1 00:00:02,210 --> 00:00:09,510 (三郎)おめえに 承諾してもらいてえことがあんだ。 2 00:00:16,620 --> 00:00:21,320 (畠山)何だ? 昨日の威勢はどうした? 3 00:00:25,630 --> 00:00:33,300 (浩二)畠山さんに言われてから 改めて考えてみたんです。➡ 4 00:00:33,300 --> 00:00:39,640 僕… 本当は何でもいがった。 5 00:00:39,640 --> 00:00:43,510 見返すことができんなら。 6 00:00:43,510 --> 00:00:46,310 (畠山)見返すって誰を? 7 00:00:48,990 --> 00:00:53,160 親父や兄貴。 8 00:00:53,160 --> 00:00:58,960 いや… 世の中にですかね。 9 00:01:01,770 --> 00:01:07,570 音楽の才能がある兄貴と違って 俺には何にもねがった。 10 00:01:07,570 --> 00:01:14,480 だから 親父から 店 任された時 うれしかったんです。➡ 11 00:01:14,480 --> 00:01:20,150 けど… 結局 店 閉めることになって…。 12 00:01:20,150 --> 00:01:24,420 どんな家族にも 割を食うやつはいる。 13 00:01:24,420 --> 00:01:31,220 俺だって 虫なんか大嫌いなのに お蚕様と30年だぞ。 14 00:01:32,960 --> 00:01:41,440 役場入って うちみたいに潰れた商売人や 農家が大勢いることを知りました。➡ 15 00:01:41,440 --> 00:01:44,640 福島 出てった人も少なくねえ。 16 00:01:44,640 --> 00:01:53,340 だから 残された俺たちにできっことを と思って りんご栽培 提案したんです。 17 00:02:04,130 --> 00:02:08,270 (畠山)ほい。 なかなか よく調べてあるじゃねえか。 18 00:02:08,270 --> 00:02:11,770 えっ… 読んでくれたんですか? 19 00:02:15,940 --> 00:02:19,780 いっちょ やってみっか。 えっ? 20 00:02:19,780 --> 00:02:22,680 まだ隠居するのも早えしよ。 21 00:02:22,680 --> 00:02:30,120 これからの人生 何か 新しいことに挑戦すんのも悪くねえ。 22 00:02:30,120 --> 00:02:36,630 本当ですか? ただし… 補助金が出るならだ。 23 00:02:36,630 --> 00:02:40,970 必ず 取り付けます。 24 00:02:40,970 --> 00:02:46,770 …なら お前 しけた面してねえで さっさと上の者 連れてこ。 25 00:02:46,770 --> 00:02:49,270 ありがとうございます。 26 00:02:51,680 --> 00:02:53,680 (音)裕一さん。 27 00:02:56,450 --> 00:03:00,150 (裕一)ありがとう。 これでよかった? 28 00:03:02,750 --> 00:03:06,090 大丈夫。 29 00:03:06,090 --> 00:03:08,760 これで父さんに聴かせてあげられる。 うん。 30 00:03:08,760 --> 00:03:10,760 ありがとう。 31 00:03:12,600 --> 00:03:15,900 父さん 入るよ。 32 00:03:19,100 --> 00:03:21,610 父さん? …父さん! 33 00:03:21,610 --> 00:03:25,110 (華の泣き声) 父さん! 音! 34 00:03:25,110 --> 00:03:28,950 お医者さん 呼んで! 母さん… 母さん! 35 00:03:28,950 --> 00:03:32,620 父さん? 36 00:03:32,620 --> 00:03:35,420 父さん…? 37 00:03:35,420 --> 00:03:39,620 (まさ)今 お薬で眠ってる。 38 00:03:39,620 --> 00:03:42,290 医者は何て? 39 00:03:42,290 --> 00:03:46,790 このまま逝っても おかしくないって。 40 00:03:48,970 --> 00:03:53,840 無理ばっか しやがって…。 41 00:03:53,840 --> 00:04:00,580 こんなことなら もっと ちゃんと 病気のこと話しとけばよかった。 42 00:04:00,580 --> 00:04:04,250 父さん 知ってたよ。 43 00:04:04,250 --> 00:04:08,450 自分が長くないこと。 えっ? 44 00:04:11,760 --> 00:04:17,260 痛みが 出るたんびにね…➡ 45 00:04:17,260 --> 00:04:22,260 こうやって 噛んで我慢してたんだって。 46 00:04:25,770 --> 00:04:32,540 バカだ… バカだ 父さん。 