1 00:01:59,091 --> 00:02:09,091 ・~ 2 00:03:49,134 --> 00:03:51,136 (宗俊)おい 娘さん・ 3 00:03:51,136 --> 00:03:54,139 落とし物だよ。 4 00:03:54,139 --> 00:04:00,078 (女)あっ すいません。 (直次郎)丑 がつがつすんなよな。 5 00:04:00,078 --> 00:04:03,081 (丑松)だって お前 世の中 こんな不景気なんだ。 6 00:04:03,081 --> 00:04:06,084 俺 稼がなきゃ 飯食ってけないよ 何 言ってやんだ。 7 00:04:06,084 --> 00:04:09,087 不景気は分かるけどよ。 旦那 いつも言ってんだろう・ 8 00:04:09,087 --> 00:04:12,090 ケチなことだけはすんなって。 9 00:04:12,090 --> 00:04:15,090 あっ 旦那… ほら 帰るぞ。 10 00:04:19,097 --> 00:04:24,102 (清蔵)世の中 面白くなりましたな 河内山さま。 11 00:04:24,102 --> 00:04:30,108 (宗俊)そうかね 俺は だんだん つまらなくなってくるな。 12 00:04:30,108 --> 00:04:34,108 (清蔵)あきんどと ご直参の違いかな? 13 00:04:36,114 --> 00:04:40,118 (清蔵)ご老中 水野さまの 諸事改革は・ 14 00:04:40,118 --> 00:04:42,120 どうやら しくじりのようだ。・ 15 00:04:42,120 --> 00:04:44,122 倹約令の連続で・ 16 00:04:44,122 --> 00:04:48,126 世間は すっかり火の消えたように なっちまった。 17 00:04:48,126 --> 00:04:51,129 (宗俊)森田屋 お前 そんな説教するために・ 18 00:04:51,129 --> 00:04:54,132 わざわざ 俺を呼んだのかい? 19 00:04:54,132 --> 00:04:59,071 (清蔵)水野さまが倒れたら 侍衆の統制力は がたがた。 20 00:04:59,071 --> 00:05:01,073 もう おしまいだ。 21 00:05:01,073 --> 00:05:04,076 だから どうなんだ? 22 00:05:04,076 --> 00:05:10,076 これからは 本腰を入れて貿易を 外国相手にやっていきます。 23 00:05:14,086 --> 00:05:16,086 大手を振って やる気かい? 24 00:05:19,091 --> 00:05:25,097 (清蔵)数日後に品川沖に入る 加賀の銭屋の船荷・ 25 00:05:25,097 --> 00:05:28,097 それを そっくり こちらに頂きます。 26 00:05:31,103 --> 00:05:38,110 外国相手に あきないをするには 資金づくりをしておかないと。 27 00:05:38,110 --> 00:05:41,113 フッ。 28 00:05:41,113 --> 00:05:43,113 小便だよ。 29 00:05:51,123 --> 00:06:10,075 ・~ 30 00:06:10,075 --> 00:06:17,075 あの女は 確か 御台さまの…。 31 00:06:26,091 --> 00:06:28,093 (おきく)おいしい。 32 00:06:28,093 --> 00:06:32,097 やっぱり 私 町中の暮らしが好き。 33 00:06:32,097 --> 00:06:34,099 こういう物 食べて・ 34 00:06:34,099 --> 00:06:36,101 あんたみたいに いいご亭主 見つけて。 35 00:06:36,101 --> 00:06:38,103 (おてる)何 言ってんの・ 36 00:06:38,103 --> 00:06:40,105 おきくさんこそ 女の出世じゃないの・ 37 00:06:40,105 --> 00:06:45,105 御台さまのお気に入りで 私たちとは女の格が違うわ。 38 00:06:47,112 --> 00:06:49,114 大奥なんて嫌なとこよ。 39 00:06:49,114 --> 00:06:53,118 そりゃ 御台さまは いい方だけれど。 40 00:06:53,118 --> 00:06:56,121 (おてる)何かあったのね おきくさん。 41 00:06:56,121 --> 00:06:59,057 ねえ? 42 00:06:59,057 --> 00:07:04,062 私ね お上のお目に留まったの。 43 00:07:04,062 --> 00:07:08,066 お上って あの公方さま? 44 00:07:08,066 --> 00:07:11,069 えっ じゃ あんた お手つきに? 45 00:07:11,069 --> 00:07:16,074 まだよ とっても そんな気になりゃしない。 46 00:07:16,074 --> 00:07:18,076 御台さまに かわいがっていただきながら・ 47 00:07:18,076 --> 00:07:21,079 それじゃ 女の忠義が通りません。 48 00:07:21,079 --> 00:07:24,082 だから 私 お宿下がりしてきたの。 49 00:07:24,082 --> 00:07:26,084 (おてる)だって お声が掛かっちゃってから・ 50 00:07:26,084 --> 00:07:29,087 こっちの気持ちが 通せるものなの? 51 00:07:29,087 --> 00:07:32,090 おてるさん。 (おてる)何? 52 00:07:32,090 --> 00:07:37,095 さっき見掛けたのは お数寄屋衆の 河内山 宗俊・ 53 00:07:37,095 --> 00:07:39,097 そうね。 (おてる)そう。 54 00:07:39,097 --> 00:07:43,101 とんだワルだと噂に高い河内山よ。 55 00:07:43,101 --> 00:07:46,104 一緒に来てる客もね 森田屋 清蔵という・ 56 00:07:46,104 --> 00:07:49,107 これも裏で何をやってるか 分からないような・ 57 00:07:49,107 --> 00:07:51,107 底の知れないあきんど。 58 00:07:55,113 --> 00:07:57,048 (おてる)町方でも 目はつけているらしいけど・ 59 00:07:57,048 --> 00:08:00,048 なかなか 尻尾はつかませないんですって。 60 00:08:02,053 --> 00:08:05,056 (おてる)どうかしたの? 61 00:08:05,056 --> 00:08:08,059 お願いがあるのよ おてるさん。 62 00:08:08,059 --> 00:08:10,059 ・(おてる)ごめんくださいまし。 63 00:08:12,063 --> 00:08:15,066 河内山さま 森田屋の旦那・ 64 00:08:15,066 --> 00:08:19,070 お二方に ぜひ お目通りをと 申している者がおりますんですが。 65 00:08:19,070 --> 00:08:21,070 (清蔵)誰だい? 66 00:08:26,077 --> 00:08:33,084 (おきく)まあ アハハハッ…。・ 67 00:08:33,084 --> 00:08:39,090 お錠口のお杉戸から中は 男子禁制の大奥にいましたら・ 68 00:08:39,090 --> 00:08:42,093 殿方の話ばっかり。・ 69 00:08:42,093 --> 00:08:47,098 お数寄屋衆の中では 河内山さま あなたのお噂が特に。 70 00:08:47,098 --> 00:08:51,102 (清蔵)ほう どのような噂でございます。 71 00:08:51,102 --> 00:08:54,105 聞きとうございますな。 72 00:08:54,105 --> 00:08:56,107 (笑い声) 73 00:08:56,107 --> 00:09:00,045 お数寄屋衆にしておくのは 惜しい男ぶりだって。 