1 00:01:59,080 --> 00:02:09,080 ・~ 2 00:03:21,095 --> 00:03:23,097 <お数寄屋坊主とは・ 3 00:03:23,097 --> 00:03:26,100 江戸城中 本丸勤務の 茶坊主のことである> 4 00:03:26,100 --> 00:03:28,102 <代々 世襲の直参で・ 5 00:03:28,102 --> 00:03:32,106 知行は 30俵2人ぶちという 安給料であるが・ 6 00:03:32,106 --> 00:03:36,110 役目柄 政治上の秘密を 耳にする機会が多いために・ 7 00:03:36,110 --> 00:03:40,114 諸大名からの 情報提供料 口止め料など・ 8 00:03:40,114 --> 00:03:43,117 多額の副収入がある> 9 00:03:43,117 --> 00:03:46,120 <だから 大抵の者は せっせと金をため込んでいるが・ 10 00:03:46,120 --> 00:03:48,122 中には 変わり種もいる> 11 00:03:48,122 --> 00:03:52,126 <その男 河内山 宗俊> 12 00:03:52,126 --> 00:03:58,066 (町人たちの ざわめき) 13 00:03:58,066 --> 00:04:00,068 (丑松)分かってるって! 14 00:04:00,068 --> 00:04:02,070 (男)お願いしますよ。 (丑松)200両? 15 00:04:02,070 --> 00:04:04,072 (男)1軒1両 ざっと200軒。・ 16 00:04:04,072 --> 00:04:06,074 今月末までにですね 200両の金ができねえとですね・ 17 00:04:06,074 --> 00:04:09,077 俺たち あの長屋から 出ていかなくちゃならねんですよ。 18 00:04:09,077 --> 00:04:11,079 分かった。 俺が大家に掛け合ってやるから…。 19 00:04:11,079 --> 00:04:13,081 (男)ちょ… ちょっと待ってください。 20 00:04:13,081 --> 00:04:15,083 自慢じゃないんですがね・ 21 00:04:15,083 --> 00:04:18,086 あっしら 今まで 家賃を 1回も払ったことがないんで。 22 00:04:18,086 --> 00:04:21,089 (男)だからね 大家さんがね 蔵前の札差から銭を借りて・ 23 00:04:21,089 --> 00:04:23,091 やりくりしてたんだが。 (男)その札差野郎が・ 24 00:04:23,091 --> 00:04:25,093 勘定方の何とかって野郎に・ 25 00:04:25,093 --> 00:04:28,096 その どうでも 銭を 持っていかなくちゃならない…。 26 00:04:28,096 --> 00:04:30,098 分かった。 ちょっと… ちょっと黙ってろ。 27 00:04:30,098 --> 00:04:32,100 黙ってくれ。 28 00:04:32,100 --> 00:04:35,103 (男たち)お願いしますよ お願いしますよ。 29 00:04:35,103 --> 00:04:40,108 あ~あ えれえことになっちまったな。 30 00:04:40,108 --> 00:04:42,110 ここで 旦那 出てきて 胸の一つでも たたいてみろ。 31 00:04:42,110 --> 00:04:44,112 俺たち また どんな嫌な思いするか。 32 00:04:44,112 --> 00:04:46,114 ・(宗俊)おい。 来た。 33 00:04:46,114 --> 00:04:48,116 (宗俊)誰か来たのか? 34 00:04:48,116 --> 00:04:50,118 (男)俺たち この長屋から・ 35 00:04:50,118 --> 00:04:52,120 立ち退かなくてもいいんです! (大家)そうか。 36 00:04:52,120 --> 00:04:54,122 (男)河内山の旦那が 銭を 引き受けておくんなすったんだよ。 37 00:04:54,122 --> 00:04:58,122 (町人たちの ざわめき) 38 00:05:00,061 --> 00:05:07,068 (玄齊)何? 河内山が頓死した!? ヤハハハハ こりゃ めでたいな。 39 00:05:07,068 --> 00:05:09,070 (笑い声) 40 00:05:09,070 --> 00:05:12,073 運の悪いことよな。 41 00:05:12,073 --> 00:05:15,076 (笑い声) 42 00:05:15,076 --> 00:05:17,078 (大名)あの河内山が。 (大名)近ごろ おめでたい。 43 00:05:17,078 --> 00:05:20,081 (大名)いや~ 盆と正月が 一遍に来たようじゃ。 44 00:05:20,081 --> 00:05:23,084 (大名)いや~ めでたい めでたい! 45 00:05:23,084 --> 00:05:25,086 (大名)年に あいつに幾ら取られた? 46 00:05:25,086 --> 00:05:27,088 (重臣)あいつが生きていると・ 47 00:05:27,088 --> 00:05:29,090 ちょくちょく ちょくちょく 金を取られる。 48 00:05:29,090 --> 00:05:31,092 (重臣)やれやれ これで一安心じゃ。 49 00:05:31,092 --> 00:05:33,094 (重臣)めでたいな。 50 00:05:33,094 --> 00:05:53,114 ・~ 51 00:05:53,114 --> 00:05:57,051 ・~ 52 00:05:57,051 --> 00:06:00,051 ・(鐘の音) 53 00:06:03,057 --> 00:06:18,072 (僧侶の読経) 54 00:06:18,072 --> 00:06:21,072 直 どのぐらい いったんだ? 55 00:06:23,077 --> 00:06:27,081 (直次郎)林 肥後守さまは 金20両だろ。 56 00:06:27,081 --> 00:06:30,084 美濃部 筑前さまが 15両。 57 00:06:30,084 --> 00:06:35,089 堀 大和守 太田 備後守さまが ちょっと下がって 10両ずつだ。 58 00:06:35,089 --> 00:06:38,092 それだって お前 相当なもんだ。 59 00:06:38,092 --> 00:06:42,096 大したもんだね うちの旦那。 ああ。 60 00:06:42,096 --> 00:06:44,096 これは どうも。 61 00:07:01,048 --> 00:07:03,050 (ため息) 62 00:07:03,050 --> 00:07:16,063 (読経) 63 00:07:16,063 --> 00:07:21,063 (宗俊)どうだ? 香典の集まり具合は。 64 00:07:24,071 --> 00:07:26,073 集まるには 集まったんですけどね。 65 00:07:26,073 --> 00:07:32,079 (宗俊)どうした? おい 組頭の 西山 玄齊 来たか? 66 00:07:32,079 --> 00:07:34,081 ええ 来ました。 67 00:07:34,081 --> 00:07:37,084 (玄齊)兄貴に先に死なれて・ 68 00:07:37,084 --> 00:07:43,090 俺たちの組は これから どうやって 生きていきゃいいんだ。・ 69 00:07:43,090 --> 00:07:49,096 できることなら 俺が身代わりに なってやりたかった。・ 70 00:07:49,096 --> 00:07:54,101 いい人は早死にするって言うが 本当だねえ。 71 00:07:54,101 --> 00:07:57,038 (宗俊)香典は 10両 持ってきたか? 72 00:07:57,038 --> 00:08:03,044 とんでもねえ 1両っす。 (宗俊)何だ 1両だ? 73 00:08:03,044 --> 00:08:05,044 (宗俊の舌打ち) 74 00:08:09,050 --> 00:08:15,050 (玄齊)いや 誠に 惜しい人物を 亡くしましたな~。 75 00:08:18,059 --> 00:08:21,059 (お千代)止めて! すいません。 76 00:08:25,066 --> 00:08:27,068 (お千代)あの この辺に かわや ないかしら?・ 77 00:08:27,068 --> 00:08:32,068 もう ちょっと我慢できない すいません ちょっとですから。 78 00:08:48,089 --> 00:08:53,089 (宗俊)おい 丑 もう出るぞ! 79 00:08:55,096 --> 00:09:00,034 (僧侶の悲鳴) 80 00:09:00,034 --> 00:09:04,038 (宗俊)おい! おいおい 丑 直 医者 呼んでこい 医者を! 81 00:09:04,038 --> 00:09:19,053 ・~ 82 00:09:19,053 --> 00:09:22,056 (宗俊)三百何十両 香典が集まったっていっても・ 83 00:09:22,056 --> 00:09:25,059 これ 現… 現金。 おい。・ 84 00:09:25,059 --> 00:09:29,063 これは みんな 俺が借りた 借用証文じゃねえか。 85 00:09:29,063 --> 00:09:32,066 だから それが集まったんすよ。 86 00:09:32,066 --> 00:09:36,070 現金はね お数寄屋の組頭と 仲間が持ってきてくれた・ 87 00:09:36,070 --> 00:09:38,072 3両2分1朱だけ。 88 00:09:38,072 --> 00:09:41,072 どうするんですか? 旦那。 89 00:09:51,085 --> 00:09:53,087 ・(水音) 90 00:09:53,087 --> 00:09:55,089 (宗俊)魚だろう。 91 00:09:55,089 --> 00:09:58,025 あら! 若え娘だ おい。 92 00:09:58,025 --> 00:10:00,027 あっ… おっと アハハ。 93 00:10:00,027 --> 00:10:04,031 バカだな。 旦那 あいつ泳げねえんだ アハハ。 94 00:10:04,031 --> 00:10:06,033 (叫び声) 95 00:10:06,033 --> 00:10:08,033 助けて~! 