1 00:00:01,850 --> 00:00:05,720 (藤吉)お母ちゃんの言うとおりや。 2 00:00:05,720 --> 00:00:08,220 いっそ この家 壊して…。 3 00:00:10,560 --> 00:00:13,270 (啄子)ああっ…。 (てん)やめとくれやす! 4 00:00:13,270 --> 00:00:15,300 やめとくれやす! 5 00:00:15,300 --> 00:00:18,100 わての命はええから➡ 6 00:00:18,100 --> 00:00:21,940 この柱だけは壊さんといて! 7 00:00:21,940 --> 00:00:24,610 のけや! 8 00:00:24,610 --> 00:00:27,280 お母ちゃん! (金貸し)待て! 9 00:00:27,280 --> 00:00:31,150 待ちなはれ! 待ちなはれ! 10 00:00:31,150 --> 00:00:33,950 何にも そこまで…。 わてかて そんな➡ 11 00:00:33,950 --> 00:00:36,790 人でなしやおまへんがな。 そんな事されたら もう➡ 12 00:00:36,790 --> 00:00:40,290 かなわんがな。 分かった。 また来よう。 13 00:00:40,290 --> 00:00:44,160 今日はもう これで帰るさかい。 むちゃしなはんなや。 14 00:00:44,160 --> 00:00:46,160 ごめん! 15 00:00:46,160 --> 00:00:54,460 ♬~ 16 00:01:11,920 --> 00:01:14,220 お母ちゃん 大丈夫か? 17 00:01:16,600 --> 00:01:19,260 芝居や。 芝居!? 18 00:01:19,260 --> 00:01:23,560 ああ。 驚かせて すまんかった。 19 00:01:25,140 --> 00:01:27,440 (ため息) 20 00:01:27,440 --> 00:01:38,080 ♬~ 21 00:01:38,080 --> 00:01:43,790 ♬「出かける時の忘れ物」 22 00:01:43,790 --> 00:01:49,130 ♬「ひょいとつかむ ハンカチのように」 23 00:01:49,130 --> 00:01:54,470 ♬「心の中に すべり込む」 24 00:01:54,470 --> 00:01:59,810 ♬「いちばん ちいさな魔法」 25 00:01:59,810 --> 00:02:05,080 ♬「泣いたり 笑ったり」 26 00:02:05,080 --> 00:02:09,750 ♬「今日も歩き出す」 27 00:02:09,750 --> 00:02:17,620 ♬「ありがとうと言いたい あなたのために」 28 00:02:17,620 --> 00:02:26,770 ♬「ごめんねと言えない あなたのために」 29 00:02:26,770 --> 00:02:35,070 ♬「パレードは まわり続けてる」 30 00:02:42,950 --> 00:02:47,620 どうぞ。 31 00:02:50,960 --> 00:02:56,830 ホンマは あのまんま 振り下ろしたかったんちゃうか? 32 00:02:56,830 --> 00:02:59,630 え? 33 00:02:59,630 --> 00:03:03,330 わての事 恨んでるんやろ。 34 00:03:07,440 --> 00:03:11,580 「のれんや 家や」言うて➡ 35 00:03:11,580 --> 00:03:17,250 昔から あんたの事 縛りつけてきた。 36 00:03:17,250 --> 00:03:19,550 そやから…。 37 00:03:22,920 --> 00:03:25,920 俺は…。 38 00:03:27,790 --> 00:03:32,790 ずっと この家が大嫌いやった。 39 00:03:35,270 --> 00:03:40,570 お母ちゃんの事も 嫌いやった。 40 00:03:43,940 --> 00:03:48,810 ちっさい頃から 何一つ オモロなかった。 41 00:03:48,810 --> 00:03:54,590 みんなで ごはん食べても 笑顔が一つもない。 42 00:03:54,590 --> 00:03:57,290 姉さんには いけずされ➡ 43 00:03:57,290 --> 00:04:00,890 お母ちゃんは のれんや家が一番で➡ 44 00:04:00,890 --> 00:04:03,890 俺の事は二の次。 