1 00:00:02,202 --> 00:00:05,105 (あくび) 2 00:00:05,105 --> 00:00:08,408 (潔子)音さん 今日も眠そうね。 3 00:00:08,408 --> 00:00:10,944 (和子)また カフェーの仕事で夜更かし? 4 00:00:10,944 --> 00:00:14,781 (音)ううん。 昨日は 主人の友達が泊まりに来てて➡ 5 00:00:14,781 --> 00:00:16,717 酔って暴れて 大変だったの。 6 00:00:16,717 --> 00:00:19,953 (鉄男) 最低だ! 俺が グズグズしてっから➡ 7 00:00:19,953 --> 00:00:21,989 希穂子に見限られたんだ! (裕一)お帰り。 8 00:00:21,989 --> 00:00:25,826 大将…。 ああ~ 希穂子~! 9 00:00:25,826 --> 00:00:31,298 えっ 主人? 今 主人って言った? 10 00:00:31,298 --> 00:00:36,803 うん。 まさか 音さん 結婚してるの? 11 00:00:36,803 --> 00:00:39,640 うん。 言ってなかったっけ? 聞いてない! 12 00:00:39,640 --> 00:00:44,311 うそでしょ? えっ? 人妻で 学生で➡ 13 00:00:44,311 --> 00:00:48,148 カフェーの女給ってこと? カフェーは 今日で終わりだけどね。 14 00:00:48,148 --> 00:00:51,952 楽しかったよ。 すごく勉強になった。 15 00:00:54,655 --> 00:00:56,957 ああ…。 16 00:01:02,262 --> 00:01:08,402 ♬~ 17 00:01:08,402 --> 00:01:13,941 ♬「泣いて 生まれて 響く命」 18 00:01:13,941 --> 00:01:19,413 ♬「きっと嬉しくて 笑っているんだ」 19 00:01:19,413 --> 00:01:24,952 ♬「僕らはきっと 出逢うでしょう」 20 00:01:24,952 --> 00:01:31,124 ♬「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」 21 00:01:31,124 --> 00:01:38,999 ♬「きっといつか今日の日も 意味を持って ほら」 22 00:01:38,999 --> 00:01:42,736 ♬「耳をすませば」 23 00:01:42,736 --> 00:01:48,442 ♬「星の見えない日々を 超えるたびに」 24 00:01:48,442 --> 00:01:54,147 ♬「互い照らすその意味を 知るのでしょう」 25 00:01:54,147 --> 00:01:57,184 ♬「愛する人よ」 26 00:01:57,184 --> 00:01:59,953 ♬「親愛なる友よ」 27 00:01:59,953 --> 00:02:08,261 ♬「遠くまで 響くはエール」 28 00:02:11,098 --> 00:02:17,604 (千鶴子)最終選考まで あと少しなのよ。 必死で練習するのが普通じゃないの? 29 00:02:21,608 --> 00:02:24,611 私だって必死だよ。 30 00:02:27,280 --> 00:02:32,586 そういうの… 必死って言えるのかしら? 31 00:02:34,154 --> 00:02:42,295 私はね 子どもの頃から 音楽のために全てを犠牲にしてきたの。 32 00:02:42,295 --> 00:02:46,299 なのに あなたは…➡ 33 00:02:46,299 --> 00:02:51,438 音楽も 家庭も 友達も 恋愛も➡ 34 00:02:51,438 --> 00:02:54,641 何でも欲しがって 手を伸ばす。 35 00:02:54,641 --> 00:03:00,147 あなたみたいな強欲な人に 私は負けるわけにはいかないの。 36 00:03:01,748 --> 00:03:04,384 強欲? 37 00:03:04,384 --> 00:03:10,757 私は… 私の全てを懸けて➡ 38 00:03:10,757 --> 00:03:13,960 ヴィオレッタを勝ち取ってみせるから。 39 00:03:18,498 --> 00:03:21,268 (恵)は~い どうぞ。 ありがとうございます。 40 00:03:21,268 --> 00:03:23,203 あっ トーストを2つ。 (恵)うん。 41 00:03:23,203 --> 00:03:27,074 ホットケーキも つけていいぞ。 ここは 俺が持つ。 42 00:03:27,074 --> 00:03:29,376 じゃあ…。 (恵)フフッ。 43 00:03:31,278 --> 00:03:34,114 顔がいい人は 言うことも かっこいいわね。 