1 00:00:06,470 --> 00:00:09,310 この子は 関内 音。 2 00:00:09,310 --> 00:00:14,650 お父さんの仕事について 福島の川俣を訪ねていました。 3 00:00:14,650 --> 00:00:17,320 (安隆)これは どうだ?➡ 4 00:00:17,320 --> 00:00:19,250 お父さんスペシャルだ。 5 00:00:19,250 --> 00:00:22,990 (音)あっ これ いい! 6 00:00:22,990 --> 00:00:26,860 あ~ん。 あ~ お父さ~ん。 ハハハッ いかん。 7 00:00:26,860 --> 00:00:33,500 大好きなおだんごを楽しむ前に 実は 教会で…。 8 00:00:33,500 --> 00:00:44,680 ♬~(歌声) 9 00:00:44,680 --> 00:00:49,550 (拍手) 10 00:00:49,550 --> 00:00:52,350 あたしも歌いたい。 11 00:00:52,350 --> 00:00:56,350 えっ あそこでか? 12 00:00:58,030 --> 00:01:01,730 よし 行っといで。 13 00:01:08,670 --> 00:01:12,670 自分で行きなさい 音。 14 00:01:12,670 --> 00:01:17,870 フフフ… 大丈夫 なんとかなるから。 15 00:01:20,280 --> 00:01:22,280 ほら。 16 00:01:26,990 --> 00:01:37,130 ♬「われらの よわきを 知りて あわれむ」 17 00:01:37,130 --> 00:01:42,670 ♬「なやみ かなしみに」 18 00:01:42,670 --> 00:01:48,840 その時 運命の人 裕一も教会にいました。 19 00:01:48,840 --> 00:02:00,290 ♬「いのりに こたえて いたわり たまわん」 20 00:02:00,290 --> 00:02:07,490 後に この2人が夫婦になろうとは 誰も知る由もありません。 21 00:02:10,630 --> 00:02:13,670 初めは恥ずかしかったけど➡ 22 00:02:13,670 --> 00:02:15,800 やってよかった! 23 00:02:15,800 --> 00:02:18,840 うん。 お父さん 思うんだ。 24 00:02:18,840 --> 00:02:25,110 やらずに後悔するより やって後悔した方がいいってな。 25 00:02:25,110 --> 00:02:32,320 さっき 音のおかげで 教会のみんなが元気になっただら。 26 00:02:32,320 --> 00:02:34,360 すごいわ~ 音。 27 00:02:34,360 --> 00:02:39,660 そいじゃあ ご褒美に もう一本! う~ん…。 28 00:02:39,660 --> 00:02:42,130 今日は特別だ! やった~! 29 00:02:42,130 --> 00:02:48,000 ♬~ 30 00:02:48,000 --> 00:02:53,740 ♬「泣いて 生まれて 響く命」 31 00:02:53,740 --> 00:02:59,350 ♬「きっと嬉しくて 笑っているんだ」 32 00:02:59,350 --> 00:03:04,790 ♬「僕らはきっと 出逢うでしょう」 33 00:03:04,790 --> 00:03:10,960 ♬「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」 34 00:03:10,960 --> 00:03:18,830 ♬「きっといつか今日の日も 意味を持って ほら」 35 00:03:18,830 --> 00:03:22,670 ♬「耳をすませば」 36 00:03:22,670 --> 00:03:28,310 ♬「星の見えない日々を 超えるたびに」 37 00:03:28,310 --> 00:03:33,980 ♬「互い照らすその意味を 知るのでしょう」 38 00:03:33,980 --> 00:03:36,990 ♬「愛する人よ」 39 00:03:36,990 --> 00:03:39,850 ♬「親愛なる友よ」 40 00:03:39,850 --> 00:03:47,650 ♬「遠くまで 響くはエール」 41 00:03:59,010 --> 00:04:00,940 (吟)あたしんでしょ 返して! 42 00:04:00,940 --> 00:04:02,880 いいじゃん 減るもんじゃないんだし! 43 00:04:02,880 --> 00:04:04,810 やだ! あたしだって まだ読んでないもん! 44 00:04:04,810 --> 00:04:07,620 あっ! もう! 自分で買えばいいじゃん! 45 00:04:07,620 --> 00:04:10,290 同じもんが2冊あったって しょうがないじゃん。 