1 00:00:33,133 --> 00:00:35,619 (花岡七桜) 《15年前 椿のひと言で➡ 2 00:00:35,619 --> 00:00:38,155 私は全てを奪われた》 3 00:00:38,155 --> 00:00:40,155 (高月今日子) 誰? 誰なの? 4 00:00:41,625 --> 00:00:44,127 (高月 椿) さくらのお母さん。 5 00:00:44,127 --> 00:00:46,663 ママ! (百合子) 私は何も知りません。 6 00:00:46,663 --> 00:00:49,163 私は ただ お菓子を作ってただけで…。 7 00:00:50,734 --> 00:00:53,136 (多喜川) やっと会えましたね 花岡七桜さん。 8 00:00:53,136 --> 00:00:55,138 お母様からの手紙です。 9 00:00:55,138 --> 00:00:57,124 《事件の真相を知るため…》 10 00:00:57,124 --> 00:00:59,626 あんたさ 俺と結婚しない? 11 00:00:59,626 --> 00:01:01,645 しましょう 結婚。 12 00:01:01,645 --> 00:01:06,133 《世界で一番憎い人 椿との結婚を利用して➡ 13 00:01:06,133 --> 00:01:08,135 私は正体を隠したまま➡ 14 00:01:08,135 --> 00:01:10,671 あの日 追い出された 老舗和菓子屋➡ 15 00:01:10,671 --> 00:01:12,706 光月庵に乗り込んだ》 16 00:01:12,706 --> 00:01:14,624 僕は この人と結婚する。 17 00:01:14,624 --> 00:01:16,610 《そこで待ち受けていたのは…》 18 00:01:16,610 --> 00:01:19,112 わがままも いいかげんにしなさい 恥ずかしい! 19 00:01:19,112 --> 00:01:22,115 《椿の母親である 光月庵の女将と…》 20 00:01:22,115 --> 00:01:25,619 (高月宗寿郎) そこまで言うなら 3か月で成果を出してみろ! 21 00:01:25,619 --> 00:01:28,121 《店の全権を握る 大旦那》 22 00:01:28,121 --> 00:01:31,675 近いうちに 必ず この店を俺のものにする。 23 00:01:31,675 --> 00:01:35,128 《婚約者なんて 甘いものじゃ ない》 24 00:01:35,128 --> 00:01:39,616 《それでも 真実だけは 必ず見つけ出す》 25 00:01:39,616 --> 00:01:43,116 今日から お世話になります。 26 00:01:50,610 --> 00:01:52,646 (障子が開く音) 27 00:01:52,646 --> 00:01:54,698 えっ…。 28 00:01:54,698 --> 00:01:57,117 おい もう6時だぞ。 29 00:01:57,117 --> 00:01:58,618 えっ! 30 00:01:58,618 --> 00:02:00,118 早く来い。 31 00:02:05,609 --> 00:02:08,612 ここが光月庵の心臓だ。 32 00:02:08,612 --> 00:02:10,614 職人の山口さんと富岡さん。 33 00:02:10,614 --> 00:02:13,166 (山口) どうも。 (富岡) おたくがウワサの…。 34 00:02:13,166 --> 00:02:14,684 あとは 見習が3人いる。 35 00:02:14,684 --> 00:02:16,737 (安部) まとめられちった フフっ。 36 00:02:16,737 --> 00:02:19,623 花岡七桜です よろしくお願いします。 37 00:02:19,623 --> 00:02:21,625 七桜 お前は こっちだ。 38 00:02:21,625 --> 00:02:23,125 はい。 39 00:02:24,628 --> 00:02:26,630 お前には これをやってもらう。 40 00:02:26,630 --> 00:02:28,131 洗い物? 41 00:02:28,131 --> 00:02:29,633 不服か? 42 00:02:29,633 --> 00:02:32,135 下っ端のやることだからな。 43 00:02:32,135 --> 00:02:35,188 ここでは 嫁の仕事だ。 44 00:02:35,188 --> 00:02:36,723 富岡さん。 45 00:02:36,723 --> 00:02:39,142 明後日のお菓子のことで 相談があるんですが。 46 00:02:39,142 --> 00:02:41,645 (富岡) ああ。 47 00:02:41,645 --> 00:02:43,645 しっかり やれよ。 48 00:02:46,116 --> 00:02:48,616 私の仕事。 49 00:02:49,636 --> 00:02:51,638 (安部) あれだろ? 結婚式に乗り込んで来て➡ 50 00:02:51,638 --> 00:02:53,173 ぶち壊したって。 51 00:02:53,173 --> 00:02:55,709 (城島) そうそうそう。 (杉田) 地味っすね。 52 00:02:55,709 --> 00:02:59,146 (安部) 逆に ああいうタイプが 一番➡ 53 00:02:59,146 --> 00:03:00,630 恐ろしい子! 54 00:03:00,630 --> 00:03:03,130 (山口のせき払い) 55 00:03:06,620 --> 00:03:08,638 《小豆の炊ける香り》 56 00:03:08,638 --> 00:03:10,123 (ふるいをたたく音) 57 00:03:10,123 --> 00:03:12,623 《ふるいをたたく音》 58 00:03:13,677 --> 00:03:16,730 《ガスをつけるたび 熱を感じる》 59 00:03:16,730 --> 00:03:19,633 《あ~! いいわ~!》 60 00:03:19,633 --> 00:03:21,635 《私 一生 ここにいたい!》 61 00:03:21,635 --> 00:03:24,621 (山口) 城島 小豆の渋切り やれるか? 62 00:03:24,621 --> 00:03:26,122 はい。 63 00:03:26,122 --> 00:03:30,126 《渋切りって その言葉も いとおしい!》 64 00:03:30,126 --> 00:03:31,628 (城島) よし…。 65 00:03:31,628 --> 00:03:33,630 待って。 えっ? 66 00:03:33,630 --> 00:03:35,665 忘れてる びっくり水。 67 00:03:35,665 --> 00:03:38,718 小豆は 煮上がったら差し水をして➡ 68 00:03:38,718 --> 00:03:40,620 湯の温度を一気に下げる。 69 00:03:40,620 --> 00:03:43,120 こうすることで ふっくらと煮上がるの。 70 00:03:44,107 --> 00:03:46,610 小豆の表情をよ~く見て。 71 00:03:46,610 --> 00:03:48,128 顔つきが変わって➡ 72 00:03:48,128 --> 00:03:50,630 おいしくなった瞬間を 教えてくれるから。 73 00:03:50,630 --> 00:03:53,130 小豆の表情? 74 00:03:54,117 --> 00:03:56,653 なんてね… フッ。 75 00:03:56,653 --> 00:04:00,106 差し水ですね ハァ~ すいません。 76 00:04:00,106 --> 00:04:03,109 俺 まだ入って1か月で 聞いても すぐ忘れちゃって。 77 00:04:03,109 --> 00:04:05,612 あ~ 代わります。 うん。 78 00:04:05,612 --> 00:04:07,597 《懐かしいな~》 79 00:04:07,597 --> 00:04:10,116 《子供の頃 私も夢見てた》 80 00:04:10,116 --> 00:04:12,102 《ママみたいに ここで➡ 81 00:04:12,102 --> 00:04:14,120 たくさんのお菓子を 作るんだって》 82 00:04:14,120 --> 00:04:16,156 安部 白いんげんは足りてるか? 83 00:04:16,156 --> 00:04:17,691 あ~ はい! 84 00:04:17,691 --> 00:04:20,594 杉田 山芋の準備しておいてくれ。 はい 山芋。 85 00:04:20,594 --> 00:04:23,113 随分と忙しそうだね。 86 00:04:23,113 --> 00:04:26,116 明後日 三坂神社で祈晴祭が あるんです。 87 00:04:26,116 --> 00:04:29,619 毎年 その祭りの奉納菓子を 光月庵が任されているので➡ 88 00:04:29,619 --> 00:04:33,123 当日まで 店総出で大忙しなんですよ。 89 00:04:33,123 --> 00:04:35,123 毎年…。 90 00:04:36,159 --> 00:04:39,729 ねぇ ここで一番古い人って 何年前からいるの? 91 00:04:39,729 --> 00:04:41,114 確か…➡ 92 00:04:41,114 --> 00:04:44,618 富岡さんが ちょうど10年だって 言ってました。 93 00:04:44,618 --> 00:04:46,119 10年…。 94 00:04:46,119 --> 00:04:49,105 山口さんも 同じくらいなんじゃないかな。 95 00:04:49,105 --> 00:04:51,124 でも 歴史ある店なのに➡ 96 00:04:51,124 --> 00:04:54,127 それ以上の人がいないなんて 不思議ですよね。 97 00:04:54,127 --> 00:04:57,697 15年前 先代が亡くなった時に➡ 98 00:04:57,697 --> 00:05:00,116 従業員が 一気に 変わったらしいんですけど…。 99 00:05:00,116 --> 00:05:02,118 ん~ 逆に➡ 100 00:05:02,118 --> 00:05:06,106 お客様のほうが 古い付き合いに なるんじゃないですかね。 101 00:05:06,106 --> 00:05:09,106 常連のお客様…。 