1 00:00:06,940 --> 00:00:10,410 (楠田)裕一 何かあったか? 2 00:00:10,410 --> 00:00:12,412 (裕一)別に。 3 00:00:15,949 --> 00:00:19,753 譜面の確認 終わりました。 (舘林)ありがとう。 4 00:00:23,123 --> 00:00:27,427 どうした? 裕一が… 何か変です。 5 00:00:27,427 --> 00:00:30,330 いつも 変だよ。 そうだよ。 6 00:00:30,330 --> 00:00:37,437 違うんです。 いつもの変とは違う… 変なんです。 7 00:00:37,437 --> 00:00:41,441 ⚟そろそろ 時間です。 ご用意願います。 8 00:00:53,453 --> 00:00:55,389 (幕が開く音) 9 00:00:55,389 --> 00:01:07,701 (拍手) 10 00:01:12,806 --> 00:01:34,628 ♬~ 11 00:01:34,628 --> 00:01:39,433 (三郎)おめえ 音楽好きか? 12 00:01:39,433 --> 00:01:42,302 何? どしたの? 13 00:01:42,302 --> 00:01:49,810 (三郎)好きだよな。 好きなもんが あるっつうのは幸せなことだ。 14 00:01:49,810 --> 00:01:55,983 俺は 兄ちゃんが2人死んで この家を継ぐごとになった。 15 00:01:55,983 --> 00:02:01,989 別に不満でもねえ。 好きなもん 俺には ねがったからな。 16 00:02:09,529 --> 00:02:14,935 藤堂先生 覚えてっか? う… うん。 17 00:02:14,935 --> 00:02:19,773 先生 おめえを いっぺえ褒めでた。 18 00:02:19,773 --> 00:02:23,643 (藤堂)裕一君には 類いまれな音楽の才能があります。 19 00:02:23,643 --> 00:02:28,281 おめえが初めて人に褒められて 俺は うれしくて うれしくて…。 20 00:02:28,281 --> 00:02:33,954 ねえ… な… 何なの? さっきから。 21 00:02:33,954 --> 00:02:38,258 俺… やっちまったんだ。 22 00:02:41,628 --> 00:02:47,134 俺の悪い癖だ… つい 人を信用しちまう。 23 00:02:53,974 --> 00:03:00,147 ♬~ 24 00:03:00,147 --> 00:03:05,585 ♬「泣いて 生まれて 響く命」 25 00:03:05,585 --> 00:03:11,091 ♬「きっと嬉しくて 笑っているんだ」 26 00:03:11,091 --> 00:03:16,763 ♬「僕らはきっと 出逢うでしょう」 27 00:03:16,763 --> 00:03:22,636 ♬「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」 28 00:03:22,636 --> 00:03:30,777 ♬「きっといつか今日の日も 意味を持って ほら」 29 00:03:30,777 --> 00:03:34,414 ♬「耳をすませば」 30 00:03:34,414 --> 00:03:40,120 ♬「星の見えない日々を 超えるたびに」 31 00:03:40,120 --> 00:03:45,792 ♬「互い照らすその意味を 知るのでしょう」 32 00:03:45,792 --> 00:03:48,829 ♬「愛する人よ」 33 00:03:48,829 --> 00:03:51,665 ♬「親愛なる友よ」 34 00:03:51,665 --> 00:03:59,673 ♬「遠くまで 響くはエール」 35 00:04:01,742 --> 00:04:13,920 ♬~ 36 00:04:13,920 --> 00:04:21,261 (拍手) 37 00:04:21,261 --> 00:04:27,134 続いては 我が倶楽部で初めて作った曲を 演奏します。 38 00:04:27,134 --> 00:04:33,273 作曲をしたのは まだ商業学校生の古山裕一君です。 39 00:04:33,273 --> 00:04:42,949 (拍手) 40 00:04:42,949 --> 00:04:48,421 (舘林)彼は 独学で作曲の勉強をした努力家です。➡ 41 00:04:48,421 --> 00:04:54,628 是非 彼のほとばしる熱意のほどを お聴き取り下さい。 42 00:04:54,628 --> 00:04:59,800 じゃあ 古山君 指揮を。 えっ? 43 00:04:59,800 --> 00:05:03,570 君の曲だ。 君がやるべきだ。 44 00:05:03,570 --> 00:05:07,908 (拍手) 45 00:05:07,908 --> 00:05:09,910 はい。 46 00:05:15,382 --> 00:05:19,753 お… 覚えてる? 47 00:05:19,753 --> 00:05:26,626 運動会で転んだ時のこと。 48 00:05:26,626 --> 00:05:34,267 あの時… 音楽って すごいなって。 49 00:05:34,267 --> 00:05:40,073 いじめられっ子で 根性のない僕にでも➡ 50 00:05:40,073 --> 00:05:45,278 音楽は 力 与えてくれんだって 知ったんだ。 51 00:05:48,615 --> 00:05:52,319 ど… どうにもなんないんだよね? 52 00:05:56,957 --> 00:06:03,563 母さん… 母さん 何て言ってんの? 53 00:06:03,563 --> 00:06:09,436 茂兵衛伯父さんと 喜多一を 救ってほしいと願ってる。 54 00:06:09,436 --> 00:06:14,908 も… 茂兵衛伯父さん 僕でいいって言ってんの? 55 00:06:14,908 --> 00:06:19,246 僕… 何もできないよ? 56 00:06:19,246 --> 00:06:27,387 代々続く家だ。 