1 00:-9:-34,-415 --> 00:-9:-30,-828 (喪黒福造(もぐろふくぞう)) 私の名は喪黒福造 2 00:-9:-30,-703 --> 00:-9:-28,-326 人呼んで 笑ゥせぇるすまん 3 00:-9:-28,-201 --> 00:-9:-25,-448 ただのセールスマンじゃ ございません 4 00:-9:-25,-323 --> 00:-9:-21,-611 私の取り扱う品物はココロ 5 00:-9:-21,-485 --> 00:-9:-18,-107 人間のココロでございます 6 00:-9:-16,-856 --> 00:-9:-11,-17 (喪黒の笑い声) 7 00:-9:-8,-14 --> 00:-9:-4,-135 (喪黒) この世は 老いも若きも 男も女も― 8 00:-9:-4,-10 --> 00:-9:-2,-08 ココロのさみしい人ばかり 9 00:-9:-1,-883 --> 00:-8:-57,-795 そんな皆さんのココロのスキマを お埋めいたします 10 00:-8:-57,-670 --> 00:-8:-54,-41 いいえ お金は一銭もいただきません 11 00:-8:-53,-916 --> 00:-8:-51,-706 お客様が満足されたら― 12 00:-8:-51,-581 --> 00:-8:-47,-535 それが何よりの 報酬でございます 13 00:-8:-47,-410 --> 00:-8:-44,-657 さて 今日のお客様は… 14 00:-8:-43,-239 --> 00:-8:-38,-317 ホーッホッホッホッホッ… 15 00:-8:-38,-109 --> 00:-8:-36,-732 (ドアが開く音) 16 00:-8:-36,-607 --> 00:-8:-35,-22 (宇佐木生士(うさぎおいし))ただいまーっ 17 00:-8:-34,-897 --> 00:-8:-33,-354 (宇佐木の妻)おかえりなさい 18 00:-8:-33,-20 --> 00:-8:-29,-142 なっ なんだ こりゃあ 俺の布団じゃないか 19 00:-8:-28,-766 --> 00:-8:-26,-222 あなた 今夜から ここで寝てくれます? 20 00:-8:-26,-97 --> 00:-8:-24,-428 (宇佐木) なっ なんだって? 21 00:-8:-23,-52 --> 00:-8:-19,-674 (宇佐木)いや 実は… 娘が初潮を迎えてね 22 00:-8:-19,-215 --> 00:-8:-17,-839 (友人)ほう 23 00:-8:-17,-88 --> 00:-8:-15,-711 そいつはめでたい 24 00:-8:-15,-586 --> 00:-8:-13,-835 ところが女房の奴― 25 00:-8:-13,-709 --> 00:-8:-10,-456 “娘を息子と同じ部屋に 寝かせられない”って言うんだ 26 00:-8:-9,-872 --> 00:-8:-6,-744 (友人) それで夫婦の寝室を 明け渡したのか 27 00:-8:-6,-619 --> 00:-8:-4,-867 2DKじゃな… 28 00:-8:-4,-742 --> 00:-8:-1,-489 ローンは減らないのに 子供ばっかり大きくなって 29 00:-8:00,-988 --> 00:-7:-55,-983 その気になれば十分な広さの 部屋が手に入りますよ 30 00:-7:-55,-858 --> 00:-7:-55,-24 えっ… えっ? 31 00:-7:-54,-399 --> 00:-7:-50,-895 例えば 過疎村と言われるような所には― 32 00:-7:-50,-770 --> 00:-7:-49,-102 空き家がゴロゴロしてます 33 00:-7:-48,-976 --> 00:-7:-45,-515 あん? そりゃ よっぽどの田舎でしょう 34 00:-7:-45,-389 --> 00:-7:-43,-96 思いきって田舎に住むべきですよ 35 00:-7:-42,-512 --> 00:-7:-39,-967 お子さんたちは のびのび育てるべきです 36 00:-7:-39,-842 --> 00:-7:-36,-923 (宇佐木) しかし そんな遠くから 通勤なんて… 37 00:-7:-36,-798 --> 00:-7:-31,-42 あなただけ東京に仮住まいして 週末に帰ればいいじゃありませんか 38 00:-7:-30,-917 --> 00:-7:-26,-287 どうせ今だって 休日以外 子供たちと顔合わせないんでしょう 39 