102 00:05:12,629 --> 00:05:21,705 ♬~ 103 00:05:21,705 --> 00:05:25,108 《事件当時のことを 知っている人に話を聞けたら➡ 104 00:05:25,108 --> 00:05:27,644 何か手掛かりが つかめるかもしれない》 105 00:05:27,644 --> 00:05:38,104 ♬~ 106 00:05:38,104 --> 00:05:40,140 《この店➡ 107 00:05:40,140 --> 00:05:42,676 50年以上前から お菓子の注文がある》 108 00:05:42,676 --> 00:05:47,176 「呉服屋 白藤屋」。 109 00:05:49,616 --> 00:06:09,669 ♬~ 110 00:06:09,669 --> 00:06:11,169 ♬~ 111 00:06:27,470 --> 00:06:28,171 112 00:06:28,171 --> 00:06:29,672 (富岡) 誰だ!? 113 00:06:29,672 --> 00:06:32,225 白藤屋さんの注文を 明日で受けたのは!? お前か? 114 00:06:32,225 --> 00:06:34,260 どうしたんです? 115 00:06:34,260 --> 00:06:37,147 祈晴祭の日に 白藤屋さんの注文が 入ってるんです。 116 00:06:37,147 --> 00:06:40,166 明日は 一切の注文を受けないと みんな知ってるはずなのに。 117 00:06:40,166 --> 00:06:41,651 誰が…。 118 00:06:41,651 --> 00:06:43,651 私です。 119 00:06:44,637 --> 00:06:47,157 私が受けました。 120 00:06:47,157 --> 00:06:49,142 偶然 注文の電話があったので。 121 00:06:49,142 --> 00:06:51,161 何てことしてくれたんだ!? 122 00:06:51,161 --> 00:06:53,713 しかも 奉納菓子の納品と同じ 12時っすよ! 123 00:06:53,713 --> 00:06:55,749 みんな 祭りに かかりっきりで➡ 124 00:06:55,749 --> 00:06:58,134 お菓子を白藤屋さんに 届けることもできませんよ。 125 00:06:58,134 --> 00:07:00,136 じゃあ 私が届けます。 126 00:07:00,136 --> 00:07:02,639 私は 祭りの人手には 入っていないですし。 127 00:07:02,639 --> 00:07:05,141 ダメだ。 えっ? 128 00:07:05,141 --> 00:07:08,144 白藤屋さんは大切なお客様だ。 129 00:07:08,144 --> 00:07:10,163 僕が届けます。 でも…。 130 00:07:10,163 --> 00:07:12,148 椿さん! 131 00:07:12,148 --> 00:07:15,702 祭りには この辺りの地主が 皆 集まるのよ。 132 00:07:15,702 --> 00:07:18,254 あなたが顔を出さなければ➡ 133 00:07:18,254 --> 00:07:20,754 跡取り失格と見なされますよ。 134 00:07:22,142 --> 00:07:25,128 皆さんは予定通り 仕事をこなしてください。 135 00:07:25,128 --> 00:07:26,663 椿さん! 136 00:07:26,663 --> 00:07:30,166 《せっかく つくった チャンスなのに…》 137 00:07:30,166 --> 00:07:32,166 待って! 138 00:07:33,153 --> 00:07:35,138 信じて 椿さん。 139 00:07:35,138 --> 00:07:38,174 白藤屋さんには しっかり届けるから だから…。 140 00:07:38,174 --> 00:07:39,709 (壁をたたく音) 141 00:07:39,709 --> 00:07:41,761 何を信じるんだ!? 勝手なことしておいて! 142 00:07:41,761 --> 00:07:44,761 お前は言われたことだけ してればいい! 143 00:07:47,150 --> 00:07:49,636 白藤屋さんの注文するお菓子は➡ 144 00:07:49,636 --> 00:07:52,639 先代から ずっと同じ➡ 145 00:07:52,639 --> 00:07:55,642 藤の花を模した 上生菓子。 146 00:07:55,642 --> 00:07:59,145 藤には 子孫繁栄の意味があり➡ 147 00:07:59,145 --> 00:08:03,183 家族で店を守ってらっしゃる 白藤屋さんの心根。 148 00:08:03,183 --> 00:08:05,218 餡は 白餡。 149 00:08:05,218 --> 00:08:09,218 形は 商売である 衣をかたどったもの。 150 00:08:13,643 --> 00:08:15,645 私にも作れます。 151 00:08:15,645 --> 00:08:17,647 信頼を大事にする店は➡ 152 00:08:17,647 --> 00:08:20,147 注文を断ったりなんて しないでしょ? 153 00:08:21,634 --> 00:08:25,138 分かった お前に任せる。 154 00:08:25,138 --> 00:08:26,639 えっ? 155 00:08:26,639 --> 00:08:28,691 でも お菓子は俺が作る。 祭りのお菓子は…。 156 00:08:28,691 --> 00:08:30,691 寝なければ 作れる。 157 00:08:33,646 --> 00:08:36,132 (長谷健造) だから私は最初から➡ 158 00:08:36,132 --> 00:08:39,119 和菓子屋の嫁なんて やめておけと言ったんだ! 159 00:08:39,119 --> 00:08:41,621 なのに お前が どうしてもと言うから! 160 00:08:41,621 --> 00:08:43,139 (長谷房枝) あなた…。 161 00:08:43,139 --> 00:08:46,142 (長谷) いいか 栞 あの男のことは忘れるんだ。 162 00:08:46,142 --> 00:08:48,178 今後一切 関わるな! 163 00:08:48,178 --> 00:08:51,614 (長谷 栞) お父様 でも 私は…。 164 00:08:51,614 --> 00:08:53,114 うるさい! 165 00:08:55,135 --> 00:09:15,138 ♬~ 166 00:09:15,138 --> 00:09:19,142 ♬~ 167 00:09:19,142 --> 00:09:21,144 (富岡) おい 急げ。 (安部) はい! 168 00:09:21,144 --> 00:09:24,144 (杉田) 安部さん これ どうやるんでしたっけ? 169 00:09:26,132 --> 00:09:28,132 あの…。 170 00:09:30,119 --> 00:09:33,156 それでは いってまいります。 171 00:09:33,156 --> 00:09:34,691 お~! 172 00:09:34,691 --> 00:09:36,691 城島。 はい。 173 00:09:46,135 --> 00:09:49,672 少しでも粗相があったら 許さないからな。 174 00:09:49,672 --> 00:09:51,672 はい。 175 00:09:53,676 --> 00:09:56,176 《言われなくても うまくやる》 176 00:10:00,166 --> 00:10:03,666 《そのために 行くんだから》 177 00:10:07,257 --> 00:10:11,144 このたび 光月庵の長男 椿さんと 結婚することになりました➡ 178 00:10:11,144 --> 00:10:13,146 七桜と申します。 179 00:10:13,146 --> 00:10:15,164 突然 押し掛けて 申し訳ございません。 180 00:10:15,164 --> 00:10:20,136 まぁまぁ わざわざ来ていただいて。 181 00:10:20,136 --> 00:10:23,656 あの これ… ご挨拶に。 182 00:10:23,656 --> 00:10:26,693 ご丁寧に ありがとうございます。 183 00:10:26,693 --> 00:10:30,193 今 主人 呼んでまいりますね。 184 00:10:33,149 --> 00:10:34,649 ハァ…。 185 00:10:35,635 --> 00:10:37,637 うまくやらなきゃ。 186 00:10:37,637 --> 00:10:41,624 《今日 聞けなくても 何回か通わせてもらえば➡ 187 00:10:41,624 --> 00:10:44,127 事件の手掛かりが きっと…》 188 00:10:44,127 --> 00:10:46,145 お菓子の器 用意してちょうだい。 189 00:10:46,145 --> 00:10:47,645 はい。 190 00:10:51,718 --> 00:10:53,718 キャ~! 191 00:10:55,121 --> 00:10:57,123 どうかされましたか? 192 00:10:57,123 --> 00:10:59,623 お菓子が…。 えっ? 193 00:11:03,146 --> 00:11:04,647 ハッ! 194 00:11:04,647 --> 00:11:07,667 光月庵さん ご挨拶のお菓子が こんなことって➡ 195 00:11:07,667 --> 00:11:09,669 どういうつもりなんですか!? 196 00:11:09,669 --> 00:11:11,669 赤… 赤い色…。 197 00:11:15,758 --> 00:11:18,144 ハァ ハァ ハァ…。 198 00:11:18,144 --> 00:11:20,146 ハァ ハァ ハァ…。 199 00:11:20,146 --> 00:11:22,165 (女将) 七桜さん? 200 00:11:22,165 --> 00:11:27,654 (今日子の声) ♪~ 通りゃんせ 通りゃんせ 201 00:11:27,654 --> 00:11:31,674 ♪~ ここは どこの細道じゃ 202 00:11:31,674 --> 00:11:33,710 どうして…。 203 00:11:33,710 --> 00:11:38,631 ♪~ 天神さまの細道じゃ 204 00:11:38,631 --> 00:11:43,636 ♪~ ちょっと通してくだしゃんせ 205 00:11:43,636 --> 00:11:47,657 椿さん どういうことなんですか? 206 00:11:47,657 --> 00:11:50,159 罰ですよ。 207 00:11:50,159 --> 00:11:53,146 彼女は ウソをついていたようなので。 