46 00:04:10,290 --> 00:04:12,950 (梅)そりゃ そうだ。 47 00:04:12,950 --> 00:04:16,960 そもそも これは おしゃれの雑誌。 あんたみたいな子どもには まだ早い。 48 00:04:16,960 --> 00:04:20,090 もう11歳だもん! 100年早い! 49 00:04:20,090 --> 00:04:22,800 100年たったら 111歳じゃん。 50 00:04:22,800 --> 00:04:24,830 確かに。 51 00:04:24,830 --> 00:04:29,130 ≪(光子)ごはんよ! はよ 下りてらっしゃい。 52 00:04:37,980 --> 00:04:43,850 あんねえ 2人とも少し こういうもんでも読んだら? 53 00:04:43,850 --> 00:04:54,130 ♬~ 54 00:04:54,130 --> 00:04:57,030 ≪取った! ≪(吟) ちょっと 年功序列って言葉知らんの!? 55 00:04:57,030 --> 00:05:01,600 ≪何それ…。 「元始 女性は太陽であった」か。 56 00:05:01,600 --> 00:05:04,940 うちの太陽は やかましいのん フフフ。 57 00:05:04,940 --> 00:05:09,610 (光子)全く 毎日毎日…。 ≪見たら 返すって! 58 00:05:09,610 --> 00:05:16,950 主よ この食卓を祝したまえ。 アーメン。 59 00:05:16,950 --> 00:05:18,890 (一同)アーメン。 60 00:05:18,890 --> 00:05:24,460 よし 食べようか。 頂きま~す。 (3人)頂きま~す! 61 00:05:24,460 --> 00:05:29,330 音の父 安隆は 元陸軍の獣医です。 62 00:05:29,330 --> 00:05:35,640 馬を診る医者だったせいか 馬のように優しい人でした。 63 00:05:35,640 --> 00:05:44,310 今は職人を抱え 陸軍に馬具 つまり 乗馬の道具を卸す仕事をしています。 64 00:05:44,310 --> 00:05:47,820 なるほど。 どうかや? あっ はい やってみます。 65 00:05:47,820 --> 00:05:49,750 (安隆)頼んだぞ。 (職人たち)はい。 行ってきます! 66 00:05:49,750 --> 00:05:54,590 穏やかな父の影響か 音は生意気に…。 (せきばらい) 67 00:05:54,590 --> 00:05:59,930 もとい すくすくと自由に育ちました。 68 00:05:59,930 --> 00:06:05,600 (岩城)こら! ここは 女 子どもが入っていい場所じゃねえずら。 69 00:06:05,600 --> 00:06:10,440 職人頭の岩城。 音の天敵です。 70 00:06:10,440 --> 00:06:12,440 はい! 71 00:06:17,080 --> 00:06:22,280 音は 「女 子ども」という言葉が大嫌いでした。 72 00:06:22,280 --> 00:06:26,450 「男 子ども」って 誰も言わんのに。 73 00:06:26,450 --> 00:06:30,090 大正デモクラシー 華やかなりし頃とはいえ➡ 74 00:06:30,090 --> 00:06:34,630 まだまだ 封建的な風土が残っていたのです。 75 00:06:34,630 --> 00:06:39,100 (熊谷)最高学年恒例の学芸会が 来月行われる。 76 00:06:39,100 --> 00:06:42,970 ご父兄もお見えになる大切な行事だで 一生懸命 取り組むように。 77 00:06:42,970 --> 00:06:45,640 (児童たち)はい! その演目であるが➡ 78 00:06:45,640 --> 00:06:50,980 職員会議において 1組は「桃太郎」 2組は「猿蟹合戦」に決まった。 79 00:06:50,980 --> 00:06:52,980 で 我が組であるが…。 80 00:06:52,980 --> 00:06:56,120 熊谷先生! また お前か。 81 00:06:56,120 --> 00:07:00,590 あたしたちの演目 多数決で決めるのは どうですか? 82 00:07:00,590 --> 00:07:02,920 (熊谷)多数決? 83 00:07:02,920 --> 00:07:06,760 我が組は ただ一つの女子の組です。 84 00:07:06,760 --> 00:07:10,600 女子が輝ける出し物を やった方がいいと思います。 85 00:07:10,600 --> 00:07:14,470 いや ほいだがな もう職員会議で 「浦島太郎」って決めたで。 86 00:07:14,470 --> 00:07:16,470 (児童たち)ええ~っ…。 