1 00:-9:-33,-457 --> 00:-9:-29,-870 (喪黒福造(もぐろふくぞう)) 私の名は喪黒福造 2 00:-9:-29,-745 --> 00:-9:-27,-367 人呼んで 笑ゥせぇるすまん 3 00:-9:-27,-242 --> 00:-9:-24,-448 ただのセールスマンじゃ ございません 4 00:-9:-24,-323 --> 00:-9:-20,-569 私の取り扱う品物はココロ 5 00:-9:-20,-444 --> 00:-9:-17,-566 人間のココロでございます 6 00:-9:-15,-939 --> 00:-9:-10,-142 (喪黒の笑い声) 7 00:-9:-8,-515 --> 00:-9:-4,-803 (喪黒) この世は 老いも若きも 男も女も― 8 00:-9:-4,-511 --> 00:-9:-2,-384 ココロのさみしい人ばかり 9 00:-9:-2,-259 --> 00:-8:-58,-213 そんな皆さんのココロのスキマを お埋めいたします 10 00:-8:-58,-88 --> 00:-8:-54,-459 いいえ お金は一銭もいただきません 11 00:-8:-54,-334 --> 00:-8:-48,-120 お客様が満足されたら それが何よりの報酬でございます 12 00:-8:-47,-995 --> 00:-8:-45,-33 さて 今日のお客様は… 13 00:-8:-42,-239 --> 00:-8:-37,-568 ホーッホッホッホッホッ… 14 00:-8:-36,-400 --> 00:-8:-35,-65 (店主)ああ 中念(ちゅうねん)さん 15 00:-8:-34,-523 --> 00:-8:-32,-813 (中念宅次(たくじ)) おたくの目録に載ってた― 16 00:-8:-32,-688 --> 00:-8:-29,-184 手塚治虫(てづかおさむ)の「新人類フウムーン」 欲しいんだけど 17 00:-8:-29,-59 --> 00:-8:-25,-556 ああ 残念だったね あれはもう売れてしまいましたよ 18 00:-8:-25,-430 --> 00:-8:-24,-596 ええっ! 19 00:-8:-24,-12 --> 00:-8:-21,-385 (店主)あの別冊付録は あんまり出ないもので― 20 00:-8:-21,-260 --> 00:-8:-19,-633 すごく人気があってね 21 00:-8:-19,-299 --> 00:-8:-16,-296 そう… すぐ来ようと 思ったんだけど― 22 00:-8:-16,-171 --> 00:-8:-13,-585 どうしても 会社が抜けられなくて… 23 00:-8:-13,-460 --> 00:-8:-10,-124 そんなに がっかりしないでよ とっておきの1冊 見せるから 24 00:-8:-9,-998 --> 00:-8:-9,-164 ええっ? 25 00:-8:-8,-664 --> 00:-8:-6,-787 とっておきの1冊? 26 00:-8:-6,-662 --> 00:-8:-5,-202 (店主)これですよ これ 27 00:-8:-4,-660 --> 00:-8:-1,-740 (中念)ああっ! 「メトロポリス」の初版本! 28 00:-8:00,-906 --> 00:-7:-58,-278 これ 欲しかったんだ いっ いくら? 29 00:-7:-57,-736 --> 00:-7:-54,-691 まっ 中念さんは ウチの常連さんだから― 30 00:-7:-54,-566 --> 00:-7:-53,-315 30万円でいいですよ 31 00:-7:-52,-815 --> 00:-7:-48,-352 30万! うーん やっぱり それぐらいはするか… 32 00:-7:-47,-559 --> 00:-7:-44,-890 でも 今すぐ30万はな… 33 00:-7:-44,-389 --> 00:-7:-41,-261 (喪黒)この本 私に売っていただけませんか? 34 00:-7:-41,-136 --> 00:-7:-40,-302 わっ! 35 00:-7:-40,-177 --> 00:-7:-38,-175 ホーッホッホッホッ… 36 00:-7:-37,-716 --> 00:-7:-33,-670 消費税込みで30万9千円 キャッシュで 37 00:-7:-33,-504 --> 00:-7:-31,-335 ねえ お願いしますよ 38 00:-7:-31,-210 --> 00:-7:-29,-750 困ったな 39 00:-7:-29,-625 --> 00:-7:-26,-455 中念さん この方に譲ってあげていいですか? 