1 00:00:22,930 --> 00:00:26,800 (光子)学校は どう? (梅)何が? 2 00:00:26,800 --> 00:00:31,940 何かあったかな~って。 何もないよ。 3 00:00:31,940 --> 00:00:36,110 そう。 ≪(戸が開く音) 4 00:00:36,110 --> 00:00:38,410 岩城さんだ。 5 00:00:40,410 --> 00:00:44,620 いっつも この時間だよ。 6 00:00:44,620 --> 00:00:49,290 岩城さんって 歌がうまいのよ。 意外でしょ? 7 00:00:49,290 --> 00:00:52,630 ううん。 昔 聴いたことあるから。 8 00:00:52,630 --> 00:00:58,300 へえ~ そうなの 初耳。 どこで? 9 00:00:58,300 --> 00:01:04,100 忘れた。 ふ~ん。 10 00:01:04,100 --> 00:01:07,800 (安隆)いや… 出づらいな~。 11 00:01:10,380 --> 00:01:13,750 はあ… いい匂いだのん。 12 00:01:13,750 --> 00:01:16,580 おっ! 13 00:01:16,580 --> 00:01:20,390 あ~ さすがだわ~。 14 00:01:20,390 --> 00:01:24,590 ≪♬~(鼻歌) 15 00:01:24,590 --> 00:01:31,290 ♬~(鼻歌) 16 00:01:35,270 --> 00:01:38,140 見えとらんはずだが? 17 00:01:38,140 --> 00:01:51,680 ♬~ 18 00:01:51,680 --> 00:01:54,680 すごいな~ こいつ! 19 00:01:59,290 --> 00:02:01,890 ええ~っ!? だ… 黙って。 静かに! 20 00:02:01,890 --> 00:02:03,930 (岩城)おかみさん ご無事ですかね? 21 00:02:03,930 --> 00:02:07,570 そこ… そこ!➡ 22 00:02:07,570 --> 00:02:11,900 あっ 危ない! (岩城)えっ? 23 00:02:11,900 --> 00:02:15,740 いや… よく分からん。 24 00:02:15,740 --> 00:02:18,640 中で話そまい みつ。 あっ はい そうしましょう。 25 00:02:18,640 --> 00:02:21,250 おかみさん 誰としゃべっとるんですかね? 26 00:02:21,250 --> 00:02:23,750 安隆さん。 えっ? 27 00:02:23,750 --> 00:02:27,950 あっ… そ… 掃除 掃除。 28 00:02:29,560 --> 00:02:32,460 いい写真を選んでくれたな~ ヘヘッ。 29 00:02:32,460 --> 00:02:37,930 そんな話じゃないでしょ。 どうしたの? 何があったの? 30 00:02:37,930 --> 00:02:42,270 くじで 地上への旅が当たったで 来れたんだわ。 31 00:02:42,270 --> 00:02:45,100 はあ… 何が何だか…。 32 00:02:45,100 --> 00:02:48,410 あっ… 音は 割とすぐに 受け入れてくれたんだが。 33 00:02:48,410 --> 00:02:51,310 ああ… あの子らしいわ。 34 00:02:51,310 --> 00:02:56,120 あっ 裕一君 いい男だ! 安心した。 35 00:02:56,120 --> 00:02:59,150 少し頼りないけどね。 36 00:02:59,150 --> 00:03:03,920 それそれ。 何? 37 00:03:03,920 --> 00:03:09,620 みつの毒舌 黒蜜 フフッ。 何か楽しいわ。 38 00:03:16,740 --> 00:03:19,370 フフッ…。 39 00:03:19,370 --> 00:03:27,750 あなただわ。 間違いない! フフフ…。 40 00:03:27,750 --> 00:03:33,620 いざとなったら 何を話していいか分からんくなる。 41 00:03:33,620 --> 00:03:38,390 フッ フフ…。 42 00:03:38,390 --> 00:03:40,330 踊る? 43 00:03:40,330 --> 00:03:42,330 えっ? 44 00:03:44,600 --> 00:03:46,530 あっ…。 45 00:03:46,530 --> 00:03:48,770 (笑い声) 46 00:03:48,770 --> 00:04:04,770 ♬~ 47 00:04:06,720 --> 00:04:10,560 新人賞を取った子は 梅の昔の友達だってことか? 48 00:04:10,560 --> 00:04:15,060 うん。 ペンネーム使っとったから 最初は分からんかったんだけど➡ 49 00:04:15,060 --> 00:04:18,260 手紙が来たの。 ふ~ん。 50 00:04:21,730 --> 00:04:25,570 「拝啓 関内 梅様➡ 51 00:04:25,570 --> 00:04:33,310 私は あれから小説家を目指し 日々 精進しておりました。