1 00:01:29,165 --> 00:01:34,537 (セミの鳴き声) 2 00:01:34,537 --> 00:01:36,873 (真尋)<兄 新右衛門は➡ 3 00:01:36,873 --> 00:01:40,510 相変わらず 大内家に 寄宿する身でございましたが➡ 4 00:01:40,510 --> 00:01:47,210 その心中には いささか 変化の兆しが表れておりました> 5 00:01:50,853 --> 00:01:55,391 ♬~ 6 00:01:55,391 --> 00:01:57,827 (左門)三の組太刀 始め! 7 00:01:57,827 --> 00:02:01,097 (門弟達)はっ! 8 00:02:01,097 --> 00:02:03,833 若。 9 00:02:03,833 --> 00:02:06,903 若。 10 00:02:06,903 --> 00:02:10,707 (新右衛門)すまん。 考え事をしておった。 11 00:02:10,707 --> 00:02:21,117 ♬~ 12 00:02:21,117 --> 00:02:24,454 (佐伯一馬)頼もう! 13 00:02:24,454 --> 00:02:27,690 お頼み申す! (門番)何だ? おぬし。 14 00:02:27,690 --> 00:02:32,228 塚原新右衛門殿に お取り次ぎ願いたい。 15 00:02:32,228 --> 00:02:35,832 (佐伯)手前 塚原殿の高名を 耳にし➡ 16 00:02:35,832 --> 00:02:40,269 一手 ご指南頂きたく まかり越しました。 17 00:02:40,269 --> 00:02:46,976 して 何をもって 立ち合いをお望みか? 18 00:02:46,976 --> 00:02:49,012 木刀で。 19 00:02:49,012 --> 00:02:53,783 ♬~ 20 00:02:53,783 --> 00:02:56,285 始め! (佐伯)た~っ! 21 00:02:56,285 --> 00:02:59,322 ♬~ 22 00:02:59,322 --> 00:03:01,357 た~っ! 23 00:03:01,357 --> 00:03:05,495 ♬~ 24 00:03:05,495 --> 00:03:07,530 た~っ! 25 00:03:07,530 --> 00:03:10,666 ♬~ 26 00:03:10,666 --> 00:03:12,702 た~っ! 27 00:03:12,702 --> 00:03:16,606 ♬~ 28 00:03:16,606 --> 00:03:18,641 参った。 29 00:03:18,641 --> 00:03:23,012 ♬~ 30 00:03:23,012 --> 00:03:25,048 (佐伯)参った。 31 00:03:25,048 --> 00:03:27,917 ♬~ 32 00:03:27,917 --> 00:03:29,952 参りました! 33 00:03:29,952 --> 00:03:33,122 気迫だけで 相手を打ち負かすとは➡ 34 00:03:33,122 --> 00:03:37,026 また一段と 剣の腕を上げたようだな。 35 00:03:37,026 --> 00:03:45,501 なれど 近頃の新右衛門様のご様子 私には 恐ろしゅうございます。 36 00:03:45,501 --> 00:03:48,371 ♬~ 37 00:03:48,371 --> 00:03:52,275 (佐伯)ごめん。 (門弟達の高笑い) 38 00:03:52,275 --> 00:03:54,875 (門弟達の高笑い) 39 00:03:57,013 --> 00:04:14,230 ♬~ (テーマ音楽) 40 00:04:14,230 --> 00:05:21,597 ♬~ 41 00:05:21,597 --> 00:05:24,367 ♬~ 42 00:05:24,367 --> 00:05:38,067 ♬~ 43 00:05:43,319 --> 00:05:46,219 潮時かの。 44 00:05:49,225 --> 00:05:52,962 何か言われましたか? 45 00:05:52,962 --> 00:05:58,134 左門は あの佐伯とかいう男 どう見た? 46 00:05:58,134 --> 00:06:02,672 まだ 年若くあれど なかなかの使い手かと。 47 00:06:02,672 --> 00:06:06,842 だが すぐに負けを認めた。 48 00:06:06,842 --> 00:06:08,878 当然にございます。 49 00:06:08,878 --> 00:06:12,415 今や この京において 若と 互角に立ち合える者など➡ 50 00:06:12,415 --> 00:06:14,650 居りはしませぬ。 なれば これ以上➡ 51 00:06:14,650 --> 00:06:20,089 京に居たところで 望むような 剣の修行など積めまい。 52 00:06:20,089 --> 00:06:22,892 ああ なるほど。 53 00:06:22,892 --> 00:06:26,195 それで このところ 何やら 考え込んでおられたのですか? 54 00:06:26,195 --> 00:06:29,198 うん。 55 00:06:29,198 --> 00:06:33,836 なれど 若 いささか 慢心が過ぎませぬか? 56 00:06:33,836 --> 00:06:37,406 どういう事じゃ? 確かに 若は お強い。 57 00:06:37,406 --> 00:06:43,246 なれど まことの剣の強さと いうのは 剣の技のみにあらず。 58 00:06:43,246 --> 00:06:47,450 技と心が 一つになる事でございます。 59 00:06:47,450 --> 00:06:51,254 名はなくとも 優れた使い手という 者は まだまだ居るはず。 60 00:06:51,254 --> 00:06:55,154 慢心は いずれ 油断に通じまするぞ。 61 00:06:57,393 --> 00:07:00,963 話は まだ 終わっておりませぬ。 もう よい。 62 00:07:00,963 --> 00:07:03,499 俺は 慢心などはしておらぬ。 63 00:07:03,499 --> 00:07:07,503 ただ 強き相手と 立ち合うてみたいだけじゃ。 64 00:07:07,503 --> 00:07:15,378 ♬~ 65 00:07:15,378 --> 00:07:17,880 (丹後)ほう! これはすばらしい! 66 00:07:17,880 --> 00:07:21,284 (美津)唐の時代のものや いう事です。 67 00:07:21,284 --> 00:07:24,520 ああ 殿も 気に入られる事であろう。 