1 00:00:06,773 --> 00:00:09,610 この子は 関内 音。 2 00:00:09,610 --> 00:00:14,948 お父さんの仕事について 福島の川俣を訪ねていました。 3 00:00:14,948 --> 00:00:17,618 (安隆)これは どうだ?➡ 4 00:00:17,618 --> 00:00:19,553 お父さんスペシャルだ。 5 00:00:19,553 --> 00:00:23,290 (音)あっ これ いい! 6 00:00:23,290 --> 00:00:27,160 あ~ん。あ~ お父さ~ん。 ハハハッ いかん。 7 00:00:27,160 --> 00:00:33,800 大好きなおだんごを楽しむ前に 実は 教会で…。 8 00:00:33,800 --> 00:00:44,978 ♬~(歌声) 9 00:00:44,978 --> 00:00:49,850 (拍手) 10 00:00:49,850 --> 00:00:52,653 あたしも歌いたい。 11 00:00:52,653 --> 00:00:56,623 えっ あそこでか? 12 00:00:58,325 --> 00:01:01,995 よし 行っといで。 13 00:01:08,969 --> 00:01:12,973 自分で行きなさい 音。 14 00:01:12,973 --> 00:01:18,145 フフフ… 大丈夫 なんとかなるから。 15 00:01:20,581 --> 00:01:22,549 ほら。 16 00:01:27,287 --> 00:01:37,431 ♬「われらの よわきを 知りて あわれむ」 17 00:01:37,431 --> 00:01:42,970 ♬「なやみ かなしみに」 18 00:01:42,970 --> 00:01:49,142 その時 運命の人 裕一も教会にいました。 19 00:01:49,142 --> 00:02:00,587 ♬「いのりに こたえて いたわり たまわん」 20 00:02:00,587 --> 00:02:07,761 後に この2人が夫婦になろうとは 誰も知る由もありません。 21 00:02:10,931 --> 00:02:13,967 初めは恥ずかしかったけど➡ 22 00:02:13,967 --> 00:02:16,103 やってよかった! 23 00:02:16,103 --> 00:02:19,139 うん。 お父さん 思うんだ。 24 00:02:19,139 --> 00:02:25,412 やらずに後悔するより やって後悔した方がいいってな。 25 00:02:25,412 --> 00:02:32,619 さっき 音のおかげで 教会のみんなが元気になっただら。 26 00:02:32,619 --> 00:02:34,655 すごいわ~ 音。 27 00:02:34,655 --> 00:02:39,960 そいじゃあ ご褒美に もう一本! う~ん…。 28 00:02:39,960 --> 00:02:42,429 今日は特別だ! やった~! 29 00:02:42,429 --> 00:02:48,301 ♬~ 30 00:02:48,301 --> 00:02:54,041 ♬「泣いて 生まれて 響く命」 31 00:02:54,041 --> 00:02:59,646 ♬「きっと嬉しくて 笑っているんだ」 32 00:02:59,646 --> 00:03:05,085 ♬「僕らはきっと 出逢うでしょう」 33 00:03:05,085 --> 00:03:11,258 ♬「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」 34 00:03:11,258 --> 00:03:19,132 ♬「きっといつか今日の日も 意味を持って ほら」 35 00:03:19,132 --> 00:03:22,969 ♬「耳をすませば」 36 00:03:22,969 --> 00:03:28,608 ♬「星の見えない日々を 超えるたびに」 37 00:03:28,608 --> 00:03:34,281 ♬「互い照らすその意味を 知るのでしょう」 38 00:03:34,281 --> 00:03:37,284 ♬「愛する人よ」 39 00:03:37,284 --> 00:03:40,153 ♬「親愛なる友よ」 40 00:03:40,153 --> 00:03:47,928 ♬「遠くまで 響くはエール」 41 00:03:59,306 --> 00:04:01,241 (吟)あたしんでしょ 返して! 42 00:04:01,241 --> 00:04:03,176 いいじゃん 減るもんじゃないんだし! 43 00:04:03,176 --> 00:04:05,112 やだ! あたしだって まだ読んでないもん! 44 00:04:05,112 --> 00:04:07,914 あっ! もう! 自分で買えばいいじゃん! 45 00:04:07,914 --> 00:04:10,584 同じもんが2冊あったって しょうがないじゃん。 