00:-7:-26,-162 --> 00:-7:-23,-910 たっ 確かにそうですが… 40 00:-7:-23,-493 --> 00:-7:-20,-990 何しろ環境は抜群 41 00:-7:-20,-865 --> 00:-7:-18,-696 そのうえ家賃はタダ同然で― 42 00:-7:-18,-571 --> 00:-7:-17,-278 広いウチに住めるのです 43 00:-7:-17,-153 --> 00:-7:-16,-194 あなたは 一体… 44 00:-7:-15,-693 --> 00:-7:-12,-982 (喪黒) 私 こういう者です 45 00:-7:-11,-898 --> 00:-7:-10,-146 不動産関係の方ですか? 46 00:-7:-10,-21 --> 00:-7:-8,-61 いえ ボランティアです 47 00:-7:-7,-935 --> 00:-7:-4,-766 よい不動産屋さんを ご紹介しますから 48 00:-7:-4,-182 --> 00:-7:-2,-180 一度 訪ねてみてください 49 00:-7:-2,-55 --> 00:-6:-59,-719 (汁をすする音) 50 00:-6:-45,-371 --> 00:-6:-44,-454 ハア… 51 00:-6:-39,-949 --> 00:-6:-37,-572 (子供たち) わーっ アッハッハッ… 52 00:-6:-37,-447 --> 00:-6:-35,-778 まるで野中の一軒家だな 53 00:-6:-35,-653 --> 00:-6:-33,-359 (不動産屋) だから 静かでよかんべえ 54 00:-6:-32,-483 --> 00:-6:-29,-647 マンションで隣近所と 鼻 突き合わせてるより― 55 00:-6:-29,-522 --> 00:-6:-27,-895 ずっといいわ 56 00:-6:-27,-770 --> 00:-6:-26,-185 しかし こう 何にもないとな 57 00:-6:-26,-60 --> 00:-6:-23,-933 そっだらことは ねえよ 58 00:-6:-23,-808 --> 00:-6:-21,-264 ちいと遠いが 学校も診療所もあるだに 59 00:-6:-21,-139 --> 00:-6:-20,-179 なら安心ね 60 00:-6:-19,-762 --> 00:-6:-16,-467 なーにしろ この家は 庄屋の家でえな 61 00:-6:-16,-09 --> 00:-6:-13,-172 その昔 この地で軍の演習の途中― 62 00:-6:-13,-47 --> 00:-6:-8,-960 雨に降られた明治天皇が この家で雨宿りなすったそうな 63 00:-6:-8,-835 --> 00:-6:-6,-165 あらーっ まあ ステキ! 64 00:-6:-5,-456 --> 00:-6:-4,-122 (宇佐木の娘)広くてステキよ 65 00:-6:-3,-997 --> 00:-6:-1,-661 (宇佐木の息子)ウチん中で キャッチボールができるよ! 66 00:-6:-1,-285 --> 00:-5:-57,-407 まあ いろりがあるわ トラッドね 67 00:-5:-56,-781 --> 00:-5:-54,-195 (不動産屋)ああ そりからなあ (宇佐木)はっ? 68 00:-5:-53,-778 --> 00:-5:-51,-317 あっちの谷には 行かんほうがいいよ 69 00:-5:-51,-192 --> 00:-5:-49,-774 何かあるんですか? 70 00:-5:-49,-649 --> 00:-5:-44,-560 (不動産屋) よーく 霧がかかるから 迷いやすいんだなあ こりがよ 71 00:-5:-44,-435 --> 00:-5:-38,-638 ♪「かごめかごめ」 72 00:-5:-26,-834 --> 00:-5:-23,-498 (宇佐木)正直 言って 最初は がっかりしましたが― 73 00:-5:-23,-373 --> 00:-5:-21,-79 女房や子供たちが 気に入ったようなので― 74 00:-5:-20,-954 --> 00:-5:-18,-868 思いきって借りることにしました 75 00:-5:-17,-951 --> 00:-5:-14,-30 その代わり 私だけは 元のマンションから会社に通い― 76 00:-5:-13,-905 --> 00:-5:-10,-735 家族のところへは 週末にしか帰れません 77 00:-5:-10,-193 --> 00:-5:-5,-980 しかし 最近は我が家へ帰るのが