1 00:02:06,363 --> 00:02:08,463 釣れますかな? 2 00:02:12,603 --> 00:02:14,605 いや 全く 3 00:02:14,605 --> 00:02:16,907 エサが悪いのでは? 4 00:02:16,907 --> 00:02:19,410 そうとも思えぬが 5 00:02:19,410 --> 00:02:21,412 エサは何です? 6 00:02:21,412 --> 00:02:23,981 何も付けておらん ん? 7 00:02:23,981 --> 00:02:26,951 それでは釣りにはなるまい ハハハ 8 00:02:26,951 --> 00:02:28,953 かもしれぬ 9 00:02:28,953 --> 00:02:32,623 だがエサでたぶらかすのは 卑怯な気がしてな 10 00:02:32,623 --> 00:02:34,625 なるほど 11 00:02:34,625 --> 00:02:37,762 いろいろ考え方もあるものだ 12 00:02:37,762 --> 00:02:42,199 エサさえよければ 小鮒の1匹や2匹 釣れそうだが 13 00:02:42,199 --> 00:02:46,871 構わぬ どうせ もっと大物を狙っておるから 14 00:02:46,871 --> 00:02:52,309 おー そんな大物が この高崎川におりますかな? 15 00:02:52,309 --> 00:02:54,345 いる 16 00:02:54,345 --> 00:02:58,115 とびきり大物を 一度 釣り逃がしたが 17 00:02:58,115 --> 00:03:00,915 そのうち きっと かかってくる 18 00:03:03,387 --> 00:03:07,258 それを調べに来たのでは ないのかな? 19 00:03:07,258 --> 00:03:11,458 柳生十兵衛三厳殿 20 00:03:17,601 --> 00:03:20,704 上州 高崎城は7万2000石 21 00:03:20,704 --> 00:03:24,408 安藤右京進重長の居城である 22 00:03:24,408 --> 00:03:28,312 ここ高崎には かつて三代将軍の座を巡って 23 00:03:28,312 --> 00:03:30,648 兄 家光と争って敗れた 24 00:03:30,648 --> 00:03:34,585 駿河大納言忠長が蟄居していた 25 00:03:34,585 --> 00:03:38,489 政権の座を巡って 兄と弟は激しく争い 26 00:03:38,489 --> 00:03:43,394 徳川を真っ二つに割る すさまじい抗争に発展しかけたが 27 00:03:43,394 --> 00:03:46,030 祖父 徳川家康の決断により 28 00:03:46,030 --> 00:03:50,167 長子家光 将軍就任で幕が下りた 29 00:03:50,167 --> 00:03:54,471 幕は下りたといっても まだまだ安心はできんぞ 30 00:03:54,471 --> 00:03:56,941 忠長様は幼少の頃よりな 31 00:03:56,941 --> 00:03:59,243 大変ご利発で元気者だ 32 00:03:59,243 --> 00:04:01,779 兄の家光公も ややもすると 33 00:04:01,779 --> 00:04:04,515 気押されがちな 人物だったそうじゃ 34 00:04:04,515 --> 00:04:06,517 父君 秀忠公は 35 00:04:06,517 --> 00:04:09,987 忠長様を将軍職に 据えるおつもりだったとか 36 00:04:09,987 --> 00:04:12,723 なるほど でも それがどうして? 37 00:04:12,723 --> 00:04:15,426 女の力じゃ 女の力? 38 00:04:15,426 --> 00:04:19,697 うん 家光公の乳母 春日局様が 39 00:04:19,697 --> 00:04:25,135 その頃 駿府におられた 東照神君家康公に直訴されてな 40 00:04:25,135 --> 00:04:27,905 たちまち立場が 入れ替わったんだな 41 00:04:27,905 --> 00:04:31,876 なるほど なる… このバカたれが 42 00:04:31,876 --> 00:04:34,545 「なるほど なるほど」ばっかりだな お前は 43 00:04:34,545 --> 00:04:37,781 あまりにも物を知らなすぎるよ 情けないやっちゃ 44 00:04:37,781 --> 00:04:40,551 太郎兵衛 ハハッ 45 00:04:40,551 --> 00:04:45,289 縫之介様 我ら公儀巡検使にとって 46 00:04:45,289 --> 00:04:47,858 この高崎は正念場ですぞ 47 00:04:47,858 --> 00:04:51,228 分かっております 忠長様の存在こそ 48 00:04:51,228 --> 00:04:53,330 徳川最大の悩み 49 00:04:53,330 --> 00:04:57,234 心して当たるように きつく父上から申されております 50 00:04:57,234 --> 00:04:59,834 助けて!国松 51 00:05:01,805 --> 00:05:05,005 阿里助 助けろ 飛び込むんだ 行け! 52 00:05:23,027 --> 00:05:25,763 むさ苦しい所ですが おくつろぎください 53 00:05:25,763 --> 00:05:28,232 いやいや お構いくださるな 54 00:05:28,232 --> 00:05:31,101 (くしゃみ) おっ どうした 55 00:05:31,101 --> 00:05:35,172 アハッ 阿里助 なかなか似合うじゃないか 56 00:05:35,172 --> 00:05:40,010 よかった 丈も裄もぴったりで 57 00:05:40,010 --> 00:05:42,947 その御紋は… 葵の御紋 58 00:05:42,947 --> 00:05:45,816 あ? 恐れ多い!脱げ!脱ぐのじゃ 59 00:05:45,816 --> 00:05:49,153 いや しかし どうぞ お気になさらないで 60 00:05:49,153 --> 00:05:52,723 主人の着古しですから ご主人の? 61 00:05:52,723 --> 00:05:55,693 今 帰ったぞ 62 00:05:55,693 --> 00:05:58,329 おかえりなさいまし 父上 63 00:05:58,329 --> 00:06:01,398 おう 国松 64 00:06:01,398 --> 00:06:03,400 お客人かな? はい 65 00:06:03,400 --> 00:06:06,003 国松が掘割の水に はまったところを 66 00:06:06,003 --> 00:06:10,441 助けていただいたんです えっ そうか 67 00:06:10,441 --> 00:06:12,541 いやあ それはそれは 68 00:06:16,013 --> 00:06:19,383 この度は とんだご迷惑を かけたそうで 69 00:06:19,383 --> 00:06:23,120 お詫びかたがた お礼を申す 70 00:06:23,120 --> 00:06:25,990 わたくしは国松の父 71 00:06:25,990 --> 00:06:28,993 