1 00:00:02,202 --> 00:00:04,972 (雙星彦馬)これだ! 盗まれた本と同じものを➡ 2 00:00:04,972 --> 00:00:09,810 何冊も書き写すのです! もちろん 肝心の 御前の書き込みも加えて。 3 00:00:09,810 --> 00:00:12,713 <織江が盗み取った本によって➡ 4 00:00:12,713 --> 00:00:20,554 静山は 幕府の詮議を受ける事と なったが 彦馬の機転で免れた> 5 00:00:20,554 --> 00:00:23,857 (織江)これは? (川村)お前が盗み取った本と➡ 6 00:00:23,857 --> 00:00:27,327 寸分たがわぬ書き込みもある。 7 00:00:27,327 --> 00:00:31,732 <一方 織江親子は 抜け忍となった。➡ 8 00:00:31,732 --> 00:00:38,205 しかし その代償として 彦馬の命が狙われる事になった> 9 00:00:38,205 --> 00:00:46,313 ♬~ 10 00:00:46,313 --> 00:00:48,615 お蝶。 11 00:00:48,615 --> 00:00:50,550 来ないで! 12 00:00:50,550 --> 00:00:54,855 <宿命とはいえ 幼なじみを殺した 織江の悲壮な姿を➡ 13 00:00:54,855 --> 00:00:59,393 彦馬は まざまざと 見たのであった> 14 00:00:59,393 --> 00:01:50,978 ♬~(テーマ音楽) 15 00:02:46,700 --> 00:02:49,936 (まつ)ここのところ 先生の様子 おかしいと思わないかい? 16 00:02:49,936 --> 00:02:51,972 (さき)そういえば ちょっと 元気がね。 17 00:02:51,972 --> 00:02:55,208 (しか)もしかして ほれた女に 肘鉄砲 食らわされたかね? 18 00:02:55,208 --> 00:02:57,144 うわっ! シッ! 19 00:02:57,144 --> 00:03:00,080 先生 朝飯 食べたのかい? おみおつけ持ってってやろうか? 20 00:03:00,080 --> 00:03:02,115 菜っぱ炊いたの どうだい!? 21 00:03:02,115 --> 00:03:04,284 遠慮しないでさ。 22 00:03:04,284 --> 00:03:06,386 先生 先生 先生! 何か食べなきゃ…! 23 00:03:10,957 --> 00:03:12,893 (川村)お蝶を 誰が? 24 00:03:12,893 --> 00:03:14,961 (平沢)もしかすると 織江では? 25 00:03:14,961 --> 00:03:18,598 ⚟(順平)あるいは 平戸の忍びかもしれませんな。 26 00:03:18,598 --> 00:03:23,003 森下の屋敷には 忍びがおりました。 27 00:03:23,003 --> 00:03:28,575 何!? そやつ なかなかの手だれ。➡ 28 00:03:28,575 --> 00:03:31,578 うかつに 手出しはできません。 29 00:03:37,617 --> 00:03:39,686 (千右衛門)ここが 志々伎です。➡ 30 00:03:39,686 --> 00:03:43,256 平戸からの知らせによれば 半月前の夜更け➡ 31 00:03:43,256 --> 00:03:46,960 入り江近くの山に 不審な者が 2人。➡ 32 00:03:46,960 --> 00:03:48,962 警固の者が見つけて 戦い➡ 33 00:03:48,962 --> 00:03:53,200 1人は倒したものの 1人は 取り逃がしたと。 34 00:03:53,200 --> 00:03:56,002 (雁二郎)実は 昨夜 森下の屋敷にも➡ 35 00:03:56,002 --> 00:03:59,406 忍び込んだ者がおります。 36 00:03:59,406 --> 00:04:04,244 私に気が付いて 暗がりで 息を詰めておりました。 37 00:04:04,244 --> 00:04:11,084 (静山)幕府は わし一人に 狙いを定めているようだな。 38 00:04:11,084 --> 00:04:14,020 しかし それは? 39 00:04:14,020 --> 00:04:23,163 わしを見せしめにして 他の西国大名を脅す腹だ。 40 00:04:23,163 --> 00:04:26,900 容易ならざる事態になりましたな。 41 00:04:26,900 --> 00:04:29,803 ♬~ 42 00:04:29,803 --> 00:04:32,506 彦馬を ここへ。 43 00:04:36,243 --> 00:04:38,178 今 何と? 44 00:04:38,178 --> 00:04:43,750 湯島の長屋を出て 当分 この屋敷にとどまるがよい。 45 00:04:43,750 --> 00:04:49,956 わしに降りかかる火の粉が そなたにまで及んでいるようだ。 