68 00:07:24,520 --> 00:07:27,757 こうして うちが 商いできてますのも➡ 69 00:07:27,757 --> 00:07:32,057 大内のお殿様の 後ろ盾があればこそ。 70 00:07:35,965 --> 00:07:39,435 間もなく 殿のお手に 勘合が入る。 71 00:07:39,435 --> 00:07:42,171 まあ! それは! 72 00:07:42,171 --> 00:07:46,175 これで ようやく 今までの苦労が 報われるというもの。 73 00:07:46,175 --> 00:07:49,578 よいか? お美津。 殿が 明との商いの➡ 74 00:07:49,578 --> 00:07:51,747 正式な利権を 握った折には➡ 75 00:07:51,747 --> 00:07:56,085 そのほうにも 今まで以上に 働いてもらわねばならんぞ。 76 00:07:56,085 --> 00:08:00,089 喜んで。 今後とも よろしゅうお願いいたします。 77 00:08:00,089 --> 00:08:02,525 うん うん フフフ…。 78 00:08:02,525 --> 00:08:05,428 ハハハ…。 79 00:08:05,428 --> 00:08:08,197 ごめん。 あっ! 80 00:08:08,197 --> 00:08:11,500 いかがした?! うん? 81 00:08:11,500 --> 00:08:15,200 うん。 おお! これ すばらしい。 82 00:08:20,176 --> 00:08:23,646 この家を出る? はい。 83 00:08:23,646 --> 00:08:26,115 なぜ 急に そのような事を? 84 00:08:26,115 --> 00:08:28,651 何ぞ 当家のもてなしに 不満でも? 85 00:08:28,651 --> 00:08:32,355 いいえ。 丹後様には 過分なるお心遣い➡ 86 00:08:32,355 --> 00:08:34,824 感謝しても しきれませぬ。 87 00:08:34,824 --> 00:08:38,861 では 何ゆえ? もはや 居らんのです。 88 00:08:38,861 --> 00:08:43,766 この京には 戦うべき相手が。 89 00:08:43,766 --> 00:08:48,404 それがしが 京に参ったのは 強き相手と立ち合うため。 90 00:08:48,404 --> 00:08:54,710 なれど このところ そのような 相手に 巡り合うておりませぬ。 91 00:08:54,710 --> 00:09:00,616 確かに 今の新右衛門と 互角に戦える相手は居らん。 92 00:09:00,616 --> 00:09:04,387 お暇を頂きたく存じます。 93 00:09:04,387 --> 00:09:08,591 そこまで申されるなら いたしかたないか…。 94 00:09:08,591 --> 00:09:13,229 そんな回国修行など おやめやす。 95 00:09:13,229 --> 00:09:16,065 何を言いだすんじゃ? 96 00:09:16,065 --> 00:09:20,236 強うなって 名ぁ売っても それは 一時の事。 97 00:09:20,236 --> 00:09:24,306 やがては 人の口にも 上らんようになる。 98 00:09:24,306 --> 00:09:27,343 そんな剣術使いを うちは知ってます。 99 00:09:27,343 --> 00:09:30,312 美津殿は 思い違いをしておられる。 100 00:09:30,312 --> 00:09:33,182 それがしは 名を売りたいわけでは ござりませぬ。 101 00:09:33,182 --> 00:09:37,086 そのお方は 新様と同しくらい…。 102 00:09:37,086 --> 00:09:43,058 いや 事によったら 新様より お強いかもしれまへん。 103 00:09:43,058 --> 00:09:45,327 (丹後)お美津 それは まことか? 104 00:09:45,327 --> 00:09:52,201 はい。 今から もう 10年以上も 前になりますやろか。➡ 105 00:09:52,201 --> 00:09:58,707 回国修行やいうて 京に上ってきたお人で➡ 106 00:09:58,707 --> 00:10:01,510 二刀を使う方が居りました。➡ 107 00:10:01,510 --> 00:10:07,917 そのお方 命を懸けた立ち合いが 二十数回に及び➡ 108 00:10:07,917 --> 00:10:11,720 一遍も負けた事は なかったとの事。 109 00:10:11,720 --> 00:10:16,258 まるで 今の新様のようでしたわ。 110 00:10:16,258 --> 00:10:20,329 その御仁は 今も都に? 111 00:10:20,329 --> 00:10:22,298 恐らくは…。 112 00:10:22,298 --> 00:10:27,136 信じられん そのような男が居るとは。 113 00:10:27,136 --> 00:10:31,907 美津殿 その男の名は? 114 00:10:31,907 --> 00:10:35,678 確か 奥津… 何たらいいましたな。 115 00:10:35,678 --> 00:10:37,980 奥津?! そや。 116 00:10:37,980 --> 00:10:43,018 奥津源三郎いいましたな。 117 00:10:43,018 --> 00:10:48,324 奥津源三郎。 118 00:10:48,324 --> 00:10:51,360 [回想] 手前は 御所で 御蔵方を務めております➡ 119 00:10:51,360 --> 00:10:53,963 奥津源三郎と申す者でござる。 120 00:10:53,963 --> 00:10:57,500 昨年の御前試合 手前も拝見いたしまして➡ 121 00:10:57,500 --> 00:11:02,404 塚原殿の剣技には 甚だ感服つかまつりました。 122 00:11:02,404 --> 00:11:07,543 ♬~ 123 00:11:07,543 --> 00:11:10,246 気が変わったとは いかな事で? 124 00:11:10,246 --> 00:11:13,716 言うたとおりよ。 京を去るのは しばし日延べじゃ。 125 00:11:13,716 --> 00:11:17,419 この京には もはや 戦うべき 相手は居らぬと思っておったが➡ 126 00:11:17,419 --> 00:11:19,955 地に伏しておる使い手とは 居るものじゃ。 127 00:11:19,955 --> 00:11:24,360 しかし 奥津殿が それほどの男とは…。 128 00:11:24,360 --> 00:11:28,664 若は その奥津源三郎なるお人を 知っておられるのですか? 129 00:11:28,664 --> 00:11:31,064 以前 一度な。 