74 00:09:00,045 --> 00:09:06,051 えっ 河内山さまが? いや いやいや。 75 00:09:06,051 --> 00:09:09,054 身どもは 先刻 承知のとおり・ 76 00:09:09,054 --> 00:09:13,058 誰彼 見境なく 悪さをするのが 好きでござるからな。 77 00:09:13,058 --> 00:09:18,063 (おきく)まあ。 (一同の笑い声) 78 00:09:18,063 --> 00:09:21,066 ご自分で そんな。 79 00:09:21,066 --> 00:09:25,070 (清蔵)で 私どもに お話というのは 何でございます? 80 00:09:25,070 --> 00:09:28,073 待て 待て そんな 急に せっついて 森田屋殿。 81 00:09:28,073 --> 00:09:33,078 (おきく)ご老中 水野さまのことでございます。 82 00:09:33,078 --> 00:09:35,080 水野さま? 83 00:09:35,080 --> 00:09:38,083 (おきく)ご老中 水野さまの 倹約令のおかげで・ 84 00:09:38,083 --> 00:09:42,087 大奥では化粧料まで廃止という 大なたを振るわれて・ 85 00:09:42,087 --> 00:09:44,089 大層な怒りよう。 86 00:09:44,089 --> 00:09:48,093 先日も 上様のご膳に・ 87 00:09:48,093 --> 00:09:50,095 好物の芽しょうがが 添えていなかったので・ 88 00:09:50,095 --> 00:09:53,098 なぜなのかと お尋ねになりました。 89 00:09:53,098 --> 00:09:56,098 それも 水野の倹約令。 90 00:10:06,044 --> 00:10:09,047 (おきく)それから 己 畏れ多くもということになって・ 91 00:10:09,047 --> 00:10:12,050 火の手が広がり始めました。・ 92 00:10:12,050 --> 00:10:16,054 でもね 私は水野さまの味方。 93 00:10:16,054 --> 00:10:19,054 大奥では ぜいたくに お金を使い過ぎます。 94 00:10:21,059 --> 00:10:25,063 ああ そりゃ そのとおり。 95 00:10:25,063 --> 00:10:29,067 それで? 河内山さまは お数寄屋衆・ 96 00:10:29,067 --> 00:10:32,067 水野さまとも お親しくお口をきけるお方。 97 00:10:34,072 --> 00:10:37,075 ご老中に 教えてあげたらどうかしら・ 98 00:10:37,075 --> 00:10:39,077 初物は ぜいたくでも・ 99 00:10:39,077 --> 00:10:43,081 芽しょうがの売り買いだけは 禁止しない方がよろしいって。 100 00:10:43,081 --> 00:10:46,084 いや それは気に入った。 いや 恐れ入りました。 101 00:10:46,084 --> 00:10:49,087 いや 結構なお考えだ。 ハハハハッ。 102 00:10:49,087 --> 00:10:53,091 いや いや 気に入りました。 ハハハハハッ。 103 00:10:53,091 --> 00:10:55,093 冗談じゃねえや お前。 104 00:10:55,093 --> 00:10:57,028 芽しょうがの売り買いが どうのこうの そんなこと お前・ 105 00:10:57,028 --> 00:10:59,030 老中に言えるかい。 お言いなさい。 106 00:10:59,030 --> 00:11:03,034 良い事を申してくれたと 涙を流しますよ。 107 00:11:03,034 --> 00:11:06,037 いえ 私は真面目に言ってるんだ 河内山さま…。 108 00:11:06,037 --> 00:11:08,039 冗談じゃねえや。 109 00:11:08,039 --> 00:11:11,042 こっちは 色気のある話の1つも 出るかと思ったら・ 110 00:11:11,042 --> 00:11:14,045 しょうがねえ話を。 111 00:11:14,045 --> 00:11:18,049 食い物の恨みは恐ろしいと 言いますからね。 112 00:11:18,049 --> 00:11:21,052 将軍に好きなしょうがを 食わせなかったばっかりに・ 113 00:11:21,052 --> 00:11:26,052 老中失脚 そういうこと あり得るな。 114 00:11:29,060 --> 00:11:34,065 だけど お前 御台さま付きのお中臈が・ 115 00:11:34,065 --> 00:11:36,065 何で しょうがの…。 116 00:11:39,070 --> 00:11:42,070 おかしいよ こりゃ。 117 00:11:56,087 --> 00:11:59,087 あれも 評判のワルよ。 118 00:12:19,110 --> 00:12:22,110 あなた 人斬りですってね。 119 00:12:24,115 --> 00:12:27,118 (金子)誰だ てめえは?・ 120 00:12:27,118 --> 00:12:30,121 名を言え。 121 00:12:30,121 --> 00:12:32,121 (おきく)おきく。 122 00:12:34,125 --> 00:12:36,125 (金子)おきく…。 123 00:12:39,130 --> 00:12:42,133 どうかしたの? 124 00:12:42,133 --> 00:12:45,136 同じ名前の女を知ってただけだ。 125 00:12:45,136 --> 00:12:47,136 どうしたの その人? 126 00:12:49,140 --> 00:12:51,142 (おきく)ウフフフッ。 127 00:12:51,142 --> 00:12:54,145 まさか あなたが斬ったんじゃ ないでしょうね? 128 00:12:54,145 --> 00:12:56,145 買うのか買わねえのか? 129 00:12:59,083 --> 00:13:01,085 これ買おう。 130 00:13:01,085 --> 00:13:04,088 (金子)違う…。・ 131 00:13:04,088 --> 00:13:07,088 俺を雇いにきたんじゃねえのか? 132 00:13:09,093 --> 00:13:11,093 これね。 133 00:13:28,112 --> 00:13:30,114 (門をたたく音) 134 00:13:30,114 --> 00:13:33,117 (落合)開けろ!・ 135 00:13:33,117 --> 00:13:40,124 宗俊! 河内山 宗俊! 御用の筋であるぞ! 136 00:13:40,124 --> 00:13:42,124 誰だ~ 朝から! 137 00:13:45,129 --> 00:13:47,131 うるせえな まったく もう。 138 00:13:47,131 --> 00:13:49,133 誰だ 朝から。 139 00:13:49,133 --> 00:13:53,137 ちょっと待てよ。 この野郎! 140 00:13:53,137 --> 00:13:57,075 何だい てめえら このうち 一歩でも足を踏み入れてみろ・ 141 00:13:57,075 --> 00:13:59,077 ただじゃ済まねえぞ! 142 00:13:59,077 --> 00:14:03,081 この河内山は天下の直参だ 若年寄の支配なんでえ! 143 00:14:03,081 --> 00:14:05,083 (落合)若年寄の 堀田 正衡さまには すでに・ 144 00:14:05,083 --> 00:14:08,083 筋が通してある! 厳しく詮議せよとのお達しだ! 145 00:14:10,088 --> 00:14:13,088 俺が何をやったって言うんだ? 