208 00:11:53,146 --> 00:11:55,198 ハァ ハァ…。 209 00:11:55,198 --> 00:12:00,636 ♪~ お札を納めに参ります 210 00:12:00,636 --> 00:12:07,143 ♪~ 行きは よいよい 帰りは こわい 211 00:12:07,143 --> 00:12:09,645 ハァ ハァ ハァ…。 212 00:12:09,645 --> 00:12:13,116 ハァ ハァ ハァ…。 自業自得だな。 213 00:12:13,116 --> 00:12:16,686 ウソをつくから こんなことになるんだ。 214 00:12:16,686 --> 00:12:19,255 ♪~ こわいながらも 215 00:12:19,255 --> 00:12:26,755 ♪~ とーおりゃんせ とーおりゃんせ 216 00:12:28,131 --> 00:12:30,616 本当に 申し訳ありません! 217 00:12:30,616 --> 00:12:33,619 まぁまぁ お顔を上げてくださいな。 218 00:12:33,619 --> 00:12:36,122 お体のほうは もういいの? 219 00:12:36,122 --> 00:12:39,125 お騒がせして 申し訳ありませんでした。 220 00:12:39,125 --> 00:12:41,160 あの 次の時は…。 221 00:12:41,160 --> 00:12:43,162 お菓子には➡ 222 00:12:43,162 --> 00:12:48,251 贈る方の気持ちが 込められているものなんですよね。 223 00:12:48,251 --> 00:12:50,636 七桜さんのお気持ち➡ 224 00:12:50,636 --> 00:12:54,657 存分に伝わりましたわ。 225 00:12:54,657 --> 00:12:56,659 《確信》 226 00:12:56,659 --> 00:13:01,647 《この店の敷居は 二度と またがせてもらえない》 227 00:13:01,647 --> 00:13:04,147 ひどい顔だな。 228 00:13:05,151 --> 00:13:07,186 本当に ごめんなさい。 229 00:13:07,186 --> 00:13:09,238 でも 誰がお菓子を? 230 00:13:09,238 --> 00:13:17,647 ♬~ 231 00:13:17,647 --> 00:13:20,149 お前は 何でウソをついた? 232 00:13:20,149 --> 00:13:21,651 えっ…。 233 00:13:21,651 --> 00:13:23,636 お前が出て行った後➡ 234 00:13:23,636 --> 00:13:27,140 確認のために 白藤屋さんに電話を入れた。 235 00:13:27,140 --> 00:13:29,642 返って来た言葉は➡ 236 00:13:29,642 --> 00:13:32,542 「そんな注文は していない」 だった。 237 00:13:34,213 --> 00:13:36,632 誰が犯人だとか➡ 238 00:13:36,632 --> 00:13:39,669 そんなことは今更 どうでもいい。 239 00:13:39,669 --> 00:13:42,138 分かってるのは➡ 240 00:13:42,138 --> 00:13:48,138 大切なお客様を1人 失ったという現実だ。 241 00:13:52,131 --> 00:13:55,701 《光月庵なんて なくなればいい》 242 00:13:55,701 --> 00:13:58,788 《ずっと そう思って来た》 243 00:13:58,788 --> 00:14:02,208 ⦅それ 光月庵の和菓子?⦆ ⦅手土産に持って来たの⦆ 244 00:14:02,208 --> 00:14:05,161 ⦅うわ~ 楽しみ! フフフ…⦆ 245 00:14:05,161 --> 00:14:09,661 《光月庵のお菓子は みんなに愛されてる》 246 00:14:10,716 --> 00:14:15,716 《どうして? 私から全てを奪ったのに》 247 00:14:17,139 --> 00:14:22,639 《光月庵がなくなれば 私の苦しみは きっと終わる》 248 00:14:24,130 --> 00:14:29,151 《でも 今 ここが なくなってしまったら➡ 249 00:14:29,151 --> 00:14:32,151 真実が分からなくなってしまう》 250 00:14:36,726 --> 00:14:38,661 椿。 251 00:14:38,661 --> 00:14:41,661 3か月で結果が出せそうか? 252 00:14:51,157 --> 00:14:54,176 お~! びっくりした 何してんですか こんなところで。 253 00:14:54,176 --> 00:14:57,230 ごめんなさい 考え事してて。 254 00:14:57,230 --> 00:15:00,149 お茶なら 部屋で飲んだらいいのに。 255 00:15:00,149 --> 00:15:04,136 やっぱり ここが落ち着くんだよね~。 256 00:15:04,136 --> 00:15:06,639 小豆の香りとか。 257 00:15:06,639 --> 00:15:10,126 分かります! めちゃくちゃ癒やされますよね。 258 00:15:10,126 --> 00:15:13,112 蒸気がモワっと立つとことか。 年季の入った道具とか。 259 00:15:13,112 --> 00:15:15,147 妄想しちゃわない? どんなお菓子ができるとか! 260 00:15:15,147 --> 00:15:17,199 するする それで 腹いっぱいになったり…。 261 00:15:17,199 --> 00:15:18,734 ハハハ…。 ハハハ…。 262 00:15:18,734 --> 00:15:22,121 《あ~ こんな話 久々!》 263 00:15:22,121 --> 00:15:25,641 考え事って どうかしたんですか? 264 00:15:25,641 --> 00:15:28,127 ちょっと 白藤屋さんのことで…。 265 00:15:28,127 --> 00:15:32,131 あ~ 注文 受けられて よかったですよね。 266 00:15:32,131 --> 00:15:35,618 光月庵にとっては 一番のお得意さんですし。 267 00:15:35,618 --> 00:15:37,670 女将まで お菓子をチェックしたりして。 268 00:15:37,670 --> 00:15:40,723 えっ? 女将が? 269 00:15:40,723 --> 00:15:43,125 はい 今朝 チラっと見ただけだけど➡ 270 00:15:43,125 --> 00:15:46,625 今まで そんなことなかったから 珍しいなって。 271 00:15:49,131 --> 00:15:51,117 まさか…。 272 00:15:51,117 --> 00:15:53,117 ちょっ… 七桜さん? 273 00:15:57,123 --> 00:15:58,658 あら。 274 00:15:58,658 --> 00:16:00,693 随分 遅かったのね。 275 00:16:00,693 --> 00:16:03,262 私の荷物 何するんですか? 276 00:16:03,262 --> 00:16:06,132 荷造りをしてさしあげてるのよ。 277 00:16:06,132 --> 00:16:11,137 お客様に失礼をする人間は 置いておけないでしょ。 278 00:16:11,137 --> 00:16:15,625 あら どうしたの? そんな顔して。 279 00:16:15,625 --> 00:16:18,625 あ~! お金ね。 280 00:16:23,165 --> 00:16:26,202 最初から➡ 281 00:16:26,202 --> 00:16:29,202 これが目当てだったんでしょ? 282 00:16:31,140 --> 00:16:36,128 はい さよなら 七桜さん。 283 00:16:36,128 --> 00:16:39,628 私を追い出すために お菓子を…。 284 00:16:43,152 --> 00:16:46,656 私 出て行ったりしません! 285 00:16:46,656 --> 00:16:50,209 白藤屋さんには 何とか お許しをいただきます。 286 00:16:50,209 --> 00:16:52,261 何言ってるの? 287 00:16:52,261 --> 00:16:54,647 その爪➡ 288 00:16:54,647 --> 00:16:56,649 お着物には似合わない➡ 289 00:16:56,649 --> 00:16:59,649 随分 赤いマニキュアですね。 290 00:17:01,637 --> 00:17:04,140 何が言いたいの? 291 00:17:04,140 --> 00:17:07,660 私は 椿さんと結婚するんです! 292 00:17:07,660 --> 00:17:10,680 椿さんに言われるまでは 出て行きません! 293 00:17:10,680 --> 00:17:25,645 ♬~ 294 00:17:25,645 --> 00:17:28,681 この…。 295 00:17:28,681 --> 00:17:30,681 疫病神! 296 00:17:32,652 --> 00:17:34,654 蝶はね➡ 297 00:17:34,654 --> 00:17:39,659 自分と同じ美しい蝶としか 子孫を残さないの。 298 00:17:39,659 --> 00:17:42,728 蛾を家族にしたりしない。 299 00:17:42,728 --> 00:17:45,228 よそ者は いらないの‼ 300 00:17:47,667 --> 00:17:49,669 (高月) なぁ 椿。 301 00:17:49,669 --> 00:17:52,669 あの子は見つかったか? 302 00:17:54,140 --> 00:17:56,640 また その話ですか。 303 00:17:58,144 --> 00:18:00,663 それより 薬をお飲みください。 304 00:18:00,663 --> 00:18:02,663 (山口) ≪失礼します≫ 305 00:18:04,200 --> 00:18:06,700 椿さん 電話が入ってます。 306 00:18:09,655 --> 00:18:12,158 (高月) 椿。 307 00:18:12,158 --> 00:18:16,645 私が この世で 一番大切にしているのが➡ 308 00:18:16,645 --> 00:18:18,645 何か分かるか? 309 00:18:21,701 --> 00:18:25,738 お前は絶対に 光月庵を継げん。 