96 00:10:10,037 --> 00:10:12,037 助け…。 97 00:10:14,041 --> 00:10:16,041 助けて。 98 00:10:19,046 --> 00:10:23,046 あっ ねえねえねえ 旦那 ほら 直が沈んでっちまったよ。 99 00:10:26,053 --> 00:10:30,057 (宗俊)おい! 娘も沈んだぞ。 100 00:10:30,057 --> 00:10:33,060 もう浮かんでこないよ 旦那 これ。 101 00:10:33,060 --> 00:10:36,063 直~! あ~ よかった。 102 00:10:36,063 --> 00:10:40,063 (お千代)早く! 何だよ お前は まったくよ。 103 00:10:42,069 --> 00:10:46,073 直は どうでもいいけど 女 助けろ。 104 00:10:46,073 --> 00:10:49,076 大丈夫か? ああ 助かったよ。 105 00:10:49,076 --> 00:10:51,076 旦那~。 バカ! 106 00:10:54,081 --> 00:10:57,017 (叫び声) 107 00:10:57,017 --> 00:11:00,020 あ~ よかった…。 何しやがる バカ! 108 00:11:00,020 --> 00:11:02,020 何をする! (一同の叫び声) 109 00:11:07,027 --> 00:11:10,027 (使用人)女将さ~ん! (女中)お帰りですよ! 110 00:11:14,034 --> 00:11:16,034 (お滝)おかえりなさい。 111 00:11:19,039 --> 00:11:22,042 直よ お前 何 考えて 飛び込んだんだ? 112 00:11:22,042 --> 00:11:25,045 あの娘 助けてくんなきゃ 今頃 お陀仏だ。 113 00:11:25,045 --> 00:11:27,047 そ~れや! 114 00:11:27,047 --> 00:11:31,051 (お滝)ハハ 娘って聞いただけで 飛び込んじゃうなんて・ 115 00:11:31,051 --> 00:11:34,054 直さん らしいよね。 とにかく お前 直の野郎な・ 116 00:11:34,054 --> 00:11:37,057 水の中へ ぶ~って ぶ~って 見せたかったよ ホント。 117 00:11:37,057 --> 00:11:42,062 (お滝・宗俊の笑い声) 118 00:11:42,062 --> 00:11:45,065 (お滝)でもさ なかなか いいとこの娘さんらしいね。 119 00:11:45,065 --> 00:11:47,067 ・(お千代)あ~ さっぱりした。・ 120 00:11:47,067 --> 00:11:49,069 女将さん・ 121 00:11:49,069 --> 00:11:52,072 どうも お着物まで拝借しちゃって すいません。 122 00:11:52,072 --> 00:11:55,075 (お滝)ううん いいえ。 123 00:11:55,075 --> 00:11:58,078 (お千代)大丈夫でした? あの人。・ 124 00:11:58,078 --> 00:12:02,082 泳げないのに 飛び込むなんて 変わった人ね。 125 00:12:02,082 --> 00:12:04,084 (お滝)でも お嬢さん どうして その 大川で泳いで・ 126 00:12:04,084 --> 00:12:06,086 遊んでたんです? (お千代)私・ 127 00:12:06,086 --> 00:12:08,088 身投げしたんですもん。 (お滝)へっ? 128 00:12:08,088 --> 00:12:11,091 ほら よく芝居であるでしょ。 129 00:12:11,091 --> 00:12:13,093 お家のために めかけ奉公に出されて・ 130 00:12:13,093 --> 00:12:16,096 娘は 泣く泣く身投げする っていう話 あれなのよ。 131 00:12:16,096 --> 00:12:18,098 あれ? (お千代)うん。 132 00:12:18,098 --> 00:12:21,101 だけどさ 驚いちゃったわ。 133 00:12:21,101 --> 00:12:24,104 落ちてみたら 先に溺れてる人が いるんですものね。 134 00:12:24,104 --> 00:12:27,107 あら 女将さん 私も少し飲みたいな。 135 00:12:27,107 --> 00:12:31,111 はい どうぞ どうぞ はい。 (お千代)いただきます。 136 00:12:31,111 --> 00:12:34,111 はい。 ああ…。 137 00:12:38,118 --> 00:12:40,120 お前 泳ぎが うめえんだな。 138 00:12:40,120 --> 00:12:44,124 (お千代)うん 深川育ちだもん。・ 139 00:12:44,124 --> 00:12:47,124 ねえ あんた 船頭さん? 140 00:12:50,130 --> 00:12:54,134 俺は侍だ。 元はれっきとした。 141 00:12:54,134 --> 00:12:59,073 拙者の… 拙者の名は 片岡 直次郎。 142 00:12:59,073 --> 00:13:04,078 (お千代)ああ お侍さん。 うん。 143 00:13:04,078 --> 00:13:07,081 刀は? 質屋。 144 00:13:07,081 --> 00:13:10,084 お侍さんなのに お金がないの? 145 00:13:10,084 --> 00:13:15,089 ホントのお侍はね 金なんか持っちゃ いけねえんだよ。 146 00:13:15,089 --> 00:13:19,093 拙者のうちは 代々 金なんか持たねえ家柄で・ 147 00:13:19,093 --> 00:13:21,093 通してきたんだ。 148 00:13:23,097 --> 00:13:26,097 で お前さん どっから来た? 149 00:13:31,105 --> 00:13:37,111 ひのき屋? お前さんが あの 深川 木場の娘さんか? 150 00:13:37,111 --> 00:13:39,111 他の人に言っちゃ 嫌なのよ。 151 00:13:42,116 --> 00:13:46,120 そんな200両なんて大金・ 152 00:13:46,120 --> 00:13:49,120 そう やすやすと できるわけはなし。 153 00:13:52,126 --> 00:13:56,130 旦那もね ちっとは自分のこととか・ 154 00:13:56,130 --> 00:14:02,069 ほら 周りの者のこと考えなきゃ。 うるせえな。 155 00:14:02,069 --> 00:14:04,071 俺は 長屋の連中を どうやって助けるかってことで・ 156 00:14:04,071 --> 00:14:08,075 頭がいっぱいだ。 黙ってろ! 1人も助けられないで・ 157 00:14:08,075 --> 00:14:11,078 そんな大勢の人 助けられるもんか。 158 00:14:11,078 --> 00:14:13,080 何だ その言い草。 159 00:14:13,080 --> 00:14:15,082 おい! 何てこと言うんだ バカヤロー。 160 00:14:15,082 --> 00:14:17,084 俺 今まで 人に頼まれて・ 161 00:14:17,084 --> 00:14:19,086 1人でも助けなかったやつが いるか!? 162 00:14:19,086 --> 00:14:21,086 言ってみろ! その1人っていうのは。 163 00:14:25,092 --> 00:14:28,095 また 話の筋が違うこと 言ってやがる。 チクショー。 164 00:14:28,095 --> 00:14:31,098 ちょいと ちょいと 旦那 また かわや? 165 00:14:31,098 --> 00:14:35,102 こういうときになると すぐ かわやなんだね。・ 166 00:14:35,102 --> 00:14:37,104 あら こんな近かったかしら? 何よ。 167 00:14:37,104 --> 00:14:40,107 1人 助けるのも 100人 助けるのも・ 168 00:14:40,107 --> 00:14:42,109 おんなじじゃない…。 ・旦那! 169 00:14:42,109 --> 00:14:45,112 どうした? どうした? (お滝)また 邪魔な…。 170 00:14:45,112 --> 00:14:48,115 ごめんなすって。 いや あのね あの ほら お千代っていう女・ 171 00:14:48,115 --> 00:14:52,119 あれ 深川 木場の ひのき屋の 一人娘なんだ。 172 00:14:52,119 --> 00:14:56,123 まあ もう ひのき屋ったら 100や200の銭じゃねえな。 173 00:14:56,123 --> 00:15:00,060 とにかくね 一番目狂言の とにかく 筋書きは・ 174 00:15:00,060 --> 00:15:03,063 あっしに任しておくんなさい。 175 00:15:03,063 --> 00:15:07,063 よし。 おい 丑はどうした! 176 00:15:13,073 --> 00:15:15,075 (男)危ねえな! 何だと こら! 177 00:15:15,075 --> 00:15:17,075 何しやがるんでい! (男)何しやがるんでい! 178 00:15:23,083 --> 00:15:25,085 (男)お前 何したんでい! あかん ちょっと 待って…。 179 00:15:25,085 --> 00:15:30,090 違う 人違い ごめんな。 どうも すいませんでした。 180 00:15:30,090 --> 00:15:33,090 ヤバいな~ これは~! 181 00:15:42,102 --> 00:15:46,102 ヘヘヘヘヘ こりゃ いい財布だな。 182 00:15:49,109 --> 00:15:51,111 頭 来ちゃうな 身なりの割によ。 183 00:15:51,111 --> 00:15:54,114 ・おい! 神妙にしろ。 184 00:15:54,114 --> 00:15:58,052 あっ… 何だ 旦那じゃないですか 驚かさないでくださいよ。 185 00:15:58,052 --> 00:16:02,056 どれ? おう。 