1 00:02:29,163 --> 00:02:39,163 ・~ 2 00:02:52,186 --> 00:03:10,204 ・(太鼓の音) 3 00:03:10,204 --> 00:03:13,204 (宗俊)《俺は悔しい》 4 00:03:17,211 --> 00:03:19,213 (宗俊)あ~ 悔しい!・ 5 00:03:19,213 --> 00:03:24,213 あ~ 俺 本当に悔しい。 6 00:03:28,155 --> 00:03:32,155 (宗俊)何っつったって 飼い犬だから しょうがねえよな。 7 00:03:42,169 --> 00:03:46,173 (宗俊)水野の野郎が 「のう 河内山」 8 00:03:46,173 --> 00:03:52,179 「はい はいはい」 これは俺のせりふ。 9 00:03:52,179 --> 00:03:55,182 「ご法度破りの ゆすり たかりも 度が過ぎれば・ 10 00:03:55,182 --> 00:03:58,185 座興では済まなくなる」 11 00:03:58,185 --> 00:04:01,188 「ごもっともさまでございます」 12 00:04:01,188 --> 00:04:05,192 「お数寄屋坊主の肩書を 外されたら・ 13 00:04:05,192 --> 00:04:10,197 さすがの河内山も 割れ鐘同然」 14 00:04:10,197 --> 00:04:19,197 俺が 「はい はい」 あっちが 「ハッハッハッハ」 15 00:04:25,212 --> 00:04:30,212 (お滝)きっぱりと やめにしますか? 飼い犬は。 16 00:04:38,159 --> 00:04:43,164 それとも うちの飼い犬になる? 17 00:04:43,164 --> 00:04:47,164 (犬の鳴きまね) 18 00:05:03,184 --> 00:05:07,188 (清蔵)こういう言葉を ご存じですか? 金子さん。・ 19 00:05:07,188 --> 00:05:10,188 よろず 悪の根は 上にあり。 20 00:05:12,193 --> 00:05:18,199 (清蔵)その根を切らずして 法度するは・ 21 00:05:18,199 --> 00:05:22,199 無益の己が誤りなり。 22 00:05:24,205 --> 00:05:30,144 (清蔵)だから お上に逆らおう ってわけじゃないが・ 23 00:05:30,144 --> 00:05:36,150 この300両 ろう抜けの助っ人料としちゃ・ 24 00:05:36,150 --> 00:05:42,150 まっ 高くもなければ 安くもない。 そう思いませんか? 25 00:05:44,158 --> 00:05:48,162 どうでも ろう抜けを させてやらなきゃならない男が・ 26 00:05:48,162 --> 00:05:51,165 いるんですよ。 27 00:05:51,165 --> 00:05:54,168 手伝っちゃもらえませんかね? 28 00:05:54,168 --> 00:05:59,173 (金子)どうも 俺には 性に合わねえな。 29 00:05:59,173 --> 00:06:03,173 俺は そういう言い草 聞くと 吐き気がしてくるんだ。 30 00:06:05,179 --> 00:06:09,183 何 言ってやがる。 31 00:06:09,183 --> 00:06:11,185 人を助けてやるの 逃がしてやるのって・ 32 00:06:11,185 --> 00:06:13,185 思い上がりも いいかげんにしろよ! 33 00:06:15,189 --> 00:06:18,192 弱えやつは死にゃいいんだ! 34 00:06:18,192 --> 00:06:22,196 なあ そんな弱えやつ 助けたところで どうせ・ 35 00:06:22,196 --> 00:06:26,200 どっかで殺されちまう。 それだけじゃねえや。 36 00:06:26,200 --> 00:06:31,138 そいつらの弱さが また ワル呼び寄せるんだよ。 37 00:06:31,138 --> 00:06:35,142 ただ弱えってだけじゃ 助ける値打ちなんか ありゃしねえ。 38 00:06:35,142 --> 00:06:37,142 ほっとけ! 39 00:06:46,153 --> 00:06:48,155 今度だけだぞ おい。 40 00:06:48,155 --> 00:07:03,170 ・~ 41 00:07:03,170 --> 00:07:07,174 (丑松)300両だ。・ 42 00:07:07,174 --> 00:07:11,178 これ 俺に? (清蔵)そうです。 43 00:07:11,178 --> 00:07:13,178 (丑松)ホント? 44 00:07:17,184 --> 00:07:19,184 俺 300両になっちったよ。 45 00:07:21,188 --> 00:07:23,190 でも 何で これ俺に? 46 00:07:23,190 --> 00:07:29,190 (清蔵)こんな芸当は とても他の人には頼めません。 47 00:07:31,131 --> 00:07:34,134 痛て。 (同心)新入りがある。 48 00:07:34,134 --> 00:07:38,134 (一同)おありがとうござい…。 あ~! 49 00:07:41,141 --> 00:07:43,143 よろしくお願いします。 50 00:07:43,143 --> 00:07:45,143 あっ 大次郎さん! 51 00:07:48,148 --> 00:07:51,151 (六蔵)先に出せ。 へい? 52 00:07:51,151 --> 00:07:57,151 命のつるをよ 金。 へい へい。 53 00:08:09,169 --> 00:08:15,175 足りないよ そんなんじゃ。 おい 幾ら飲んできた? 金。 54 00:08:15,175 --> 00:08:17,177 (笑い声) 55 00:08:17,177 --> 00:08:20,180 腹ん中は 黄金がざくざくだな こりゃ。 56 00:08:20,180 --> 00:08:23,183 早 出せ。 ねえ おじさんよ・ 57 00:08:23,183 --> 00:08:25,185 あの人でしょ 大次郎さんっていうの。 58 00:08:25,185 --> 00:08:28,122 金 出しゃ 教えてやるよ 早 出せ。 59 00:08:28,122 --> 00:08:30,124 (息む声) 60 00:08:30,124 --> 00:08:32,126 ねえ ホントにそうなんでしょ? 61 00:08:32,126 --> 00:08:35,129 早 出せ 早 出せ。 出す~! 62 00:08:35,129 --> 00:08:40,134 小粒を十もな 腹ん中に よう飲んできた。 63 00:08:40,134 --> 00:08:42,136 (息む声) 64 00:08:42,136 --> 00:08:45,136 ま… まだ出んか? もうちょっと。 65 00:08:50,144 --> 00:08:54,148 楽に 浅草のためへ落としちゃ 後々のためにならねえ。 