310 00:18:25,738 --> 00:18:32,238 ♬~ 311 00:20:04,153 --> 00:20:06,138 女将さん やめて! やめてください! 312 00:20:06,138 --> 00:20:08,123 椿さんが あなたなんか 相手にするわけないでしょ! 313 00:20:08,123 --> 00:20:10,142 さっさと出て行きなさい! 314 00:20:10,142 --> 00:20:12,144 お願いだから やめてください! 315 00:20:12,144 --> 00:20:14,129 こんなもの! 離して! 316 00:20:14,129 --> 00:20:16,129 離してください! 317 00:20:17,149 --> 00:20:19,185 《あの中には…》 318 00:20:19,185 --> 00:20:21,237 (百合子) ⦅七桜がやりたいって思うなら➡ 319 00:20:21,237 --> 00:20:23,622 作り続けてほしいな⦆ 320 00:20:23,622 --> 00:20:33,632 ♬~ 321 00:20:33,632 --> 00:20:35,634 キャっ! 322 00:20:35,634 --> 00:20:38,654 フフ… まぁ 汚い。 323 00:20:38,654 --> 00:20:43,742 もう二度と光月庵に 足を踏み入れないでちょうだい。 324 00:20:43,742 --> 00:20:46,161 ≪何をしてるんです?≫ 325 00:20:46,161 --> 00:20:48,161 椿さん。 326 00:20:49,632 --> 00:20:51,634 《泣いちゃダメ》 327 00:20:51,634 --> 00:20:54,119 ここを出て行くそうよ。 328 00:20:54,119 --> 00:20:57,122 あなたも そうしてもらうつもり だったんでしょ? 329 00:20:57,122 --> 00:20:59,675 《最初から分かってたはず》 330 00:20:59,675 --> 00:21:03,762 《ここには 手を差し伸べてくれる人なんて➡ 331 00:21:03,762 --> 00:21:05,762 誰もいないって》 332 00:21:10,135 --> 00:21:12,135 椿さん! 333 00:21:31,206 --> 00:21:33,609 七桜には もう少し ここにいてもらいます。 334 00:21:33,609 --> 00:21:35,110 な…。 335 00:21:35,110 --> 00:21:37,613 白藤屋さんから 電話があったんです。 336 00:21:37,613 --> 00:21:40,115 最中を20個 お願いしたいと。 337 00:21:40,115 --> 00:21:42,117 ただし➡ 338 00:21:42,117 --> 00:21:44,617 七桜が作ったものでと 指名付きで。 339 00:21:47,106 --> 00:21:51,193 やっぱり 先生が たてられた お茶は最高ですわ。 340 00:21:51,193 --> 00:21:54,113 (男性) いや ただの道楽ですよ。 341 00:21:54,113 --> 00:21:57,633 そういえば 先生の言われた通り➡ 342 00:21:57,633 --> 00:22:00,602 光月庵さんに注文を入れましたよ。 343 00:22:00,602 --> 00:22:04,123 私には正直 分かりませんわ。 344 00:22:04,123 --> 00:22:07,609 椿さんが なぜ あの子を妻にしたいのか。 345 00:22:07,609 --> 00:22:09,662 彼女のお菓子を食べれば➡ 346 00:22:09,662 --> 00:22:11,662 分かるかもしれませんね。 347 00:22:13,215 --> 00:22:15,715 楽しみにしていましょう。 348 00:22:25,611 --> 00:22:28,611 お前に 光月庵の餡を教えてやる。 349 00:22:33,102 --> 00:22:34,620 (店員) ≪ありがとうございます≫ 350 00:22:34,620 --> 00:22:37,656 (椿の声) 「中秋の名月」の意味を持つ最中。 351 00:22:37,656 --> 00:22:40,159 光月庵の最中は 粒餡だ。 352 00:22:40,159 --> 00:22:44,159 食べると口の中で 最中の皮と しっとり 一体となる。 353 00:22:45,214 --> 00:22:47,132 小豆が炊き上がったら➡ 354 00:22:47,132 --> 00:22:49,134 同量のざらめを入れて 練り上げる。 355 00:22:49,134 --> 00:22:50,636 はい。 356 00:22:50,636 --> 00:22:52,654 照りが減って 赤紫色になって来た時が➡ 357 00:22:52,654 --> 00:22:54,673 練り上がりのタイミングだ。 358 00:22:54,673 --> 00:22:57,159 ここで 餡子のおいしさが決まる。 359 00:22:57,159 --> 00:22:59,144 はい。 360 00:22:59,144 --> 00:23:09,638 ♬~ 361 00:23:09,638 --> 00:23:11,638 全然ダメだな。 362 00:23:13,175 --> 00:23:15,177 練りの時の火力が強い。 363 00:23:15,177 --> 00:23:17,179 それに 早く火を止め過ぎだ。 364 00:23:17,179 --> 00:23:18,679 はい! 365 00:23:23,669 --> 00:23:26,688 富岡さん お疲れさま。 366 00:23:26,688 --> 00:23:28,207 あ~ 女将。 367 00:23:28,207 --> 00:23:30,259 どうです? 厨房のほうは。 368 00:23:30,259 --> 00:23:32,678 やりにくくなってるんじゃ ありません? 369 00:23:32,678 --> 00:23:36,178 まったくですよ 小娘が ちょろちょろしやがって。 370 00:23:37,666 --> 00:23:40,169 今の光月庵があるのも➡ 371 00:23:40,169 --> 00:23:42,154 富岡さんのおかげよ。 372 00:23:42,154 --> 00:23:44,156 もっと自信を持って➡ 373 00:23:44,156 --> 00:23:47,176 富岡さんの やりやすいように してちょうだい。 374 00:23:47,176 --> 00:23:49,176 あぁ…。 375 00:23:50,696 --> 00:23:52,247 えっ? 376 00:23:52,247 --> 00:23:54,650 だから 厨房は使わせないって 言ってんだよ。 377 00:23:54,650 --> 00:23:56,151 作業の邪魔なんだ。 378 00:23:56,151 --> 00:23:58,137 じゃあ もっと隅でやります。 鍋も使わないでくれ。 379 00:23:58,137 --> 00:24:00,155 あんたが いいかげんな餡子を作って➡ 380 00:24:00,155 --> 00:24:02,141 その味が付いちまったら どうすんだよ。 381 00:24:02,141 --> 00:24:04,643 なぁ 山口さん あんただって気に入らないだろ? 382 00:24:04,643 --> 00:24:06,662 私は別に。 383 00:24:06,662 --> 00:24:09,698 邪魔だよな? 邪魔です はい なっ? 384 00:24:09,698 --> 00:24:11,216 はい。 とにかく➡ 385 00:24:11,216 --> 00:24:13,168 さっさと出て行ってくれ。 そんな…。 386 00:24:13,168 --> 00:24:15,654 ここが使えないと 餡子が作れないんです。 387 00:24:15,654 --> 00:24:17,656 お願いします。 388 00:24:17,656 --> 00:24:19,124 どけって! 389 00:24:19,124 --> 00:24:21,160 すいません 富岡さん。 390 00:24:21,160 --> 00:24:24,146 白藤屋さんの注文を上げるまで 我慢してもらえませんか? 391 00:24:24,146 --> 00:24:27,733 店にとって 名誉挽回できる 大切な注文なんです。 392 00:24:27,733 --> 00:24:29,233 知らねえな。 393 00:24:30,269 --> 00:24:32,287 お願いではなく➡ 394 00:24:32,287 --> 00:24:34,187 命令だと言っても? 395 00:24:35,691 --> 00:24:37,676 椿さん。 396 00:24:37,676 --> 00:24:40,179 あんた まだ修業の身だろ? 397 00:24:40,179 --> 00:24:43,182 私が従うのは どんな時も 一人だけだ。 398 00:24:43,182 --> 00:24:47,719 大旦那様だけ 勝手な指図は受けねえ。 399 00:24:47,719 --> 00:24:50,722 光月庵の当主は 大旦那様だ。 400 00:24:50,722 --> 00:24:53,659 あんたには 何の権限もない。 401 00:24:53,659 --> 00:25:00,666 ♬~ 402 00:25:00,666 --> 00:25:03,666 富岡さんの おっしゃる通りです。 403 00:25:05,187 --> 00:25:06,672 ハッ…。 404 00:25:06,672 --> 00:25:09,172 作業に戻れ! (安部たち) はい。 405 00:25:11,727 --> 00:25:13,779 (壁をたたく音) クッソ! 406 00:25:13,779 --> 00:25:15,664 椿…。 407 00:25:15,664 --> 00:25:19,664 (高月) 大事な手を 随分 乱暴に使うもんだ。 408 00:25:21,186 --> 00:25:24,156 おじい様の差し金ですか? 409 00:25:24,156 --> 00:25:26,656 何の話だ? 410 00:25:35,167 --> 00:25:37,169 お願いがあります。 411 00:25:37,169 --> 00:25:40,155 私に厨房を仕切る権限をください。 412 00:25:40,155 --> 00:25:43,625 私も ボケが始まったかな。 413 00:25:43,625 --> 00:25:47,646 その話は 昨日もした気がするが。 