1 00:00:16,650 --> 00:00:18,619 (高月今日子)<もうすぐよ> 2 00:00:18,786 --> 00:00:23,958 <もうすぐ 椿さんのための光月庵が完成する> 3 00:00:25,526 --> 00:00:27,928 <でも まだ油断はできない> 4 00:00:28,562 --> 00:00:32,700 <今のうちに 使える駒を増やさないと> 5 00:00:34,135 --> 00:00:35,436 <まずは――> 6 00:00:37,838 --> 00:00:39,673 <あの男> 7 00:00:39,740 --> 00:00:42,743 ♪~ 8 00:00:44,078 --> 00:00:47,081 ~♪ 9 00:00:47,148 --> 00:00:48,816 (安部大吾) ほら! ほらほら おすぎ ついてこい これ 10 00:00:48,883 --> 00:00:49,950 (杉田綾人) 速いっすって! 11 00:00:50,017 --> 00:00:52,853 (鼻歌) 12 00:00:52,920 --> 00:00:54,422 (安部) お疲れっす! (杉田) お疲れ様です! 13 00:00:54,488 --> 00:00:57,158 (安部) あれ? どうしたんすか? 富岡さん うれしそうっすね 14 00:00:57,491 --> 00:01:02,196 (富岡 勝) ヘヘッ 新作のお菓子 大旦那様に試食していただいたんだ 15 00:01:02,596 --> 00:01:05,866 そうしたら 来週から 店に出していいってさ 16 00:01:05,933 --> 00:01:07,802 (杉田) えっ すごいじゃないですか! 17 00:01:08,269 --> 00:01:10,971 富岡さんのお菓子 きれいっすもんね 18 00:01:11,071 --> 00:01:12,940 (富岡) 俺も やっと大旦那様に―― 19 00:01:13,007 --> 00:01:15,276 認められるだけの腕に なったってことだな 20 00:01:15,342 --> 00:01:16,610 さすがっす 21 00:01:17,178 --> 00:01:20,781 (富岡)<和菓子職人になって30年 腕には かなり自信がある> 22 00:01:20,848 --> 00:01:22,149 <俺だって そろそろ…> 23 00:01:22,216 --> 00:01:25,686 (安部) そろそろ自分のお店も 出せるんじゃないすか? 24 00:01:27,588 --> 00:01:29,123 バカ言うなよ~ 25 00:01:29,490 --> 00:01:31,459 そんなこと考えたことねえよ 26 00:01:31,525 --> 00:01:32,726 あっ 掃除か 俺も手伝うよ 27 00:01:32,793 --> 00:01:33,994 (杉田) いや いいですよ (富岡) いいから 手伝うって 28 00:01:34,061 --> 00:01:35,463 (杉田) いやいや 大丈夫ですって (富岡) いいから! 29 00:01:35,529 --> 00:01:37,598 (安部) ありがとうございます! せっかくだからさ 30 00:01:37,665 --> 00:01:39,533 (杉田) いや でも… (安部) 掃除も すごいんだから 31 00:01:39,600 --> 00:01:40,434 おう 32 00:01:40,501 --> 00:01:43,037 (富岡)<自分の店を持つことは 俺の長年の夢だ> 33 00:01:43,471 --> 00:01:48,075 <今は この光月庵で箔を付けて いつか その夢をかなえてみせる> 34 00:01:48,142 --> 00:01:49,443 (今日子) 富岡さん 35 00:01:51,946 --> 00:01:53,681 ちょっと いいかしら 36 00:01:54,014 --> 00:01:54,849 何でしょうか? 37 00:01:56,150 --> 00:01:57,184 ちょっと 38 00:02:09,964 --> 00:02:11,565 (富岡)<母屋?> 39 00:02:11,999 --> 00:02:14,535 <女将 どこに行くつもりだ?> 40 00:02:16,170 --> 00:02:17,638 (杉田) 店の用事じゃないんすかね? 41 00:02:17,705 --> 00:02:20,040 (安部) シッ! 静かに (杉田) すいません 42 00:02:28,916 --> 00:02:31,418 どうぞ 入って 43 00:02:32,586 --> 00:02:33,854 (富岡) えっ ここって… 44 00:02:33,921 --> 00:02:35,356 私の部屋よ 45 00:02:35,422 --> 00:02:36,557 (富岡)<女将の部屋?> 46 00:02:36,624 --> 00:02:37,791 (2人) 女将の部屋? 47 00:02:41,462 --> 00:02:44,331 さあ 遠慮しないで 48 00:02:59,480 --> 00:03:02,750 (富岡) <女将の部屋 初めて入ったな> 49 00:03:03,417 --> 00:03:05,119 <一体 俺に何の用だ?