66 00:08:54,148 --> 00:08:57,151 ためへ落とすには 落とすだけの覚悟を・ 67 00:08:57,151 --> 00:09:02,151 よ~く ごちそう申し上げろ。 (一同)へ~い。 68 00:09:05,159 --> 00:09:10,164 (六蔵)病気と偽って 浅草のため卸をもらい・ 69 00:09:10,164 --> 00:09:13,167 途中 縄抜けして 逃げちまう。 70 00:09:13,167 --> 00:09:17,171 そんなことは ここにいる連中は 誰だって 一度は考えることなのさ。 71 00:09:17,171 --> 00:09:23,177 だが こうして いたぶられた上に 5日の間 飲まず食わずじゃ・ 72 00:09:23,177 --> 00:09:28,115 誰でも 一生ここにいたいと 思うようになるんだ。 73 00:09:28,115 --> 00:09:30,117 どうだ? 大次郎。 74 00:09:30,117 --> 00:09:35,117 (大次郎)行くんだ 俺は 行くんだ あの船。 75 00:09:38,125 --> 00:09:41,128 俺は あの船に…。 76 00:09:41,128 --> 00:09:46,133 あの船で遠い国に…。 77 00:09:46,133 --> 00:09:48,133 行くんだ 俺は! 78 00:09:51,138 --> 00:09:53,140 何してやんだ あの2人は あの野郎たちは・ 79 00:09:53,140 --> 00:09:57,144 ちっとも 面 出しやがらねえ。 ええ? 80 00:09:57,144 --> 00:10:02,149 いや 直の野郎も 丑の野郎も 金子市も・ 81 00:10:02,149 --> 00:10:05,152 どいつもこいつも いったい何してやがんだい! 82 00:10:05,152 --> 00:10:07,154 いいじゃないですか。 83 00:10:07,154 --> 00:10:11,158 結構 楽しくやってるんですよ みんな。 84 00:10:11,158 --> 00:10:13,160 ふ~ん。 85 00:10:13,160 --> 00:10:18,160 旦那 あんまり 面倒見が 良過ぎんのも 善しあしですよ。 86 00:10:20,167 --> 00:10:22,169 んなこと言ったって お前 あいつら・ 87 00:10:22,169 --> 00:10:25,172 この河内山の看板がなけりゃ 1日だって お前…。 88 00:10:25,172 --> 00:10:27,107 やっていけます。 89 00:10:27,107 --> 00:10:29,109 人間は そんな やわじゃないんだから・ 90 00:10:29,109 --> 00:10:31,111 放っとかれれば 放っとかれたように・ 91 00:10:31,111 --> 00:10:33,113 生きていけますよ。 92 00:10:33,113 --> 00:10:36,116 おい お滝。 はい。 93 00:10:36,116 --> 00:10:40,120 お前はな 時々 情の薄いところがあっていけねえ。 94 00:10:40,120 --> 00:10:43,123 あいつら 心底 お前 俺に頼りにしてるんじゃ。 95 00:10:43,123 --> 00:10:46,126 そうだろ? フフフ。 96 00:10:46,126 --> 00:10:48,128 みんな 自分のそばへ 置いときたいんでしょ。 97 00:10:48,128 --> 00:10:53,133 旦那の方が。 何 言ってやがんだ お前 俺は…。 98 00:10:53,133 --> 00:10:55,133 寂しがり屋さん。 99 00:10:57,137 --> 00:10:59,137 カンパチか? 100 00:11:19,159 --> 00:11:23,163 ずいぶん こっぴどくやられたね。 101 00:11:23,163 --> 00:11:29,102 俺ね 森田屋の使いだよ。 はい。 102 00:11:29,102 --> 00:11:32,105 あのろう名主がね・ 103 00:11:32,105 --> 00:11:36,109 あした お前さん病気だって お触れ出してくれる。 104 00:11:36,109 --> 00:11:40,113 はい。 何しろ 小粒 十だもん。 105 00:11:40,113 --> 00:11:44,117 いいかい? 浅草のためへ行く前にね・ 106 00:11:44,117 --> 00:11:46,119 必ず 助けが入るから。 107 00:11:46,119 --> 00:11:49,122 ねっ 間違っても 自分から縄抜けしようなんて・ 108 00:11:49,122 --> 00:11:52,125 思っちゃ駄目だよ。 そんなの いっときもしねえうちに・ 109 00:11:52,125 --> 00:11:55,125 捕まっちまうから。 はい。 110 00:12:09,142 --> 00:12:12,145 よ~く頑張り通したな 若えの。 111 00:12:12,145 --> 00:12:15,148 望みどおり ためへ下ろしてやる。 112 00:12:15,148 --> 00:12:18,148 後はな うまくやんな。 113 00:12:26,159 --> 00:12:31,159 ええい 申し上げます! 114 00:12:33,166 --> 00:12:35,166 (同心)早くせい! 115 00:12:43,176 --> 00:12:46,179 てめえ うまいとこ仮病を使って・ 116 00:12:46,179 --> 00:12:49,182 ため下がりを取ったつもり だろうがな・ 117 00:12:49,182 --> 00:12:52,185 このまま 無事 浅草へ行けると 思ったら 大間違いだい!・ 118 00:12:52,185 --> 00:12:55,188 おう! ここは小伝馬町だい!・ 119 00:12:55,188 --> 00:12:58,191 地獄としゃばの 泣き別れなんだよ! おう! 120 00:12:58,191 --> 00:13:00,193 (ゆき)よしてください! 121 00:13:00,193 --> 00:13:02,195 (同心)何をする! 122 00:13:02,195 --> 00:13:04,197 (ゆき)この人 病人じゃありませんか! 123 00:13:04,197 --> 00:13:07,200 (同心)てめえは? (女)へい。 けさ ここを出る・ 124 00:13:07,200 --> 00:13:10,203 鎌倉河岸 宮津屋のゆきという女で ございます。・ 125 00:13:10,203 --> 00:13:12,205 どうも とんだ粗相をいたしまして。 126 00:13:12,205 --> 00:13:14,207 (同心)おい ゆき!・ 127 00:13:14,207 --> 00:13:19,212 てめえ せっかくの しゃば行きも 俺の一言で取り消しだ!・ 128 00:13:19,212 --> 00:13:22,215 また そのお前のかばった 大次郎も同じこと!