130 00:11:33,702 --> 00:11:36,305 あの時は 優しげな風体にて➡ 131 00:11:36,305 --> 00:11:38,941 それほどの使い手には 見えなんだが➡ 132 00:11:38,941 --> 00:11:41,911 人は 見かけに寄らぬもの。 133 00:11:41,911 --> 00:11:44,380 して いかがなされるおつもりで? 134 00:11:44,380 --> 00:11:48,580 決まっておろう。 すぐに 立ち合いを申し込む。 135 00:11:50,653 --> 00:11:54,153 まこと 若というお人は…。 136 00:12:01,397 --> 00:12:04,400 禁裏の御蔵方を務める割には➡ 137 00:12:04,400 --> 00:12:07,400 随分 質素な住まいですな。 138 00:12:09,405 --> 00:12:12,808 ごめん。 それがし 塚原新右衛門と申す。 139 00:12:12,808 --> 00:12:15,608 奥津殿は居られるか? 140 00:12:19,515 --> 00:12:22,715 (奥津)どうぞ。 遠慮なく。 141 00:12:25,254 --> 00:12:29,224 塚原殿がお訪ね下さるとは 思いもよりませんでした。 142 00:12:29,224 --> 00:12:32,294 こちらこそ 突然のお訪ね お許し下され。 143 00:12:32,294 --> 00:12:38,300 いえいえ 独り身の無聊を 託っているだけでございますから。 144 00:12:38,300 --> 00:12:43,600 実は 今日は 立ち合いを 申し込みに参りました。 145 00:12:50,012 --> 00:12:52,715 申し訳ありません。 146 00:12:52,715 --> 00:12:56,815 私は 剣を捨てた身ですゆえ。 147 00:13:08,597 --> 00:13:13,469 奥津殿 聞けば 奥津殿は かなりの使い手との事。 148 00:13:13,469 --> 00:13:17,506 それが 何ゆえ 剣を? 何か 深い訳でも? 149 00:13:17,506 --> 00:13:23,746 いえ 特に 訳など…。 ただ単に 飽いただけです。 150 00:13:23,746 --> 00:13:26,482 飽いた? 151 00:13:26,482 --> 00:13:32,221 ♬~ 152 00:13:32,221 --> 00:13:37,660 己の腕が上がれば上がるほど より強い相手を求めて戦い続ける。 153 00:13:37,660 --> 00:13:40,095 それは いたしかたなき事。 154 00:13:40,095 --> 00:13:44,366 剣を志した者の 宿命ではござりませぬか? 155 00:13:44,366 --> 00:13:49,104 それは 抜け出す事のできぬ 無間地獄。 156 00:13:49,104 --> 00:13:51,807 そのうち 心は病み 慢心が生まれ➡ 157 00:13:51,807 --> 00:13:54,476 命のやり取りを しているというのに➡ 158 00:13:54,476 --> 00:13:59,682 いささかの恐ろしさも感じない。 159 00:13:59,682 --> 00:14:02,482 そのような生き方に 何の意味がありましょう? 160 00:14:05,354 --> 00:14:12,695 塚原殿は 剣を極めて いかがなさるおつもりですか? 161 00:14:12,695 --> 00:14:15,330 それは 分かりませぬ。 162 00:14:15,330 --> 00:14:20,402 なれど その時が来たら 鹿島の 神が 道を示して下さりましょう。 163 00:14:20,402 --> 00:14:22,802 神ですか? 164 00:14:26,442 --> 00:14:29,545 何か おかしいでしょうか? 165 00:14:29,545 --> 00:14:36,819 いえ おうわさどおり まこと 塚原殿は まっすぐなお方だ。 166 00:14:36,819 --> 00:14:42,157 まるで 昔の己の姿を 見ているようです。 167 00:14:42,157 --> 00:14:45,194 ♬~ 168 00:14:45,194 --> 00:14:47,763 ささ どうぞ。 169 00:14:47,763 --> 00:14:52,301 ♬~ 170 00:14:52,301 --> 00:14:55,537 立ち合いは かないませなんだな。 うん。 171 00:14:55,537 --> 00:15:00,075 なれど 奥津殿の言う事も 分かるような気がいたしまする。 172 00:15:00,075 --> 00:15:04,546 どういう事じゃ? 抜け出す事のできぬ無間地獄。 173 00:15:04,546 --> 00:15:06,615 恐らく あのお方は➡ 174 00:15:06,615 --> 00:15:10,986 人が見てはいけぬものを 見て しまったのではないでしょうか? 175 00:15:10,986 --> 00:15:15,257 何じゃ? それは。 それがしにも分かりませぬ。 176 00:15:15,257 --> 00:15:19,128 いや 分かりとうもありませぬ。 177 00:15:19,128 --> 00:15:27,328 ♬~ 178 00:15:38,380 --> 00:15:44,686 <一方 鹿島では 亡くなられた 景幹様の跡を継いで➡ 179 00:15:44,686 --> 00:15:50,559 弟の義幹様が ご城主となられておりました> 180 00:15:50,559 --> 00:15:54,129 いかがした? なぜ そのような顔をしている? 181 00:15:54,129 --> 00:15:57,599 言いたい事があるなら 申してみよ。 182 00:15:57,599 --> 00:16:01,603 恐れながら 我らの領地を召し上げるのは➡ 183 00:16:01,603 --> 00:16:05,040 まこと 一時の事に ござりまするか? 184 00:16:05,040 --> 00:16:08,777 (義幹)くどいぞ 備前。 我が家の 借財が無くなった時には➡ 185 00:16:08,777 --> 00:16:12,314 必ず 返す。 なれど 領地を召し上げられては➡ 186 00:16:12,314 --> 00:16:15,517 我らの暮らしは成り立ちませぬ。 187 00:16:15,517 --> 00:16:19,488 おぬしらは 余の家臣ではないのか?! 188 00:16:19,488 --> 00:16:22,124 おぬしらが そのようなありさまだから➡ 189 00:16:22,124 --> 00:16:25,794 兄は 米野井に打って出なければ ならなかったのだ! 