40 00:-7:-25,-829 --> 00:-7:-23,-494 しっ 仕方ないじゃないですか 41 00:-7:-22,-576 --> 00:-7:-19,-531 (店主)すいませんね また埋め合わせしますから 42 00:-7:-18,-655 --> 00:-7:-17,-321 はあ… 43 00:-7:-14,-943 --> 00:-7:-12,-816 (喪黒) もしもし 中念さん 44 00:-7:-12,-691 --> 00:-7:-11,-857 えっ 45 00:-7:-9,-396 --> 00:-7:-7,-394 (喪黒)ホーッホッホッホッ (中念)うわあっ 46 00:-7:-5,-851 --> 00:-7:-3,-515 先ほどは失礼しました 47 00:-7:-3,-390 --> 00:-7:00,-721 (中念)いっ いいえ 別に あの… 僕 急ぎますので 48 00:-7:00,-596 --> 00:-6:-58,-510 まあまあ ちょっと待ってください 49 00:-6:-58,-385 --> 00:-6:-57,-176 なっ 何なんですか? 50 00:-6:-56,-800 --> 00:-6:-54,-298 実はさっき買った 「メトロポリス」ですが― 51 00:-6:-54,-173 --> 00:-6:-51,-628 あなたに差し上げたいと 思いまして 52 00:-6:-51,-503 --> 00:-6:-50,-461 ええっ? 53 00:-6:-49,-960 --> 00:-6:-46,-957 (喪黒)この本は 私より あなたが持っていたほうが― 54 00:-6:-46,-832 --> 00:-6:-44,-997 価値があると思うんです 55 00:-6:-44,-538 --> 00:-6:-39,-533 しかし 初めて会ったあなたから こんな高い本はもらえませんよ 56 00:-6:-38,-824 --> 00:-6:-35,-946 (喪黒) 実は私 あなたのような方の― 57 00:-6:-35,-821 --> 00:-6:-32,-443 ココロのスキマを お埋めする仕事をしているのです 58 00:-6:-32,-318 --> 00:-6:-29,-815 はあ? しかし どうして僕に… 59 00:-6:-29,-481 --> 00:-6:-27,-688 失礼ですが あなたのお年で― 60 00:-6:-27,-563 --> 00:-6:-24,-560 漫画のコレクションに 夢中になっているのも― 61 00:-6:-24,-435 --> 00:-6:-21,-390 さみしさを紛らわすためじゃ ないんですか? 62 00:-6:-21,-265 --> 00:-6:-18,-637 いやあ 違いますよ 63 00:-6:-18,-512 --> 00:-6:-15,-50 実は僕 若い時 漫画家志望だったんです 64 00:-6:-14,-925 --> 00:-6:-14,-91 ほう 65 00:-6:-13,-882 --> 00:-6:-11,-297 でも いろいろな事情で かなえられず― 66 00:-6:-11,-171 --> 00:-6:-8,-127 平凡なサラリーマンになったんです 67 00:-6:-7,-418 --> 00:-6:-4,-248 それが1年前 あの店に ふらりと入り― 68 00:-6:-4,-123 --> 00:-6:00,-869 懐かしい別冊付録の漫画を 1冊 買ったことから― 69 00:-6:00,-744 --> 00:-5:-58,-117 急に昔を思い出したんです 70 00:-5:-57,-700 --> 00:-5:-52,-695 (喪黒)昭和20年代後半から 30年代にかけての少年雑誌には― 71 00:-5:-52,-569 --> 00:-5:-49,-775 別冊付録が 何冊もついていました 72 00:-5:-49,-650 --> 00:-5:-47,-314 (中念) ええ その漫画付録が― 73 00:-5:-47,-189 --> 00:-5:-44,-228 現在 古本として 高い価値がついているんです 74 00:-5:-43,-352 --> 00:-5:-39,-765 特に手塚治虫のものは 別格の扱いを受けていますね 75 00:-5:-39,-431 --> 00:-5:-36,-720 僕はもう それ以来 病みつきになって― 76 00:-5:-36,-595 --> 00:-5:-33,-550 昔の古い漫画のコレクションに 凝りだしたんですよ 77 00:-5:-33,-300 --> 00:-5:-30,-05 それにしても あなた 結婚なさってるんでしょ? 78 00:-5:-29,-880 --> 00:-5:-27,-586 よく奥さんが許してくれますね 79 00:-5:-27,-461 --> 00:-5:-24,-541 いやあ 女房は大反対ですよ 80 00:-5:-24,-416 --> 00:-5:-21,-580 だから今は 内緒で集めているんです 81 00:-5:-21,-372 --> 00:-5:-18,-452 男が遊びや趣味に 溺れる気持ちは― 82 00:-5:-18,-327 --> 00:-5:-15,-574 女の人には分からないんですよね 83 00:-5:-14,-573 --> 00:-5:-12,-237 どうぞ その本 もらってくださいな 84 00:-5:-12,-112 --> 00:-5:-9,-68 (中念) ええっ… そっ そうですか? 