1 00:02:05,849 --> 00:02:07,851 おお ああー 2 00:02:07,851 --> 00:02:10,521 これが夢にまで見た京の都か 3 00:02:10,521 --> 00:02:12,589 やったー やっと来たぞ 4 00:02:12,589 --> 00:02:14,925 思えば艱難辛苦の旅であったな 5 00:02:14,925 --> 00:02:18,796 あー 感無量というか 何というか 6 00:02:18,796 --> 00:02:22,066 おー 花か よしよし もうごそっとな… 7 00:02:22,066 --> 00:02:25,102 あー 1束買ってやる うん 1束でいい よしよし 8 00:02:25,102 --> 00:02:28,005 阿里助 金払ってやれ 金払ってやれ 9 00:02:28,005 --> 00:02:30,007 なんで私が? なんでって お前 10 00:02:30,007 --> 00:02:32,910 京へ来たんじゃないか 今日だけ払え なっ 11 00:02:32,910 --> 00:02:34,912 「きょう」だけ? ええどす ええどす 12 00:02:34,912 --> 00:02:38,382 いいから いいから 「そうどすか」言うとるじゃろ 13 00:02:38,382 --> 00:02:41,819 こうやって 京の都へ来れたというのも 14 00:02:41,819 --> 00:02:44,788 やはり京は 「千年の都」と言うだけあって 15 00:02:44,788 --> 00:02:47,257 ほんとに美しい 16 00:02:47,257 --> 00:02:50,957 何もかも忘れて 心が洗われるようだ 17 00:02:53,097 --> 00:02:55,866 でも感激ばかりは しておられませんぞ 18 00:02:55,866 --> 00:03:00,237 最後のお役目が残っておる 分かっておりますとも 19 00:03:00,237 --> 00:03:05,075 将軍家ご上洛の先払いとして 洛内の安全を見極め 20 00:03:05,075 --> 00:03:08,512 いささかの危険も排除する… で ございましょう? 21 00:03:08,512 --> 00:03:13,183 いやー しかし 見たところ 町は平和そのものでございます 22 00:03:13,183 --> 00:03:17,321 それが かえって不気味なのだ 終わりよければすべてよし 23 00:03:17,321 --> 00:03:20,357 太郎兵衛 阿里助 心して かかろうぞ 24 00:03:20,357 --> 00:03:22,357 はっ では 25 00:03:34,972 --> 00:03:40,177 その頃 既に 島津宰相家久は 将軍家警護を名目に 26 00:03:40,177 --> 00:03:44,214 洛中三条の屋敷に待機していた 27 00:03:44,214 --> 00:03:49,286 そして この宰相を 足繁く訪れる2人の客があった 28 00:03:49,286 --> 00:03:51,622 姉小路大納言直房と 29 00:03:51,622 --> 00:03:55,125 柳原中将兼光である 30 00:03:55,125 --> 00:03:59,563 これはこれは お待ち申していた 31 00:03:59,563 --> 00:04:03,300 宰相 将軍家の行列はいよいよ 32 00:04:03,300 --> 00:04:06,000 京に迫っておじゃるとか 33 00:04:10,174 --> 00:04:14,545 さよう 今日明日にも 山科の里へ入るものと思われる 34 00:04:14,545 --> 00:04:19,016 なんと恐ろしや 早々に手を打たぬことには 35 00:04:19,016 --> 00:04:21,018 いかにも 36 00:04:21,018 --> 00:04:24,688 しかし これぞ千載一遇の好機 37 00:04:24,688 --> 00:04:28,492 ここを逃しては帝始め ご貴殿ら公家衆も 38 00:04:28,492 --> 00:04:32,663 二度と再び 天下へ よみがえることはござりますまい 39 00:04:32,663 --> 00:04:37,201 まろは構いませぬが 帝がおいたわしゅうて 40 00:04:37,201 --> 00:04:40,637 これ以上 屈辱の日々を 強いることなど 41 00:04:40,637 --> 00:04:43,874 とても とても 42 00:04:43,874 --> 00:04:48,745 ほんに憎きは あの家光 43 00:04:48,745 --> 00:04:52,449 されば 一刻も早く ご決断めされい 44 00:04:52,449 --> 00:04:55,953 はっ… はい 45 00:04:55,953 --> 00:04:59,690 すべて宰相殿に お任せいたしましょう 46 00:04:59,690 --> 00:05:03,660 では まず将軍家へ使者を立てて… 47 00:05:03,660 --> 00:05:07,960 いや お二人直々に 参られるがよろしかろう 48 00:05:11,134 --> 00:05:15,472 口実を設けて帝への拝謁を断り 49 00:05:15,472 --> 00:05:17,574 行列を江戸へ追い返す 50 00:05:17,574 --> 00:05:20,143 しかし はるばる 都の入り口まで来て 51 00:05:20,143 --> 00:05:22,312 むざむざ引き返しまするか? 52 00:05:22,312 --> 00:05:25,549 帝に拝謁し それを屈服させ 53 00:05:25,549 --> 00:05:28,118 将軍家の威を 天下に知らしめすために 54 00:05:28,118 --> 00:05:30,754 上洛の途に就いた家光一行 55 00:05:30,754 --> 00:05:33,023 強引にも 踏み込んでまいりましょう 56 00:05:33,023 --> 00:05:35,492 フハハハハハハ 57 00:05:35,492 --> 00:05:40,030 それが狙いでござる 我が薩摩の精鋭が迎え撃ち 58 00:05:40,030 --> 00:05:42,933 将軍家のお命を頂戴する 59 00:05:42,933 --> 00:05:45,102 申し上げます 何だ 60 00:05:45,102 --> 00:05:48,972 密偵からの報告によりますと 中仙道巡検使一行3名が 61 00:05:48,972 --> 00:05:52,872 市中に入り 何やら 検分しておる由にございます 62 00:05:55,345 --> 00:05:57,945 柳生め 来おったか 63 00:06:00,317 --> 00:06:03,353 縫之介様 一体 どういうおつもりです 64 00:06:03,353 --> 00:06:06,590 事もあろうに あんな所に 看板を掛けさせるなんて 65 00:06:06,590 --> 00:06:10,193 これじゃ まるで敵に我々の居所を 教えてるようなもんですよ 66 00:06:10,193 --> 00:06:12,896 いかにも そのとおり はあ? 67 00:06:12,896 --> 00:06:16,099 町中は一通り見回ったが 平穏そのもの 68 00:06:16,099 --> 00:06:18,101 何ら怪しい気配もない 69 00:06:18,101 --> 00:06:20,504 それは結構なことじゃ ありませんか 70 00:06:20,504 --> 00:06:22,973 バカたれ!