190 00:16:25,794 --> 00:16:27,996 兄上を殺したのは おぬしらだ! 191 00:16:27,996 --> 00:16:32,067 何を仰せられまする?! あれは 景幹様が…。 192 00:16:32,067 --> 00:16:35,767 (土佐守)お控えなされよ! 備前守殿。 193 00:16:37,873 --> 00:16:42,010 不満もあろうが 鹿島一族のためだと思うて➡ 194 00:16:42,010 --> 00:16:46,548 ここは 殿に従ってはどうか?➡ 195 00:16:46,548 --> 00:16:49,551 いかがかな 吉川殿。 196 00:16:49,551 --> 00:16:54,022 (覚賢)土佐守殿が そう 申されるなら➡ 197 00:16:54,022 --> 00:16:56,692 いたしかたござらぬ。 198 00:16:56,692 --> 00:17:01,129 ♬~ 199 00:17:01,129 --> 00:17:06,501 (玉造常陸介)私も 殿の仰せのとおりと存じます。 200 00:17:06,501 --> 00:17:08,704 おぬしの意見など 聞いておらぬぞ! 201 00:17:08,704 --> 00:17:12,541 玉造! 202 00:17:12,541 --> 00:17:15,410 申し訳ございません。 203 00:17:15,410 --> 00:17:20,115 なれど 我ら家臣が 殿に 異を唱えたとあっては➡ 204 00:17:20,115 --> 00:17:22,551 それこそ 鹿島の一大事。 205 00:17:22,551 --> 00:17:28,590 私欲を捨て 殿をお支え申すのが 我らの務め。 206 00:17:28,590 --> 00:17:31,126 (義幹)よく言った 玉造。 207 00:17:31,126 --> 00:17:36,531 わしは お前のような家臣を持て うれしいぞ。 208 00:17:36,531 --> 00:17:39,234 もったいなき お言葉。 209 00:17:39,234 --> 00:17:54,034 ♬~ 210 00:18:00,222 --> 00:18:04,022 物忌様 兄上の吉凶は? 211 00:18:06,161 --> 00:18:09,965 (物忌)分からぬ。 212 00:18:09,965 --> 00:18:15,237 見えるのは ただ闇のみ。 213 00:18:15,237 --> 00:18:22,444 それが 今の新右衛門の 心の内やもしれぬ。 214 00:18:22,444 --> 00:18:25,244 闇でございますか? 215 00:18:27,883 --> 00:18:35,357 まことの敵とは 己に 立ち向かってくる者ではない。➡ 216 00:18:35,357 --> 00:18:42,731 己自身の内に居る もう一人の己。 217 00:18:42,731 --> 00:18:50,238 己の心に巣くう闇よ。 218 00:18:50,238 --> 00:18:56,845 ♬~ 219 00:18:56,845 --> 00:18:59,147 <このころ 京では➡ 220 00:18:59,147 --> 00:19:04,647 幕府の要人を狙う辻斬りが 横行していました> 221 00:19:06,788 --> 00:19:09,758 おう! お足元 お気を付け下さいませ。 222 00:19:09,758 --> 00:19:12,160 大丈夫だ ハハハ…。 223 00:19:12,160 --> 00:19:14,196 わっ! おっ! 224 00:19:14,196 --> 00:19:35,117 ♬~ 225 00:19:35,117 --> 00:19:38,420 (鹿乃)新右衛門様 湯殿の用意が整いましたが。 226 00:19:38,420 --> 00:19:42,520 ああ これは ありがたい。 一風呂 浴びるとしますか。 227 00:20:18,226 --> 00:20:20,262 (鹿乃)父上 何を?! いや…。 228 00:20:20,262 --> 00:20:22,864 手拭いを… 丹後様。 229 00:20:22,864 --> 00:20:26,802 あわわ あわわ! 父上! 230 00:20:26,802 --> 00:20:30,172 すまん! このとおりだ。 許してくれ! 231 00:20:30,172 --> 00:20:35,310 父上。 新右衛門様が 辻斬りなど されるはずがございません! 232 00:20:35,310 --> 00:20:39,948 分かっておる。 されど 念のため。 念のためまで。 233 00:20:39,948 --> 00:20:43,919 ああ… まこと 相すまん。 いいえ どうぞ お手を。 234 00:20:43,919 --> 00:20:48,123 して 斬り殺されたのが 幕府の御用人というのは➡ 235 00:20:48,123 --> 00:20:51,623 確かでございますか? うん。 236 00:20:55,297 --> 00:20:59,067 評定衆の一人で 倉持と申す者。 237 00:20:59,067 --> 00:21:03,672 数日前にも 御料所の役人が 同じように 斬殺されておる。 238 00:21:03,672 --> 00:21:06,508 しかも 倉持の警護に当たった 鵜飼は➡ 239 00:21:06,508 --> 00:21:09,644 京では 5本の指に入る 使い手といわれておる。➡ 240 00:21:09,644 --> 00:21:12,814 それが 一刀のもとに 斬り殺されるなど➡ 241 00:21:12,814 --> 00:21:15,484 よほどの手練れでなくては 考えられぬ。 242 00:21:15,484 --> 00:21:19,721 手練れ? あっ ほんにすまん。 243 00:21:19,721 --> 00:21:23,191 いえ。 して その辻斬りの心当たりは? 244 00:21:23,191 --> 00:21:26,795 恐らく 金で雇われた 刺客の仕業であろう。 245 00:21:26,795 --> 00:21:31,266 このような事が続けば 政に支障が出るは 明白。 246 00:21:31,266 --> 00:21:36,266 新右衛門 一つ 力を貸してはもらえぬか? 247 00:21:38,807 --> 00:22:31,359 ♬~ 248 00:22:31,359 --> 00:22:39,834 (雷鳴) 249 00:22:39,834 --> 00:22:58,553 ♬~ 250 00:22:58,553 --> 00:23:00,755 [回想] 兄上! 251 00:23:00,755 --> 00:23:03,825 (雷鳴) 真尋。 