85 00:-5:-8,-525 --> 00:-5:-5,-856 ああ ゾクゾクしてくる 86 00:-5:-5,-731 --> 00:-5:-2,-978 喪黒さん この本 遠慮なくいただきます 87 00:-5:-2,-853 --> 00:-5:00,-309 僕のコレクションの 目玉にさせてもらいますよ 88 00:-5:00,-142 --> 00:-4:-57,-97 喜んでいただければ幸いです 89 00:-4:-56,-972 --> 00:-4:-55,-304 ただし 中念さん 90 00:-4:-54,-762 --> 00:-4:-51,-300 何事も ほどほどが肝要ですからね 91 00:-4:-51,-133 --> 00:-4:-48,-47 えっ… ええ 分かってますよ 92 00:-4:-41,-582 --> 00:-4:-40,-372 はあ… 93 00:-4:-39,-788 --> 00:-4:-37,-369 うん? よしっと… 94 00:-4:-33,-991 --> 00:-4:-32,-698 あああ… 95 00:-4:-28,-110 --> 00:-4:-27,-192 うーん 96 00:-4:-27,-67 --> 00:-4:-25,-274 (中念の妻)あなたっ! (中念)うわっ 97 00:-4:-23,-230 --> 00:-4:-20,-519 (喪黒)中念さん あの本 気に入っていただけました? 98 00:-4:-20,-394 --> 00:-4:-17,-308 ええ ホントに ありがとうございました 99 00:-4:-17,-57 --> 00:-4:-13,-596 ただ あの本が女房に 見つかってしまいましてね 100 00:-4:-13,-220 --> 00:-4:-11,-135 ほうほう それで? 101 00:-4:-11,-10 --> 00:-4:-9,-174 もらったんだと いくら言っても― 102 00:-4:-9,-49 --> 00:-4:-6,-630 信用してもらえないので 困りましたよ 103 00:-4:-5,-337 --> 00:-4:-2,-418 (妻) こんなもの 見ず知らずの人が くれるわけないでしょ 104 00:-4:-2,-293 --> 00:-4:00,-833 一体 いくら払ったの? 105 00:-4:00,-541 --> 00:-3:-59,-165 (中念) たっ 大したことないさ 106 00:-3:-59,-39 --> 00:-3:-57,-580 (妻) だから いくら使ったのよ! 107 00:-3:-57,-454 --> 00:-3:-56,-495 (中念) ごっ… 5,000円… 108 00:-3:-56,-370 --> 00:-3:-54,-76 (妻) んまっ! 5,000円も? 109 00:-3:-53,-951 --> 00:-3:-50,-406 5,000円あったら お米が 何キロ買えると思ってるの? 110 00:-3:-50,-197 --> 00:-3:-46,-861 ホーッホッホッホッ… 111 00:-3:-46,-735 --> 00:-3:-42,-940 そりゃ大変でしたね しかし 5,000円とは… 112 00:-3:-42,-648 --> 00:-3:-40,-437 5,000円でさえ ギャーギャー言うのに― 113 00:-3:-40,-312 --> 00:-3:-37,-601 30万なんて言ったら ひっくり返りますよ 114 00:-3:-37,-476 --> 00:-3:-36,-225 そうでしょうね 115 00:-3:-35,-266 --> 00:-3:-31,-595 中念さん 今日はあなたに 見てもらいたい本がありましてね 116 00:-3:-31,-470 --> 00:-3:-30,-636 えっ? 117 00:-3:-30,-511 --> 00:-3:-26,-590 (喪黒) 古本として価値があるかどうか 判断してほしいのです 118 00:-3:-26,-465 --> 00:-3:-25,-548 はあ 119 00:-3:-25,-256 --> 00:-3:-22,-837 (喪黒)これなんですが… 120 00:-3:-22,-211 --> 00:-3:-18,-624 「最後のユートピア」? うん? 121 00:-3:-18,-499 --> 00:-3:-15,-412 どうです? その本 価値がありますか? 122 00:-3:-14,-912 --> 00:-3:-12,-326 こっ この本は初めて見ました 123 00:-3:-12,-201 --> 00:-3:-9,-698 でも… ずいぶん古い物のようですね 124 00:-3:-9,-156 --> 00:-3:-6,-445 昭和29年発行と書いてあります 125 00:-3:-6,-320 --> 00:-3:-2,-858 私の田舎の蔵の中から 出てきたもんなのですが― 126 00:-3:-2,-733 --> 00:-3:00,-815 あなたなら その漫画家のことも― 127 00:-3:00,-689 --> 00:-2:-57,-728 知ってるんじゃないかと 思いましてね 128 00:-2:-57,-561 --> 00:-2:-56,-727 うーん… 129 