87 00:07:16,470 --> 00:07:21,780 あたし 女子の組の過去の出し物を ちょっと調べたんです。 88 00:07:21,780 --> 00:07:23,710 「かさじぞう」。 89 00:07:23,710 --> 00:07:25,650 「はなさかじいさん」。 90 00:07:25,650 --> 00:07:27,650 「おむすびころりん」。 91 00:07:27,650 --> 00:07:30,950 「したきりすずめ」。 「こぶとりじいさん」。 92 00:07:30,950 --> 00:07:34,820 ほとんど おじいさんの話です。 ひどくないですか? 93 00:07:34,820 --> 00:07:37,830 「浦島太郎」は若い男が主人公だぞ。 94 00:07:37,830 --> 00:07:39,960 最後は おじいさんです。 95 00:07:39,960 --> 00:07:42,300 竜宮の娘がいっぱい出るぞ。 96 00:07:42,300 --> 00:07:47,470 先生! 出し物をすんのは あたしら。 97 00:07:47,470 --> 00:07:49,970 あたしたちに決めさせてもらえませんか? 98 00:07:49,970 --> 00:07:52,870 賛成! 賛成! 賛成! 99 00:07:52,870 --> 00:07:56,740 分かった 分かった。 ほいじゃあ 何がいいだ? 100 00:07:56,740 --> 00:08:02,920 先生… とっておきのがあります。 101 00:08:02,920 --> 00:08:06,220 女性が主役の物語。 102 00:08:09,260 --> 00:08:11,930 (小岩井) デモクラシーというやつかや?➡ 103 00:08:11,930 --> 00:08:15,930 最近の子どもは 変に知恵があって いけませんな~。 104 00:08:15,930 --> 00:08:18,600 すいません 教頭。 105 00:08:18,600 --> 00:08:22,300 誰が言いだしたんですか? これ。 106 00:08:24,270 --> 00:08:29,610 投票結果が出た時の先生の顔! 見せたかった~。 107 00:08:29,610 --> 00:08:33,080 (吟)どんな顔? こんな顔。 (笑い声) 108 00:08:33,080 --> 00:08:42,460 関内家では 毎週木曜日 銭湯に行き だんご屋に立ち寄るのが習わしでした。 109 00:08:42,460 --> 00:08:44,960 お父さん やって。 こんな顔。 110 00:08:44,960 --> 00:08:46,960 (笑い声) 111 00:08:46,960 --> 00:08:50,100 あの堅物先生をやっつけるなんて さすが 音! 112 00:08:50,100 --> 00:08:52,970 吟 いいかげんにしなさい。 113 00:08:52,970 --> 00:08:56,470 お父さん お母さん 学芸会 見に来るでしょ? 114 00:08:56,470 --> 00:08:59,110 ああ! 絶対行く。 115 00:08:59,110 --> 00:09:02,010 そんで あんた 何やるか決まったの? 116 00:09:02,010 --> 00:09:04,910 うん。 多分 かぐや姫。 117 00:09:04,910 --> 00:09:06,910 ええっ? 本当? お~! 118 00:09:06,910 --> 00:09:12,650 だって 友達みんな 「音しか おらん」って。 選ばれると思う。 119 00:09:12,650 --> 00:09:16,260 あんたに あんな おしとやかな役が できるわけないじゃん。 120 00:09:16,260 --> 00:09:19,590 できるもん! 121 00:09:19,590 --> 00:09:21,530 みたらし もう一本! 122 00:09:21,530 --> 00:09:26,230 ほほっ。 かぐや姫 太っとったら まずいんじゃない? 123 00:09:27,940 --> 00:09:30,840 …は やめた。 124 00:09:30,840 --> 00:09:34,280 (笑い声) 125 00:09:34,280 --> 00:09:54,660 ♬~ 126 00:09:54,660 --> 00:10:00,300 ちゃんと読んどった方がいいよ。 主役やるんなら。 127 00:10:00,300 --> 00:10:02,600 ありがとう! 128 00:10:21,120 --> 00:10:25,830 ご苦労さま。 お菓子 置いときますね。 129 00:10:25,830 --> 00:10:31,130 みつ。 音 忘れとらんか? 今日。 130 00:10:31,130 --> 00:10:34,930 はあ… それがね…。 