1 00:00:02,090 --> 00:00:04,990 (あくび) 2 00:00:04,990 --> 00:00:08,300 (潔子)音さん 今日も眠そうね。 3 00:00:08,300 --> 00:00:10,830 (和子)また カフェーの仕事で夜更かし? 4 00:00:10,830 --> 00:00:14,670 (音)ううん。 昨日は 主人の友達が泊まりに来てて➡ 5 00:00:14,670 --> 00:00:16,610 酔って暴れて 大変だったの。 6 00:00:16,610 --> 00:00:19,840 (鉄男) 最低だ! 俺が グズグズしてっから➡ 7 00:00:19,840 --> 00:00:21,880 希穂子に見限られたんだ! (裕一)お帰り。 8 00:00:21,880 --> 00:00:25,720 大将…。 ああ~ 希穂子~! 9 00:00:25,720 --> 00:00:31,190 えっ 主人? 今 主人って言った? 10 00:00:31,190 --> 00:00:36,690 うん。 まさか 音さん 結婚してるの? 11 00:00:36,690 --> 00:00:39,530 うん。 言ってなかったっけ? 聞いてない! 12 00:00:39,530 --> 00:00:44,200 うそでしょ? えっ? 人妻で 学生で➡ 13 00:00:44,200 --> 00:00:48,040 カフェーの女給ってこと? カフェーは 今日で終わりだけどね。 14 00:00:48,040 --> 00:00:51,840 楽しかったよ。 すごく勉強になった。 15 00:00:54,540 --> 00:00:56,840 ああ…。 16 00:01:02,150 --> 00:01:08,290 ♬~ 17 00:01:08,290 --> 00:01:13,830 ♬「泣いて 生まれて 響く命」 18 00:01:13,830 --> 00:01:19,300 ♬「きっと嬉しくて 笑っているんだ」 19 00:01:19,300 --> 00:01:24,840 ♬「僕らはきっと 出逢うでしょう」 20 00:01:24,840 --> 00:01:31,010 ♬「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」 21 00:01:31,010 --> 00:01:38,890 ♬「きっといつか今日の日も 意味を持って ほら」 22 00:01:38,890 --> 00:01:42,630 ♬「耳をすませば」 23 00:01:42,630 --> 00:01:48,330 ♬「星の見えない日々を 超えるたびに」 24 00:01:48,330 --> 00:01:54,040 ♬「互い照らすその意味を 知るのでしょう」 25 00:01:54,040 --> 00:01:57,070 ♬「愛する人よ」 26 00:01:57,070 --> 00:01:59,840 ♬「親愛なる友よ」 27 00:01:59,840 --> 00:02:08,140 ♬「遠くまで 響くはエール」 28 00:02:10,990 --> 00:02:17,490 (千鶴子)最終選考まで あと少しなのよ。 必死で練習するのが普通じゃないの? 29 00:02:21,500 --> 00:02:24,500 私だって必死だよ。 30 00:02:27,170 --> 00:02:32,470 そういうの… 必死って言えるのかしら? 31 00:02:34,040 --> 00:02:42,190 私はね 子どもの頃から 音楽のために全てを犠牲にしてきたの。 32 00:02:42,190 --> 00:02:46,190 なのに あなたは…➡ 33 00:02:46,190 --> 00:02:51,330 音楽も 家庭も 友達も 恋愛も➡ 34 00:02:51,330 --> 00:02:54,530 何でも欲しがって 手を伸ばす。 35 00:02:54,530 --> 00:03:00,030 あなたみたいな強欲な人に 私は負けるわけにはいかないの。 36 00:03:01,640 --> 00:03:04,270 強欲? 37 00:03:04,270 --> 00:03:10,650 私は… 私の全てを懸けて➡ 38 00:03:10,650 --> 00:03:13,850 ヴィオレッタを勝ち取ってみせるから。 39 00:03:18,390 --> 00:03:21,160 (恵)は~い どうぞ。 ありがとうございます。 40 00:03:21,160 --> 00:03:23,090 あっ トーストを2つ。 (恵)うん。 41 00:03:23,090 --> 00:03:26,960 ホットケーキも つけていいぞ。 ここは 俺が持つ。 42 00:03:26,960 --> 00:03:29,260 じゃあ…。 (恵)フフッ。 43 00:03:31,170 --> 00:03:34,000 顔がいい人は 言うことも かっこいいわね。 