お前って奴は 71 00:06:22,973 --> 00:06:26,209 大飯ばっかり食らいやがって 何にも分かってない 72 00:06:26,209 --> 00:06:29,379 縫之介様はな 平穏無事の裏に 73 00:06:29,379 --> 00:06:32,115 何か陰謀が 隠されているんではないか 74 00:06:32,115 --> 00:06:34,418 こう読んでおられるんだ バカたれ 75 00:06:34,418 --> 00:06:38,822 なるほど 将軍家ご入洛の重大な折 76 00:06:38,822 --> 00:06:41,291 それを探るのが巡検使の役目 77 00:06:41,291 --> 00:06:44,461 はい 十分に心得ております 78 00:06:44,461 --> 00:06:47,064 裏柳生衆もいれば それも易かろう 79 00:06:47,064 --> 00:06:49,066 しかし 今となっては 80 00:06:49,066 --> 00:06:51,635 こうやって 敵をあぶり出すより他に手はない 81 00:06:51,635 --> 00:06:54,938 はい 阿里助 82 00:06:54,938 --> 00:06:57,708 よーく頭に叩き込んでおけ 83 00:06:57,708 --> 00:07:00,577 身を挺して敵を抑え込む 84 00:07:00,577 --> 00:07:02,980 これが柳生一門の神髄だ 85 00:07:02,980 --> 00:07:06,416 ともかく 私たちの居所を 公にした以上 86 00:07:06,416 --> 00:07:08,952 一刻の油断もできぬ はっ 87 00:07:08,952 --> 00:07:12,222 阿里助 十分に心して かかろうな 88 00:07:12,222 --> 00:07:15,559 はい 何奴! 89 00:07:15,559 --> 00:07:17,561 あっ お駒さん 90 00:07:17,561 --> 00:07:20,597 何だ アハハ いたいた 91 00:07:20,597 --> 00:07:24,134 表の看板見て 来たんだけどね 私もこの宿に… 92 00:07:24,134 --> 00:07:28,305 ちょっと おい あんた一人で来たのか? 93 00:07:28,305 --> 00:07:30,707 又平さん捜して 一人で来たんだけど 94 00:07:30,707 --> 00:07:34,044 どこにいるか知らない? ったく… 95 00:07:34,044 --> 00:07:37,447 隠してるんじゃないでしょうね 96 00:07:37,447 --> 00:07:40,417 よく言うよ 人前で 何言ってる 97 00:07:40,417 --> 00:07:43,487 幸せ者だよ あんたは 向こう行け お前は 98 00:07:43,487 --> 00:07:46,289 まあね みんなに よくそう言われてんの フフフ 99 00:07:46,289 --> 00:07:48,792 八木重兵衛でござる 100 00:07:48,792 --> 00:07:50,827 また来た 101 00:07:50,827 --> 00:07:53,627 要らないんだよ 役に立たない男なんて 102 00:07:58,201 --> 00:08:00,637 あっ ああっ 103 00:08:00,637 --> 00:08:04,341 や… やあ いたいたいた… やあ おそろいで やー 104 00:08:04,341 --> 00:08:07,344 何だ 偽十兵衛か 用はねえよ もう 105 00:08:07,344 --> 00:08:10,614 「何だ」はねえでしょ? 不肖 八木重兵衛 106 00:08:10,614 --> 00:08:13,717 巡検使様の仕事納めの宴に 加わらんと 107 00:08:13,717 --> 00:08:16,420 看板を見て 馳せ参じた次第 108 00:08:16,420 --> 00:08:20,220 あんたは要らないの ろくなのが来ませんな こりゃ 109 00:08:22,959 --> 00:08:24,959 縫之介様 110 00:08:29,900 --> 00:08:31,900 十兵衛兄様 111 00:08:36,306 --> 00:08:38,308 十兵衛兄様 112 00:08:38,308 --> 00:08:42,446 茜 島津宰相が京に入った 113 00:08:42,446 --> 00:08:45,949 はい 今までの いきさつから見ても 114 00:08:45,949 --> 00:08:50,220 私たちを放っておくとは 考えられません 115 00:08:50,220 --> 00:08:53,023 奴らの狙いは 116 00:08:53,023 --> 00:08:55,323 もはや柳生ではないな 117 00:08:57,360 --> 00:08:59,360 というと? 118 00:09:01,364 --> 00:09:04,264 将軍の首ひとつ 119 00:09:06,870 --> 00:09:09,239 翌日 将軍家行列は 120 00:09:09,239 --> 00:09:13,939 京より1里半手前の 山科の里に入った 121 00:09:17,814 --> 00:09:22,853 その本陣には 姉小路直房 柳原兼光の両人が 122 00:09:22,853 --> 00:09:25,355 勅使として待ち受けていた 123 00:09:25,355 --> 00:09:30,560 何?帝は余の拝謁を 断ると申すのか 124 00:09:30,560 --> 00:09:33,663 はい 風邪の気味に おじゃりますれば… 125 00:09:33,663 --> 00:09:35,799 ならば ご回復まで待とう 126 00:09:35,799 --> 00:09:39,102 いや お見舞いがてなら なおのこと参上いたさねばならん 127 00:09:39,102 --> 00:09:42,639 いやいや それには及びませぬ 128 00:09:42,639 --> 00:09:46,576 帝は近頃 とみにご気分が優れず 129 00:09:46,576 --> 00:09:51,581 ご不審に思われ 宮中の陰陽師を 召し出しましたところ 130 00:09:51,581 --> 00:09:55,418 なんと嘆かわしや 131 00:09:55,418 --> 00:09:59,456 不吉な凶線上におわしまするとか (柳原の泣き声) 132 00:09:59,456 --> 00:10:04,027 ほんに おいたわしきことに おじゃりまする 133 00:10:04,027 --> 00:10:06,163 もうよい 134 00:10:06,163 --> 00:10:08,365 大納言殿の らちもない講釈を聞きに 135 00:10:08,365 --> 00:10:10,500 わざわざ 出向いてまいったのではござらぬ 136 00:10:10,500 --> 00:10:14,538 フホホホホ… 講釈とは うまいことを仰せらるる 137 00:10:14,538 --> 00:10:17,174 フホホホホホ 138 00:10:17,174 --> 00:10:20,043 単刀直入に申されい 139 00:10:20,043 --> 00:10:23,647 将軍家に このまま引き返せとでも? 