とても待ちどおしくなりました 78 00:-5:-5,-63 --> 00:-5:-2,-60 喪黒さん 本当に ありがとうございました 79 00:-5:-1,-517 --> 00:-4:-59,-265 家族のあんな イキイキとした顔― 80 00:-4:-59,-140 --> 00:-4:-57,-96 今まで 一度も 見たことありませんでした 81 00:-4:-56,-971 --> 00:-4:-55,-470 そりゃよかったですな 82 00:-4:-54,-385 --> 00:-4:-51,-674 (宇佐木) しかし 私はしんどいんですよ 83 00:-4:-51,-549 --> 00:-4:-49,-631 あっちの家と こっちのマンションじゃ― 84 00:-4:-49,-505 --> 00:-4:-47,-337 生活環境が違いすぎますから 85 00:-4:-46,-252 --> 00:-4:-43,-791 まっ 早く慣れることですな 86 00:-4:-43,-333 --> 00:-4:-38,-161 仕事があんなにハードでなければ 毎日 帰りたいとこですが 87 00:-4:-37,-577 --> 00:-4:-36,-367 (課長)宇佐木君 88 00:-4:-36,-242 --> 00:-4:-35,-325 はっ はい 89 00:-4:-34,-949 --> 00:-4:-33,-31 (課長) この計画書につける資料を― 90 00:-4:-32,-906 --> 00:-4:-30,-69 今度の月曜日までに 仕上げてくれないか? 91 00:-4:-29,-944 --> 00:-4:-28,-526 はあ… 92 00:-4:-27,-942 --> 00:-4:-24,-898 こっ… これだけあると 日曜日いっぱいかかりますね 93 00:-4:-24,-272 --> 00:-4:-21,-185 いやあ すまないが なんとか頼むよ 宇佐木君 94 00:-4:-20,-643 --> 00:-4:-18,-558 ああ… 分かりました 95 00:-4:-18,-433 --> 00:-4:-17,-140 どわっ 96 00:-4:-14,-178 --> 00:-4:-11,-175 そんなわけで 今週はそっちに帰れないんだ 97 00:-4:-11,-50 --> 00:-4:-9,-507 (妻)大変ねえ 98 00:-4:-9,-382 --> 00:-4:-5,-962 ウチのほうは みんな元気だから心配しないで 99 00:-4:-5,-837 --> 00:-4:-4,-794 すまんな 100 00:-4:-4,-669 --> 00:-4:-2,-458 (妻) あなた… 無理しないでね 101 00:-4:-2,-333 --> 00:-4:00,-165 分かったよ じゃあな 102 00:-3:-55,-76 --> 00:-3:-49,-404 ♪「かごめかごめ」 103 00:-3:-25,-338 --> 00:-3:-24,-212 (課長)ご苦労さん 104 00:-3:-24,-87 --> 00:-3:-22,-252 おかげで僕も面目が立ったよ 105 00:-3:-22,-127 --> 00:-3:-20,-41 ああ 頑張ったかいがありました 106 00:-3:-19,-124 --> 00:-3:-16,-579 お礼にどうだい 今夜 一杯やらんかね? 107 00:-3:-16,-287 --> 00:-3:-13,-118 いやあ あいにく そろそろ ウチに帰らないと 108 00:-3:-12,-867 --> 00:-3:-11,-491 (課長)いいじゃないか 109 00:-3:-11,-366 --> 00:-3:-9,-114 明日の日曜に帰れば なっ? 110 00:-3:-8,-988 --> 00:-3:-7,-695 (宇佐木)あっ はあ… 111 00:-3:-7,-570 --> 00:-3:-4,-400 (電話の呼び出し音) 112 00:-3:-3,-817 --> 00:-3:00,-21 こら いつまで電話してんだ 飲め飲めーっ 113 00:-2:-59,-896 --> 00:-2:-58,-686 (宇佐木) いやあ あの… そっ それが… 114 00:-2:-57,-936 --> 00:-2:-54,-474 家族に連絡したいんですが 誰も出ないんですよ 115 00:-2:-53,-890 --> 00:-2:-51,-429 どうせ どっかで 外食でもしてるんだよ 116 00:-2:-51,-304 --> 00:-2:-49,-511 でも 近所に店なんか… 117 00:-2:-49,-385 --> 00:-2:-47,-50 いいから 飲もう さあさあさあさあ 118 00:-2:-46,-341 --> 00:-2:-42,-212 心配するくらいなら そんな遠くに 引っ越さなきゃよかったんだよ 119 00:-2:-40,-168 --> 00:-2:-35,-80 (電話の呼び出し音) 120 00:-2:-34,-120 --> 00:-2:-31,-159 どうしたんだ? なぜ 誰も出ないんだ 121 00:-2:-31,-34 --> 00:-2:-27,-864 (喪黒) もしもし どうかしましたか? 