1 00:00:01,297 --> 00:00:05,797 また 知らない方がいいんだ あんな地獄は…。 2 00:00:09,639 --> 00:00:14,978 戦争の話は もう いいじゃないか。 さ 飲もう 飲もう。 3 00:00:14,978 --> 00:00:20,149 久しぶりの内地の酒は やっぱり うまいね! ハハハ! 4 00:00:20,149 --> 00:00:26,849 ♬~ 5 00:00:33,896 --> 00:00:36,799 (あくび) 6 00:00:36,799 --> 00:00:40,103 (潔子)音さん 今日も眠そうね。 7 00:00:40,103 --> 00:00:42,639 (和子)また カフェーの仕事で夜更かし? 8 00:00:42,639 --> 00:00:46,476 (音)ううん。 昨日は 主人の友達が泊まりに来てて➡ 9 00:00:46,476 --> 00:00:48,411 酔って暴れて 大変だったの。 10 00:00:48,411 --> 00:00:51,648 (鉄男) 最低だ! 俺が グズグズしてっから➡ 11 00:00:51,648 --> 00:00:53,683 希穂子に見限られたんだ! (裕一)お帰り。 12 00:00:53,683 --> 00:00:57,520 大将…。 ああ~ 希穂子~! 13 00:00:57,520 --> 00:01:02,992 えっ 主人? 今 主人って言った? 14 00:01:02,992 --> 00:01:08,498 うん。 まさか 音さん 結婚してるの? 15 00:01:08,498 --> 00:01:11,334 うん。 言ってなかったっけ? 聞いてない! 16 00:01:11,334 --> 00:01:16,005 うそでしょ? えっ? 人妻で 学生で➡ 17 00:01:16,005 --> 00:01:19,842 カフェーの女給ってこと? カフェーは 今日で終わりだけどね。 18 00:01:19,842 --> 00:01:23,642 楽しかったよ。 すごく勉強になった。 19 00:01:26,349 --> 00:01:28,649 ああ…。 20 00:01:33,956 --> 00:01:40,096 ♬~ 21 00:01:40,096 --> 00:01:45,635 ♬「泣いて 生まれて 響く命」 22 00:01:45,635 --> 00:01:51,107 ♬「きっと嬉しくて 笑っているんだ」 23 00:01:51,107 --> 00:01:56,646 ♬「僕らはきっと 出逢うでしょう」 24 00:01:56,646 --> 00:02:02,819 ♬「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」 25 00:02:02,819 --> 00:02:10,693 ♬「きっといつか今日の日も 意味を持って ほら」 26 00:02:10,693 --> 00:02:14,430 ♬「耳をすませば」 27 00:02:14,430 --> 00:02:20,136 ♬「星の見えない日々を 超えるたびに」 28 00:02:20,136 --> 00:02:25,842 ♬「互い照らすその意味を 知るのでしょう」 29 00:02:25,842 --> 00:02:28,878 ♬「愛する人よ」 30 00:02:28,878 --> 00:02:31,647 ♬「親愛なる友よ」 31 00:02:31,647 --> 00:02:39,947 ♬「遠くまで 響くはエール」 32 00:02:42,792 --> 00:02:49,292 (千鶴子)最終選考まで あと少しなのよ。 必死で練習するのが普通じゃないの? 33 00:02:53,302 --> 00:02:56,302 私だって必死だよ。 34 00:02:58,975 --> 00:03:04,275 そういうの… 必死って言えるのかしら? 35 00:03:05,848 --> 00:03:13,990 私はね 子どもの頃から 音楽のために全てを犠牲にしてきたの。 36 00:03:13,990 --> 00:03:17,994 なのに あなたは…➡ 37 00:03:17,994 --> 00:03:23,132 音楽も 家庭も 友達も 恋愛も➡ 38 00:03:23,132 --> 00:03:26,335 何でも欲しがって 手を伸ばす。 39 00:03:26,335 --> 00:03:31,835 あなたみたいな強欲な人に 私は負けるわけにはいかないの。 40 00:03:33,443 --> 00:03:36,078 強欲? 41 00:03:36,078 --> 00:03:42,452 私は… 私の全てを懸けて➡ 42 00:03:42,452 --> 00:03:45,652 ヴィオレッタを勝ち取ってみせるから。 43 00:03:50,193 --> 00:03:52,962 (恵)は~い どうぞ。 ありがとうございます。 44 00:03:52,962 --> 00:03:54,897 あっ トーストを2つ。 (恵)うん。 