44 00:03:34,000 --> 00:03:37,670 (保)顔がいいから かっこよく聞こえるんじゃないか? 45 00:03:37,670 --> 00:03:40,510 昨日は 本当に悪がった。 46 00:03:40,510 --> 00:03:44,010 いやいや… みんな いろいろあるよ。 47 00:03:47,280 --> 00:03:51,150 会社は何時からなんだ? ああ… 出勤時間は自由だから。 48 00:03:51,150 --> 00:03:55,060 大御所になると出社しない人もいる。 へえ~ そういうもんなのか。 49 00:03:55,060 --> 00:03:59,330 うん。 …で どうなんだ? 仕事の方は。 50 00:03:59,330 --> 00:04:01,630 うん…。 「紺碧の空」のおかげで➡ 51 00:04:01,630 --> 00:04:05,470 評価 上がったんじゃねえか? 52 00:04:05,470 --> 00:04:07,800 そうでもないよ。 53 00:04:07,800 --> 00:04:14,140 この前ね 地方小唄の話あったんだけど… うまいこといかなかった。 54 00:04:14,140 --> 00:04:17,140 地方小唄? うん…。 55 00:04:20,020 --> 00:04:25,490 (吟)人妻が カフェーの女給って あんた 何考えとんの? 56 00:04:25,490 --> 00:04:28,520 お母さんとか梅には言わんでよ。 めんどくさいから。 57 00:04:28,520 --> 00:04:32,830 言うに決まっとるじゃん。 こんな面白い話ないわ。 58 00:04:32,830 --> 00:04:36,300 お姉ちゃんは どうなっとんの? 結婚の準備。 59 00:04:36,300 --> 00:04:39,670 式の日取りが決まったとこ。 60 00:04:39,670 --> 00:04:45,310 最近 気付いたんだけど うちの人 何だかんだで亭主関白なんだわ。 61 00:04:45,310 --> 00:04:48,010 裕一さんは いい旦那様よね。 62 00:04:48,010 --> 00:04:51,710 何でも あんたの好きにさせてくれて。 63 00:04:55,690 --> 00:04:59,560 お姉ちゃん…。 64 00:04:59,560 --> 00:05:01,490 私って 強欲? 65 00:05:01,490 --> 00:05:05,500 やだ… 今頃 気付いたの? 66 00:05:05,500 --> 00:05:10,630 やっぱ そうなんだ。 それが あんたのいいところじゃんか! 67 00:05:10,630 --> 00:05:13,470 人間 欲がなくなったら おしまいよ。 68 00:05:13,470 --> 00:05:16,470 強欲上等! 69 00:05:20,240 --> 00:05:25,080 強欲上等…。 70 00:05:25,080 --> 00:05:27,150 そっか…。 71 00:05:27,150 --> 00:05:30,490 あっ! ちょっと それ 高かったんだから やめてよ! 72 00:05:30,490 --> 00:05:33,290 いいじゃん ちょっとくらい…。 ちょっと… 本当駄目…。 73 00:05:33,290 --> 00:05:35,990 かわいい! やめりん やめりん! 74 00:05:39,000 --> 00:05:42,800 ああ… もう こんな減って…。 75 00:05:46,740 --> 00:05:50,440 (ノック) どうぞ~。 76 00:05:52,840 --> 00:05:55,880 あっ…。 (希穂子)音江さん。 77 00:05:55,880 --> 00:05:58,650 ゆうべは お騒がせして ごめんなさいね。 78 00:05:58,650 --> 00:06:02,850 いえいえ… あの…。 (ノック) 79 00:06:04,950 --> 00:06:10,130 (ママ)音江ちゃん いよいよ最終日ね。 はい。 80 00:06:10,130 --> 00:06:14,130 一週間 お世話になりました。 81 00:06:14,130 --> 00:06:18,630 残念だわ…。 あなた 鍛えれば 一流になれそうなのに。 82 00:06:18,630 --> 00:06:21,270 えっ? 怒られてばかりでしたけど…。 83 00:06:21,270 --> 00:06:24,140 見込みがあるから怒られたんじゃない? 84 00:06:24,140 --> 00:06:26,980 さすが希穂子ちゃん そのとおりよ。 85 00:06:26,980 --> 00:06:31,650 それぐらい 言われなくても察しなさい。 ここで 何 勉強したのよ。 86 00:06:31,650 --> 00:06:33,680 すいません。 