> 50 00:03:06,687 --> 00:03:08,522 (今日子) 富岡さん 51 00:03:08,589 --> 00:03:09,757 は… はい 52 00:03:09,823 --> 00:03:14,128 あなたには 本当に感謝しています 53 00:03:14,195 --> 00:03:17,298 長年 光月庵のために働いてくれて 54 00:03:17,364 --> 00:03:21,602 仕事ぶりも丁寧で とても助かっています 55 00:03:21,669 --> 00:03:24,738 あ… ありがとうございます 56 00:03:25,139 --> 00:03:28,075 (富岡) <わざわざ こんな礼を言うために 呼んだのか?> 57 00:03:28,142 --> 00:03:33,047 (今日子) それでね 実は 富岡さんにお願いがあるの 58 00:03:33,480 --> 00:03:34,415 お願い? 59 00:03:34,481 --> 00:03:35,349 (富岡)<何だ?> 60 00:03:35,749 --> 00:03:38,819 これから厨房で起きたことは すべて―― 61 00:03:38,886 --> 00:03:41,622 私に報告してもらえないかしら 62 00:03:41,689 --> 00:03:43,691 大旦那様ではなくて 63 00:03:44,258 --> 00:03:45,092 女将に? 64 00:03:45,159 --> 00:03:49,930 ええ 椿さんと大旦那様は うまくいっていないでしょう? 65 00:03:49,997 --> 00:03:54,702 そのことが原因で 何か問題が起こったりしたら困るの 66 00:03:54,768 --> 00:03:57,638 え? 椿さんと大旦那様が? 67 00:04:00,641 --> 00:04:03,477 あら 知らなかったの? 68 00:04:03,544 --> 00:04:05,279 ええ 全く 69 00:04:06,614 --> 00:04:07,881 そう 70 00:04:09,650 --> 00:04:10,884 鈍い男 71 00:04:10,951 --> 00:04:11,819 はい? 72 00:04:12,086 --> 00:04:13,187 ハァ… 73 00:04:15,489 --> 00:04:19,627 とにかく これからは大旦那様ではなく―― 74 00:04:19,693 --> 00:04:21,996 私に報告してください 75 00:04:22,496 --> 00:04:23,731 は… はい 76 00:04:25,265 --> 00:04:28,402 椿さんの結婚が決まったことは ご存じよね? 77 00:04:28,469 --> 00:04:32,740 (富岡) はい これで椿さんも一人前 ひと安心ですね 78 00:04:33,407 --> 00:04:35,175 私は安心してないの 79 00:04:35,242 --> 00:04:36,076 え? 80 00:04:36,710 --> 00:04:38,579 今回の縁談は―― 81 00:04:38,712 --> 00:04:42,249 光月庵の未来が懸かった とても重要なものなの 82 00:04:42,850 --> 00:04:43,684 あ… はい 83 00:04:44,051 --> 00:04:48,622 だから今まで以上に 店のことを隅々まで把握して 84 00:04:49,256 --> 00:04:50,991 管理しておきたいんです 85 00:04:51,692 --> 00:04:54,294 それで私に すべて報告しろと 86 00:04:54,361 --> 00:04:57,431 ええ 分かってもらえましたか? 87 00:04:57,498 --> 00:04:59,833 (富岡) はい (今日子) フゥ… 88 00:04:59,900 --> 00:05:02,436 でも お断りします 89 00:05:04,471 --> 00:05:05,339 あら 90 00:05:06,073 --> 00:05:07,074 どうして? 91 00:05:07,408 --> 00:05:09,343 椿さんは ともかく 92 00:05:09,443 --> 00:05:12,579 大旦那様を ないがしろに するわけにはいきません 93 00:05:12,646 --> 00:05:16,784 大旦那様には 一方ならぬ恩義がありますから 94 00:05:18,819 --> 00:05:20,187 どういうこと? 95 00:05:20,587 --> 00:05:27,528 私は 18で この道に入って 修行を始めました 96 00:05:28,228 --> 00:05:32,599 いつか 金沢一のお店で働いて 自分の店を持つ 97 00:05:33,701 --> 00:05:36,136 そんな目標があったんです 98 00:05:37,504 --> 00:05:40,240 そう 立派な目標ね 99 00:05:41,141 --> 00:05:44,445 でも 若くて ギラギラしていたせいで―― 100 00:05:44,978 --> 00:05:48,782 先輩の職人たちとは 何かと対立してました 101 00:05:48,849 --> 00:05:50,184 狭い世界ですから 102 00:05:50,250 --> 