252 00:23:03,825 --> 00:23:08,230 (雷鳴) 253 00:23:08,230 --> 00:23:32,887 ♬~ 254 00:23:32,887 --> 00:23:34,923 兄上。 255 00:23:34,923 --> 00:23:38,360 ♬~ 256 00:23:38,360 --> 00:23:41,162 刺客の正体が? 257 00:23:41,162 --> 00:23:44,165 それは まことでございますか? うん。 258 00:23:44,165 --> 00:23:47,302 実は 昨夜も 四条で 殺しがあっての。 259 00:23:47,302 --> 00:23:52,073 侍所の者が 居合わせた盗人を 捕らえて 締め上げたところ➡ 260 00:23:52,073 --> 00:23:54,976 見た事の一部始終を吐きおった。➡ 261 00:23:54,976 --> 00:23:59,381 その者が申すには 昨夜 ねぐらに帰ろうとした時…。 262 00:23:59,381 --> 00:24:01,416 (男)や~っ! 263 00:24:01,416 --> 00:24:20,769 ♬~ 264 00:24:20,769 --> 00:24:25,774 奥津源三郎? まことでござりますか? 265 00:24:25,774 --> 00:24:31,713 うん その盗人は 以前 禁裏の下人をしておって➡ 266 00:24:31,713 --> 00:24:34,516 奥津の顔は よく知っておると。 267 00:24:34,516 --> 00:24:38,019 にわかには信じられませぬ。 (丹後)わしも同じよ。 268 00:24:38,019 --> 00:24:41,389 禁裏に勤める者が 人斬りなど。➡ 269 00:24:41,389 --> 00:24:43,458 疑った事は謝る。 270 00:24:43,458 --> 00:24:46,428 されど もはや 事は 我らの手には負えぬ。 271 00:24:46,428 --> 00:24:52,367 いま一度 大内の殿に免じて 手を貸してはくれぬか? 272 00:24:52,367 --> 00:24:57,806 ♬~ 273 00:24:57,806 --> 00:25:00,275 やはり 信じられん。 274 00:25:00,275 --> 00:25:03,675 奥津殿が 刺客などと。 275 00:25:05,747 --> 00:25:08,416 あやつの言葉が まことであるとすれば➡ 276 00:25:08,416 --> 00:25:13,521 人を 幾人も あやめているうちに あやつは 己の心の中の闇に➡ 277 00:25:13,521 --> 00:25:17,258 のみ込まれてしまったのでは ないでしょうか。 278 00:25:17,258 --> 00:25:20,962 人は 誰しも 心の中に 闇を抱いております。 279 00:25:20,962 --> 00:25:25,266 若も それがしも どのような善人であっても。 280 00:25:25,266 --> 00:25:33,108 ♬~ 281 00:25:33,108 --> 00:25:35,343 [回想] (義尹)お前の手ぇ➡ 282 00:25:35,343 --> 00:25:42,043 南永の血で 真っ赤や。 283 00:25:44,586 --> 00:25:47,222 (義尹)きれいやの。 284 00:25:47,222 --> 00:25:50,225 ♬~ 285 00:25:50,225 --> 00:25:55,630 ≪(六郎次郎)奥津めは 自宅に舞い戻っております。 286 00:25:55,630 --> 00:25:59,033 それは 確かか? はい この目で確かめました。 287 00:25:59,033 --> 00:26:01,269 自宅に舞い戻るとは なんと大胆な。 288 00:26:01,269 --> 00:26:06,841 追っ手が来ても 斬り捨てて 逃げ きる自信があるのやもしれませぬ。 289 00:26:06,841 --> 00:26:09,711 若 どちらへ。 知れた事。 290 00:26:09,711 --> 00:26:14,449 奥津のところに決まっておろうが。 お待ち下され 若。 291 00:26:14,449 --> 00:26:16,449 お待ち下され! 292 00:26:30,498 --> 00:26:32,598 (戸を開ける音) 奥津殿! 293 00:26:34,669 --> 00:26:38,840 これは これは 塚原殿 血相を変えて 何事ですかな? 294 00:26:38,840 --> 00:26:42,277 これは…。 やはり おぬしが。 295 00:26:42,277 --> 00:26:44,813 だとしたら どうなさる? 296 00:26:44,813 --> 00:26:48,716 どうしてじゃ? 何ゆえ おぬしほどの腕を持ちながら➡ 297 00:26:48,716 --> 00:26:53,922 刺客などに身を落とした? ハハハ… 塚原殿。 298 00:26:53,922 --> 00:26:57,559 まるで赤子のような物言いですな。 なんだと?! 299 00:26:57,559 --> 00:27:00,595 いくら きれい事を言ったところで 所詮 剣術などは➡ 300 00:27:00,595 --> 00:27:02,831 人をあやめるための技。➡ 301 00:27:02,831 --> 00:27:05,166 その技を楽しんで 何が悪い? 302 00:27:05,166 --> 00:27:08,236 おのれ! どこまで 剣を卑しめる?! 303 00:27:08,236 --> 00:27:10,271 いけませぬ 若 ヤツの誘いに乗っては。 304 00:27:10,271 --> 00:27:15,610 おぬしにも覚えがあるはずだ 人を斬った時の高ぶりを。➡ 305 00:27:15,610 --> 00:27:18,279 俺は ただ 自分に正直に 生きているだけだ。 306 00:27:18,279 --> 00:27:23,751 黙れ! おぬしのようなヤツは 鹿島の剣で たたき斬る。 307 00:27:23,751 --> 00:27:28,122 若! いいぞ その顔。 308 00:27:28,122 --> 00:27:31,426 血気にはやって いい顔だ。➡ 309 00:27:31,426 --> 00:27:35,697 だが おぬしごときに この俺が斬れるかな? 310 00:27:35,697 --> 00:27:48,843 ♬~ 311 00:27:48,843 --> 00:27:50,879 来い。 312 00:27:50,879 --> 00:27:53,081 ♬~ 313 00:27:53,081 --> 00:27:56,885 来なければ こっちから参る。 