駄目だ 全然 今日はしけだ。 186 00:16:02,056 --> 00:16:04,058 う~ん 何だよ こりゃ? 187 00:16:04,058 --> 00:16:06,058 う~ん? 188 00:16:12,066 --> 00:16:17,071 丑 てめえ 誰から これすった? 189 00:16:17,071 --> 00:16:22,076 誰からって その… ちょんまげで 2本 差してる。 190 00:16:22,076 --> 00:16:25,079 いつも…。 バカヤロー! 来い! 191 00:16:25,079 --> 00:16:45,099 ・~ 192 00:16:45,099 --> 00:16:47,101 ・~ 193 00:16:47,101 --> 00:16:49,103 (お千代の叫び声) おっと! おい。 194 00:16:49,103 --> 00:16:52,106 (お千代)ごめんなさい。 195 00:16:52,106 --> 00:16:55,106 お前さんは こんなことしなくて いいんだよ。 196 00:17:00,047 --> 00:17:03,050 どうしても雑巾がけしたいって 聞かないんですよ。 197 00:17:03,050 --> 00:17:05,052 金持ちのお嬢さんって 変わってるね。 198 00:17:05,052 --> 00:17:07,054 それは 何たって お前 人間ってのはな・ 199 00:17:07,054 --> 00:17:11,058 普段やれねえことを ちょっと やってみたくなるもんなんだよ。 200 00:17:11,058 --> 00:17:17,064 私が普段やれないことって 何でしたっけ? 201 00:17:17,064 --> 00:17:20,067 あのな ちょっと これを見てもらいてえんだ。 202 00:17:20,067 --> 00:17:22,069 これ この ひょうたんな 並びびょうたんだ。 203 00:17:22,069 --> 00:17:24,071 これ どこの紋だっけな? そんなこと言って・ 204 00:17:24,071 --> 00:17:26,073 ごまかしちゃって まあ。 並びびょうたんだか・ 205 00:17:26,073 --> 00:17:29,076 並びへちまだか知らないけど。 あれ? 206 00:17:29,076 --> 00:17:35,082 こっちが ちっちゃいから女だよ 私だね。 207 00:17:35,082 --> 00:17:37,084 何してんの いやらしいね。 208 00:17:37,084 --> 00:17:42,089 お勘定方 神尾 備前守さまの紋所。 209 00:17:42,089 --> 00:17:44,091 何で お前 そんなことを。 210 00:17:44,091 --> 00:17:46,093 だって 私を迎えに来た かごにね・ 211 00:17:46,093 --> 00:17:49,096 並びびょうたんが くっついてたんですもの。 212 00:17:49,096 --> 00:17:51,098 よいしょ。 213 00:17:51,098 --> 00:17:54,101 おう 直 どうした? (お滝)何 言ってんですよ。 214 00:17:54,101 --> 00:17:59,101 直さんは ほら 一番目狂言の 幕を開けに 行きましたよ。 215 00:18:01,041 --> 00:18:06,046 (戸をたたく音) 216 00:18:06,046 --> 00:18:09,046 本日は ちょっと 取り込みがございまして。 217 00:18:11,051 --> 00:18:14,054 これはお嬢さまの。 ええ。 218 00:18:14,054 --> 00:18:16,056 実は お嬢さんの居所を・ 219 00:18:16,056 --> 00:18:19,059 あっしが ちょっと 知っておりますもんで。 220 00:18:19,059 --> 00:18:22,062 俺の手が ここへ来たら。 帯ですね。 221 00:18:22,062 --> 00:18:26,066 ここへ来たら お前… ば~っと 大きな声 出すんだ。 分かったな? 222 00:18:26,066 --> 00:18:31,071 ここへ来たらな す~っと 控えて… 一遍 やってみろ。 223 00:18:31,071 --> 00:18:35,075 冗談じゃない! 俺は もう ホント いいかげんにしろ! 224 00:18:35,075 --> 00:18:38,075 こりゃ どうも 結構な お日和でございます…。 225 00:18:46,086 --> 00:18:49,089 あの ごめんくださいまし。 226 00:18:49,089 --> 00:18:51,091 (手代)人足なら間に合ってるよ。 227 00:18:51,091 --> 00:18:55,095 いやいやいや 人足じゃねえんですよ。 228 00:18:55,095 --> 00:18:59,032 ここの 旦那に どうしても用があって・ 229 00:18:59,032 --> 00:19:02,035 参りましたんですけどね。 230 00:19:02,035 --> 00:19:06,039 あっしはね 暗闇の丑松って者ですよ。 231 00:19:06,039 --> 00:19:09,042 (手代)暗闇の牛だか 昼間の馬だか 知らないけど 今は 忙しいんだ。・ 232 00:19:09,042 --> 00:19:12,045 残り物が欲しいんなら 勝手口 回んなさい。 233 00:19:12,045 --> 00:19:15,048 この野郎 調子に乗りやがって ちょっと出てこいよ おい! 234 00:19:15,048 --> 00:19:17,050 誰に言ってんの これ え~!? 下手に出りゃ・ 235 00:19:17,050 --> 00:19:20,053 つけ上がりやがって この…。 236 00:19:20,053 --> 00:19:23,056 あの 結構なお店で。 そんな大きな声 出すんじゃねえ。 237 00:19:23,056 --> 00:19:25,058 (番頭・手代)いらっしゃいまし。 あのね・ 238 00:19:25,058 --> 00:19:27,060 ちょっと 奥へ上がらして もらえますか? 239 00:19:27,060 --> 00:19:31,064 (番頭)いえ あの 主人は 風邪気味で伏せっておりますので。 240 00:19:31,064 --> 00:19:35,068 俺が 城府へ上がれねえと 風邪ぐらいじゃ済まねえぞ。 241 00:19:35,068 --> 00:19:37,070 ここに ぺんぺん草が生えるからな。 242 00:19:37,070 --> 00:19:39,070 (番頭)ちょっと… どちらさま? 243 00:20:01,028 --> 00:20:06,033 (佐兵衛)当家のあるじ 遠州屋 佐兵衛でございます。・ 244 00:20:06,033 --> 00:20:10,037 どんなお話でございますか?・ 245 00:20:10,037 --> 00:20:16,043 何だか 重大な用件だと 承りましたが。 246 00:20:16,043 --> 00:20:19,046 ええ。 その用件ってのは・ 247 00:20:19,046 --> 00:20:22,049 旦那の方が ご存じじゃ ありませんかね? 248 00:20:22,049 --> 00:20:26,053 (佐兵衛)はて 何を申されるやら。・ 249 00:20:26,053 --> 00:20:29,053 一向に 心当たり ありませんな。 250 00:20:31,058 --> 00:20:33,060 遠州屋! 251 00:20:33,060 --> 00:20:35,062 ネタ ちゃんと上がってんだよ! 252 00:20:35,062 --> 00:20:37,064 とぼけようたって そうはいかねえぞ! 253 00:20:37,064 --> 00:20:39,066 おう 丑。 254 00:20:39,066 --> 00:20:43,070 旦那は 何にも ご存じねえって 言ってるんだ。 255 00:20:43,070 --> 00:20:48,075 いつまでいたって しょうがねえ。 なっ おいとましよう。 256 00:20:48,075 --> 00:20:51,075 他へ行きゃあ お前 いくらでも話は…。 257 00:20:54,081 --> 00:20:56,083 (佐兵衛)あ~ もし その書き付けは。・ 258 00:20:56,083 --> 00:21:00,083 ちょっと待って ちょっと… まあまあまあ… どうぞ。 259 00:21:04,024 --> 00:21:08,028 (佐兵衛)その書き付けは 確かに 手前どもが出しました・ 260 00:21:08,028 --> 00:21:10,030 2, 000両の支払手形。 261 00:21:10,030 --> 00:21:12,032 それが どうして あなたさまの手に? 262 00:21:12,032 --> 00:21:14,034 ああ そこだ。 263 00:21:14,034 --> 00:21:17,037 それを聞く前に 旦那・ 264 00:21:17,037 --> 00:21:22,042 何で こんな手形を書いたか その訳を話してくれるのが・ 265 00:21:22,042 --> 00:21:26,042 筋道っていうもんじゃ ございませんかね? 266 00:21:28,048 --> 00:21:30,048 (佐兵衛)はい。 267 00:21:36,056 --> 00:21:40,060 (佐兵衛)では お話しいたしましょう。・ 268 00:21:40,060 --> 00:21:42,062 実は この手形は・ 269 00:21:42,062 --> 00:21:45,065 深川 木場の ひのき屋さんから 仕入れました・ 270 00:21:45,065 --> 00:21:51,071 木曽ヒノキ材の 2, 000石の代金で ございます。 271 00:21:51,071 --> 00:21:57,077 え~ それじゃあ 材木屋の仲間が 買い占めってのは・ 272 00:21:57,077 --> 00:21:59,079 今 ご法度になってるんじゃ ありませんかね? 273 00:21:59,079 --> 00:22:01,081 (佐兵衛)いいえ。 