1 00:00:02,830 --> 00:00:07,660 ごりょんさんの いけずに 堪え忍ぶ てんですが…。 2 00:00:07,660 --> 00:00:10,330 (しず)どうか てんを➡ 3 00:00:10,330 --> 00:00:13,170 一人前の ごりょんさんに してやって下さい。 4 00:00:13,170 --> 00:00:17,040 (啄子)ほな 遠慮のう 仕込まさしてもらいまひょ。 5 00:00:17,040 --> 00:00:20,740 ますます 火花が飛び散り…。 6 00:00:23,180 --> 00:00:27,850 妻は何があっても 夫と墓場まで添い遂げる。 7 00:00:27,850 --> 00:00:32,720 その覚悟で 死に装束を持って嫁げ いう事どす。 8 00:00:32,720 --> 00:00:36,190 (てん)この先 どんな苦難にも耐え…。 9 00:00:36,190 --> 00:00:39,530 …と 決意新たにしましたが➡ 10 00:00:39,530 --> 00:00:42,870 店が何やら きな臭く…。 11 00:00:42,870 --> 00:00:44,800 (藤吉)何や? これ! 12 00:00:44,800 --> 00:00:47,540 (藤吉)番頭さんは? ごめんください。 13 00:00:47,540 --> 00:00:49,470 はい。 14 00:00:49,470 --> 00:00:52,210 ごりょんさん いてはりますか? 15 00:00:52,210 --> 00:00:57,210 この家の事でね 大事なお話があるんです。 16 00:01:06,160 --> 00:01:08,830 あっ。 何の用でっしゃろ? 17 00:01:08,830 --> 00:01:13,830 私 不動産を 売り買いしてる者です。 18 00:01:16,170 --> 00:01:21,870 早速ですけどね この家 土地を 売って頂きたいんです。 19 00:01:25,170 --> 00:01:29,850 うちは 船場で 代々 続いてきた米屋です。 20 00:01:29,850 --> 00:01:33,520 それを どこの どなたはんかも 分からんお人に売るやなんて➡ 21 00:01:33,520 --> 00:01:36,520 ご冗談を。 冗談やありません。 22 00:01:38,190 --> 00:01:42,060 お店かてね だいぶ 古なってるようですし。 23 00:01:42,060 --> 00:01:47,200 近くには もう一軒 大きい米屋もありますなぁ。 24 00:01:47,200 --> 00:01:52,540 お客さんも減ってはるようやし。 ご心配には及びません。 25 00:01:52,540 --> 00:01:57,840 後継ぎの この子が 昔以上に 繁盛させてくれますんや。 26 00:02:00,340 --> 00:02:06,480 なるほどね。 まあ また来ますよって➡ 27 00:02:06,480 --> 00:02:08,520 ゆっくり 考えといて下さい。 28 00:02:08,520 --> 00:02:11,820 無駄足さして 申し訳ごわりまへん。 29 00:02:11,820 --> 00:02:14,820 いえいえ また 寄らしてもらいまっさ。 30 00:02:18,160 --> 00:02:20,660 塩。 へ? 31 00:02:20,660 --> 00:02:22,700 塩や塩! はよう! 32 00:02:22,700 --> 00:02:26,170 へえ! お待ち! 33 00:02:26,170 --> 00:02:31,040 火鉢にくべるか 鼻紙にでも使たり。 34 00:02:31,040 --> 00:02:36,180 この時代 大阪は 急速に近代化が進み➡ 35 00:02:36,180 --> 00:02:41,850 その波が 北村屋にも迫っていたのです。 36 00:02:41,850 --> 00:02:52,500 ♬~ 37 00:02:52,500 --> 00:02:57,870 ♬「出かける時の忘れ物」 38 00:02:57,870 --> 00:03:03,140 ♬「ひょいとつかむ ハンカチのように」 39 00:03:03,140 --> 00:03:08,480 ♬「心の中に すべり込む」 40 00:03:08,480 --> 00:03:14,350 ♬「いちばん ちいさな魔法」 41 00:03:14,350 --> 00:03:19,120 ♬「泣いたり 笑ったり」 42 00:03:19,120 --> 00:03:24,030 ♬「今日も歩き出す」 43 00:03:24,030 --> 00:03:31,700 ♬「ありがとうと言いたい あなたのために」 44 00:03:31,700 --> 00:03:36,170 ♬「ごめんねと言えない」 45 00:03:36,170 --> 00:03:41,170 ♬「あなたのために」 46 00:03:42,850 --> 00:03:51,020 ♬「ありがとうと言える そのときのために」 47 00:03:51,020 --> 00:03:59,730 ♬「ごめんねと言えた あなたの心に」 48 00:03:59,730 --> 00:04:08,030 ♬「パレードは まわり続けてる」 49 00:04:18,810 --> 00:04:22,690 あんたのせいやで。 