徳川忠長でござる 72 00:06:28,993 --> 00:06:32,396 忠長様? えっ 73 00:06:32,396 --> 00:06:34,398 ははっ ははっ 74 00:06:34,398 --> 00:06:38,068 そう堅苦しゅうなられては困る さあ 手を上げなさい 75 00:06:38,068 --> 00:06:40,571 あ… はあ 公儀より 76 00:06:40,571 --> 00:06:42,940 中仙道巡検使を拝命する 77 00:06:42,940 --> 00:06:46,276 柳生縫之介にございます これなるは… 78 00:06:46,276 --> 00:06:49,980 随行の鏑木太郎兵衛にございます 79 00:06:49,980 --> 00:06:54,551 お… 同じく あ… 有沢阿里助でございます はい 80 00:06:54,551 --> 00:06:58,055 どうなされた ひどく落ち着かぬ様子だが 81 00:06:58,055 --> 00:07:01,125 い… いえ べ… 別に 82 00:07:01,125 --> 00:07:04,094 そういえば その召し物は… 83 00:07:04,094 --> 00:07:07,264 ひ… 平にご容赦を ははあ 84 00:07:07,264 --> 00:07:11,935 構わぬ 構わぬ ほほう よく似合っておるではないか 85 00:07:11,935 --> 00:07:13,971 は… はあ 86 00:07:13,971 --> 00:07:16,807 恐れ入ります はっ 87 00:07:16,807 --> 00:07:21,545 その葵の紋所 今の私よりも 88 00:07:21,545 --> 00:07:25,582 公儀巡検使たる そのほうたちに ふさわしいのかもしれぬ 89 00:07:25,582 --> 00:07:28,619 殿 何を仰せられます 90 00:07:28,619 --> 00:07:31,055 もはや殿ではない 91 00:07:31,055 --> 00:07:34,158 たかが一介の流刑人 92 00:07:34,158 --> 00:07:38,858 身を立てるも滅ぼすも すべて その紋所ゆえ 93 00:07:41,465 --> 00:07:44,665 ご心中 お察し申し上げます 94 00:07:46,970 --> 00:07:49,973 そういえば先刻 十兵衛に会ったぞ 95 00:07:49,973 --> 00:07:52,142 兄上に? 十兵衛様に? 96 00:07:52,142 --> 00:07:56,814 うん あれで釣りには なかなか うるさいらしい 97 00:07:56,814 --> 00:07:59,349 柳生一門 打ちそろって 98 00:07:59,349 --> 00:08:03,187 私の動勢を探りに 参られたのかな? 99 00:08:03,187 --> 00:08:07,587 いえ 決してさようなことは ハハッ 100 00:08:09,726 --> 00:08:12,763 若が なぜ この高崎へ 101 00:08:12,763 --> 00:08:16,263 おー やはりな 102 00:08:21,872 --> 00:08:25,109 あの方たちは? 103 00:08:25,109 --> 00:08:27,111 藩の目付役人 104 00:08:27,111 --> 00:08:31,081 ああやって昼夜を問わず 見張っておる 105 00:08:31,081 --> 00:08:34,084 ご苦労なことよ 106 00:08:34,084 --> 00:08:38,055 殿 ただ今 お城より お迎えのお駕籠が 107 00:08:38,055 --> 00:08:40,624 外記 何事じゃ かかる夜分に? 108 00:08:40,624 --> 00:08:46,196 はっ 実は三代将軍 家光公が 109 00:08:46,196 --> 00:08:50,234 ただ今 日光東照宮参詣の 途上にございます 110 00:08:50,234 --> 00:08:52,503 何?兄上が? 111 00:08:52,503 --> 00:08:57,407 すでに日光街道を 宇都宮辺りまでお進みとか 112 00:08:57,407 --> 00:09:00,210 宇都宮か 近いのう 113 00:09:00,210 --> 00:09:04,481 はっ 早速にも ご面会嘆願の書状を 114 00:09:04,481 --> 00:09:06,550 したためていただきたく 115 00:09:06,550 --> 00:09:10,854 そのほうら やはり将軍家と 事を構えるつもりか? 116 00:09:10,854 --> 00:09:13,790 いかにも 117 00:09:13,790 --> 00:09:16,927 忠長殿 この機を逃しては 118 00:09:16,927 --> 00:09:20,631 二度と世に出ることは 叶いませぬぞ 119 00:09:20,631 --> 00:09:24,101 かって天下を二分しただけあって 120 00:09:24,101 --> 00:09:26,737 伊達 前田の外様雄藩を始め 121 00:09:26,737 --> 00:09:30,541 幕閣譜代にも 忠長様を次期将軍職に 122 00:09:30,541 --> 00:09:33,010 望む者が多うございます 123 00:09:33,010 --> 00:09:38,182 ひと度 事 起これば 必ずや お味方につかれるはず 124 00:09:38,182 --> 00:09:42,819 その取りまとめは この外記にお任せくだされ 125 00:09:42,819 --> 00:09:45,989 まずは ご面会の書状を 126 00:09:45,989 --> 00:09:48,189 うん 書こう 127 00:09:50,127 --> 00:09:54,865 だが断じて軽挙妄動に 走ってはならんぞ 128 00:09:54,865 --> 00:09:57,367 余は ただ兄上に会うて 129 00:09:57,367 --> 00:10:01,305 その胸の内を知りたいだけだ 130 00:10:01,305 --> 00:10:05,905 決断は あくまでも その後 よいな? 131 00:10:16,820 --> 00:10:19,256 但馬!但馬はおらぬか 132 00:10:19,256 --> 00:10:22,593 ははっ ただ今 133 00:10:22,593 --> 00:10:24,928 上様 何か? 134 00:10:24,928 --> 00:10:26,928 余は高崎へ参るぞ 135 00:10:28,932 --> 00:10:31,401 何と仰せられます 136 00:10:31,401 --> 00:10:35,439 ここから高崎は目と鼻の先 行って忠長に会うてやりたい 137 00:10:35,439 --> 00:10:38,909 それはなりませぬ ならぬと? 138 00:10:38,909 --> 00:10:41,109 兄が弟に会うて なぜ悪い? 139 00:10:43,180 --> 00:10:46,950 思えば忠長も不憫な奴 政争に追われ 140 00:10:46,950 --> 00:10:50,020 隠忍自重して早7年 141 00:10:50,020 --> 00:10:53,323 ひと目たりとも会うて ねぎらいの言葉をかけてやりたい 142 00:10:53,323 --> 00:10:55,325 それがならぬと申すのか 143 00:10:55,325 --> 00:10:57,561 なりませぬ 144 00:10:57,561 --> 00:11:00,430 お気持ちはお察しいたしますが 145 00:11:00,430 --> 00:11:03,700 上様は将軍家として 天下に ただ1人 146 00:11:03,700 --> 00:11:06,303 かけがえのない御身でございます 147 00:11:06,303 --> 00:11:09,172 もし万が一のことが ございますれば 148 00:11:09,172 --> 00:11:15,512 黙れ!