122 00:-2:-27,-739 --> 00:-2:-26,-362 もっ 喪黒さん! 123 00:-2:-24,-486 --> 00:-2:-22,-317 ウチに電話しても 誰も出ないんですよ 124 00:-2:-22,-192 --> 00:-2:-19,-898 (喪黒) おやおや それは大変ですね 125 00:-2:-19,-397 --> 00:-2:-16,-978 なっ… 何か 不吉な予感がするんですが… 126 00:-2:-16,-853 --> 00:-2:-14,-934 (喪黒)すぐに帰りなさい 127 00:-2:-14,-350 --> 00:-2:-11,-222 夜行に乗って 今すぐ家族の元へ― 128 00:-2:-10,-430 --> 00:-2:-9,-53 帰るのです 129 00:-2:-8,-928 --> 00:-2:-6,-718 ドーン!! 130 00:-2:-6,-593 --> 00:-2:-4,-257 ハレーッ! 131 00:-2:-3,-506 --> 00:-1:-56,-666 ハア ハア ハア… 132 00:-1:-54,-497 --> 00:-1:-48,-825 ♪「かごめかごめ」 133 00:-1:-21,-131 --> 00:-1:-19,-587 (課長) 宇佐木はどうした! 134 00:-1:-19,-87 --> 00:-1:-15,-333 東京のマンションも田舎のウチも 誰も電話に出ませんが… 135 00:-1:-15,-208 --> 00:-1:-12,-80 あいつ 1週間も 無断欠勤しおって 136 00:-1:-11,-496 --> 00:-1:-9,-619 何か あったんでしょうか? 137 00:-1:-9,-494 --> 00:-1:-8,-34 うーん 138 00:-1:-7,-909 --> 00:-1:-5,-156 日曜日にでも 奴のウチへ行ってみるか 139 00:-1:-5,-31 --> 00:00:-59,-192 ♪「かごめかごめ」 140 00:00:-56,-272 --> 00:00:-52,-519 課長も今週になってから 会社に出てこないな 141 00:00:-52,-394 --> 00:00:-50,-141 (男性社員) ウチに電話しても 誰も出ないしな 142 00:00:-49,-683 --> 00:00:-45,-553 しかし こう 仕事がハードじゃ 蒸発もしたくなるよな 143 00:00:-40,-131 --> 00:00:-34,-376 ♪「かごめかごめ」 144 00:00:-23,-73 --> 00:00:-21,-905 ああ… ハッハッハッ 145 00:00:-21,-780 --> 00:00:-19,-152 (一同)アハハハッ… 146 00:00:-18,-735 --> 00:00:-16,-191 おっ? ハッハッハッ… 147 00:00:-8,-141 --> 00:00:-4,-387 ~♪ 148 00:00:-4,-262 --> 00:00:00,284 (喪黒)どうです あのイキイキとした顔! 顔! 149 00:00:00,409 --> 00:00:03,788 文明とか 科学というものは― 150 00:00:03,913 --> 00:00:07,750 私たち人類にとって 一体 なんなんでしょうかね 151 00:00:08,834 --> 00:00:13,172 我々はここらで立ち止まって ちょっと“カソ” あっ いや… 152 00:00:13,297 --> 00:00:17,301 “カコ”を振り返って みるべきじゃないでしょうか 153 00:00:17,426 --> 00:00:22,223 ホーッホッホッホッホッ… 154 00:00:26,435 --> 00:00:30,314 (喪黒) この世は 老いも若きも 男も女も― 155 00:00:30,439 --> 