フフフフ…。 87 00:06:33,680 --> 00:06:36,490 ≪(ボーイ)困るんですよ。 出てって下さい。 ≪(鉄男)少しでいいですから。 88 00:06:36,490 --> 00:06:38,420 ≪(ボーイ)出てけって言ってんだよ。 ≪(鉄男)お願いします! 89 00:06:38,420 --> 00:06:42,660 (愛子)ママ 大変です! この前の人が…。 ≪(鉄男)話すだけですから。 90 00:06:42,660 --> 00:06:44,590 (鉄男)何でですか! (ボーイ)出てけよ! 91 00:06:44,590 --> 00:06:46,530 別にいいでしょ 話すくらい! 出てけって言ってんだよ。 92 00:06:46,530 --> 00:06:50,170 少しですから お願いします! 無理なんだよ。 93 00:06:50,170 --> 00:06:54,670 希穂子…。 94 00:06:54,670 --> 00:07:01,670 ちゃんと話がしてえ。 少しでいいから時間くれねえか? 95 00:07:07,950 --> 00:07:10,790 お引き取り下さい。 96 00:07:10,790 --> 00:07:17,130 希穂子…。 分からない? 迷惑してるの。 97 00:07:17,130 --> 00:07:20,030 本当のことを言いますね。 98 00:07:20,030 --> 00:07:25,470 福島を離れたのは あなたが重荷になったからです。 99 00:07:25,470 --> 00:07:28,170 勘違いされて困ってたの。 100 00:07:36,810 --> 00:07:39,110 お帰り下さい。 101 00:07:49,390 --> 00:08:08,610 ♬~ 102 00:08:08,610 --> 00:08:10,550 (ドアが開く音) 103 00:08:10,550 --> 00:08:29,800 ♬~ 104 00:08:29,800 --> 00:08:37,600 恋愛の機微を目の当たりにした 音のカフェー勤務最終日でした。 105 00:08:40,810 --> 00:08:44,480 (久志)どうぞ。 よいしょ… はい 出来たよ。 106 00:08:44,480 --> 00:08:51,650 (久志)おっ! おいしそうだ。 鉄男君 頂こうよ。 107 00:08:51,650 --> 00:08:55,150 ほら! 大将 ほら… 食べよう ほら! 108 00:08:59,160 --> 00:09:02,930 まあまあ…。 ああ… ありがとうね。 飲もう 飲もう。 109 00:09:02,930 --> 00:09:08,100 おっ… そうだ! あの時も おめえが一番に逃げたんだ。 110 00:09:08,100 --> 00:09:11,110 覚えてないな。 いや 久志の逃げ足の速さはね➡ 111 00:09:11,110 --> 00:09:14,440 学校… いやいや 宇宙一だよ! 112 00:09:14,440 --> 00:09:17,350 危機対応能力にたけていると 言ってほしいね。 113 00:09:17,350 --> 00:09:19,620 あの先生 怖かったけどさ➡ 114 00:09:19,620 --> 00:09:23,120 4年の時 藤堂先生になってくれたの うれしかったな~! 115 00:09:23,120 --> 00:09:26,790 ああ… 藤堂先生には頭が上がんねえ。 116 00:09:26,790 --> 00:09:29,460 懐かしいね~。 117 00:09:29,460 --> 00:09:34,330 いいもんだね ふるさとの友達と飲むのは。 うん! 118 00:09:34,330 --> 00:09:39,140 裕一が鉄男君を東京に呼ぼうって 言いだした時は さすがに驚いたけどね。 119 00:09:39,140 --> 00:09:43,810 あっ ごめん ごめん。 あの時はね もう本当に舞い上がってました。 120 00:09:43,810 --> 00:09:49,610 いや… うれしかったよ。 ここ最近 詩 書くことなんて忘れてたから。 121 00:09:49,610 --> 00:09:52,150 いや… しかたないよ。 仕事だってあるしね。 122 00:09:52,150 --> 00:09:56,490 実は… 書いてみたんだ。 123 00:09:56,490 --> 00:09:59,390 えっ? 124 00:09:59,390 --> 00:10:04,590 歌詞書いたの!? えっ? み み… 見せて 見せて! えっ? 125 00:10:07,000 --> 00:10:13,700 「福島行進曲」。 俺なりの福島を書いてみた。 126 00:10:16,510 --> 00:10:21,310 いい… すごくいい。 