47 00:04:32,540 --> 00:04:36,280 だったら… 文句の一つぐらい言えよ。 浩二…。 48 00:04:36,280 --> 00:04:38,220 俺 だます気だったのかって怒れよ。 49 00:04:38,220 --> 00:04:41,920 (まさ)浩二! (浩二)何 かっこつけてんだよ…。 50 00:04:55,300 --> 00:04:57,300 代わるよ。 51 00:05:19,490 --> 00:05:24,260 父さん…。 52 00:05:24,260 --> 00:05:28,600 いつも 僕の味方だったよね。 53 00:05:28,600 --> 00:05:33,270 周りに何言われても…➡ 54 00:05:33,270 --> 00:05:37,140 かばってくれた。 55 00:05:37,140 --> 00:05:41,140 まだ… 全然 恩返しできてない。 56 00:05:44,620 --> 00:05:49,420 お願いだからさ…。 57 00:05:49,420 --> 00:05:58,960 だから… 何だ? 58 00:05:58,960 --> 00:06:01,870 えっ? 59 00:06:01,870 --> 00:06:05,370 化けもんじゃねえぞ。 60 00:06:05,370 --> 00:06:10,910 父さん… 父さん…。 61 00:06:10,910 --> 00:06:18,650 と… と… 父さん 起きたよ! 父さん 起きた! 62 00:06:18,650 --> 00:06:22,250 父さん…。 父さん? 父さん? 63 00:06:22,250 --> 00:06:24,190 おめえ 帰ってたのか。 64 00:06:24,190 --> 00:06:29,930 とっくだよ。 おとうさん 3日も寝たままだったのよ!? 65 00:06:29,930 --> 00:06:33,800 私 お医者さん 呼んできます。 あ~ あ~…。 66 00:06:33,800 --> 00:06:39,800 浩二と2人にしてくれねえか。 67 00:06:49,950 --> 00:06:55,750 浩二…。 うん? 68 00:06:55,750 --> 00:07:02,890 おめえには さんざん迷惑かけて悪がったな。 69 00:07:02,890 --> 00:07:06,190 何だよ… 気持ち悪い。 70 00:07:08,570 --> 00:07:16,770 店 継いでくれた時は… 腹の底から うれしかった。 71 00:07:20,180 --> 00:07:23,910 本当は 兄ちゃんの方がいがったろ? 72 00:07:23,910 --> 00:07:28,390 ハッ… バカ言え。 73 00:07:28,390 --> 00:07:32,190 あいづは音楽しか能がねえんだから。 74 00:07:37,390 --> 00:07:46,590 俺… 2人が音楽の話するのが ずっと嫌だった。 75 00:07:48,610 --> 00:07:52,410 全然 話題に入れねえしさ。 76 00:07:52,410 --> 00:08:00,120 音楽があったから あいづと話ができたんだ。 77 00:08:00,120 --> 00:08:07,930 浩二とは 何がなくても 言いてえこと言い合ってきたべ。 78 00:08:07,930 --> 00:08:11,630 なっ? ハハッ。 うん。 79 00:08:15,230 --> 00:08:19,730 いいか? 浩二。 うん? 80 00:08:26,240 --> 00:08:33,240 俺が死んだら… 喪主は おめえだ。 81 00:08:36,750 --> 00:08:42,390 喜多一を継いだやつが➡ 82 00:08:42,390 --> 00:08:47,190 この家の主だ 家長だ。 83 00:08:49,170 --> 00:08:56,270 この家も土地も 全部 おめえが引き継げ。 84 00:08:56,270 --> 00:09:03,270 喜多一の土地と家 全部 浩二に譲らせてくれ! 85 00:09:04,980 --> 00:09:13,060 おめえは古山家の長男だ。 けど 俺は 喜多一を継いでくれた浩二にやりてえ。 86 00:09:13,060 --> 00:09:16,930 それぐれえしか あいづにしてやれることがねえんだ! 87 00:09:16,930 --> 00:09:22,770 いや… もちろんだよ 父さん。 父さんの好きにして。 88 00:09:22,770 --> 00:09:25,240 本当か!? 89 00:09:25,240 --> 00:09:28,240 ちゃんと承諾取ったから。 90 00:09:33,940 --> 00:09:39,140 母さんのこと… 頼んだぞ。 91 00:09:45,260 --> 00:09:48,760 聞いてんのか? 92 00:09:48,760 --> 00:09:51,460 聞いてるよ。 