131 00:10:40,880 --> 00:10:46,350 音! ハァ… ハァ…。 132 00:10:46,350 --> 00:10:50,850 どうした? 何かあったのか? 133 00:10:50,850 --> 00:10:57,020 選ばれんかった… かぐや姫。 134 00:10:57,020 --> 00:11:00,290 先生が 勝手に決めた。 135 00:11:00,290 --> 00:11:08,040 うん…。 で 音は何役だ? 136 00:11:08,040 --> 00:11:12,810 おじいさん その2。 おじいさん その2? 137 00:11:12,810 --> 00:11:15,640 おじいさん… フフフフ。 138 00:11:15,640 --> 00:11:17,580 ひどい! ハハッ ごめん ごめん。 139 00:11:17,580 --> 00:11:23,120 学校のみんなも あたしがいいって 言ってくれたんだよ。 140 00:11:23,120 --> 00:11:25,320 だから…。 141 00:11:31,860 --> 00:11:38,700 「今から 私の言う 世にも珍しい宝物を 持ってきた人のところへ➡ 142 00:11:38,700 --> 00:11:42,340 お嫁に行きます。➡ 143 00:11:42,340 --> 00:11:47,210 あなたは 仏の御石の鉢を。➡ 144 00:11:47,210 --> 00:11:52,010 そちらのあなたは蓬莱山にある玉の枝を」。 145 00:11:52,010 --> 00:11:56,850 (拍手) 146 00:11:56,850 --> 00:11:58,850 フフッ。 147 00:12:01,290 --> 00:12:08,790 せっかく 梅がくれた「竹取物語」 一生懸命 読んだのに。 148 00:12:11,630 --> 00:12:14,470 おじいさんの役は嫌か? 149 00:12:14,470 --> 00:12:19,110 嫌だよ! だって 「これは なんと かわいい子じゃ」って➡ 150 00:12:19,110 --> 00:12:21,640 それだけだよ セリフ。 151 00:12:21,640 --> 00:12:24,480 それ かぐや姫 関係ないじゃん。 152 00:12:24,480 --> 00:12:26,510 桃太郎でも使えるよ。 153 00:12:26,510 --> 00:12:29,650 フフッ。 そうだな。 154 00:12:29,650 --> 00:12:32,690 ほいでも 音が かぐや姫だったら➡ 155 00:12:32,690 --> 00:12:37,390 おじいさん役は 誰か ほかの人がやるんだよな? 156 00:12:37,390 --> 00:12:43,000 その人が嫌々演じとったら どう思う? 157 00:12:43,000 --> 00:12:45,000 「ちゃんとして」って思う。 158 00:12:45,000 --> 00:12:52,010 だろ? 人には みんな役割がある。 159 00:12:52,010 --> 00:12:59,510 誰もが主役をやれるわけじゃない。 だけど 主役だけでも お芝居はできん。 160 00:12:59,510 --> 00:13:05,290 必ず それを支える人がいるんだ。 161 00:13:05,290 --> 00:13:10,160 そんでも… あたしは…。 162 00:13:10,160 --> 00:13:12,460 今回は残念だった。 163 00:13:12,460 --> 00:13:18,970 だけど 何の役だろうと お父さん 楽しみだよ。 164 00:13:18,970 --> 00:13:22,300 うそばっか。 本当。 (笑い声) 165 00:13:22,300 --> 00:13:24,640 あっ…。 166 00:13:24,640 --> 00:13:27,480 はっ! もう こんな時間だ! 167 00:13:27,480 --> 00:13:29,410 ほら。 168 00:13:29,410 --> 00:13:31,610 あ~! あ~! 169 00:13:33,280 --> 00:13:38,820 音は 教会で 琴の演奏を披露する予定だったのです。 170 00:13:38,820 --> 00:13:41,660 ほら 頑張れ 頑張れ! もう着いたで。 171 00:13:41,660 --> 00:13:43,660 よいしょ…。 172 00:13:50,660 --> 00:13:53,960 駆け込んだ その時でした。 173 00:14:12,290 --> 00:14:19,630 そこにいたのは 世界的なオペラ歌手 双浦 環でした。 174 00:14:19,630 --> 00:14:47,660 ♬~ 175 00:14:47,660 --> 00:14:54,460 それは 生涯忘れることのない瞬間でした。