天下を治める者が いつまでも兄弟 相争うて 149 00:11:15,512 --> 00:11:17,512 万民が納得すると思うか! 150 00:11:27,224 --> 00:11:29,259 将軍家に盾突くからには 151 00:11:29,259 --> 00:11:31,862 どんなに恐ろしげなお方かと 思っていましたが 152 00:11:31,862 --> 00:11:33,897 会ってみると案外でした 153 00:11:33,897 --> 00:11:37,301 もはや謀反のご意思はないと 見受けました うん 154 00:11:37,301 --> 00:11:40,370 阿里助 安易に決めつけては なりませんよ 155 00:11:40,370 --> 00:11:44,207 そのとおり 人は見かけだけではな 156 00:11:44,207 --> 00:11:46,810 能ある鷹は爪隠す 157 00:11:46,810 --> 00:11:49,713 お前はすぐ人を信じるからなあ 158 00:11:49,713 --> 00:11:52,649 それじゃあ 巡検使随行は務まらん 159 00:11:52,649 --> 00:11:56,386 ですが私は忠長様を信じたいと 思います 160 00:11:56,386 --> 00:12:01,625 おー ホホッ 甘いわ 青いわ ハハハ 161 00:12:01,625 --> 00:12:05,195 鏑木さん 少しは口を慎んでください 162 00:12:05,195 --> 00:12:08,732 お前 誰に向かって言ってんだ 黙れ!無礼者 163 00:12:08,732 --> 00:12:11,435 何を こやつ… 164 00:12:11,435 --> 00:12:14,204 ひっ これは ははっ 165 00:12:14,204 --> 00:12:16,707 ヘヘヘ はっ 166 00:12:16,707 --> 00:12:19,276 あ?こら! 167 00:12:19,276 --> 00:12:21,278 阿里助 よくも人をこけに… 168 00:12:21,278 --> 00:12:24,878 よしなさい 2人とも! あっ アハッ 169 00:12:27,351 --> 00:12:31,488 私も忠長様を信じてさしあげたい 170 00:12:31,488 --> 00:12:34,624 しかし反意なしと報告する前に 171 00:12:34,624 --> 00:12:38,562 高崎藩の動向も 探っておく必要があります 172 00:12:38,562 --> 00:12:41,098 ええ そりゃまあ確かに 173 00:12:41,098 --> 00:12:44,801 上州右京進殿は江戸へ出府中で 174 00:12:44,801 --> 00:12:49,606 城代家老 早坂外記と その早坂一門が 175 00:12:49,606 --> 00:12:53,410 藩政の実権を握っていると いうことを聞きましたが 176 00:12:53,410 --> 00:12:58,515 まあ 忠長様がどう出るかは この者たち次第ですな 177 00:12:58,515 --> 00:13:03,153 忠長!余に逆らうは 将軍家に弓引くこと 178 00:13:03,153 --> 00:13:05,956 天下を騒がす逆賊なるぞ 179 00:13:05,956 --> 00:13:08,892 何を申される この忠長を陥れ 180 00:13:08,892 --> 00:13:11,461 姑息な手段で将軍職を かすめ取ったのは 181 00:13:11,461 --> 00:13:13,797 兄上のほうではござらぬか 182 00:13:13,797 --> 00:13:16,233 ええい 黙れ 黙れ 183 00:13:16,233 --> 00:13:18,702 兄弟の仲も もはやこれまで 184 00:13:18,702 --> 00:13:21,805 その小賢しげな面態 二度と見たくない 185 00:13:21,805 --> 00:13:25,709 あっ これだ 186 00:13:25,709 --> 00:13:29,746 お駒さん あら 巡検使様 187 00:13:29,746 --> 00:13:32,048 同じ宿でしたか 188 00:13:32,048 --> 00:13:36,086 何してんですか 随分 威勢がいいですな 189 00:13:36,086 --> 00:13:39,356 アハッ 先乗りして 新作狂言 執筆中なの 190 00:13:39,356 --> 00:13:42,225 新作狂言? そう 191 00:13:42,225 --> 00:13:46,730 寛永竜虎伝 家光 忠長 対面の場 192 00:13:46,730 --> 00:13:49,232 この高崎の舞台にかければ ご当地だけに 193 00:13:49,232 --> 00:13:51,601 大当たり間違いなしなんだけどね 194 00:13:51,601 --> 00:13:56,706 なかなか筆が進まなくてね 締め切りも迫ってるし 195 00:13:56,706 --> 00:14:00,911 悪いけど邪魔しないでくれる? ねっ 196 00:14:00,911 --> 00:14:04,011 えーと いやいや 197 00:14:07,451 --> 00:14:11,154 天下安泰のためにも そのほうを生かしておけぬ 198 00:14:11,154 --> 00:14:13,990 即刻 腹を切れ 腹を 199 00:14:13,990 --> 00:14:16,460 腹を切れ (障子が開く音) 200 00:14:16,460 --> 00:14:18,595 うんっ 邪魔しないでって 言ったでしょ 201 00:14:18,595 --> 00:14:21,431 うんっ もう いいとこなんだから 202 00:14:21,431 --> 00:14:25,068 あー!