146 00:14:21,099 --> 00:14:24,102 河内山 いったい 何やったんだ お前は? 147 00:14:24,102 --> 00:14:28,106 おい 何 何でえ お前たちは? 148 00:14:28,106 --> 00:14:31,109 奉行所から呼び出しが ありましてね。 149 00:14:31,109 --> 00:14:35,113 河内山 宗俊のことについて 尋ねたい儀があるから出頭せよ。 150 00:14:35,113 --> 00:14:38,116 何も私たちが やましい尻尾が あるわけじゃなし・ 151 00:14:38,116 --> 00:14:40,118 だから こうやって 金子さんと。 152 00:14:40,118 --> 00:14:42,120 (落合)訴えがあったんだ。 153 00:14:42,120 --> 00:14:48,126 てめえたち3人がかりで 尊き女人を手籠めにしやがって! 154 00:14:48,126 --> 00:14:52,130 ああ あの女だな。 155 00:14:52,130 --> 00:14:54,132 (清蔵)あの人…。 156 00:14:54,132 --> 00:14:59,070 やったんだな? (金子)俺はやってねえ 帰ろう。 157 00:14:59,070 --> 00:15:02,073 (落合)控えい! (役人)ここをどこだと心得る! 158 00:15:02,073 --> 00:15:05,076 金子さん 金子さん おやめなさい。 159 00:15:05,076 --> 00:15:09,080 (おてる)はい さようでございます お奉行さま。 160 00:15:09,080 --> 00:15:13,084 私は おきくさまと 一緒にいたのでございますが・ 161 00:15:13,084 --> 00:15:17,088 殺されるのではないかと もう恐ろしくて・ 162 00:15:17,088 --> 00:15:19,088 見ているだけでございました。 163 00:15:23,094 --> 00:15:25,096 (おてる)おきくさまは 死に物狂いで身を守ろうと・ 164 00:15:25,096 --> 00:15:28,099 なさいましたが・ 165 00:15:28,099 --> 00:15:32,103 とうとう あの悪党どもに。 166 00:15:32,103 --> 00:15:37,108 (おてるの泣き声) 167 00:15:37,108 --> 00:15:57,061 ・~ 168 00:15:57,061 --> 00:16:17,081 ・~ 169 00:16:17,081 --> 00:16:29,093 ・~ 170 00:16:29,093 --> 00:16:33,097 (おてる)思い出しても恐ろしい。・ 171 00:16:33,097 --> 00:16:39,103 あいつらは 人非人 人でなし 鬼 青鬼 赤鬼でございます。 172 00:16:39,103 --> 00:16:42,106 お前 よくも そんなことをぬけぬけと。 173 00:16:42,106 --> 00:16:47,111 (清蔵)お奉行さま 私ども3人は潔白でございます。・ 174 00:16:47,111 --> 00:16:50,114 お裁きならば 手籠めにされたと 申し立てている・ 175 00:16:50,114 --> 00:16:53,117 その女に会わせていただきとう ございます。 176 00:16:53,117 --> 00:16:58,056 いいえ。 おきくさまは ただ今 もう半狂乱。・ 177 00:16:58,056 --> 00:17:02,060 畏れ多くも 公方さまの ごちょう愛を受けようという身が・ 178 00:17:02,060 --> 00:17:04,062 汚されたのでございます。 179 00:17:04,062 --> 00:17:07,065 傷物になった身では 御殿にも帰れず・ 180 00:17:07,065 --> 00:17:11,069 思いあまって ご自害なさるかもしれません。 181 00:17:11,069 --> 00:17:13,071 何てことを! 182 00:17:13,071 --> 00:17:17,075 われらは そのようなことを致した 覚えはござらん。 183 00:17:17,075 --> 00:17:19,077 天地神明に懸けて! 184 00:17:19,077 --> 00:17:22,077 何とぞ お裁きを。 185 00:17:26,084 --> 00:17:29,087 (役人)入れ。・ 186 00:17:29,087 --> 00:17:31,087 ええい ぐずぐずするな! 187 00:17:35,093 --> 00:17:38,096 (金子)おい 河内山は? 188 00:17:38,096 --> 00:17:41,099 (落合)あいつは 直参で支配違いだ・ 189 00:17:41,099 --> 00:17:45,103 一応帰宅は許されるが おいらが見張り役だ。・ 190 00:17:45,103 --> 00:17:47,103 汚え手を放せ。 191 00:17:51,109 --> 00:17:53,109 (落合)貴様。 192 00:17:58,049 --> 00:18:04,055 奉行所器物破損か… 課金1両の罪が加わる。 193 00:18:04,055 --> 00:18:06,057 書いとけ。 (役人)はあ。 194 00:18:06,057 --> 00:18:11,062 (落合)それにしても豪気なことを やったもんだな。 195 00:18:11,062 --> 00:18:15,066 尊いお方より先に 手をつけるとは。 196 00:18:15,066 --> 00:18:17,066 その女は味どうだったい? 197 00:18:28,079 --> 00:18:31,082 (加倉井)何という軽はずみな! 198 00:18:31,082 --> 00:18:36,087 たとえ 体を汚されたからといって わしに断りもなく・ 199 00:18:36,087 --> 00:18:40,091 奉行所へなど訴えて出るとは。 200 00:18:40,091 --> 00:18:43,094 大事の折 内密に済ませてしまえば よかったのに! 201 00:18:43,094 --> 00:18:45,096 (おてる)でも おきくさまのご気性では。 202 00:18:45,096 --> 00:18:48,099 せっかく 上様のお目に留まって・ 203 00:18:48,099 --> 00:18:53,104 お手つき中臈ともなれば 一族立身出世の糸口。 204 00:18:53,104 --> 00:18:58,042 おきくを養女にしたわしにとっても この上ない喜びだったのに。 205 00:18:58,042 --> 00:19:01,045 何ということだ。・ 206 00:19:01,045 --> 00:19:05,049 宿下がりしても 当家へは姿を見せず・ 207 00:19:05,049 --> 00:19:07,051 かかる大事を引き起こすとは! 208 00:19:07,051 --> 00:19:11,055 お許しくださいまし 私が一緒にいながら。 209 00:19:11,055 --> 00:19:14,058 でも まさか ご当家さまにも 帰っていなかったなんて・ 210 00:19:14,058 --> 00:19:17,061 思いも及びませんでございました。 211 00:19:17,061 --> 00:19:21,065 今になって 大奥勤めは辞退などと・ 212 00:19:21,065 --> 00:19:25,069 わしの口から 上様に言上できるものか! 213 00:19:25,069 --> 00:19:28,072 お怒りに触れれば わしまで監督不行届のかどで・ 214 00:19:28,072 --> 00:19:30,072 腹を切らねばならん。 215 00:19:32,076 --> 00:19:35,079 奉行所へ訴え出るなど 軽率千万! 216 00:19:35,079 --> 00:19:37,081 おきくは いったい どこにおるのだ! 