➡ 52 00:04:33,310 --> 00:04:40,590 その甲斐あり 16歳の時に初めて応募した 『文藝ノ友』という雑誌で➡ 53 00:04:40,590 --> 00:04:43,390 新人賞を頂き➡ 54 00:04:43,390 --> 00:04:48,690 幸 文子という名前で 作家活動を始めました」。 55 00:04:51,100 --> 00:04:56,400 何で? どうして彼女が? 56 00:04:58,970 --> 00:05:03,740 小さい頃 唯一の友達だった 結ちゃんだったの。 57 00:05:03,740 --> 00:05:06,880 あ~ 結ちゃん! うん。 58 00:05:06,880 --> 00:05:11,220 (結)「悪い人という一種の人間が 世の中にあると➡ 59 00:05:11,220 --> 00:05:17,090 君は思ってるんですか? そんな そんな」…。 60 00:05:17,090 --> 00:05:20,560 貸しん。 61 00:05:20,560 --> 00:05:23,460 「そんな鋳型に入れたような悪人は➡ 62 00:05:23,460 --> 00:05:26,060 世の中にあるはずがありませんよ。➡ 63 00:05:26,060 --> 00:05:28,100 平生は みんな 善人なんです。➡ 64 00:05:28,100 --> 00:05:30,940 少なくとも みんな 普通の人間なんです。➡ 65 00:05:30,940 --> 00:05:37,080 それが いざという間際に 急に 悪人に変わるんだから恐ろしいのです」。 66 00:05:37,080 --> 00:05:40,910 どう? すばらしい 人への考察でしょう。 67 00:05:40,910 --> 00:05:45,580 う… うん! ちいと難しい。 68 00:05:45,580 --> 00:05:48,620 やめる? 69 00:05:48,620 --> 00:05:53,090 ううん… やる! 70 00:05:53,090 --> 00:05:59,260 手紙には 梅への感謝とか励ましとか➡ 71 00:05:59,260 --> 00:06:02,700 編集者さん 紹介してあげるよとか 書いてあったんだけど。 72 00:06:02,700 --> 00:06:09,340 ふ~ん よかったじゃんか~。 持つべきものは友だな! 73 00:06:09,340 --> 00:06:13,210 幸せな人ね…。 えっ? 74 00:06:13,210 --> 00:06:17,080 フフッ。 75 00:06:17,080 --> 00:06:25,920 こ~んな形の 頭につけてる人に 「幸せ」って言うのもなんだけど。 76 00:06:25,920 --> 00:06:30,760 同い年よ? 梅が 文学を教えてあげとった子よ? うん。 77 00:06:30,760 --> 00:06:36,230 その子が 日本で一番すごい 新人賞を取ったの。 うん。 78 00:06:36,230 --> 00:06:41,230 どう思う? 友達だろ? うれしい! 79 00:06:43,380 --> 00:06:47,910 私… 安隆さんの そういうところが好き! 80 00:06:47,910 --> 00:06:50,250 (笑い声) 81 00:06:50,250 --> 00:06:57,020 最近は小説も書いとらんし 話も ろくにせんし➡ 82 00:06:57,020 --> 00:07:00,860 正直 お手上げ。 83 00:07:00,860 --> 00:07:04,060 俺 話してみるよ。 84 00:07:06,030 --> 00:07:08,330 本当? うん。 85 00:07:10,870 --> 00:07:12,900 ただいま~。 86 00:07:12,900 --> 00:07:15,100 ≪(光子)お帰り~! 87 00:07:28,720 --> 00:07:31,360 恨めしや…。 88 00:07:31,360 --> 00:07:34,060 お父さん? 89 00:07:34,060 --> 00:07:37,730 恨めしや…。 お父さんでしょう? 90 00:07:37,730 --> 00:07:41,600 怖くないんか? 怖くないよ。 91 00:07:41,600 --> 00:07:44,240 お前 動じんな…。 92 00:07:44,240 --> 00:07:47,570 幽霊なんて 文学じゃ ありふれとるよ。 93 00:07:47,570 --> 00:07:52,870 アハハ… 久しぶり。 94 00:07:55,080 --> 00:07:59,280 お帰り。 フッ フフ…。 95 00:08:00,890 --> 00:08:04,190 ああ…。 96 00:08:04,190 --> 00:08:07,530 どうしたの? いつまでいるの? 97 00:08:07,530 --> 00:08:13,200 今日帰る。 閻魔様に怒られるからな。 98 00:08:13,200 --> 00:08:15,200 そう…。 99 00:08:17,540 --> 00:08:22,540 結ちゃんの受賞作 読んだか? 100 00:08:25,040 --> 00:08:27,880 読んだ。 101 00:08:27,880 --> 00:08:32,050 どうだ? 102 00:08:32,050 --> 00:08:35,850 すごかった… すばらしかった。 