45 00:04:09,570 --> 00:04:13,270 俺が初めて覚えた芸が何か 知ってるか? 46 00:04:14,910 --> 00:04:18,210 鳥の鳴きまねや。 47 00:04:19,780 --> 00:04:24,920 お父さんの事で つらい顔してる お母ちゃんに わろうてほしいて➡ 48 00:04:24,920 --> 00:04:28,220 一所懸命 覚えたんや。 49 00:04:29,790 --> 00:04:32,590 [ 回想 ] お母ちゃん 見て見て! 50 00:04:32,590 --> 00:04:38,590 ホ~ホケキョ! ホ~ホケキョ! 51 00:04:45,170 --> 00:04:50,940 そやけど わろてくれるどころか➡ 52 00:04:50,940 --> 00:04:54,640 くだらん事するなて どなられた。 53 00:04:56,620 --> 00:05:05,220 立派な商人になれ そのためには これせえ あれせえ。 54 00:05:05,220 --> 00:05:11,220 褒められた事なんて いっぺんもない。 55 00:05:17,570 --> 00:05:20,870 認めてほしかったんや。 56 00:05:26,910 --> 00:05:32,250 お母ちゃんのために➡ 57 00:05:32,250 --> 00:05:38,120 ここで一発当てたろて…➡ 58 00:05:38,120 --> 00:05:41,820 あんな勝負したんや。 59 00:05:44,830 --> 00:05:52,530 結局 何も でけへんかったけどな。 60 00:05:56,270 --> 00:05:58,570 藤吉郎…。 61 00:06:07,220 --> 00:06:14,090 ホンマに すんませんでした。 62 00:06:14,090 --> 00:06:37,390 ♬~ 63 00:06:55,930 --> 00:06:57,870 藤吉さん? 64 00:06:57,870 --> 00:07:00,370 藤吉郎 何して…。 65 00:07:00,370 --> 00:07:03,880 もう しまいやいうのは よう分かった。 66 00:07:03,880 --> 00:07:09,550 そやけど 最後の一粒まで売ってやらんと➡ 67 00:07:09,550 --> 00:07:12,550 この米が不憫や。 68 00:07:14,420 --> 00:07:22,130 俺が一粒も無駄にせんと 売り切ってみせるさかい➡ 69 00:07:22,130 --> 00:07:27,130 これを北村屋最後の仕事として やらせてくれ。 70 00:07:33,570 --> 00:07:35,910 うちも やらせて下さい。 71 00:07:35,910 --> 00:07:47,520 ♬~ 72 00:07:47,520 --> 00:07:57,600 米や~ 米! 北村屋の米は いりまへんか! 73 00:07:57,600 --> 00:08:02,200 北村屋です。 極上の おいしいお米 どうか 買うてやって下さい。 74 00:08:02,200 --> 00:08:05,100 お願いします! お願いします! 75 00:08:05,100 --> 00:08:10,380 味よ~し 香りよ~し 粘りよ~し! 76 00:08:10,380 --> 00:08:15,210 北村屋の米は いりまへんか! 味よ~し! 77 00:08:15,210 --> 00:08:19,080 北村屋の おいしいお米 店じまいにつき お安うします。 78 00:08:19,080 --> 00:08:21,890 ほんなら ただ同然か? 79 00:08:21,890 --> 00:08:26,220 すんまへん 仕入れ値以下には 一銭たりとも まかりまへん。 80 00:08:26,220 --> 00:08:30,560 それが この米への 精いっぱいの感謝の気持ちです。 81 00:08:30,560 --> 00:08:34,260 辻の物売りが そんな高飛車で 通るかいな。 82 00:08:35,900 --> 00:08:40,600 そやけど その心意気 買うたるわ。 83 00:08:42,570 --> 00:08:45,270 米びつの分 全部や。 84 00:08:47,250 --> 00:08:50,250 へえ おおきに! おおきに! 85 00:08:51,920 --> 00:08:56,250 なんとか ここまで売れました。 