414 00:25:47,646 --> 00:25:50,199 権限を譲るのは➡ 415 00:25:50,199 --> 00:25:54,253 この店を正式に継ぐ者だけだ。 416 00:25:54,253 --> 00:25:59,753 今 あそこに眠る道具を 使うことができる者だけ。 417 00:26:00,659 --> 00:26:03,159 お前には 譲ることはできん。 418 00:26:06,648 --> 00:26:09,184 あの…。 419 00:26:09,184 --> 00:26:12,688 七桜さんといったかな? 420 00:26:12,688 --> 00:26:17,188 あんた 知ってて 椿と一緒になろうとしてるのか? 421 00:26:18,710 --> 00:26:22,210 椿は 光月庵を継げん。 422 00:26:23,298 --> 00:26:26,798 私の本当の孫じゃないからな。 423 00:26:28,670 --> 00:26:30,170 えっ? 424 00:28:37,149 --> 00:28:47,642 425 00:28:47,642 --> 00:28:50,145 あっ キレイ! 426 00:28:50,145 --> 00:28:52,180 120年前➡ 427 00:28:52,180 --> 00:28:56,234 光月庵は一度 経営が大きく傾いたことがある。 428 00:28:56,234 --> 00:28:59,137 当時 名物だった まんじゅうの製造方法を➡ 429 00:28:59,137 --> 00:29:01,156 弟子に盗まれたんだ。 430 00:29:01,156 --> 00:29:04,659 その弟子は 新しく自分の店を出して➡ 431 00:29:04,659 --> 00:29:08,159 光月庵は まんじゅうを作れなくなった。 432 00:29:10,649 --> 00:29:13,151 それから➡ 433 00:29:13,151 --> 00:29:16,722 光月庵は 血縁を何よりも大切にして➡ 434 00:29:16,722 --> 00:29:20,158 それ以外の者に 決して店を譲らないことにした。 435 00:29:20,158 --> 00:29:25,158 金科玉条のごとく 店の守り事になったんだ。 436 00:29:27,649 --> 00:29:30,649 この道具は その象徴だ。 437 00:29:31,636 --> 00:29:34,673 道具には 職人の魂が宿るもの。 438 00:29:34,673 --> 00:29:38,243 店を正式に継ぐ者だけに➡ 439 00:29:38,243 --> 00:29:40,743 代々 譲り渡される。 440 00:29:41,663 --> 00:29:44,149 15年間➡ 441 00:29:44,149 --> 00:29:47,169 この道具は 使う者がいなくて➡ 442 00:29:47,169 --> 00:29:49,671 ここで眠ってる。 443 00:29:49,671 --> 00:29:52,171 15年…。 444 00:29:57,696 --> 00:29:59,696 椿は…。 445 00:30:01,233 --> 00:30:05,137 おじい様の本当の孫じゃないって どういう? 446 00:30:05,137 --> 00:30:07,122 フッ。 447 00:30:07,122 --> 00:30:10,625 女将の不貞でできた子。 448 00:30:10,625 --> 00:30:13,211 あの人は そう思ってる。 449 00:30:13,211 --> 00:30:16,231 ⦅このウソつきが‼⦆ 450 00:30:16,231 --> 00:30:19,267 ⦅お前は この家の人間じゃ ない⦆ 451 00:30:19,267 --> 00:30:21,267 ⦅出て行け!⦆ 452 00:30:22,687 --> 00:30:25,240 くだらない。 453 00:30:25,240 --> 00:30:28,660 血のつながりに何の意味がある? 454 00:30:28,660 --> 00:30:32,731 大切なのは 和菓子に対する情熱だ 意志だ! 455 00:30:32,731 --> 00:30:34,716 (高月 樹)⦅いいな? 椿⦆ 456 00:30:34,716 --> 00:30:37,235 (樹)⦅いつか 立派に この店を継ぐんだぞ⦆ 457 00:30:37,235 --> 00:30:39,235 ⦅はい!⦆ 458 00:30:41,673 --> 00:30:44,173 約束したんだ。 459 00:30:48,146 --> 00:30:50,649 この店は➡ 460 00:30:50,649 --> 00:30:53,134 絶対 誰にも渡さない。 461 00:30:53,134 --> 00:30:59,658 ♬~ 462 00:30:59,658 --> 00:31:04,229 《椿は 本当に この店を守ろうとしている》 463 00:31:04,229 --> 00:31:07,229 《真剣に お菓子と向き合ってる》 464 00:31:09,317 --> 00:31:11,636 ⦅ほら⦆ ⦅キレイ!⦆ 465 00:31:11,636 --> 00:31:15,136 《今も 私が知ってる椿のままなの?》 466 00:31:16,208 --> 00:31:19,208 《じゃあ あの日の椿も…》 467 00:31:20,745 --> 00:31:22,631 ⦅さくらのお母さん⦆ 468 00:31:22,631 --> 00:31:26,131 《もしかして 本当にママの姿を見たの?》 469 00:31:28,136 --> 00:31:30,171 七桜さん! 470 00:31:30,171 --> 00:31:32,707 城島君。 物音がしたんで…。 471 00:31:32,707 --> 00:31:34,626 どうしたんですか? こんな遅くに。 472 00:31:34,626 --> 00:31:36,144 うん…。 473 00:31:36,144 --> 00:31:39,130 店の作業が終わった 夜10時すぎから朝までなら➡ 474 00:31:39,130 --> 00:31:41,132 こっそり 厨房 使えるかなって。 475 00:31:41,132 --> 00:31:44,619 店で炊いた餡子のストック 使えばいいじゃないですか。 476 00:31:44,619 --> 00:31:46,638 明日 俺がバレないように 取っときましょうか。 477 00:31:46,638 --> 00:31:48,640 そんな ダメだよ。 大丈夫です。 478 00:31:48,640 --> 00:31:51,710 最中20個分くらいの量 分かりませんって。 479 00:31:51,710 --> 00:31:53,612 それに 七桜さんには➡ 480 00:31:53,612 --> 00:31:55,630 まだ この店に いてほしいんですよね。 481 00:31:55,630 --> 00:31:57,148 ほら➡ 482 00:31:57,148 --> 00:32:00,135 「小豆 癒やされ仲間」として。 483 00:32:00,135 --> 00:32:02,635 城島君。 484 00:32:06,641 --> 00:32:19,120 ♬~ 485 00:32:19,120 --> 00:32:21,156 今日子さん。 486 00:32:21,156 --> 00:32:24,643 屋敷の中じゃ さすがに マズいでしょ。 487 00:32:24,643 --> 00:32:27,145 まぁ…。 488 00:32:27,145 --> 00:32:29,648 それも悪くないか。 489 00:32:29,648 --> 00:32:33,548 なぁ 早く 俺に新しい店をくれよ。 490 00:32:35,203 --> 00:32:37,739 ≪ゲスいですね 富岡さん≫ 491 00:32:37,739 --> 00:32:40,739 (富岡) あっ びっくりした… お前! 492 00:32:45,146 --> 00:32:48,146 厨房を返してもらえますか? 493 00:32:49,651 --> 00:32:52,654 (城島) えっ 何でダメなんですか? 494 00:32:52,654 --> 00:32:56,708 店で作った餡子を使うのは ズルいってことですか? 495 00:32:56,708 --> 00:33:00,211 ううん もったいないなって 思っちゃったの。 496 00:33:00,211 --> 00:33:03,231 こんなに たくさん餡子を作れる 機会なんてないでしょ。 497 00:33:03,231 --> 00:33:07,152 よく考えたら こんな ワクワクすることないなって。 498 00:33:07,152 --> 00:33:10,155 忘れてた こんな気持ち。 499 00:33:10,155 --> 00:33:13,642 何か 恥ずかしいっすね 俺。 500 00:33:13,642 --> 00:33:15,660 職人 目指してるのに。 501 00:33:15,660 --> 00:33:18,647 城島君は どうして和菓子職人に? 502 00:33:18,647 --> 00:33:21,182 実家が和菓子屋なんです。 503 00:33:21,182 --> 00:33:24,219 「しまや」って 能登にある 小さな店なんですけど➡ 504 00:33:24,219 --> 00:33:26,137 ここには修業に来てて。 505 00:33:26,137 --> 00:33:29,658 だから 早く 一人前になって 親を安心させないと。 506 00:33:29,658 --> 00:33:31,660 和菓子屋の跡取り息子? 507 00:33:31,660 --> 00:33:34,162 ハハっ うちは そんな 大層な あれじゃないんで。 508 00:33:34,162 --> 00:33:35,647 フフフ…。 509 00:33:35,647 --> 00:33:38,149 城島君 髪に餡子 付いてる。 510 00:33:38,149 --> 00:33:41,219 えっ! マジっすか? えっ どこ? 511 00:33:41,219 --> 00:33:42,737 あっ…。 512 00:33:42,737 --> 00:33:46,157 う~わ ハッズ! もう いつからだよ。 513 00:33:46,157 --> 00:33:48,159 ちょっと待って もう一個 付いてる。 514 00:33:48,159 --> 00:33:50,159 えっ? 待って。 515 00:33:52,647 --> 00:33:55,133 あっ ごめん。 ごめん。 