44 00:03:34,114 --> 00:03:37,784 (保)顔がいいから かっこよく聞こえるんじゃないか? 45 00:03:37,784 --> 00:03:40,620 昨日は 本当に悪がった。 46 00:03:40,620 --> 00:03:44,124 いやいや… みんな いろいろあるよ。 47 00:03:47,394 --> 00:03:51,264 会社は何時からなんだ? ああ… 出勤時間は自由だから。 48 00:03:51,264 --> 00:03:55,168 大御所になると出社しない人もいる。 へえ~ そういうもんなのか。 49 00:03:55,168 --> 00:03:59,439 うん。 …で どうなんだ? 仕事の方は。 50 00:03:59,439 --> 00:04:01,742 うん…。 「紺碧の空」のおかげで➡ 51 00:04:01,742 --> 00:04:05,579 評価 上がったんじゃねえか? 52 00:04:05,579 --> 00:04:07,914 そうでもないよ。 53 00:04:07,914 --> 00:04:14,254 この前ね 地方小唄の話あったんだけど… うまいこといかなかった。 54 00:04:14,254 --> 00:04:17,257 地方小唄? うん…。 55 00:04:20,127 --> 00:04:25,599 (吟)人妻が カフェーの女給って あんた 何考えとんの? 56 00:04:25,599 --> 00:04:28,635 お母さんとか梅には言わんでよ。 めんどくさいから。 57 00:04:28,635 --> 00:04:32,939 言うに決まっとるじゃん。 こんな面白い話ないわ。 58 00:04:32,939 --> 00:04:36,409 お姉ちゃんは どうなっとんの? 結婚の準備。 59 00:04:36,409 --> 00:04:39,779 式の日取りが決まったとこ。 60 00:04:39,779 --> 00:04:45,418 最近 気付いたんだけど うちの人 何だかんだで亭主関白なんだわ。 61 00:04:45,418 --> 00:04:48,121 裕一さんは いい旦那様よね。 62 00:04:48,121 --> 00:04:51,825 何でも あんたの好きにさせてくれて。 63 00:04:55,796 --> 00:04:59,666 お姉ちゃん…。 64 00:04:59,666 --> 00:05:01,601 私って 強欲? 65 00:05:01,601 --> 00:05:05,605 やだ… 今頃 気付いたの? 66 00:05:05,605 --> 00:05:10,744 やっぱ そうなんだ。 それが あんたのいいところじゃんか! 67 00:05:10,744 --> 00:05:13,580 人間 欲がなくなったら おしまいよ。 68 00:05:13,580 --> 00:05:16,583 強欲上等! 69 00:05:20,353 --> 00:05:25,192 強欲上等…。 70 00:05:25,192 --> 00:05:27,260 そっか…。 71 00:05:27,260 --> 00:05:30,597 あっ! ちょっと それ 高かったんだから やめてよ! 72 00:05:30,597 --> 00:05:33,400 いいじゃん ちょっとくらい…。 ちょっと… 本当駄目…。 73 00:05:33,400 --> 00:05:36,102 かわいい! やめりん やめりん! 74 00:05:39,105 --> 00:05:42,909 ああ… もう こんな減って…。 75 00:05:46,846 --> 00:05:50,550 (ノック) どうぞ~。 76 00:05:52,953 --> 00:05:55,989 あっ…。 (希穂子)音江さん。 77 00:05:55,989 --> 00:05:58,758 ゆうべは お騒がせして ごめんなさいね。 78 00:05:58,758 --> 00:06:02,963 いえいえ… あの…。 (ノック) 79 00:06:05,065 --> 00:06:10,237 (ママ)音江ちゃん いよいよ最終日ね。 はい。 80 00:06:10,237 --> 00:06:14,241 一週間 お世話になりました。 81 00:06:14,241 --> 00:06:18,745 残念だわ…。 あなた 鍛えれば 一流になれそうなのに。 82 00:06:18,745 --> 00:06:21,381 えっ? 怒られてばかりでしたけど…。 83 00:06:21,381 --> 00:06:24,251 見込みがあるから怒られたんじゃない? 84 00:06:24,251 --> 00:06:27,087 さすが希穂子ちゃん そのとおりよ。 85 00:06:27,087 --> 00:06:31,758 それぐらい 言われなくても察しなさい。 ここで 何 勉強したのよ。 86 00:06:31,758 --> 00:06:33,793 すいません。 