274 00:22:01,081 --> 00:22:06,086 手前どもは お支配筋のお指図で やりましたので・ 275 00:22:06,086 --> 00:22:09,089 何ら やましいところは ございません。 276 00:22:09,089 --> 00:22:13,093 お支配筋? はい。 277 00:22:13,093 --> 00:22:17,097 元来は 町方のお指図を 受けるんでございますが・ 278 00:22:17,097 --> 00:22:21,101 今回は 特別に・ 279 00:22:21,101 --> 00:22:28,108 ご老中 水野 越前守さまの 内命とかで。 280 00:22:28,108 --> 00:22:34,114 お勘定方 神尾 備前守さまから お話がございました。 281 00:22:34,114 --> 00:22:36,114 並びびょうたん。 282 00:22:39,119 --> 00:22:42,122 まっ それで その手形を・ 283 00:22:42,122 --> 00:22:45,125 ひのき屋の番頭さんに お渡しいたしましたが・ 284 00:22:45,125 --> 00:22:48,128 聞くところによりますと・ 285 00:22:48,128 --> 00:22:53,133 当家からの帰り道に 辻斬り強盗に襲われて・ 286 00:22:53,133 --> 00:22:55,135 手形を盗まれたそうで ございます。 287 00:22:55,135 --> 00:22:57,070 かわえそうに。 288 00:22:57,070 --> 00:23:00,073 じゃ もし そのひのき屋さんが・ 289 00:23:00,073 --> 00:23:03,076 もう1枚書いてくれって来たら どうなさいます? 290 00:23:03,076 --> 00:23:08,081 いいえ 手前も あきんどでございます。 291 00:23:08,081 --> 00:23:12,085 手形を出したら これは もう 現金を支払ったも同然。 292 00:23:12,085 --> 00:23:14,087 どんな事情がございましても・ 293 00:23:14,087 --> 00:23:17,090 2枚 手形を出すわけには まいりません。 294 00:23:17,090 --> 00:23:20,093 なるほどね。 295 00:23:20,093 --> 00:23:22,095 それじゃ お前 この手形ってのは・ 296 00:23:22,095 --> 00:23:24,097 誰が持ってきても 2, 000両もらえるってわけ ねえ? 297 00:23:24,097 --> 00:23:26,099 (佐兵衛)そうですね。 298 00:23:26,099 --> 00:23:29,102 フフフ いえ まあまあ。 299 00:23:29,102 --> 00:23:35,108 ただし その手形が どういう いきさつで・ 300 00:23:35,108 --> 00:23:40,113 お前さん方の手に入ったか その訳を聞かないうちには・ 301 00:23:40,113 --> 00:23:45,118 フフフフフ お金は支払えませんよ。 302 00:23:45,118 --> 00:23:48,121 フフフフフ…。・ 303 00:23:48,121 --> 00:23:51,124 お前さん その手形を どうしようって言うんだ? 304 00:23:51,124 --> 00:23:55,128 煮て食おうと 焼いて食おうとよ 後は料理の腕しだいだ! 305 00:23:55,128 --> 00:23:57,063 大きなお世話だ 放っとけ バカヤロー! 306 00:23:57,063 --> 00:23:59,065 ・(万吉)丑松 神妙にしろい!・ 307 00:23:59,065 --> 00:24:01,067 やい 丑! 事もあろうに・ 308 00:24:01,067 --> 00:24:05,071 お勘定方 神尾 備前守さまの 懐を狙うとは 太え野郎だ! 309 00:24:05,071 --> 00:24:07,073 (笹井)その方も同罪だ 神妙にいたせ! 310 00:24:07,073 --> 00:24:12,078 お主 お前さん方 町方のお役人さんですね。 311 00:24:12,078 --> 00:24:16,082 (笹井)当然だ! 万吉 こいつも縛れ。 312 00:24:16,082 --> 00:24:18,084 いつから 不浄役人が・ 313 00:24:18,084 --> 00:24:20,086 俺の体に縄を掛けれるように なったんでい! 314 00:24:20,086 --> 00:24:22,088 (笹井)何だと! 315 00:24:22,088 --> 00:24:24,090 てめえら! このお方を・ 316 00:24:24,090 --> 00:24:26,092 どこのどなたさまか 知ってんのかい!? 317 00:24:26,092 --> 00:24:30,096 (万吉)どこの馬の骨だか 知るもんかい! 318 00:24:30,096 --> 00:24:37,103 知らざあ言って 聞かせやしょう! (万吉)気取るんじゃねえやい! 319 00:24:37,103 --> 00:24:40,106 江戸八百八町に隠れもねえ・ 320 00:24:40,106 --> 00:24:44,110 下谷練塀小路の 河内山 宗俊さまだ! 321 00:24:44,110 --> 00:24:47,113 (笹井)えっ? 河内山? そうよ! 322 00:24:47,113 --> 00:24:50,116 俺は 河内山 宗俊だい! おう! 323 00:24:50,116 --> 00:24:52,118 俺は天下の直参だぞ! 324 00:24:52,118 --> 00:24:55,121 俺の体 指一本 触れるには 若年寄の許しがいるんだ! 325 00:24:55,121 --> 00:24:59,059 それとも何か? てめえら 不浄役人の一存で・ 326 00:24:59,059 --> 00:25:01,061 どうでも 俺を引っ張るって 面白い。 327 00:25:01,061 --> 00:25:03,063 引っ張ってもらおうじゃねえか 引っ張ってもらおうじゃねえか! 328 00:25:03,063 --> 00:25:07,067 その代わり 俺は 転んでも ただ起きねえのが 俺の身上だ。 329 00:25:07,067 --> 00:25:10,070 おう! 出るとこへ出て 俺が しかじかこうだと言った日にゃ・ 330 00:25:10,070 --> 00:25:14,074 遠州屋 てめえの体は言うに及ばず・ 331 00:25:14,074 --> 00:25:17,077 勘定方から てめえたちの親玉まで 火の粉が掛かるのう! 332 00:25:17,077 --> 00:25:21,081 万吉 前へ出ろ ず~っと前へ出ろ。 333 00:25:21,081 --> 00:25:24,084 (万吉)どうも ご無礼を… いたしました。 334 00:25:24,084 --> 00:25:26,086 てめえ さっき 勘定方が どうのこうのって言ってたな。 335 00:25:26,086 --> 00:25:29,089 いえ いや…。 が これを見てみろ。 336 00:25:29,089 --> 00:25:31,091 これは あきない手形だ。 337 00:25:31,091 --> 00:25:34,094 これが 何で 勘定方の 神尾 備前の懐へ入ってたんだ? 338 00:25:34,094 --> 00:25:36,096 その訳を 言ってもらおうじゃねえか。 339 00:25:36,096 --> 00:25:40,100 さあ お前ら 奉行所 行け。 (佐兵衛)河内山さま 河内山さま。 340 00:25:40,100 --> 00:25:42,102 ご高名な河内山さまとは つゆ知らず・ 341 00:25:42,102 --> 00:25:45,105 今日のところは これに免じて。 342 00:25:45,105 --> 00:25:50,110 何で この あきない手形が 勘定方に…。 343 00:25:50,110 --> 00:25:53,113 河内山さま! 344 00:25:53,113 --> 00:25:55,115 (手代)お嬢さま~! (奉公人)お嬢さま~! 345 00:25:55,115 --> 00:25:58,051 (手代)お嬢さま~! (奉公人)お嬢さま! 346 00:25:58,051 --> 00:26:00,053 (手代)そっちは いないか? (奉公人)いや いないです。 347 00:26:00,053 --> 00:26:03,056 おう どうしたんだい? (手代)あっ 片岡さま。 348 00:26:03,056 --> 00:26:07,060 また お嬢さんが いなくなりまして。・ 349 00:26:07,060 --> 00:26:09,062 お心当たりはございませんか? 350 00:26:09,062 --> 00:26:13,066 拙者は知らねえな。 351 00:26:13,066 --> 00:26:16,069 (手代)あっちの方 捜しなさい 早く こっちだ 早く。 352 00:26:16,069 --> 00:26:19,072 (手代)お嬢さま! (奉公人)お嬢さま! 353 00:26:19,072 --> 00:26:21,074 (奉公人)お嬢さま~! ・(口笛) 354 00:26:21,074 --> 00:26:25,074 よいしょ。 よいしょ。 355 00:26:28,081 --> 00:26:32,085 おう。 (お千代)あ~ もう参っちゃった。 356 00:26:32,085 --> 00:26:35,088 千代 ひのき屋ってのは ちょっとケチだな。 357 00:26:35,088 --> 00:26:37,090 足りねえんだな あれじゃあ。 358 00:26:37,090 --> 00:26:41,094 (お千代)う~ん いい手あるわよ。 何だい? 359 00:26:41,094 --> 00:26:44,097 (お千代)あんたと私が めおとになるの。 360 00:26:44,097 --> 00:26:47,100 おい あらま ホントかよ おい。 361 00:26:47,100 --> 00:26:50,103 やあね 違うでしょ。 362 00:26:50,103 --> 00:26:52,105 それくらい言わなきゃ うちのおとっつぁん・ 363 00:26:52,105 --> 00:26:55,108 お金 出さないわよ。 