314 00:27:56,885 --> 00:27:59,454 (山本勘助)や~っ! 315 00:27:59,454 --> 00:28:04,192 奥津源三郎 それがしは 山本勘助。 316 00:28:04,192 --> 00:28:09,364 我が友の敵。 覚悟! わっ! 317 00:28:09,364 --> 00:28:11,399 おりゃっ! 318 00:28:11,399 --> 00:28:17,005 ♬~ 319 00:28:17,005 --> 00:28:20,508 とんだ邪魔が入ったな 新右衛門。 320 00:28:20,508 --> 00:28:23,311 おぬしとは 楽しめそうだ。 321 00:28:23,311 --> 00:28:26,714 勝負は お預けだ。 322 00:28:26,714 --> 00:28:28,816 待て! 追ってはなりませぬ 若! 323 00:28:28,816 --> 00:28:31,886 それより この者を。 ヤツの剣先が かすったようです。 324 00:28:31,886 --> 00:28:35,690 浅手とは思いますが 念のため 医者に診せねば。 325 00:28:35,690 --> 00:28:38,860 <これが 後に 大軍師となる➡ 326 00:28:38,860 --> 00:28:43,464 山本勘助様との 出会いでございました> 327 00:28:43,464 --> 00:28:49,164 ♬~ 328 00:28:51,472 --> 00:28:55,176 あの者の具合は? 心配要りまへん。 329 00:28:55,176 --> 00:28:58,546 医者の話やと 「傷は浅いよって➡ 330 00:28:58,546 --> 00:29:01,149 2~3日もしたら ようなりますやろ」と。 331 00:29:01,149 --> 00:29:04,152 とんだご迷惑を。 申し訳ない。 332 00:29:04,152 --> 00:29:10,091 何 言うてはりますのん? うちと新様の仲やないですか。 333 00:29:10,091 --> 00:29:15,129 それにしても 奥津のヤツ まさか あれほどの男とは。 334 00:29:15,129 --> 00:29:20,435 そんなに 強うおしたんですか? はい。 335 00:29:20,435 --> 00:29:25,540 美津殿 その奥津という男は 一体 何者でございますか? 336 00:29:25,540 --> 00:29:31,479 うわさやと 出雲の神主さんの 次男坊やったそうやけど…。➡ 337 00:29:31,479 --> 00:29:36,184 それが 剣を捨てた後 算学に明るかったんで➡ 338 00:29:36,184 --> 00:29:39,120 お公家さん達に重宝されて➡ 339 00:29:39,120 --> 00:29:43,558 禁裏の御蔵方に 雇われたいう話ですわ。 340 00:29:43,558 --> 00:29:47,128 それが 何ゆえ 一度捨てた剣を? 341 00:29:47,128 --> 00:29:49,397 さあ。 342 00:29:49,397 --> 00:29:52,497 ゆっくりしていっておくれやす。 343 00:29:59,374 --> 00:30:03,544 恐らく 血に 酔ってしまったのでしょうな。 344 00:30:03,544 --> 00:30:05,980 血に酔う? 345 00:30:05,980 --> 00:30:08,049 若 いつぞや➡ 346 00:30:08,049 --> 00:30:11,149 それがしが言った事を 覚えておいでですか? 347 00:30:17,458 --> 00:30:21,329 [回想] 戦いの後は 誰しも 気が高ぶるものなのです。 348 00:30:21,329 --> 00:30:23,297 用心せねばなりませぬ。 349 00:30:23,297 --> 00:30:29,103 血に酔う事に溺れていては いずれ 身を滅ぼしますゆえ。 350 00:30:29,103 --> 00:30:31,839 いや 俺は 奥津殿とは違う。 351 00:30:31,839 --> 00:30:33,875 いいえ 違いませぬ! 352 00:30:33,875 --> 00:30:38,579 もし 道を誤れば 若も いずれ あの男のように。 353 00:30:38,579 --> 00:30:47,922 ♬~ 354 00:30:47,922 --> 00:30:51,092 [心の声] 俺が あの男のように? 355 00:30:51,092 --> 00:30:55,963 ♬~ 356 00:30:55,963 --> 00:30:57,999 (足音) 357 00:30:57,999 --> 00:31:01,135 ♬~ 358 00:31:01,135 --> 00:31:05,339 怖いお顔をなさって。 359 00:31:05,339 --> 00:31:10,411 そんなに苦しんでも まだ 戦われるのですか? 360 00:31:10,411 --> 00:31:13,481 ♬~ 361 00:31:13,481 --> 00:31:16,784 いっその事 剣など 捨ててしまえば よいのに。 362 00:31:16,784 --> 00:31:18,886 何を申される。 363 00:31:18,886 --> 00:31:21,923 ♬~ 364 00:31:21,923 --> 00:31:25,323 言っても 詮の無い事でございましたね。 365 00:31:27,428 --> 00:31:35,203 なれど 私には やはり分かりませぬ➡ 366 00:31:35,203 --> 00:31:38,539 新右衛門様のお心が。 367 00:31:38,539 --> 00:31:42,577 ♬~ 368 00:31:42,577 --> 00:31:48,750 私も 男に生まれたかった。 369 00:31:48,750 --> 00:31:56,224 ♬~ 370 00:31:56,224 --> 00:32:00,027 (子供1)お待ち遠さま。 (子供2)お待ち遠さま。 371 00:32:00,027 --> 00:32:03,464 うん…。 372 00:32:03,464 --> 00:32:09,003 なんや! 団子 好きやのに 食べへんのか? 373 00:32:09,003 --> 00:32:14,475 何があったか知らへんけど 元気出さな あかんで。 374 00:32:14,475 --> 00:32:17,111 元気出さなあかんで。 なっ? 375 00:32:17,111 --> 00:32:19,111 はい。 376 00:32:27,855 --> 00:32:31,859 (奥津)そんなに 俺を 取り逃がした事が 悔しいか? 377 00:32:31,859 --> 00:32:33,895 奥津。 