あら 権兵衛じいさん 203 00:14:25,068 --> 00:14:29,072 いやいや 精が出るのう 204 00:14:29,072 --> 00:14:31,274 いや じゃがな 205 00:14:31,274 --> 00:14:34,277 そんな殺伐とした狂言では 206 00:14:34,277 --> 00:14:37,581 客は来んじゃろよ そうかしら 207 00:14:37,581 --> 00:14:43,186 やはりな この 兄弟仲良く 手を取り合ってじゃ 208 00:14:43,186 --> 00:14:47,891 涙する 感動の筋書きにしたほうが よいと思うんじゃがのう 209 00:14:47,891 --> 00:14:50,460 いや そういうのは もう ちょっと古いんじゃないかしら 210 00:14:50,460 --> 00:14:54,564 んー 古いものにこそじゃ 211 00:14:54,564 --> 00:14:59,469 人の心をつかむ真実が 隠されているんじゃて 212 00:14:59,469 --> 00:15:03,340 えー まあまあ しっかりと書きなされよ 213 00:15:03,340 --> 00:15:06,643 うー アタタタタ うー 214 00:15:06,643 --> 00:15:09,012 あっ おじいさん どこ行くの? あ? 215 00:15:09,012 --> 00:15:12,048 山に芝刈りにな いやいや 216 00:15:12,048 --> 00:15:16,348 川に洗濯じゃ ハッハッハッハ 217 00:15:26,062 --> 00:15:31,368 先の駿河大納言忠長と 知っての狼藉か 下がれ! 218 00:15:31,368 --> 00:15:35,672 徳川家ご安泰のため 死んでもらう 何? 219 00:15:35,672 --> 00:15:39,976 家光公の弟に生まれた不運と お諦めなされい 220 00:15:39,976 --> 00:15:42,445 兄上が… 221 00:15:42,445 --> 00:15:44,445 家光が余を殺せと? 222 00:15:54,691 --> 00:15:57,027 おっ 何者だ 223 00:15:57,027 --> 00:16:00,096 この世の影に潜み 224 00:16:00,096 --> 00:16:02,933 この世の悪を斬る 225 00:16:02,933 --> 00:16:06,036 人呼んで まぼろし天狗 226 00:16:06,036 --> 00:16:08,505 おのれ 邪魔立てするか 227 00:16:08,505 --> 00:16:10,505 斬れ 斬れ 228 00:16:19,215 --> 00:16:21,885 待て 待てい 229 00:16:21,885 --> 00:16:23,885 引け! 230 00:16:26,790 --> 00:16:29,492 あっ これは忠長様 231 00:16:29,492 --> 00:16:32,128 おケガはございませんか? 大丈夫だ 232 00:16:32,128 --> 00:16:35,298 賊は何者でございます? 233 00:16:35,298 --> 00:16:38,969 闇討ちとは まことにもって卑劣な奴 234 00:16:38,969 --> 00:16:41,969 草の根を分けてでも捜し出せ はっ 235 00:16:44,174 --> 00:16:47,978 忠長様 当屋敷はこの先なれば 236 00:16:47,978 --> 00:16:50,378 ひとまず そちらへ さあ 237 00:17:07,330 --> 00:17:10,967 余は今宵はっきりと兄 家光の 238 00:17:10,967 --> 00:17:14,771 性根の底の底まで見た 239 00:17:14,771 --> 00:17:17,774 力には力 240 00:17:17,774 --> 00:17:21,311 策謀には策謀をもって応えようぞ 241 00:17:21,311 --> 00:17:24,581 よくぞ おっしゃって くださいました 242 00:17:24,581 --> 00:17:28,652 今この時なれば 家光公には世継ぎなく 243 00:17:28,652 --> 00:17:32,088 忠長殿こそ 東照神君の血を引く 244 00:17:32,088 --> 00:17:35,959 徳川直系の唯一のお方 245 00:17:35,959 --> 00:17:38,695 家光公さえ この世から消えれば 246 00:17:38,695 --> 00:17:43,733 将軍の座は黙っていても忠長殿へ 247 00:17:43,733 --> 00:17:46,503 父上 公儀巡検使が 248 00:17:46,503 --> 00:17:49,639 間もなく当地に入るとの情報が 入っておりますが 249 00:17:49,639 --> 00:17:52,175 もう とうに入っておるぞ 250 00:17:52,175 --> 00:17:54,878 まことでございますか? うん 251 00:17:54,878 --> 00:17:58,782 余の所に挨拶に参った 252 00:17:58,782 --> 00:18:03,987 但馬め 何をたくらんでいるか 253 00:18:03,987 --> 00:18:09,125 忠長殿 三代将軍を巡る ご兄弟 確執の折 254 00:18:09,125 --> 00:18:12,962 春日局が家康公に 直訴に及んだのは 255 00:18:12,962 --> 00:18:16,866 すべて柳生但馬の入れ知恵 256 00:18:16,866 --> 00:18:21,838 忠長殿 今日の不遇の根は柳生一門 257 00:18:21,838 --> 00:18:24,607 よもや お忘れではございますまい 258 00:18:24,607 --> 00:18:27,010 おかげで柳生一門は 259 00:18:27,010 --> 00:18:31,181 将軍懐刀として君臨 260 00:18:31,181 --> 00:18:36,986 その栄華も家光共々 崩れる日が来たのだ 261 00:18:36,986 --> 00:18:41,224 外記 事 成就の暁には 262 00:18:41,224 --> 00:18:43,493 そのほう 何が欲しい? 263 00:18:43,493 --> 00:18:47,931 公儀大目付 我ら早坂一門 264 00:18:47,931 --> 00:18:51,534 柳生但馬に取って代わるのが 夢でござる 265 00:18:51,534 --> 00:18:55,638 そうか 相分かった 266 00:18:55,638 --> 00:18:58,374 徳川800万石 267 00:18:58,374 --> 00:19:01,774 刺し違える相手にとって 不足はない 268 00:19:06,649 --> 00:19:08,685 首尾はいかがでございましたか? 269 00:19:08,685 --> 00:19:10,820 ああ 上首尾だ 270 00:19:10,820 --> 00:19:14,858 英明と うたわれてはいても 育ちはいいからな 271 00:19:14,858 --> 00:19:17,594 家光の刺客と思い込んでおるわ 272 00:19:17,594 --> 00:19:19,829 人を疑うことを知りませんからな 273 00:19:19,829 --> 00:19:23,429 ハハハ ハハハ 274 00:19:37,647 --> 00:19:41,247 お酒でも おつけしましょうか? 275 00:19:43,720 --> 00:19:46,820 いや 要らぬ 276 00:20:05,108 --> 00:20:08,808 わたくしへの去り状で ございますか? 277 00:20:13,550 --> 00:20:16,050 いつもとは まるで違うご様子 278 00:20:18,888 --> 00:20:21,988 一体 何があったのでございます? 