00:-2:-55,-893 --> 00:-2:-54,-266 足塚夢四雄(あしづかむしお) 130 00:-2:-54,-141 --> 00:-2:-52,-139 聞いたことがありませんね 131 00:-2:-52,-14 --> 00:-2:-48,-52 手塚治虫に憧れた 新人漫画家の ペンネームのようですね 132 00:-2:-47,-927 --> 00:-2:-44,-757 喪黒さん この本 私に しばらく貸してもらえれば― 133 00:-2:-44,-632 --> 00:-2:-43,-547 調べてみますが 134 00:-2:-43,-422 --> 00:-2:-40,-669 ぜひ お願いします 135 00:-2:-39,-668 --> 00:-2:-37,-875 (店主) まっ 間違いないよ 136 00:-2:-37,-333 --> 00:-2:-34,-455 当時 1,000部か2,000部しか 印刷されなかったため― 137 00:-2:-34,-330 --> 00:-2:-32,-369 現在 残っているのは1冊か2冊 138 00:-2:-32,-244 --> 00:-2:-31,-410 (中念)ええっ? 139 00:-2:-30,-951 --> 00:-2:-27,-740 ファンの間では 幻の作品と呼ばれています 140 00:-2:-27,-615 --> 00:-2:-26,-447 そっ それで― 141 00:-2:-26,-322 --> 00:-2:-24,-195 値段をつけるとしたら 一体 いくらぐらいですか? 142 00:-2:-23,-903 --> 00:-2:-18,-981 そうね… 恐らく 200万か300万 というところですか… 143 00:-2:-18,-689 --> 00:-2:-16,-270 ええっ! 200万か300万? 144 00:-2:-15,-686 --> 00:-2:-12,-266 何しろ 市場に一度も 出たことがないもんですからね 145 00:-2:-11,-891 --> 00:-2:-8,-679 手塚治虫のデビュー作 「新宝島」と同じか― 146 00:-2:-8,-554 --> 00:-2:-7,-344 あるいは それ以上でしょう 147 00:-2:-7,-219 --> 00:-2:-6,-10 はああ… 148 00:-2:-3,-966 --> 00:-2:-2,-298 (喪黒)中念さん 149 00:-2:-2,-173 --> 00:-2:-1,-46 えっ? 150 00:-1:-58,-794 --> 00:-1:-56,-584 (喪黒)ホーッホッホッホッ (中念)うわあっ 151 00:-1:-55,-207 --> 00:-1:-52,-663 私がお貸しした 「最後のユートピア」― 152 00:-1:-52,-538 --> 00:-1:-50,-953 鑑定していただけたでしょうか? 153 00:-1:-50,-828 --> 00:-1:-49,-326 (中念) えっ ええ まあ… 154 00:-1:-49,-201 --> 00:-1:-47,-742 それで どうでした? 155 00:-1:-47,-616 --> 00:-1:-44,-155 あっ あの… うーん 156 00:-1:-42,-778 --> 00:-1:-40,-192 (店主)200万か300万! 157 00:-1:-39,-608 --> 00:-1:-34,-437 現在 残っているのは1冊か2冊! 手塚治虫のデビュー作以上! 158 00:-1:-32,-143 --> 00:-1:-28,-13 (中念)こっ この本は 昔の単なる古本でした 159 00:-1:-27,-847 --> 00:-1:-26,-637 ホーッホッホッ 160 00:-1:-26,-512 --> 00:-1:-22,-550 もしかしたら とんでもない 掘り出し物かと思ったんですがね 161 00:-1:-22,-91 --> 00:-1:-19,-338 ざっ… 残念です 162 00:-1:-19,-88 --> 00:-1:-15,-84 喪黒さん なんなら この本 僕が買ってもいいですけど! 163 00:-1:-14,-792 --> 00:-1:-12,-123 いくらでですか? 中念さん 164 00:-1:-11,-872 --> 00:-1:-10,-162 そっ そうですね… 165 00:-1:-9,-370 --> 00:-1:-7,-243 5千円… いや 1万円 166 00:-1:-6,-867 --> 00:-1:-4,-865 (喪黒)1万円ね 167 00:-1:-4,-740 --> 00:-1:-1,-904 (中念) うーん… それじゃあ 2万円 168 00:-1:-1,-654 --> 00:00:-58,-442 いや 思いきって 3万円でどうでしょう? 169 00:00:-58,-317 --> 00:00:-55,-981 ホーッホッホッホッ… 170 00:00:-55,-856 --> 00:00:-51,-727 中念さん ゼロが2つほど 足りないんじゃないですか? 