93 00:09:54,400 --> 00:10:02,140 何だよ… 口約束ばっかし…。 94 00:10:02,140 --> 00:10:06,410 だから だまされんだよ。 95 00:10:06,410 --> 00:10:09,950 おめえは だまさねえ。 96 00:10:09,950 --> 00:10:12,280 分かんねえぞ。 97 00:10:12,280 --> 00:10:17,790 長生きしねえと 何すっか分かんねえぞ。 98 00:10:17,790 --> 00:10:23,590 フフフフ…。 笑い事じゃねえって。 99 00:10:23,590 --> 00:10:28,500 俺のこと ちゃんと見張ってろよ。 100 00:10:28,500 --> 00:10:32,800 もっと…➡ 101 00:10:32,800 --> 00:10:38,610 もっと長生きしてくれ。 102 00:10:38,610 --> 00:10:41,310 生きてくれ…。 103 00:10:45,320 --> 00:10:52,990 おめえ… いいやつだな。 104 00:10:52,990 --> 00:11:06,100 (泣き声) 105 00:11:06,100 --> 00:11:14,600 おめえらのおかげで… いい人生だった。 106 00:11:18,680 --> 00:11:23,290 ありがとな。 107 00:11:23,290 --> 00:11:26,290 父さん…。 ありがとう。 108 00:11:29,430 --> 00:11:52,150 ♬~(ハーモニカ) 109 00:11:52,150 --> 00:11:58,350 その夜 三郎は安らかに息を引き取りました。 110 00:12:14,940 --> 00:12:17,270 世話になりました。 111 00:12:17,270 --> 00:12:23,950 いつでも帰ってきてね。 はい。 112 00:12:23,950 --> 00:12:28,950 華ちゃん また来てね。 113 00:12:32,290 --> 00:12:43,300 (鳥の鳴き声) 114 00:12:43,300 --> 00:12:47,170 兄ちゃん…。 115 00:12:47,170 --> 00:12:51,810 俺 りんご やんだ。 116 00:12:51,810 --> 00:12:54,310 うまいの出来たら 送るよ。 117 00:12:57,310 --> 00:13:03,590 ありがとう。 浩二 元気でな。 118 00:13:03,590 --> 00:13:05,890 うん。 母さんもね。 119 00:13:10,460 --> 00:13:16,660 喜多一を出た裕一は あの人のところへ やって来ました。 120 00:13:18,600 --> 00:13:21,100 (せきばらい) お… 伯父さん あの…➡ 121 00:13:21,100 --> 00:13:23,770 お… お花 ありがとうございました。 122 00:13:23,770 --> 00:13:27,640 (茂兵衛)行かなくて悪いな。 どうせ あの世で会えっから。 123 00:13:27,640 --> 00:13:31,950 アハハハ…。 いえ… あっ。 124 00:13:31,950 --> 00:13:38,120 ち… 父の生前は ご心配やご迷惑を おかけして申し訳ありませんでした。 125 00:13:38,120 --> 00:13:43,790 と… というより あの… 僕が 本当に身勝手で➡ 126 00:13:43,790 --> 00:13:45,830 伯父さんの期待に沿えなくて➡ 127 00:13:45,830 --> 00:13:49,970 ご… ごめんなさい。 128 00:13:49,970 --> 00:13:54,810 (茂兵衛)いいだろう? この曲線。 129 00:13:54,810 --> 00:13:58,980 本当は ずっと これがやりたかったのよ。 130 00:13:58,980 --> 00:14:06,250 没頭できるってのは いいことだな~。 ちっとも飽きねえ。 131 00:14:06,250 --> 00:14:13,590 好きなことだけで飯食えるやつなんざ 一握りだ。 132 00:14:13,590 --> 00:14:20,460 せいぜい気張って かみさんと子どもに 苦労かけるんでねえぞ。 133 00:14:20,460 --> 00:14:22,760 はい! (茂兵衛)うん。 134 00:14:24,600 --> 00:14:27,400 ほれ… 夫婦茶わんだ。 持ってけ。 135 00:14:27,400 --> 00:14:31,700 あっ…。 ありがとうございます。 ありがとうございます。 136 00:14:37,610 --> 00:14:41,280 あれ? これ…。 あの これ どっちがどっちですか? 137 00:14:41,280 --> 00:14:44,980 どっちですか? これ…。 (茂兵衛)見れば 分かっぺ! 138 00:14:49,630 --> 00:14:55,330 ハハハハ…。 フフフ…。