・ 129 00:13:22,215 --> 00:13:26,219 2人とも そこへ土下座しろ! 手 付いて 謝れ!・ 130 00:13:26,219 --> 00:13:28,155 謝れ! 131 00:13:28,155 --> 00:13:32,159 (大次郎)お許しを お許しを お許しを! 132 00:13:32,159 --> 00:13:34,161 (同心)謝れ! 133 00:13:34,161 --> 00:13:41,168 (大次郎)お許しを! お許しを! お許しを…。 134 00:13:41,168 --> 00:13:43,168 おやめなさい! 135 00:13:50,177 --> 00:13:52,179 何も卑屈になることないんです。 136 00:13:52,179 --> 00:13:55,179 (同心)ええい 立て! 137 00:13:57,184 --> 00:13:59,184 (同心)歩け! 138 00:14:10,197 --> 00:14:12,199 (女)ホントに もう てめえは 何てことしてくれたんだ。・ 139 00:14:12,199 --> 00:14:15,202 さあ 早く行くんだ おい。 140 00:14:15,202 --> 00:14:35,155 ・~ 141 00:14:35,155 --> 00:14:39,155 ・~ 142 00:14:57,177 --> 00:15:17,197 ・~ 143 00:15:17,197 --> 00:15:19,199 ・~ 144 00:15:19,199 --> 00:15:22,202 (役人)狼藉者! 何者だ! 145 00:15:22,202 --> 00:15:38,151 ・~ 146 00:15:38,151 --> 00:15:40,151 あの丘の上に逃げろ。 147 00:15:51,164 --> 00:15:54,167 (金子)おい どこ行くんだ!・ 148 00:15:54,167 --> 00:15:56,169 お~い! 149 00:15:56,169 --> 00:16:16,189 ・~ 150 00:16:16,189 --> 00:16:20,193 ・~ 151 00:16:20,193 --> 00:16:24,193 (女)《鎌倉河岸 宮津屋の ゆきという女でございます》 152 00:16:34,141 --> 00:16:43,150 ・(物売り)・「アサリ~ シジミよ」・ 153 00:16:43,150 --> 00:16:49,156 ・「アサリ~ シジミよ」 154 00:16:49,156 --> 00:16:51,156 お入りなさい。 155 00:16:54,161 --> 00:17:00,167 ・(物売り)・「アサリ~ シジミよ」 156 00:17:00,167 --> 00:17:08,175 ・~ 157 00:17:08,175 --> 00:17:10,177 ・(戸の開く音) 158 00:17:10,177 --> 00:17:14,181 (配下)頭 ここいらを捜しましたが おりません! 159 00:17:14,181 --> 00:17:17,181 (配下)頭 こっちにはいません。 160 00:17:38,138 --> 00:17:40,138 (同心)吐け! 300両! 161 00:17:46,146 --> 00:17:49,149 ・(戸をたたく音) (ゆき)押し入れに。 162 00:17:49,149 --> 00:18:07,149 ・(戸をたたく音) 163 00:18:17,177 --> 00:18:19,179 (万吉)あの ゆきさん。 164 00:18:19,179 --> 00:18:22,182 このたびは 本当に すまんことでした。 165 00:18:22,182 --> 00:18:24,184 (ゆき)いいんです。・ 166 00:18:24,184 --> 00:18:26,186 何でもないことが 分かったんですから。 167 00:18:26,186 --> 00:18:28,121 (さと)この泥棒猫!・ 168 00:18:28,121 --> 00:18:30,123 帰ってくるなり もう 人の亭主 くわえ込みやがって!・ 169 00:18:30,123 --> 00:18:32,125 うちの反物 盗んで どぶに捨てたのは・ 170 00:18:32,125 --> 00:18:34,127 お前に決まってるんだ!・ 171 00:18:34,127 --> 00:18:38,131 それを ご放免だなんて お上の眼鏡違いに決まってるよ!・ 172 00:18:38,131 --> 00:18:41,134 面汚し! 小伝馬町帰り!・ 173 00:18:41,134 --> 00:18:43,136 お前なんか どうせ 小伝馬町帰りでも・ 174 00:18:43,136 --> 00:18:45,138 くわえ込むに違いないんだ! そのうち。 175 00:18:45,138 --> 00:19:05,158 ・~ 176 00:19:05,158 --> 00:19:07,160 ・~ 177 00:19:07,160 --> 00:19:11,164 (大次郎)やっぱり ぬれぎぬだったんですね。 178 00:19:11,164 --> 00:19:15,168 あなたのような方が どうして 小伝馬町のろうなんかって・ 179 00:19:15,168 --> 00:19:18,171 不思議に思ってました。 180 00:19:18,171 --> 00:19:22,175 どうして 隠れなかったんですか? 181 00:19:22,175 --> 00:19:25,178 (大次郎)捕り方だったら こっから出てくつもりでしたから。 182 00:19:25,178 --> 00:19:29,115 これ以上の迷惑 あなたに もう 掛けるわけにはいかない。・ 183 00:19:29,115 --> 00:19:32,118 だったら 来なければよかったんだけど。 184 00:19:32,118 --> 00:19:35,121 夢中になって逃げてるうちに・ 185 00:19:35,121 --> 00:19:37,121 気が付いたら ここに来ていました。 186 00:19:40,126 --> 00:19:44,130 (大次郎)あなたに 一言おわびを言いたかった。 187 00:19:44,130 --> 00:19:46,132 わび? 188 00:19:46,132 --> 00:19:51,137 (大次郎)いや 言い訳を したかったのかもしれません。 189 00:19:51,137 --> 00:19:56,137 あんな 惨めったらしい姿を さらしてしまった 自分の。 190 00:19:58,144 --> 00:20:01,144 実際 あのときの私は…。 191 00:20:03,149 --> 00:20:05,151 (大次郎)聞いてください。 192 00:20:05,151 --> 00:20:09,155 ご飯の支度ですわ。 お話は その後で。 193 00:20:09,155 --> 00:20:12,158 (大次郎)私は あの後 ろう抜けをして・ 194 00:20:12,158 --> 00:20:16,162 遠い海の向こうの国へ 行くつもりでした。 