1 00:01:26,870 --> 00:01:30,707 よいな?これを 肌身離さず持っておれ 2 00:01:30,707 --> 00:01:33,310 そうすればいつの日か その実の父に 3 00:01:33,310 --> 00:01:35,812 巡り合えるかもしれん 4 00:01:35,812 --> 00:01:38,048 分かったな? はい 5 00:01:38,048 --> 00:01:40,050 うん 6 00:01:40,050 --> 00:01:43,250 開けろ 開けろ 7 00:01:45,188 --> 00:01:47,824 入れ 又平 8 00:01:47,824 --> 00:01:51,124 何があっても決して 出てくるんじゃないぞ よいな? 9 00:02:06,810 --> 00:02:08,810 うっ 10 00:02:25,729 --> 00:02:31,101 俺の親父を… 俺の本当の親父を知っているのは 11 00:02:31,101 --> 00:02:33,101 この短刀だけだ 12 00:02:38,041 --> 00:02:40,644 ねえ お紋さん そんなにふくれてたらさ 13 00:02:40,644 --> 00:02:42,746 お頭だって謝りにくいでしょ 14 00:02:42,746 --> 00:02:46,149 人間 己が非を改むるに もっと謙虚でなくてはね 15 00:02:46,149 --> 00:02:48,151 花形さん それは あなたにも言えることですわ 16 00:02:48,151 --> 00:02:51,555 しかしね 今度のいさかいは一体 原因は何なんですか 17 00:02:51,555 --> 00:02:54,157 甘酒 甘酒? 18 00:02:54,157 --> 00:02:57,727 ブー 何だ ただの甘酒だなんて バカバカしい 19 00:02:57,727 --> 00:03:00,830 はい どうぞ うん 20 00:03:00,830 --> 00:03:04,701 お頭 一体いかがなさいました? 21 00:03:04,701 --> 00:03:08,204 おやじ 甘酒のおかわりだ へい 22 00:03:08,204 --> 00:03:10,574 いやあ 解せませんな 23 00:03:10,574 --> 00:03:14,277 先程まで わたくしも花形さんも 口が挟めぬほど 24 00:03:14,277 --> 00:03:17,314 仲よくお話しになって おられましたのに 25 00:03:17,314 --> 00:03:19,849 一体なぜこのような大げんかに? 26 00:03:19,849 --> 00:03:23,954 人間 己が非を改むるに もっと謙虚でなくてはいかん 27 00:03:23,954 --> 00:03:26,156 はあ 青戸 28 00:03:26,156 --> 00:03:28,158 これはお前にも言えることだ 29 00:03:28,158 --> 00:03:30,827 江戸から118里32町 30 00:03:30,827 --> 00:03:33,196 京へ6里24町 31 00:03:33,196 --> 00:03:38,201 ここ草津の宿場は 東海道と中山道の追分に当たる 32 00:03:38,201 --> 00:03:41,304 西国きっての交通の要所であり 33 00:03:41,304 --> 00:03:44,374 その賑わいは 近江随一と言われていた 34 00:03:44,374 --> 00:03:48,411 お紋さん 今日は石松屋に 泊まります 石松屋 35 00:03:48,411 --> 00:03:50,847 ちょっと お紋さん お紋さん ちょっと ちょっと ちょっと 36 00:03:50,847 --> 00:03:53,316 あのね 今日は みんなで一緒にパーッと 37 00:03:53,316 --> 00:03:55,952 十兵衛様も阿里助も 今日中には着きますから 38 00:03:55,952 --> 00:03:59,222 あのね 十兵衛様にはわたくしから 直接申し上げますけど 39 00:03:59,222 --> 00:04:01,324 裏巡検使のお役目は 今日でおしまい 40 00:04:01,324 --> 00:04:03,824 あ… なんで お紋さん 41 00:04:07,230 --> 00:04:10,433 あっ いらっしゃいませ ありがとうございました 42 00:04:10,433 --> 00:04:15,472 またどうぞ 堪忍… 堪忍しておくれやす 43 00:04:15,472 --> 00:04:19,743 待て ちっと優しくしたら つけ上がりやがって 44 00:04:19,743 --> 00:04:21,745 お前の体は わいが買うたんやろ 45 00:04:21,745 --> 00:04:25,281 堪忍しておくれやす うち 嫌や 46 00:04:25,281 --> 00:04:30,720 ハッ どうせ女郎になったら 毎晩 男の相手するのや え? 47 00:04:30,720 --> 00:04:34,324 せっかく わいが床入れの手ほどき したる言うのに 48 00:04:34,324 --> 00:04:38,128 犬っころみたいに噛みやがって ほら 来い 早う来んねや 49 00:04:38,128 --> 00:04:41,898 いやっ 堪忍しておくれやす 来い言うてるやろ え? 50 00:04:41,898 --> 00:04:43,900 このガキャ 51 00:04:43,900 --> 00:04:45,900 キャッ 52 00:04:48,772 --> 00:04:50,772 どけ 53 00:04:53,543 --> 00:04:55,812 このガキャ 54 00:04:55,812 --> 00:04:59,015 おら 55 00:04:59,015 --> 00:05:01,117 あっ 56 00:05:01,117 --> 00:05:03,386 あー 57 00:05:03,386 --> 00:05:06,723 行こう 58 00:05:06,723 --> 00:05:09,993 どうして? 借金が 59 00:05:09,993 --> 00:05:13,229 これや これや ヘヘヘ 60 00:05:13,229 --> 00:05:18,601 これはな こいつの兄貴が書いた 借金の証文じゃ え? 61 00:05:18,601 --> 00:05:22,639 曾根崎で働くのは 百も承知の上じゃ 62 00:05:22,639 --> 00:05:26,176 煮て食おうと焼いて食おうと わいの勝手や それとも何か? 