1 00:00:05,980 --> 00:00:10,310 (桑田) おっ! お客さんかな? いらっしゃ…。 2 00:00:10,310 --> 00:00:14,180 (三郎)バカ。 あの格好。➡ 3 00:00:14,180 --> 00:00:17,520 うちの絹買う人間に見えっか? (桑田)ああ…。 4 00:00:17,520 --> 00:00:20,020 (三郎) おおかた 怪しいもん売りに来た輩だ。 5 00:00:20,020 --> 00:00:22,860 ああ…。 俺が 追っ払ってやっから。 6 00:00:22,860 --> 00:00:24,860 (藤堂)あの~…。 7 00:00:27,330 --> 00:00:33,200 高いよ~ うちは。 8 00:00:33,200 --> 00:00:35,210 えっ? 9 00:00:35,210 --> 00:00:43,780 そちらの手が出るようなもんは 置いでねえがら…。 10 00:00:43,780 --> 00:00:49,590 よそ行って… よそさ…。 11 00:00:49,590 --> 00:00:55,430 古山裕一君の家は こちらで間違いないですか? 12 00:00:55,430 --> 00:00:58,230 誰? あんた。 13 00:00:58,230 --> 00:01:04,170 ♬~ 14 00:01:04,170 --> 00:01:09,870 ♬「泣いて 生まれて 響く命」 15 00:01:09,870 --> 00:01:15,310 ♬「きっと嬉しくて 笑っているんだ」 16 00:01:15,310 --> 00:01:20,850 ♬「僕らはきっと 出逢うでしょう」 17 00:01:20,850 --> 00:01:27,020 ♬「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」 18 00:01:27,020 --> 00:01:34,900 ♬「きっといつか今日の日も 意味を持って ほら」 19 00:01:34,900 --> 00:01:38,640 ♬「耳をすませば」 20 00:01:38,640 --> 00:01:44,340 ♬「星の見えない日々を 超えるたびに」 21 00:01:44,340 --> 00:01:50,050 ♬「互い照らすその意味を 知るのでしょう」 22 00:01:50,050 --> 00:01:53,080 ♬「愛する人よ」 23 00:01:53,080 --> 00:01:56,220 ♬「親愛なる友よ」 24 00:01:56,220 --> 00:02:04,020 ♬「遠くまで 響くはエール」 25 00:02:06,030 --> 00:02:10,300 (まさ)この人 おっちょこちょいなんです。 26 00:02:10,300 --> 00:02:12,370 人を見かけで判断しちゃいけねえな。 27 00:02:12,370 --> 00:02:15,170 バカ! それが失礼なの。 28 00:02:15,170 --> 00:02:17,670 (三郎)あ~ そうか。 29 00:02:20,040 --> 00:02:25,780 あの… あの子 まだ 帰ってきてないのですが。 30 00:02:25,780 --> 00:02:28,320 いえ いなくても。 31 00:02:28,320 --> 00:02:32,820 ともかく ご両親に伝えたくて。 32 00:02:34,520 --> 00:02:38,190 裕一君の才能についてです。 33 00:02:38,190 --> 00:02:40,860 才能? 34 00:02:40,860 --> 00:02:47,540 あっ… 何だ てっきり 言葉のことかと。 35 00:02:47,540 --> 00:02:50,440 いつごろから あるのですか? 36 00:02:50,440 --> 00:02:56,250 弟の浩二が生まれた日に この人が買ってきたんです。 37 00:02:56,250 --> 00:03:00,820 裕一が生まれた時には 使いもしないレジスター買ってきて…。 38 00:03:00,820 --> 00:03:03,290 これで商売 頑張っぞ! 39 00:03:03,290 --> 00:03:06,160 いてっ! いててて いてて…。 40 00:03:06,160 --> 00:03:10,830 毎度毎度 お産の最中に… 意味が分かりません。 41 00:03:10,830 --> 00:03:17,700 いや… すばらしい行いでした お父さん。 (2人)へっ? 42 00:03:17,700 --> 00:03:22,010 裕一君には 類いまれな音楽の才能があります。 