195 00:20:16,162 --> 00:20:19,165 海の向こう。 196 00:20:19,165 --> 00:20:23,169 そういう手はずが ちゃんとできていたんです。・ 197 00:20:23,169 --> 00:20:28,108 大きな千石船が 沖合に待ってて。 198 00:20:28,108 --> 00:20:32,112 二度とは来ない機会でした。 199 00:20:32,112 --> 00:20:36,116 だから あそこで ろう内に引き戻されることは・ 200 00:20:36,116 --> 00:20:38,116 死ぬことと同じでした。 201 00:20:41,121 --> 00:20:44,124 どうしても出たかった。 202 00:20:44,124 --> 00:20:50,130 どんな みっともないまねを しても・ 203 00:20:50,130 --> 00:20:53,133 あのろう内からは 抜け出したかった。 204 00:20:53,133 --> 00:20:55,133 こんな国からは逃げ出したかった。 205 00:20:58,138 --> 00:21:06,146 もっとおおらかな もっと伸びやかな所へ・ 206 00:21:06,146 --> 00:21:12,146 船さえ 船さえたどり着けば そう思ってました。 207 00:21:15,155 --> 00:21:20,155 こんなとこへ来たら 夢も かなわないじゃありませんか。 208 00:21:23,163 --> 00:21:26,166 どうして? 209 00:21:26,166 --> 00:21:30,166 (大次郎)目です あなたの目です。 210 00:21:33,106 --> 00:21:35,108 あなたの軽蔑の目に 射すくめられながら・ 211 00:21:35,108 --> 00:21:38,111 逃げ出したくなかった。 212 00:21:38,111 --> 00:21:43,116 あなたにも あんな思い出を 残してほしくなかった。 213 00:21:43,116 --> 00:21:48,121 あんな目で 人を見るあなたで いてほしくなかった。 214 00:21:48,121 --> 00:21:51,124 私を 水ん中から 引き出してくれたときの・ 215 00:21:51,124 --> 00:21:56,129 あの優しい目をしたあなたで いてほしかった。 216 00:21:56,129 --> 00:22:00,129 でなければ 逃げるに逃げられませんでした。 217 00:22:02,135 --> 00:22:08,141 もし それで 船に乗れなかったら? 218 00:22:08,141 --> 00:22:11,141 それでも やっぱり ここに来ました。 219 00:22:17,150 --> 00:22:20,153 旦那 ちょっと 旦那・ 220 00:22:20,153 --> 00:22:26,159 ねえ 北町奉行所のね え~と 何とかヤマ 何エモンさんって人。 221 00:22:26,159 --> 00:22:29,162 何とかヤマ 何? おい 相撲取りじゃねえんだよ! 222 00:22:29,162 --> 00:22:33,162 ええ? 奉行所か? ええ。 223 00:22:39,172 --> 00:22:43,176 (谷山)北町奉行所 筆頭与力 谷山 聰右衛門でござる。 224 00:22:43,176 --> 00:22:45,178 おう お滝。 (お滝)はい。 225 00:22:45,178 --> 00:22:48,181 聰右衛門さんだってよ。 (お滝)あら そう。 226 00:22:48,181 --> 00:22:52,185 こっちは 無礼講の河内山。 で 何だ? 227 00:22:52,185 --> 00:22:59,192 けさ 大次郎なる抜け荷買いの男が ろう抜けいたしました。 228 00:22:59,192 --> 00:23:03,196 ふ~ん。 それで? 229 00:23:03,196 --> 00:23:08,201 それにつき この丑松を 取り調べておりましたるところ・ 230 00:23:08,201 --> 00:23:11,204 手前ども奉行 遠山 金四郎・ 231 00:23:11,204 --> 00:23:15,204 この丑松を 河内山さまに お引き渡しせよとのこと。 232 00:23:17,210 --> 00:23:22,215 うん 遠山さんが ヘヘヘ そりゃできたこった。 233 00:23:22,215 --> 00:23:27,153 (谷山)それから お手前宅 お出入りの浪人・ 234 00:23:27,153 --> 00:23:30,156 金子 市之丞なる者に 不審の議あり。・ 235 00:23:30,156 --> 00:23:33,159 吟味せんとせしところ 手前ども奉行…。 236 00:23:33,159 --> 00:23:36,162 分かった 分かった。 「吟味には及ばねえ」って・ 237 00:23:36,162 --> 00:23:40,166 そう言ったんだろう。 なるほど 大した人物だ。 238 00:23:40,166 --> 00:23:45,171 さらに 言葉を継ぎ 「魚心あれば 何とやら」 239 00:23:45,171 --> 00:23:50,176 「後は 河内山が存念もあろう」と。 240 00:23:50,176 --> 00:23:52,176 では 御免。 241 00:24:01,187 --> 00:24:07,193 おい どうした? 言え。 うん…。 242 00:24:07,193 --> 00:24:11,197 だいぶやられたな 大丈夫か? (お滝)はい ほら。 243 00:24:11,197 --> 00:24:14,200 あ~。 幾らもらった? 244 00:24:14,200 --> 00:24:16,200 えっ…。 245 00:24:18,204 --> 00:24:23,209 抜け荷買いの ろう抜けとなりゃ 胴元は森田屋だろ? 246 00:24:23,209 --> 00:24:26,212 あのね 旦那ね…。 ・(戸の開く音) 247 00:24:26,212 --> 00:24:29,148 (金子)チキショー! せっかく助けてやったのに。 248 00:24:29,148 --> 00:24:31,148 あらあら。 249 00:24:36,155 --> 00:24:39,158 あきれきって もう 物も言えねえ。 250 00:24:39,158 --> 00:24:41,158 森田屋と俺…。 251 00:24:44,163 --> 00:24:47,166 牛を馬に乗り換えたな。 252 00:24:47,166 --> 00:24:49,168 飯は!? 253 00:24:49,168 --> 00:24:53,172 まだ お米といでないんです。 254 00:24:53,172 --> 00:24:56,172 介抱してやれ。 はいはい。 255 00:25:04,183 --> 00:25:10,183 水野に くぎをさされ 遠山には げたを預けられ…。 256 00:25:13,192 --> 00:25:17,196 これじゃ 手足も出やしねえ。 