171 00:00:-51,-602 --> 00:00:-48,-683 私は知ってるんですよ その本の価値を 172 00:00:-48,-557 --> 00:00:-45,-554 (中念) えっ いや… ぼっ 僕は… 173 00:00:-45,-388 --> 00:00:-43,-386 あなたがウソさえつかなければ― 174 00:00:-43,-260 --> 00:00:-40,-91 その本をプレゼントしようと 思っていたのに 175 00:00:-39,-965 --> 00:00:-37,-672 ホント 残念です 176 00:00:-37,-546 --> 00:00:-34,-710 ドーン!! 177 00:00:-34,-585 --> 00:00:-32,-208 うわああーっ! 178 00:00:-31,-707 --> 00:00:-28,-829 (中念) あーっ 僕の漫画コレクション どうした? 179 00:00:-28,-704 --> 00:00:-25,-451 (妻)ああ 古本回収に全部 引き取ってもらいましたよ 180 00:00:-25,-326 --> 00:00:-24,-283 (中念) なっ なんだって? 181 00:00:-24,-158 --> 00:00:-21,-364 (妻)トイレットペーパー 段ボール 1杯分もくれたのよ 182 00:00:-21,-238 --> 00:00:-18,-694 (中念) おっ お前 僕の大切な コレクションを! 183 00:00:-18,-569 --> 00:00:-16,-817 (妻) あなたも いい年なんだから― 184 00:00:-16,-692 --> 00:00:-14,-106 漫画なんて卒業したほうが いいと思って 185 00:00:-13,-981 --> 00:00:-9,-769 (中念)クーッ… 186 00:00:-9,-602 --> 00:00:-8,-100 (喪黒)君 君っ (少年)えっ? 187 00:00:-7,-975 --> 00:00:-6,-223 (喪黒)塾の帰りですか? 188 00:00:-6,-98 --> 00:00:-5,-264 (少年)うん 189 00:00:-4,-847 --> 00:00:00,-343 (喪黒) 勉強の合間の気晴らしに この漫画 プレゼントしましょ 190 00:00:00,-51 --> 00:00:01,659 ホント? おじさん サンキュー 191 00:00:01,785 --> 00:00:03,411 (喪黒)いえいえ 192 00:00:03,536 --> 00:00:06,331 どんな貴重なコレクションも― 193 00:00:06,331 --> 00:00:06,664 どんな貴重なコレクションも― 194 00:00:06,331 --> 00:00:06,664 (中念の叫び声) 195 00:00:06,664 --> 00:00:06,790 (中念の叫び声) 196 00:00:06,790 --> 00:00:08,583 (中念の叫び声) 197 00:00:06,790 --> 00:00:08,583 興味のない人には 何の価値もないんですね 198 00:00:08,583 --> 00:00:10,960 興味のない人には 何の価値もないんですね 199 00:00:11,086 --> 00:00:14,506 猫に小判 豚に真珠 200 00:00:14,631 --> 00:00:18,426 私にピチピチギャル なーんちゃって 201 00:00:18,551 --> 00:00:23,807 ホーッホッホッホッホッ… 202 00:00:25,892 --> 00:00:29,854 (喪黒) この世は 老いも若きも 男も女も― 203 00:00:29,979 --> 00:00:32,148 ココロのさみしい人ばかり 204 00:00:32,273 --> 00:00:33,274 そんな皆さんのココロのスキマを お埋めいたします 205 00:00:33,274 --> 00:00:36,277 そんな皆さんのココロのスキマを お埋めいたします 206 00:00:33,274 --> 00:00:36,277 (少年)よーし いくぞ それ! 207 00:00:36,277 --> 00:00:36,402 (少年)よーし いくぞ それ! 208 00:00:36,402 --> 00:00:37,153 (少年)よーし いくぞ それ! 209 00:00:36,402 --> 00:00:37,153 いいえ お金は一銭もいただきません 210 00:00:37,153 --> 00:00:37,612 いいえ お金は一銭もいただきません 211 00:00:37,612 --> 00:00:39,697 いいえ お金は一銭もいただきません 212 00:00:37,612 --> 00:00:39,697 (賀来(がき)) オーライ オーライ 213 00:00:40,115 --> 00:00:42,492 お客様が満足されたら― 214 00:00:42,617 --> 00:00:46,412 それが何よりの 報酬でございます 215 00:00:46,538 --> 00:00:49,040 