46 00:04:10,584 --> 00:04:13,253 (梅)そりゃ そうだ。 47 00:04:13,253 --> 00:04:17,257 そもそも これは おしゃれの雑誌。 あんたみたいな子どもには まだ早い。 48 00:04:17,257 --> 00:04:20,393 もう11歳だもん! 100年早い! 49 00:04:20,393 --> 00:04:23,096 100年たったら 111歳じゃん。 50 00:04:23,096 --> 00:04:25,132 確かに。 51 00:04:25,132 --> 00:04:29,402 ⚟(光子)ごはんよ! はよ 下りてらっしゃい。 52 00:04:38,278 --> 00:04:44,151 あんねえ 2人とも少し こういうもんでも読んだら? 53 00:04:44,151 --> 00:04:54,427 ♬~ 54 00:04:54,427 --> 00:04:57,330 ⚟取った! ⚟(吟) ちょっと 年功序列って言葉知らんの!? 55 00:04:57,330 --> 00:05:01,902 ⚟何それ…。 「元始 女性は太陽であった」か。 56 00:05:01,902 --> 00:05:05,238 うちの太陽は やかましいのん フフフ。 57 00:05:05,238 --> 00:05:09,910 (光子)全く 毎日毎日…。 ⚟見たら 返すって! 58 00:05:09,910 --> 00:05:17,250 主よ この食卓を祝したまえ。 アーメン。 59 00:05:17,250 --> 00:05:19,186 (一同)アーメン。 60 00:05:19,186 --> 00:05:24,758 よし 食べようか。 頂きま~す。 (3人)頂きま~す! 61 00:05:24,758 --> 00:05:29,629 音の父 安隆は 元陸軍の獣医です。 62 00:05:29,629 --> 00:05:35,936 馬を診る医者だったせいか 馬のように優しい人でした。 63 00:05:35,936 --> 00:05:44,611 今は職人を抱え 陸軍に馬具 つまり 乗馬の道具を卸す仕事をしています。 64 00:05:44,611 --> 00:05:48,114 なるほど。 どうかや? あっ はい やってみます。 65 00:05:48,114 --> 00:05:50,050 (安隆)頼んだぞ。(職人たち)はい。 行ってきます! 66 00:05:50,050 --> 00:05:54,888 穏やかな父の影響か 音は生意気に…。 (せきばらい) 67 00:05:54,888 --> 00:06:00,227 もとい すくすくと自由に育ちました。 68 00:06:00,227 --> 00:06:05,899 (岩城)こら! ここは 女 子どもが入っていい場所じゃねえずら。 69 00:06:05,899 --> 00:06:10,737 職人頭の岩城。 音の天敵です。 70 00:06:10,737 --> 00:06:12,706 はい! 71 00:06:17,377 --> 00:06:22,582 音は 「女 子ども」という言葉が大嫌いでした。 72 00:06:22,582 --> 00:06:26,753 「男 子ども」って 誰も言わんのに。 73 00:06:26,753 --> 00:06:30,390 大正デモクラシー 華やかなりし頃とはいえ➡ 74 00:06:30,390 --> 00:06:34,928 まだまだ 封建的な風土が残っていたのです。 75 00:06:34,928 --> 00:06:39,399 (熊谷)最高学年恒例の学芸会が 来月行われる。 76 00:06:39,399 --> 00:06:43,270 ご父兄もお見えになる大切な行事だで 一生懸命 取り組むように。 77 00:06:43,270 --> 00:06:45,939 (児童たち)はい! その演目であるが➡ 78 00:06:45,939 --> 00:06:51,278 職員会議において 1組は「桃太郎」 2組は「猿蟹合戦」に決まった。 79 00:06:51,278 --> 00:06:53,280 で 我が組であるが…。 80 00:06:53,280 --> 00:06:56,416 熊谷先生! また お前か。 81 00:06:56,416 --> 00:07:00,887 あたしたちの演目 多数決で決めるのは どうですか? 82 00:07:00,887 --> 00:07:03,223 (熊谷)多数決? 83 00:07:03,223 --> 00:07:07,060 我が組は ただ一つの女子の組です。 84 00:07:07,060 --> 00:07:10,897 女子が輝ける出し物を やった方がいいと思います。 85 00:07:10,897 --> 00:07:14,768 いや ほいだがな もう職員会議で 「浦島太郎」って決めたで。 86 00:07:14,768 --> 00:07:16,770 (児童たち)ええ~っ…。 