279 00:20:25,662 --> 00:20:28,531 兄上が この地へ見える 280 00:20:28,531 --> 00:20:32,235 三代様が? 281 00:20:32,235 --> 00:20:34,237 殿 それでまさか… 282 00:20:34,237 --> 00:20:36,337 八重 何も聞くな 283 00:20:38,341 --> 00:20:43,646 国松と一緒に 里の佐倉へ帰ってくれ 284 00:20:43,646 --> 00:20:48,184 お前には苦労ばかりかけて すまぬと思うておる 285 00:20:48,184 --> 00:20:52,789 そのうち必ず迎えを遣わす 286 00:20:52,789 --> 00:20:55,892 次期将軍 御台所としてな 287 00:20:55,892 --> 00:20:59,362 殿… ただし 288 00:20:59,362 --> 00:21:05,168 迎えがない時は この忠長のこと すべて諦めて 289 00:21:05,168 --> 00:21:08,037 国松を頼む 290 00:21:08,037 --> 00:21:10,373 何を仰せられます 291 00:21:10,373 --> 00:21:14,010 八重は今のままで 十分 幸せにございます 292 00:21:14,010 --> 00:21:16,980 この期に及んで ご兄弟 相争ったところで… 293 00:21:16,980 --> 00:21:19,749 言うな 294 00:21:19,749 --> 00:21:22,652 私も このまま悠々自適に 295 00:21:22,652 --> 00:21:26,389 余生を送るのも悪くないと 思うていた 296 00:21:26,389 --> 00:21:29,489 しかし それさえ許さぬ兄上が憎い 297 00:21:32,328 --> 00:21:34,597 ここで屈しては 298 00:21:34,597 --> 00:21:39,702 この忠長の処遇に抗議して 憤死していった 299 00:21:39,702 --> 00:21:44,802 大勢の家臣に対し 申し訳が立つまい 300 00:21:53,216 --> 00:21:57,620 どうなされたのです?八重殿 301 00:21:57,620 --> 00:21:59,689 何なりと申してください 302 00:21:59,689 --> 00:22:03,489 私にできることがあれば 喜んで お力になります 303 00:22:05,895 --> 00:22:07,897 将軍様をこの地に 304 00:22:07,897 --> 00:22:10,099 立ち寄らせないで いただきたいのです 305 00:22:10,099 --> 00:22:12,101 え? 306 00:22:12,101 --> 00:22:16,072 巡検使様のお口添えで 何としても今のうちに 307 00:22:16,072 --> 00:22:18,072 どうなされたのです? 308 00:22:20,677 --> 00:22:22,677 忠長様が何か? 309 00:22:27,350 --> 00:22:29,350 はっ 310 00:23:01,584 --> 00:23:03,584 兄上 311 00:23:09,158 --> 00:23:13,062 十兵衛兄様 茜 今市には行くな 312 00:23:13,062 --> 00:23:16,032 なぜです なぜですか? 313 00:23:16,032 --> 00:23:18,868 家光公は明朝早々 本陣を発つ 314 00:23:18,868 --> 00:23:22,538 気が変わらぬうちに 忠長様にお会いさせたいんだ 315 00:23:22,538 --> 00:23:25,174 でも上様の身に 万一のことがあれば… 316 00:23:25,174 --> 00:23:28,945 何が何でも守るのだ それが忠長様のためだ 317 00:23:28,945 --> 00:23:31,881 忠長様の? 忠長様が 318 00:23:31,881 --> 00:23:35,685 この上州の地に落とされた原因は 親父殿にあるのだ 319 00:23:35,685 --> 00:23:38,955 父上に? 徳川盤石のために 320 00:23:38,955 --> 00:23:41,524 謀反の噂を利用したのだ 321 00:23:41,524 --> 00:23:46,029 茜 忠長様を救う道はただ1つ 322 00:23:46,029 --> 00:23:50,700 ご兄弟 ひざを交えてじっくりと 話し合っていただくことだ 323 00:23:50,700 --> 00:23:53,603 はい 今日の機会を逃すと 324 00:23:53,603 --> 00:23:56,072 和解は永遠に遠のく 325 00:23:56,072 --> 00:23:59,175 茜 これも 326 00:23:59,175 --> 00:24:01,975 柳生一族の罪の償いなのだ 327 00:24:12,355 --> 00:24:14,457 忠長様 328 00:24:14,457 --> 00:24:16,492 柳生十兵衛 329 00:24:16,492 --> 00:24:18,928 どうあっても 330 00:24:18,928 --> 00:24:22,965 兄君に刃を向けるおつもりか? 331 00:24:22,965 --> 00:24:24,967 武門の意地 332 00:24:24,967 --> 00:24:29,806 おめおめ兄の放った刺客どもの 餌食にはならぬ 333 00:24:29,806 --> 00:24:34,377 愚かな 忠長様の両目は 節穴でござったか 334 00:24:34,377 --> 00:24:38,981 何? 忠長様 しかと目を開かれい 335 00:24:38,981 --> 00:24:43,419 これはすべて 忠長様のご決断を促すために 336 00:24:43,419 --> 00:24:45,621 早坂一門の仕組んだ謀略 337 00:24:45,621 --> 00:24:49,559 まことか? 疑うべくもございません 338 00:24:49,559 --> 00:24:55,364 この十兵衛 忠長様とは 少々 違いますからな ハハハ 339 00:24:55,364 --> 00:24:58,534 言うたな だが十兵衛 340 00:24:58,534 --> 00:25:02,672 たとえ どうあろうと 謀反の意思を翻さぬとしたら 341 00:25:02,672 --> 00:25:05,141 何とする? 342 00:25:05,141 --> 00:25:09,841 柳生一門として この忠長の首を取るか? 343 00:25:12,882 --> 00:25:15,785 どうじゃ?十兵衛 いや 344 00:25:15,785 --> 00:25:18,921 そのような無粋なものは 願い下げでござる 345 00:25:18,921 --> 00:25:24,121 それより今宵一夜の酒を 所望したく 346 00:25:26,529 --> 00:25:28,798 何?