63 00:05:26,176 --> 00:05:28,878 おのれが10両 払うんか? 64 00:05:28,878 --> 00:05:31,214 10両あればいいんだな? そや 65 00:05:31,214 --> 00:05:33,650 利息が1両… アイタタタ 66 00:05:33,650 --> 00:05:37,754 わいのケガ代が2両 締めて13両やな 67 00:05:37,754 --> 00:05:40,523 今すぐ払え 68 00:05:40,523 --> 00:05:44,861 ヘヘッ 銭もないのに ええかっこすんな このボケ 69 00:05:44,861 --> 00:05:47,161 役人に引き渡すぞ こら 70 00:05:57,140 --> 00:05:59,375 13両 頼む 71 00:05:59,375 --> 00:06:02,178 おい これは すっげえ名刀だぞ 72 00:06:02,178 --> 00:06:05,548 何しろ天下の剣豪 柳生十兵衛様 折り紙付きだ 73 00:06:05,548 --> 00:06:09,052 な?頼む 74 00:06:09,052 --> 00:06:12,322 値打ちもんちゅうことは よく分かりましたが 75 00:06:12,322 --> 00:06:14,858 でも あんたさん お侍さんでもねえのに? 76 00:06:14,858 --> 00:06:16,860 盗んだりしたもんじゃねえって 77 00:06:16,860 --> 00:06:20,160 おやじ 信用してやれ 78 00:06:22,866 --> 00:06:26,035 心配ならば それがしが責任持つ 79 00:06:26,035 --> 00:06:30,106 あんたは? 名乗るほどの者でもないが 80 00:06:30,106 --> 00:06:34,344 貴殿の義侠を 先程の店で見ていた者 81 00:06:34,344 --> 00:06:36,679 おやじ 82 00:06:36,679 --> 00:06:41,351 もし この男が返せぬ場合 それがしがお払いしよう 83 00:06:41,351 --> 00:06:44,053 ええ でも しかし… 任せておけ 84 00:06:44,053 --> 00:06:46,523 ええ はい 85 00:06:46,523 --> 00:06:49,392 13両ねえ 86 00:06:49,392 --> 00:06:51,394 すまねえ 必ず返すぜ あー 87 00:06:51,394 --> 00:06:54,294 お客さん 質札 質札 88 00:06:57,934 --> 00:07:00,737 ほな これで 89 00:07:00,737 --> 00:07:06,209 気をつけてな おおきに おおきに 90 00:07:06,209 --> 00:07:08,209 こいつは… 91 00:07:11,181 --> 00:07:14,617 きょうだい仲よく暮らすんだぜ 92 00:07:14,617 --> 00:07:18,955 俺だってよ 両親の顔も知らねえ 独りぼっちだけど 93 00:07:18,955 --> 00:07:20,955 こうしてバリバリ生きてんだ 94 00:07:23,793 --> 00:07:25,862 国は彦根だって言ってたな 95 00:07:25,862 --> 00:07:30,600 はい 去年から 年貢が また高うなって 96 00:07:30,600 --> 00:07:33,670 村の娘は何人も くるわへ 97 00:07:33,670 --> 00:07:35,670 そうか 98 00:07:38,942 --> 00:07:40,944 負けるなよ そんな… 99 00:07:40,944 --> 00:07:45,114 いいんだよ 取っときなって 100 00:07:45,114 --> 00:07:47,951 おおきに さあ 101 00:07:47,951 --> 00:07:51,221 気をつけてな はい 102 00:07:51,221 --> 00:07:55,525 又平 十兵衛さん 103 00:07:55,525 --> 00:07:58,094 巡検使顔負けのことを したらしいな 104 00:07:58,094 --> 00:08:03,366 ハハハ 彦根藩といえば 徳川四天王 105 00:08:03,366 --> 00:08:07,537 譜代親藩の家柄だが 評判は あまりよくない 106 00:08:07,537 --> 00:08:09,873 四天王だか譜代だか知らねえが 107 00:08:09,873 --> 00:08:15,211 ろくな藩主じゃねえんだろ 百姓を搾り上げてんだからな 108 00:08:15,211 --> 00:08:18,414 おい 短刀はどうした? 109 00:08:18,414 --> 00:08:21,017 あっ いや… 110 00:08:21,017 --> 00:08:23,786 すいません 13両 貸してください 111 00:08:23,786 --> 00:08:27,156 ん? いや あの… 短刀は今 112 00:08:27,156 --> 00:08:29,356 んー 質屋に 113 00:08:31,361 --> 00:08:33,361 あの短刀を質屋にか? はい 114 00:08:37,834 --> 00:08:40,970 短刀なら あの親切な虚無僧さんが 持ってきはりましたで 115 00:08:40,970 --> 00:08:43,873 何? あんたに渡すんや言うてな 116 00:08:43,873 --> 00:08:47,773 13両と利子の1両も 付けてくれはってな 117 00:08:50,446 --> 00:08:54,350 バカもん!すぐ取り戻してこい 118 00:08:54,350 --> 00:08:56,886 十兵衛さんが そうカッカすること ねえじゃねえか 119 00:08:56,886 --> 00:09:00,890 どうせ俺の短刀なんだ 又平 120 00:09:00,890 --> 00:09:02,926 あの 一振りは 121 00:09:02,926 --> 00:09:05,995 お前の親父を捜す 唯一の手掛かりだ 122 00:09:05,995 --> 00:09:09,365 お前の命も同然だろ 十兵衛さん 123 00:09:09,365 --> 00:09:13,202 実は俺 ひと足先に京へ上がって 124 00:09:13,202 --> 00:09:15,902 粟田口の刀匠 兼光さんを 訪ねてみたんだ 125 00:09:18,041 --> 00:09:22,679 でもダメだったよ 1年前にこの世を去っていた 126 00:09:22,679 --> 00:09:25,949 何? 127 00:09:25,949 --> 00:09:29,752 こうなったら あんただけが頼みだ 128 00:09:29,752 --> 00:09:31,888 当てずっぽうでも構わん 教えてくれ 129 00:09:31,888 --> 00:09:35,024 俺の本当の親父を 十兵衛さん 130 00:09:35,024 --> 00:09:38,724 その前に短刀を取り戻してこい 131 00:09:40,763 --> 00:09:46,035 よし そしたら必ず 教えてくれるな?