45 00:03:54,897 --> 00:03:58,768 ホットケーキも つけていいぞ。 ここは 俺が持つ。 46 00:03:58,768 --> 00:04:01,068 じゃあ…。 (恵)フフッ。 47 00:04:02,972 --> 00:04:05,808 顔がいい人は 言うことも かっこいいわね。 48 00:04:05,808 --> 00:04:09,479 (保)顔がいいから かっこよく聞こえるんじゃないか? 49 00:04:09,479 --> 00:04:12,315 昨日は 本当に悪がった。 50 00:04:12,315 --> 00:04:15,815 いやいや… みんな いろいろあるよ。 51 00:04:19,088 --> 00:04:22,959 会社は何時からなんだ? ああ… 出勤時間は自由だから。 52 00:04:22,959 --> 00:04:26,863 大御所になると出社しない人もいる。 へえ~ そういうもんなのか。 53 00:04:26,863 --> 00:04:31,133 うん。 …で どうなんだ? 仕事の方は。 54 00:04:31,133 --> 00:04:33,436 うん…。 「紺碧の空」のおかげで➡ 55 00:04:33,436 --> 00:04:37,273 評価 上がったんじゃねえか? 56 00:04:37,273 --> 00:04:39,609 そうでもないよ。 57 00:04:39,609 --> 00:04:45,948 この前ね 地方小唄の話あったんだけど… うまいこといかなかった。 58 00:04:45,948 --> 00:04:48,948 地方小唄? うん…。 59 00:04:51,821 --> 00:04:57,293 (吟)人妻が カフェーの女給って あんた 何考えとんの? 60 00:04:57,293 --> 00:05:00,329 お母さんとか梅には言わんでよ。 めんどくさいから。 61 00:05:00,329 --> 00:05:04,634 言うに決まっとるじゃん。 こんな面白い話ないわ。 62 00:05:04,634 --> 00:05:08,104 お姉ちゃんは どうなっとんの? 結婚の準備。 63 00:05:08,104 --> 00:05:11,474 式の日取りが決まったとこ。 64 00:05:11,474 --> 00:05:17,113 最近 気付いたんだけど うちの人 何だかんだで亭主関白なんだわ。 65 00:05:17,113 --> 00:05:19,815 裕一さんは いい旦那様よね。 66 00:05:19,815 --> 00:05:23,515 何でも あんたの好きにさせてくれて。 67 00:05:27,490 --> 00:05:31,360 お姉ちゃん…。 68 00:05:31,360 --> 00:05:33,296 私って 強欲? 69 00:05:33,296 --> 00:05:37,300 やだ… 今頃 気付いたの? 70 00:05:37,300 --> 00:05:42,438 やっぱ そうなんだ。 それが あんたのいいところじゃんか! 71 00:05:42,438 --> 00:05:45,274 人間 欲がなくなったら おしまいよ。 72 00:05:45,274 --> 00:05:48,274 強欲上等! 73 00:05:52,048 --> 00:05:56,886 強欲上等…。 74 00:05:56,886 --> 00:05:58,955 そっか…。 75 00:05:58,955 --> 00:06:02,291 あっ! ちょっと それ 高かったんだから やめてよ! 76 00:06:02,291 --> 00:06:05,094 いいじゃん ちょっとくらい…。 ちょっと… 本当駄目…。 77 00:06:05,094 --> 00:06:07,794 かわいい! やめりん やめりん! 78 00:06:10,800 --> 00:06:14,600 ああ… もう こんな減って…。 79 00:06:18,541 --> 00:06:22,241 (ノック) どうぞ~。 80 00:06:24,647 --> 00:06:27,683 あっ…。 (希穂子)音江さん。 81 00:06:27,683 --> 00:06:30,453 ゆうべは お騒がせして ごめんなさいね。 82 00:06:30,453 --> 00:06:34,653 いえいえ… あの…。 (ノック) 83 00:06:36,759 --> 00:06:41,931 (ママ)音江ちゃん いよいよ最終日ね。 はい。 84 00:06:41,931 --> 00:06:45,935 一週間 お世話になりました。 85 00:06:45,935 --> 00:06:50,439 残念だわ…。 あなた 鍛えれば 一流になれそうなのに。 86 00:06:50,439 --> 00:06:53,075 えっ? 怒られてばかりでしたけど…。 87 00:06:53,075 --> 00:06:55,945 見込みがあるから怒られたんじゃない? 88 00:06:55,945 --> 00:06:58,781 さすが希穂子ちゃん そのとおりよ。 