217 00:19:37,081 --> 00:19:41,085 はい 今 私どものうちに。 218 00:19:41,085 --> 00:19:43,087 でも ひどく高ぶっておりますので・ 219 00:19:43,087 --> 00:19:50,094 そっとしておいてあげないと 自害なさる恐れがございます。 220 00:19:50,094 --> 00:19:54,098 加倉井さま 気を落ち着かせてから・ 221 00:19:54,098 --> 00:19:56,100 きっと ご当家に連れてまいりますので・ 222 00:19:56,100 --> 00:20:00,100 それまでは 何とぞ 私どもにお預けくださいまし。 223 00:20:02,039 --> 00:20:08,045 やむを得ん 宿下がりの期日は あと4日。 224 00:20:08,045 --> 00:20:12,049 何とかして内分にできるよう 画策してみよう。 225 00:20:12,049 --> 00:20:17,054 上様の方は ご辞退できないので ございますか? 226 00:20:17,054 --> 00:20:20,057 何を申す わしは 今日あるを期したればこそ・ 227 00:20:20,057 --> 00:20:22,059 おきくを養女として。 228 00:20:22,059 --> 00:20:24,061 もうよい! 229 00:20:24,061 --> 00:20:26,063 立ち返って おきくに申せ。 230 00:20:26,063 --> 00:20:29,066 今回の不祥事は 手を尽くして もみ消す・ 231 00:20:29,066 --> 00:20:33,070 大奥へは 病と申し立てて届けておくから・ 232 00:20:33,070 --> 00:20:37,070 あくまで 出世を諦めぬようにとな よいか。 233 00:20:51,088 --> 00:20:53,090 (同心)おい そこの2人。・ 234 00:20:53,090 --> 00:21:00,031 おきくさまは現れねえぜ 行方知れずだとよ。 235 00:21:00,031 --> 00:21:03,034 どうなるんだい これは? (同心)決まってるじゃねえか・ 236 00:21:03,034 --> 00:21:06,037 死罪 獄門 さらし首だよ。 237 00:21:06,037 --> 00:21:08,037 (金子)うるせえ この野郎! 238 00:21:10,041 --> 00:21:13,044 河内山さまが あの女をとっ捕まえて・ 239 00:21:13,044 --> 00:21:16,047 白黒はつけてくれるでしょう。 240 00:21:16,047 --> 00:21:20,051 それよか 私は商いの方が気になる。 241 00:21:20,051 --> 00:21:23,054 船が入ってくるのは…。 242 00:21:23,054 --> 00:21:26,057 これは ひとつ ろう抜けでもやるか 森田屋。 243 00:21:26,057 --> 00:21:31,062 ・・(はやしの演奏) 244 00:21:31,062 --> 00:21:50,081 ・~ 245 00:21:50,081 --> 00:21:53,084 音羽屋! 246 00:21:53,084 --> 00:21:55,084 (女中)さあ どうぞ。 247 00:22:03,094 --> 00:22:06,097 はあ 気が清々した。 248 00:22:06,097 --> 00:22:08,099 久しぶりだわ お芝居なんて。 249 00:22:08,099 --> 00:22:10,101 (おてる)そうでしょう。 250 00:22:10,101 --> 00:22:17,108 でもね 以前から見ると 飾りも ずいぶんと控えめになったでしょう。 251 00:22:17,108 --> 00:22:20,111 のぼりは何本まで 面灯りは幾つまでって・ 252 00:22:20,111 --> 00:22:23,114 そりゃ まあ 細かいところまで ご注意があったんだって。 253 00:22:23,114 --> 00:22:29,120 まさか 水野さまが そんなことまで知るはずないわよ。 254 00:22:29,120 --> 00:22:34,125 フッ 周りよ 周りの役人たちが うるさく言うのよ。 255 00:22:34,125 --> 00:22:38,129 そうでしょうね その癖 私のうちなんか見回りに来ると・ 256 00:22:38,129 --> 00:22:41,132 おい うめえ物食わせろなんて 言うのよ。 257 00:22:41,132 --> 00:22:44,135 そんなもんよ 役人なんて。 258 00:22:44,135 --> 00:22:50,141 (おきく)あ~ あ~ いいな~ 町中の暮らしって。 259 00:22:50,141 --> 00:22:54,145 ねえ おきくさん ホントに大丈夫なの? 260 00:22:54,145 --> 00:22:58,082 何が? (おてる)あんたのためだからって・ 261 00:22:58,082 --> 00:23:00,084 話に乗っちゃったけどさ・ 262 00:23:00,084 --> 00:23:04,088 何だか怖くなってきちゃった。 あの3人いくらワルだからって・ 263 00:23:04,088 --> 00:23:07,091 お仕置きになっちゃったら どうしよう。 264 00:23:07,091 --> 00:23:11,095 少しは いじめてやった方が いいのよ ああいう手合いは。 265 00:23:11,095 --> 00:23:14,098 (おてる)でも ホントに お仕置きになっちゃったら? 266 00:23:14,098 --> 00:23:17,101 ワルだ ワルだって聞いてたけど・ 267 00:23:17,101 --> 00:23:19,103 なかなか いいとこあるわね あの3人。 268 00:23:19,103 --> 00:23:22,106 だったら おきくさん。 269 00:23:22,106 --> 00:23:26,110 大丈夫よ 心配性ね あんたも。 270 00:23:26,110 --> 00:23:30,110 (おてる)大丈夫って? (おきく)ウフフッ。 271 00:23:32,116 --> 00:23:39,123 (落合)もう ここらが 年貢の納めどきでござるぞと。 272 00:23:39,123 --> 00:23:45,129 この王を捕まえられては… よし。 273 00:23:45,129 --> 00:23:48,132 さあ こうだ。 274 00:23:48,132 --> 00:23:52,136 旦那 飯ができましたよ。 おお そうか そうか。 275 00:23:52,136 --> 00:23:56,140 あの落合さん 狭いから こっちへ置かさせていただきます。 276 00:23:56,140 --> 00:23:59,076 どうぞ。 どうぞ どうぞ。 277 00:23:59,076 --> 00:24:03,080 1本付いてるとは こら ありがた山のホトトギスだ。 278 00:24:03,080 --> 00:24:05,082 じゃ ごちになるか。 どうぞ。 279 00:24:05,082 --> 00:24:07,082 ごまかしちゃいけませんぜ。 280 00:24:11,088 --> 00:24:16,093 旦那もさ いい女だと思ったら すぐ手出しちゃって。 281 00:24:16,093 --> 00:24:19,096 何なんだよ その おんたいさまの 女郎っていうのはよ。 282 00:24:19,096 --> 00:24:22,099 何… 何っつった 今 えっ? 283 00:24:22,099 --> 00:24:24,101 おんたいさまのお女郎って。 バカ。 284 00:24:24,101 --> 00:24:26,103 おんたいさま っつうんじゃないんだよ・ 285 00:24:26,103 --> 00:24:33,110 御台さま 将軍家の正室 つまりな 奥方だよ。 