男の約束だぜ 132 00:09:46,035 --> 00:09:48,171 もし破ったら… 133 00:09:48,171 --> 00:09:52,375 どうする?針千本か? 134 00:09:52,375 --> 00:09:56,075 一つ目どころか 目なし天狗にしてやるぜ 135 00:10:17,233 --> 00:10:21,633 何奴? 彦根藩士 風見平馬だな? 136 00:10:24,140 --> 00:10:26,542 懐の訴状を頂戴に参った 137 00:10:26,542 --> 00:10:29,042 貴様… 弥平次 138 00:11:05,048 --> 00:11:08,548 貴様 短刀を返せ 139 00:11:18,061 --> 00:11:20,663 待て待て 140 00:11:20,663 --> 00:11:22,899 大勢で卑怯だぞ 141 00:11:22,899 --> 00:11:24,967 又平 142 00:11:24,967 --> 00:11:26,903 又右衛門 143 00:11:26,903 --> 00:11:28,903 助太刀いたす 144 00:11:35,645 --> 00:11:39,082 引け 引け引け 待て 145 00:11:39,082 --> 00:11:41,082 おい 後 頼むぜ 146 00:11:43,386 --> 00:11:47,824 しっかりしろ 誰がやったんだ? 147 00:11:47,824 --> 00:11:51,928 彦根藩の御庭番だ 148 00:11:51,928 --> 00:11:56,532 拙者… 拙者 彦根藩士 風見平馬 149 00:11:56,532 --> 00:11:58,801 うん 150 00:11:58,801 --> 00:12:01,938 草津に来ているという 151 00:12:01,938 --> 00:12:06,409 公儀巡検使を訪ねて 152 00:12:06,409 --> 00:12:13,182 「城代家老 景浦頼母の独断は 目に余るものあり」か 153 00:12:13,182 --> 00:12:15,551 なるほど 154 00:12:15,551 --> 00:12:20,151 死を懸けた若い藩士の 公儀への直訴文だ 155 00:12:27,130 --> 00:12:32,935 名君の誉れ高い二代目直孝公の 跡を継がれた直滋公は 156 00:12:32,935 --> 00:12:35,438 ご病弱と伺っておりますが 157 00:12:35,438 --> 00:12:37,438 失礼します 158 00:12:40,109 --> 00:12:42,712 阿里助 父上は? 159 00:12:42,712 --> 00:12:44,714 四日市にお入りになりました 160 00:12:44,714 --> 00:12:48,050 3日後には この草津の御本陣に 到着されるとの由にございます 161 00:12:48,050 --> 00:12:51,621 ほう 但馬守様が おいでになるんですか 162 00:12:51,621 --> 00:12:55,992 うん 来月3日 将軍家光公が 163 00:12:55,992 --> 00:13:00,763 征夷大将軍就任のご挨拶に 朝廷に参内することになった 164 00:13:00,763 --> 00:13:05,735 父上はその先触れとして 道中の治安を確認しつつ 165 00:13:05,735 --> 00:13:07,904 京都で家光公をお迎えするのだ 166 00:13:07,904 --> 00:13:12,909 そうですか 我々巡検使の役目も ますます重大になりますな 167 00:13:12,909 --> 00:13:16,512 抜かるなよ 金兵衛 はっ 抜かるなよ 阿里助 168 00:13:16,512 --> 00:13:18,512 ね? うん 169 00:13:32,195 --> 00:13:35,298 強情な奴だ 反省の色もない 170 00:13:35,298 --> 00:13:40,236 おいおい どうした? いつも仲のよい2人が 171 00:13:40,236 --> 00:13:43,039 又 またできたか? 172 00:13:43,039 --> 00:13:45,975 違いますよ あの… これはでございますな 173 00:13:45,975 --> 00:13:48,644 甘酒の製法につきまして 意見が分かれました 174 00:13:48,644 --> 00:13:52,848 甘酒? はい 酒粕とお粥の調合 水の配分 175 00:13:52,848 --> 00:13:56,185 それからお粥を煮ます時の火の 強さと所要時間でございますな 176 00:13:56,185 --> 00:14:00,022 それに2人が一番 争っておるのは この… 177 00:14:00,022 --> 00:14:02,992 お粥を酒粕に抱かせて 178 00:14:02,992 --> 00:14:04,994 陰干しに寝かせておく 日数でございますな 179 00:14:04,994 --> 00:14:07,196 これも又十郎様が3日説 お紋が5日説 180 00:14:07,196 --> 00:14:12,696 ハハハ なるほど ハハハ 181 00:14:16,005 --> 00:14:18,005 お紋 入るぞ 182 00:14:22,778 --> 00:14:25,147 この草津は 183 00:14:25,147 --> 00:14:28,851 道中最大の難事件に なるかもしれんぞ 184 00:14:28,851 --> 00:14:33,789 おう その前に甘酒事件を 解決しておかねばならんな 185 00:14:33,789 --> 00:14:36,592 たかが甘酒ぐらいと おっしゃりたいんでしょ 186 00:14:36,592 --> 00:14:40,162 そんなことはない どんな ささいなことでも 187 00:14:40,162 --> 00:14:45,801 当人しか分からぬ 思い出というやつがあるからな 188 00:14:45,801 --> 00:14:49,772 甘酒は私にとって 189 00:14:49,772 --> 00:14:52,842 おとっつぁんの思い出なんですよ 190 00:14:52,842 --> 00:14:57,513 おっかさんは私が生まれると すぐに死にました 191 00:14:57,513 --> 00:15:00,683 男手ひとつで育ててくれた おとっつぁんが 192 00:15:00,683 --> 00:15:03,653 いつも甘酒を造ってくれたんです 193 00:15:03,653 --> 00:15:07,189 だから私 子供の頃から 見よう見まねで 194 00:15:07,189 --> 00:15:10,026 甘酒の造り方を覚えて 195 00:15:10,026 --> 00:15:12,495 なるほど 196 00:15:12,495 --> 00:15:15,698 それで事件は解決した え? 197 00:15:15,698 --> 00:15:21,103 我々の母上は 又十郎が7歳の時に亡くなった 198 00:15:21,103 --> 00:15:24,674 甘酒を造るのが得意でな 199 00:15:24,674 --> 00:15:30,174 又十郎にとって甘酒というのは 母親の思い出なんだ 200 00:15:32,048 --> 00:15:35,985 まあ しかし お前たちは まだよい 201 00:15:35,985 --> 00:15:40,189 父母につながる思い出を 何一つ持つことなく 202 00:15:40,189 --> 00:15:43,426 生きている人間がおる 203 00:15:43,426 --> 00:15:46,429 又平のようにな 204 00:15:46,429 --> 00:15:48,429 そうですね 205 00:15:50,866 --> 00:15:55,304 で?