へ? 50 00:04:22,690 --> 00:04:25,590 あんたが来てから 楓さんは出ていくわ➡ 51 00:04:25,590 --> 00:04:30,090 妙な業者は来るわ ろくな事あらへん! 52 00:04:31,830 --> 00:04:34,730 おてんちゃんに八つ当たりしても しゃあないやろ。 53 00:04:34,730 --> 00:04:38,000 おやまあ えらい 味方しはるんやなぁ。 54 00:04:38,000 --> 00:04:41,500 まだ この子 認めた訳やありまへんで。 55 00:04:43,170 --> 00:04:47,170 それより これ どういう事や。 56 00:04:50,510 --> 00:04:53,180 えらい借金やないか。 57 00:04:53,180 --> 00:04:57,050 アカン! あんた 見たアカン言いましたやろ! 58 00:04:57,050 --> 00:04:59,990 何で 店に こんな借金があるんや。 59 00:04:59,990 --> 00:05:02,690 こんな大金 何に使うたんや。 60 00:05:05,760 --> 00:05:08,460 あんたには関係ない。 61 00:05:12,130 --> 00:05:15,130 よう分かった。 62 00:05:18,470 --> 00:05:22,470 なら この借金は 俺が なんとかする。 63 00:05:24,810 --> 00:05:28,680 そのかわり ちゃんと 店を立て直す事ができたら➡ 64 00:05:28,680 --> 00:05:31,380 おてんちゃんを 嫁として認めてほしい。 65 00:05:34,820 --> 00:05:37,160 ええな。 66 00:05:37,160 --> 00:05:48,770 ♬~ 67 00:05:48,770 --> 00:05:51,010 あ~! そっちも積んでや。 (2人)へえ。 68 00:05:51,010 --> 00:05:53,510 だんごと カレーもな。 (2人)へえ。 69 00:05:55,180 --> 00:05:58,510 どこ行かはりますの? ああ…。 70 00:05:58,510 --> 00:06:01,420 新しい取引先の開拓や。 71 00:06:01,420 --> 00:06:05,720 借金を返すために もっと 大口のお客さん 見つけんと。 72 00:06:07,320 --> 00:06:09,320 藤吉さん! 73 00:06:12,460 --> 00:06:15,130 笑顔ですやろ? 笑顔。 74 00:06:15,130 --> 00:06:17,970 そない怖い顔してはったら ご新規さんも➡ 75 00:06:17,970 --> 00:06:20,470 見向きもしはりませんえ。 76 00:06:22,810 --> 00:06:27,140 そやな。 こんな顔やったら 年も越せんな。 77 00:06:27,140 --> 00:06:29,140 へえ。 78 00:06:31,810 --> 00:06:37,150 「貧乏のボウは 次第に太くなり➡ 79 00:06:37,150 --> 00:06:45,830 振り回される あっ 年の暮れかぁな」。 80 00:06:45,830 --> 00:06:48,530 あっ しもた。 また 俄を。 81 00:06:51,700 --> 00:06:54,840 よっしゃ。 行ってくる。 82 00:06:54,840 --> 00:06:57,140 へえ お気張りやす。 83 00:06:58,710 --> 00:07:03,550 米や~ 米! 北村屋の米は いりまへんか? 84 00:07:03,550 --> 00:07:08,120 藤吉は 借金を返すために頑張り…。 85 00:07:08,120 --> 00:07:10,790 院長先生! 院長先生! 86 00:07:10,790 --> 00:07:13,690 病院のお食事に どうぞ うちの米を使うて下さい。 87 00:07:13,690 --> 00:07:16,460 うちの米は 味も船場一の米でっせ。 88 00:07:16,460 --> 00:07:18,790 いらん いらん。 89 00:07:18,790 --> 00:07:21,300 アカンか。 90 00:07:21,300 --> 00:07:24,330 駅長さん! 駅長さん! 91 00:07:24,330 --> 00:07:26,800 駅弁に どうぞ うちの米を。 92 00:07:26,800 --> 00:07:30,140 うちのお米は 冷めても握っても ホンマ おいしいんですわ。 93 00:07:30,140 --> 00:07:32,140 いらん いらん! 94 00:07:34,480 --> 00:07:36,410 米や~ 米! 95 00:07:36,410 --> 00:07:42,110 そして てんも 店の役に立とうと 一層 頑張りました。 96 00:07:44,650 --> 00:07:48,490 おてん様 あとは うちが。 今日は水も冷たいし➡ 97 00:07:48,490 --> 00:07:51,160 お手が ちぎれてしまいます。 