140 00:10:23,647 --> 00:10:26,383 フッホホホ 141 00:10:26,383 --> 00:10:29,653 さすがは但馬殿 お察しが早い 142 00:10:29,653 --> 00:10:31,655 無礼な! 143 00:10:31,655 --> 00:10:34,391 征夷大将軍を何と心得る 144 00:10:34,391 --> 00:10:36,393 余は帝に会う 145 00:10:36,393 --> 00:10:39,229 今日中にも京へ入ると そう申し伝えよ 146 00:10:39,229 --> 00:10:42,029 それは… それはなりませぬ 147 00:10:44,034 --> 00:10:47,437 但馬殿 何とかしてくだされ 148 00:10:47,437 --> 00:10:50,607 勅命でござりまするぞ 勅命? 149 00:10:50,607 --> 00:10:53,777 さよう 征夷大将軍といえども 150 00:10:53,777 --> 00:10:57,647 勅命を無視しては 逆賊となり果てまする 151 00:10:57,647 --> 00:11:01,851 勅命が何だ 逆賊が何だ 152 00:11:01,851 --> 00:11:03,920 将軍家の威光を 天下に知らしめすために 153 00:11:03,920 --> 00:11:06,256 上洛の途に就いたというのに 154 00:11:06,256 --> 00:11:08,925 このまま引き返しては 世の笑い物になるぞ 155 00:11:08,925 --> 00:11:10,927 いかにも 156 00:11:10,927 --> 00:11:14,898 但馬 もはや一歩たりとも 退けまいぞ 157 00:11:14,898 --> 00:11:18,301 このまま上洛し 禁裏まで一気に乗り込む 158 00:11:18,301 --> 00:11:20,303 しばらくお待ちくだされ 159 00:11:20,303 --> 00:11:22,772 但馬 何をためらう 160 00:11:22,772 --> 00:11:25,408 公家どもが ああ強く出るからには 161 00:11:25,408 --> 00:11:28,979 裏で何か 画策されておるやもしれません 162 00:11:28,979 --> 00:11:31,214 陰謀か? はい 163 00:11:31,214 --> 00:11:35,051 既に 島津宰相殿が 上様警護のためと称し 164 00:11:35,051 --> 00:11:37,854 手勢を引き連れて 京に入っておると 165 00:11:37,854 --> 00:11:40,624 聞き及んでおります 166 00:11:40,624 --> 00:11:43,026 まさか島津が謀反を… 167 00:11:43,026 --> 00:11:46,296 杞憂にすぎなければ この上ありませぬが 168 00:11:46,296 --> 00:11:48,431 万が一のため 169 00:11:48,431 --> 00:11:52,269 慎重が上にも慎重に 立ち向かわねばなりませぬ 170 00:11:52,269 --> 00:11:55,372 但馬 余にどうしろと言うのだ 171 00:11:55,372 --> 00:11:58,708 すべて この但馬にお任せくだされ 172 00:11:58,708 --> 00:12:01,978 策は既に講じてございます 173 00:12:01,978 --> 00:12:06,049 さて 家光がどう出るかだ 174 00:12:06,049 --> 00:12:08,852 おめおめ引き返しはすまい さりとて 175 00:12:08,852 --> 00:12:12,489 九条山の境目を越えて 京へ一歩でも踏み入れば 176 00:12:12,489 --> 00:12:16,526 既に待ち構えている我が精鋭の 銃火を浴びる 177 00:12:16,526 --> 00:12:21,898 逆賊討伐の勅命と共に その首を天下にさらせば 178 00:12:21,898 --> 00:12:24,868 徳川は崩壊する 179 00:12:24,868 --> 00:12:29,773 まさに天下分け目の一戦に おじゃりまするな 180 00:12:29,773 --> 00:12:33,877 しかも その勝利は 既に我らの手の内にある 181 00:12:33,877 --> 00:12:37,247 ホホッ いよいよ王政復古じゃ 182 00:12:37,247 --> 00:12:40,350 うれしやのう ほんに 183 00:12:40,350 --> 00:12:44,020 九条山の鉄砲は まだ火を噴かぬかのう 184 00:12:44,020 --> 00:12:47,424 ああ 待ちどおしや 185 00:12:47,424 --> 00:12:51,324 ホホハハハハハ アーハハハハ 186 00:12:57,200 --> 00:13:00,300 九条山は京の表玄関である 187 00:13:07,877 --> 00:13:12,882 この境を挟み 京と山科 異常の緊迫のうちに 188 00:13:12,882 --> 00:13:15,518 一日が暮れた 189 00:13:15,518 --> 00:13:18,521 家光一行は鳴りを潜めたまま 190 00:13:18,521 --> 00:13:21,821 まるで動く気配を見せない 191 00:13:40,243 --> 00:13:44,981 縫之介様 これじゃ どうすることもできませんね 192 00:13:44,981 --> 00:13:48,918 2人では無理です 私が見張りをおびき寄せますから 193 00:13:48,918 --> 00:13:50,920 その隙に 194 00:13:50,920 --> 00:13:52,920 頼む 195 00:13:56,393 --> 00:13:59,629 茜様 お気をつけて 196 00:13:59,629 --> 00:14:03,233 阿里助もな 197 00:14:03,233 --> 00:14:06,633 曲者だ!出合え 出合え 出合え 198 00:14:13,943 --> 00:14:16,543 曲者だ 待て! 199 00:14:29,626 --> 00:14:33,997 ハッハハハハ ハハハハハハ 200 00:14:33,997 --> 00:14:37,367 家光は とうとう 動きませんでしたのう 201 00:14:37,367 --> 00:14:41,037 どうしたものかと 思案に暮れておじゃるのでしょう 202 00:14:41,037 --> 00:14:43,339 アハハハハハ ハッハハハ 203 00:14:43,339 --> 00:14:46,609 さて まろたちも おいとましましょう 204 00:14:46,609 --> 00:14:48,778 楽しみはまた明日に残して 205 00:14:48,778 --> 00:14:51,748 あー 酔うた 酔うた 206 00:14:51,748 --> 00:14:53,750 ハハ… ああ 207 00:14:53,750 --> 00:14:56,686 では 宰相殿 おやすみなされ 208 00:14:56,686 --> 00:15:00,390 お互いに よい夢でも見ましょうぞ 209 00:15:00,390 --> 00:15:02,890 ヘヘハハハハ… 210 00:15:06,229 --> 00:15:08,231 チッ 211 00:15:08,231 --> 00:15:10,900 宮中の狐どもめが 212 00:15:10,900 --> 00:15:12,969 は? 213 00:15:12,969 --> 00:15:16,339 玉を奪うために 利用しておるまでよ 214 00:15:16,339 --> 00:15:19,676 家光を倒せば その後は武力を背景に 215 00:15:19,676 --> 00:15:22,976 すべての権力は このわしが奪う 216 00:15:43,566 --> 00:15:47,637 その頃 ついに 家光一行が動き出した 217 00:15:47,637 --> 00:15:51,441 但馬守以下 わずか十数名の腹心と共に 218 00:15:51,441 --> 00:15:54,641 街道を引き返したのである 219 00:16:09,526 --> 00:16:11,528 何?