酒だと? 347 00:25:28,798 --> 00:25:34,003 ははっ アッハハハ 348 00:25:34,003 --> 00:25:40,042 その翌日 家光は但馬守以下 十数名の腹心 近習を従え 349 00:25:40,042 --> 00:25:42,411 高崎城に入った 350 00:25:42,411 --> 00:25:46,983 忠長か 久しぶりじゃのう 351 00:25:46,983 --> 00:25:51,521 上様にはご機嫌麗しく 352 00:25:51,521 --> 00:25:57,393 本日のお招き 忠長 恐悦至極に存じます 353 00:25:57,393 --> 00:26:00,096 忠長 面を上げい 354 00:26:00,096 --> 00:26:02,096 はっ 355 00:26:17,380 --> 00:26:20,249 苦労したであろうのう 356 00:26:20,249 --> 00:26:23,219 上様 「上様」はやめろ 357 00:26:23,219 --> 00:26:25,955 「兄上」でいい 358 00:26:25,955 --> 00:26:28,758 兄上 359 00:26:28,758 --> 00:26:30,758 忠長 360 00:26:32,762 --> 00:26:36,199 これまで余とお前の間には 361 00:26:36,199 --> 00:26:38,935 様々な確執があった 362 00:26:38,935 --> 00:26:43,206 だが今日を限り 363 00:26:43,206 --> 00:26:45,806 すべて水に流してくれ 364 00:26:49,946 --> 00:26:52,048 兄上 365 00:26:52,048 --> 00:26:54,717 この高崎に蟄居させたについては 366 00:26:54,717 --> 00:26:59,317 余の不明であり 若気の至りであったかもしれぬ 367 00:27:01,290 --> 00:27:03,292 許せよ 368 00:27:03,292 --> 00:27:06,495 兄上 そのお言葉だけで 369 00:27:06,495 --> 00:27:09,632 忠長は満足でございます 370 00:27:09,632 --> 00:27:14,332 兄上と会うことも叶わず 疑心暗鬼の生活 371 00:27:16,305 --> 00:27:21,177 今やっと 心の霧が 晴れてございます 372 00:27:21,177 --> 00:27:24,777 申し上げます 何だ? 373 00:27:28,284 --> 00:27:31,954 ただ今 公儀巡検使 柳生縫之介殿 374 00:27:31,954 --> 00:27:34,357 上様にお目通り 願い出ておりますが 375 00:27:34,357 --> 00:27:37,560 それは よいところへ参った すぐにも これへ 376 00:27:37,560 --> 00:27:39,560 はっ 377 00:27:43,799 --> 00:27:45,835 八重 378 00:27:45,835 --> 00:27:48,704 忠長様のお身内にございます 379 00:27:48,704 --> 00:27:52,808 僭越ながら 上様に ひと目 会うていただこうと思い 380 00:27:52,808 --> 00:27:57,246 お連れ申しました お許しください 381 00:27:57,246 --> 00:28:00,383 うん よくぞ取り計ろうてくれた 382 00:28:00,383 --> 00:28:03,753 家光 礼を言うぞ 383 00:28:03,753 --> 00:28:07,923 忠長の妻 八重にございます 384 00:28:07,923 --> 00:28:12,862 うん 御台所より はるかに美しい 385 00:28:12,862 --> 00:28:16,332 忠長 うらやましいぞ 386 00:28:16,332 --> 00:28:18,332 恐れ入ります 387 00:28:25,308 --> 00:28:28,044 坊主 名は何と申す? 388 00:28:28,044 --> 00:28:30,479 国松にございます 389 00:28:30,479 --> 00:28:33,849 おー 国松か 390 00:28:33,849 --> 00:28:37,019 忠長の幼名と同じじゃな 391 00:28:37,019 --> 00:28:40,656 いやあ 余も竹千代の頃を思い出す 392 00:28:40,656 --> 00:28:46,262 ハハハ よくけんかをしたのう ハハハ 393 00:28:46,262 --> 00:28:49,832 兄弟げんかも これにて 打ち止めにございますな 394 00:28:49,832 --> 00:28:54,370 忠長殿 末永く兄弟 力を合わせて 395 00:28:54,370 --> 00:28:57,373 徳川を盛り立ててくだされ 396 00:28:57,373 --> 00:29:00,973 何はおいても 祝着至極に存じます 397 00:29:03,379 --> 00:29:06,248 されば当城中にも 398 00:29:06,248 --> 00:29:09,018 江戸に負けぬ能舞台も ございますれば 399 00:29:09,018 --> 00:29:13,723 上様ご自慢の能の舞など いかがかと 400 00:29:13,723 --> 00:29:16,959 余が能に凝っていることを よく存じておるのう 401 00:29:16,959 --> 00:29:19,128 はっ 402 00:29:19,128 --> 00:29:22,732 忠長様より 聞き及んでおりますれば 403 00:29:22,732 --> 00:29:25,401 何とぞ 404 00:29:25,401 --> 00:29:27,837 うん よかろう 405 00:29:27,837 --> 00:29:31,774 徳川家安泰百年の計の前祝いじゃ 406 00:29:31,774 --> 00:29:35,374 国松のためにも一差し舞うか 407 00:31:08,671 --> 00:31:10,873 うっ 408 00:31:10,873 --> 00:31:12,875 してやったり 409 00:31:12,875 --> 00:31:16,779 将軍家光の最期 しかと見届けたぞ 410 00:31:16,779 --> 00:31:21,884 黙れ 外記 そのほうら この忠長の 厳命を無視し謀りおったな 411 00:31:21,884 --> 00:31:23,984 先手必勝 412 00:31:27,356 --> 00:31:31,994 これよりは忠長様の天下 413 00:31:31,994 --> 00:31:35,898 フフフフフ… 414 00:31:35,898 --> 00:31:39,835 フフハハハ 415 00:31:39,835 --> 00:31:44,573 ハハハハハ… 416 00:31:44,573 --> 00:31:48,911 フフフ 417 00:31:48,911 --> 00:31:52,281 フハハハ 418 00:31:52,281 --> 00:31:55,384 しかと見たぞ 外記 419 00:31:55,384 --> 00:31:57,887 貴様らの陰謀 420 00:31:57,887 --> 00:32:01,887 家光ではない おのれ 何者だ 421 00:32:05,027 --> 00:32:08,497 柳生十兵衛三厳 422 00:32:08,497 --> 00:32:10,497 兄上 423 00:32:14,303 --> 00:32:17,740 家光公になり代わり 424 00:32:17,740 --> 00:32:22,945 