257 00:25:17,196 --> 00:25:19,196 ・(清蔵)河内山さま。 258 00:25:42,155 --> 00:25:45,158 (清蔵)あなたさまに 迷惑の及んだのは・ 259 00:25:45,158 --> 00:25:49,162 この森田屋の不徳の致すところ。 260 00:25:49,162 --> 00:25:52,165 平に。 261 00:25:52,165 --> 00:25:54,167 おい。 262 00:25:54,167 --> 00:25:57,167 まあ 手 上げてくれ。 263 00:25:59,172 --> 00:26:01,174 お二人と引き換えに・ 264 00:26:01,174 --> 00:26:08,181 遠山さまから げた預けられた そのろう抜けの男・ 265 00:26:08,181 --> 00:26:11,181 手前どもで見つけてございます。 266 00:26:14,187 --> 00:26:19,192 私にとっちゃ どうでも 救い出してやりてえ男だが・ 267 00:26:19,192 --> 00:26:22,195 あなたさまにとっちゃ お二人と引き換えに・ 268 00:26:22,195 --> 00:26:27,133 どうでも お白州に引き出す 他はない男だ。 269 00:26:27,133 --> 00:26:30,136 お互いに つらい立場だが・ 270 00:26:30,136 --> 00:26:32,138 お二人を一件に引き込んだ上・ 271 00:26:32,138 --> 00:26:35,138 あなたさまを巻き込んだのは この私。 272 00:26:37,143 --> 00:26:40,146 男の処分は あなたさまの手で どうぞ 存分に…。 273 00:26:40,146 --> 00:26:42,146 おう 森田屋。 274 00:26:45,151 --> 00:26:49,151 ずいぶん 俺を軽く見てくれるじゃねえか。 275 00:26:52,158 --> 00:26:56,162 てめえの身内の人間の身柄と・ 276 00:26:56,162 --> 00:26:58,164 他人さまの身柄を 引き換えにするような・ 277 00:26:58,164 --> 00:27:01,167 俺は そんなケチなまねは できねえぜ。 278 00:27:01,167 --> 00:27:03,167 (清蔵)河内山さま。 279 00:27:08,174 --> 00:27:12,178 放っておいても あの男は・ 280 00:27:12,178 --> 00:27:19,185 早晩 奉行所の手の者に 捕まってしまう。 281 00:27:19,185 --> 00:27:22,185 どうぞ あなたさまのお手で。 282 00:27:33,132 --> 00:27:37,136 おい! 開けろ!・ 283 00:27:37,136 --> 00:27:42,141 開けろ! 開けんか! 開けろ! 284 00:27:42,141 --> 00:27:45,144 ・(戸をたたく音) ・(谷山)北町奉行所の者だ!・ 285 00:27:45,144 --> 00:27:48,147 ここを開けい!・ 286 00:27:48,147 --> 00:27:51,147 ええい! 開けんとぶち破るぞ! 287 00:27:54,153 --> 00:27:57,153 (大次郎)今度は ホントの奉行所のようですね。 288 00:27:59,158 --> 00:28:01,160 (大次郎)どうなさるんですか? (ゆき)どんなことがあっても・ 289 00:28:01,160 --> 00:28:03,162 あなたを かくまい通してみせます。・ 290 00:28:03,162 --> 00:28:09,168 あそこ あの板 外して 隠れててください。 291 00:28:09,168 --> 00:28:11,168 早く! 292 00:28:16,175 --> 00:28:20,179 (同心)開けろ! 開けろ! (谷山)ぶち破れ! 293 00:28:20,179 --> 00:28:23,182 (さと)ほれ 見てごらん やっぱり 後ろ暗い女なんだよ!・ 294 00:28:23,182 --> 00:28:26,185 あんなのは 村八分にすりゃいいんだ! 295 00:28:26,185 --> 00:28:30,122 汚れた女さ! ふんっ! 296 00:28:30,122 --> 00:28:33,125 何のご用でございましょう? (谷山)ろう抜けの大次郎が・ 297 00:28:33,125 --> 00:28:35,127 その方宅に舞い込んでおろう。 298 00:28:35,127 --> 00:28:39,131 大次郎? 存じません。 (同心)しらばっくれるな! 299 00:28:39,131 --> 00:28:42,134 小伝馬町で てめえがかばい通した あの男だ! 300 00:28:42,134 --> 00:28:45,137 逃げるとこといや ここしかねえ! (ゆき)存じません。 301 00:28:45,137 --> 00:28:48,140 家うちを改める! (ゆき)なぜです! 302 00:28:48,140 --> 00:28:50,142 (谷山)なぜだと? 303 00:28:50,142 --> 00:28:52,144 私が小伝馬町帰りだからって・ 304 00:28:52,144 --> 00:28:56,148 その大次郎って人が 小伝馬町のろう抜けだからって・ 305 00:28:56,148 --> 00:28:58,150 たった一度だけ 顔 見たからって・ 306 00:28:58,150 --> 00:29:00,152 奉行所ってのは そんな簡単な道理で・ 307 00:29:00,152 --> 00:29:02,154 人のうちに踏み込むんですか。 308 00:29:02,154 --> 00:29:05,157 (谷山)うるさい! また捕らわれたいのか? 309 00:29:05,157 --> 00:29:10,162 ろう抜けをかくまえば 引き回しの上 はりつけだぞ! 310 00:29:10,162 --> 00:29:15,167 これはこれは とんだ所へ 谷山 聰右衛門殿。 311 00:29:15,167 --> 00:29:17,169 (谷山)火急の用向きでござる。 邪魔しないで…。 312 00:29:17,169 --> 00:29:21,173 お前さん なかなか鼻いいね。 313 00:29:21,173 --> 00:29:23,175 俺も ここいら辺りが 怪しいんじゃねえかと思って・ 314 00:29:23,175 --> 00:29:25,177 やって来たんだな。 (谷山)踏み込め! 315 00:29:25,177 --> 00:29:30,116 おう… べらぼうめ! おう はばかりながら・ 316 00:29:30,116 --> 00:29:33,119 下谷 練塀小路 お数寄屋坊主の河内山と・ 317 00:29:33,119 --> 00:29:36,122 ちったあ 世間に知られた この俺が・ 318 00:29:36,122 --> 00:29:39,125 北町奉行の遠山さまから この件は任されたんだい! 