46 00:04:51,958 --> 00:04:59,566 それに お父上のご妻女の身の上に 差し迫った事があるようで。 47 00:04:59,566 --> 00:05:03,937 先日 お父上が 女忍びに襲われた時➡ 48 00:05:03,937 --> 00:05:11,244 その危機を救い 更に 女忍びを 殺したのが ご妻女でした。 49 00:05:11,244 --> 00:05:20,921 あの様子から どうも ご妻女は 忍びの一党を抜けられたのではと。 50 00:05:20,921 --> 00:05:23,223 という事は? 51 00:05:23,223 --> 00:05:27,961 命を狙われております。 52 00:05:27,961 --> 00:05:36,036 抜け忍があれば 機密を守るため その身内までも殺されるのが習い。 53 00:05:36,036 --> 00:05:42,342 抜けるのは危ない事を知りながら 私のために…。 54 00:05:50,250 --> 00:05:52,352 太郎吉。 55 00:05:55,388 --> 00:06:01,795 いいか? 親に巡り合う事 諦めるなよ。 56 00:06:05,065 --> 00:06:08,935 お前のおとっつぁんも➡ 57 00:06:08,935 --> 00:06:12,372 おっかさんも➡ 58 00:06:12,372 --> 00:06:16,376 きっと 捜してるはずだからな。 59 00:06:19,145 --> 00:06:21,648 達者でおれ。 60 00:06:24,117 --> 00:06:26,319 (富蔵)じゃ 先生。 61 00:06:35,362 --> 00:06:40,700 (雅江)娘を よろしく。 62 00:06:40,700 --> 00:07:09,796 ♬~ 63 00:07:09,796 --> 00:07:14,267 お蝶。 来ないで! 64 00:07:14,267 --> 00:07:17,170 織江。 来ないで! 65 00:07:17,170 --> 00:07:27,414 ♬~ 66 00:07:27,414 --> 00:07:34,321 彦馬さんは あんな私を見て 何と…? 67 00:07:34,321 --> 00:07:41,895 ♬~ 68 00:07:41,895 --> 00:07:47,067 嫌われたら 思いを切れるのかい? 69 00:07:47,067 --> 00:07:52,973 ♬~ 70 00:07:52,973 --> 00:07:57,677 これが 抜け忍になるって事だ。 71 00:07:59,946 --> 00:08:03,383 分かってる。 72 00:08:03,383 --> 00:08:05,986 だけど…。 73 00:08:05,986 --> 00:08:11,591 ♬~ 74 00:08:13,793 --> 00:08:17,130 (勘兵衛)平戸からの 密書によれば➡ 75 00:08:17,130 --> 00:08:21,901 ひそかに 軍船を建造しているようだ。 76 00:08:21,901 --> 00:08:24,571 申し上げます。 77 00:08:24,571 --> 00:08:32,011 深川森下の屋敷は やはり 静山の抱え屋敷かと。 78 00:08:32,011 --> 00:08:37,150 (安藤)そこには 忍びと思われる 者を住まわせておりまして。 79 00:08:37,150 --> 00:08:39,753 (勘兵衛)なるほど。 80 00:08:44,891 --> 00:08:49,295 (雁二郎)なんと! ご老中 大久保加賀守様が➡ 81 00:08:49,295 --> 00:08:52,665 森下の屋敷の事を? 82 00:08:52,665 --> 00:08:58,471 大久保殿も 深川辺りに 抱え屋敷を構えたいと➡ 83 00:08:58,471 --> 00:09:01,040 用人は そう申した。 84 00:09:01,040 --> 00:09:03,443 (雁二郎)ほう? 85 00:09:03,443 --> 00:09:13,119 それで 同じ深川の このわしの 屋敷を拝見したいとさ。 86 00:09:13,119 --> 00:09:17,824 いよいよ 動き出しましたな。 うん。 87 00:09:17,824 --> 00:09:22,228 で 御前は 何と? 88 00:09:22,228 --> 00:09:27,534 「心置きなく 御覧くだされ」と。 89 00:09:29,636 --> 00:09:39,746 松浦静山の遊び心を しかと 見てもらおうではないか。 90 00:09:48,688 --> 00:09:51,391  回想  このまま 波任せに➡ 91 00:09:51,391 --> 00:09:54,928 流されるのもいいな。 92 00:09:54,928 --> 00:09:59,265 流されたら どこへ行くのでしょうか? 