378 00:32:33,895 --> 00:32:36,964 つまらぬまねは よせ。 379 00:32:36,964 --> 00:32:41,035 ここを 血の海にしたいか? 380 00:32:41,035 --> 00:32:44,172 おぬしの返答を聞きに来た。 381 00:32:44,172 --> 00:32:46,607 返答? 382 00:32:46,607 --> 00:32:50,812 おぬし 人を斬って 高ぶった事があろう? 383 00:32:50,812 --> 00:32:53,748 バカな。 お前とは違う。 384 00:32:53,748 --> 00:32:59,787 おぬしも 忘れられぬはずだ あの高ぶりを。 385 00:32:59,787 --> 00:33:04,258 ♬~ 386 00:33:04,258 --> 00:33:10,198 奥津 何ゆえ 剣を捨てた? 387 00:33:10,198 --> 00:33:13,067 剣を極めたところで 何になる? 388 00:33:13,067 --> 00:33:16,504 それで この世が変わるか? 389 00:33:16,504 --> 00:33:19,507 変わりはせん。 390 00:33:19,507 --> 00:33:22,710 だから 無意味な事を やめたまで。➡ 391 00:33:22,710 --> 00:33:26,147 おぬしと俺は 似た者同士よ。 392 00:33:26,147 --> 00:33:29,647 違う。 断じて 俺は…。 393 00:33:35,223 --> 00:33:37,592 またでございますか? うん。 394 00:33:37,592 --> 00:33:42,029 しかも 襲われたのは 細川様の重臣。 395 00:33:42,029 --> 00:33:46,734 だが 奥津の行方は 杳としてつかめん。 396 00:33:46,734 --> 00:33:52,406 いや つかんだところで 取り押さえる事ができるのか…。 397 00:33:52,406 --> 00:33:55,810 何か よき策はないものか? 398 00:33:55,810 --> 00:33:57,845 そう おっしゃられましても…。 399 00:33:57,845 --> 00:34:00,248 新右衛門。 はい。 400 00:34:00,248 --> 00:34:03,451 策は 一つ。 401 00:34:03,451 --> 00:34:14,428 ♬~ 402 00:34:14,428 --> 00:34:18,032 とまれ。 (侍達)はっ! 403 00:34:18,032 --> 00:34:20,801 大内殿のお命 もらい受ける。 404 00:34:20,801 --> 00:34:23,337 出たな 奥津め。 405 00:34:23,337 --> 00:34:28,376 とはいえ 輿の中は 別人であろう? 406 00:34:28,376 --> 00:34:30,912 出てこい 新右衛門。 407 00:34:30,912 --> 00:34:34,916 ≪奥津源三郎 罠と承知で 参ったか? 408 00:34:34,916 --> 00:34:39,420 罠? それは どっちの台詞かな? 409 00:34:39,420 --> 00:34:45,259 ♬~ 410 00:34:45,259 --> 00:34:48,262 仲間を連れて 参ったか。 411 00:34:48,262 --> 00:34:53,200 仲間? こやつらは 金で雇った ただの人殺しどもよ。 412 00:34:53,200 --> 00:34:58,339 よいか? 塚原新右衛門は 俺の獲物だ。➡ 413 00:34:58,339 --> 00:35:01,542 うぬらは 他の連中を 皆殺しにせい。 414 00:35:01,542 --> 00:35:04,045 (男達)へい! 左門 任せた。 415 00:35:04,045 --> 00:35:07,748 心得ました。 こたびこそ 逃がしはせぬ! 416 00:35:07,748 --> 00:35:11,252 その意気や よし! 417 00:35:11,252 --> 00:35:21,629 ♬~ 418 00:35:21,629 --> 00:35:24,665 これで 2人だけになれたな。 419 00:35:24,665 --> 00:35:31,872 ♬~ 420 00:35:31,872 --> 00:35:35,710 さすが 海内無双と いわれるだけはある。 421 00:35:35,710 --> 00:35:50,391 ♬~ 422 00:35:50,391 --> 00:35:55,229 南永との御前試合 あれを見た時に 俺は思った。 423 00:35:55,229 --> 00:36:00,101 ♬~ 424 00:36:00,101 --> 00:36:05,039 「こいつは 昔の俺に 瓜二つ。➡ 425 00:36:05,039 --> 00:36:08,142 一途に剣に向き合う。➡ 426 00:36:08,142 --> 00:36:12,913 やっと 昔の自分に巡り会えた」と。 427 00:36:12,913 --> 00:36:15,249 だから 殺したくなった。 428 00:36:15,249 --> 00:36:17,284 奥津! 429 00:36:17,284 --> 00:36:25,092 ♬~ 430 00:36:25,092 --> 00:36:29,430 いいぞ 新右衛門! 血潮が高ぶってきたか? 431 00:36:29,430 --> 00:36:32,666 まさに おぬしは 若き頃の俺そのものよ。 432 00:36:32,666 --> 00:36:34,702 違う! 433 00:36:34,702 --> 00:36:50,084 ♬~ 434 00:36:50,084 --> 00:36:54,355 同じよ。 いずれ おぬしも 今の俺になる。 435 00:36:54,355 --> 00:37:26,320 ♬~ 436 00:37:26,320 --> 00:37:30,925 人の血の味を覚えてしまえば 無明の闇に落ちるのみ。 437 00:37:30,925 --> 00:37:33,794 おぬしも俺も 同じじゃ! 438 00:37:33,794 --> 00:37:45,539 ♬~ 439 00:37:45,539 --> 00:37:47,575 [心の声] お前とは違う! 440 00:37:47,575 --> 00:37:49,710 [心の声] おぬしも 俺になる。 441 00:37:49,710 --> 00:37:52,279 [心の声] 俺は 俺だ。 442 00:37:52,279 --> 00:38:16,237 ♬~ 443 00:38:16,237 --> 00:38:23,937 あれほど つまらぬ殺しをしたのも 塚原 おぬしをおびき出すためよ。 