319 00:29:39,125 --> 00:29:44,130 魚心ありゃ 水心 奇麗に俺が裁くというのを・ 320 00:29:44,130 --> 00:29:46,132 邪魔立てするとは こいつは合点がいかねえ。 321 00:29:46,132 --> 00:29:49,135 おう 谷山。 322 00:29:49,135 --> 00:29:52,138 これは 俺が かごを付ける場所を 間違えたかな? 323 00:29:52,138 --> 00:29:55,141 北町奉行へ乗り付けて 遠山さまと膝詰め談判! 324 00:29:55,141 --> 00:29:58,144 分かった 分かった。 俺が天下の直参だぞ! てめえ…。 325 00:29:58,144 --> 00:30:00,146 いったん引き上げます! 326 00:30:00,146 --> 00:30:03,149 分かった 分かった その口説はやめていただきたい。 327 00:30:03,149 --> 00:30:05,151 おう! 328 00:30:05,151 --> 00:30:11,151 (町人の ざわめき) 329 00:30:13,159 --> 00:30:18,164 (清蔵)鮮やかなもんだ お役人を逆手に取って。 330 00:30:18,164 --> 00:30:23,169 後は 河内山さまにお任せしよう。 331 00:30:23,169 --> 00:30:29,108 あっ ああ… 駄目だな。 332 00:30:29,108 --> 00:30:32,111 どうぞ。 333 00:30:32,111 --> 00:30:34,111 俺も 中 入れてくれ。 334 00:30:36,115 --> 00:30:40,119 俺も入るんだ。 335 00:30:40,119 --> 00:30:42,121 驚いたな まったく。 336 00:30:42,121 --> 00:30:44,123 こんなとこに かくまったって お前・ 337 00:30:44,123 --> 00:30:47,126 家捜しされたら イチコロじゃねえか! 338 00:30:47,126 --> 00:30:50,129 ゆきさんとか言いなすったね。 339 00:30:50,129 --> 00:30:56,135 お前さん 心根はけなげだが 手だては下手だな。 340 00:30:56,135 --> 00:30:58,137 堅気のお前さんたちが こんなこと うまくなっちまっちゃ・ 341 00:30:58,137 --> 00:31:00,139 困るんだがな。 342 00:31:00,139 --> 00:31:03,142 そこでだ どうする? 343 00:31:03,142 --> 00:31:05,144 私が勝手に入り込んだんです。 344 00:31:05,144 --> 00:31:08,147 この人には 何のとがもありません。 345 00:31:08,147 --> 00:31:10,149 天井裏に隠れたんだって 私が進んで…。 346 00:31:10,149 --> 00:31:12,151 いえ 私がかくまいました。 347 00:31:12,151 --> 00:31:14,153 そんなことは もう どうでもいいんだ。 348 00:31:14,153 --> 00:31:21,160 それよりよ 肝心要の話を しようじゃねえの なあ? 349 00:31:21,160 --> 00:31:28,100 お縄を頂戴します。 仕方がない。 (ゆき)いいえ。 350 00:31:28,100 --> 00:31:31,103 ろう抜けして そのまま逃げてれば・ 351 00:31:31,103 --> 00:31:37,109 今頃は 海の上にいるはずの人が・ 352 00:31:37,109 --> 00:31:42,109 たった一言 言うために 来てくれたんです 私のとこ。 353 00:31:45,117 --> 00:31:50,117 私を傷つけたくない たったそれだけのために。 354 00:31:52,124 --> 00:31:55,127 そんな人を奉行所へなんか 渡せません。 355 00:31:55,127 --> 00:32:02,134 いえ 私が逃げれば この人は罪に問われます。 356 00:32:02,134 --> 00:32:07,139 私さえ名乗って出れば この人だけは。 357 00:32:07,139 --> 00:32:09,139 行きたいんです。 358 00:32:11,143 --> 00:32:13,143 私 行きたいんです。 359 00:32:16,148 --> 00:32:24,156 いつか そういうときが 来るんじゃないかって・ 360 00:32:24,156 --> 00:32:26,156 思ってたんです。 361 00:32:35,167 --> 00:32:39,167 3年前に亭主を亡くした。 362 00:32:42,174 --> 00:32:48,174 でも 女が1人で生きるってことは…。 363 00:32:51,183 --> 00:32:53,183 どうしてなんでしょう。 364 00:32:55,187 --> 00:33:01,193 男にとっては 好奇心 抱かせるだけだし・ 365 00:33:01,193 --> 00:33:06,198 周りの女にとっちゃ・ 366 00:33:06,198 --> 00:33:12,204 何となく 目障り この上ないことなんですね。・ 367 00:33:12,204 --> 00:33:19,211 いつの間にか 反物泥棒に仕立てられてて。 368 00:33:19,211 --> 00:33:25,217 全部 私がやったみたいに 仕組まれちゃって。 369 00:33:25,217 --> 00:33:28,154 私みたいな女でも・ 370 00:33:28,154 --> 00:33:35,161 どっか 生きてく所が あるんじゃないかって・ 371 00:33:35,161 --> 00:33:42,168 そんなふうに思ってるときに この人…。 372 00:33:42,168 --> 00:33:46,168 ふ~ん なるほど。 373 00:33:48,174 --> 00:33:54,180 よし 決めたぞ。 んっ? 374 00:33:54,180 --> 00:33:59,185 この女 命懸けても逃がしてやらあ 男はついでだ。 375 00:33:59,185 --> 00:34:03,185 うんうん うん…。 376 00:34:07,193 --> 00:34:10,196 やっぱり 人間ね・ 377 00:34:10,196 --> 00:34:13,199 しゃば出なくちゃ 人間じゃないよ。 378 00:34:13,199 --> 00:34:16,202 ろう屋はいけない ろう屋は。 379 00:34:16,202 --> 00:34:21,202 どう裁くかな 河内山さん フフフフ。 380 00:34:23,209 --> 00:34:28,147 でもね どうして 俺に300もくれたの? 381 00:34:28,147 --> 00:34:32,151 金子市の旦那と合わせて 600でしょ。 