87 00:07:16,770 --> 00:07:22,075 あたし 女子の組の過去の出し物を ちょっと調べたんです。 88 00:07:22,075 --> 00:07:24,010 「かさじぞう」。 89 00:07:24,010 --> 00:07:25,945 「はなさかじいさん」。 90 00:07:25,945 --> 00:07:27,947 「おむすびころりん」。 91 00:07:27,947 --> 00:07:31,251 「したきりすずめ」。 「こぶとりじいさん」。 92 00:07:31,251 --> 00:07:35,121 ほとんど おじいさんの話です。 ひどくないですか? 93 00:07:35,121 --> 00:07:38,124 「浦島太郎」は若い男が主人公だぞ。 94 00:07:38,124 --> 00:07:40,260 最後は おじいさんです。 95 00:07:40,260 --> 00:07:42,595 竜宮の娘がいっぱい出るぞ。 96 00:07:42,595 --> 00:07:47,767 先生! 出し物をすんのは あたしら。 97 00:07:47,767 --> 00:07:50,270 あたしたちに決めさせてもらえませんか? 98 00:07:50,270 --> 00:07:53,173 賛成!賛成! 賛成! 99 00:07:53,173 --> 00:07:57,043 分かった 分かった。 ほいじゃあ 何がいいだ? 100 00:07:57,043 --> 00:08:03,216 先生… とっておきのがあります。 101 00:08:03,216 --> 00:08:06,519 女性が主役の物語。 102 00:08:09,556 --> 00:08:12,225 (小岩井) デモクラシーというやつかや?➡ 103 00:08:12,225 --> 00:08:16,229 最近の子どもは 変に知恵があって いけませんな~。 104 00:08:16,229 --> 00:08:18,898 すいません 教頭。 105 00:08:18,898 --> 00:08:22,602 誰が言いだしたんですか? これ。 106 00:08:24,571 --> 00:08:29,909 投票結果が出た時の先生の顔! 見せたかった~。 107 00:08:29,909 --> 00:08:33,380 (吟)どんな顔? こんな顔。(笑い声) 108 00:08:33,380 --> 00:08:42,756 関内家では 毎週木曜日 銭湯に行き だんご屋に立ち寄るのが習わしでした。 109 00:08:42,756 --> 00:08:45,258 お父さん やって。 こんな顔。 110 00:08:45,258 --> 00:08:47,260 (笑い声) 111 00:08:47,260 --> 00:08:50,397 あの堅物先生をやっつけるなんて さすが 音! 112 00:08:50,397 --> 00:08:53,266 吟 いいかげんにしなさい。 113 00:08:53,266 --> 00:08:56,770 お父さん お母さん 学芸会 見に来るでしょ? 114 00:08:56,770 --> 00:08:59,406 ああ! 絶対行く。 115 00:08:59,406 --> 00:09:02,308 そんで あんた 何やるか決まったの? 116 00:09:02,308 --> 00:09:05,211 うん。 多分 かぐや姫。 117 00:09:05,211 --> 00:09:07,213 ええっ?本当? お~! 118 00:09:07,213 --> 00:09:12,952 だって 友達みんな 「音しか おらん」って。 選ばれると思う。 119 00:09:12,952 --> 00:09:16,556 あんたに あんな おしとやかな役が できるわけないじゃん。 120 00:09:16,556 --> 00:09:19,893 できるもん! 121 00:09:19,893 --> 00:09:21,828 みたらし もう一本! 122 00:09:21,828 --> 00:09:26,533 ほほっ。 かぐや姫 太っとったら まずいんじゃない? 123 00:09:28,234 --> 00:09:31,137 …は やめた。 124 00:09:31,137 --> 00:09:34,574 (笑い声) 125 00:09:34,574 --> 00:09:54,961 ♬~ 126 00:09:54,961 --> 00:10:00,600 ちゃんと読んどった方がいいよ。 主役やるんなら。 127 00:10:00,600 --> 00:10:02,902 ありがとう! 128 00:10:21,421 --> 00:10:26,125 ご苦労さま。 お菓子 置いときますね。 129 00:10:26,125 --> 00:10:31,431 みつ。 音 忘れとらんか? 今日。 130 00:10:31,431 --> 00:10:35,235 はあ… それがね…。 