00:36:53,125 どうしたのじゃ? 398 00:36:53,125 --> 00:36:58,464 牧 元鬼なる者 なかなかの使い手のようですぞ。 399 00:36:58,464 --> 00:37:01,467 立ち続けに 5人を斬り捨てたとか。 400 00:37:01,467 --> 00:37:05,137 そもそも 大浮流という流派が いかがわしゅうございます。 401 00:37:05,137 --> 00:37:07,790 いかなる太刀筋か 見当もつきませぬ。 402 00:37:07,790 --> 00:37:10,125 のう 左門。 403 00:37:10,125 --> 00:37:14,463 俺は 他流と剣を交える事が 初めてなのじゃ。 404 00:37:14,463 --> 00:37:19,163 相手が何流であろうと 同じだべ? 405 00:37:22,137 --> 00:37:25,791 (男)宿の者でございますが。 何用だ? 406 00:37:25,791 --> 00:37:28,791 お客様を訪ねてきた者が。 407 00:37:31,463 --> 00:37:33,463 ウフン! 408 00:37:35,134 --> 00:37:37,434 ヘヘヘ…。 409 00:37:39,138 --> 00:37:45,461 いや~ 塚原様が 牧 元鬼と 剣を交えると聞いて➡ 410 00:37:45,461 --> 00:37:50,132 宿を探しました。 耳の早い坊様だな。 411 00:37:50,132 --> 00:37:52,468 御坊は 牧 元鬼を ご存じか? 412 00:37:52,468 --> 00:37:56,805 私どものように 諸国を旅する者で➡ 413 00:37:56,805 --> 00:37:59,458 あの人鬼を知らぬ者はありませぬ。 414 00:37:59,458 --> 00:38:02,127 人鬼とな。 あれは➡ 415 00:38:02,127 --> 00:38:05,798 以前は 傀儡師として 諸国を 回っていた者でございます。 416 00:38:05,798 --> 00:38:08,784 傀儡師? 人形遣いの事にございます。 417 00:38:08,784 --> 00:38:13,138 中には 武芸を見せる者もおります。 418 00:38:13,138 --> 00:38:17,793 牧 元鬼の売り物は 真剣勝負。 419 00:38:17,793 --> 00:38:20,796 情け容赦なく斬り殺す事から➡ 420 00:38:20,796 --> 00:38:24,466 人鬼と 呼ばれているのでございます。 421 00:38:24,466 --> 00:38:31,807 ♬~(横笛) 422 00:38:31,807 --> 00:38:37,129 (いびき) 423 00:38:37,129 --> 00:39:01,470 ≪♬~(横笛) 424 00:39:01,470 --> 00:39:03,789 寝つけませんのか? 425 00:39:03,789 --> 00:39:07,126 笛の音が 妙に 耳につく。 426 00:39:07,126 --> 00:39:10,462 ♬~(横笛) 427 00:39:10,462 --> 00:39:16,785 明日は 大事な試合なれば 気が高ぶるのも 当たり前。 428 00:39:16,785 --> 00:39:20,456 笛を聴くと 鹿島の祭りを 思い出すな。 429 00:39:20,456 --> 00:39:25,794 おや? もう 鹿島が恋しいのですか? 430 00:39:25,794 --> 00:39:29,465 バカを言え。 童ではないわ。 431 00:39:29,465 --> 00:39:35,120 ハハハ… ああ いい月夜だ。 432 00:39:35,120 --> 00:39:40,142 弓張り月ですな。 あの夜も こんな月がかかってた。 433 00:39:40,142 --> 00:39:42,461 えっ? 434 00:39:42,461 --> 00:39:49,761 昔な 鹿島の大神様を 見ようとした事がある。 435 00:39:51,453 --> 00:39:56,458 まだ 吉川の家に居た頃だから 8つか 9つ。 436 00:39:56,458 --> 00:40:01,113 正月7日の御戸開神事の夜じゃ。 