高崎城中の陰謀を絶つ 425 00:32:22,945 --> 00:32:26,582 お尋ね者の十兵衛 何をほざく 426 00:32:26,582 --> 00:32:28,882 ええい 斬れ 斬り捨てい 427 00:32:38,093 --> 00:32:40,529 十兵衛 兄上… 兄上は無事なのか 428 00:32:40,529 --> 00:32:42,529 ご安心めされ 429 00:32:46,368 --> 00:32:49,071 父 但馬と共に 大心寺に難を逃れました 430 00:32:49,071 --> 00:32:51,073 そうか 431 00:32:51,073 --> 00:32:54,777 縫之介 心してかかれよ 432 00:32:54,777 --> 00:32:58,948 これは柳生一族と 早坂一門の戦いだ 433 00:32:58,948 --> 00:33:00,948 はい 兄上 434 00:34:34,109 --> 00:34:36,109 おのれ! 435 00:34:49,024 --> 00:34:51,024 忠長殿 436 00:34:53,028 --> 00:34:56,728 おっ 忠長様… 437 00:35:01,770 --> 00:35:03,770 忠長殿は? 438 00:35:07,409 --> 00:35:10,546 忠長殿 忠長殿 忠長様 439 00:35:10,546 --> 00:35:13,515 忠長様 忠長様 440 00:35:13,515 --> 00:35:16,719 忠長殿 た… 441 00:35:16,719 --> 00:35:20,619 うっ!う… う… 442 00:35:25,127 --> 00:35:29,431 あー くくく… 443 00:35:29,431 --> 00:35:34,503 忠長殿 早まったことを 444 00:35:34,503 --> 00:35:38,607 すまん 十兵衛 445 00:35:38,607 --> 00:35:42,144 だが これでいいのだ 446 00:35:42,144 --> 00:35:47,044 すべては忠長の不徳の致すところ 447 00:35:49,918 --> 00:35:53,918 かかる事態を招いてしまっては 448 00:35:55,858 --> 00:35:59,658 生きて兄上に合わす顔がない 449 00:36:07,536 --> 00:36:10,005 十兵衛 450 00:36:10,005 --> 00:36:15,677 後々のこと くれぐれもよしなに 451 00:36:15,677 --> 00:36:18,147 しかと 452 00:36:18,147 --> 00:36:21,049 しかと お引き受け申した 453 00:36:21,049 --> 00:36:23,049 殿! 454 00:36:26,855 --> 00:36:28,857 殿! 父上! 455 00:36:28,857 --> 00:36:32,194 国松様 国松 456 00:36:32,194 --> 00:36:35,030 見るのだ 457 00:36:35,030 --> 00:36:38,233 父の死を見届け 458 00:36:38,233 --> 00:36:43,338 それを乗り越えて… 強く生きろ 459 00:36:43,338 --> 00:36:45,338 父上 460 00:36:49,578 --> 00:36:53,415 八重 お前には 461 00:36:53,415 --> 00:36:56,215 く… 苦労ばかり 462 00:37:00,122 --> 00:37:05,761 今度 生まれる時には 463 00:37:05,761 --> 00:37:07,861 名もなき百姓に 464 00:37:09,932 --> 00:37:12,432 貧しくとも… うっ 465 00:37:15,370 --> 00:37:20,970 兄弟仲良く暮らせる百姓に 466 00:37:30,285 --> 00:37:33,121 十兵衛 う… 467 00:37:33,121 --> 00:37:35,121 介錯を 468 00:37:38,227 --> 00:37:40,729 いざ 十兵衛 469 00:37:40,729 --> 00:37:43,899 いざ 470 00:37:43,899 --> 00:37:45,899 忠長様 471 00:38:02,251 --> 00:38:04,251 やっ! 472 00:38:07,723 --> 00:38:10,058 おのれ 忠長 473 00:38:10,058 --> 00:38:14,296 余をたばかりおって 許さん 474 00:38:14,296 --> 00:38:18,066 但馬 すぐさま兵を集めよ 475 00:38:18,066 --> 00:38:20,302 この家光が総大将になって 476 00:38:20,302 --> 00:38:25,374 高崎藩共々 攻め滅ぼしてくれるわ はっ 477 00:38:25,374 --> 00:38:27,509 何をグズグズしておる 478 00:38:27,509 --> 00:38:30,946 そのほうら すぐに 本陣に立ち帰り 兵を集め 479 00:38:30,946 --> 00:38:34,917 高崎城を包囲するのだ 行け! はっ 480 00:38:34,917 --> 00:38:39,888 ハハハ ハハハ 481 00:38:39,888 --> 00:38:42,557 ハハハ… 482 00:38:42,557 --> 00:38:46,061 アハハハ 483 00:38:46,061 --> 00:38:48,230 おのれ 乱心者 十兵衛 484 00:38:48,230 --> 00:38:50,230 十兵衛 485 00:38:53,068 --> 00:38:55,604 ハハハ 486 00:38:55,604 --> 00:39:00,108 おのれ 十兵衛 待て 487 00:39:00,108 --> 00:39:04,780 愚か者 腰の物まで捨ておって 488 00:39:04,780 --> 00:39:07,716 皆の者 もうよい 489 00:39:07,716 --> 00:39:10,385 よい 引け はっ… 490 00:39:10,385 --> 00:39:13,555 引かぬか! はっ 491 00:39:13,555 --> 00:39:15,791 フハハハ 492 00:39:15,791 --> 00:39:18,891 アハハハ 493 00:39:21,029 --> 00:39:23,398 上様 494 00:39:23,398 --> 00:39:27,669 徳川800万石の頂点に立つお方が 495 00:39:27,669 --> 00:39:31,573 わずか高崎7万石に 兵を挙げたとあっては 496 00:39:31,573 --> 00:39:34,843 末代までの笑い物にございますぞ 497 00:39:34,843 --> 00:39:37,546 そんなことを言いに来たのか 498 00:39:37,546 --> 00:39:39,815 下がれ 下がれ! 499 00:39:39,815 --> 00:39:42,050 余の厚意を踏みにじり 500 00:39:42,050 --> 00:39:45,620 天下を転覆させんとする 謀反の企て 501 00:39:45,620 --> 00:39:48,957 絶対に許さん 502 00:39:48,957 --> 00:39:52,094 忠長をここへ引き出せ 503 00:39:52,094 --> 00:39:54,894 余が自ら手討ちにしてくれるわ 504 00:39:57,799 --> 00:40:00,135 上様 505 00:40:00,135 --> 00:40:02,471 忠長様は 506 00:40:02,471 --> 00:40:05,771 見事 切腹して相果てられました 507 00:40:18,687 --> 00:40:22,057 ひと言の弁解もなく 508 00:40:22,057 --> 00:40:24,493 ただ「兄上にすまぬ」と 509 00:40:24,493 --> 00:40:26,762 当たり前だ! 