さて 今日のお客様は… 216 00:00:52,752 --> 00:00:57,507 ホーッホッホッホッホッ… 217 00:00:59,384 --> 00:01:04,389 (賀来大将(ひろまさ)) あんなにたくさんあった空き地も ここが最後になっちまったな 218 00:01:04,639 --> 00:01:06,850 地価高騰のあおりか… 219 00:01:07,142 --> 00:01:10,812 (子供たちの笑い声) 220 00:01:12,147 --> 00:01:13,773 (ブルドーザーの音) (賀来)ああっ… 221 00:01:15,859 --> 00:01:18,194 ああっ… 222 00:01:20,613 --> 00:01:22,323 あっ あの土管は… 223 00:01:24,367 --> 00:01:27,787 (賀来)よーし ここを 俺の宝の隠し場所にしようっと 224 00:01:31,499 --> 00:01:33,710 やめろーっ! 225 00:01:34,252 --> 00:01:35,795 やめてくれーっ! 226 00:01:37,088 --> 00:01:38,673 何なんだ 邪魔すんなっ! 227 00:01:38,798 --> 00:01:41,175 ここは僕の心のふるさとなんだ 228 00:01:41,801 --> 00:01:43,761 何 寝ぼけたこと言ってやがんだ 229 00:01:43,887 --> 00:01:45,263 ふざけた野郎だな 230 00:01:45,388 --> 00:01:46,222 やっちまえ 231 00:01:46,347 --> 00:01:47,765 おうよ 232 00:01:49,100 --> 00:01:50,393 うわわわっ… 233 00:01:50,518 --> 00:01:52,020 ヒエーッ 234 00:01:52,395 --> 00:01:57,650 お助けーっ! ヒイイイッ… 235 00:01:57,775 --> 00:01:59,027 (男性たち)ああーっ… 236 00:01:59,360 --> 00:02:03,489 ヒイイッ… あっ あっ あああーっ! 237 00:02:10,121 --> 00:02:12,498 ぐああっ 助けてっ! 238 00:02:17,211 --> 00:02:20,173 ぐああっ イチチッ… 239 00:02:20,298 --> 00:02:21,966 (喪黒) ホーッホッホッホッ 240 00:02:22,091 --> 00:02:22,926 ああっ 241 00:02:23,051 --> 00:02:26,346 いやあ スカっとしましたな 242 00:02:28,181 --> 00:02:30,350 あっ… あなたは一体… 243 00:02:30,642 --> 00:02:31,935 エヘッ 244 00:02:33,645 --> 00:02:37,565 申し遅れましたが 私 こういう者です 245 00:02:37,690 --> 00:02:38,524 (賀来)はあ… 246 00:02:38,650 --> 00:02:41,152 あなたような方の ココロの空き地… 247 00:02:41,277 --> 00:02:45,531 あっ いや ココロのスキマを お埋めするのが 私の仕事なんです 248 00:02:45,657 --> 00:02:46,824 (賀来)へえー 249 00:02:47,116 --> 00:02:50,954 しかし 昔はどこにでも 空き地があったもんです 250 00:02:51,162 --> 00:02:55,458 まったく 三角ベースをやったり ベーゴマをやったり― 251 00:02:55,583 --> 00:02:57,585 宝探しってのも ありましたな 252 00:02:57,710 --> 00:02:58,920 ああ そうそう 253 00:02:59,712 --> 00:03:04,050 ビー玉やメンコ 大人から見れば 何の価値もないガラクタ… 254 00:03:04,175 --> 00:03:08,513 それらは 私たち子供にとって 何よりの宝物でした 255 00:03:10,640 --> 00:03:13,685 それを空き地の 秘密の場所に隠して― 256 00:03:13,810 --> 00:03:16,813 ひそかに心を躍らせたものです 257 00:03:16,938 --> 00:03:20,984 地方の人々がふるさとを 思い出すように… 258 00:03:24,070 --> 00:03:28,992 僕ら 都会育ちの者には 空き地こそ 心のふるさとなのです 259 00:03:29,534 --> 00:03:31,869 しかし それも今や 都市の再開発で― 260 00:03:31,995 --> 00:03:33,371 消えようとしています 261 00:03:33,496 --> 00:03:35,540 お気持ちは分かります 262 00:03:35,665 --> 00:03:38,835 