本陣を出た? 220 00:16:11,528 --> 00:16:14,397 しかも街道を逆戻りだ このまま引き返すつもりかな 221 00:16:14,397 --> 00:16:18,801 そんな… 今になって どこへ行こうってつもりだ 222 00:16:18,801 --> 00:16:20,803 若 ちょっとこれを 223 00:16:20,803 --> 00:16:23,640 ここんとこ 224 00:16:23,640 --> 00:16:26,009 そうか 225 00:16:26,009 --> 00:16:30,947 親父殿は山越えの難所を駆け抜け 一気に京に入るつもりだ 226 00:16:30,947 --> 00:16:34,751 しかし十数人の供侍とは 無謀すぎるな 227 00:16:34,751 --> 00:16:37,451 では この山中にも敵が 228 00:16:39,522 --> 00:16:44,827 果たして家光一行は 江州坂本より志賀山中に転じ 229 00:16:44,827 --> 00:16:46,927 山越えで京を目指した 230 00:16:48,998 --> 00:16:51,167 よし 行こう 一刻も猶予はねえ 231 00:16:51,167 --> 00:16:54,938 又平 ここは俺たちに任せろ 232 00:16:54,938 --> 00:16:58,508 それよりな 薩摩屋敷の茜のことを頼む 233 00:16:58,508 --> 00:17:00,510 よし 分かった 234 00:17:00,510 --> 00:17:02,510 行くぞ はい 235 00:17:05,014 --> 00:17:08,117 あのー 又平さん おお 236 00:17:08,117 --> 00:17:11,154 私にもね 何かお手伝いをさせてください 237 00:17:11,154 --> 00:17:15,254 あんたが? あー よく寝た 238 00:17:17,594 --> 00:17:20,330 又平さん 239 00:17:20,330 --> 00:17:24,267 又平さん 会いたかったわ 240 00:17:24,267 --> 00:17:27,170 夢じゃないのかしら 241 00:17:27,170 --> 00:17:29,339 偽十兵衛さんよ ほんとに手伝ってくれるかい? 242 00:17:29,339 --> 00:17:31,341 へい じゃ お駒さんをな しっかりと 243 00:17:31,341 --> 00:17:34,877 押さえつけといてくれよな 頼むぜ 244 00:17:34,877 --> 00:17:37,580 又平さん 245 00:17:37,580 --> 00:17:39,582 おどきよ うるさい 246 00:17:39,582 --> 00:17:41,584 いや 私はね お手伝いしてるんです 247 00:17:41,584 --> 00:17:44,687 うるさいってば! 248 00:17:44,687 --> 00:17:47,023 お粗末 249 00:17:47,023 --> 00:17:49,492 そうか 家光め 山越えで来るか 250 00:17:49,492 --> 00:17:51,494 はあ 251 00:17:51,494 --> 00:17:54,430 九条山の陣を解き すぐに差し向けろ 252 00:17:54,430 --> 00:17:56,532 はっ 253 00:17:56,532 --> 00:18:00,169 必ず家光の息の根を止めるのだ 254 00:18:00,169 --> 00:18:02,169 はっ 255 00:18:21,124 --> 00:18:23,126 ハア… 256 00:18:23,126 --> 00:18:27,130 ハア… いや 2人ともバカみたいに 257 00:18:27,130 --> 00:18:29,330 なんで そんな… 258 00:18:44,881 --> 00:18:46,881 んっ 259 00:18:55,124 --> 00:18:58,661 慮外者 斬り捨てい 260 00:18:58,661 --> 00:19:01,161 やあ クソ 261 00:19:03,466 --> 00:19:06,369 駕籠を守れい 262 00:19:06,369 --> 00:19:08,869 しまった 阿里助 263 00:19:42,638 --> 00:19:44,738 上様 264 00:19:47,110 --> 00:19:50,079 兄上 しばらく 265 00:19:50,079 --> 00:19:52,515 又十郎 266 00:19:52,515 --> 00:19:57,015 お前… お役目 しかと果たしました 267 00:20:01,457 --> 00:20:04,193 うん 268 00:20:04,193 --> 00:20:07,830 タヌキ親父め 269 00:20:07,830 --> 00:20:10,830 又 しばらく辛抱せい 270 00:20:13,503 --> 00:20:15,503 (爆音) 271 00:20:20,443 --> 00:20:22,443 気に食わんな 272 00:20:24,580 --> 00:20:29,051 替え玉で敵の目を引きつけ 273 00:20:29,051 --> 00:20:33,589 その隙に将軍を入洛させる策は 策としてだ 274 00:20:33,589 --> 00:20:35,925 あまりにも姑息すぎる 275 00:20:35,925 --> 00:20:38,494 先んずれば人を制す 276 00:20:38,494 --> 00:20:42,532 島津の野望を砕くには これしかないのだ 277 00:20:42,532 --> 00:20:45,101 影武者とて人間だぞ 278 00:20:45,101 --> 00:20:48,104 みだりに 死地へ追いやることはない 279 00:20:48,104 --> 00:20:50,807 それも 280 00:20:50,807 --> 00:20:54,744 自分の子だぞ フッ 281 00:20:54,744 --> 00:20:57,280 んん?