他人が家を継ぐことは許せねえ。 57 00:06:27,387 --> 00:06:32,926 その気持ち 俺にも分がる。 58 00:06:32,926 --> 00:06:37,397 喜多一を… おめえでも浩二でもなく➡ 59 00:06:37,397 --> 00:06:42,902 赤の他人に継がせるって考えっと 嫌なもんだ! 60 00:06:58,285 --> 00:07:18,905 ♬~ 61 00:07:18,905 --> 00:07:23,777 家族にとって…➡ 62 00:07:23,777 --> 00:07:30,083 僕が養子に行くことが… 一番いいんだよね? 63 00:07:30,083 --> 00:07:36,756 ちっとだけだ。 ここ ふんばれば また新しい可能性も見えてくる。 64 00:07:36,756 --> 00:07:38,692 どんな? 65 00:07:38,692 --> 00:07:53,940 ♬~ 66 00:07:53,940 --> 00:07:56,142 分がった。 67 00:07:58,812 --> 00:08:03,016 今度の公演で最後にする。 68 00:08:06,886 --> 00:08:11,358 こんなこと言うのも 何だけど…➡ 69 00:08:11,358 --> 00:08:13,560 諦めんなよ。 70 00:08:15,228 --> 00:08:20,100 残酷だよ… 父さん。 71 00:08:20,100 --> 00:09:44,584 ♬~ 72 00:09:44,584 --> 00:10:18,284 (拍手) 73 00:10:20,286 --> 00:10:25,425 ♬~ 74 00:10:25,425 --> 00:10:34,134 公演終了後 裕一は倶楽部を辞めると伝え みんなに謝りました。 75 00:10:39,305 --> 00:10:45,178 その後は 淡々と学校生活を送り➡ 76 00:10:45,178 --> 00:10:51,017 茂兵衛伯父さんの銀行からの融資で 喜多一は急場をしのぎ…。 77 00:10:51,017 --> 00:10:55,755 しっかし 味気ねえな~。 78 00:10:55,755 --> 00:10:59,559 ただ 時は過ぎていきました。 79 00:11:01,928 --> 00:11:06,733 そして 旅立ちの日の前日。 80 00:11:08,801 --> 00:11:14,641 (浩二)兄ちゃん いい? うん? どした? 81 00:11:14,641 --> 00:11:21,347 明日 見送れねえからさ お別れ 言いに来た。 82 00:11:23,783 --> 00:11:27,954 何だ… 珍しく感傷的だな。 83 00:11:27,954 --> 00:11:32,625 だって 兄弟の別れだろ? 84 00:11:32,625 --> 00:11:41,134 意外。 もっと淡泊なやつだと思ってた。 85 00:11:42,802 --> 00:11:50,810 俺 逆に… 兄ちゃんのこと もっと感傷的な人間だと思ってたけどね。 86 00:11:55,148 --> 00:12:00,119 蓄音機 どうする? 持ってぐ? 87 00:12:00,119 --> 00:12:06,793 あ… あれ お前 もらったもんだろ。 そうだけど…。 88 00:12:06,793 --> 00:12:10,096 お 俺… 音楽聴く気はねえし➡ 89 00:12:10,096 --> 00:12:12,599 実質 兄ちゃんのもんだったし 持ってけよ。 90 00:12:12,599 --> 00:12:14,601 いいって! 91 00:12:17,770 --> 00:12:19,973 ごめん…。 92 00:12:23,409 --> 00:12:25,612 なあ…。 93 00:12:30,183 --> 00:12:37,290 家族と店… 頼むぞ。 94 00:12:37,290 --> 00:12:39,292 うん。 95 00:12:39,292 --> 00:12:43,596 兄ちゃん ありがとう。 96 00:12:52,839 --> 00:12:56,976 汽車で1時間だよ。 みんな並んで 大げさ。 97 00:12:56,976 --> 00:13:01,814 (まさ)荷物 銀行に送っておいたから。 あ… ありがとう。 98 00:13:01,814 --> 00:13:07,920 伯父さんと一緒に住むのは 息 詰まっから 銀行に住み込みでよかった。 99 00:13:07,920 --> 00:13:14,594 父さん… 俺 もう大丈夫だから 気にしないで。 100 00:13:14,594 --> 00:13:20,600 申し訳ねえ。 つれえことあったら いつでも帰ってこいよ。 101 00:13:22,769 --> 00:13:25,672 ありがとう。 皆さんも お世話になりました。 102 00:13:25,672 --> 00:13:27,640 行ってきます。 103 00:13:27,640 --> 00:13:32,278 (大河原)行ってらっしゃい… 坊ちゃん 風邪ひかねえようにね。 うん。 104 00:13:32,278 --> 00:14:05,578 ♬~ 105 00:14:13,252 --> 00:14:15,922 (まさ)「見ると辛いだろうけど➡ 106 00:14:15,922 --> 00:14:18,257 辛いとき支えてくれるのは➡ 107 00:14:18,257 --> 00:14:22,261 音楽だと思うから。 母より」。 108 00:14:33,806 --> 00:14:38,945 (落合)あ~ 初めまして! 支店長の落合です。 109 00:14:38,945 --> 00:14:41,414 (鈴木)行員歴15年の鈴木です。 110 00:14:41,414 --> 00:14:43,783 (松坂)2年目の松坂です。 111 00:14:43,783 --> 00:14:48,955 (昌子)事務の菊池昌子です。 よろしく~。 112 00:14:48,955 --> 00:14:55,261 そこで働く人たちは皆 底抜けに明るかったのです。