93 00:09:59,265 --> 00:10:06,039 ♬~ 94 00:10:06,039 --> 00:10:09,309 どこか 他の国に行けば➡ 95 00:10:09,309 --> 00:10:16,015 身も心も しがらみから 解き放されるのでしょうね。 96 00:10:16,015 --> 00:10:22,355 ♬~ 97 00:10:22,355 --> 00:10:27,093 異国へ行く時は 彦馬様と ご一緒ですね? 98 00:10:27,093 --> 00:10:29,028 うん。 99 00:10:29,028 --> 00:10:36,936 ♬~ 100 00:10:39,672 --> 00:10:43,276 御前! まあ よい。 まあ よい。 101 00:10:50,383 --> 00:10:53,219 物思いにふけっていたようだが。 102 00:10:53,219 --> 00:10:55,221 はあ。 103 00:11:01,294 --> 00:11:03,296 どうした? 104 00:11:05,565 --> 00:11:14,407 私の妻が お庭番だとすると 抜けて 生き延びる手だては? 105 00:11:14,407 --> 00:11:17,177 ない。 106 00:11:17,177 --> 00:11:20,179 終生 追われる。 107 00:11:23,049 --> 00:11:26,953 平戸で 妻が ふと 漏らした事がありました。 108 00:11:26,953 --> 00:11:34,193 「しがらみから 解き放されるのでしょうね?」と。 109 00:11:34,193 --> 00:11:37,096 忍びの者だ。 110 00:11:37,096 --> 00:11:41,000 さもあろう。 111 00:11:41,000 --> 00:11:46,239 この国を出れば そのしがらみから 逃れられましょうか? 112 00:11:46,239 --> 00:11:48,274 異国へ渡れば。 113 00:11:48,274 --> 00:11:50,443 本気か? 114 00:11:50,443 --> 00:11:55,281 妻の 身も心も 解き放たれるならば。 115 00:11:55,281 --> 00:11:59,285 異国へな…。 116 00:11:59,285 --> 00:12:01,688 面白い。 117 00:12:03,790 --> 00:12:08,061 試みてもいいな…。 118 00:12:08,061 --> 00:12:12,298 妻を捜し出して 何としても船に乗せます。 119 00:12:12,298 --> 00:12:15,702 平戸の船が出来たら それに 妻を乗せ➡ 120 00:12:15,702 --> 00:12:18,004 異国へ伴っても よろしゅうございますか? 121 00:12:18,004 --> 00:12:22,208 それは 船長が決める事だ。 122 00:12:22,208 --> 00:12:25,478 ああ ああ…。 123 00:12:25,478 --> 00:12:28,047 妻を 新天地に連れていきます。 124 00:12:28,047 --> 00:12:30,850 私のために 身を危うくした妻に➡ 125 00:12:30,850 --> 00:12:34,320 私がしてやれるのは それしかありません。 126 00:12:34,320 --> 00:13:09,956 ♬~ 127 00:13:09,956 --> 00:13:13,926 このまま いつ襲われるか 分からぬと➡ 128 00:13:13,926 --> 00:13:18,498 息を詰めていても 始まらぬ。 129 00:13:18,498 --> 00:13:23,936 こちらから 仕掛けるほかはない。 130 00:13:23,936 --> 00:13:26,139 それは? 131 00:13:28,141 --> 00:13:32,779 川村様のお命を頂戴する。 132 00:13:32,779 --> 00:13:38,217 一人川村様を討てば 川村家は 立ち行かぬ。➡ 133 00:13:38,217 --> 00:13:40,753 追っ手がかかる事はない。 134 00:13:40,753 --> 00:13:44,257 我らに 明日があるかどうかの 瀬戸際だ。 135 00:13:44,257 --> 00:13:46,926 おっかさん。 136 00:13:46,926 --> 00:13:52,298 お前に 私の轍を踏ませたくない。 えっ? 137 00:13:52,298 --> 00:13:56,803 私も 早くに抜けていれば➡ 138 00:13:56,803 --> 00:14:04,944 女として 別の生き方が あったろうかと 何度 悔いた事か。 139 00:14:04,944 --> 00:14:08,715 ♬~ 140 00:14:08,715 --> 00:14:14,987 心に思う人がいるなら 貫く事だ。 