少年時代の思い出を 大事になさる あなたに 263 00:03:38,960 --> 00:03:40,336 うわっ 264 00:03:40,461 --> 00:03:43,506 とっておきの空き地を ご案内いたしましょう 265 00:03:43,673 --> 00:03:45,967 えっ えっ… どこです? 266 00:03:46,092 --> 00:03:50,596 (喪黒)明日 昼休みに 西口公園でお待ちしてますよ 267 00:04:02,442 --> 00:04:03,276 (正午のチャイム) 268 00:04:03,401 --> 00:04:06,946 はーっ… 午前中の仕事は片づいたな 269 00:04:07,071 --> 00:04:07,905 さてと 270 00:04:08,448 --> 00:04:10,366 お待ちしておりましたよ 271 00:04:10,783 --> 00:04:12,368 では早速 参りましょうか 272 00:04:12,493 --> 00:04:13,661 (賀来)はあ 273 00:04:15,621 --> 00:04:17,707 こんな場所に 空き地があるんですか? 274 00:04:17,832 --> 00:04:20,209 とっくに 開発されつくしたはずですが… 275 00:04:20,334 --> 00:04:22,754 それが あるんですよ 276 00:04:23,129 --> 00:04:24,964 このビルの中に 277 00:04:25,173 --> 00:04:29,927 ええっ? 喪黒さん いくら広くても こんな所は空き地とは言えませんよ 278 00:04:30,094 --> 00:04:32,638 (喪黒) ホッホッホッ この上です 279 00:04:32,764 --> 00:04:34,307 (賀来)おっ おっと… 280 00:04:45,777 --> 00:04:47,236 はい 着きましたよ 281 00:04:47,362 --> 00:04:48,863 んなっ! 282 00:04:49,030 --> 00:04:53,618 ああっ… あああーっ… 283 00:04:59,999 --> 00:05:05,838 (喪黒) ここは 童心を忘れていない人なら 誰でも入れる空き地です 284 00:05:05,963 --> 00:05:08,841 ただし 大人の世界の 汚(けが)れたものだけは― 285 00:05:08,966 --> 00:05:10,885 持ち込んではいけません 286 00:05:13,012 --> 00:05:15,348 (賀来) 大人の世界の汚れたもの? 287 00:05:19,894 --> 00:05:21,604 こっ… これは? 288 00:05:21,729 --> 00:05:24,399 ここで遊ぶ人は この子供服に着替え― 289 00:05:24,524 --> 00:05:27,568 身も心も子供に かえっていただくのです 290 00:05:27,693 --> 00:05:28,986 はあ… 291 00:05:32,240 --> 00:05:33,574 (賀来) わたっ… 私は… 292 00:05:33,699 --> 00:05:36,661 さあ 早く仲間に入れてもらいなさい 293 00:05:36,786 --> 00:05:42,291 (大人子供の遊んでいる声) 294 00:05:42,542 --> 00:05:46,629 アハッ アハハハハッ… 295 00:05:46,754 --> 00:05:52,009 缶けりやる者 この指 止ーまれっ! 296 00:05:52,385 --> 00:05:54,429 (大人子供たち)あーっ! 297 00:05:54,554 --> 00:05:56,389 (缶をける音) 298 00:05:56,514 --> 00:05:59,350 (大人子供たちの遊んでいる声) 299 00:06:00,935 --> 00:06:03,479 俺の宝物の 隠し場所だ 300 00:06:03,604 --> 00:06:04,647 (物音) うん あっ… 301 00:06:07,233 --> 00:06:08,901 (2人)うわっ! 302 00:06:09,026 --> 00:06:10,862 (志津(しづ)) あっ ごめんなさい 303 00:06:10,987 --> 00:06:13,656 私 志津 一緒に隠れてもいい? 