その道中最大の 難事件というのは? 206 00:15:55,304 --> 00:15:57,873 おう それだ 207 00:15:57,873 --> 00:16:02,473 徳川譜代 彦根35万石に妖雲あり 208 00:16:22,431 --> 00:16:27,002 殿 いかがなされました? 209 00:16:27,002 --> 00:16:30,539 どけ どこへ行こうが余の勝手じゃ 210 00:16:30,539 --> 00:16:32,541 なりませぬ 211 00:16:32,541 --> 00:16:35,277 ここを一歩たりとも 出歩くことは無用との 212 00:16:35,277 --> 00:16:37,480 御家老よりも厳命がございます 213 00:16:37,480 --> 00:16:39,515 控えい 214 00:16:39,515 --> 00:16:43,352 余は当彦根35万石の主君なるぞ 215 00:16:43,352 --> 00:16:48,152 そのほうらは家老には服しても 主君には従えぬと申すか 216 00:16:56,365 --> 00:16:59,665 貴様ら 主君に槍を向けるのか 217 00:17:01,704 --> 00:17:06,542 頼母 これでは まるで監禁ではないか 218 00:17:06,542 --> 00:17:12,348 殿 そう駄々をこねるものでは ございませぬ お加減に障ります 219 00:17:12,348 --> 00:17:14,683 何を言う 余はどこも悪くはない 220 00:17:14,683 --> 00:17:19,255 いいえ 殿には 少々 乱心の気味がございます 221 00:17:19,255 --> 00:17:23,292 心静かにしておられるのが一番 222 00:17:23,292 --> 00:17:28,197 頼母 貴様という奴は 223 00:17:28,197 --> 00:17:32,067 黙って わたくしの言うとおりに してくだされば よろしいのです 224 00:17:32,067 --> 00:17:35,404 さすれば近いうちに老中… 225 00:17:35,404 --> 00:17:39,008 いや 大老への栄達を 叶えてしんぜましょう 226 00:17:39,008 --> 00:17:42,008 余は そのようなものには なりとうはない 227 00:17:44,246 --> 00:17:47,650 領内が平和で 領民一人ひとりが 228 00:17:47,650 --> 00:17:50,019 豊かに暮らすことのできる 藩政こそが… 229 00:17:50,019 --> 00:17:53,355 黙りなさい! 230 00:17:53,355 --> 00:17:58,955 まだお若い殿には政のことなど 分かろうはずもない 231 00:18:02,097 --> 00:18:05,901 この彦根藩の屋台骨を 支えているのは 232 00:18:05,901 --> 00:18:08,571 主君である殿ではない 233 00:18:08,571 --> 00:18:11,071 この私なのです 234 00:18:34,964 --> 00:18:37,800 弥平次 首尾は? 235 00:18:37,800 --> 00:18:41,770 はっ 風見平馬は 確かに仕留めたはず 236 00:18:41,770 --> 00:18:46,041 しかしながら邪魔が入り 肝心の訴状は 237 00:18:46,041 --> 00:18:48,511 その者の手に落ちてしまいました 238 00:18:48,511 --> 00:18:53,082 何?それでは話にならぬ 239 00:18:53,082 --> 00:18:57,319 ところが思いもかけぬ獲物が ございます 240 00:18:57,319 --> 00:19:00,723 それは? 柳生但馬守が 241 00:19:00,723 --> 00:19:05,327 粟田口の刀匠 兼光をして 打たせた一振り 242 00:19:05,327 --> 00:19:09,131 何?但馬が? 243 00:19:09,131 --> 00:19:14,103 しかも これを持っていたのは 根来の又平と申す若造 244 00:19:14,103 --> 00:19:17,773 根来の又平? はっ 245 00:19:17,773 --> 00:19:20,209 では その男は 246 00:19:20,209 --> 00:19:23,579 わたくしの目に くるいはありません 247 00:19:23,579 --> 00:19:27,650 なぜ捕らえぬ?この短刀と その男を我が手に握ってこそ 248 00:19:27,650 --> 00:19:31,186 柳生の最大の弱点を 押さえることができる 249 00:19:31,186 --> 00:19:34,156 すぐにも捜し出して… その必要はありますまい 250 00:19:34,156 --> 00:19:36,158 ん? 251 00:19:36,158 --> 00:19:40,758 又平は我らの誘いに乗じて 恐らく… 252 00:19:45,301 --> 00:19:49,171 根来の又平 出てこい! 253 00:19:49,171 --> 00:19:51,240 どうして俺の名を? 254 00:19:51,240 --> 00:19:54,877 俺も元は根来衆よ 何? 255 00:19:54,877 --> 00:19:59,648 又平 よくぞ無事でいてくれた 256 00:19:59,648 --> 00:20:04,186 長い間 お前と この短刀を 捜していたのだ 257 00:20:04,186 --> 00:20:06,655 なぜだ? 