382 00:34:32,151 --> 00:34:35,154 そんなに借りがあるの? あの男に。 383 00:34:35,154 --> 00:34:38,154 借りなんざ 何もありゃしませんよ。 384 00:34:40,159 --> 00:34:42,159 ど素人が…。 385 00:34:45,164 --> 00:34:50,164 抜け荷買いの使い走りまでして 外国行きの船に乗りたいという。 386 00:34:52,171 --> 00:34:54,173 オランダでもいい エゲレスでもいい・ 387 00:34:54,173 --> 00:34:58,177 とにかく この国を抜け出したい。 388 00:34:58,177 --> 00:35:01,180 そのためならば ご法度だろうが おきてだろうが・ 389 00:35:01,180 --> 00:35:04,183 何でも犯してやるという。 390 00:35:04,183 --> 00:35:08,187 まあね その辺の心意気に・ 391 00:35:08,187 --> 00:35:12,191 早く言や ほれたんだよ この森田屋。 392 00:35:12,191 --> 00:35:16,195 手前の若いころを見るようで。 393 00:35:16,195 --> 00:35:21,200 器に 小器用に小さく収まってる 人間よりは・ 394 00:35:21,200 --> 00:35:27,139 少々はみ出た人間の方が いとしいや。 395 00:35:27,139 --> 00:35:30,139 この森田屋は野良犬だから。 396 00:35:33,145 --> 00:35:37,149 抜け荷稼業の裏街道を・ 397 00:35:37,149 --> 00:35:41,149 はりつけ柱しょって 突っ走ってる野良犬だから。 398 00:35:44,156 --> 00:35:49,156 妙に引かれるんだな ああいう人間に。 399 00:35:51,163 --> 00:36:01,173 だから 捕まってるあいつに ちょいと知恵を授けた。 400 00:36:01,173 --> 00:36:05,177 (大次郎)森田屋さんからの知恵は 天の声でした。 401 00:36:05,177 --> 00:36:07,179 捕まったときは・ 402 00:36:07,179 --> 00:36:11,183 これで もう 何もかも おしまいだと思いました。 403 00:36:11,183 --> 00:36:15,183 まさか ろう抜けなんていう手が あろうとは。 404 00:36:17,189 --> 00:36:21,193 どんな罰に耐えても 逃げ出したかった。・ 405 00:36:21,193 --> 00:36:25,197 何としても 千石船に乗りたかった。 406 00:36:25,197 --> 00:36:27,132 そりゃ よく分かる。 407 00:36:27,132 --> 00:36:32,137 だけど それは 今度のことは 格別の出来事なんだぜ。 408 00:36:32,137 --> 00:36:35,140 ろう破りの男を かくまうなんてことは お前・ 409 00:36:35,140 --> 00:36:37,142 生涯に そう ざらにあることじゃねえ。 410 00:36:37,142 --> 00:36:43,148 だから お前さん 今 何ていうか こう… 何か高ぶってる。 411 00:36:43,148 --> 00:36:46,151 それ一遍 落ち着けて よ~く考えてみろ。 412 00:36:46,151 --> 00:36:51,156 ええ? 見も知らねえ 他国 行く ってことは お前・ 413 00:36:51,156 --> 00:36:54,159 肌の色の違いや 言葉も違う。 414 00:36:54,159 --> 00:36:59,164 そんなとこ行くってことは そりゃ 並大抵の覚悟じゃ。 415 00:36:59,164 --> 00:37:01,166 もしも そんなとこ行って 今と同じような思いを・ 416 00:37:01,166 --> 00:37:04,169 するぐれえなら…。 行きます! 417 00:37:04,169 --> 00:37:06,171 見逃してください。 418 00:37:06,171 --> 00:37:10,175 いや いや…。 ほらほらほら! 419 00:37:10,175 --> 00:37:12,177 本人が そう言ってるんだから そうさしてやんのが・ 420 00:37:12,177 --> 00:37:14,179 一番いいんだよ。 んなことは分かってる! 421 00:37:14,179 --> 00:37:16,181 だから 俺は もうちょっと よく考えてから…。 422 00:37:16,181 --> 00:37:19,184 考えてじゃないんだよ 河内山。 423 00:37:19,184 --> 00:37:21,186 お前さん そんな気取った言い方したって・ 424 00:37:21,186 --> 00:37:23,188 俺には ちゃんと 分かってるんだから 駄目だ。 425 00:37:23,188 --> 00:37:25,190 何でい? 426 00:37:25,190 --> 00:37:27,126 その2人 突き出さなきゃ・ 427 00:37:27,126 --> 00:37:31,130 遠山との 魚心 水心の約束が 果たせねえ。 428 00:37:31,130 --> 00:37:34,130 その借りができるのが 嫌なんだろ。 429 00:37:37,136 --> 00:37:40,139 ぶっとばすぞ 野郎。 430 00:37:40,139 --> 00:37:45,144 だから やるんだ。 俺はやるよ。 431 00:37:45,144 --> 00:37:47,146 (同心)よし 通れ。 432 00:37:47,146 --> 00:38:07,166 ・~ 433 00:38:07,166 --> 00:38:09,168 ・~ 434 00:38:09,168 --> 00:38:13,172 何? 2人を逃がした? 435 00:38:13,172 --> 00:38:15,174 おい お茶くれ。 はい。 436 00:38:15,174 --> 00:38:20,179 それじゃ… それじゃ あなたさまが 遠山さま・ 437 00:38:20,179 --> 00:38:24,183 ひいては 水野の殿様に対して のっぴきならねえことに。 438 00:38:24,183 --> 00:38:28,120 (お滝)アハッ そういう人なんですよ 旦那は。 439 00:38:28,120 --> 00:38:30,122 はい。 440 00:38:30,122 --> 00:38:34,126 あっ ほら 熱い。 お行儀が悪い。 441 00:38:34,126 --> 00:38:38,130 茶わんが出てねえんだよ! あらあら まあ ごめんなさい。 442 00:38:38,130 --> 00:38:43,135 ・(ふすまが開く音) 己 河内山! くそ! 443 00:38:43,135 --> 00:38:47,135 おい! 