1 00:00:33,831 --> 00:00:37,719 ♬~ 2 00:00:37,719 --> 00:00:41,406 <この日 小金井橋での果たし合いの件で➡ 3 00:00:41,406 --> 00:00:46,444 小籐次は 南町奉行所の裁きを受けていた> 4 00:00:46,444 --> 00:00:50,465 (山岡備前守)赤目小籐次! (小籐次)はっ! 5 00:00:50,465 --> 00:00:53,234 小金井橋近くでの こたびの騒動➡ 6 00:00:53,234 --> 00:00:58,234 町奉行として さすがに 目をつむる訳にもいかぬ! 7 00:01:05,380 --> 00:01:11,669 しかしだ 嘆願書が 3通。 8 00:01:11,669 --> 00:01:16,574 大番頭 水野監物様 紙問屋 久慈屋昌右衛門➡ 9 00:01:16,574 --> 00:01:23,414 更には 落命した 田尻藤次郎の主家➡ 10 00:01:23,414 --> 00:01:28,353 満島加賀守様からも届いておる。➡ 11 00:01:28,353 --> 00:01:32,073 本来ならば 遠島を申し渡すところであるが➡ 12 00:01:32,073 --> 00:01:39,781 きつく叱りおくをもって 沙汰と致す! 13 00:01:39,781 --> 00:01:42,967 ありがたき事に存じます。 14 00:01:42,967 --> 00:01:48,606 ♬~ 15 00:01:48,606 --> 00:01:51,306 (駿太郎)じいじ! 駿太郎。 16 00:01:53,394 --> 00:01:55,513 おこう殿。 (おこう)どんなお沙汰が出るか➡ 17 00:01:55,513 --> 00:01:58,700 気が気でなくて。 お叱りだけで済んだ。 18 00:01:58,700 --> 00:02:02,520 (勝五郎)ああ… 島流しと お叱りじゃ 雲泥の差だ。 19 00:02:02,520 --> 00:02:05,223 よかった よかった! (お麻)だって 赤目様一人が➡ 20 00:02:05,223 --> 00:02:07,275 お裁きを受けるのは おかしい事ですもの。 21 00:02:07,275 --> 00:02:10,645 (おきみ)そうよ! 相手があって した事なのにね。 22 00:02:10,645 --> 00:02:15,783 しかし これで わしも 本当に 足かせが取れた思いだ。 23 00:02:15,783 --> 00:02:20,338 そうですね。 これで 刺客なんぞ 差し向けられる事もないでしょう。 24 00:02:20,338 --> 00:02:26,377 よかったな じいじ。 うん。 よかった ハハハ…。 25 00:02:26,377 --> 00:02:31,683 よし! 今日は 祝い酒といくか? そうこなくっちゃ! 26 00:02:31,683 --> 00:02:36,738 <御鑓拝借騒動に関わる事は これにて 全て解決した。➡ 27 00:02:36,738 --> 00:02:38,940 しかし このあと 小籐次が➡ 28 00:02:38,940 --> 00:02:42,877 またしても 刺客に狙われる事になろうとは> 29 00:02:42,877 --> 00:02:50,777 ♬~(テーマ音楽) 30 00:02:53,071 --> 00:03:01,971 (鈴の音) 31 00:03:08,820 --> 00:03:16,894 あれから もう10年。 早いものだ。 32 00:03:16,894 --> 00:03:19,013 はい。 33 00:03:19,013 --> 00:03:24,218 子供の頃は 病気一つしなかった伊助が➡ 34 00:03:24,218 --> 00:03:28,806 あんなにあっけなく 逝ってしまうとはな。 35 00:03:28,806 --> 00:03:34,579 今も 時折 思い浮かべます 父の事。 36 00:03:34,579 --> 00:03:38,149 ♬~ 37 00:03:38,149 --> 00:03:40,868 (高田屋甚左衛門) 皆様もご存じのとおり➡ 38 00:03:40,868 --> 00:03:46,391 大店 久慈屋は 跡取りを 早くに亡くし➡ 39 00:03:46,391 --> 00:03:50,978 娘婿も決まっておりませぬ。 