00:00:32,483 ココロのさみしい人ばかり 156 00:00:32,608 --> 00:00:36,862 そんな皆さんのココロのスキマを お埋めいたします 157 00:00:37,029 --> 00:00:40,407 いいえ お金は一銭もいただきません 158 00:00:40,533 --> 00:00:46,455 お客様が満足されたら それが何よりの報酬でございます 159 00:00:46,872 --> 00:00:49,083 さて 今日のお客様は… 160 00:00:52,545 --> 00:00:57,424 ホーッホッホッホッホッ… 161 00:00:57,550 --> 00:01:00,427 (終業のチャイム) 162 00:01:00,803 --> 00:01:03,430 (羽賀場(はかば) 求(もとむ)) やれやれ 今日も終わったか 163 00:01:03,556 --> 00:01:05,349 よっこらしょ… おっ… 164 00:01:05,641 --> 00:01:07,059 おっ おっ… 165 00:01:07,184 --> 00:01:08,561 おおーっ… 166 00:01:09,770 --> 00:01:12,606 おおおーっ… 167 00:01:13,399 --> 00:01:14,984 (救急車のサイレン) 168 00:01:15,317 --> 00:01:20,906 (社員たちの騒ぐ声) 169 00:01:26,495 --> 00:01:29,748 (羽賀場) はあ… 病院でも窓際か 170 00:01:29,874 --> 00:01:33,878 そろそろ先のことを 考えないといかんな 171 00:01:34,003 --> 00:01:35,921 (令子)あなた そんな… 172 00:01:36,046 --> 00:01:38,507 来週には退院できるって 先生が言ったでしょ 173 00:01:38,799 --> 00:01:39,717 (羽賀場)うーん 174 00:01:39,842 --> 00:01:43,095 しばらく自宅療養して しっかりリハビリしなくちゃ 175 00:01:43,220 --> 00:01:44,346 うん? 176 00:01:44,471 --> 00:01:47,474 あなた 退院できるの うれしくないの? 177 00:01:47,600 --> 00:01:49,226 (羽賀場)えっ? ああ… 178 00:01:50,352 --> 00:01:53,105 (令子) おっ お墓ですって? 179 00:01:53,355 --> 00:01:57,651 ああ 死んでからの行き場が ないってのは不安だからね 180 00:01:57,776 --> 00:01:59,778 何 言ってんの 縁起でもない 181 00:02:00,154 --> 00:02:04,074 はあ 今度 倒れて つくづく思ったんだよ 182 00:02:04,199 --> 00:02:06,827 人間て はかないもんだって 183 00:02:07,411 --> 00:02:10,205 墓がないって さみしいよな 184 00:02:10,497 --> 00:02:13,918 バッ バカねえ それより散歩の時間でしょ 185 00:02:14,168 --> 00:02:18,297 リハビリして元気になったら お墓なんて気にならなくなるわよ 186 00:02:18,672 --> 00:02:19,798 うむ 187 00:02:27,681 --> 00:02:29,224 ああっ うう… 188 00:02:30,225 --> 00:02:32,186 はあ… おおっ! 189 00:02:38,317 --> 00:02:43,197 (羽賀場)人間 誰しも いつかはあの車に乗るんだ 190 00:02:44,365 --> 00:02:47,117 (羽賀場)突然のお願いで 申し訳ありませんが― 191 00:02:47,242 --> 00:02:50,120 お墓をひとつ 分けていただけないでしょうか? 