89 00:06:58,781 --> 00:07:03,452 それぐらい 言われなくても察しなさい。 ここで 何 勉強したのよ。 90 00:07:03,452 --> 00:07:05,488 すいません。 フフフフ…。 91 00:07:05,488 --> 00:07:08,290 ≪(ボーイ)困るんですよ。 出てって下さい。 ≪(鉄男)少しでいいですから。 92 00:07:08,290 --> 00:07:10,226 ≪(ボーイ)出てけって言ってんだよ。 ≪(鉄男)お願いします! 93 00:07:10,226 --> 00:07:14,463 (愛子)ママ 大変です! この前の人が…。 ≪(鉄男)話すだけですから。 94 00:07:14,463 --> 00:07:16,399 (鉄男)何でですか! (ボーイ)出てけよ! 95 00:07:16,399 --> 00:07:18,334 別にいいでしょ 話すくらい! 出てけって言ってんだよ。 96 00:07:18,334 --> 00:07:21,971 少しですから お願いします! 無理なんだよ。 97 00:07:21,971 --> 00:07:26,475 希穂子…。 98 00:07:26,475 --> 00:07:33,475 ちゃんと話がしてえ。 少しでいいから時間くれねえか? 99 00:07:39,755 --> 00:07:42,591 お引き取り下さい。 100 00:07:42,591 --> 00:07:48,931 希穂子…。 分からない? 迷惑してるの。 101 00:07:48,931 --> 00:07:51,834 本当のことを言いますね。 102 00:07:51,834 --> 00:07:57,273 福島を離れたのは あなたが重荷になったからです。 103 00:07:57,273 --> 00:07:59,973 勘違いされて困ってたの。 104 00:08:08,617 --> 00:08:10,917 お帰り下さい。 105 00:08:21,197 --> 00:08:40,416 ♬~ 106 00:08:40,416 --> 00:08:42,351 (ドアが開く音) 107 00:08:42,351 --> 00:09:01,604 ♬~ 108 00:09:01,604 --> 00:09:09,404 恋愛の機微を目の当たりにした 音のカフェー勤務最終日でした。 109 00:09:12,615 --> 00:09:16,285 (久志)どうぞ。 よいしょ… はい 出来たよ。 110 00:09:16,285 --> 00:09:23,459 (久志)おっ! おいしそうだ。 鉄男君 頂こうよ。 111 00:09:23,459 --> 00:09:26,959 ほら! 大将 ほら… 食べよう ほら! 112 00:09:30,966 --> 00:09:34,737 まあまあ…。 ああ… ありがとうね。 飲もう 飲もう。 113 00:09:34,737 --> 00:09:39,909 おっ… そうだ! あの時も おめえが一番に逃げたんだ。 114 00:09:39,909 --> 00:09:42,912 覚えてないな。 いや 久志の逃げ足の速さはね➡ 115 00:09:42,912 --> 00:09:46,248 学校… いやいや 宇宙一だよ! 116 00:09:46,248 --> 00:09:49,151 危機対応能力にたけていると 言ってほしいね。 117 00:09:49,151 --> 00:09:51,420 あの先生 怖かったけどさ➡ 118 00:09:51,420 --> 00:09:54,924 4年の時 藤堂先生になってくれたの うれしかったな~! 119 00:09:54,924 --> 00:09:58,594 ああ… 藤堂先生には頭が上がんねえ。 120 00:09:58,594 --> 00:10:01,263 懐かしいね~。 121 00:10:01,263 --> 00:10:06,135 いいもんだね ふるさとの友達と飲むのは。 うん! 122 00:10:06,135 --> 00:10:10,940 裕一が鉄男君を東京に呼ぼうって 言いだした時は さすがに驚いたけどね。 123 00:10:10,940 --> 00:10:15,611 あっ ごめん ごめん。 あの時はね もう本当に舞い上がってました。 124 00:10:15,611 --> 00:10:21,417 いや… うれしかったよ。 ここ最近 詩 書くことなんて忘れてたから。 125 00:10:21,417 --> 00:10:23,953 いや… しかたないよ。 仕事だってあるしね。 126 00:10:23,953 --> 00:10:28,290 実は… 書いてみたんだ。 127 00:10:28,290 --> 00:10:31,193 えっ? 128 00:10:31,193 --> 00:10:36,393 歌詞書いたの!? えっ? み み… 見せて 見せて! えっ? 129 00:10:38,801 --> 00:10:45,501 「福島行進曲」。 俺なりの福島を書いてみた。 130 00:10:48,310 --> 00:10:53,115 いい… すごくいい。 