何がおかしい 282 00:20:57,280 --> 00:20:59,448 ハア… 283 00:20:59,448 --> 00:21:03,052 いかに将軍のためとはいえ 284 00:21:03,052 --> 00:21:06,022 よくそこまで 冷酷非情になれると思うてな 285 00:21:06,022 --> 00:21:08,658 うっ う… 又十郎様 286 00:21:08,658 --> 00:21:11,327 動いてはなりません 287 00:21:11,327 --> 00:21:13,327 兄上 288 00:21:16,332 --> 00:21:20,002 すべて私から願い出たことです 289 00:21:20,002 --> 00:21:24,902 将軍家のために 捨て石となってお役に立ちたいと 290 00:21:28,144 --> 00:21:32,215 上様の身代わりとなって 死ぬるは本望 291 00:21:32,215 --> 00:21:36,919 これは柳生一族の定めと 心得ております 292 00:21:36,919 --> 00:21:39,121 又十郎 293 00:21:39,121 --> 00:21:42,558 ああ しっかり しっかりしろよ 又十郎 294 00:21:42,558 --> 00:21:45,695 又十郎様 295 00:21:45,695 --> 00:21:50,066 仮の手当てをしたものの このまま ほっとくわけには 296 00:21:50,066 --> 00:21:53,302 早く医者に… とはいうものの 297 00:21:53,302 --> 00:21:56,339 辺りは敵に囲まれて 298 00:21:56,339 --> 00:21:58,507 うっ う… 辛抱しなされ 299 00:21:58,507 --> 00:22:01,744 我慢しなされ 又十郎様 300 00:22:01,744 --> 00:22:03,746 うっ… 301 00:22:03,746 --> 00:22:06,246 困った ううっ 302 00:22:08,851 --> 00:22:10,851 又十郎様 303 00:22:13,122 --> 00:22:17,360 どうした 十兵衛 このままでは又十郎が危ない 304 00:22:17,360 --> 00:22:19,929 何とか包囲を突破しなければ 305 00:22:19,929 --> 00:22:23,966 十兵衛様! おう 306 00:22:23,966 --> 00:22:26,669 抜け出せるか? とても無理です 307 00:22:26,669 --> 00:22:28,738 続々と新手の一隊が詰めかけ 308 00:22:28,738 --> 00:22:32,238 小屋の周りは 蟻のはい出る隙間もありません 309 00:22:39,749 --> 00:22:41,751 これでよい 310 00:22:41,751 --> 00:22:44,954 敵の手勢を すべてここへ引き寄せた 311 00:22:44,954 --> 00:22:48,424 上様も無事 ご入洛できよう 312 00:22:48,424 --> 00:22:53,429 親父殿 又十郎をこのままに しておくわけにはいかん 313 00:22:53,429 --> 00:22:56,866 死ぬのは又十郎だけではない 314 00:22:56,866 --> 00:22:59,201 わしらとて 315 00:22:59,201 --> 00:23:02,538 これでは万に一つの望みもない 316 00:23:02,538 --> 00:23:07,510 よいか みんなも 腹を決めてくれい 317 00:23:07,510 --> 00:23:11,814 殿 喜んで一命を投げ出す覚悟 318 00:23:11,814 --> 00:23:14,283 十分に戦って潔く果てましょう 319 00:23:14,283 --> 00:23:16,352 ならん! 320 00:23:16,352 --> 00:23:20,089 なぜ死に急ぐ 死ぬは易い 321 00:23:20,089 --> 00:23:22,558 だが ここで 柳生が滅びてしまったら 322 00:23:22,558 --> 00:23:24,660 島津の陰謀はどうなる 323 00:23:24,660 --> 00:23:27,463 将軍は誰が守るんだ 親父殿 324 00:23:27,463 --> 00:23:31,667 断じて死に急いではならん 若 しかし この場をどうやって… 325 00:23:31,667 --> 00:23:33,667 十兵衛様 326 00:23:47,016 --> 00:23:51,487 茜… 無事であろうか 327 00:23:51,487 --> 00:23:54,890 せめて茜だけでも 328 00:23:54,890 --> 00:23:57,827 ハッハッハハハハハ 329 00:23:57,827 --> 00:24:01,430 家光め とうとう 罠にはまりおったな 330 00:24:01,430 --> 00:24:04,834 あとは山狩りしてでも 引きずり出すだけ 331 00:24:04,834 --> 00:24:07,603 これで いよいよ我らが天下だ 332 00:24:07,603 --> 00:24:09,605 ハハハハハハハ 333 00:24:09,605 --> 00:24:12,141 まことに めでたいことよのう 334 00:24:12,141 --> 00:24:15,378 帝も さぞ お喜びであらしゃりましょう 335 00:24:15,378 --> 00:24:18,881 早速にも 次なる 将軍宣下のご詔勅を 336 00:24:18,881 --> 00:24:20,883 願い出ましょう 337 00:24:20,883 --> 00:24:24,220 殿!殿 338 00:24:24,220 --> 00:24:26,222 何だ 騒々しい はっ 339 00:24:26,222 --> 00:24:30,092 ただ今 将軍家の行列が 夜を徹して九条山より京に入り 340 00:24:30,092 --> 00:24:33,996 二条城に向かって進行中とか 何だと! 341 00:24:33,996 --> 00:24:37,496 それでは 山中に包囲したというのは… 342 00:24:39,535 --> 00:24:41,771 そうか 343 00:24:41,771 --> 00:24:44,774 あれは替え玉だ 344 00:24:44,774 --> 00:24:47,910 但馬め 謀りおった 345 00:24:47,910 --> 00:24:50,613 あ… 宰相殿 何とか 346 00:24:50,613 --> 00:24:53,813 どうすれば… どうすればよいのじゃ! 347 00:25:07,863 --> 00:25:13,135 お二方にはいろいろと お骨折りいただいたが 348 00:25:13,135 --> 00:25:16,635 そろそろ 覚悟してもらわねばならん 349 00:25:18,607 --> 00:25:22,407 この度の将軍暗殺の陰謀はすべて 350 00:25:24,380 --> 00:25:27,083 お二方が たくらんだこと 351 00:25:27,083 --> 00:25:30,386 ハッ な… 何を言われる 352 00:25:30,386 --> 00:25:33,556 まろたちはすべて 宰相殿の指図どおりに… 353 00:25:33,556 --> 00:25:38,394 黙らっしゃい 余はあくまでも将軍家の臣 354 00:25:38,394 --> 00:25:43,766 宮中に潜み 幕府転覆をもくろむ 公家どもを暴き出すため 355 00:25:43,766 --> 00:25:47,369 そのほうどもに接近したまで 356 00:25:47,369 --> 00:25:49,538 今になって そのような卑怯な 357 00:25:49,538 --> 00:25:52,741 知らぬ 知らぬ まろは何にも知らぬ 358 00:25:52,741 --> 00:25:55,744 憎らしや この裏切り者め 359 00:25:55,744 --> 00:26:00,216 控えろ!