00:05:51,251 (今日子) ハァ… 103 00:05:51,318 --> 00:05:52,986 (富岡) うわさは すぐに広まって―― 104 00:05:53,053 --> 00:05:56,256 もう どこの店も 雇ってくれなかった時期も… 105 00:05:58,425 --> 00:05:59,626 そんなときです 106 00:06:00,594 --> 00:06:03,363 大旦那様が拾ってくれたのは 107 00:06:03,630 --> 00:06:05,632 (今日子) それは よかったわね 108 00:06:06,033 --> 00:06:10,104 だから私は たとえ女将の頼みでも―― 109 00:06:10,604 --> 00:06:13,107 大旦那様を無視するようなことは できません 110 00:06:13,674 --> 00:06:14,575 チッ… 111 00:06:15,476 --> 00:06:16,710 そう 112 00:06:17,044 --> 00:06:20,180 (富岡)<よ~し ここまで話せば――> 113 00:06:20,247 --> 00:06:22,850 <女将も俺の気持ちを 分かってくれるはずだ> 114 00:06:23,050 --> 00:06:26,253 (荒い息) 115 00:06:27,488 --> 00:06:28,789 フゥ… 116 00:06:31,425 --> 00:06:33,460 それは残念ね 117 00:06:33,794 --> 00:06:34,628 え? 118 00:06:36,396 --> 00:06:40,734 椿さんが無事 結婚して 光月庵を継ぐことになれば―― 119 00:06:40,801 --> 00:06:42,736 お店は安泰 120 00:06:43,237 --> 00:06:47,841 次は 富岡さんの番かな~と 思っていたのに 121 00:06:48,442 --> 00:06:49,476 私の番? 122 00:06:50,444 --> 00:06:52,212 あなたのお店よ 123 00:06:53,547 --> 00:06:59,286 開店資金も 私が用意して さしあげようと思っていたのに 124 00:07:00,320 --> 00:07:01,155 いや… 125 00:07:01,221 --> 00:07:02,923 今 “自分のお店”って! 126 00:07:02,990 --> 00:07:05,526 か… か… 開店資金? 127 00:07:06,727 --> 00:07:10,464 (今日子) 富岡さんの働きしだいでは そのお店を―― 128 00:07:10,531 --> 00:07:14,835 光月庵の正式なのれん分けとして 扱ってあげてもいいわ 129 00:07:15,235 --> 00:07:16,136 のれん分け? 130 00:07:16,203 --> 00:07:20,374 いつか自分の店を持つのが 目標だったんでしょう? 131 00:07:20,607 --> 00:07:24,378 これ以上ないスタートに なると思わない? 132 00:07:24,878 --> 00:07:28,215 (富岡)<確かに 和菓子職人 富岡 勝にとっては――> 133 00:07:28,282 --> 00:07:29,783 <願ってもない話だ> 134 00:07:30,317 --> 00:07:31,718 <苦節30年> 135 00:07:31,985 --> 00:07:35,889 <すべては きょう この話を 聞くためにあったのかもしれない> 136 00:07:37,691 --> 00:07:39,760 <しかし…> 137 00:07:41,862 --> 00:07:46,967 <店を持つためとはいえ 大旦那様に 不義理をしてもいいのだろうか?> 138 00:07:47,568 --> 00:07:49,770 <う~ん…> 139 00:07:49,837 --> 00:07:53,240 <千載一遇のチャンスだが しかたない> 140 00:07:53,307 --> 00:07:55,676 女将 やっぱり私は―― 141 00:07:56,009 --> 00:07:57,244 女将の頼みを聞くわけには… 142 00:07:57,311 --> 00:07:58,312 あら! 143 00:07:58,745 --> 00:08:00,380 鱗粉が… 144 00:08:02,583 --> 00:08:04,918 女将 これで拭いてください 145 00:08:18,899 --> 00:08:20,200 ありがとう 146 00:08:32,379 --> 00:08:36,450 15年前 夫が病死して―― 147 00:08:37,084 --> 00:08:40,854 職人は皆 この店を去っていきました 148 00:08:41,655 --> 00:08:46,727 それからというもの 私は高月家の嫁として―― 149 00:08:46,860 --> 00:08:49,696 光月庵 再興のために―― 150 00:08:49,763 --> 00:08:53,200 できる限りのことを してきたつもりです 151 00:08:53,333 --> 00:08:54,334 は… はい 152 00:08:55,102 --> 00:08:59,473 でも まだ若くて 名ばかりの女将だった私に―― 153 00:09:01,174 --> 00:09:03,443 世間は冷たかった 154 00:09:07,147 --> 00:09:11,885 夫を思って 枕をぬらした夜は―― 155 00:09:12,352 --> 00:09:14,922 一度や二度じゃありません 156 00:09:17,190 --> 00:09:19,526 そんな独りさみしい夜は―― 157 00:09:20,894 --> 00:09:24,331 誰かにいてほしいと思っていました 158 00:09:25,198 --> 00:09:26,199 (唾を飲み込む音) 159 00:09:27,200 --> 00:09:30,103 富岡さんも 独り身なら分かるでしょう? 