364 00:26:55,108 --> 00:26:57,043 うめえこと いったもんだ。 365 00:26:57,043 --> 00:27:01,047 ねえ 旦那 この調子だったら まだまだ 搾り取れる。 366 00:27:01,047 --> 00:27:04,050 直の野郎もな 今日は娘を連れて帰ってるから・ 367 00:27:04,050 --> 00:27:06,052 50両ぐれえには なってるだろう。 368 00:27:06,052 --> 00:27:11,057 合わせて 150両か。 あと50両 足らねえが。 369 00:27:11,057 --> 00:27:15,061 あっ あしたにでも俺 もう1回 行って あの…。 370 00:27:15,061 --> 00:27:18,064 (男)もし ちょいと顔を貸して いただけませんか? 371 00:27:18,064 --> 00:27:21,064 この顔ですか? (男)表 出ろ! 372 00:27:25,071 --> 00:27:27,073 丑。 へい。 373 00:27:27,073 --> 00:27:30,076 お前な 先に帰ってろ。 374 00:27:30,076 --> 00:27:33,079 とっつぁん そのままにしといてくれよ。 375 00:27:33,079 --> 00:27:36,079 じきに帰ってくるからな。 旦那 気を付けてよ! 376 00:27:39,085 --> 00:27:59,038 ・~ 377 00:27:59,038 --> 00:28:09,048 ・~ 378 00:28:09,048 --> 00:28:11,050 おっと 危ねえ。 379 00:28:11,050 --> 00:28:23,062 ・~ 380 00:28:23,062 --> 00:28:25,062 バカヤロー。 381 00:28:54,093 --> 00:29:14,047 ・~ 382 00:29:14,047 --> 00:29:19,047 ・~ 383 00:29:36,069 --> 00:29:40,073 いや~ よくぞ 生き返ってくだすった。 384 00:29:40,073 --> 00:29:44,077 兄貴が死んだと聞いたときの 私の切なさ。 385 00:29:44,077 --> 00:29:47,080 これから どうやって 生きていったら いいかと。 386 00:29:47,080 --> 00:29:50,083 いや いっそ てめえの全財産を 投げ出して・ 387 00:29:50,083 --> 00:29:54,087 ぜひ 生き返ってほしいと 神や仏に 手を合わして…。 388 00:29:54,087 --> 00:30:01,027 それほどまで 俺を思ってくれて 持ってきた香典が 1両か。 389 00:30:01,027 --> 00:30:05,031 (玄齊)調べました件で ございますが…。 390 00:30:05,031 --> 00:30:08,031 ・(お滝)ちょっと 松の間に おちょうし 3本ね。 391 00:30:10,036 --> 00:30:12,038 (お滝)まあまあ 玄齊さん。 392 00:30:12,038 --> 00:30:15,041 こないだは お通夜で 色々とご心配をお掛けしまして。 393 00:30:15,041 --> 00:30:21,047 (玄齋)いや ハハハ いや~ いつ見ても お美しい。・ 394 00:30:21,047 --> 00:30:24,050 遠州屋の件でございますが・ 395 00:30:24,050 --> 00:30:27,053 遠州屋に 買い占めをやらせているのは・ 396 00:30:27,053 --> 00:30:29,055 神尾 備前。 397 00:30:29,055 --> 00:30:33,059 ひのき屋に 仲間買いを命じているのも・ 398 00:30:33,059 --> 00:30:35,061 神尾 備前。 399 00:30:35,061 --> 00:30:40,066 遠州屋が出した手形を 横取りしたのも 神尾だな。 400 00:30:40,066 --> 00:30:43,069 (玄齊)とにかく 近頃の神尾は・ 401 00:30:43,069 --> 00:30:47,073 逆らう者は 片っ端から つぶしていくというほどの・ 402 00:30:47,073 --> 00:30:51,077 恐ろしい力で。 403 00:30:51,077 --> 00:30:56,082 何で 急に その 神尾 備前が そんな力持ちになった。 404 00:30:56,082 --> 00:30:59,082 大きな声じゃ言えませんが…。 んっ? 405 00:31:01,020 --> 00:31:03,020 大きな声じゃ言えませんが…。 406 00:31:07,026 --> 00:31:09,026 おい。 はい。 407 00:31:13,032 --> 00:31:15,034 大きな声で言ってくださいよ! 408 00:31:15,034 --> 00:31:17,036 こないだの香典 返してやれって 言ってるんだ! 409 00:31:17,036 --> 00:31:20,039 (お滝)あ~ はいはい。 410 00:31:20,039 --> 00:31:24,043 あれ あ… いや 困るな いや そんなつもりじゃ。 411 00:31:24,043 --> 00:31:27,046 いやいや それじゃ 何のために 私が こうして やって来たか・ 412 00:31:27,046 --> 00:31:31,050 分からないじゃありません… 困るな そんなつもりじゃ。 413 00:31:31,050 --> 00:31:34,050 では 大きな声で。 414 00:31:36,055 --> 00:31:41,060 神尾 備前と 水野の殿様の間に 何か…。 415 00:31:41,060 --> 00:31:44,063 おう それ以上 言うんじゃねえ。 416 00:31:44,063 --> 00:31:47,066 (玄齊)はいはい はいはい 申しません 申しません。 417 00:31:47,066 --> 00:31:51,070 それでは これにて 玄齊 ハハハ 下城つかまつる。 418 00:31:51,070 --> 00:31:53,072 (お滝)ホント 何もお構いできませんで。 419 00:31:53,072 --> 00:31:56,075 (玄齊)いやいや いやいや そのまま そのまま そのまま…。・ 420 00:31:56,075 --> 00:32:01,075 いや~ いつ見ても お美しい ハッハ。 421 00:32:07,086 --> 00:32:27,106 ・~ 422 00:32:27,106 --> 00:32:33,112 ・~ 423 00:32:33,112 --> 00:32:35,114 今の玄齊の話しっぷりじゃ・ 424 00:32:35,114 --> 00:32:38,117 水野が結合して ひのき屋を押しつぶし・ 425 00:32:38,117 --> 00:32:40,119 遠州屋だけに もうけさせて その稼ぎを・ 426 00:32:40,119 --> 00:32:44,123 どっぷり取ろうとするんだ。 水野のお殿様が後押し? 427 00:32:44,123 --> 00:32:47,126 それじゃ いくら何でも 手も足も出やしないよ。 428 00:32:47,126 --> 00:32:49,128 相手が水野だから面白いんだ。 うまくやれば お前・ 429 00:32:49,128 --> 00:32:51,130 これ 2, 000両に なるかもしれねえぞ。 430 00:32:51,130 --> 00:32:54,133 2, 000両? 見事 幕を下ろしゃ・ 431 00:32:54,133 --> 00:32:57,070 お前 一遍 湯治場へ 連れてってやる。 432 00:32:57,070 --> 00:32:59,072 本当かい? その代わり・ 433 00:32:59,072 --> 00:33:03,076 一役 買ってくれるな? うん。 434 00:33:03,076 --> 00:33:09,082 <遠州 浜松藩 6万石の城主 水野 越前守 忠邦は・ 435 00:33:09,082 --> 00:33:14,087 天保5年 本丸老中となり その英才をもって・ 436 00:33:14,087 --> 00:33:17,090 幕閣に並びなき権勢を 誇っていた> 437 00:33:17,090 --> 00:33:19,092 (武部)申し上げます。・ 438 00:33:19,092 --> 00:33:22,095 大奥取り締まり 姉小路さまの遠縁にて・ 439 00:33:22,095 --> 00:33:27,100 京の有栖川宮に仕える 滝川の局と 申される方と いま1人・ 440 00:33:27,100 --> 00:33:31,104 赤坂 円乗院の住職 道海と 申される方が・ 441 00:33:31,104 --> 00:33:35,108 ご老中さまに お目に掛かりたいと 門前にてお待ちでございます。 442 00:33:35,108 --> 00:33:39,108 (忠邦)はて 聞き知らぬ名じゃが。 443 00:33:42,115 --> 00:34:02,068 ・~ 444 00:34:02,068 --> 00:34:09,068 ・~ 445 00:34:22,088 --> 00:34:26,092 (忠邦)ようこそ お越しくだされました。・ 446 00:34:26,092 --> 00:34:32,098 本丸老中を務めおります 水野 越前にござります。 447 00:34:32,098 --> 00:34:40,106 私は 有栖川宮家に仕えまする 滝川と申す者。 448 00:34:40,106 --> 00:34:48,114 円乗院 住職 道海に ござりまする。 449 00:34:48,114 --> 00:34:52,114 して ご用の趣は? 450 00:35:03,062 --> 00:35:05,064 (お滝の せきばらい) 451 00:35:05,064 --> 00:35:10,069 このたび 大奥のご機嫌伺いに 京より下り・ 452 00:35:10,069 --> 00:35:14,073 持参いたしました 手土産の髪飾りなどを・ 453 00:35:14,073 --> 00:35:16,075 差し上げようと思いましたが・ 454 00:35:16,075 --> 00:35:23,082 江戸では 金銀はおろか べっ甲までも ご禁制とのこと。