141 00:14:14,987 --> 00:14:17,623 ♬~ 142 00:14:17,623 --> 00:14:23,329 川村様を狙うとすれば 桜田屋敷を出た時。 143 00:14:23,329 --> 00:14:46,119 ♬~ 144 00:14:48,254 --> 00:14:52,091 (勘兵衛)松浦静山は 深川の屋敷を 見物したいという➡ 145 00:14:52,091 --> 00:14:54,127 申し入れを受けた。 146 00:14:54,127 --> 00:14:57,730 (安藤)さすがの静山も ご老中の名を出されれば➡ 147 00:14:57,730 --> 00:15:00,099 断りづろうございましょう。 148 00:15:00,099 --> 00:15:03,636 フフフ…。 149 00:15:03,636 --> 00:15:10,309 まあ 静山も 狸故 その辺りの事は 察していようがの。 150 00:15:10,309 --> 00:15:12,845 それで? うむ。 151 00:15:12,845 --> 00:15:18,418 その日 大久保様には 急用につき 代わりの者が行く事になる。 152 00:15:18,418 --> 00:15:24,223 つまり? わしと 安藤殿。 153 00:15:24,223 --> 00:15:27,427 それがしも お供致します。 154 00:15:43,209 --> 00:15:46,112 川村様が 屋敷を出る。 155 00:15:46,112 --> 00:15:48,781 いつ? 20日。 156 00:15:48,781 --> 00:15:51,083 森下の屋敷へ行く。 157 00:15:51,083 --> 00:15:53,986 松浦様の? 158 00:15:53,986 --> 00:15:57,290 それが いささか 気になるね。 159 00:16:03,996 --> 00:16:10,770 20日の屋敷見物は 老中の代理が来る事になった。 160 00:16:10,770 --> 00:16:16,142 と申しますと? 奥右筆の奥寺勘兵衛。 161 00:16:16,142 --> 00:16:20,580 なるほど。 これで 見物は口実で➡ 162 00:16:20,580 --> 00:16:24,317 まことは 探索という事が はっきりしましたな。 163 00:16:24,317 --> 00:16:26,819 探索となれば あれらは どうする? 164 00:16:26,819 --> 00:16:29,222 大砲やら かまどやら。 まあまあ➡ 165 00:16:29,222 --> 00:16:33,092 その辺は うまく取り計らいます。 ご案じなさいますな。 166 00:16:33,092 --> 00:16:36,662 その日は わしも立ち会うかの。 167 00:16:36,662 --> 00:16:39,298 何を申されますか!? 168 00:16:39,298 --> 00:16:43,002 もしかすると 御前の命を狙うという事も。 169 00:16:43,002 --> 00:16:44,937 まさか。 いいえ! 170 00:16:44,937 --> 00:16:49,709 何せ 御前は 今の幕府には 目障りな方ですから。 171 00:16:49,709 --> 00:16:52,578 そうだな。 172 00:16:52,578 --> 00:16:54,914 まだ 死ぬ訳にはいかないし➡ 173 00:16:54,914 --> 00:16:59,719 それに やり残している事もあるしな。 174 00:16:59,719 --> 00:17:04,223 なあ? 彦馬。 はあ。 175 00:17:04,223 --> 00:17:07,126 毎度ありがとうございます。 176 00:17:07,126 --> 00:17:10,563 つかぬ事をお尋ねしますが。 はい。 177 00:17:10,563 --> 00:17:16,269 こちらは 平戸の西海屋さんで? さようですが。 178 00:17:16,269 --> 00:17:21,107 やはり。 松浦家にお出入りの? はい。 179 00:17:21,107 --> 00:17:26,846 私の夫が 静山公が 藩主であられた時分に➡ 180 00:17:26,846 --> 00:17:29,282 松浦家より 禄を頂いておりまして。 181 00:17:29,282 --> 00:17:31,217 おお それは。 182 00:17:31,217 --> 00:17:36,489 日本橋の帰りに 懐かしい暖簾を 目にしましたので つい。 183 00:17:36,489 --> 00:17:38,791 どうぞ 中へ。 184 00:17:38,791 --> 00:17:41,694 実は 夫が 近々➡ 185 00:17:41,694 --> 00:17:45,665 本所のお屋敷に ご挨拶に 上がりたいと申しているのです。 