516 00:33:55,133 --> 00:33:56,633 おい。 517 00:33:57,652 --> 00:33:59,652 俺の妻だぞ。 518 00:34:01,706 --> 00:34:03,642 すいません 俺 失礼します。 519 00:34:03,642 --> 00:34:05,627 あっ。 520 00:34:05,627 --> 00:34:07,627 ありがとう 城島君。 521 00:34:16,638 --> 00:34:18,657 随分 親しくなったんだな。 522 00:34:18,657 --> 00:34:21,157 別に そんなんじゃ…。 523 00:34:23,128 --> 00:34:25,630 《おや? 今のって➡ 524 00:34:25,630 --> 00:34:28,630 焼きもち とか?》 525 00:34:30,652 --> 00:34:33,138 何だ? いえ。 526 00:34:33,138 --> 00:34:36,138 《今は 餡子に集中!》 527 00:34:39,661 --> 00:34:42,697 てっきり…。 えっ。 528 00:34:42,697 --> 00:34:45,133 あんたは出て行くと思ってた。 529 00:34:45,133 --> 00:34:48,153 俺が この店の 正式な跡取りじゃないと知って➡ 530 00:34:48,153 --> 00:34:51,653 正直 俺との結婚に 興味が なくなったんじゃないのか? 531 00:34:55,176 --> 00:34:59,647 白藤屋さんに 和菓子を 嫌いになってほしくないから。 532 00:34:59,647 --> 00:35:02,147 あのまま終わりにしたくない。 533 00:35:06,221 --> 00:35:10,141 それに 餡子は私の憧れなの。 534 00:35:10,141 --> 00:35:12,160 憧れ? 535 00:35:12,160 --> 00:35:15,146 小さい頃 私 お気に入りの絵本を➡ 536 00:35:15,146 --> 00:35:17,232 親に読んでもらうのが好きだった。 537 00:35:17,232 --> 00:35:19,651 ⦅「にばんめ やぎの がらがらどんが…」⦆ 538 00:35:19,651 --> 00:35:21,653 (七桜の声) せがむと どんなに忙しくても➡ 539 00:35:21,653 --> 00:35:24,205 時間を見つけて読んでくれた。 540 00:35:24,205 --> 00:35:29,160 でも 餡子を作ってる時だけは 違ったの。 541 00:35:29,160 --> 00:35:32,664 餡子の前から 絶対 離れてくれなくて➡ 542 00:35:32,664 --> 00:35:35,164 ずっと見詰めてた。 543 00:35:36,668 --> 00:35:39,170 あんたの親も職人だったのか? 544 00:35:39,170 --> 00:35:41,170 えっ? 545 00:35:42,690 --> 00:35:44,709 ううん…。 546 00:35:44,709 --> 00:35:48,709 家で… たまに作ってくれてただけ。 547 00:35:51,166 --> 00:35:53,151 でも➡ 548 00:35:53,151 --> 00:35:56,151 おいしい餡子を作る人 だったんだろうな。 549 00:35:58,156 --> 00:36:02,143 餡子は 作る時の気温 火加減 時間➡ 550 00:36:02,143 --> 00:36:05,680 その時の状況に 味が すごく左右される。 551 00:36:05,680 --> 00:36:09,250 作る者の感情も例外じゃ ない。 552 00:36:09,250 --> 00:36:13,171 いらついてる時や悲しい時に 作ったものは すぐ分かる。 553 00:36:13,171 --> 00:36:17,171 いわば 自分を映す鏡だ。 554 00:36:20,161 --> 00:36:23,164 「自分を映す…」。 555 00:36:23,164 --> 00:36:28,720 だから 俺は 餡子を作る時…➡ 556 00:36:28,720 --> 00:36:31,239 少し怖い。 557 00:36:31,239 --> 00:36:33,639 椿…。 558 00:36:34,659 --> 00:36:37,679 あっ… 差し水 用意しておけ。 559 00:36:37,679 --> 00:36:39,681 はい。 560 00:36:39,681 --> 00:36:52,181 ♬~ 561 00:36:54,229 --> 00:36:57,165 小豆のつぶし具合は ちょうどいい。 562 00:36:57,165 --> 00:37:00,151 砂糖の量も間違ってない。 563 00:37:00,151 --> 00:37:02,651 程よい しっとり感もある。 564 00:37:04,138 --> 00:37:06,174 完璧な光月庵の餡子だ。 565 00:37:06,174 --> 00:37:09,661 あ~ よかった~。 566 00:37:09,661 --> 00:37:12,213 でも 何かが足りない。 567 00:37:12,213 --> 00:37:14,749 えっ? 568 00:37:14,749 --> 00:37:18,152 あんた 光月庵の餡子を おいしいと思ってないだろ? 569 00:37:18,152 --> 00:37:19,654 何で? 570 00:37:19,654 --> 00:37:24,158 言ったろ? 「餡子は自分を映す鏡だ」って。 571 00:37:24,158 --> 00:37:27,145 あんたが 本当に おいしいと思う餡子➡ 572 00:37:27,145 --> 00:37:29,145 作ってみろよ。 573 00:39:33,121 --> 00:39:34,622 どういうことなの!? 574 00:39:34,622 --> 00:39:37,125 あの子 わが物顔で 厨房を使ってるわよ。 575 00:39:37,125 --> 00:39:40,094 まぁ いいじゃないか それより➡ 576 00:39:40,094 --> 00:39:42,113 俺の店のことなんだが…。 577 00:39:42,113 --> 00:39:45,633 そんなこと 自力で何とかしてちょうだい! 578 00:39:45,633 --> 00:39:48,653 ホントに 使えない男。 579 00:39:48,653 --> 00:39:50,153 フッ! 580 00:39:51,723 --> 00:39:54,625 光月庵の最中は もち米で しっとりさせて➡ 581 00:39:54,625 --> 00:39:57,128 薄めに焼いてるでしょ? 582 00:39:57,128 --> 00:40:00,114 だから 豆のつぶしを少し緩くして➡ 583 00:40:00,114 --> 00:40:02,600 豆の食感を もっと残すのがいいと思う。 584 00:40:02,600 --> 00:40:06,120 それに いい豆を使ってるから 甘さを控えめにして➡ 585 00:40:06,120 --> 00:40:08,106 本来のうま味を引き出すの! 586 00:40:08,106 --> 00:40:10,106 甘さ控えめか。 587 00:40:12,210 --> 00:40:14,245 蜂蜜を使うのも ありかもな。 588 00:40:14,245 --> 00:40:16,745 それ 隠し味に使いたい! 589 00:40:18,633 --> 00:40:35,666 ♬~ 590 00:40:35,666 --> 00:40:37,218 ♬~ できた。 591 00:40:37,218 --> 00:40:41,218 ♬~ 592 00:40:55,136 --> 00:40:57,138 どう? 593 00:40:57,138 --> 00:41:00,141 白藤屋さんには➡ 594 00:41:00,141 --> 00:41:02,126 この最中を持って行くぞ。 595 00:41:02,126 --> 00:41:04,145 いいの? 596 00:41:04,145 --> 00:41:08,145 この世界で 絶対的なことが何か分かるか? 597 00:41:09,717 --> 00:41:11,717 「おいしい」ってことだ。 598 00:41:17,642 --> 00:41:21,145 (女将) まぁまぁ ホントに いらしたのね~。 599 00:41:21,145 --> 00:41:24,165 もう諦めたのかと 思っておりましたわ。 600 00:41:24,165 --> 00:41:27,151 遅くなって 申し訳ありません。 601 00:41:27,151 --> 00:41:31,151 自信を持って お出しする最中が できたと思います。 602 00:41:35,226 --> 00:41:37,226 (女将) いただきますね。 603 00:41:43,634 --> 00:41:47,622 これ… 本当に七桜さんが お作りになったの? 604 00:41:47,622 --> 00:41:50,625 どうですか? この最中。 605 00:41:50,625 --> 00:41:53,628 全く変わらないわ。 606 00:41:53,628 --> 00:41:59,167 昔から いただいていた 光月庵さんの最中の味ね~。 607 00:41:59,167 --> 00:42:01,736 変わらない? 608 00:42:01,736 --> 00:42:03,604 そんなはずはないと思いますが…。 609 00:42:03,604 --> 00:42:06,691 私には そう思えるけど。 610 00:42:06,691 --> 00:42:09,627 ひと口 よろしいですか? どうぞ。 611 00:42:09,627 --> 00:42:11,627 いただきます。 612 00:42:19,153 --> 00:42:20,688 どうして? 613 00:42:20,688 --> 00:42:22,607 白藤屋さんは➡ 614 00:42:22,607 --> 00:42:26,127 最中を予約で注文されたことは ありませんよね? 615 00:42:26,127 --> 00:42:29,113 えっ? 過去の注文を見返してみたんです。 616 00:42:29,113 --> 00:42:34,101 予約は全て 上生菓子中心で 最中は一度もありませんでした。 617 00:42:34,101 --> 00:42:36,103 だから 思ったんです。 