286 00:24:33,110 --> 00:24:36,113 お上臈っつうのは そこに仕えている・ 287 00:24:36,113 --> 00:24:39,116 お女中のことを言うんだよ。 288 00:24:39,116 --> 00:24:41,116 そんなのと 旦那 関わり合ってたの! 289 00:24:43,120 --> 00:24:47,124 しかし 心細くなっちゃったな お前 旦那 これから お前・ 290 00:24:47,124 --> 00:24:49,126 島送りになったら 俺たち どうなんだ おい。 291 00:24:49,126 --> 00:24:55,126 ハハッ。 島送りなんぞでは済まんな。 292 00:25:03,073 --> 00:25:05,073 効いた 効いた。 293 00:25:08,078 --> 00:25:11,081 ハハハッ ハッ。 294 00:25:11,081 --> 00:25:13,083 (いびき) 295 00:25:13,083 --> 00:25:18,083 森田屋 何 考えてんの? 296 00:25:21,091 --> 00:25:26,096 (清蔵)今夜なんだ 荷の受け渡し。 297 00:25:26,096 --> 00:25:28,096 (金子)う~ん。 298 00:25:56,126 --> 00:25:59,063 番頭さん ホントに ここなの? 299 00:25:59,063 --> 00:26:02,066 (番頭)はい 間違いありません ちゃんと調べましたから。・ 300 00:26:02,066 --> 00:26:05,069 さあ どうぞ。 直よ。 301 00:26:05,069 --> 00:26:07,071 こんな お前 大きな荷物にさ・ 302 00:26:07,071 --> 00:26:10,074 かんざしとか 首からぶら下げる きんきらきんがな。 303 00:26:10,074 --> 00:26:13,077 それから 指にはめるやつも 入ってっかもしんねえな。 304 00:26:13,077 --> 00:26:15,079 指はめるやつか あれ 俺 もらってやろう。 305 00:26:15,079 --> 00:26:18,082 駄目だ! すぐすんなよ バレっから。 306 00:26:18,082 --> 00:26:20,084 がめんの? そうだよ。 307 00:26:20,084 --> 00:26:24,088 いいか 直 お前 どっちが がめてもな 絶対 山分けだぞ。 308 00:26:24,088 --> 00:26:27,091 よし よし よし。 おい。 309 00:26:27,091 --> 00:26:30,094 はい。 はい。 310 00:26:30,094 --> 00:26:32,094 遊びに来てるんじゃねえぞ! 311 00:26:36,100 --> 00:26:44,108 ・(舟をこぐ音) 312 00:26:44,108 --> 00:26:47,111 あれか? 来た。 313 00:26:47,111 --> 00:26:51,115 何じゃ あれぽっちかよ。 314 00:26:51,115 --> 00:26:54,118 多けりゃいいってもんでも ねえだろう。 315 00:26:54,118 --> 00:26:58,055 あん中にはな 金目の物が びっしり詰まってるに違えねえよ。 316 00:26:58,055 --> 00:27:03,055 唐渡りの宝石 薬品だと 聞いております。 317 00:27:08,065 --> 00:27:13,065 あれ 戻っていきますよ。 318 00:27:25,082 --> 00:27:27,084 (役人たち)御用だ…。 旦那! 319 00:27:27,084 --> 00:27:47,104 ・~ 320 00:27:47,104 --> 00:27:49,106 いけねえ 手が回ったよ。 321 00:27:49,106 --> 00:27:53,110 チキショー 誰がバラしやがったんだろうな。 322 00:27:53,110 --> 00:27:57,047 急げ 急げ! 逃がすんじゃねえぞ! 323 00:27:57,047 --> 00:28:00,050 あっ あの野郎。 324 00:28:00,050 --> 00:28:04,054 一服 盛られたふりをして… 味なことしやがる。 325 00:28:04,054 --> 00:28:06,054 (落合)待てい! 326 00:28:13,063 --> 00:28:16,066 (役人)ぐずぐずすんな! おっとっとっと…。 327 00:28:16,066 --> 00:28:20,070 ・(鍵をかけた音) 328 00:28:20,070 --> 00:28:24,070 おありがとうございます! 329 00:28:44,094 --> 00:28:46,096 しくじった。 330 00:28:46,096 --> 00:28:52,102 あいつ これやらかして 知らせに入ってきたんだ。 331 00:28:52,102 --> 00:28:54,104 うまくいきゃ 銭屋の尻尾 捕まえて・ 332 00:28:54,104 --> 00:28:59,042 後ろ盾の加賀100万石まで ゆすぶれたんだがな。 333 00:28:59,042 --> 00:29:03,046 惜しい魚を逃がしちまった。 334 00:29:03,046 --> 00:29:06,046 あの女と口をきいたばっかりに。 335 00:29:13,056 --> 00:29:17,060 金子 市之丞 森田屋 清蔵 両名とも出ろ 釈放だ。 336 00:29:17,060 --> 00:29:20,060 (清蔵)無罪放免でございますか。 337 00:29:26,069 --> 00:29:28,071 (金子)いったい どうなってんだ おら? 338 00:29:28,071 --> 00:29:30,073 俺にも分からねえよ 上からのお達しだとよ。 339 00:29:30,073 --> 00:29:32,073 さっさと行けい。 340 00:29:34,077 --> 00:29:37,080 ちょ… 旦那な 俺 どうなんの? 341 00:29:37,080 --> 00:29:39,082 (落合)お前は さらし首だ。 342 00:29:39,082 --> 00:29:42,085 冗談言うなよ! ねえ 森田屋の旦那 何とかして。 343 00:29:42,085 --> 00:29:45,088 おっつけ お前さんも 100たたきぐらいで出られるさ。 344 00:29:45,088 --> 00:29:48,091 あら ちょっ 嫌だよ 俺 そんなの 森田屋の…。 345 00:29:48,091 --> 00:29:53,096 ねえ 金子の旦那 何とかして! 嫌だ もう 俺だけ…。 346 00:29:53,096 --> 00:29:56,099 お手つき中臈を手籠め 呼ばわりにしといて・ 347 00:29:56,099 --> 00:30:03,040 あとは お構いなし いったい 誰の差し金なんだろう? 348 00:30:03,040 --> 00:30:06,043 まさか 銭屋の細工…。 349 00:30:06,043 --> 00:30:08,045 旦那! 350 00:30:08,045 --> 00:30:11,048 おう 直 どうだった? 351 00:30:11,048 --> 00:30:13,050 いや それが おきくって女ですけど・ 352 00:30:13,050 --> 00:30:15,052 加倉井の屋敷にも・ 353 00:30:15,052 --> 00:30:18,055 てりふり町で菓子屋やってる 実家の桔梗屋にもいませんでした。 354 00:30:18,055 --> 00:30:20,057 (清蔵)大奥へ 戻っちまったのかな・ 355 00:30:20,057 --> 00:30:24,061 しゃあしゃあと涼しい顔で。 356 00:30:24,061 --> 00:30:26,061 丑 どうしました? 