今に分かる 258 00:20:06,655 --> 00:20:09,455 返せ その短刀を返せ 259 00:20:31,580 --> 00:20:34,183 なるほど 260 00:20:34,183 --> 00:20:37,119 これは容易ならざる事態 261 00:20:37,119 --> 00:20:40,222 巡検使として 見過ごすわけにはまいりません 262 00:20:40,222 --> 00:20:42,257 早速 彦根藩に乗り込んで 263 00:20:42,257 --> 00:20:45,294 事の真偽 あらためたいと 思いますが 264 00:20:45,294 --> 00:20:50,466 これが事実であれば 正に徳川の存亡に関わる大事 265 00:20:50,466 --> 00:20:55,137 大目付として この但馬から 出向くのが筋であろう 266 00:20:55,137 --> 00:20:58,007 では私も一緒に うん 267 00:20:58,007 --> 00:21:01,176 御免 268 00:21:01,176 --> 00:21:05,581 おう 十兵衛か 269 00:21:05,581 --> 00:21:08,617 元気そうだな 親父殿 270 00:21:08,617 --> 00:21:11,654 長旅の疲れも見受けられぬ 271 00:21:11,654 --> 00:21:14,323 フハハハ 272 00:21:14,323 --> 00:21:19,762 年寄り扱いをいたすな まだまだ お前たちに負けはせんぞ 273 00:21:19,762 --> 00:21:22,765 兄上 彦根藩の一件 274 00:21:22,765 --> 00:21:25,267 大目付として 父上が城内に立ち入り 275 00:21:25,267 --> 00:21:27,636 真相を究明することになりました うん 276 00:21:27,636 --> 00:21:30,506 無論 私もお供いたしますが 277 00:21:30,506 --> 00:21:33,509 それは お前に任す 278 00:21:33,509 --> 00:21:36,345 親父殿 ん? 279 00:21:36,345 --> 00:21:41,283 今日はひとつ 大切なことを 聞きたくて参った 280 00:21:41,283 --> 00:21:44,586 ほう 何だな? 281 00:21:44,586 --> 00:21:50,893 親父殿 根来の又平という男を 282 00:21:50,893 --> 00:21:53,529 無論 知っておられるな? 283 00:21:53,529 --> 00:21:57,666 又平? 又平が何か? 284 00:21:57,666 --> 00:22:04,473 又平は根来の平左衛門の せがれということになっておる 285 00:22:04,473 --> 00:22:09,645 が 実の父親は他におる 286 00:22:09,645 --> 00:22:13,148 それで?どうした? 287 00:22:13,148 --> 00:22:17,720 又平の実の父親は 288 00:22:17,720 --> 00:22:19,720 親父殿であろう? 289 00:22:28,297 --> 00:22:30,299 知らんな 290 00:22:30,299 --> 00:22:32,468 知らん? うん 291 00:22:32,468 --> 00:22:34,468 身に覚えはない 292 00:22:38,974 --> 00:22:40,974 親父殿 293 00:22:42,978 --> 00:22:47,549 もう15年も昔になるか 294 00:22:47,549 --> 00:22:51,320 俺が武者修行の途中に 295 00:22:51,320 --> 00:22:54,089 根来の里に寄った時 296 00:22:54,089 --> 00:22:56,558 平左衛門は 297 00:22:56,558 --> 00:23:01,263 まだ1歳にも満たぬ乳飲み子を 抱えていた 298 00:23:01,263 --> 00:23:05,334 母親は すでに亡くなっていた 299 00:23:05,334 --> 00:23:08,904 血のなせる業か 300 00:23:08,904 --> 00:23:11,840 俺は その子をひと目 見た時に 301 00:23:11,840 --> 00:23:16,078 もしや柳生の子ではないかと 感じた 302 00:23:16,078 --> 00:23:21,784 その頃 親父殿は よく根来の里に出入りしていた 303 00:23:21,784 --> 00:23:25,521 俺は平左衛門を問い詰めた 304 00:23:25,521 --> 00:23:30,592 「この子の父親は 柳生但馬であろう」 305 00:23:30,592 --> 00:23:33,362 「この俺の弟であろう」 306 00:23:33,362 --> 00:23:38,362 だが平左衛門は頑として 口を割らなかった 307 00:23:40,369 --> 00:23:43,138 事が公になれば 308 00:23:43,138 --> 00:23:47,476 親父殿に迷惑がかかると 考えていたんだろう 309 00:23:47,476 --> 00:23:52,214 そして ある日 俺の追及を逃れるように 310 00:23:52,214 --> 00:23:54,950 平左衛門は その子と一緒に 311 00:23:54,950 --> 00:23:58,887 根来の里から こつ然と 消えてしまった 312 00:23:58,887 --> 00:24:03,125 その後 平左衛門は殺された 313 00:24:03,125 --> 00:24:08,297 残された子は たった一人 一振りの短刀を頼りに 314 00:24:08,297 --> 00:24:12,201 実の父を求めて たくましく生き抜いてきた 315 00:24:12,201 --> 00:24:17,701 そんな我が子 又平の 成長した姿を見て 316 00:24:19,708 --> 00:24:23,908 実の父親ならば何と言うであろう 317 00:24:25,948 --> 00:24:27,948 世迷い言はそれだけか? 318 00:24:31,253 --> 00:24:33,253 親父殿 319 00:25:36,852 --> 00:25:41,356 開門!開門! 320 00:25:41,356 --> 00:25:44,459 幕府大目付 柳生但馬守 321 00:25:44,459 --> 00:25:48,363 並びに巡検使 柳生又十郎でござる 322 00:25:48,363 --> 00:25:50,599 藩主 直滋殿 あるいは 323 00:25:50,599 --> 00:25:53,869 しかるべき方々に お目にかかりたい 324 00:25:53,869 --> 00:25:55,869 いかがかな? 325 00:25:58,540 --> 00:26:00,976 愚にもつかん 326 00:26:00,976 --> 00:26:05,647 ここに したためられたる情状 まるで心当たりがござらぬ 327 00:26:05,647 --> 00:26:09,885 では一切を不認いたすと 申されるか? 