186 00:17:45,665 --> 00:17:48,467 (千右衛門)それは いつ? 187 00:17:48,467 --> 00:17:52,104 ♬~ 188 00:17:52,104 --> 00:17:58,511 明日 松浦静山は 森下屋敷に来ない。 189 00:17:58,511 --> 00:18:13,025 ♬~ 190 00:18:23,302 --> 00:18:26,672 いつまで ここに とどまっていればいいのですか? 191 00:18:26,672 --> 00:18:31,677 森下屋敷の検分が済むまで 動くな。 192 00:18:34,413 --> 00:18:36,682 これは? 193 00:18:36,682 --> 00:18:44,824 世の中の不思議や魑魅魍魎を 面白おかしく書いたものだ。 194 00:18:44,824 --> 00:18:47,159 「甲子夜話」…。 195 00:18:47,159 --> 00:18:55,201 世の中を じっと見てみれば 実に 奇妙なものが多い。 196 00:18:55,201 --> 00:19:05,511 例えば 今日屋敷を見に来る 者どもの腹の底も そう。 197 00:19:05,511 --> 00:19:09,682 世の不思議や あやかし。 198 00:19:09,682 --> 00:19:16,455 そういうものにこそ 人の本性が隠されている。 199 00:19:16,455 --> 00:19:19,659 そうは思わんか? 200 00:19:19,659 --> 00:19:23,329 本性が? 201 00:19:23,329 --> 00:19:26,699 <その日の夕刻である> 202 00:19:26,699 --> 00:19:33,039 老中 大久保加賀守様の名代として まかり越しました奥寺勘兵衛。 203 00:19:33,039 --> 00:19:36,976 主 静山より 委細 承っております。 204 00:19:36,976 --> 00:19:41,781 ここは 堀が近うござります故 大川の風が流れてきます。 205 00:19:41,781 --> 00:19:45,618 ことに 夏は しのぎやすい場所と存じます。 206 00:19:45,618 --> 00:19:49,388 なるほど。 はい。 207 00:19:49,388 --> 00:19:51,824 (雁二郎)いやいや いやいや…。 208 00:19:51,824 --> 00:19:55,695 これは もう 主の子供じみた遊び場所でして。 209 00:19:55,695 --> 00:19:58,364 お恥ずかしい ハハハ…。 210 00:19:58,364 --> 00:20:00,332 こちらは? こちらは➡ 211 00:20:00,332 --> 00:20:02,935 押し入れとなっております。 212 00:20:02,935 --> 00:20:05,838 これ お布団でございます。 213 00:20:05,838 --> 00:20:07,840 こちらです。 214 00:20:12,611 --> 00:20:18,284 「下手の横好き」と申しますか 我が主の手慰みでして。 215 00:20:18,284 --> 00:20:23,289 ヘヘヘ…。 216 00:20:30,863 --> 00:20:33,466 誰か潜んでる。 217 00:20:36,802 --> 00:20:40,005 ♬~ 218 00:20:52,151 --> 00:20:54,353 やっ! 219 00:20:56,655 --> 00:20:59,425 織江。 220 00:20:59,425 --> 00:21:01,360 織江? 221 00:21:01,360 --> 00:21:22,248 ♬~ 222 00:21:22,248 --> 00:21:24,784 何事でござるか? 223 00:21:24,784 --> 00:21:28,154 狙いは 川村真一郎殿 ただ一人! 224 00:21:28,154 --> 00:21:30,523 安藤様 奥寺様を 屋敷の外へ。 225 00:21:30,523 --> 00:21:33,526 川村! どういう事か!? 早う 外へ! 226 00:21:33,526 --> 00:22:04,723 ♬~ 227 00:22:09,628 --> 00:22:13,499 千右衛門 その元藩士は? 228 00:22:13,499 --> 00:22:17,303 はい 今日 御前をお訪ねすると。 229 00:22:17,303 --> 00:22:19,371 来ておらぬぞ。 230 00:22:19,371 --> 00:22:21,540 しかし ご妻女は➡ 231 00:22:21,540 --> 00:22:24,276 今日の御前の居所を聞いて 安堵しておりましたが。 232 00:22:24,276 --> 00:22:26,312 (足音) 233 00:22:26,312 --> 00:22:29,782 (小太夫)御前 ただいま 森下の屋敷から 使いが参り➡ 234 00:22:29,782 --> 00:22:34,620 女忍び2人が乱入致し 屋敷は 騒然たるありさまとか。 