43 00:03:22,010 --> 00:03:28,780 間違いありません。 蓄音機は すばらしい買い物でした。 44 00:03:28,780 --> 00:03:34,520 へ… へえ~。 そ… そうですか! 45 00:03:34,520 --> 00:03:38,860 ほれみろ! 意味分からねえとか言いやがって。 46 00:03:38,860 --> 00:03:43,190 あっ 先生 一曲どうですか? 何がいいです? 47 00:03:43,190 --> 00:03:47,200 あっ…。 浪曲? 民謡? 西洋音楽もありますよ。 48 00:03:47,200 --> 00:03:51,700 (裕一)ただいま! おっ お帰り。 お帰り。 49 00:03:51,700 --> 00:03:55,340 あっ あれ? せ… 先生 どうしたの? 50 00:03:55,340 --> 00:04:02,110 古山 前に聞いたよな? 得意なものは何かって。 51 00:04:02,110 --> 00:04:04,480 はい。 52 00:04:04,480 --> 00:04:08,820 見つかったんじゃないか? えっ? 53 00:04:08,820 --> 00:04:13,690 人より ほんの少し 努力するのがつらくなくて➡ 54 00:04:13,690 --> 00:04:21,300 ほんの少し簡単にできること それが お前の得意なもんだ。 55 00:04:21,300 --> 00:04:27,500 それが見つかれば しがみつけ。 必ず 道は開く。 56 00:04:27,500 --> 00:04:29,440 はい! 57 00:04:29,440 --> 00:04:58,570 ♬~ 58 00:04:58,570 --> 00:05:01,270 あなた? 59 00:05:01,270 --> 00:05:04,640 うれしいもんだな。 60 00:05:04,640 --> 00:05:10,440 初めてだな あいつが褒められたの。 61 00:05:14,350 --> 00:05:19,160 飲むか? 今夜は。 62 00:05:19,160 --> 00:05:21,160 はい。 63 00:05:23,030 --> 00:05:27,530 裕一の学校生活は一変しました。 64 00:05:30,170 --> 00:05:32,170 よし…。 65 00:05:34,000 --> 00:05:38,310 ♬~ 66 00:05:38,310 --> 00:05:42,510 ♬「ながるるみづは」 67 00:05:42,510 --> 00:05:46,380 裕一の才能は 学校中のうわさとなり➡ 68 00:05:46,380 --> 00:05:53,160 放課後には 自分の詩に曲をつけてくれと 生徒が集まるようになりました。 69 00:05:53,160 --> 00:05:55,190 調子に乗った…➡ 70 00:05:55,190 --> 00:05:58,530 いや 気分の乗った裕一は➡ 71 00:05:58,530 --> 00:06:04,800 藤堂先生の勧めで ハーモニカ部にも入りました。 72 00:06:04,800 --> 00:06:10,970 ♬~ 73 00:06:10,970 --> 00:06:14,640 君… いつも突然いるね。 74 00:06:14,640 --> 00:06:19,140 (久志)存在感はあるのに 気配を消すのは得意なんだ。 75 00:06:21,280 --> 00:06:23,820 伝わらないならいいや。 76 00:06:23,820 --> 00:06:26,290 君 気を付けろよ。 77 00:06:26,290 --> 00:06:31,130 急に人気者になったからな 妬むやつはいるぜ。 78 00:06:31,130 --> 00:06:35,970 俺には分かる。 俺も いろいろ妬まれてきたから。 79 00:06:35,970 --> 00:06:41,170 家柄とか… お… お金持ちのこととか? 80 00:06:41,170 --> 00:06:44,510 家のことばかりじゃない。 俺自身もさ。 81 00:06:44,510 --> 00:06:48,180 えっ? 君の 何を? 82 00:06:48,180 --> 00:06:50,110 伝わらないなら いい。 83 00:06:50,110 --> 00:06:54,050 ふざけんじゃねえ! (殴る音) 84 00:06:54,050 --> 00:06:57,320 この前 おめえから買った魚 腐ってたぞ! 85 00:06:57,320 --> 00:06:59,260 (鉄男)すいません。 86 00:06:59,260 --> 00:07:01,620 ちょっと やめなって! 