328 00:26:09,885 --> 00:26:12,321 さよう 329 00:26:12,321 --> 00:26:16,491 どの藩にも1人や2人 正義面を振りかざし 330 00:26:16,491 --> 00:26:20,195 根も葉もない流言を 弄する輩がいるもの 331 00:26:20,195 --> 00:26:23,832 これもその類い 一笑に付していただきたい 332 00:26:23,832 --> 00:26:25,834 なるほど 333 00:26:25,834 --> 00:26:31,006 しかし藩主 直滋公に 念のため お目通り願い 334 00:26:31,006 --> 00:26:33,909 事実をご報告のうえ しかるべきご処置を 335 00:26:33,909 --> 00:26:36,011 それには及びますまい 336 00:26:36,011 --> 00:26:38,547 この景浦頼母の言い状 337 00:26:38,547 --> 00:26:41,847 我が殿のお言葉と お含みおき願いたい 338 00:26:46,521 --> 00:26:49,091 ところで但馬殿 339 00:26:49,091 --> 00:26:53,195 以前より 折り入って貴殿に 頼みたいことがござったのだが 340 00:26:53,195 --> 00:26:55,197 ほう 341 00:26:55,197 --> 00:27:00,202 当井伊家は家格としても 譜代大名中 最右翼 342 00:27:00,202 --> 00:27:02,637 いかにも ならば 343 00:27:02,637 --> 00:27:06,875 その家格からしても 我が殿 直滋公が老中… 344 00:27:06,875 --> 00:27:12,180 いや 大老職に就任しても おかしくはござるまい 345 00:27:12,180 --> 00:27:15,417 しかし直滋公は弱冠19歳 346 00:27:15,417 --> 00:27:20,222 老練熟達が要求される 幕閣の要職には とても 347 00:27:20,222 --> 00:27:24,826 心配ご無用 それがしが 常に そば近く はべり 348 00:27:24,826 --> 00:27:27,596 殿を補佐いたすつもりでござる 349 00:27:27,596 --> 00:27:33,168 なるほど それが 貴殿の真の狙いか 350 00:27:33,168 --> 00:27:37,773 但馬殿 柳生家の存亡は今 351 00:27:37,773 --> 00:27:40,976 この私の手中に 握られているも同然 352 00:27:40,976 --> 00:27:42,976 何? 353 00:27:55,991 --> 00:27:58,060 見覚えがあろう 354 00:27:58,060 --> 00:28:03,031 さよう 貴殿が ある女に産ませた子に託した物 355 00:28:03,031 --> 00:28:07,469 しかも その女と申すは 豊臣方の逆賊 356 00:28:07,469 --> 00:28:10,639 小西行長の息女 357 00:28:10,639 --> 00:28:12,874 名はマリア 358 00:28:12,874 --> 00:28:18,146 キリシタン名からも分かるとおり 御禁制の邪教徒だ 359 00:28:18,146 --> 00:28:21,516 ハッ もし このことが 天下に知れ渡ったら 360 00:28:21,516 --> 00:28:24,319 柳生家はどうなるかな 361 00:28:24,319 --> 00:28:26,822 家名断絶はもちろん 362 00:28:26,822 --> 00:28:30,622 一族ことごとく切腹 363 00:28:44,773 --> 00:28:46,773 又平 364 00:28:53,348 --> 00:28:57,319 但馬殿 思わぬ親子の対面と なりましたな 365 00:28:57,319 --> 00:29:03,191 うるせえ!本当の親父なら 短刀一振り あてがって 366 00:29:03,191 --> 00:29:06,027 18年間も息子をほったらかしに しておくわけがねえんだ 367 00:29:06,027 --> 00:29:09,564 俺の… 俺の親父はな 368 00:29:09,564 --> 00:29:14,603 幼い俺をかばって死んでいった 平左衛門以外にはいねえんだ 369 00:29:14,603 --> 00:29:16,905 又平とやら 370 00:29:16,905 --> 00:29:19,105 呼び捨てにされるいわれはねえ 371 00:29:23,745 --> 00:29:26,615 もうよい 引っ立てい はっ 372 00:29:26,615 --> 00:29:28,884 俺はあくまでも根来の又平だ 373 00:29:28,884 --> 00:29:31,684 柳生なんかとは 何の関わり合いもねえからな 374 00:29:34,456 --> 00:29:39,361 但馬殿 もはや 言い逃れはできまい 375 00:29:39,361 --> 00:29:41,930 柳生家にとって道は2つ 376 00:29:41,930 --> 00:29:45,233 我らと手を組んで 繁栄の道をたどるか 377 00:29:45,233 --> 00:29:49,004 それとも一気に滅亡の道を走るか 378 00:29:49,004 --> 00:29:54,304 熟慮の上 一両日中に ご返答を願いたい 379 00:30:24,005 --> 00:30:28,005 ちきしょう 何が親父だ 380 00:30:30,779 --> 00:30:33,479 おおっ と… 殿 殿 381 00:30:43,558 --> 00:30:46,361 あんたが ここの殿様かい 382 00:30:46,361 --> 00:30:50,161 さあ… どうかな 383 00:30:52,267 --> 00:30:57,172 柳生但馬の隠し子と申すのは そのほうか? 384 00:30:57,172 --> 00:30:59,574 俺の知ったこっちゃねえ 385 00:30:59,574 --> 00:31:02,974 ただ それだけの理由で ここに捕らわれているのか? 