・ 455 00:35:23,082 --> 00:35:28,087 これでは せっかくの 宮さまの お志も無になりまする故・ 456 00:35:28,087 --> 00:35:33,092 ここは一つ 越前さまの ご裁量にて・ 457 00:35:33,092 --> 00:35:38,097 特別のお許しを得たいと存じ 参上いたしました次第。 458 00:35:38,097 --> 00:35:43,102 フッフ 何かと思えば さような ささいなことを。 459 00:35:43,102 --> 00:35:49,108 確かに 市中は禁制しておりますが 大奥の女性は特別でござる。 460 00:35:49,108 --> 00:35:53,112 どうぞ ご遠慮なく お遣わしくだされ。 461 00:35:53,112 --> 00:35:56,112 (お滝)早速のお許し ありがとう存じます。 462 00:36:07,059 --> 00:36:13,065 (お滝)したが 越前さま これは片手落ちと申すもの。・ 463 00:36:13,065 --> 00:36:18,070 上 乱れれば 下 従わずと 申します。・ 464 00:36:18,070 --> 00:36:22,074 この際 いっそ 市中のご禁制も 解かれては・ 465 00:36:22,074 --> 00:36:25,077 いかがでございましょう? 466 00:36:25,077 --> 00:36:29,081 (忠邦)これは ご高貴なる女性の お言葉とも 思えませぬ。・ 467 00:36:29,081 --> 00:36:35,087 あなたさまは この水野に 何を申されたいのじゃ? 468 00:36:35,087 --> 00:36:39,087 (お滝)それは この道海殿が申し上げる。 469 00:36:50,102 --> 00:36:53,105 さ… されば え~…・ 470 00:36:53,105 --> 00:36:57,043 商人どもの買い占め 物価の高騰・ 471 00:36:57,043 --> 00:37:01,047 それを取り締まるべき役人が 賂を取り・ 472 00:37:01,047 --> 00:37:04,050 え~… 黙認いたしておるとのこと。 473 00:37:04,050 --> 00:37:08,054 まあ 例えて… 例えて申せば・ 474 00:37:08,054 --> 00:37:13,059 え~ お勘定方 神尾 備前守と・ 475 00:37:13,059 --> 00:37:18,059 材木卸商 遠州屋 佐兵衛との 結託。 476 00:37:20,066 --> 00:37:23,069 聞き捨てならぬ お話じゃ。 477 00:37:23,069 --> 00:37:28,074 お勘定方 神尾 備前と 遠州屋の 結託。 478 00:37:28,074 --> 00:37:31,074 しかと 証拠があって 申されるのか? 479 00:37:36,082 --> 00:37:38,082 (お滝の せきばらい) 480 00:37:40,086 --> 00:37:45,086 (せきばらい) 481 00:38:00,039 --> 00:38:05,044 (お滝)これなる手形 ちと子細あって預かりし物・ 482 00:38:05,044 --> 00:38:07,046 商人の用いる手形が・ 483 00:38:07,046 --> 00:38:13,052 何故 お勘定方 神尾 備前殿の 手元にあったか。 484 00:38:13,052 --> 00:38:18,057 お望みならば ご説明いたしましょうか。 485 00:38:18,057 --> 00:38:23,062 どうやら この品は 回り回って 来月・ 486 00:38:23,062 --> 00:38:31,070 越前さまのお手元にという 仕掛けでは ございませぬか? 487 00:38:31,070 --> 00:38:33,072 (せきばらい) 488 00:38:33,072 --> 00:38:36,075 のう? 道海殿。 (せきばらい) 489 00:38:36,075 --> 00:38:40,079 ご貴殿は 遠州 浜松 6万石より・ 490 00:38:40,079 --> 00:38:44,083 老中筆頭になられた ということは・ 491 00:38:44,083 --> 00:38:48,087 莫大なる費用が 要したであろうと・ 492 00:38:48,087 --> 00:38:54,093 下世話には専らの噂… でござるから・ 493 00:38:54,093 --> 00:39:02,034 今のうちに 枝葉を切って 風通しを良く しなされ。 494 00:39:02,034 --> 00:39:06,038 (忠邦)ご忠告 ありがたく拝聴つかまつった。・ 495 00:39:06,038 --> 00:39:10,038 ほれ! 茶を持て! ・(家臣)はっ。 496 00:39:12,044 --> 00:39:32,064 ・~ 497 00:39:32,064 --> 00:39:51,083 ・~ 498 00:39:51,083 --> 00:39:54,083 その手形を お見せくだされ。 499 00:40:08,033 --> 00:40:11,036 (お滝)あっ。 500 00:40:11,036 --> 00:40:17,042 神尾 備前と 遠州屋の件は 厳重に処分いたします故・ 501 00:40:17,042 --> 00:40:21,042 この手形は もはや 紙くずも同然。 502 00:40:25,050 --> 00:40:28,050 それにしても よく似ておられる。 503 00:40:31,056 --> 00:40:38,063 城中のお数寄屋坊主に 河内山と申す者がござっての。・ 504 00:40:38,063 --> 00:40:42,067 いや~ 見れば見るほど よう似ておられる。 505 00:40:42,067 --> 00:40:47,072 したが 御坊とは 人間の品が違うてござる。・ 506 00:40:47,072 --> 00:40:49,074 御坊を月に例えれば・ 507 00:40:49,074 --> 00:40:55,080 河内山は さしずめ スッポン というところでござろうか。 508 00:40:55,080 --> 00:40:58,017 (笑い声) 509 00:40:58,017 --> 00:41:00,019 (忠邦)まずは 菓子など召し上がって・ 510 00:41:00,019 --> 00:41:03,019 ごゆっくりとお過ごしくだされ。 511 00:41:10,029 --> 00:41:12,029 ・(ふすまを閉める音) 512 00:41:24,043 --> 00:41:28,047 (武部)殿 あれは お数寄屋坊主の 河内山 宗俊。 513 00:41:28,047 --> 00:41:30,049 あのまま帰しても よろしいのです? 514 00:41:30,049 --> 00:41:32,049 捨て置け。 515 00:41:37,056 --> 00:41:39,058 (お滝)あ~ やだやだ。・ 516 00:41:39,058 --> 00:41:42,061 ほっかぶりした ホオズキの お化けとの 道行きなんて・ 517 00:41:42,061 --> 00:41:44,063 聞いたこともないよ。 518 00:41:44,063 --> 00:41:46,065 しかし お滝 お前は 大したもんだな。 519 00:41:46,065 --> 00:41:50,069 よく まあ べらべら べらべら しゃべれるもんだ ホントに。 520 00:41:50,069 --> 00:41:53,072 旦那が 何にも言わないからですよ。 521 00:41:53,072 --> 00:41:55,074 だって 言おうと思ったって お前 喉は渇くし・ 522 00:41:55,074 --> 00:41:58,077 もう せりふが 何にも出てこやしない。 523 00:41:58,077 --> 00:42:00,079 だから 水野には 手も足も出ないって・ 524 00:42:00,079 --> 00:42:03,082 言ったじゃないか。 525 00:42:03,082 --> 00:42:06,082 やっぱり 水野ってのは 大した貫禄だな。 526 00:42:08,087 --> 00:42:14,093 お滝。 あのな 今日… 今日のことな・ 527 00:42:14,093 --> 00:42:18,097 みんなに… しゃべるんじゃねえぞ。 528 00:42:18,097 --> 00:42:21,100 分かった。 ちょっと 重いから これ持っとくれ。 529 00:42:21,100 --> 00:42:25,104 はいはい へい へい 何でも持ちまっさ。 530 00:42:25,104 --> 00:42:28,107 どうぞ。 恥ずかしいから 先 行っとくれよ。 531 00:42:28,107 --> 00:42:33,112 はいはい。 あ~あ 情けないね。 532 00:42:33,112 --> 00:42:39,118 (町人たちの歓声) 533 00:42:39,118 --> 00:42:41,120 (男)これで 立ち退かずに済みます。 534 00:42:41,120 --> 00:42:43,120 (大家)ああ よかった。 535 00:42:48,127 --> 00:42:50,129 (男)よかった よかった なあ。 (男)みんな よかったな。 536 00:42:50,129 --> 00:42:55,134 旦那 200両きちっと 確かに 長屋の連中に渡してきました。 537 00:42:55,134 --> 00:42:58,070 ご苦労。 いやね 長屋の連中 喜んでた。 538 00:42:58,070 --> 00:43:01,073 あの顔 一遍 旦那に見せたかった。 そりゃ そうだよ。 539 00:43:01,073 --> 00:43:06,078 何たってよ 世の中のよ 一番 楽しいことは 人助けだよな。 540 00:43:06,078 --> 00:43:09,078 人助けだよ。 旦那やっちゃうんだもん それを。 541 00:43:12,084 --> 00:43:15,087 あの いやね 俺 ホント 今日・ 542 00:43:15,087 --> 00:43:17,089 生まれて こんなにうれしかったことないの。 543 00:43:17,089 --> 00:43:19,091 ああ そりゃ そうだろ。 