192 00:02:50,245 --> 00:02:53,749 (住職) そうおっしゃられても この墓不足の折― 193 00:02:53,874 --> 00:02:58,587 ウチも余裕もありませんので 申し訳ありませんが 194 00:02:58,921 --> 00:03:00,422 (羽賀場)そうですか 195 00:03:04,677 --> 00:03:07,805 いやあ 墓ってないもんだね 196 00:03:08,263 --> 00:03:12,601 散歩の途中にある寺は 片っ端に聞いてみたんだが… 197 00:03:12,726 --> 00:03:15,521 当たり前です バカなことはやめてくださいな 198 00:03:15,938 --> 00:03:19,400 しかし ウチから 歩ける所に墓があれば― 199 00:03:19,525 --> 00:03:22,361 お前も墓参りするのに楽だろう 200 00:03:22,486 --> 00:03:25,155 毎日 お前が お墓参りしてくれると思うと― 201 00:03:25,280 --> 00:03:28,075 俺も安心して死ねるんだよ 202 00:03:28,409 --> 00:03:32,705 わっ 私を置いて そんなに早く死にたいんですか? 203 00:03:32,913 --> 00:03:33,956 (令子)うわーん (羽賀場)ああ すまん 204 00:03:34,081 --> 00:03:36,291 俺はそんなつもりで 言ったんじゃ… 205 00:03:36,667 --> 00:03:39,461 (令子) ホントにもう 怒りますよ 206 00:03:40,671 --> 00:03:42,923 (羽賀場) えっ 墓地があるんですか? 207 00:03:43,215 --> 00:03:47,344 (和尚) はい ウチは権利金 永代使用料を 合わせましても― 208 00:03:47,469 --> 00:03:49,430 大変お安くなっておりますよ 209 00:03:49,555 --> 00:03:51,348 どっ どのくらいでしょうか? 210 00:03:51,890 --> 00:03:56,562 今なら管理費も無料サービスで 3,000万円で結構 211 00:03:56,979 --> 00:03:58,230 (羽賀場)さっ… 212 00:03:59,648 --> 00:04:01,984 (鐘の音) 213 00:04:02,276 --> 00:04:04,153 (羽賀場)はあ… 214 00:04:06,030 --> 00:04:07,031 はあ… 215 00:04:07,156 --> 00:04:10,075 (喪黒) ホーッホッホッホッ 216 00:04:10,200 --> 00:04:13,954 ずいぶんと 気落ちなさってるようですが… 217 00:04:14,496 --> 00:04:16,874 (喪黒)どうなさったんです? (羽賀場)いや あっ あの… 218 00:04:17,291 --> 00:04:18,459 ナハ 219 00:04:19,376 --> 00:04:22,129 (羽賀場) 私は農家の八男坊で― 220 00:04:22,254 --> 00:04:26,425 ほとんど行き来のない 実家の墓に 入るのは気が引けますし― 221 00:04:26,550 --> 00:04:30,929 第一 兄弟8人もいたんじゃ 定員オーバーでしょうしね 222 00:04:31,055 --> 00:04:35,225 死んだあとのことなのに ずいぶんとお悩みのようですな 223 00:04:35,350 --> 00:04:38,479 ええ 永遠のすみかが 決まるまでは― 224 00:04:38,604 --> 00:04:40,439 おちおち 死んでもいられませんよ 225 00:04:40,773 --> 00:04:42,357 なるほどね 226 00:04:42,483 --> 00:04:45,361 この世以上に あの世も住みにくい… 227 00:04:45,486 --> 00:04:47,154 というわけですか 228 00:04:47,488 --> 00:04:51,075 いやあ 想像以上に 墓不足は深刻です 229 00:04:51,950 --> 00:04:56,663 安い公営墓地は競争倍率が高すぎて お話になりませんし 230 00:04:56,789 --> 00:04:59,958 民営の墓地は かなりの郊外まで 足を運ばないと― 231 00:05:00,376 --> 00:05:02,753 安い所など残っていません 232 00:05:02,878 --> 00:05:04,546 ここのような寺院の墓地は― 233 00:05:04,671 --> 00:05:07,508 檀家に入らなければ 土地を貸してくれませんから― 234 00:05:07,633 --> 00:05:11,095 数千万円にもなってしまうんです 235 00:05:11,345 --> 00:05:13,597 (喪黒・羽賀場) 地獄の沙汰も金次第 236 00:05:13,722 --> 00:05:17,351 (鐘の音) 237 00:05:17,476 --> 00:05:18,769 (喪黒)ですか? (羽賀場)ですな 238 00:05:19,395 --> 00:05:23,482 私が探してあげましょうか? 