131 00:10:41,174 --> 00:10:46,646 音! ハァ… ハァ…。 132 00:10:46,646 --> 00:10:51,150 どうした? 何かあったのか? 133 00:10:51,150 --> 00:10:57,323 選ばれんかった… かぐや姫。 134 00:10:57,323 --> 00:11:00,593 先生が 勝手に決めた。 135 00:11:00,593 --> 00:11:08,334 うん…。 で 音は何役だ? 136 00:11:08,334 --> 00:11:13,106 おじいさん その2。 おじいさん その2? 137 00:11:13,106 --> 00:11:15,942 おじいさん… フフフフ。 138 00:11:15,942 --> 00:11:17,877 ひどい! ハハッ ごめん ごめん。 139 00:11:17,877 --> 00:11:23,416 学校のみんなも あたしがいいって 言ってくれたんだよ。 140 00:11:23,416 --> 00:11:25,618 だから…。 141 00:11:32,158 --> 00:11:38,998 「今から 私の言う 世にも珍しい宝物を 持ってきた人のところへ➡ 142 00:11:38,998 --> 00:11:42,635 お嫁に行きます。➡ 143 00:11:42,635 --> 00:11:47,507 あなたは 仏の御石の鉢を。➡ 144 00:11:47,507 --> 00:11:52,312 そちらのあなたは蓬莱山にある玉の枝を」。 145 00:11:52,312 --> 00:11:57,150 (拍手) 146 00:11:57,150 --> 00:11:59,152 フフッ。 147 00:12:01,588 --> 00:12:09,095 せっかく 梅がくれた「竹取物語」 一生懸命 読んだのに。 148 00:12:11,931 --> 00:12:14,767 おじいさんの役は嫌か? 149 00:12:14,767 --> 00:12:19,405 嫌だよ! だって 「これは なんと かわいい子じゃ」って➡ 150 00:12:19,405 --> 00:12:21,941 それだけだよ セリフ。 151 00:12:21,941 --> 00:12:24,777 それ かぐや姫 関係ないじゃん。 152 00:12:24,777 --> 00:12:26,813 桃太郎でも使えるよ。 153 00:12:26,813 --> 00:12:29,949 フフッ。 そうだな。 154 00:12:29,949 --> 00:12:32,986 ほいでも 音が かぐや姫だったら➡ 155 00:12:32,986 --> 00:12:37,690 おじいさん役は 誰か ほかの人がやるんだよな? 156 00:12:37,690 --> 00:12:43,296 その人が嫌々演じとったら どう思う? 157 00:12:43,296 --> 00:12:45,298 「ちゃんとして」って思う。 158 00:12:45,298 --> 00:12:52,305 だろ? 人には みんな役割がある。 159 00:12:52,305 --> 00:12:59,812 誰もが主役をやれるわけじゃない。 だけど 主役だけでも お芝居はできん。 160 00:12:59,812 --> 00:13:05,585 必ず それを支える人がいるんだ。 161 00:13:05,585 --> 00:13:10,456 そんでも… あたしは…。 162 00:13:10,456 --> 00:13:12,759 今回は残念だった。 163 00:13:12,759 --> 00:13:19,265 だけど 何の役だろうと お父さん 楽しみだよ。 164 00:13:19,265 --> 00:13:22,602 うそばっか。本当。 (笑い声) 165 00:13:22,602 --> 00:13:24,937 あっ…。 166 00:13:24,937 --> 00:13:27,774 はっ! もう こんな時間だ! 167 00:13:27,774 --> 00:13:29,709 ほら。 168 00:13:29,709 --> 00:13:31,911 あ~! あ~! 169 00:13:33,579 --> 00:13:39,118 音は 教会で 琴の演奏を披露する予定だったのです。 170 00:13:39,118 --> 00:13:41,954 ほら 頑張れ 頑張れ! もう着いたで。 171 00:13:41,954 --> 00:13:43,956 よいしょ…。 172 00:13:50,963 --> 00:13:54,267 駆け込んだ その時でした。 173 00:14:12,585 --> 00:14:19,926 そこにいたのは 世界的なオペラ歌手 双浦 環でした。 174 00:14:19,926 --> 00:14:47,954 ♬~ 175 00:14:47,954 --> 00:14:54,761 それは 生涯忘れることのない瞬間でした。