あと ちょっとどすな。 86 00:08:56,250 --> 00:08:58,920 ああ。 87 00:08:58,920 --> 00:09:01,830 (キース)よっ! おお キース。 88 00:09:01,830 --> 00:09:04,830 あ~ 残ったん 全部 もろてくわ。 え? 89 00:09:06,530 --> 00:09:10,870 晦日に払わなアカン 長屋の家賃や。 90 00:09:10,870 --> 00:09:13,770 はあ~ 今度は家主から逃げんとな~。 91 00:09:13,770 --> 00:09:17,210 ハハハハハ。 キース…。 92 00:09:17,210 --> 00:09:19,880 おおきに。 93 00:09:19,880 --> 00:09:21,880 ふん。 94 00:09:29,220 --> 00:09:31,560 おいしい。 95 00:09:31,560 --> 00:09:34,460 そやな。 (歌子)どうぞ。 96 00:09:34,460 --> 00:09:36,730 おおきに。 おおきに。 97 00:09:36,730 --> 00:09:39,230 このオチでええやないかい! そやから 俺のオチの方が➡ 98 00:09:39,230 --> 00:09:41,570 オモロイ言うてんねや。 お前に落語が分かんのかい! 99 00:09:41,570 --> 00:09:43,900 分からん。 けど 俺の方がええ。 何や? それ。 100 00:09:43,900 --> 00:09:45,840 おい ちょっ ちょっ… どないしたん? 101 00:09:45,840 --> 00:09:49,240 今度 祝言の宴席でやる「つる」の 噺のオチで もめてるんや。 102 00:09:49,240 --> 00:09:51,740 「つる」のオチ? (キース)ああ。 103 00:09:51,740 --> 00:09:54,650 つるっちゅう名前は 首長鳥のオスが➡ 104 00:09:54,650 --> 00:09:59,480 つ~るっと来て 後から メスが 黙って飛んできたちゅうオチや。 105 00:09:59,480 --> 00:10:03,250 そのホンマのオチでええやないかい。 そんなオチ…。 106 00:10:03,250 --> 00:10:07,930 ええか? オスが飛んできて 「月見うどんは~」。 107 00:10:07,930 --> 00:10:10,760 次にメスが 「卵入ってる~」。➡ 108 00:10:10,760 --> 00:10:14,430 月見うどんの「つ」と 入ってるの「る」で つるや。➡ 109 00:10:14,430 --> 00:10:16,470 どや? 分かったか。 (落語家)分かるか アホ!➡ 110 00:10:16,470 --> 00:10:19,100 何で 月見うどん出てくんねや。 月見うどん うまいやないか! 111 00:10:19,100 --> 00:10:21,440 何や それ アホ。 おいおい ちょっと ちょっと…。 112 00:10:21,440 --> 00:10:25,610 そやったら そのホンマのオチの見方を➡ 113 00:10:25,610 --> 00:10:28,280 変えたらええんちゃうか? (2人)え? 114 00:10:28,280 --> 00:10:31,950 いや オスの首長鳥が つ~ると来て 後からメスが➡ 115 00:10:31,950 --> 00:10:36,450 何も言わんと そっと寄り添うて ついてくる。 これぞ 夫唱婦随。 116 00:10:36,450 --> 00:10:41,960 お二人に 「鶴は千年のご多幸を。 ご結婚 おめでとうございます」。 117 00:10:41,960 --> 00:10:43,900 これ どうや? (万丈目)なるほどな。 118 00:10:43,900 --> 00:10:46,830 そら ええわ! なあ! 119 00:10:46,830 --> 00:10:50,640 ボン ええ事 言うな。 そ… そうか? 120 00:10:50,640 --> 00:10:53,300 私も 同じ事思ってたんです。 嘘つけ アホ! 121 00:10:53,300 --> 00:10:56,600 (笑い声) 122 00:11:00,580 --> 00:11:02,510 何や それ! 123 00:11:02,510 --> 00:11:06,510 (手拍子) 124 00:11:09,590 --> 00:11:13,930 (拍手と歓声) 125 00:11:13,930 --> 00:11:16,830 (笑い声) 126 00:11:16,830 --> 00:11:20,600 あの人の芸が受けてんの 初めて見たわ。 