386 00:31:06,081 --> 00:31:08,381 理不尽なことよのう 387 00:31:12,254 --> 00:31:15,054 すぐにでも 解き放ってやりたいのだが 388 00:31:17,092 --> 00:31:22,864 今の余は藩主でありながら 何の力も持たぬ 389 00:31:22,864 --> 00:31:25,066 そちに同じ 捕らわれの身だ 390 00:31:25,066 --> 00:31:27,836 そんなバカな 391 00:31:27,836 --> 00:31:31,673 そうか あの悪家老のせいだな 392 00:31:31,673 --> 00:31:36,211 せめて もう1年 父上が 生きながらえてくれたなら 393 00:31:36,211 --> 00:31:38,213 このような非道は許さずとも… 394 00:31:38,213 --> 00:31:41,416 おいおい 人の上に立つ殿様が 395 00:31:41,416 --> 00:31:44,919 そんな気の弱いことで どうすんだよ 396 00:31:44,919 --> 00:31:50,719 俺なんかよ 親父の顔も知らずに 18年間も生きてきたんだぜ 397 00:31:54,262 --> 00:31:59,234 殿 勝手に出歩いてはなりませぬ 398 00:31:59,234 --> 00:32:01,436 さあ 参りましょう 399 00:32:01,436 --> 00:32:05,073 御家老が心配しておいでです 400 00:32:05,073 --> 00:32:07,073 殿 401 00:32:33,234 --> 00:32:36,705 親父殿 402 00:32:36,705 --> 00:32:40,041 一切は又十郎から聞いた 403 00:32:40,041 --> 00:32:45,341 こんな形で柳生一族の揺らぐ日が やって来るとは 404 00:32:48,683 --> 00:32:51,119 十兵衛 405 00:32:51,119 --> 00:32:55,256 又平を助けてやってはくれぬか? 406 00:32:55,256 --> 00:32:57,258 親父殿 407 00:32:57,258 --> 00:32:59,561 わしは決心がついたよ 408 00:32:59,561 --> 00:33:04,061 あいつの父親であることを 引き受ける決心がな 409 00:33:06,034 --> 00:33:08,970 よく言ってくれた 親父殿 410 00:33:08,970 --> 00:33:15,176 この十兵衛 弟又平のために 死力を尽くそう 411 00:33:15,176 --> 00:33:19,981 公儀を傷つけずに 又平を助けることができるか? 412 00:33:19,981 --> 00:33:21,983 やってみよう 413 00:33:21,983 --> 00:33:25,286 よし 頼むぞ 414 00:33:25,286 --> 00:33:27,822 任せてくれ 415 00:33:27,822 --> 00:33:32,422 柳生家を汚名の沼に 沈めるわけにはまいらん 416 00:33:46,608 --> 00:33:49,377 景浦殿にお取り次ぎ願いたい 417 00:33:49,377 --> 00:33:53,415 父 但馬守よりの返書を 持参いたした 418 00:33:53,415 --> 00:33:58,253 それから これは柳生家よりの 心ばかりのご進物 419 00:33:58,253 --> 00:34:00,953 何とぞ お納め願いたい 420 00:34:18,473 --> 00:34:20,475 これは なんと… 421 00:34:20,475 --> 00:34:25,280 父 但馬守の心境は正に白紙のまま 422 00:34:25,280 --> 00:34:27,882 黙れ! 423 00:34:27,882 --> 00:34:30,985 彦根35万石を愚弄する気か 424 00:34:30,985 --> 00:34:36,991 今度は その白紙に 景浦殿の返書を頂きたい 425 00:34:36,991 --> 00:34:38,993 何? 426 00:34:38,993 --> 00:34:42,297 今までの罪状の数々を書き連ね 427 00:34:42,297 --> 00:34:44,497 潔く切腹 願おう! 428 00:34:47,435 --> 00:34:50,405 無礼な 429 00:34:50,405 --> 00:34:52,841 よく言ってのけた 430 00:34:52,841 --> 00:34:56,110 これで柳生家の命運も尽きたな 431 00:34:56,110 --> 00:34:59,013 フフフ 432 00:34:59,013 --> 00:35:01,683 誰だ! フフフ 433 00:35:01,683 --> 00:35:08,122 ハハハ ハハハ 434 00:35:08,122 --> 00:35:11,222 柳生十兵衛光巌 435 00:35:13,695 --> 00:35:15,695 景浦頼母 436 00:35:17,899 --> 00:35:20,902 柳生一族の名において 437 00:35:20,902 --> 00:35:23,705 その首 もらい受ける 438 00:35:23,705 --> 00:35:25,740 おのれ 439 00:35:25,740 --> 00:35:29,811 城中での狼藉 言語道断 440 00:35:29,811 --> 00:35:31,880 出合え! 441 00:35:31,880 --> 00:35:33,880 斬り捨てい 442 00:36:20,128 --> 00:36:22,628 うっ だー 443 00:36:30,104 --> 00:36:32,104 さあ 早く 444 00:36:34,142 --> 00:36:37,312 おっ 曲者だ 445 00:36:37,312 --> 00:36:40,114 又平 後は俺たちが引き受けた 446 00:36:40,114 --> 00:36:42,114 すまねえ 447 00:36:49,457 --> 00:36:51,459 がーっ 448 00:36:51,459 --> 00:36:54,596 うっ 449 00:36:54,596 --> 00:36:57,231 おのれ 何奴だ! 何者 450 00:36:57,231 --> 00:36:59,634 おのれ 無礼者 451 00:36:59,634 --> 00:37:02,734 待て 待たぬか あー! 452 00:37:05,473 --> 00:37:07,473 おのれ 453 00:37:14,949 --> 00:37:18,019 お前は… 気を強く持つんだ 454 00:37:18,019 --> 00:37:21,719 たった一人だって やろうとさえ 思えば 何だってできる 455 00:38:12,373 --> 00:38:14,873 無事か 又平 当たりめえだい 456 00:38:16,911 --> 00:38:18,911 又平 おう 457 00:38:52,914 --> 00:38:56,814 撃て 撃ち殺せ 458 00:38:59,787 --> 00:39:01,787 待て 459 00:39:03,791 --> 00:39:08,763 殿 もはや問答無用 引き下がられい 460 00:39:08,763 --> 00:39:11,599 ならぬ 461 00:39:11,599 --> 00:39:14,969 頼母 そのほう 462 00:39:14,969 --> 00:39:19,240 かような卑劣な手段を用いて 関ヶ原以来 463 00:39:19,240 --> 00:39:23,845 赤備えの武勇を誇る井伊家の 威信に傷をつけるのか 464 00:39:23,845 --> 00:39:27,181 ええい 構わぬ 撃てい 465 00:39:27,181 --> 00:39:32,587 ならぬ!