235 00:22:34,620 --> 00:22:37,823 女忍び? 236 00:22:37,823 --> 00:23:18,530 ♬~ 237 00:23:18,530 --> 00:23:20,699 (平沢)裏切り者! 238 00:23:20,699 --> 00:23:38,017 ♬~ 239 00:23:38,017 --> 00:23:40,219 や~っ! 240 00:23:48,394 --> 00:23:57,002 ♬~ 241 00:25:10,142 --> 00:25:18,250 ここが その方ら親子の 死に場所だ。 242 00:25:18,250 --> 00:25:48,881 ♬~ 243 00:25:48,881 --> 00:25:51,750 御前! 244 00:25:51,750 --> 00:25:54,319 手出し無用! 245 00:25:54,319 --> 00:26:04,530 ♬~ 246 00:26:04,530 --> 00:26:06,532 織江~っ! 247 00:27:01,720 --> 00:27:34,520 ♬~ 248 00:27:34,520 --> 00:27:38,790 おっかさん! お前は 見ておれ。 249 00:27:38,790 --> 00:27:56,175 ♬~ 250 00:28:43,722 --> 00:28:45,724 おっかさん! 251 00:29:27,132 --> 00:29:42,014 ♬~ 252 00:29:42,014 --> 00:29:43,949 (男)や~っ! 253 00:29:43,949 --> 00:30:02,100 ♬~ 254 00:30:02,100 --> 00:30:05,303 織江! 死ぬなよ! 255 00:30:07,406 --> 00:30:10,609 織江。 256 00:30:10,609 --> 00:30:12,544 織江…。 257 00:30:12,544 --> 00:30:15,847 ♬~ 258 00:30:44,342 --> 00:30:48,046 あ~…。 259 00:31:50,575 --> 00:31:53,879 あっ 織江。 260 00:32:14,099 --> 00:32:17,969 織江…。 261 00:32:17,969 --> 00:32:20,872 織江…。 262 00:32:20,872 --> 00:32:24,176 ご妻女の母御ですな。 263 00:32:24,176 --> 00:32:28,280 織江…。 264 00:32:36,721 --> 00:32:38,723 あっ…。 265 00:32:40,659 --> 00:32:43,762 織江は…? 266 00:32:46,031 --> 00:32:48,366 大丈夫です。 267 00:32:48,366 --> 00:32:52,971 もう一度 捜してきます。 268 00:33:13,859 --> 00:33:16,862 (静山)これは…。 269 00:33:19,297 --> 00:33:23,502 とんだお騒がせを…。 270 00:33:26,738 --> 00:33:31,176 お久しい事で…。 271 00:33:31,176 --> 00:33:33,178 雅江。 272 00:33:36,815 --> 00:33:40,518 静山様。 273 00:33:42,721 --> 00:33:47,125 織江を…。 274 00:33:47,125 --> 00:33:50,829 娘を…。 275 00:33:53,265 --> 00:33:59,905 ♬~ 276 00:33:59,905 --> 00:34:02,340 御前。 277 00:34:02,340 --> 00:34:11,383 この者は 20年ほど前 平戸の城勤めをしていた。 278 00:34:11,383 --> 00:34:19,724 2年もせぬうちに 忽然と姿を消した。➡ 279 00:34:19,724 --> 00:34:26,631 平戸に潜り込んだ 忍びとも知らずに いつしか…。 280 00:34:26,631 --> 00:34:34,239 ♬~ 281 00:34:34,239 --> 00:34:40,512 とすれば あの娘は 御前の…。 282 00:34:40,512 --> 00:34:47,385 その娘が 雙星彦馬の妻か…。 283 00:34:47,385 --> 00:34:51,623 因果は 巡りますな。 284 00:34:51,623 --> 00:35:43,308 ♬~ 285 00:35:43,308 --> 00:35:45,944 その方らのおかげで 静山追い落としの手を➡ 286 00:35:45,944 --> 00:35:48,246 失うてしもうた! まことに まことに➡ 287 00:35:48,246 --> 00:35:50,548 申し訳 これなく! 288 00:35:54,052 --> 00:35:57,489 川村には 当分 務めを控えさせ➡ 289 00:35:57,489 --> 00:36:03,294 謹慎致させます故 何とぞ お許し願い上げまする。 