103 00:08:38,820 --> 00:08:44,120 まあ ただ…。 ただ? 104 00:08:46,900 --> 00:08:49,200 ううん 何でもない。 105 00:08:55,070 --> 00:08:58,110 梅…➡ 106 00:08:58,110 --> 00:09:01,610 自分の弱さを見せたくないんか? 107 00:09:03,780 --> 00:09:11,320 幸い お父さんは あの世の人だ。 明日には この世におらん。 108 00:09:11,320 --> 00:09:18,860 お父さんに 自分の正直な気持ち 教えてくれんか? 109 00:09:18,860 --> 00:09:32,710 ♬~ 110 00:09:32,710 --> 00:09:35,210 悔しい。 111 00:09:35,210 --> 00:09:37,550 どうして最初に褒めた? 112 00:09:37,550 --> 00:09:41,720 だって 新人賞だよ? 賞とか関係ない。 113 00:09:41,720 --> 00:09:47,720 心の底から 結ちゃんの作品 認めとるんか? 114 00:09:50,430 --> 00:09:55,570 負けを認めるってことは大切なことだ。 115 00:09:55,570 --> 00:10:03,570 負けを受け入れるから 人は成長したり 違うことに挑戦できるんだ。 116 00:10:10,380 --> 00:10:13,250 お父さんは そういう経験あるん? 117 00:10:13,250 --> 00:10:16,150 ハハッ 岩城だ。➡ 118 00:10:16,150 --> 00:10:24,960 あいつには勝てんから 父さんは職人をやめて 経営に専念した。 119 00:10:24,960 --> 00:10:28,400 へえ… そっか。 120 00:10:28,400 --> 00:10:30,470 そんな すごいんだ。 121 00:10:30,470 --> 00:10:35,970 ず~っと うちに仕事があるのは あいつのおかげだ。 122 00:10:41,980 --> 00:10:47,620 岩城さん… お母さんのこと 好きだよ。 123 00:10:47,620 --> 00:10:50,960 再婚するって言ったら つらい? 124 00:10:50,960 --> 00:10:53,790 う~ん…。 125 00:10:53,790 --> 00:11:01,370 お父さんは うれしい。 2人とも大好きだから フフッ。 126 00:11:01,370 --> 00:11:03,300 フッ。 フフッ。 127 00:11:03,300 --> 00:11:08,570 ハハハハハ…! えっ? 128 00:11:08,570 --> 00:11:15,250 お父さんって… 何だろう… いいな。 129 00:11:15,250 --> 00:11:20,920 あっ… 何だよ~ 真面目な話をそらすな。 130 00:11:20,920 --> 00:11:25,590 違うの。 分かったの。 131 00:11:25,590 --> 00:11:29,260 分かったような気がした。 132 00:11:29,260 --> 00:11:37,140 私 今まで 全てのことを 斜めから見過ぎとったかもしれん。 133 00:11:37,140 --> 00:11:45,410 これからは まっすぐ生きてみる。 自分とか小説 まっすぐ表現してみる。 134 00:11:45,410 --> 00:11:47,350 お父さん 見習って。 135 00:11:47,350 --> 00:11:54,420 俺? あっ… そうか? あ~ まあ… それならそれで。 136 00:11:54,420 --> 00:11:56,620 (笑い声) 137 00:12:00,890 --> 00:12:03,190 お父さん ありがとう。 138 00:12:05,730 --> 00:12:10,900 梅… ごめんな。 139 00:12:10,900 --> 00:12:14,570 頑張りん。 140 00:12:14,570 --> 00:12:17,570 うん! お父さん あったかい。 141 00:12:25,080 --> 00:12:28,950 ごはん 一緒に食べてったらいいのに! 142 00:12:28,950 --> 00:12:32,450 食べとったら あの世に戻れんくなる。 143 00:12:37,800 --> 00:12:43,270 仕事も子どもも… 大変だったろうな。 144 00:12:43,270 --> 00:12:47,570 ううん… ううん…。 145 00:12:52,940 --> 00:12:55,240 あっという間だった。 146 00:12:58,750 --> 00:13:00,750 ありがとう。 147 00:13:09,430 --> 00:13:14,230 もっと… お前たちと いたいけど…。 148 00:13:18,240 --> 00:13:24,740 みんな それぞれ 幸せを見つけとって安心した。 149 00:13:30,380 --> 00:13:32,380 じゃあな。 150 00:13:37,090 --> 00:13:39,120 ありがとう…。 151 00:13:39,120 --> 00:13:43,960 また あの世で。 フフッ。 152 00:13:43,960 --> 00:14:54,260 ♬~