304 00:06:13,781 --> 00:06:15,575 いいよ 僕 賀来 305 00:06:16,617 --> 00:06:18,786 狭くなっちゃって ごめんなさい 306 00:06:18,995 --> 00:06:21,789 いっ いいよ もっとこっちにおいでよ 307 00:06:21,914 --> 00:06:23,499 外から見えちゃうよ 308 00:06:24,667 --> 00:06:25,501 ありがとう 309 00:06:25,626 --> 00:06:27,670 (賀来)エへッ エヘヘッ 310 00:06:29,005 --> 00:06:30,339 (鼻歌) 311 00:06:50,443 --> 00:06:52,653 (バーのママ)もう やーだーっ 312 00:06:55,406 --> 00:06:57,116 (賀来) 子供にかえった目で見ると― 313 00:06:57,241 --> 00:06:59,869 大人って バカバカしいことをしてるもんだな 314 00:07:00,620 --> 00:07:04,916 早く帰って また明日 あの空き地へ行こう フフフッ… 315 00:07:05,041 --> 00:07:09,378 (女性) ねえ 5千円ポッキリでいいから 私と遊んでいきません? 316 00:07:09,504 --> 00:07:12,131 放してくれ 僕は… あっ 317 00:07:12,632 --> 00:07:13,591 きっ 君は… 318 00:07:13,716 --> 00:07:14,842 ハッ 319 00:07:15,635 --> 00:07:16,802 しっ 志津ちゃん 320 00:07:18,095 --> 00:07:21,724 (志津) ううっ 私のこと 軽蔑したでしょ? 321 00:07:21,849 --> 00:07:24,769 (賀来)そっ そんな… 何か事情があるんだろ? 322 00:07:25,019 --> 00:07:26,979 (志津) ううっ… お父さんが― 323 00:07:27,104 --> 00:07:32,109 病気の母と幼い弟を 置き去りにして 蒸発しちゃったの 324 00:07:32,235 --> 00:07:36,697 それで 私 お父さんの残した 借金を返すために… うわーん 325 00:07:37,615 --> 00:07:40,451 働きづめで ストレスのたまった私に― 326 00:07:40,576 --> 00:07:43,120 喪黒さんが あの空き地を 紹介してくれたんです 327 00:07:43,246 --> 00:07:44,705 (賀来)志津ちゃん… 328 00:07:45,456 --> 00:07:46,874 (志津)賀来さん… 329 00:07:46,999 --> 00:07:50,336 (賀来) 僕がなんとかするよ 僕が… 330 00:08:02,056 --> 00:08:05,142 (賀来) これも志津ちゃんのためだ 331 00:08:14,694 --> 00:08:17,613 ハア ハア… うっ? ああっ 332 00:08:20,741 --> 00:08:22,326 うっ… 333 00:08:22,702 --> 00:08:24,829 あなたは童心を忘れ― 334 00:08:24,954 --> 00:08:28,541 大人の世界の汚れたものを ここに持ち込みましたね? 335 00:08:28,666 --> 00:08:29,792 何のことです? 336 00:08:29,917 --> 00:08:31,502 とぼけてもダメです 337 00:08:31,627 --> 00:08:34,714 あなたはもう この空き地を訪れる 資格はありません 338 00:08:34,839 --> 00:08:37,425 あああーっ… 339 00:08:37,550 --> 00:08:39,802 ドーン!! 340 00:08:39,927 --> 00:08:42,805 (賀来)ぴいいいーっ! 341 00:08:51,522 --> 00:08:52,982 あっ あれ? 342 00:08:53,190 --> 00:08:54,692 あっ… 343 00:08:55,860 --> 00:08:57,153 あの土管は… 344 00:08:57,528 --> 00:08:58,529 やめろ! 345 00:08:58,654 --> 00:09:00,323 やめてくれ! 346 00:09:00,531 --> 00:09:03,993 その中には金が入ってるんだ! 347 00:09:04,118 --> 00:09:05,953 やめろーっ 348 00:09:19,383 --> 00:09:22,386 (志津) あら 1万円札だわ 349 00:09:22,595 --> 00:09:25,473 よせよ ベイビー そんな汚いの 350 00:09:25,598 --> 00:09:28,851 金なら僕が いくらでもあげるよ 351 00:09:29,644 --> 00:09:33,314 (志津)フフフフッ そうね フフフフッ… 352 00:09:34,565 --> 00:09:38,611 (喪黒) 都会の汚れの中で生きている 大人たちにとって― 353 00:09:38,736 --> 00:09:43,032 童心を取り戻すなんて できっこありませんね 354 00:09:46,661 --> 00:09:50,956 私も賀来さんのココロの空き地を 埋められなくて― 355 00:09:51,082 --> 00:09:53,417 ホント 残念です 356 00:09:53,542 --> 00:09:58,923 ホーッホッホッホッホッ…