こうして➡ 98 00:07:51,160 --> 00:07:54,830 お米の研ぎ汁 入れてるから 平気や。 99 00:07:54,830 --> 00:07:58,500 顔に塗ったら すべすべになるえ。 100 00:07:58,500 --> 00:08:00,770 (スミ)えらいこっちゃ えらいこっちゃ! 101 00:08:00,770 --> 00:08:03,070 番頭さんが…。 102 00:08:08,640 --> 00:08:14,780 番頭さん 天野屋さんに移るて どういう事や? 103 00:08:14,780 --> 00:08:18,650 (又八)すんまへんなぁ。 実は 前々から➡ 104 00:08:18,650 --> 00:08:22,660 向こうの娘さんの婿にならんか 言われてまして。 105 00:08:22,660 --> 00:08:25,490 娘て あの出戻りさんか。 106 00:08:25,490 --> 00:08:30,330 米は 西の北村屋 東の天野屋 いわれたもんだすが➡ 107 00:08:30,330 --> 00:08:34,140 東のごりょんさんが わての才覚を えらい買うてくれはって。➡ 108 00:08:34,140 --> 00:08:39,010 分家して 店を持たせてくれるそうで。 109 00:08:39,010 --> 00:08:42,480 番頭さん… 番頭さんが おらんようになったら➡ 110 00:08:42,480 --> 00:08:45,150 この店は回らへん。 考え直してもらえんやろか。 111 00:08:45,150 --> 00:08:48,050 いや そう言われましてもなぁ。 112 00:08:48,050 --> 00:08:51,020 このまま ここにおっても➡ 113 00:08:51,020 --> 00:08:54,490 のれん分けも さしてもらわれへんやろうしな。 114 00:08:54,490 --> 00:08:57,390 番頭さん…。 115 00:08:57,390 --> 00:09:02,090 やめる言わはるんやったら 止めしまへん。 116 00:09:06,100 --> 00:09:08,040 お母ちゃん…!? 117 00:09:08,040 --> 00:09:25,790 ♬~ 118 00:09:25,790 --> 00:09:29,660 これ 持っていきなはれ。 へ? 119 00:09:29,660 --> 00:09:35,130 今まで世話になった礼 慰労金と餞別や。 120 00:09:35,130 --> 00:09:38,430 ケチケチせんと送り出すのが わての流儀です。 121 00:09:45,770 --> 00:09:48,680 お母ちゃん ちょっ 待ってえや! 明日から この店➡ 122 00:09:48,680 --> 00:09:52,150 どないすんねん! あんたが 立て直してくれはるんやろ? 123 00:09:52,150 --> 00:09:55,820 いや… 俺一人や 無理に決まってるやろ。 124 00:09:55,820 --> 00:09:58,320 大体 あの借金も 何かも分からんし。 125 00:09:58,320 --> 00:10:00,360 勝手すぎるんや お母ちゃんは。 126 00:10:00,360 --> 00:10:03,060 何を言うて…。 ほな あの借金は何や。 127 00:10:04,830 --> 00:10:07,530 言えんのやろ? 128 00:10:10,500 --> 00:10:13,170 あんたのお父さんや。 129 00:10:13,170 --> 00:10:16,070 お父さん? お父さんが➡ 130 00:10:16,070 --> 00:10:19,770 女子に うつつ抜かして こさえた借金や。 131 00:10:22,180 --> 00:10:25,680 そやけど わてが ちゃ~んと始末して➡ 132 00:10:25,680 --> 00:10:29,180 ぼちぼち返してるさかい。 133 00:10:29,180 --> 00:10:33,880 あんたが 一人前になったら 話すつもりでしたんや。 134 00:10:37,060 --> 00:10:41,360 あんたなら立て直せると 信じての事や。 135 00:10:52,880 --> 00:10:55,180 (ため息) 136 00:10:59,210 --> 00:11:01,210 大丈夫ですか? 137 00:11:06,820 --> 00:11:13,160 お母ちゃん 誰にも言わんと➡ 138 00:11:13,160 --> 00:11:16,160 一人で抱えてきたんや。 139 00:11:17,830 --> 00:11:20,630 俺は そんな事も知らんと…。 140 00:11:26,180 --> 00:11:33,050 こうなったら 命がけで 俺が のれんを守る。 141 00:11:33,050 --> 00:11:36,690 俺が ここで ふんばらんと➡ 142 00:11:36,690 --> 00:11:39,890 みんなを路頭に迷わす事になる。 143 00:11:45,190 --> 00:11:50,190 番頭さんが おらんようになって みんな 動揺してる事やと思う。 144 00:11:51,870 --> 00:11:56,740 そやけど 俺が この店の主や。 