618 00:42:36,103 --> 00:42:39,157 白藤屋さんにとって 光月庵の最中は➡ 619 00:42:39,157 --> 00:42:43,110 きっと日常の中で ふと急に食べたくなって➡ 620 00:42:43,110 --> 00:42:46,113 お店に立ち寄って 買われるものなんじゃないかと。 621 00:42:46,113 --> 00:42:48,115 いつものお茶に合わせて➡ 622 00:42:48,115 --> 00:42:51,619 変わらない味に ホッと ひと息つく。 623 00:42:51,619 --> 00:42:53,621 そんな お菓子なのではと。 624 00:42:53,621 --> 00:42:55,606 ええ そう。 625 00:42:55,606 --> 00:42:59,177 本当に そうだわ。 626 00:42:59,177 --> 00:43:02,113 久しぶりに いただいたけど➡ 627 00:43:02,113 --> 00:43:07,602 この味 やっぱり おいしいわ~。 628 00:43:07,602 --> 00:43:10,104 光月庵さんのお菓子➡ 629 00:43:10,104 --> 00:43:14,108 これからも ずっと いただきたいと思っております。 630 00:43:14,108 --> 00:43:16,627 ありがとうございます。 ありがとうございます。 631 00:43:16,627 --> 00:43:18,679 お2人の結婚式のお着物は➡ 632 00:43:18,679 --> 00:43:21,749 ぜひ うちで 仕立ててくださいましね。 633 00:43:21,749 --> 00:43:24,249 ぜひ。 フフフ…。 634 00:43:27,605 --> 00:43:30,124 新しい最中を 持って行かなかったこと➡ 635 00:43:30,124 --> 00:43:32,124 怒ってるの? 636 00:43:34,128 --> 00:43:39,628 「餡子は自分を映す鏡だ」って 椿さんが言ってくれたから。 637 00:43:42,603 --> 00:43:45,139 確かに あの餡子には自信があったけど➡ 638 00:43:45,139 --> 00:43:47,675 私の勝手な思いも たくさん詰まってた。 639 00:43:47,675 --> 00:43:50,111 白藤屋さんが 本当に望んでいるのは➡ 640 00:43:50,111 --> 00:43:52,613 いつもの光月庵の味なんだって➡ 641 00:43:52,613 --> 00:43:55,113 椿さんが気付かせてくれたの。 642 00:43:56,617 --> 00:44:01,117 結果的には あんたの判断のほうが 正しかったんだ。 643 00:44:02,623 --> 00:44:05,693 俺は 何も言う権利はない。 644 00:44:05,693 --> 00:44:07,693 ただ…。 645 00:44:09,146 --> 00:44:12,149 どうして ひと言 相談がなかったのか➡ 646 00:44:12,149 --> 00:44:14,149 ムカついては いるけどな。 647 00:44:15,636 --> 00:44:18,623 俺が焦るのを見て 優越感に浸りたかったのか? 648 00:44:18,623 --> 00:44:21,108 違う 言ったら反対すると思ったから。 649 00:44:21,108 --> 00:44:23,127 勝手に決めるな。 するでしょ? 650 00:44:23,127 --> 00:44:25,127 最終的には 差し替えたり…。 651 00:44:30,618 --> 00:44:32,119 フッ。 652 00:44:32,119 --> 00:44:34,622 こんなんで結婚式とか➡ 653 00:44:34,622 --> 00:44:37,622 白藤屋さんも どうかしてるよな。 654 00:44:40,127 --> 00:44:42,127 だね。 655 00:44:46,667 --> 00:44:49,203 やってみるか。 656 00:44:49,203 --> 00:44:50,638 えっ? 657 00:44:50,638 --> 00:44:53,138 一度 夫婦らしいこと。 658 00:44:55,626 --> 00:45:09,206 ♬~ 659 00:45:09,206 --> 00:45:12,243 《これも駆け引きなんだから➡ 660 00:45:12,243 --> 00:45:16,243 ドキドキなんて したりしない》 661 00:45:19,633 --> 00:45:24,605 先生 あの子は 一体 何者なんです? 662 00:45:24,605 --> 00:45:27,124 母親譲りの➡ 663 00:45:27,124 --> 00:45:29,627 腕のいい和菓子職人ですよ。 664 00:45:29,627 --> 00:45:37,685 ♬~ 665 00:45:37,685 --> 00:45:40,221 (女性) あ~ 着物デート かわいいね。 666 00:45:40,221 --> 00:45:42,221 (女性) うん うらやましい。 667 00:45:43,657 --> 00:45:48,157 こんなことで 夫婦や恋人に見えるんだな。 668 00:45:49,146 --> 00:45:51,146 うん。 669 00:45:53,150 --> 00:45:55,650 随分 簡単なものだ。 670 00:45:56,637 --> 00:46:01,175 これも 変わらないものなのかも。 671 00:46:01,175 --> 00:46:03,744 好きだから手をつなぐ。 672 00:46:03,744 --> 00:46:07,615 ずっと変わらないことだから 安心する。 673 00:46:07,615 --> 00:46:12,115 光月庵の餡子も そういうのを大切にしてるのかも。 674 00:46:13,604 --> 00:46:16,607 ねぇ 大旦那様と ちゃんと話をしてみたら? 675 00:46:16,607 --> 00:46:19,110 もしかしたら 分かり合えるかも。 676 00:46:19,110 --> 00:46:21,645 あんた➡ 677 00:46:21,645 --> 00:46:24,145 やっぱり 甘ちゃんだな。 678 00:46:29,637 --> 00:46:31,637 椿…。 679 00:49:04,108 --> 00:49:07,111 680 00:49:07,111 --> 00:49:13,083 ♬~ 681 00:49:13,083 --> 00:49:17,121 (足音) 682 00:49:17,121 --> 00:49:19,673 白藤屋さんには➡ 683 00:49:19,673 --> 00:49:24,173 昔ながらの光月庵の最中を 持って行ったそうだね。 684 00:49:26,580 --> 00:49:33,621 ♬~ 685 00:49:33,621 --> 00:49:37,608 どうして あなたが 家族の食事の席にいるの? 686 00:49:37,608 --> 00:49:40,110 私が呼んだんだよ。 687 00:49:40,110 --> 00:49:44,164 白藤屋さんの信頼を 失わずに済んだのは➡ 688 00:49:44,164 --> 00:49:46,216 この子のおかげだ。 689 00:49:46,216 --> 00:49:48,636 敬意を払わなければ。 690 00:49:48,636 --> 00:49:50,136 ハァ…。 691 00:49:54,124 --> 00:49:56,124 久しぶり。 692 00:49:59,113 --> 00:50:02,132 誰かと一緒に食卓を囲むなんて➡ 693 00:50:02,132 --> 00:50:06,203 ずっと一人だったので うれしいです。 694 00:50:06,203 --> 00:50:08,122 今日は お祝いだ。 695 00:50:08,122 --> 00:50:10,624 酒を持って来てくれ 椿。 696 00:50:10,624 --> 00:50:12,124 はい。 697 00:50:15,095 --> 00:50:19,099 七桜さんは らくがんは作れるのかね? 698 00:50:19,099 --> 00:50:21,135 はい。 699 00:50:21,135 --> 00:50:23,170 まだまだですけど。 700 00:50:23,170 --> 00:50:25,205 らくがんって繊細で➡ 701 00:50:25,205 --> 00:50:28,108 ちょっとした力で 簡単に崩れてしまうので➡ 702 00:50:28,108 --> 00:50:30,110 熟練の技だと思います。 703 00:50:30,110 --> 00:50:32,613 よく分かっている。 704 00:50:32,613 --> 00:50:35,099 私は らくがんが好きでね。 705 00:50:35,099 --> 00:50:37,601 材料も 作り方もシンプル。 706 00:50:37,601 --> 00:50:41,138 だから 職人のセンスが要求される。 707 00:50:41,138 --> 00:50:45,743 ひと粒に 美しさの全てが詰まってるんだ。 708 00:50:45,743 --> 00:50:50,614 だが 椿は らくがんを 店頭から おろすという。 709 00:50:50,614 --> 00:50:53,117 売れ行きが良くないといって。 710 00:50:53,117 --> 00:50:56,120 ばかな考えだ。 711 00:50:56,120 --> 00:50:58,622 あいつには何にもない。 712 00:50:58,622 --> 00:51:03,644 職人としてのプライドも 和菓子に対する愛も。 713 00:51:03,644 --> 00:51:08,144 愚かで どうしようもないヤツだ。 714 00:51:09,600 --> 00:51:12,619 そんなことないと思います。 715 00:51:12,619 --> 00:51:14,605 椿さんは➡ 716 00:51:14,605 --> 00:51:17,107 大旦那様に負けないくらい➡ 717 00:51:17,107 --> 00:51:19,607 このお店のことを 大事にしています。 718 00:51:22,096 --> 00:51:25,165 椿のこと➡ 719 00:51:25,165 --> 00:51:27,165 愛しているのかね? 720 00:51:28,702 --> 00:51:30,202 はい。 721 00:51:32,606 --> 00:51:35,109 そうか。 722 00:51:35,109 --> 00:51:39,609 愛してるか… うん。 