87 00:07:01,620 --> 00:07:05,490 んっ! 父っつぁんに よ~く言っとけ。➡ 88 00:07:05,490 --> 00:07:08,500 今度 あんなもん売りやがったら ただじゃおかねえって! 89 00:07:08,500 --> 00:07:13,800 子ども相手に… もういいじゃねえか! ほら…。 90 00:07:13,800 --> 00:07:16,100 んっ… 分かってる! 91 00:07:25,980 --> 00:07:27,980 やあ。 92 00:07:30,290 --> 00:07:33,990 典男 行くぞ。 (典男)うん。 93 00:07:42,030 --> 00:07:45,500 「やあ」は まずいんじゃね? 94 00:07:45,500 --> 00:07:49,200 つ… つい…。 あれ? 95 00:07:53,180 --> 00:07:57,510 それ 大将の? 96 00:07:57,510 --> 00:08:00,950 彼 学校やめるってうわさだ。 97 00:08:00,950 --> 00:08:03,990 えっ? これ どうしよう。 98 00:08:03,990 --> 00:08:06,260 きっと 大事な本だよ。 99 00:08:06,260 --> 00:08:10,760 そうだ… き… 君 返しといてくんない? 100 00:08:15,000 --> 00:08:20,140 いや~ 最近 来ねえな。 何やってんだべな あの野郎。 101 00:08:20,140 --> 00:08:22,970 (大河原)えっ 魚治ですか? ああ。 102 00:08:22,970 --> 00:08:26,480 まあ もともと やる気ねえからな あそこは。 103 00:08:26,480 --> 00:08:30,350 それより旦那さん ちっといいですか? うん。 104 00:08:30,350 --> 00:08:37,650 第一次世界大戦も終わり 各国が国力を回復するにつれ➡ 105 00:08:37,650 --> 00:08:42,160 日本は急激な不況に襲われていました。 106 00:08:42,160 --> 00:08:46,000 あっという間に半値以下。 107 00:08:46,000 --> 00:08:50,300 これでは工場潰れても当たり前です。 108 00:08:50,300 --> 00:08:52,230 (ため息) 109 00:08:52,230 --> 00:08:59,310 とりあえず うちも 当座 これ しのがないと。 110 00:08:59,310 --> 00:09:02,110 天下の喜多一が借金しろっつうのか!? 111 00:09:02,110 --> 00:09:07,410 いやいや… だって貸してくれっとこが あっかどうかも…。 112 00:09:09,450 --> 00:09:11,790 おめえらは 心配すんな! 113 00:09:11,790 --> 00:09:14,120 なんとかする!➡ 114 00:09:14,120 --> 00:09:16,960 何で分かんねえんだ こんだけ言ってんのに! 115 00:09:16,960 --> 00:09:21,130 おめえ それでも人間か!? 116 00:09:21,130 --> 00:09:26,940 お願えします! このとおりだ。 喜多一を… 喜多一を救って下せえ。 117 00:09:26,940 --> 00:09:28,940 頼むから! 118 00:09:37,580 --> 00:09:39,520 駄目だったか…。 119 00:09:39,520 --> 00:09:43,390 旦那も珍しく頑張ったんすがね…。 120 00:09:43,390 --> 00:09:49,190 3代 100年続いた喜多一も いよいよ終わりか。 121 00:09:49,190 --> 00:09:52,890 (及川)えっ… そんな まずいんですか? 122 00:10:04,010 --> 00:10:09,510 お義兄さんに融資を頼もうと思う。 123 00:10:09,510 --> 00:10:12,180 そう…。 124 00:10:12,180 --> 00:10:17,050 それしか もう… 手はないの? 125 00:10:17,050 --> 00:10:21,320 すまねえ…。 126 00:10:21,320 --> 00:10:24,230 頼むのなら その前に➡ 127 00:10:24,230 --> 00:10:32,070 あなたに お伝えしとかなければ いけないことがあります。 128 00:10:32,070 --> 00:10:37,070 裕一と浩二に関することです。 