そのほうどもの悪事は すべて露見した 360 00:26:00,216 --> 00:26:02,384 天下を騒がす大罪人めが! 361 00:26:02,384 --> 00:26:05,187 どわあっ あっ… 362 00:26:05,187 --> 00:26:08,591 わっ ああっ 363 00:26:08,591 --> 00:26:12,194 島津め 卑怯な 364 00:26:12,194 --> 00:26:15,197 ハハハハハハハ… 365 00:26:15,197 --> 00:26:18,397 ハッハッハハハハ 366 00:26:28,711 --> 00:26:32,014 姉貴 又平 どうしてここへ? 367 00:26:32,014 --> 00:26:34,083 十兵衛兄いに頼まれて 様子を見に来たんだよ 368 00:26:34,083 --> 00:26:36,085 早く行こう もう この屋敷には用はない 369 00:26:36,085 --> 00:26:38,354 何 焦ってんだよ 島津宰相の魂胆 370 00:26:38,354 --> 00:26:40,556 しかと見届けた 一刻も早く報告せねば 371 00:26:40,556 --> 00:26:42,558 しかし ここを抜け出すのは 入るより難しそうだ 372 00:26:42,558 --> 00:26:46,862 そんなこと言ってる場合じゃない 姉貴 そっちは危ねえんだよ 373 00:26:46,862 --> 00:26:50,662 (鳴子の音) 374 00:26:57,606 --> 00:27:00,306 これい この女 375 00:27:02,344 --> 00:27:05,414 見覚えのある顔だ 376 00:27:05,414 --> 00:27:08,317 んっ 柳生の小娘だな 377 00:27:08,317 --> 00:27:11,687 柳生?では公儀巡検使の 378 00:27:11,687 --> 00:27:15,824 島津宰相殿の魂胆 しかと見届けましたぞ 379 00:27:15,824 --> 00:27:18,961 フハハハハハ 380 00:27:18,961 --> 00:27:22,398 気の強いおなごじゃ だがしかし 381 00:27:22,398 --> 00:27:25,267 いくら見届けたところで どうにもなるまい 382 00:27:25,267 --> 00:27:27,770 ここで 命運が尽きてしまってはのう 383 00:27:27,770 --> 00:27:30,906 この! 待て 384 00:27:30,906 --> 00:27:33,842 今しばらく生かしておこう 385 00:27:33,842 --> 00:27:37,246 またとない柳生の人質だ 386 00:27:37,246 --> 00:27:40,115 いざという時 役に立つかもしれん 387 00:27:40,115 --> 00:27:44,115 ああ… だから 言わねえこっちゃねえんだよ 388 00:27:47,456 --> 00:27:49,558 変だなあ 389 00:27:49,558 --> 00:27:51,927 鏑木さん ちょっと ええ? 390 00:27:51,927 --> 00:27:55,364 敵の手の者 引き返していきますよ おお 391 00:27:55,364 --> 00:27:58,334 これは… 392 00:27:58,334 --> 00:28:01,804 敵もどうやら 替え玉に気がついたらしい 393 00:28:01,804 --> 00:28:07,404 とすると 上様は既に 二条城にお入りなされたのだ 394 00:28:11,580 --> 00:28:16,919 かくして将軍 家光一行は 無事 二条城に入城した 395 00:28:16,919 --> 00:28:19,121 そして翌朝… 396 00:28:19,121 --> 00:28:21,390 柳生但馬にござりまする 397 00:28:21,390 --> 00:28:24,460 おお 但馬か 入れ 398 00:28:24,460 --> 00:28:26,460 はっ 399 00:28:39,375 --> 00:28:42,611 但馬 無事で何より 400 00:28:42,611 --> 00:28:45,147 そのほうには苦労をかけたのう 401 00:28:45,147 --> 00:28:49,952 いやあ 但馬殿の身を挺しての働き 感服つかまつった 402 00:28:49,952 --> 00:28:53,956 いやいや そのほうの手柄も なかなかのものだ 403 00:28:53,956 --> 00:28:56,725 と申されますと? うん 404 00:28:56,725 --> 00:29:00,562 宮中に巣くう幕府転覆の陰謀を 摘発し 405 00:29:00,562 --> 00:29:03,232 事を未然に防いでくれた 406 00:29:03,232 --> 00:29:05,601 何と仰せられます 407 00:29:05,601 --> 00:29:08,437 その張本人は 408 00:29:08,437 --> 00:29:13,942 宮中でも反幕派の急先鋒 姉小路 柳原の両名 409 00:29:13,942 --> 00:29:16,845 それがしも 一味に加担すると見せかけ 410 00:29:16,845 --> 00:29:20,149 陰謀のたくらみを すべて暴き出しましたぞ 411 00:29:20,149 --> 00:29:24,386 今 両名は当藩邸にて 厳しく詮議しておる次第 412 00:29:24,386 --> 00:29:27,489 それにしても不届き千万の輩 413 00:29:27,489 --> 00:29:32,061 帝も殊の外 ご立腹のご様子 414 00:29:32,061 --> 00:29:35,798 これより帝に拝し その処分を 話し合うことになろうが 415 00:29:35,798 --> 00:29:38,298 いずれ厳しいものになろう 416 00:29:40,402 --> 00:29:42,805 はっ 何はともあれ 417 00:29:42,805 --> 00:29:46,575 上様の御身に何事もなく 祝着至極に存じます 418 00:29:46,575 --> 00:29:49,411 いや そのほうたち2人のおかげだ 419 00:29:49,411 --> 00:29:53,182 はっ ありがたきお言葉に存じます 420 00:29:53,182 --> 00:29:56,485 さて そろそろ 宮中に参内する刻限じゃな 421 00:29:56,485 --> 00:29:59,585 御意 お供つかまつります 422 00:30:01,990 --> 00:30:04,159 上様 しばらく 423 00:30:04,159 --> 00:30:06,295 何じゃ 424 00:30:06,295 --> 00:30:11,834 お人払いの上 直々に お耳に入れたき儀がござります 425 00:30:11,834 --> 00:30:14,370 但馬殿 後日になされい 426 00:30:14,370 --> 00:30:17,039 上様には何かとお支度がござる 