510 00:40:26,762 --> 00:40:28,930 八重と国松はどうした? 511 00:40:28,930 --> 00:40:33,702 余が許す 首をはねてまいれ 512 00:40:33,702 --> 00:40:36,438 忠長の血脈は 513 00:40:36,438 --> 00:40:39,738 永遠に徳川から絶ってくれようぞ 514 00:40:41,676 --> 00:40:44,513 十兵衛 515 00:40:44,513 --> 00:40:50,052 どうしても妻と子の首を取れと おっしゃるなら 516 00:40:50,052 --> 00:40:52,521 その前に 517 00:40:52,521 --> 00:40:58,421 この十兵衛の首をはねてから お行きくだされ 518 00:41:00,862 --> 00:41:02,862 十兵衛 519 00:41:06,435 --> 00:41:08,437 上様 520 00:41:08,437 --> 00:41:12,207 この度の反逆 すべて 早坂一門の仕組んだもの 521 00:41:12,207 --> 00:41:15,911 忠長様には一切 関わり合いはございません 522 00:41:15,911 --> 00:41:18,747 されど忠長様は 523 00:41:18,747 --> 00:41:23,251 その責めを負って 腹を切り召された 524 00:41:23,251 --> 00:41:26,188 なぜでございます? 525 00:41:26,188 --> 00:41:31,988 ただただ兄上への深き愛からで ございますぞ 526 00:41:34,963 --> 00:41:37,799 いまわの際に 527 00:41:37,799 --> 00:41:40,769 「国松を頼む」と 528 00:41:40,769 --> 00:41:46,608 そして「今度 生まれてくるならば 百姓に」と 529 00:41:46,608 --> 00:41:52,681 「貧しくても 兄弟仲良く暮らせる百姓に」と 530 00:41:52,681 --> 00:41:58,787 上様 よもや お忘れでは ございますまいな? 531 00:41:58,787 --> 00:42:04,459 上様の幼き日 神君家康公のご裁断があればこそ 532 00:42:04,459 --> 00:42:07,359 もし これが逆でありましたならば 533 00:42:10,298 --> 00:42:13,935 この首は 534 00:42:13,935 --> 00:42:16,035 上様のはず 535 00:42:25,580 --> 00:42:30,819 忠長様の本当の苦しみを 知ることのできる者は 536 00:42:30,819 --> 00:42:35,357 拙者でも何者でもござりません 537 00:42:35,357 --> 00:42:39,427 同じ血を引く兄 538 00:42:39,427 --> 00:42:41,727 上様ただ1人 539 00:42:46,835 --> 00:42:50,635 幼き国松様の命と引き換えに 540 00:42:52,574 --> 00:42:55,074 この十兵衛の首 はねてくだされ 541 00:43:24,973 --> 00:43:26,973 忠長 542 00:43:30,245 --> 00:43:32,245 許せ 543 00:43:34,249 --> 00:43:36,249 忠長 544 00:43:42,757 --> 00:43:44,757 上様 545 00:43:52,400 --> 00:43:56,471 十兵衛の胸を吹く風の音を 知る者はない 546 00:43:56,471 --> 00:44:00,609 先の駿河大納言徳川忠長の 一子 国松は 547 00:44:00,609 --> 00:44:04,379 その後 成長して 松平長七郎と名乗って 548 00:44:04,379 --> 00:44:07,382 諸国を放浪したと伝えられる 549 00:44:07,382 --> 00:44:11,419 なあ おい しっかり頼むぞ おい 550 00:44:11,419 --> 00:44:15,156 お前もしっかり頼むぞ 551 00:44:15,156 --> 00:44:17,158 誰にやってんだ バカもんが 552 00:44:17,158 --> 00:44:19,761 人 来たりて 人 去る 553 00:44:19,761 --> 00:44:22,297 つかの間の感傷を振り切って 554 00:44:22,297 --> 00:44:26,234 今日も巡検使 波乱の旅は続く 555 00:44:26,234 --> 00:44:28,934 次なる宿は板鼻である 556 00:45:27,462 --> 00:45:29,464 柳生十兵衛あばれ旅 557 00:45:29,464 --> 00:45:34,569 関八州を荒らし回る 風と呼ばれる凶悪な強盗団の跳梁 558 00:45:34,569 --> 00:45:37,339 巡検使を盗賊一味と間違えた 559 00:45:37,339 --> 00:45:40,975 上州 板鼻宿の目明かしと その子分だが 560 00:45:40,975 --> 00:45:43,778 家では かかあ殿下というお粗末男 561 00:45:43,778 --> 00:45:48,216 折から同じく板鼻に 柳生十兵衛が訪ねた老武士は 562 00:45:48,216 --> 00:45:50,785 元盗賊改方という 563 00:45:50,785 --> 00:45:53,922 目明かし必死の活躍に 捕らえられたのは 564 00:45:53,922 --> 00:45:56,825 なんと夢乃屋 お駒一座だった 565 00:45:56,825 --> 00:46:00,562 やがて奉納金2000両を襲う 風の一味に 566 00:46:00,562 --> 00:46:02,897 目明かしの子供がさらわれた 567 00:46:02,897 --> 00:46:06,835 榊殿だが 風一味と関わり合いがある 568 00:46:06,835 --> 00:46:10,572 あの榊様が風一味の後ろ盾を? 569 00:46:10,572 --> 00:46:14,876 巡検使の危機が迫る時 神出鬼没のまぼろし天狗と 570 00:46:14,876 --> 00:46:18,413 権兵衛じいさんという 強い味方の出現 571 00:46:18,413 --> 00:46:22,751 サスペンスとアクション満点の 柳生十兵衛あばれ旅 572 00:46:22,751 --> 00:46:25,551 「上州女にからっ風」に ご期待ください