357 00:30:30,067 --> 00:30:33,070 あいつは 生まれた星が悪いんだよな。 358 00:30:33,070 --> 00:30:36,073 俺が入んなくて よかった。 359 00:30:36,073 --> 00:30:39,076 いや~ ハハハハッ。 360 00:30:39,076 --> 00:30:41,078 先ほどは失礼つかまつった。 361 00:30:41,078 --> 00:30:45,082 いや おかげで 抜け荷の この舟を捕まえましてな・ 362 00:30:45,082 --> 00:30:49,086 お奉行から褒美を頂きましてな。 いや どうもありがとうござった。 363 00:30:49,086 --> 00:30:53,090 ついては 何で ろう屋を出られたのか・ 364 00:30:53,090 --> 00:30:58,028 その訳をお話にあがらんと いかんと思いましてな。 365 00:30:58,028 --> 00:31:01,031 拙者にも 1本頂けませんかな? 366 00:31:01,031 --> 00:31:04,034 親父 1本。 (店主)へい へい。 367 00:31:04,034 --> 00:31:07,037 いや その出られた訳というのは・ 368 00:31:07,037 --> 00:31:11,041 畏れ多くも この 大奥の御台さまのお指図に・ 369 00:31:11,041 --> 00:31:14,044 よるらしいんですが 御台さまから ご老中へ・ 370 00:31:14,044 --> 00:31:19,049 ご老中からお奉行にと お達しが あったというわけなんですわ。 371 00:31:19,049 --> 00:31:22,052 しかし まあ 何で その 根も葉もないことを・ 372 00:31:22,052 --> 00:31:26,056 あの女が言いだしたのか まあ よく分からん うん。・ 373 00:31:26,056 --> 00:31:30,060 しかし まあ 世の中には とぼけた女がいるもんですな! 374 00:31:30,060 --> 00:31:37,067 おい あの女も とぼけてるが フッ お前ほどじゃねえや。 375 00:31:37,067 --> 00:31:40,067 (落合)ハハハッ。 こら 一本 参った。 376 00:31:51,081 --> 00:31:53,081 ・(加倉井)おきく! 377 00:32:00,090 --> 00:32:02,092 (加倉井)何たることだ・ 378 00:32:02,092 --> 00:32:05,095 大奥中臈でありながら このありさま。 379 00:32:05,095 --> 00:32:07,097 かようなことが 上様のお耳に入ってみろ・ 380 00:32:07,097 --> 00:32:09,099 どんなおとがめを被るか 計り知れん。 381 00:32:09,099 --> 00:32:14,104 (おきく)でも 汚れ傷ついたこの私ですもの・ 382 00:32:14,104 --> 00:32:16,106 上様のごちょう愛を 受けるわけには。 383 00:32:16,106 --> 00:32:19,109 その儀ならば案ぜずともよい! 384 00:32:19,109 --> 00:32:22,112 忌まわしき事件は なかったことにできそうだ。 385 00:32:22,112 --> 00:32:26,116 何故かは知らぬが 悪人ども3人は釈放された。 386 00:32:26,116 --> 00:32:29,119 この一件の口を封じるため・ 387 00:32:29,119 --> 00:32:33,123 場合によっては 3名を斬り捨てて闇に葬る。・ 388 00:32:33,123 --> 00:32:35,125 大奥に戻るんだ おきく。 389 00:32:35,125 --> 00:32:39,129 上様のおぼしめし 気随気ままは許されんぞ。 390 00:32:39,129 --> 00:32:44,134 でも 私 御台さまに対し 女の誠を通しとうございます。 391 00:32:44,134 --> 00:32:47,137 何をバカげたことを 申しておる!・ 392 00:32:47,137 --> 00:32:52,142 御意にあらごうてみよ そちの実家 桔梗屋はどうなるか・ 393 00:32:52,142 --> 00:32:55,145 一族ことごとく破滅だぞ。 394 00:32:55,145 --> 00:32:57,145 ・(おてる)ごめんくださいまし。 395 00:33:00,083 --> 00:33:04,083 あの 加倉井さま お連れさまがおみえでございます。 396 00:33:08,091 --> 00:33:12,091 おきく よいか 勝手なまねは許さぬぞ。 397 00:33:27,110 --> 00:33:29,112 ・(ふすまの開く音) 398 00:33:29,112 --> 00:33:33,116 聞いたぞ! この野郎 ふざけやがって。 399 00:33:33,116 --> 00:33:36,119 申し訳ございません。 400 00:33:36,119 --> 00:33:40,119 どうぞ何なりとお心のままに。 401 00:33:44,127 --> 00:33:46,129 だ… 旦那 旦那。 402 00:33:46,129 --> 00:33:49,129 頂くものを頂くまでよ! 403 00:34:02,079 --> 00:34:09,079 お前 それほどまでにして 御台さまに義理立てしてえのか? 404 00:34:11,088 --> 00:34:13,088 はい。 405 00:34:20,097 --> 00:34:23,100 チェッ 起きやがれ。 406 00:34:23,100 --> 00:34:25,100 てめえの腹は読めてるんだ! 407 00:34:27,104 --> 00:34:31,108 お手つき中臈になりゃ 生涯 大奥から出られねえ。 408 00:34:31,108 --> 00:34:35,112 揚げ句の果てに 公方さまが くたばりゃ・ 409 00:34:35,112 --> 00:34:38,115 お前 頭を丸めて 尼にならなくちゃならねえ。 410 00:34:38,115 --> 00:34:42,119 そうだろう それが嫌さに 俺たちを売ったんだ! 411 00:34:42,119 --> 00:34:45,122 お許しくださいませ。 412 00:34:45,122 --> 00:34:48,125 チェッ まあいいやな。 413 00:34:48,125 --> 00:34:53,130 乗りかかった船だ あらためて 相談に乗ってやるぞ。 414 00:34:53,130 --> 00:34:56,130 拙者も一口乗りましょうか? 415 00:35:02,072 --> 00:35:06,076 お許しくださいまし 幼なじみのおきくさんに。 416 00:35:06,076 --> 00:35:08,078 分かった その話はもういい。 417 00:35:08,078 --> 00:35:14,084 それより 加倉井の客ってのは誰だ? 418 00:35:14,084 --> 00:35:16,086 (おてる)桑島 十兵衛さまと おっしゃる。 419 00:35:16,086 --> 00:35:18,088 桑島さま? 420 00:35:18,088 --> 00:35:21,091 そいつは妙だな…。 何がです? 421 00:35:21,091 --> 00:35:26,096 加倉井といや 水野さまの腹心で・ 422 00:35:26,096 --> 00:35:31,096 一方 桑島は 反対派の 土井 大炊頭の側近だ。 423 00:35:36,106 --> 00:35:39,109 これは何かあるぞ。 424 00:35:39,109 --> 00:35:43,109 (桑島)船頭 舟を出せ。 (船頭)へい。 425 00:35:47,117 --> 00:35:53,123 では ご老中の失脚近しと 判断してよろしいのか? 