723 00:51:41,598 --> 00:51:43,584 ウソをつくな! (茶わんが転がる音) 724 00:51:43,584 --> 00:51:48,655 お前たちは結婚すると言いながら 部屋も別々ではないか。 725 00:51:48,655 --> 00:51:52,092 私は だまされんぞ! 726 00:51:52,092 --> 00:51:54,595 かつて➡ 727 00:51:54,595 --> 00:51:59,099 この家に入り込んで来た女が 2人いた。 728 00:51:59,099 --> 00:52:01,085 1人は➡ 729 00:52:01,085 --> 00:52:03,087 この女狐だ。 730 00:52:03,087 --> 00:52:05,105 息子を裏切り➡ 731 00:52:05,105 --> 00:52:08,158 何の血のつながりもない 子供を残した。 732 00:52:08,158 --> 00:52:10,594 椿は ちゃんと あの人との…。 733 00:52:10,594 --> 00:52:12,613 黙れ! 734 00:52:12,613 --> 00:52:15,082 もう一人は➡ 735 00:52:15,082 --> 00:52:19,086 職人だといって入って来た。 736 00:52:19,086 --> 00:52:22,106 その女は➡ 737 00:52:22,106 --> 00:52:25,106 息子の命を奪った。 738 00:52:26,210 --> 00:52:28,210 ⦅さくらのお母さん⦆ 739 00:52:30,197 --> 00:52:31,582 お前は➡ 740 00:52:31,582 --> 00:52:36,482 私から 大切な何を奪うつもりなんだ? 741 00:52:40,090 --> 00:52:42,090 うぅ… うぅ…。 742 00:52:43,594 --> 00:52:47,114 僕の妻を いじめないでもらえますか。 743 00:52:47,114 --> 00:52:51,114 椿さん おじい様に何てことを! 744 00:52:56,106 --> 00:52:58,606 俺の部屋に来い。 745 00:53:00,093 --> 00:53:02,596 今晩から 七桜と部屋を一緒にします。 746 00:53:02,596 --> 00:53:05,082 それで文句ないでしょ? 747 00:53:05,082 --> 00:53:07,084 行くぞ。 748 00:53:07,084 --> 00:53:10,120 お前が ひとを幸せにできるのか? 749 00:53:10,120 --> 00:53:24,120 ♬~ 750 00:53:26,620 --> 00:53:29,623 今まで 結婚に反対されていたので➡ 751 00:53:29,623 --> 00:53:32,125 遠慮していました。 752 00:53:32,125 --> 00:53:34,611 でも…➡ 753 00:53:34,611 --> 00:53:38,111 認めていただけたようで うれしいです。 754 00:53:39,099 --> 00:53:42,186 ありがとうございます おじい様。 755 00:53:42,186 --> 00:53:56,166 ♬~ 756 00:53:56,166 --> 00:54:00,666 ⦅その女は 息子の命を奪った⦆ 757 00:54:01,605 --> 00:54:05,592 《悔しい 何も言い返せなかった》 758 00:54:05,592 --> 00:54:07,592 (はなをすする音) 759 00:54:11,615 --> 00:54:14,101 お前の荷物➡ 760 00:54:14,101 --> 00:54:16,603 ホントに少ないな。 761 00:54:16,603 --> 00:54:18,605 うん。 762 00:54:18,605 --> 00:54:35,122 ♬~ 763 00:54:35,122 --> 00:54:37,624 ごめん。 764 00:54:37,624 --> 00:54:41,612 話し合えば 分かり合えるとか…➡ 765 00:54:41,612 --> 00:54:44,112 簡単に言っちゃって。 766 00:54:45,632 --> 00:54:47,634 ホントに ごめんなさい。 767 00:54:47,634 --> 00:55:00,130 ♬~ 768 00:55:00,130 --> 00:55:02,130 ん… ちょっと! 769 00:55:04,618 --> 00:55:06,603 大旦那様も見てないんだし➡ 770 00:55:06,603 --> 00:55:09,106 私たちに こういうの必要ないでしょ。 771 00:55:09,106 --> 00:55:12,142 フッ… 何だ。 772 00:55:12,142 --> 00:55:16,213 そういうつもりで来たんだと 思ったけど 違ったのか。 773 00:55:16,213 --> 00:55:18,213 悪かったな。 774 00:55:22,102 --> 00:55:26,602 《何 動揺してるの? 私…》 775 00:55:42,205 --> 00:55:44,608 776 00:55:44,608 --> 00:55:48,612 この部屋 意外と狭いんだね。 777 00:55:48,612 --> 00:55:52,115 子供の頃から変わってないからな。 778 00:55:52,115 --> 00:55:55,102 《あの頃 椿に会うために➡ 779 00:55:55,102 --> 00:55:57,637 隠れて来てた部屋だ》 780 00:55:57,637 --> 00:56:00,190 七桜って➡ 781 00:56:00,190 --> 00:56:02,190 さくらなんだな。 782 00:56:03,627 --> 00:56:05,112 えっ…。 783 00:56:05,112 --> 00:56:09,612 「七つの桜」。 784 00:56:10,617 --> 00:56:13,103 漢字の話? 785 00:56:13,103 --> 00:56:18,175 昔 この家に さくらって名前の 女の子がいて➡ 786 00:56:18,175 --> 00:56:21,111 ここで よく 2人でお菓子を作った。 787 00:56:21,111 --> 00:56:24,097 《覚えてる 椿も》 788 00:56:24,097 --> 00:56:27,100 どんな子だったの? 789 00:56:27,100 --> 00:56:31,104 おとなしくて…➡ 790 00:56:31,104 --> 00:56:33,504 泣き虫で。 791 00:56:35,142 --> 00:56:39,096 (椿の声) でも この暗い家の➡ 792 00:56:39,096 --> 00:56:42,099 唯一の明かりだった。 793 00:56:42,099 --> 00:56:50,090 ♬~ 794 00:56:50,090 --> 00:56:52,075 ♬~ あんた…。 795 00:56:52,075 --> 00:56:58,715 ♬~ 796 00:56:58,715 --> 00:57:01,585 太陽丘の手だよな。 797 00:57:01,585 --> 00:57:04,087 初めて会った時➡ 798 00:57:04,087 --> 00:57:08,091 この手が俺の隣にいたら➡ 799 00:57:08,091 --> 00:57:11,091 何か変わるんじゃないかって。 800 00:57:14,097 --> 00:57:18,135 《初対面の男との結婚を 承諾する女なんて➡ 801 00:57:18,135 --> 00:57:21,204 利用するだけ すればいいと思った》 802 00:57:21,204 --> 00:57:24,107 《この店の看板だけが 目当ての女なんて➡ 803 00:57:24,107 --> 00:57:26,107 今までと 一緒だ》 804 00:57:27,594 --> 00:57:30,597 なのに➡ 805 00:57:30,597 --> 00:57:33,166 何で あんたは…。 806 00:57:33,166 --> 00:57:37,166 ⦅椿さんは このお店のことを 大事にしています⦆ 807 00:57:38,638 --> 00:57:41,638 ハァ… どうかしてるな。 808 00:57:44,111 --> 00:57:46,111 《椿…》 809 00:57:50,117 --> 00:57:52,117 《ダメ…》 810 00:57:53,603 --> 00:57:55,603 《ダメなのに…》 811 00:58:01,144 --> 00:58:03,697 ♬~ 812 00:58:03,697 --> 00:58:08,085 《子供の頃と違う私にしたのは➡ 813 00:58:08,085 --> 00:58:10,587 椿なのに…》 814 00:58:10,587 --> 00:58:13,607 ♬~ 815 00:58:13,607 --> 00:58:16,593 《世界で一番➡ 816 00:58:16,593 --> 00:58:18,593 憎いはずなのに…》 817 00:58:20,597 --> 00:58:22,597 《嫌い…》 818 00:58:25,652 --> 00:58:28,588 《大嫌いなのに…》 819 00:58:28,588 --> 00:58:32,075 それで 調べてくれたの? 820 00:58:32,075 --> 00:58:34,578 あの子の素性。 821 00:58:34,578 --> 00:58:41,585 ♬~ 822 00:58:41,585 --> 00:58:43,620 「旧姓➡ 823 00:58:43,620 --> 00:58:46,173 大倉七桜」。 824 00:58:46,173 --> 00:59:01,588 ♬~ 825 00:59:01,588 --> 00:59:07,093 ねぇ 椿… さん。 826 00:59:07,093 --> 00:59:09,613 もし 目の前に➡ 827 00:59:09,613 --> 00:59:13,633 さくらって子が現れたら…➡ 828 00:59:13,633 --> 00:59:15,633 どうするの? 829 00:59:18,088 --> 00:59:21,107 さくらが目の前に…。 830 00:59:21,107 --> 00:59:25,111 ♬~ 831 00:59:25,111 --> 00:59:27,111 消えてもらうよ。 832 00:59:29,099 --> 00:59:31,585 俺の前から➡ 833 00:59:31,585 --> 00:59:33,985 永遠に。