427 00:30:17,039 --> 00:30:19,039 さっ 上様 428 00:30:33,222 --> 00:30:35,924 ところで 柳生家の 429 00:30:35,924 --> 00:30:39,061 中仙道巡検使の首尾は いかがでござる 430 00:30:39,061 --> 00:30:41,330 噂によると 431 00:30:41,330 --> 00:30:47,336 正使たる娘御が 京に着く早々 行方が分からぬとか 432 00:30:47,336 --> 00:30:50,736 ご心配のことでござるな 433 00:31:02,618 --> 00:31:08,223 数刻後 家光は御所へ向かい 帝への拝謁を済ませた 434 00:31:08,223 --> 00:31:11,160 又十郎 痛むか? 435 00:31:11,160 --> 00:31:13,862 上様の窮地を救えたと思えば 436 00:31:13,862 --> 00:31:16,165 何の これしき 437 00:31:16,165 --> 00:31:18,467 おおっ 無理をすな 438 00:31:18,467 --> 00:31:20,602 おお 又十郎様 439 00:31:20,602 --> 00:31:23,372 はいはい ただ今 440 00:31:23,372 --> 00:31:26,175 ところで親父殿 441 00:31:26,175 --> 00:31:29,275 島津宰相の腹の内をどう読んだ? 442 00:31:32,014 --> 00:31:35,651 お二人とも再会を喜び合い 443 00:31:35,651 --> 00:31:40,322 実の兄弟のように 心を開いて話し合われたとか 444 00:31:40,322 --> 00:31:42,624 そんなことは聞いておらん 445 00:31:42,624 --> 00:31:45,093 この度の一件 すべては 446 00:31:45,093 --> 00:31:50,132 帝の知らぬ間に 姉小路と 柳原によって仕組まれた陰謀 447 00:31:50,132 --> 00:31:52,601 で その処分は? 448 00:31:52,601 --> 00:31:56,038 両名とも隠岐の島へ流罪 449 00:31:56,038 --> 00:31:58,538 島津宰相は? 450 00:32:02,411 --> 00:32:05,214 親父殿 451 00:32:05,214 --> 00:32:08,414 そのことはもうよい いや 452 00:32:10,619 --> 00:32:13,719 島津宰相はお構いなしか 453 00:32:15,757 --> 00:32:19,495 この度の陰謀摘発の功により 454 00:32:19,495 --> 00:32:24,700 上様より 松平の姓を賜ることになった 455 00:32:24,700 --> 00:32:28,470 何だと? 456 00:32:28,470 --> 00:32:32,007 親父殿はそれで おめおめと引き下がってきたのか 457 00:32:32,007 --> 00:32:35,507 上様の胸の内 察するに余りある 458 00:32:37,479 --> 00:32:41,850 島津は外様きっての雄藩 459 00:32:41,850 --> 00:32:44,453 今 島津と対立することは 460 00:32:44,453 --> 00:32:49,358 他の外様諸藩にも動揺を与え 天下を二分しかねない 461 00:32:49,358 --> 00:32:54,730 されば再び戦乱の世 462 00:32:54,730 --> 00:32:59,368 徳川家の… 将軍家のご威光を守り 463 00:32:59,368 --> 00:33:02,538 盤石の体制を敷くためにも 464 00:33:02,538 --> 00:33:06,041 今は こらえねばならんのだ 465 00:33:06,041 --> 00:33:09,311 天下の安泰 466 00:33:09,311 --> 00:33:12,614 将軍家のご威光 467 00:33:12,614 --> 00:33:15,384 政とは そうしたものだ 468 00:33:15,384 --> 00:33:18,620 政として決着をつければ 469 00:33:18,620 --> 00:33:21,220 それでよしとされるのか 470 00:33:25,127 --> 00:33:28,297 江戸を発って このかた 471 00:33:28,297 --> 00:33:33,101 あまりにも多くの血が流された 472 00:33:33,101 --> 00:33:35,801 こらえるのだ 十兵衛 473 00:33:39,575 --> 00:33:42,511 できぬ 今日限り 474 00:33:42,511 --> 00:33:48,183 お前の乱心者 お尋ね者の汚名も 晴れたのだ 475 00:33:48,183 --> 00:33:53,522 そうはいかん 今日一日だけ 476 00:33:53,522 --> 00:33:56,722 乱心者でいさせてもらう 477 00:33:58,927 --> 00:34:02,030 どこへ行く 兄上! 478 00:34:02,030 --> 00:34:05,000 又十郎様 兄上! 479 00:34:05,000 --> 00:34:07,703 若!わしも参りますぞ 480 00:34:07,703 --> 00:34:09,771 十兵衛様 私も! 481 00:34:09,771 --> 00:34:12,608 行くのは乱心者の わし一人でよい 482 00:34:12,608 --> 00:34:14,608 兄上! 483 00:34:25,520 --> 00:34:27,456 曲者! 484 00:34:27,456 --> 00:34:31,356 曲者だ! 出合え 出合え! 485 00:35:37,459 --> 00:35:39,459 又平 486 00:36:14,396 --> 00:36:16,396 何奴 487 00:36:18,400 --> 00:36:22,300 柳生十兵衛 推参 488 00:36:28,176 --> 00:36:30,176 はあっ 489 00:36:33,348 --> 00:36:36,748 はああ… はあっ 490 00:36:40,222 --> 00:36:44,960 剛毅の噂高い島津宰相も 491 00:36:44,960 --> 00:36:48,360 影武者を仕立てるとは 492 00:36:52,601 --> 00:36:55,737 ああっ はああ… 493 00:36:55,737 --> 00:36:57,737 あああ… 494 00:37:01,676 --> 00:37:04,412 十兵衛 495 00:37:04,412 --> 00:37:06,612 来たか 496 00:37:10,352 --> 00:37:12,952 乱心者 十兵衛 497 00:37:15,056 --> 00:37:17,959 お命頂戴つかまつる 498 00:37:17,959 --> 00:37:22,430 ほう 何ゆえに 499 00:37:22,430 --> 00:37:26,234 将軍家暗殺を謀り 500 00:37:26,234 --> 00:37:30,138 天下を乗っ取ろうとした罪 501 00:37:30,138 --> 00:37:34,142 黙れ その件は既に決着済み 502 00:37:34,142 --> 