フフフフ…。 87 00:06:33,793 --> 00:06:36,596 ⚟(ボーイ)困るんですよ。 出てって下さい。 ⚟(鉄男)少しでいいですから。 88 00:06:36,596 --> 00:06:38,531 ⚟(ボーイ)出てけって言ってんだよ。 ⚟(鉄男)お願いします! 89 00:06:38,531 --> 00:06:42,769 (愛子)ママ 大変です! この前の人が…。 ⚟(鉄男)話すだけですから。 90 00:06:42,769 --> 00:06:44,704 (鉄男)何でですか! (ボーイ)出てけよ! 91 00:06:44,704 --> 00:06:46,640 別にいいでしょ 話すくらい! 出てけって言ってんだよ。 92 00:06:46,640 --> 00:06:50,277 少しですから お願いします! 無理なんだよ。 93 00:06:50,277 --> 00:06:54,781 希穂子…。 94 00:06:54,781 --> 00:07:01,788 ちゃんと話がしてえ。 少しでいいから時間くれねえか? 95 00:07:08,061 --> 00:07:10,897 お引き取り下さい。 96 00:07:10,897 --> 00:07:17,237 希穂子…。 分からない? 迷惑してるの。 97 00:07:17,237 --> 00:07:20,140 本当のことを言いますね。 98 00:07:20,140 --> 00:07:25,578 福島を離れたのは あなたが重荷になったからです。 99 00:07:25,578 --> 00:07:28,281 勘違いされて困ってたの。 100 00:07:36,923 --> 00:07:39,225 お帰り下さい。 101 00:07:49,502 --> 00:08:08,722 ♬~ 102 00:08:08,722 --> 00:08:10,657 (ドアが開く音) 103 00:08:10,657 --> 00:08:29,909 ♬~ 104 00:08:29,909 --> 00:08:37,717 恋愛の機微を目の当たりにした 音のカフェー勤務最終日でした。 105 00:08:40,920 --> 00:08:44,591 (久志)どうぞ。 よいしょ… はい 出来たよ。 106 00:08:44,591 --> 00:08:51,765 (久志)おっ! おいしそうだ。 鉄男君 頂こうよ。 107 00:08:51,765 --> 00:08:55,268 ほら! 大将 ほら… 食べよう ほら! 108 00:08:59,272 --> 00:09:03,043 まあまあ…。 ああ… ありがとうね。 飲もう 飲もう。 109 00:09:03,043 --> 00:09:08,214 おっ… そうだ! あの時も おめえが一番に逃げたんだ。 110 00:09:08,214 --> 00:09:11,217 覚えてないな。 いや 久志の逃げ足の速さはね➡ 111 00:09:11,217 --> 00:09:14,554 学校… いやいや 宇宙一だよ! 112 00:09:14,554 --> 00:09:17,457 危機対応能力にたけていると 言ってほしいね。 113 00:09:17,457 --> 00:09:19,726 あの先生 怖かったけどさ➡ 114 00:09:19,726 --> 00:09:23,229 4年の時 藤堂先生になってくれたの うれしかったな~! 115 00:09:23,229 --> 00:09:26,900 ああ… 藤堂先生には頭が上がんねえ。 116 00:09:26,900 --> 00:09:29,569 懐かしいね~。 117 00:09:29,569 --> 00:09:34,441 いいもんだね ふるさとの友達と飲むのは。 うん! 118 00:09:34,441 --> 00:09:39,245 裕一が鉄男君を東京に呼ぼうって 言いだした時は さすがに驚いたけどね。 119 00:09:39,245 --> 00:09:43,917 あっ ごめん ごめん。 あの時はね もう本当に舞い上がってました。 120 00:09:43,917 --> 00:09:49,722 いや… うれしかったよ。 ここ最近 詩 書くことなんて忘れてたから。 121 00:09:49,722 --> 00:09:52,258 いや… しかたないよ。 仕事だってあるしね。 122 00:09:52,258 --> 00:09:56,596 実は… 書いてみたんだ。 123 00:09:56,596 --> 00:09:59,499 えっ? 124 00:09:59,499 --> 00:10:04,704 歌詞書いたの!? えっ? み み… 見せて 見せて! えっ? 125 00:10:07,106 --> 00:10:13,813 「福島行進曲」。 俺なりの福島を書いてみた。 126 00:10:16,616 --> 00:10:21,421 いい… すごくいい。 