131 00:10:53,115 --> 00:10:56,819 す… すごくいいよ これ! ねっ? ああ いいよ! 132 00:10:56,819 --> 00:11:00,019 恋の歌だな。 ああ。 133 00:11:02,324 --> 00:11:06,128 「紺碧の空」書いた時ね➡ 134 00:11:06,128 --> 00:11:10,966 歌詞に共感するって すっごく すっごく 大事なんだって分かったんだよ。 135 00:11:10,966 --> 00:11:16,505 こういう… こういう… 心に グッて グッて来る➡ 136 00:11:16,505 --> 00:11:21,377 こういうの ずっと待ってた! 137 00:11:21,377 --> 00:11:26,215 僕ね… 福島捨てて ここに来たんだ。 138 00:11:26,215 --> 00:11:30,686 でも… 忘れたことは一度もない! 139 00:11:30,686 --> 00:11:34,556 大将が思い乗せた この歌詞で➡ 140 00:11:34,556 --> 00:11:38,756 もう一度… もう一度 ちゃんと福島と向かい合いたい! 141 00:11:40,796 --> 00:11:46,302 大将 いや… 鉄男。 142 00:11:46,302 --> 00:11:52,602 僕に… この詩で… この詩に曲をつけさせてくれ! 143 00:11:55,978 --> 00:12:00,478 分がった。 いい曲つけてくれよ! 144 00:12:02,318 --> 00:12:06,188 ありがとう! ありがとう…。 145 00:12:06,188 --> 00:12:11,327 久志 歌ってくれるよな? 146 00:12:11,327 --> 00:12:13,996 僕以外… いるの? 147 00:12:13,996 --> 00:12:16,996 クッ フフフ…。 148 00:12:20,336 --> 00:12:24,673 んん…。 149 00:12:24,673 --> 00:12:33,673 (いびき) 150 00:12:55,637 --> 00:12:57,673 (廿日市)「福島行進曲」。 151 00:12:57,673 --> 00:13:00,809 はい。 地元で新聞記者やってる 友人が書きまして…。 152 00:13:00,809 --> 00:13:04,646 あっ もともと 作詞家志望で かなり才能のある男なんです。 153 00:13:04,646 --> 00:13:06,582 (廿日市)ふ~ん…。 154 00:13:06,582 --> 00:13:11,120 歌い手は 今 東京帝国音楽学校で 声楽の勉強してる 僕の友人➡ 155 00:13:11,120 --> 00:13:14,490 佐藤久志に頼もうかなって…。 ちょっと黙ってて。 156 00:13:14,490 --> 00:13:16,525 あっ はい。 す… すいません。 157 00:13:16,525 --> 00:13:19,328 そうねえ…。 158 00:13:19,328 --> 00:13:22,998 (杉山)私は とてもいい曲だと思いますが。 159 00:13:22,998 --> 00:13:24,933 えっ そう? 160 00:13:24,933 --> 00:13:28,804 横浜の地方小唄の話は 結局 流れてしまいましたし➡ 161 00:13:28,804 --> 00:13:31,507 ほかのレコード会社が まだ目をつけていない➡ 162 00:13:31,507 --> 00:13:35,477 東北方面の地方小唄なら 話題にもなりやすいかと。 163 00:13:35,477 --> 00:13:39,177 あっ そう… じゃあ これで作ってみようか。 164 00:13:41,183 --> 00:13:43,619 えっ? 165 00:13:43,619 --> 00:13:50,119 こうして 裕一の初めてのレコードが 吹き込まれることになりました。 166 00:13:55,798 --> 00:13:59,968 あっ… 今日は よろしくお願いします。 よろしくお願いします。 167 00:13:59,968 --> 00:14:02,268 スタジオへ ご案内します。 168 00:14:07,309 --> 00:14:14,183 ただし 歌うのは久志ではなく 廿日市が連れてきた女性歌手。 169 00:14:14,183 --> 00:14:19,488 無名の学生を いきなり起用するのは さすがに難しかったようです。 170 00:14:19,488 --> 00:14:21,788 (小田)いつでも始められるよ。 171 00:14:27,129 --> 00:14:29,129 では…。 172 00:14:35,270 --> 00:15:17,980 ♬~ 173 00:15:17,980 --> 00:15:26,280 上京して2年 ついに裕一は プロの作曲家デビューを果たしたのです。