00:37:36,444 何を証拠に今更 503 00:37:36,444 --> 00:37:39,648 証拠は私です 504 00:37:39,648 --> 00:37:43,848 しかと見届け 一語残さず聞き届けました 505 00:38:34,536 --> 00:38:39,274 茜 もはや戦わずともよい 506 00:38:39,274 --> 00:38:42,611 巡検使の役はすべて終わったのだ 507 00:38:42,611 --> 00:38:45,747 これからは ただの女として 508 00:38:45,747 --> 00:38:50,118 この十兵衛が守ってやる 509 00:38:50,118 --> 00:38:53,088 いやーっ! 510 00:38:53,088 --> 00:38:55,088 たわけ! 511 00:39:19,714 --> 00:39:21,716 茜 512 00:39:21,716 --> 00:39:24,486 お前には随分 苦労をかけたな 513 00:39:24,486 --> 00:39:27,289 いえ 十兵衛兄様こそ 514 00:39:27,289 --> 00:39:31,726 どこの旅の空にいても お前の幸せは祈っておる 515 00:39:31,726 --> 00:39:34,026 江戸へは帰らないのですか? 516 00:39:37,899 --> 00:39:40,368 俺は柳生のはみ出し者だ 517 00:39:40,368 --> 00:39:43,571 江戸へ帰ったところで 落ち着く場所もない 518 00:39:43,571 --> 00:39:47,943 ハハハハ… ハッハッハハハ 519 00:39:47,943 --> 00:39:51,843 十兵衛兄様 茜をお供させてください 520 00:39:54,349 --> 00:39:56,851 私とて 521 00:39:56,851 --> 00:39:59,851 本当の柳生の娘ではありません 522 00:40:04,826 --> 00:40:06,895 お願いです 523 00:40:06,895 --> 00:40:11,395 十兵衛兄様 茜を一緒に連れていってください 524 00:40:17,072 --> 00:40:20,976 明日 辰の刻 525 00:40:20,976 --> 00:40:26,181 伏見の尼寺 照月庵で会おう 526 00:40:26,181 --> 00:40:29,281 は… はい 527 00:40:43,064 --> 00:40:47,264 東西 東西 528 00:40:50,005 --> 00:40:53,775 (拍手) よっ 待ってました! 529 00:40:53,775 --> 00:40:57,012 春や 春 春らんまんの東山 530 00:40:57,012 --> 00:40:59,647 お駒ちゃん よっ よっ 531 00:40:59,647 --> 00:41:04,019 はらはらと 散るは涙か 532 00:41:04,019 --> 00:41:07,722 鼻水か (観客の笑い声) 533 00:41:07,722 --> 00:41:10,959 千年の都 京に到着 534 00:41:10,959 --> 00:41:13,361 我ら 公儀巡検使 535 00:41:13,361 --> 00:41:16,931 我こそは本物の柳生十兵衛である 536 00:41:16,931 --> 00:41:20,201 おおっ よっ これは兄上様 537 00:41:20,201 --> 00:41:22,237 公儀巡検使としてのお役目も… 538 00:41:22,237 --> 00:41:26,207 縫之介様! あそこに見ゆるは怪しい人影 539 00:41:26,207 --> 00:41:29,344 どこから… どこかで見たような 男でございます 540 00:41:29,344 --> 00:41:33,381 何? 怪しい男って… 俺のことかい? 541 00:41:33,381 --> 00:41:35,650 又平さん 542 00:41:35,650 --> 00:41:37,786 いけねっ 見つかっちまったよ 543 00:41:37,786 --> 00:41:41,322 お客様 長い間 お世話になりました 544 00:41:41,322 --> 00:41:43,758 わたくしこと 夢乃屋お駒 545 00:41:43,758 --> 00:41:46,961 今日をもって 又平さんの嫁になります 546 00:41:46,961 --> 00:41:49,497 幸せになります 俺の嫁? 547 00:41:49,497 --> 00:41:52,634 ちが… 違うんです 皆さん そんな勝手に決められちゃ困るよ 548 00:41:52,634 --> 00:41:55,370 又平さん 549 00:41:55,370 --> 00:41:57,670 あばよ お駒さん 550 00:42:00,575 --> 00:42:03,078 何か言ってくださいよ いやいや ちょっと待って 551 00:42:03,078 --> 00:42:05,178 木戸銭 返せ! 552 00:42:07,515 --> 00:42:09,515 イタッ 553 00:42:31,940 --> 00:42:34,640 はっ 母様 554 00:42:37,645 --> 00:42:40,745 母様! 茜様 555 00:42:45,520 --> 00:42:48,089 母様! 556 00:42:48,089 --> 00:42:50,589 母様 雪 557 00:42:53,194 --> 00:42:55,194 雪 558 00:43:04,038 --> 00:43:07,838 雪 雪… 559 00:43:33,568 --> 00:43:36,037 新助ではないか はい 560 00:43:36,037 --> 00:43:39,040 みんな どうしておる? みんな柳生の里で 561 00:43:39,040 --> 00:43:41,209 そうか 562 00:43:41,209 --> 00:43:45,046 お供します わたくしは柳生家のために 563 00:43:45,046 --> 00:43:48,049 いや それはならんぞ 564 00:43:48,049 --> 00:43:51,286 新助 もうよいのだ 565 00:43:51,286 --> 00:43:54,255 里に帰って ゆっくり休め 566 00:43:54,255 --> 00:43:56,955 よいか 来てはならんぞ 567 00:43:58,993 --> 00:44:01,293 さらばだ 568 00:44:05,400 --> 00:44:08,903 よう どうした 新助 又平さん 569 00:44:08,903 --> 00:44:11,773 何だよ その顔 兄いが何言おうと構やしねえんだ 570 00:44:11,773 --> 00:44:13,775 ついてきゃいいんだよ でも… 571 00:44:13,775 --> 00:44:15,810 俺もな ちょっと あっちのほうに 用事があるんだよ 572 00:44:15,810 --> 00:44:19,110 付き合うか?んっ 行こう 行こう 行こう 573 00:44:21,115 --> 00:44:26,988 人それぞれの旅がある 人それぞれの道がある 574 00:44:26,988 --> 00:44:29,691 今 ひとつの旅が終わり 575 00:44:29,691 --> 00:44:32,991 また新たな旅が始まる