290 00:36:09,601 --> 00:36:11,536 (鐘の音) 291 00:36:11,536 --> 00:36:14,839 あまた 人が死んだ。 292 00:36:19,844 --> 00:36:23,114 雅江も死んだのだな? 293 00:36:23,114 --> 00:36:25,617 手応えがありました。 294 00:36:28,787 --> 00:36:30,789 私は…。 295 00:36:33,058 --> 00:36:36,861 織江を殺すまで追い続けます。 296 00:37:11,529 --> 00:37:18,303 この母は 娘を案じながら死んだ。 297 00:37:18,303 --> 00:37:21,606 そうでしょうね。 298 00:37:21,606 --> 00:37:29,114 生き続けてほしいという その思いが 娘に伝わるとよいが。 299 00:37:31,149 --> 00:37:34,352 それは 私の思いでもあります。 300 00:37:34,352 --> 00:37:36,654 そうだな。 301 00:37:44,329 --> 00:38:07,418 ♬~(横笛) 302 00:38:14,125 --> 00:38:20,832 娘は 修羅の道を行くか。 303 00:38:27,105 --> 00:38:56,134 ♬~(横笛) 304 00:38:56,134 --> 00:39:26,731 ♬~ 305 00:39:36,774 --> 00:39:39,677 「いつの日か」。 306 00:39:45,083 --> 00:39:47,418 織江。 307 00:39:47,418 --> 00:40:21,619 ♬~ 308 00:40:21,619 --> 00:40:23,921 先生 早いね。 どこ行くんだい? 309 00:40:23,921 --> 00:40:26,324 寺子屋に。 あっ 行ってらっしゃい。 310 00:40:26,324 --> 00:40:28,393 行ってきます。 おや 先生 おはよう おはよう! 311 00:40:28,393 --> 00:40:32,130 おはようございます。 どうしたんだい? 大丈夫かい? 312 00:40:32,130 --> 00:40:34,866 行っといで! 行ってきます。 313 00:40:34,866 --> 00:40:49,280 ♬~ 314 00:40:49,280 --> 00:40:52,283 いつの日か。 315 00:40:52,283 --> 00:40:59,557 ♬~ 316 00:40:59,557 --> 00:41:06,164 ♬「なぜに悲しみは いつか途絶えて」 317 00:41:06,164 --> 00:41:12,737 ♬「なぜに思い出は 美しいままで」 318 00:41:12,737 --> 00:41:15,940 ♬「分かち合った時間が」 319 00:41:15,940 --> 00:41:19,444 ♬「忘れられずに」 320 00:41:19,444 --> 00:41:29,120 ♬「いつまでも ここを離れられない」 321 00:41:29,120 --> 00:41:32,623 みんなの願い事は 何ですか? 322 00:41:34,759 --> 00:41:39,597 (ゆう)はい! 私は 先生みたいな先生になりたい。 323 00:41:39,597 --> 00:41:41,833 (忠太)何だ? それ。 324 00:41:41,833 --> 00:41:43,801 じゃ 忠太は? 325 00:41:43,801 --> 00:41:46,671 俺は… 饅頭食いたい! 326 00:41:46,671 --> 00:41:48,940 おいらは ご飯! 327 00:41:48,940 --> 00:41:51,442 (笑い声) 328 00:41:51,442 --> 00:41:54,178 先生! 私は ラクダに乗りたい! 329 00:41:54,178 --> 00:41:56,681 ゾウを飼いたい! クジラを釣りたい! 330 00:41:56,681 --> 00:41:59,650 賢くなりたい! お姫様になりたい! 331 00:41:59,650 --> 00:42:01,853 太郎吉は? 332 00:42:04,188 --> 00:42:07,492 会いたい。 333 00:42:07,492 --> 00:42:10,428 天下をとりたい! 私も 先生みたいになる! 334 00:42:10,428 --> 00:42:13,297 (子供たちの騒ぐ声) 335 00:42:13,297 --> 00:42:17,802 みんなの願い いつの日か➡ 336 00:42:17,802 --> 00:42:22,140 きっと かなう。 337 00:42:22,140 --> 00:42:25,143 いつの日か。