426 00:35:53,123 --> 00:35:58,061 (桑島)先年のご老中 着任 早々 御側衆を罷免して以来・ 427 00:35:58,061 --> 00:36:04,067 相次ぐ矢継ぎ早の改革令も 諸方の反感を買うばかり。・ 428 00:36:04,067 --> 00:36:09,072 のみならず 江戸と大坂 10里四方の大名の領地を・ 429 00:36:09,072 --> 00:36:13,076 幕府領に編入しようとする 上知令・ 430 00:36:13,076 --> 00:36:18,081 幕府財政を潤そうと するわけだが・ 431 00:36:18,081 --> 00:36:22,085 領地を召し上げられる者に とっては たまったものではない・ 432 00:36:22,085 --> 00:36:27,090 諸大名も 二つ返事で 恐れ入る時代ではないからな・ 433 00:36:27,090 --> 00:36:30,093 その上 ご領地の引っ掛かる・ 434 00:36:30,093 --> 00:36:33,096 御三家の紀州さまが 反対派に回れば。 435 00:36:33,096 --> 00:36:35,098 (加倉井)動くのか 紀州さま。 436 00:36:35,098 --> 00:36:39,102 (桑島)加倉井殿 紀州家より・ 437 00:36:39,102 --> 00:36:46,109 貴殿には われわれの側に寝返る 結構な手土産があるではないか…。 438 00:36:46,109 --> 00:36:49,112 おきく殿だ。・ 439 00:36:49,112 --> 00:36:54,117 おきく殿にお上のお声が掛かった というではないか。 440 00:36:54,117 --> 00:36:56,119 よくご存じですな。 441 00:36:56,119 --> 00:37:00,056 大奥の動きは全て。 442 00:37:00,056 --> 00:37:03,059 おきく殿を用いて 上様を動かし・ 443 00:37:03,059 --> 00:37:07,063 老中 水野 とどめを刺す。 444 00:37:07,063 --> 00:37:12,068 大御所さま このかた ぜいたくに慣れた大奥が・ 445 00:37:12,068 --> 00:37:16,072 水野の政策を快く思ってるはずは ないからな。・ 446 00:37:16,072 --> 00:37:18,074 先々のことを考えたら・ 447 00:37:18,074 --> 00:37:21,074 早いところ手を打っては いかがでござる。 448 00:37:24,080 --> 00:37:28,080 (加倉井)大炊頭さまに よろしくお伝えください。 449 00:37:32,088 --> 00:37:52,108 ・~ 450 00:37:52,108 --> 00:38:05,055 ・~ 451 00:38:05,055 --> 00:38:08,058 (金子)親父さん 酒! 452 00:38:08,058 --> 00:38:28,078 ・~ 453 00:38:28,078 --> 00:38:42,092 ・~ 454 00:38:42,092 --> 00:38:46,092 ああ しかし まあ…。 455 00:38:49,099 --> 00:38:51,101 ああ もう 片付けたって しょうがねえ そんな物。 456 00:38:51,101 --> 00:38:53,103 ほっとけ ほっとけ。 しかし 旦那 えらいことしますね。 457 00:38:53,103 --> 00:38:56,106 俺がいたらね ただじゃ おかなかったんですけどね! 458 00:38:56,106 --> 00:38:59,042 心配するな また どうせ 直に戻ってくるだろう。 459 00:38:59,042 --> 00:39:02,042 旦那 そう 脅かしっこなしにしましょう。 460 00:39:04,047 --> 00:39:08,051 飯にしよう 飯に。 へい。 461 00:39:08,051 --> 00:39:11,054 ・(おてる)河内山さま 河内山さま!・ 462 00:39:11,054 --> 00:39:13,056 まあ これ…。 どうした? 463 00:39:13,056 --> 00:39:16,059 おきくさんが 連れてかれちまったんですよ。 464 00:39:16,059 --> 00:39:18,061 加倉井氏の家来衆がやって来て 無理やりに。 465 00:39:18,061 --> 00:39:21,064 早えとこ大奥へ送っちまおう っていう寸法だな。 466 00:39:21,064 --> 00:39:26,069 (おてる)河内山さま 後生 助けておくんなさいましよ。・ 467 00:39:26,069 --> 00:39:28,071 いったん お手つきになったお中臈は 終身・ 468 00:39:28,071 --> 00:39:30,073 町には帰れないのが決まりだと 聞いています。・ 469 00:39:30,073 --> 00:39:35,078 ねえ お願い 助けてあげて。 470 00:39:35,078 --> 00:39:39,082 直 飯にしろって言ってるんだ! 471 00:39:39,082 --> 00:39:41,082 心得申した。 472 00:39:44,087 --> 00:39:46,089 (加倉井)上様の御意に逆らえば・ 473 00:39:46,089 --> 00:39:49,092 そちの実父 桔梗屋 仁助は もちろん・ 474 00:39:49,092 --> 00:39:54,092 その一族 川長の女将にまで 累が及ぶものと思え。 475 00:39:59,035 --> 00:40:01,037 (家来)おかご供揃いの用意 相整えました。 476 00:40:01,037 --> 00:40:04,037 よし 出立だ。 477 00:40:18,054 --> 00:40:20,054 (加倉井)おきく! 478 00:40:26,062 --> 00:40:29,065 ・そうは問屋が卸さねえ。 479 00:40:29,065 --> 00:40:31,067 河内山。 480 00:40:31,067 --> 00:40:34,070 そのまんま 大奥へ連れてくのは そいつは駄目だ。 481 00:40:34,070 --> 00:40:38,074 この宗俊が 城内で 誰彼 構わず 触れ歩き・ 482 00:40:38,074 --> 00:40:42,078 中臈 おきくと この俺は わりねえ仲になったのを・ 483 00:40:42,078 --> 00:40:44,080 出世の盲者 加倉井 半蔵が 引き裂いて・ 484 00:40:44,080 --> 00:40:47,083 畏れ多くも 上様に傷物女を差し出したと・ 485 00:40:47,083 --> 00:40:51,087 この口が べらべら しゃべるぞ。 (加倉井)黙れ! たわけたことを。 486 00:40:51,087 --> 00:40:53,089 さようなことを触れ回ってみろ・ 487 00:40:53,089 --> 00:40:56,092 うぬの首を うぬが はねるようなものだ! 488 00:40:56,092 --> 00:40:58,027 そんときは てめえも道連れだぞ。 489 00:40:58,027 --> 00:41:02,031 この俺の首が先に飛ぶか てめえの首が先に飛ぶか・ 490 00:41:02,031 --> 00:41:05,034 やってみようじゃねえか。 (加倉井)己 斬り捨て! 491 00:41:05,034 --> 00:41:25,054 ・~ 492 00:41:25,054 --> 00:41:27,056 ・~ 493 00:41:27,056 --> 00:41:30,056 ・おきくさん 今のうちに。 494 00:41:35,064 --> 00:41:37,064 ・(腰元)おきくさまが…。 495 00:41:48,077 --> 00:41:52,081 (加倉井)捜せ 捜しだせ! (家来)おきくさま! 496 00:41:52,081 --> 00:41:57,086 (家来たち)おきくさま! 