羽賀場さん 239 00:05:23,816 --> 00:05:26,193 どっ… どうして 私の名前を? 240 00:05:26,318 --> 00:05:31,657 いえ あなたが住職と話されてる 時のお声が 耳に入りましてね 241 00:05:32,408 --> 00:05:36,620 申し遅れましたが 私 こういう者です 242 00:05:36,870 --> 00:05:38,247 こっ これは… 243 00:05:38,372 --> 00:05:41,125 ホーッホッホッホッ いや失礼 244 00:05:41,250 --> 00:05:43,502 ちょっとしたジョークですよ 245 00:05:45,504 --> 00:05:49,383 私の仕事はボランティアで あなたのような― 246 00:05:49,508 --> 00:05:52,761 ココロのはかない方々を お助けすることなのです 247 00:05:53,220 --> 00:05:57,516 わわっ… 私は自分のことを はかないなどと思っては… 248 00:05:58,100 --> 00:05:59,226 いいえ 249 00:05:59,601 --> 00:06:02,521 人生の盛りを過ぎた人間が― 250 00:06:02,646 --> 00:06:04,690 はかなくないはずありません 251 00:06:05,149 --> 00:06:10,112 私に相談する気になりましたら いつでも訪ねてきてください 252 00:06:10,237 --> 00:06:12,698 ホーッホッホッホッ 253 00:06:12,823 --> 00:06:14,658 (鐘の音) 254 00:06:17,578 --> 00:06:21,081 (ガイド) 何しろ この素晴らしさで このお値段ですもの 255 00:06:21,206 --> 00:06:25,335 残りもわずかです どうぞ いかがですか? 256 00:06:38,098 --> 00:06:42,144 いいかげんにしてください! 霊園巡りだなんて 257 00:06:42,269 --> 00:06:43,353 そんな暇があったら― 258 00:06:43,479 --> 00:06:46,440 私を温泉にでも 連れて行こうと思わないの? 259 00:06:46,565 --> 00:06:50,986 しかし お前 やっぱり 死んだあとのことが気になってな 260 00:06:51,278 --> 00:06:53,363 (令子) 死んでしまえば ハイ それまでよ 261 00:06:53,489 --> 00:06:56,617 どうして生きている時のことを 考えられないの? 262 00:06:56,742 --> 00:06:58,827 (羽賀場)うむ… すまん 263 00:07:03,373 --> 00:07:05,459 (羽賀場)はあ… 264 00:07:07,461 --> 00:07:12,132 ダメか とても墓なんて 手に入りそうもないな 265 00:07:12,257 --> 00:07:13,091 うん? 266 00:07:17,346 --> 00:07:21,350 (喪黒) いやあ お待ちしてましたよ 267 00:07:21,934 --> 00:07:25,354 (羽賀場) あれからいろいろ探しましたが もう お手上げです 268 00:07:25,479 --> 00:07:27,981 ワラにもすがる思いで お訪ねしたんです 269 00:07:28,106 --> 00:07:29,358 ホーッホッホッ 270 00:07:29,483 --> 00:07:33,320 私のほうでも あなたに ぴったりの墓を探してたんですよ 271 00:07:33,445 --> 00:07:35,447 ええっ? 本当ですか? 272 00:07:35,697 --> 00:07:39,910 ええ あなたにふさわしい いい所を見つけることができました 273 00:07:40,244 --> 00:07:41,870 私に ふさわしい? 