145 00:11:56,740 --> 00:12:00,680 みんな ついてきてほしい。 146 00:12:00,680 --> 00:12:02,810 (一同)へい! 147 00:12:02,810 --> 00:12:04,750 佐吉は ご贔屓さんの御用聞きに。 (佐吉)へい。 148 00:12:04,750 --> 00:12:06,680 豆蔵は集金に行ってや。 (豆蔵)へい。 149 00:12:06,680 --> 00:12:09,490 ごりょんさんは…。 わてが 店に立ちます。 150 00:12:09,490 --> 00:12:13,690 あんたは 新しい取引先 見つけに行っといでやす。 151 00:12:15,360 --> 00:12:18,490 ほな 頼んます。 152 00:12:18,490 --> 00:12:38,180 ♬~ 153 00:12:38,180 --> 00:12:41,080 (ため息) 154 00:12:41,080 --> 00:12:43,850 こんだけ回っても アカンか。 155 00:12:43,850 --> 00:12:46,360 おにいさん ちょっと 寄っていきまへんか? 156 00:12:46,360 --> 00:12:48,860 人気の桜亭銀蔵が出まっせ。 157 00:12:48,860 --> 00:12:51,160 桜亭銀蔵…。 158 00:12:53,200 --> 00:12:55,130 アカン アカン。 159 00:12:55,130 --> 00:12:58,530 えっ おにいさん! よろしいんでっか? 160 00:12:58,530 --> 00:13:00,830 桜亭銀蔵でっせ! 161 00:13:05,640 --> 00:13:07,580 ≪(歌子)この穀潰しが! 162 00:13:07,580 --> 00:13:10,810 (万丈目) いや~ ああっ! あっ あっ…。 163 00:13:10,810 --> 00:13:15,150 うわ~ ちょっ… おおっ…。 (泣き声) 164 00:13:15,150 --> 00:13:18,050 あっ… 万丈目はん!? 165 00:13:18,050 --> 00:13:20,020 ボン…!? 166 00:13:20,020 --> 00:13:25,160 この男は 昔の芸人仲間の 万丈目吉蔵。 167 00:13:25,160 --> 00:13:27,830 久しぶりやなぁ! ボン! 168 00:13:27,830 --> 00:13:31,330 (歌子)何しとんねん? こんな所で油売っとらんと➡ 169 00:13:31,330 --> 00:13:34,170 ちゃっちゃと寄席の仕事の一つも 見つけてこんかい! 170 00:13:34,170 --> 00:13:36,100 ボ… ボン 助けて! 171 00:13:36,100 --> 00:13:39,510 何が「助けて」や ホンマ。 172 00:13:39,510 --> 00:13:42,410 あれま 藤吉っつぁん! 173 00:13:42,410 --> 00:13:46,380 何や 立派にならはって。 久しぶりやなぁ! 174 00:13:46,380 --> 00:13:49,220 こんなカス芸人に関わったら ろくな事おませんで。 175 00:13:49,220 --> 00:13:51,850 ほな また。 176 00:13:51,850 --> 00:13:53,790 (キース)よう! 177 00:13:53,790 --> 00:13:57,190 何や 楽しそうやな。 178 00:13:57,190 --> 00:13:59,390 キース! 179 00:14:00,960 --> 00:14:05,130 いや~ どっから見ても 立派な若旦さんや。 180 00:14:05,130 --> 00:14:07,640 何や もう近づきにくいわ。 181 00:14:07,640 --> 00:14:11,810 商人になったからいうて 人の値打ちは そう変わらへん。 182 00:14:11,810 --> 00:14:14,310 おてんちゃんは女中扱い。 183 00:14:14,310 --> 00:14:18,810 その上 借金はあるわ 番頭には裏切られるわ。 184 00:14:18,810 --> 00:14:21,150 何や 大変そやな。 185 00:14:21,150 --> 00:14:23,490 なんとか 店を立て直して➡ 186 00:14:23,490 --> 00:14:26,190 お母ちゃんに 認めてほしいんやが…。 187 00:14:29,160 --> 00:14:31,490 よっしゃ 任さんかい! 188 00:14:31,490 --> 00:14:36,160 ええて。 お前に迷惑かけるつもりはない。 189 00:14:36,160 --> 00:14:39,160 何 水くさい事 言うてんねん。 190 00:14:41,500 --> 00:14:45,170 ええ儲け話 あるで。 191 00:14:45,170 --> 00:14:47,110 え? 192 00:14:47,110 --> 00:14:50,850 おやおや? 大丈夫でしょうか。 193 00:14:50,850 --> 00:14:54,550 何だか 怪しい雲行きですが…。