主君たる余が許さぬ 466 00:39:32,587 --> 00:39:36,524 どうしても撃つというなら 467 00:39:36,524 --> 00:39:38,824 余を最初に撃ち殺すがいい 468 00:39:40,995 --> 00:39:42,995 撃て 撃てい 469 00:39:45,099 --> 00:39:50,705 確かに余は藩主として 無能かもしれぬ 470 00:39:50,705 --> 00:39:55,777 頼母のように権力を我がものにし 471 00:39:55,777 --> 00:40:00,248 藩政を導く才腕もない 472 00:40:00,248 --> 00:40:06,154 だが領民を愛し 473 00:40:06,154 --> 00:40:09,223 藩士たちをいとおしむ心は 474 00:40:09,223 --> 00:40:11,423 持っておるつもりだ 475 00:40:20,868 --> 00:40:22,868 はっ あっ 476 00:40:37,952 --> 00:40:40,252 殿 直滋殿 477 00:40:42,223 --> 00:40:47,895 直滋殿 陰腹を召されましたな 478 00:40:47,895 --> 00:40:51,232 柳生殿 479 00:40:51,232 --> 00:40:56,904 すべては この直滋の 不徳のいたすところ 480 00:40:56,904 --> 00:41:02,004 これで… これでお許しあれ 481 00:41:04,779 --> 00:41:07,515 直滋殿 482 00:41:07,515 --> 00:41:11,919 残された藩士たちのことを 483 00:41:11,919 --> 00:41:14,119 何とぞよしなに 484 00:41:18,593 --> 00:41:20,593 又平 485 00:41:23,865 --> 00:41:25,965 殿! 486 00:41:42,984 --> 00:41:46,554 又平 487 00:41:46,554 --> 00:41:49,254 愚かな父を許してくれ 488 00:41:51,626 --> 00:41:56,626 平左衛門亡き後 さぞ苦労したであろうな 489 00:41:58,666 --> 00:42:00,666 これを 490 00:42:12,246 --> 00:42:15,883 今までモヤモヤしてたもんが すっきりしちまったよ 491 00:42:15,883 --> 00:42:21,222 フフフ これからどうする? よければ わしの屋敷に 492 00:42:21,222 --> 00:42:23,357 堅苦しいのは嫌いだ 493 00:42:23,357 --> 00:42:27,395 誰にも頼らず 自分の力で生きてくよ 494 00:42:27,395 --> 00:42:29,395 又平 495 00:42:32,667 --> 00:42:36,137 とうとう見つけたな 496 00:42:36,137 --> 00:42:38,137 自分自身の力で 497 00:42:43,044 --> 00:42:48,182 又平 今日からお前も柳生の1人 498 00:42:48,182 --> 00:42:53,020 弟と分かったからって 兄貴面はごめんだぜ 499 00:42:53,020 --> 00:42:55,020 俺は根来の又平だ 500 00:42:57,091 --> 00:43:00,261 フフフ 501 00:43:00,261 --> 00:43:06,334 親父殿 この十兵衛 よき弟を持ちました 502 00:43:06,334 --> 00:43:08,736 すまなかった 503 00:43:08,736 --> 00:43:13,975 いや 親父殿が 完璧な人格者でなくて 504 00:43:13,975 --> 00:43:16,978 けんかがしやすくなりましたよ 505 00:43:16,978 --> 00:43:19,347 ハハハ 506 00:43:19,347 --> 00:43:23,247 ハハハ ハハハ 507 00:43:39,600 --> 00:43:41,969 血は水よりも濃いという 508 00:43:41,969 --> 00:43:47,174 親子の愛情 よみがえり 一族の危機を乗り越え 巡検使 509 00:43:47,174 --> 00:43:50,274 行く手の道は大津であった 510 00:45:30,344 --> 00:45:33,981 大津の宿は問丸と呼ばれる 禁裏御用商人が 511 00:45:33,981 --> 00:45:37,084 権力を笠に着て暴れ回り 無法地帯 512 00:45:37,084 --> 00:45:41,689 東海道 測量を妨害して 巡検使と真っ向から対立 513 00:45:41,689 --> 00:45:43,691 誰に物を言っとるか! 514 00:45:43,691 --> 00:45:49,430 ほう 俺らはな 帝の御用を 承っとるんじゃ 515 00:45:49,430 --> 00:45:52,566 将軍と帝と どっちゃが 偉いんじゃ こら 516 00:45:52,566 --> 00:45:57,138 鬼蔵を召し捕る 奴らはそれで崩れる 517 00:45:57,138 --> 00:45:59,140 鬼蔵を召し捕る? 518 00:45:59,140 --> 00:46:02,776 青戸 花形 二人組が奪われた 御朱印状を追う 519 00:46:02,776 --> 00:46:04,812 お紋 阿里助の活躍 520 00:46:04,812 --> 00:46:06,881 お前 まだ この女に未練あんのか 521 00:46:06,881 --> 00:46:09,450 私は どうなってもいいから 放すんじゃないよ 522 00:46:09,450 --> 00:46:12,386 鬼次を渡す お松を放してやれ 523 00:46:12,386 --> 00:46:16,490 よし お互いに だましなし 待ち伏せなしやぞ 524 00:46:16,490 --> 00:46:20,361 地獄囃子の響く宿場に 無法者との決戦に 525 00:46:20,361 --> 00:46:23,364 さっそうと現れる一つ目天狗 526 00:46:23,364 --> 00:46:26,764 柳生あばれ旅 「地獄囃子の 鬼女房」に ご期待ください