129 00:10:39,540 --> 00:10:59,730 ♬~ 130 00:10:59,730 --> 00:11:03,300 いいの? (三郎)ああ。 好きなだけ買え。 131 00:11:03,300 --> 00:11:06,670 楽譜の1枚や2枚。 132 00:11:06,670 --> 00:11:10,170 ありがとう! 133 00:11:10,170 --> 00:11:15,510 でも どうして? いいんだよ。 男は買う時は買うんだ。 134 00:11:15,510 --> 00:11:19,810 パ~ッと。 やった~! ハハハ…。 135 00:11:21,850 --> 00:11:26,690 妹尾楽譜は竹久夢二の表紙も相まって➡ 136 00:11:26,690 --> 00:11:29,730 音楽家垂涎の楽譜でした。 137 00:11:29,730 --> 00:11:33,200 とても高価な買い物だったのです。 138 00:11:33,200 --> 00:11:37,870 裕一 先に帰れ。 えっ? どっか行ぐの? 139 00:11:37,870 --> 00:11:41,340 うん。 ちっと 一杯引っ掛けてくる。 なっ? 140 00:11:41,340 --> 00:11:43,710 分かった。 ああ。 141 00:11:43,710 --> 00:12:04,160 ♬~ 142 00:12:04,160 --> 00:12:10,670 (太郎)何か いいもん 買ってもらったみてえだな。 見せろよ。 143 00:12:10,670 --> 00:12:13,500 よこせ! (史郎)待て! 144 00:12:13,500 --> 00:12:15,540 よこせ! 145 00:12:15,540 --> 00:12:17,670 待て! 146 00:12:17,670 --> 00:12:22,550 裕一… 待て~! 147 00:12:22,550 --> 00:12:24,550 よこせ! 148 00:12:28,380 --> 00:12:31,190 よこせ! 149 00:12:31,190 --> 00:12:34,690 返せ! 何回言ったら分かんだ。 150 00:12:34,690 --> 00:12:37,190 音楽なんて おなごのするもんだ。 151 00:12:37,190 --> 00:12:39,130 か… 返せ! 152 00:12:39,130 --> 00:12:42,330 「か… 返せ!」。 (笑い声) 153 00:12:42,330 --> 00:12:45,700 (太郎)今日は威勢がいいな。 154 00:12:45,700 --> 00:12:51,570 おっ やんのか? 来いよ 早く来いよ。 155 00:12:51,570 --> 00:12:53,580 おりゃ~! 156 00:12:53,580 --> 00:12:57,310 おりゃ! うっ…。 ハハハ! 157 00:12:57,310 --> 00:13:03,820 いいか? もう学校で曲作るのは なしだ。 158 00:13:03,820 --> 00:13:06,720 嫌だ! 159 00:13:06,720 --> 00:13:09,160 返せ! 160 00:13:09,160 --> 00:13:14,030 そがに これが大事か? なら こうして…。 161 00:13:14,030 --> 00:13:16,330 やめろ。 162 00:13:19,170 --> 00:13:23,510 で… でも… こいつ…➡ 163 00:13:23,510 --> 00:13:28,380 調子に乗ってて… 懲らしめねえと…。 164 00:13:28,380 --> 00:13:32,180 帰れ。 …はい。➡ 165 00:13:32,180 --> 00:13:34,480 行くぞ。 (史郎)うん。 166 00:13:43,690 --> 00:13:47,200 どうして? 167 00:13:47,200 --> 00:13:52,030 初めて 本気で声出したな。 えっ? 168 00:13:52,030 --> 00:13:58,530 勘違いすんな。 その声に免じて 助けてやっただけだ。 169 00:14:00,140 --> 00:14:30,840 ♬~ 170 00:14:37,850 --> 00:14:41,520 た… 確か… この辺…。 171 00:14:41,520 --> 00:14:45,020 ふざけんなよ! (殴る音) 172 00:14:45,020 --> 00:14:50,330 親に口答えなんか 100年早えわ! もっと稼げ! 稼ぐまで帰ってくんな! 173 00:14:50,330 --> 00:14:55,130 魚治さんの 見たこともない顔でした。