437 00:40:01,113 --> 00:40:06,468 大人達が 尊いという大神様が どんなお姿をしているのか➡ 438 00:40:06,468 --> 00:40:11,468 見とうてたまらず 妹の真尋と 2人で出かけた。 439 00:40:14,126 --> 00:40:16,128 その時じゃ。 440 00:40:16,128 --> 00:40:21,467 ♬~ 441 00:40:21,467 --> 00:40:27,467 そなた 鹿島の太刀を継ぐ者か? 442 00:40:29,792 --> 00:40:36,131 そなたは いずれ 鹿島の太刀のために➡ 443 00:40:36,131 --> 00:40:41,131 その命を懸ける事となる。 444 00:40:42,788 --> 00:40:45,808 よいな? 445 00:40:45,808 --> 00:41:05,127 ♬~ 446 00:41:05,127 --> 00:41:08,464 兄上! 447 00:41:08,464 --> 00:41:12,468 ♬~ 448 00:41:12,468 --> 00:41:18,123 全ては 童の頃に見た 夢であったのかもしれぬが…。 449 00:41:18,123 --> 00:41:22,461 その話 初めて承ります。 450 00:41:22,461 --> 00:41:24,797 誰にも話さなんだ。 451 00:41:24,797 --> 00:41:28,467 なにやら 恐ろしい気がしてな。 452 00:41:28,467 --> 00:41:33,539 なれど 回国修行に出る事は➡ 453 00:41:33,539 --> 00:41:37,126 あの時から 定まっていたような気がする。 454 00:41:37,126 --> 00:41:40,796 ♬~ 455 00:41:40,796 --> 00:41:46,496 明日は 心を無にして 戦うまでじゃ。 456 00:41:52,124 --> 00:41:59,131 ♬~ 457 00:41:59,131 --> 00:42:02,784 鹿島の神の名に懸けて 負けるわけにはいかぬ。 458 00:42:02,784 --> 00:42:04,803 (女の悲鳴) 459 00:42:04,803 --> 00:42:08,457 狼藉者 無礼は許さぬぞ! 460 00:42:08,457 --> 00:42:12,794 兵法天下一を決める試合 いかかじゃ? 461 00:42:12,794 --> 00:42:15,447 真剣で戦われると 伺いました。 462 00:42:15,447 --> 00:42:17,466 命を懸けて 何になるのでしょう!? 463 00:42:17,466 --> 00:42:19,785 鹿乃殿が 口を出す事ではございません! 464 00:42:19,785 --> 00:42:22,788 片や 海内無双 こなた 当代随一。 465 00:42:22,788 --> 00:42:26,458 大内家と細川家の一騎打ちと 相なった。 466 00:42:26,458 --> 00:42:30,758 ♬~ 467 00:42:33,465 --> 00:42:36,451 <日本列島の東に位置する➡ 468 00:42:36,451 --> 00:42:39,788 茨城県の鹿島神宮。➡ 469 00:42:39,788 --> 00:42:42,140 東国支配の要として➡ 470 00:42:42,140 --> 00:42:47,462 古来より 人々の崇敬を集めてきました。➡ 471 00:42:47,462 --> 00:42:53,118 これは 鹿島の神 武甕槌神のご神刀。➡ 472 00:42:53,118 --> 00:42:57,118 奈良時代の制作と推定される 国宝です> 473 00:42:58,790 --> 00:43:03,795 <神宮の神官を務める卜部吉川家に 生まれた卜伝は➡ 474 00:43:03,795 --> 00:43:08,467 若くして 鹿島の太刀を会得します。➡ 475 00:43:08,467 --> 00:43:11,453 長年の修行の末 編み出したのが➡ 476 00:43:11,453 --> 00:43:15,123 鹿島新當流です。➡ 477 00:43:15,123 --> 00:43:20,128 卜伝の剣は 今を生きる鹿島の人々にまで➡ 478 00:43:20,128 --> 00:43:23,828 連綿と受け継がれています>