274 00:07:42,412 --> 00:07:45,082 (喪黒) はい これが そこの地図です 275 00:07:45,791 --> 00:07:47,584 “霊園 なかよし” 276 00:07:47,709 --> 00:07:50,128 ちょっと変わったネーミングですね 277 00:07:50,254 --> 00:07:51,255 あっ! 278 00:07:51,380 --> 00:07:53,674 せっかくですが喪黒さん… 279 00:07:53,799 --> 00:07:55,217 どうしたんですか? 280 00:07:55,342 --> 00:07:56,718 (羽賀場) こんなに遠くては― 281 00:07:56,843 --> 00:08:00,013 墓参りに行くのに 丸1日かかってしまいますよ 282 00:08:00,472 --> 00:08:02,724 ご心配いりません 283 00:08:04,726 --> 00:08:07,729 必ず あなたを満足させますよ 284 00:08:08,063 --> 00:08:09,439 しかし その… 285 00:08:09,565 --> 00:08:10,691 (喪黒)大丈夫! 286 00:08:11,108 --> 00:08:13,443 私にお任せください 287 00:08:14,152 --> 00:08:17,656 ボランティアですから お金は一銭もいただきません 288 00:08:18,156 --> 00:08:21,577 あなたは そのお墓に決めるべきです 289 00:08:21,702 --> 00:08:23,537 ドーン!! 290 00:08:23,662 --> 00:08:26,039 はかーっ! 291 00:08:27,040 --> 00:08:29,501 (鐘の音) 292 00:08:29,668 --> 00:08:31,169 だいぶ遠くなってしまったが… 293 00:08:31,295 --> 00:08:34,172 (老人) あら おそろいで お出かけでしたか? 294 00:08:34,548 --> 00:08:36,508 (令子) あら お隣のおばあちゃん 295 00:08:36,633 --> 00:08:37,634 (羽賀場) あっ お参りですか? 296 00:08:37,759 --> 00:08:40,137 ええ 主人の命日でしてね 297 00:08:40,387 --> 00:08:43,807 何しろ 毎日お参りできますから 298 00:08:43,932 --> 00:08:48,061 つい 命日を忘れそうに なりましたりして もう… 299 00:08:48,186 --> 00:08:49,771 (羽賀場)ハッハッハッ… (令子)ホントに… 300 00:08:49,896 --> 00:08:52,733 (羽賀場)それじゃ 失礼します (老婆)ええ どうも 301 00:08:55,611 --> 00:08:56,820 (エレベーターの到着音) 302 00:08:58,989 --> 00:09:01,450 (令子)思いきって 引っ越してよかったわね 303 00:09:01,825 --> 00:09:03,702 ここなら 死んだあとでも― 304 00:09:03,827 --> 00:09:06,330 お前と一緒にいられるから さみしくないな 305 00:09:06,455 --> 00:09:07,914 フフフッ イヤですよ 306 00:09:08,206 --> 00:09:11,835 でもホント 安心して 余生を過ごせるわね 307 00:09:11,960 --> 00:09:13,462 (羽賀場)ああ ハハッ 308 00:09:13,587 --> 00:09:17,341 お前100まで わしゃ99までか 309 00:09:17,466 --> 00:09:22,137 ハハハハッ… 310 00:09:31,355 --> 00:09:36,652 (喪黒) 住まいと兼用のお墓とは 業者も考えたもんですね 311 00:09:36,777 --> 00:09:38,737 しかし よく見ると― 312 00:09:38,862 --> 00:09:43,492 都会のビルディングのほうが ずっと墓場みたいですな 313 00:09:44,993 --> 00:09:47,329 もっとも現代の都会人は― 314 00:09:47,454 --> 00:09:52,501 生きながら埋葬されてるような もんですからね 315 00:09:52,626 --> 00:09:58,048 ホーッホッホッホッホッ…