土足で上がるとこじゃねえや! 444 00:38:52,144 --> 00:39:12,164 ・~ 445 00:39:12,164 --> 00:39:16,168 よし ここで待ってろ。 俺は 船 手配すっから。 446 00:39:16,168 --> 00:39:19,171 焦って動き出すんじゃねえぞ。 447 00:39:19,171 --> 00:39:21,173 (配下たち)はい。 448 00:39:21,173 --> 00:39:36,173 ・~ 449 00:39:38,123 --> 00:39:55,140 ・~ 450 00:39:55,140 --> 00:39:57,140 (ゆき)連れてって。 451 00:39:59,144 --> 00:40:02,147 どっか遠くへ連れてって。 452 00:40:02,147 --> 00:40:22,167 ・~ 453 00:40:22,167 --> 00:40:25,170 ・~ 454 00:40:25,170 --> 00:40:29,107 行っちまうかな 俺も。 455 00:40:29,107 --> 00:40:31,107 どっか遠い所へよ。 456 00:40:50,128 --> 00:40:52,130 おい 船 貸せ。 457 00:40:52,130 --> 00:40:55,133 (清蔵)どこにいるんです? 458 00:40:55,133 --> 00:40:58,133 中川の古い船小屋にいる。 459 00:41:05,143 --> 00:41:07,143 (金子)どうするんだい! 460 00:41:09,147 --> 00:41:13,151 (清蔵)この金は おしまいください。・ 461 00:41:13,151 --> 00:41:15,151 船は貸しますよ。 462 00:41:25,163 --> 00:41:28,100 「お尋ねの2人 中川の船小屋」 463 00:41:28,100 --> 00:41:30,100 おい みんな集めろ! (配下たち)へい。 464 00:41:37,109 --> 00:41:40,112 どうしたんです? 465 00:41:40,112 --> 00:41:43,115 奇麗でしょ。 466 00:41:43,115 --> 00:41:49,115 お店の品なの とてもいい江戸千代紙。 467 00:41:56,128 --> 00:42:16,148 ・~ 468 00:42:16,148 --> 00:42:36,168 ・~ 469 00:42:36,168 --> 00:42:43,175 ・~ 470 00:42:43,175 --> 00:42:48,175 森田屋 てめえ裏切ってくれたな。 471 00:42:50,182 --> 00:42:54,186 金子市。 黙ってろ! 472 00:42:54,186 --> 00:42:58,190 俺は許さねえぜ。 (清蔵)金子さん。 473 00:42:58,190 --> 00:43:02,194 弱い者は助ける値打ちもないと 言ってた あんたが・ 474 00:43:02,194 --> 00:43:06,198 2人を逃がそうと むきになる。 475 00:43:06,198 --> 00:43:08,200 あの男を どうでも助けだしたいと・ 476 00:43:08,200 --> 00:43:16,208 あんたに助っ人を頼んだ この私が 2人を売る。 477 00:43:16,208 --> 00:43:21,213 どうにも 皮肉な巡り合わせですね。 478 00:43:21,213 --> 00:43:25,217 河内山の旦那の立場を 悪くさせまいとの・ 479 00:43:25,217 --> 00:43:29,154 森田屋さんの苦しい胸の内。 480 00:43:29,154 --> 00:43:31,154 分からない? 481 00:43:33,158 --> 00:43:35,160 分からねえ。 482 00:43:35,160 --> 00:43:48,173 ・~ 483 00:43:48,173 --> 00:43:59,184 (町人たちの ざわめき) 484 00:43:59,184 --> 00:44:01,186 (男)死んじまえ あらあ! 485 00:44:01,186 --> 00:44:17,186 (町人たちの ざわめき) 486 00:44:24,209 --> 00:44:27,145 大次郎さんよ! 487 00:44:27,145 --> 00:44:30,148 皆さんにお伝えください。 大次郎もゆきも・ 488 00:44:30,148 --> 00:44:32,150 船小屋に潜んでいた 何時かの間が・ 489 00:44:32,150 --> 00:44:34,152 生涯で 一番 幸せでした。 490 00:44:34,152 --> 00:44:36,154 ありがとうございました。 491 00:44:36,154 --> 00:44:38,156 チキショー。 492 00:44:38,156 --> 00:44:58,176 ・~ 493 00:44:58,176 --> 00:45:06,176 ・~ 494 00:45:34,145 --> 00:45:48,159 (馬の いななき) 495 00:45:48,159 --> 00:46:08,179 ・~ 496 00:46:08,179 --> 00:46:28,133 ・~ 497 00:46:28,133 --> 00:46:48,153 ・~ 498 00:46:48,153 --> 00:47:08,173 ・~ 499 00:47:08,173 --> 00:47:27,173 ・~ 500 00:47:34,132 --> 00:47:40,138 (清蔵)河内山さま こんな言葉がございます。・ 501 00:47:40,138 --> 00:47:43,141 よろず 悪の根は 上にあり。・ 502 00:47:43,141 --> 00:47:46,144 その根を切らずして 法度するは・ 503 00:47:46,144 --> 00:47:49,144 無益の己が誤りなり。 504 00:47:59,157 --> 00:48:01,159 水野が何だ! 505 00:48:01,159 --> 00:48:11,159 ・~ 506 00:48:28,119 --> 00:48:30,121 <母を捨て 娘を捨てた 非情な父親は・ 507 00:48:30,121 --> 00:48:32,123 江戸 一番の 絵師だった> 508 00:48:32,123 --> 00:48:35,126 <母の無念を 絵筆によって見返そうと・ 509 00:48:35,126 --> 00:48:37,128 娘絵師は江戸に来た> 510 00:48:37,128 --> 00:48:40,131 <が しかし 検問の壁は あまりにも厚かった> 511 00:48:40,131 --> 00:48:43,134 <激しく娘絵師に引かれる 金子市> 512 00:48:43,134 --> 00:48:47,138 <悪徳画商に怒りを燃やす 宗俊も ついに立ち上がった> 513 00:48:47,138 --> 00:48:51,138 <次回 『痛快! 河内山宗俊』に ご期待ください>