160 00:09:31,638 --> 00:09:34,107 きょうみたいに寒い日は―― 161 00:09:35,208 --> 00:09:38,845 人肌が恋しくなってしまうもの 162 00:09:39,313 --> 00:09:40,314 (唾を飲み込む音) 163 00:09:40,380 --> 00:09:41,715 え… ええ 164 00:09:41,782 --> 00:09:44,952 (富岡) <こ… これは どういう展開だ?> 165 00:09:45,018 --> 00:09:51,458 そんな毎日の中で あなたのように 優秀な職人さんが来てくれて―― 166 00:09:51,525 --> 00:09:56,129 なんとか 光月庵を立て直すことができた 167 00:09:56,430 --> 00:09:58,799 (富岡)<近い! 近すぎる> 168 00:09:59,199 --> 00:10:03,103 お店の話は その恩返しでもあるの 169 00:10:04,304 --> 00:10:06,173 な… なるほど 170 00:10:06,540 --> 00:10:08,408 (富岡)<どうする? 俺> 171 00:10:08,475 --> 00:10:13,780 富岡さんは… 受け取ってくださらないの? 172 00:10:14,548 --> 00:10:17,951 私の気持ち 173 00:10:19,486 --> 00:10:21,655 (富岡)<受け取りま~す> 174 00:10:22,489 --> 00:10:23,323 女将 175 00:10:23,390 --> 00:10:25,859 いやん 名前で呼んで 176 00:10:26,159 --> 00:10:28,328 きょ… 今日子 177 00:10:30,530 --> 00:10:31,365 あっ… 178 00:10:33,700 --> 00:10:34,534 へ? 179 00:10:34,868 --> 00:10:40,307 私には 光月庵を守り抜いて―― 180 00:10:40,941 --> 00:10:45,312 椿さんを当主にする義務がある 181 00:10:46,913 --> 00:10:48,281 あっ はは… はい 182 00:10:48,348 --> 00:10:53,787 そのためには お店の隅々まで注意を払って―― 183 00:10:54,388 --> 00:10:57,724 一点の曇りも許しちゃいけない 184 00:10:57,791 --> 00:11:02,796 この家に 薄汚い虫けらを 入れるわけにはいかないの! 185 00:11:10,737 --> 00:11:11,571 フッ! 186 00:11:13,807 --> 00:11:15,375 富岡さん 187 00:11:15,842 --> 00:11:16,877 は… はい 188 00:11:16,943 --> 00:11:21,214 これから先 あなたと私は―― 189 00:11:21,948 --> 00:11:24,785 一心同体 190 00:11:26,486 --> 00:11:27,587 今日子さん 191 00:11:37,297 --> 00:11:39,833 (富岡)<いよいよ俺の店が手に入る> 192 00:11:40,033 --> 00:11:42,502 <いや 店だけじゃない> 193 00:11:42,736 --> 00:11:46,740 <もしかしたら あの今日子さんも…> 194 00:11:46,807 --> 00:11:48,942 (匂いを嗅ぐ音) 195 00:11:49,009 --> 00:11:53,280 フッ… 単純な男 196 00:11:54,681 --> 00:11:56,650 (今日子)<まあ あんな男――> 197 00:11:56,950 --> 00:12:00,620 <使えなくなったら すぐに捨てればいい> 198 00:12:02,789 --> 00:12:07,394 <必ず 椿さんを当主にしてみせる> 199 00:12:08,762 --> 00:12:11,198 <そのために 今は私が――> 200 00:12:12,432 --> 00:12:15,836 <この光月庵を仕切るのよ> 201 00:12:15,902 --> 00:12:17,304 <フフフフフ…> 202 00:12:17,771 --> 00:12:19,339 <フフフフフッ> 203 00:12:21,174 --> 00:12:24,177 ♪~ 204 00:12:30,517 --> 00:12:33,520 ~♪