444 00:38:27,581 --> 00:38:30,784 幕府の者どもを殺し続ければ やがて 大内の命を受け➡ 445 00:38:30,784 --> 00:38:37,691 おぬしが出てくるのは必定。 すべては おぬしと戦うため。 446 00:38:37,691 --> 00:39:03,217 ♬~ 447 00:39:03,217 --> 00:39:05,252 俺は お前とは違う! 448 00:39:05,252 --> 00:39:17,364 ♬~ 449 00:39:17,364 --> 00:39:22,570 いずれ おぬしにも分かる…。 450 00:39:22,570 --> 00:39:41,488 ♬~ 451 00:39:41,488 --> 00:39:43,524 若! 452 00:39:43,524 --> 00:39:46,560 ♬~ 453 00:39:46,560 --> 00:39:50,965 やりましたな。 おけがは ございませぬか? 454 00:39:50,965 --> 00:39:53,400 ♬~ 455 00:39:53,400 --> 00:39:55,436 若。 456 00:39:55,436 --> 00:40:05,212 ♬~ 457 00:40:05,212 --> 00:40:13,821 大神様 どうぞ 兄をお守り下さい。 458 00:40:13,821 --> 00:40:15,856 (物忌)真尋。 459 00:40:15,856 --> 00:40:19,226 ♬~ 460 00:40:19,226 --> 00:40:21,262 物忌様。 461 00:40:21,262 --> 00:40:24,798 ♬~ 462 00:40:24,798 --> 00:40:27,334 真尋よ。 463 00:40:27,334 --> 00:40:33,941 新右衛門を助けたくば 決して 神を忘れるでないぞ。 464 00:40:33,941 --> 00:40:36,310 ♬~ 465 00:40:36,310 --> 00:40:41,015 鹿島の大神を 信じ奉れ。 466 00:40:41,015 --> 00:40:49,790 さすれば 必ずや 救いの手は 差し伸べられるであろう。 467 00:40:49,790 --> 00:40:51,825 はい。 468 00:40:51,825 --> 00:41:00,225 ♬~ 469 00:41:03,671 --> 00:41:06,307 夢? 470 00:41:06,307 --> 00:41:09,710 どうして 物忌様が…? 471 00:41:09,710 --> 00:41:14,248 (老婆)大変だ 大変…。 472 00:41:14,248 --> 00:41:16,717 物忌様が… 物忌様が…。 473 00:41:16,717 --> 00:41:18,886 おばば様 いかがなされたのです? 474 00:41:18,886 --> 00:41:22,156 物忌様が お倒れなさった。 475 00:41:22,156 --> 00:41:24,191 あっ…。 476 00:41:24,191 --> 00:41:38,038 ♬~ 477 00:41:38,038 --> 00:41:40,107 [回想] (奥津)おぬしは 俺だ。➡ 478 00:41:40,107 --> 00:41:46,313 人の血の味を覚えてしまえば 無明の闇に落ちるのみ。➡ 479 00:41:46,313 --> 00:41:49,750 おぬしも俺も 同じよ。 480 00:41:49,750 --> 00:41:52,486 [心の声] 俺も あの男のように なるのか…?➡ 481 00:41:52,486 --> 00:41:56,023 あるいは 既に…? 482 00:41:56,023 --> 00:42:25,586 ♬~ 483 00:42:25,586 --> 00:42:27,988 [回想] (奥津)おぬしは 俺だ。➡ 484 00:42:27,988 --> 00:42:34,094 人の血の味を覚えてしまえば 無明の闇に落ちるのみ。➡ 485 00:42:34,094 --> 00:42:37,064 おぬしも俺も 同じよ。 486 00:42:37,064 --> 00:42:41,135 ♬~ 487 00:42:41,135 --> 00:42:43,737 [心の声] 俺も あの男のようになるのか?➡ 488 00:42:43,737 --> 00:42:48,308 あるいは 既に…? 489 00:42:48,308 --> 00:42:55,816 <それは 兄 新右衛門の 深い苦悩の始まりでありました> 490 00:42:55,816 --> 00:42:57,916 ♬~ 491 00:43:00,053 --> 00:43:03,457 それがしが使っているのは まことに神の太刀なのか? 492 00:43:03,457 --> 00:43:05,893 修羅の剣か? (鹿乃)私を➡ 493 00:43:05,893 --> 00:43:07,928 鹿島にお連れ下さいませ。 494 00:43:07,928 --> 00:43:14,435 ご神託が下った。 時来たらば 新右衛門に伝えよ。 495 00:43:14,435 --> 00:43:19,440 そなた 何を背負って ここに戻って参った? 496 00:43:19,440 --> 00:43:24,611 これより 鹿島の宮の千日の参籠を いたしたく。 497 00:43:24,611 --> 00:43:30,284 ♬~ 498 00:43:30,284 --> 00:43:33,821 <山梨県甲府市の武田神社。➡ 499 00:43:33,821 --> 00:43:37,958 戦国時代 ここに 武田信玄が拠点とした➡ 500 00:43:37,958 --> 00:43:40,894 躑躅ヶ崎館がありました。➡ 501 00:43:40,894 --> 00:43:47,401 信玄の下で 軍師として 活躍したのが 山本勘助です。➡ 502 00:43:47,401 --> 00:43:51,038 「甲陽軍鑑」で有名になった 勘助ですが➡ 503 00:43:51,038 --> 00:43:54,508 架空の人物という見方が ありました。➡ 504 00:43:54,508 --> 00:43:59,913 しかし 2008年 武田晴信が 勘助に宛てた書状が➡ 505 00:43:59,913 --> 00:44:03,550 群馬県安中市で発見されました。➡ 506 00:44:03,550 --> 00:44:05,152 この書状により➡ 507 00:44:05,152 --> 00:44:10,324 勘助の実在が 確認されたのです。➡ 508 00:44:10,324 --> 00:44:14,895 卜伝と同じ時代を生きた 山本勘助。➡ 509 00:44:14,895 --> 00:44:21,195 信玄を支えた名軍師として 今も 語り継がれています>