544 00:43:19,091 --> 00:43:21,093 ねえ 旦那 こんなこと言いたくないけど・ 545 00:43:21,093 --> 00:43:25,097 ほら 今度の話はネタつけたの 俺だよね 確か。 546 00:43:25,097 --> 00:43:27,097 お前ら 幾ら欲しい? 547 00:43:32,104 --> 00:43:35,107 2人で60両? そう! 548 00:43:35,107 --> 00:43:37,109 しみったれたこと言うんじゃねえ。 549 00:43:37,109 --> 00:43:42,114 よし 100両ずつ やろう。 100両! さすが旦那だね。 550 00:43:42,114 --> 00:43:46,118 ええ? 肝っ玉もでかいけど きっぷもいいね。 551 00:43:46,118 --> 00:43:49,121 旦那のそばから 離れられねえよ 俺 もう。 552 00:43:49,121 --> 00:43:51,123 たまんないねえ。 553 00:43:51,123 --> 00:43:53,123 手 出せ。 (丑松・直次郎)へい。 554 00:43:56,128 --> 00:44:00,128 何すか これ? 何すかって それは俺の手形よ。 555 00:44:02,067 --> 00:44:04,069 何て面しやがる。 556 00:44:04,069 --> 00:44:06,071 俺の手形じゃ不足だって 言うのか! 557 00:44:06,071 --> 00:44:08,073 いやいやいや 違うんです 違うんですよ 旦那。 558 00:44:08,073 --> 00:44:11,076 ただね これ どう 表で使おうかなと思って。 559 00:44:11,076 --> 00:44:13,078 そんなこと 俺は知るかい! あっ? 560 00:44:13,078 --> 00:44:18,083 ほらほら 旦那が死んだときの 香典になるじゃないか。 ええ? 561 00:44:18,083 --> 00:44:20,083 こりゃ 姉さん どうもすいません。 562 00:44:22,087 --> 00:44:26,091 旦那 これ 大事に持ってるから 長生きしてくださいね。 563 00:44:26,091 --> 00:44:29,091 どうも。 あ~あ。 564 00:44:31,096 --> 00:44:33,098 あ~あ えれえ物もらっちゃったよ。 565 00:44:33,098 --> 00:44:35,100 しまいには いっつも あれだよ。 てめえでよ・ 566 00:44:35,100 --> 00:44:38,103 胸たたいて 何でも聞くけどってな。 567 00:44:38,103 --> 00:44:40,105 一遍 あの口を直してもらいに 言わなきゃいけないな。 568 00:44:40,105 --> 00:44:42,105 そうだ。 569 00:44:51,116 --> 00:44:56,121 ・(歌声) 570 00:44:56,121 --> 00:45:15,073 ・~ 571 00:45:15,073 --> 00:45:17,073 ・~ 572 00:47:04,049 --> 00:47:09,054 ・(歌声) 573 00:47:09,054 --> 00:47:29,074 ・~ 574 00:47:29,074 --> 00:47:34,074 ・~ 575 00:47:57,035 --> 00:48:02,040 <白昼堂々と さらし場で 心中崩れの女が さらわれた> 576 00:48:02,040 --> 00:48:07,045 <大胆不敵なこの男 新陰流の達人 金子 市之丞> 577 00:48:07,045 --> 00:48:11,049 <不気味な殺気を漂わす この浪人と 河内山 宗俊の・ 578 00:48:11,049 --> 00:48:14,052 息詰まる対立を描く> 579 00:48:14,052 --> 00:48:18,052 <次回 『痛快! 河内山宗俊』に ご期待ください> 580 00:49:04,236 --> 00:49:05,103 581 00:49:05,103 --> 00:49:08,106 (小林)皆さん お元気ですか 小林綾子です 582 00:49:08,106 --> 00:49:14,112 日本には 古くから 神社仏閣に伝わる行事や飾り物 583 00:49:14,112 --> 00:49:19,117 季節によって味わう旬な食べ物や その土地に伝わる風習など 584 00:49:19,117 --> 00:49:25,123 幸運を呼び込むために縁起を担ぐ さまざまな物や行いがあります 585 00:49:25,123 --> 00:49:30,128 皆さんの周りにも きっとある 幸運を呼ぶ縁起物 586 00:49:30,128 --> 00:49:34,132 この番組では そんな縁起物を ご紹介していきます 587 00:49:34,132 --> 00:49:37,132 さて 今日の縁起物は? 588 00:49:50,148 --> 00:49:54,152 とぼけた表情に ポップな色あいが かわいい黄鮒 589 00:49:54,152 --> 00:49:57,155 こちらは江戸時代から・ 590 00:49:57,155 --> 00:50:01,159 縁起物として伝わる 宇都宮の郷土玩具です 591 00:50:01,159 --> 00:50:06,098 その昔 宇都宮で 天然痘が流行したとき 592 00:50:06,098 --> 00:50:10,102 市内の川でとれた黄色の鮒を 病人に食べさせたところ 593 00:50:10,102 --> 00:50:12,104 病気が治ったそうです 594 00:50:12,104 --> 00:50:17,109 それに あやかり生まれたのが 黄鮒の張り子 595 00:50:17,109 --> 00:50:21,113 今では神棚に飾ったり 玄関に吊り下げたりして・ 596 00:50:21,113 --> 00:50:26,113 悪病除け・無病息災を祈る 縁起物として愛されています 597 00:50:31,123 --> 00:50:35,127 皆さん 羊羹はお好きですか 598 00:50:35,127 --> 00:50:39,131 でも なぜ 「羊」の字を 使うんでしょうね 599 00:50:39,131 --> 00:50:44,136 日本では定番のお菓子ですが もともとは 中国の料理でした 600 00:50:44,136 --> 00:50:49,141 羊羹の 「羹」は訓読みでは 「あつもの」と読み・ 601 00:50:49,141 --> 00:50:51,143 「熱いお吸い物」を意味します 602 00:50:51,143 --> 00:50:53,145 羊羹のルーツは・ 603 00:50:53,145 --> 00:50:56,148 羊の肉を使った スープだったんですね 604 00:50:56,148 --> 00:51:01,153 その羊羹が 日本にやって来たのは 鎌倉から室町時代 605 00:51:01,153 --> 00:51:05,090 中国に留学した禅僧によって もたらされました 606 00:51:05,090 --> 00:51:09,094 しかし 禅僧は肉を食べることは 禁止されていたため・ 607 00:51:09,094 --> 00:51:12,097 小豆や小麦粉・くず粉などを使って 608 00:51:12,097 --> 00:51:16,101 羊肉に見立てた料理が 作られたといわれています 609 00:51:16,101 --> 00:51:20,105 次第に 甘みが加わって 現在のようになったのは・ 610 00:51:20,105 --> 00:51:23,108 江戸時代の後期だそうです 611 00:51:23,108 --> 00:51:27,108 今となっては 羊は 全く関係なくなっちゃいましたね 612 00:51:33,118 --> 00:51:38,123 首振りが かわしい 真っ赤な牛の張り子・赤ベコ 613 00:51:38,123 --> 00:51:43,128 こちらは 福島県会津地方の 郷土玩具ですが… 614 00:51:43,128 --> 00:51:47,132 会津地方では 牛のことを 「ベコ」と呼び・ 615 00:51:47,132 --> 00:51:52,137 約350年前から 魔除け・疫病除けの縁起物として・ 616 00:51:52,137 --> 00:51:55,140 会津の人々に親しまれてきました 617 00:51:55,140 --> 00:51:59,144 また 赤い牛は1200年ほど前の 618 00:51:59,144 --> 00:52:04,082 会津 柳津 圓藏寺建立の際に 木材の運搬に活躍したのが・ 619 00:52:04,082 --> 00:52:07,085 赤色の牛だったと 言い伝えられており 620 00:52:07,085 --> 00:52:11,089 その赤色の牛にあやかって 子供の誕生には・ 621 00:52:11,089 --> 00:52:15,093 「ベコのごとく 重荷に耐えて壮健であれ」と・ 622 00:52:15,093 --> 00:52:18,093 赤ベコを供えてお祝いしました 623 00:52:23,101 --> 00:52:27,105 皆さん 金平糖はお好きですか 624 00:52:27,105 --> 00:52:32,110 カラフルで 星のような形が かわいくっておいしいですよね 625 00:52:32,110 --> 00:52:34,112 もともとは ポルトガルのお菓子で 626 00:52:34,112 --> 00:52:38,116 ポルトガル語の 「コンフェイト」が 語源とされています 627 00:52:38,116 --> 00:52:41,119 金平糖は ひなまつりのお菓子や 628 00:52:41,119 --> 00:52:44,122 結婚式の引き出物としても 親しまれていますが・ 629 00:52:44,122 --> 00:52:50,128 実は 皇室のご成婚の際の 引き出物にも用いられています 630 00:52:50,128 --> 00:52:53,131 今では 機械で 作られることが多いですが 631 00:52:53,131 --> 00:52:56,134 伝統的な製法で 手作りされているものもあります 632 00:52:56,134 --> 00:52:59,137 手作りされるものは 手間がかかり 633 00:52:59,137 --> 