アハハハハハハハ! 127 00:11:20,600 --> 00:11:24,270 ほんなら ほんなら 俺は これや! (藤吉)何や 何や! 128 00:11:24,270 --> 00:11:27,610 え~ これから 花火をご覧に入れましょう。 129 00:11:27,610 --> 00:11:30,280 (拍手) 130 00:11:30,280 --> 00:11:33,950 ボ~ン! サラサラ サラサラ サラサラ。 131 00:11:33,950 --> 00:11:36,850 ボ~ン! (笑い声) 132 00:11:36,850 --> 00:11:39,450 何や それ! 見た事ないわ。 133 00:11:39,450 --> 00:11:43,960 (万丈目)続きましては 後ろうどんをご覧に入れます。 134 00:11:43,960 --> 00:11:47,790 「後ろうどん」。 よ~っ! 135 00:11:47,790 --> 00:11:49,790 届いてないわ! (笑い声) 136 00:11:51,660 --> 00:11:55,300 届いてない… 届いてない…。 137 00:11:55,300 --> 00:12:04,910 ♬~ 138 00:12:04,910 --> 00:12:07,610 ≪(足音) 139 00:12:11,780 --> 00:12:19,920 お母ちゃん 最後の一粒まで 売ってまいりました。 140 00:12:19,920 --> 00:12:21,920 そうか。 141 00:12:45,620 --> 00:12:48,520 藤吉さん。 142 00:12:48,520 --> 00:12:52,520 今日は よろしおしたね いろいろ。 143 00:12:59,160 --> 00:13:01,860 おてんちゃん。 144 00:13:03,570 --> 00:13:08,440 今日まで ありがとうな。 145 00:13:08,440 --> 00:13:11,910 へ? 146 00:13:11,910 --> 00:13:15,250 おてんちゃんは 里に帰り。 147 00:13:15,250 --> 00:13:20,120 家なし 職なし 何の取り柄もない男が➡ 148 00:13:20,120 --> 00:13:24,260 嫁さんを もらう訳にはいかん。 149 00:13:24,260 --> 00:13:26,920 俺なんかより もっと ええ人を見つけて…。 150 00:13:26,920 --> 00:13:29,260 情けない! 151 00:13:29,260 --> 00:13:32,260 何で そないな事 言わはるんですか。 152 00:13:34,930 --> 00:13:40,610 あんたさんには 商人の才覚は ないのかもしれまへん。 153 00:13:40,610 --> 00:13:44,910 そやけど 誰にも負けへんものが あるやないですか。 154 00:13:46,940 --> 00:13:50,640 人を笑顔にしたいいう気持ちです。 155 00:13:54,290 --> 00:13:58,960 うちは この先が泥道やろうが 地獄やろうが➡ 156 00:13:58,960 --> 00:14:02,830 何があっても 藤吉さんに ついていきます。 157 00:14:02,830 --> 00:14:05,830 そやから…。 158 00:14:09,900 --> 00:14:14,240 うち 決めました。 159 00:14:14,240 --> 00:14:18,540 うちが あんさんと結婚してあげます。 160 00:14:21,580 --> 00:14:27,280 そのかわり 今度こそ 一生 笑わせて下さい。 161 00:14:30,250 --> 00:14:33,090 芸が そないに好きやったら➡ 162 00:14:33,090 --> 00:14:36,590 いっそ それを 商売にしはったら どうですか? 163 00:14:36,590 --> 00:14:39,890 え? 笑いを商売にするんです。 164 00:14:41,470 --> 00:14:48,210 これが 後に 日本中に 笑顔を届ける事になる二人の➡ 165 00:14:48,210 --> 00:14:52,510 笑いの旅路の始まりでした。