497 00:41:57,086 --> 00:42:12,101 ・~ 498 00:42:12,101 --> 00:42:15,104 (金子)おい 宗俊はいないのか? 499 00:42:15,104 --> 00:42:19,104 お城行きましたよ もうおっつけ戻る時分ですが。 500 00:42:21,110 --> 00:42:23,112 (清蔵)ご老中のご沙汰が あるらしいんですよ・ 501 00:42:23,112 --> 00:42:26,112 どう 裁きがつくか。 502 00:42:28,117 --> 00:42:32,121 ・おい おう。 おかえりなさい。 503 00:42:32,121 --> 00:42:35,124 (清蔵)おかえりなさい。 どんな具合でした? 504 00:42:35,124 --> 00:42:38,127 ・「春風が そよそよと」 505 00:42:38,127 --> 00:42:42,131 ってな具合だよ。 さすが 老中の水野は切れ者だな・ 506 00:42:42,131 --> 00:42:44,133 御台さまにも お前 伺いを立てて・ 507 00:42:44,133 --> 00:42:49,138 おきくは 大奥へ戻るに及ばず 町中暮らしを差し許すってんだ。 508 00:42:49,138 --> 00:42:51,140 一方 加倉井 半蔵の方は・ 509 00:42:51,140 --> 00:42:56,145 反対派に寝返り打った 裏切り行為が露見して これだよ。 510 00:42:56,145 --> 00:43:00,083 もっとも 届け出は病死 ってことになるらしいがな。 511 00:43:00,083 --> 00:43:03,086 ハハハハッ。 よっ 王手。 512 00:43:03,086 --> 00:43:06,089 (金子)めでたし めでたしか。 513 00:43:06,089 --> 00:43:12,095 (清蔵)加倉井の裏切りを バラしたのは あなたでしょう? 514 00:43:12,095 --> 00:43:15,098 さて そこでと…。 515 00:43:15,098 --> 00:43:19,098 ・(女)お頼み申します。 はい。 516 00:43:28,111 --> 00:43:31,111 旦那 御台さまの使いだって! 517 00:43:35,118 --> 00:43:39,122 これは 見苦しきあばら家へ ようこそ。 518 00:43:39,122 --> 00:43:42,122 河内山 宗俊めにござりまする。 519 00:43:44,127 --> 00:43:49,132 (尾上)御台さまの使者にて 尾上と 申しまする。 520 00:43:49,132 --> 00:43:53,136 このたびのこと 御台さまのおぼしめしにより・ 521 00:43:53,136 --> 00:43:59,136 これなる物を持参いたしました。 お納めくださいまするよう。 522 00:44:01,077 --> 00:44:06,082 これは もったいないことで ござります。 523 00:44:06,082 --> 00:44:18,094 ・~ 524 00:44:18,094 --> 00:44:24,100 宗俊殿 きく殿に お会いに なったらばお伝えください・ 525 00:44:24,100 --> 00:44:32,108 心意気うれしく思いますと 御台さまよりお言葉がありました。 526 00:44:32,108 --> 00:44:37,108 しかと 申し伝えつかまつりますで ござりまする。 527 00:44:42,118 --> 00:44:45,121 おいおいおい へい 来た。 528 00:44:45,121 --> 00:44:50,121 来た来た来た来た。 ありがてえな 旦那。 529 00:44:53,129 --> 00:44:55,129 おう 丑。 530 00:44:57,066 --> 00:45:00,069 旦那 ひどいよ 今日の役人・ 531 00:45:00,069 --> 00:45:03,072 100たたきだっていうの 20おまけだって。 532 00:45:03,072 --> 00:45:07,076 痛えの何の。 そう泣くんじゃねえや。 533 00:45:07,076 --> 00:45:09,078 お前のおかげでな 御台さまから お前・ 534 00:45:09,078 --> 00:45:13,082 こんな贈り物をもらったんだよ。 535 00:45:13,082 --> 00:45:16,082 俺にもあるの? あるあるある。 536 00:45:26,095 --> 00:45:29,098 何だよ おい。 ようかんじゃん。 537 00:45:29,098 --> 00:45:33,102 バカヤロー 相手は 何っつったって御台さまだ・ 538 00:45:33,102 --> 00:45:35,104 なさることが奥ゆかしい。 539 00:45:35,104 --> 00:45:39,108 生で お前 小判なんか 持ってくるわけねえじゃねえか。 540 00:45:39,108 --> 00:45:44,113 これを こう真っ二つに割るってえと・ 541 00:45:44,113 --> 00:45:51,113 中から こう山吹色が こう ぴかっと こう出てくるという…。 542 00:45:53,122 --> 00:45:55,124 うん? 543 00:45:55,124 --> 00:45:57,059 ないよ。 544 00:45:57,059 --> 00:45:59,059 これも ただのようかんだ。 545 00:46:09,071 --> 00:46:12,074 旦那 いかがっすか? (清蔵)私も? 546 00:46:12,074 --> 00:46:14,074 やってみましょう。 547 00:46:19,081 --> 00:46:22,081 俺 ちょっと気持ち悪くなってきた。 548 00:46:24,086 --> 00:46:26,086 食べたな おい。 549 00:46:29,091 --> 00:46:34,096 ちょっと食い過ぎたな これ。 550 00:46:34,096 --> 00:46:39,096 ・(おきく)あら こんにちは! 551 00:46:42,104 --> 00:46:47,109 皆さん その節は色々お世話になりました。 552 00:46:47,109 --> 00:46:51,113 私 これから 川長の おてるさんに会いに行くんです。 553 00:46:51,113 --> 00:46:55,117 30振り袖にならないうちに いいご亭主 見つけなくちゃ。 554 00:46:55,117 --> 00:47:00,056 ねえ。 これから 一緒に 川長で ご飯でも食べません? 555 00:47:00,056 --> 00:47:03,059 おい。 失礼します。 556 00:47:03,059 --> 00:47:07,063 (おきく)ねえ。 金子 森田屋…。 557 00:47:07,063 --> 00:47:11,067 (おきく)ねえ 河内山の旦那。 おい! 558 00:47:11,067 --> 00:47:21,067 ・~ 559 00:47:28,084 --> 00:47:31,084 お~い お~い! 560 00:47:38,094 --> 00:47:41,097 駄目だ 駄目だって。 お~い! 561 00:47:41,097 --> 00:47:44,100 お… おい おい! 562 00:47:44,100 --> 00:47:46,100 (おきく)旦那! 563 00:47:57,046 --> 00:48:01,050 <森田屋を捕らえんと 遠山 金四郎が乗り出した> 564 00:48:01,050 --> 00:48:05,054 <証拠の品を巡って すりたちが名人芸を競ううちに・ 565 00:48:05,054 --> 00:48:08,057 奇想天外な河内山の活躍が 始まる> 566 00:48:08,057 --> 00:48:11,057 <次回 『痛快!河内山宗俊』に…>