127 00:10:21,310 --> 00:10:25,010 す… すごくいいよ これ! ねっ? ああ いいよ! 128 00:10:25,010 --> 00:10:28,210 恋の歌だな。 ああ。 129 00:10:30,520 --> 00:10:34,320 「紺碧の空」書いた時ね➡ 130 00:10:34,320 --> 00:10:39,160 歌詞に共感するって すっごく すっごく 大事なんだって分かったんだよ。 131 00:10:39,160 --> 00:10:44,700 こういう… こういう… 心に グッて グッて来る➡ 132 00:10:44,700 --> 00:10:49,570 こういうの ずっと待ってた! 133 00:10:49,570 --> 00:10:54,410 僕ね… 福島捨てて ここに来たんだ。 134 00:10:54,410 --> 00:10:58,880 でも… 忘れたことは一度もない! 135 00:10:58,880 --> 00:11:02,750 大将が思い乗せた この歌詞で➡ 136 00:11:02,750 --> 00:11:06,950 もう一度… もう一度 ちゃんと福島と向かい合いたい! 137 00:11:08,990 --> 00:11:14,500 大将 いや… 鉄男。 138 00:11:14,500 --> 00:11:20,800 僕に… この詩で… この詩に曲をつけさせてくれ! 139 00:11:24,170 --> 00:11:28,670 分がった。 いい曲つけてくれよ! 140 00:11:30,510 --> 00:11:34,380 ありがとう! ありがとう…。 141 00:11:34,380 --> 00:11:39,520 久志 歌ってくれるよな? 142 00:11:39,520 --> 00:11:42,190 僕以外… いるの? 143 00:11:42,190 --> 00:11:45,190 クッ フフフ…。 144 00:11:48,530 --> 00:11:52,870 んん…。 145 00:11:52,870 --> 00:12:01,870 (いびき) 146 00:12:23,830 --> 00:12:25,870 (廿日市)「福島行進曲」。 147 00:12:25,870 --> 00:12:29,000 はい。 地元で新聞記者やってる 友人が書きまして…。 148 00:12:29,000 --> 00:12:32,840 あっ もともと 作詞家志望で かなり才能のある男なんです。 149 00:12:32,840 --> 00:12:34,780 (廿日市)ふ~ん…。 150 00:12:34,780 --> 00:12:39,320 歌い手は 今 東京帝国音楽学校で 声楽の勉強してる 僕の友人➡ 151 00:12:39,320 --> 00:12:42,690 佐藤久志に頼もうかなって…。 ちょっと黙ってて。 152 00:12:42,690 --> 00:12:44,720 あっ はい。 す… すいません。 153 00:12:44,720 --> 00:12:47,520 そうねえ…。 154 00:12:47,520 --> 00:12:51,190 (杉山)私は とてもいい曲だと思いますが。 155 00:12:51,190 --> 00:12:53,130 えっ そう? 156 00:12:53,130 --> 00:12:57,000 横浜の地方小唄の話は 結局 流れてしまいましたし➡ 157 00:12:57,000 --> 00:12:59,700 ほかのレコード会社が まだ目をつけていない➡ 158 00:12:59,700 --> 00:13:03,670 東北方面の地方小唄なら 話題にもなりやすいかと。 159 00:13:03,670 --> 00:13:07,370 あっ そう… じゃあ これで作ってみようか。 160 00:13:09,380 --> 00:13:11,810 えっ? 161 00:13:11,810 --> 00:13:18,310 こうして 裕一の初めてのレコードが 吹き込まれることになりました。 162 00:13:23,990 --> 00:13:28,160 あっ… 今日は よろしくお願いします。 よろしくお願いします。 163 00:13:28,160 --> 00:13:30,460 スタジオへ ご案内します。 164 00:13:35,500 --> 00:13:42,380 ただし 歌うのは久志ではなく 廿日市が連れてきた女性歌手。 165 00:13:42,380 --> 00:13:47,680 無名の学生を いきなり起用するのは さすがに難しかったようです。 166 00:13:47,680 --> 00:13:49,980 (小田)いつでも始められるよ。 167 00:13:55,320 --> 00:13:57,320 では…。 168 00:14:03,470 --> 00:14:46,180 ♬~ 169 00:14:46,180 --> 00:14:54,480 上京して2年 ついに裕一は プロの作曲家デビューを果たしたのです。