127 00:10:21,421 --> 00:10:25,125 す… すごくいいよ これ! ねっ? ああ いいよ! 128 00:10:25,125 --> 00:10:28,328 恋の歌だな。 ああ。 129 00:10:30,630 --> 00:10:34,434 「紺碧の空」書いた時ね➡ 130 00:10:34,434 --> 00:10:39,272 歌詞に共感するって すっごく すっごく 大事なんだって分かったんだよ。 131 00:10:39,272 --> 00:10:44,811 こういう… こういう… 心に グッて グッて来る➡ 132 00:10:44,811 --> 00:10:49,682 こういうの ずっと待ってた! 133 00:10:49,682 --> 00:10:54,521 僕ね… 福島捨てて ここに来たんだ。 134 00:10:54,521 --> 00:10:58,992 でも… 忘れたことは一度もない! 135 00:10:58,992 --> 00:11:02,862 大将が思い乗せた この歌詞で➡ 136 00:11:02,862 --> 00:11:07,066 もう一度… もう一度 ちゃんと福島と向かい合いたい! 137 00:11:09,102 --> 00:11:14,607 大将 いや… 鉄男。 138 00:11:14,607 --> 00:11:20,914 僕に… この詩で… この詩に曲をつけさせてくれ! 139 00:11:24,284 --> 00:11:28,788 分がった。 いい曲つけてくれよ! 140 00:11:30,623 --> 00:11:34,494 ありがとう! ありがとう…。 141 00:11:34,494 --> 00:11:39,632 久志 歌ってくれるよな? 142 00:11:39,632 --> 00:11:42,302 僕以外… いるの? 143 00:11:42,302 --> 00:11:45,305 クッ フフフ…。 144 00:11:48,641 --> 00:11:52,979 んん…。 145 00:11:52,979 --> 00:12:01,988 (いびき) 146 00:12:23,943 --> 00:12:25,979 (廿日市)「福島行進曲」。 147 00:12:25,979 --> 00:12:29,115 はい。 地元で新聞記者やってる 友人が書きまして…。 148 00:12:29,115 --> 00:12:32,952 あっ もともと 作詞家志望で かなり才能のある男なんです。 149 00:12:32,952 --> 00:12:34,887 (廿日市)ふ~ん…。 150 00:12:34,887 --> 00:12:39,425 歌い手は 今 東京帝国音楽学校で 声楽の勉強してる 僕の友人➡ 151 00:12:39,425 --> 00:12:42,795 佐藤久志に頼もうかなって…。 ちょっと黙ってて。 152 00:12:42,795 --> 00:12:44,831 あっ はい。 す… すいません。 153 00:12:44,831 --> 00:12:47,634 そうねえ…。 154 00:12:47,634 --> 00:12:51,304 (杉山)私は とてもいい曲だと思いますが。 155 00:12:51,304 --> 00:12:53,239 えっ そう? 156 00:12:53,239 --> 00:12:57,110 横浜の地方小唄の話は 結局 流れてしまいましたし➡ 157 00:12:57,110 --> 00:12:59,812 ほかのレコード会社が まだ目をつけていない➡ 158 00:12:59,812 --> 00:13:03,783 東北方面の地方小唄なら 話題にもなりやすいかと。 159 00:13:03,783 --> 00:13:07,487 あっ そう… じゃあ これで作ってみようか。 160 00:13:09,489 --> 00:13:11,924 えっ? 161 00:13:11,924 --> 00:13:18,431 こうして 裕一の初めてのレコードが 吹き込まれることになりました。 162 00:13:24,103 --> 00:13:28,274 あっ… 今日は よろしくお願いします。 よろしくお願いします。 163 00:13:28,274 --> 00:13:30,576 スタジオへ ご案内します。 164 00:13:35,615 --> 00:13:42,488 ただし 歌うのは久志ではなく 廿日市が連れてきた女性歌手。 165 00:13:42,488 --> 00:13:47,794 無名の学生を いきなり起用するのは さすがに難しかったようです。 166 00:13:47,794 --> 00:13:50,096 (小田)いつでも始められるよ。 167 00:13:55,435 --> 00:13:57,437 では…。 168 00:14:03,576 --> 00:14:46,285 ♬~ 169 00:14:46,285 --> 00:14:54,594 上京して2年 ついに裕一は プロの作曲家デビューを果たしたのです。