00:53:03,141 出来上がるまで 約2週間かかるそうです 634 00:53:03,141 --> 00:53:08,079 熟練の技を要するので 一人前の金平糖職人になるには・ 635 00:53:08,079 --> 00:53:11,082 20年もかかると いわれているんです 636 00:53:11,082 --> 00:53:13,084 そんな逸品だからこそ・ 637 00:53:13,084 --> 00:53:17,084 皇室の引き出物にも 用いられているんでしょうね 638 00:53:22,093 --> 00:53:25,096 昔から愛用されてきた手拭い 639 00:53:25,096 --> 00:53:30,101 江戸時代には 広く庶民にも 普及していたようですが 640 00:53:30,101 --> 00:53:35,106 その歴史は古く 奈良時代 当時は木綿は貴重なもので・ 641 00:53:35,106 --> 00:53:39,110 神聖なものとして 装束などに使用されていました 642 00:53:39,110 --> 00:53:45,116 江戸時代になると 庶民の間で 手拭きとして広まっていきました 643 00:53:45,116 --> 00:53:48,119 普及とともに さまざまな絵柄が 出てくるようになり 644 00:53:48,119 --> 00:53:51,122 江戸の粋な ファッションアイテムとして愛され・ 645 00:53:51,122 --> 00:53:53,124 「手拭合わせ」という・ 646 00:53:53,124 --> 00:53:57,128 デザインを競い合う品評会も 行われていたそうです 647 00:53:57,128 --> 00:54:00,131 また当時 歌舞伎役者たちが・ 648 00:54:00,131 --> 00:54:03,134 ご贔屓に 名前入りの手拭いを 配っていました 649 00:54:03,134 --> 00:54:08,073 その流れから 現在でも 店名の入ったタオルや手拭いを・ 650 00:54:08,073 --> 00:54:12,073 粗品として配る風習が できたといわれています 651 00:54:18,083 --> 00:54:21,086 真っ赤な顔にギョロっとした目 652 00:54:21,086 --> 00:54:26,091 なんとも奇妙な おばけの金太ですが… 653 00:54:26,091 --> 00:54:30,095 熊本に古くから伝わる 名物のからくり人形で・ 654 00:54:30,095 --> 00:54:36,101 ヒモを引っ張ると表情が変わり 赤い舌をペロッと出します 655 00:54:36,101 --> 00:54:41,106 その昔 加藤清正公が 熊本城を築城した際に・ 656 00:54:41,106 --> 00:54:44,109 ひょうきんな顔立ちで 人を笑わせるのが大好きな・ 657 00:54:44,109 --> 00:54:50,115 金太という足軽がいて その彼が モデルになったといわれています 658 00:54:50,115 --> 00:54:54,119 熊本では 「目くり出し人形」と いわれていますが・ 659 00:54:54,119 --> 00:54:59,124 真紅の顔で舌を出し ぐるりと 回る目玉で 人を驚かせることから 660 00:54:59,124 --> 00:55:03,128 「おばけの金太」と 呼ばれるようになりました 661 00:55:03,128 --> 00:55:05,063 ちょっと怖いですが・ 662 00:55:05,063 --> 00:55:09,063 どこか憎めない表情が 何ともいえないですね 663 00:55:15,073 --> 00:55:21,079 電気やガスもなかった江戸時代 日が暮れると真っ暗になる夜 664 00:55:21,079 --> 00:55:25,083 人々が頼りにしていたのは 行灯の明かりでした 665 00:55:25,083 --> 00:55:30,088 灯し油を注いだ小皿に い草などから作った灯心を浸し 666 00:55:30,088 --> 00:55:33,091 火をつけて使用するものでしたが 667 00:55:33,091 --> 00:55:37,095 江戸時代 ろうそくもありましたが 高価だったため・ 668 00:55:37,095 --> 00:55:42,100 当時は 入手しやすい油を 明かり用に使っていたそうです 669 00:55:42,100 --> 00:55:48,106 その油も 菜種油やごま油など 植物系油は値段が高かったため・ 670 00:55:48,106 --> 00:55:52,110 簡単に手に入る鰯から 油を取っていました 671 00:55:52,110 --> 00:55:57,115 そのほかにも 今では貴重な鯨も 使用されていたようです 672 00:55:57,115 --> 00:56:03,121 油は 主に市中で売り歩いている 油売りから購入していました 673 00:56:03,121 --> 00:56:07,058 油売りは 客が持ってきた容器に 油を入れるんですが 674 00:56:07,058 --> 00:56:10,061 油は 水と違い粘り気があり・ 675 00:56:10,061 --> 00:56:13,064 しずくが切れるまで 時間がかかりました 676 00:56:13,064 --> 00:56:17,068 そのため 油売りは 客と世間話をし・ 677 00:56:17,068 --> 00:56:19,070 それが怠けているように 見えたことから・ 678 00:56:19,070 --> 00:56:23,074 「油を売る」という言葉が できたそうです 679 00:56:23,074 --> 00:56:25,076 ちゃんと仕事をしているのに・ 680 00:56:25,076 --> 00:56:28,076 怠ける言葉に なってしまったんですね 681 00:56:34,085 --> 00:56:38,089 江戸の中心・五街道の起点といえば 682 00:56:38,089 --> 00:56:40,091 そう 日本橋 683 00:56:40,091 --> 00:56:43,094 今でも 日本の道路の 起点になっていますね 684 00:56:43,094 --> 00:56:48,099 ところで 時代劇で描かれている 日本橋の欄干には・ 685 00:56:48,099 --> 00:56:51,102 擬宝珠という飾りが ついています 686 00:56:51,102 --> 00:56:55,106 橋の欄干や 神社の階段などに設置された・ 687 00:56:55,106 --> 00:57:00,111 手すりの柱の上に取り付けられ 銅などの金属製が多いのは・ 688 00:57:00,111 --> 00:57:03,114 雨からの浸食を 守るためだそうです 689 00:57:03,114 --> 00:57:07,051 また 独特な形から 葱台とも呼ばれており・ 690 00:57:07,051 --> 00:57:12,056 正に 葱の花のような形を 思い浮かべます 691 00:57:12,056 --> 00:57:15,059 葱には 独特のにおいがあることから・ 692 00:57:15,059 --> 00:57:18,062 魔除けになるとも 信じられていたそうで 693 00:57:18,062 --> 00:57:20,064 その力に あやかって・ 694 00:57:20,064 --> 00:57:23,067 使われるようになったと いう説もあります 695 00:57:23,067 --> 00:57:27,071 落語にも 「擬宝珠」という 演目がありますが・ 696 00:57:27,071 --> 00:57:29,073 この不思議な形に引き寄せられて 697 00:57:29,073 --> 00:57:33,073 なで回したくなっちゃったり するかもしれませんね 698 00:57:39,083 --> 00:57:43,087 日本では 昔から食べられてきた干し柿 699 00:57:43,087 --> 00:57:48,087 軒先などで干されている光景を 思い出しますよね 700 00:57:50,094 --> 00:57:52,096 保存食であると同時に・ 701 00:57:52,096 --> 00:57:56,100 砂糖が一般の人々の手には なかなか入らなかった時代から・ 702 00:57:56,100 --> 00:58:00,104 庶民の 貴重な甘味源でもありました 703 00:58:00,104 --> 00:58:05,043 でも 干し柿に用いられるのは そのままでは食べられない渋柿 704 00:58:05,043 --> 00:58:10,048 この渋柿を軒下などに吊るして 寒風にさらし・ 705 00:58:10,048 --> 00:58:15,053 天日を浴びて 水分が抜けると 甘みがギューッと凝縮され・ 706 00:58:15,053 --> 00:58:18,056 とっても甘~い干し柿に なるんです 707 00:58:18,056 --> 00:58:21,059 熟れたメロンやブドウよりも甘く 708 00:58:21,059 --> 00:58:26,064 糖度は 実に40~70パーセントにも なるそうです 709 00:58:26,064 --> 00:58:30,068 渋柿を食用にし 非常食として 保存しておこうという・ 710 00:58:30,068 --> 00:58:33,071 昔から受け継がれる生活の知恵 711 00:58:33,071 --> 00:58:36,071 私たちも あやかっていきたいですね 712 00:58:38,076 --> 00:58:40,078 いかがでしたでしょうか 713 00:58:40,078 --> 00:58:44,082 まだまだ 私たちの知らないものや 意外なものにも・ 714 00:58:44,082 --> 00:58:48,086 さまざまな縁起担ぎの意味が 込められているようですね 715 00:58:48,086 --> 00:58:51,089 身近にある そんな縁起物 716 00:58:51,089 --> 00:58:54,092 皆さんも お店や神社で探してみたり 717 00:58:54,092 --> 00:58:58,096 幸せを呼び込んでみては いかがでしょうか 718 00:58:58,096 --> 00:59:02,096 それでは またお会いしましょう 小林綾子でした