40 00:03:50,978 --> 00:03:58,236 私たちが束になってもかなわない 大店 久慈屋が。 41 00:03:58,236 --> 00:04:02,039 ♬~ 42 00:04:02,039 --> 00:04:07,445 昌右衛門の寿命も そう長くはありますまい。 43 00:04:07,445 --> 00:04:14,919 主を失えば 久慈屋の屋台骨は 一気に崩れましょう。 44 00:04:14,919 --> 00:04:18,706 そこで 我ら3名が 知恵を出し合えば➡ 45 00:04:18,706 --> 00:04:23,678 あの大店を 思うがままに。 46 00:04:23,678 --> 00:04:27,248 しかし たとえ 昌右衛門が逝ってしまっても➡ 47 00:04:27,248 --> 00:04:30,301 あそこには 観右衛門という なかなかの大番頭がいる。 48 00:04:30,301 --> 00:04:34,105 それに 赤目小籐次。 49 00:04:34,105 --> 00:04:38,843 たった一人で 13人も相手にした あの? 50 00:04:38,843 --> 00:04:41,846 ヤツは 随分と 久慈屋の世話になっている。 51 00:04:41,846 --> 00:04:46,818 おかしな手出しをしたら 必ずや 赤目に潰される事になる。 52 00:04:46,818 --> 00:04:51,773 ならば 赤目から 始末致しましょう。 53 00:04:51,773 --> 00:04:55,009 始末って? どうやって? 54 00:04:55,009 --> 00:05:02,116 私らの名は出さずに 賞金を 懸けるのですよ 赤目の首に。 55 00:05:02,116 --> 00:05:08,706 賞金? 10両ですか? 20両ですか? 56 00:05:08,706 --> 00:05:13,211 1千両。 (2人)1千両? 57 00:05:13,211 --> 00:05:18,182 久慈屋を乗っ取るためと 考えるなら それでも安い。 58 00:05:18,182 --> 00:05:22,470 そんな! いくら何でも 1千両って。 59 00:05:22,470 --> 00:05:26,574 面白い。 美濃屋さん。 60 00:05:26,574 --> 00:05:30,812 高田屋さん 乗ろうじゃないか その話。 61 00:05:30,812 --> 00:05:33,414 百両でもいいところを 1千両。 62 00:05:33,414 --> 00:05:36,484 これなら 飛びつく命知らずが 次々と現れ➡ 63 00:05:36,484 --> 00:05:40,071 必ずや 赤目の首を取る。 64 00:05:40,071 --> 00:05:44,108 赤目が死んだと分かれば 久慈屋は…。 65 00:05:44,108 --> 00:05:47,745 美濃屋さんが そう言うなら 私も。 66 00:05:47,745 --> 00:05:50,445 では すぐにでも 取りかかりましょうか。 67 00:05:52,533 --> 00:05:54,633 ひと首 千両。 68 00:05:56,838 --> 00:06:00,374 (おうづ)取れたての青物 安いよ 安いよ! 69 00:06:00,374 --> 00:06:03,678 いろいろ そろってるよ! いらっしゃい! 70 00:06:03,678 --> 00:06:06,778 (女)大根とごぼう頂戴。 (おうづ)毎度! 71 00:06:09,116 --> 00:06:24,181 ♬~ 72 00:06:24,181 --> 00:06:27,802 赤目様 どうしたの? いや。 73 00:06:27,802 --> 00:06:32,673 今 侍が それがしを見ていた。 74 00:06:32,673 --> 00:06:34,926 それで その侍は? 75 00:06:34,926 --> 00:06:38,880 振り向くと 姿が消えていた。 76 00:06:38,880 --> 00:06:44,535 気味が悪いわね。 よもや あの男ではあるまいか? 77 00:06:44,535 --> 00:06:47,471 (能見)おのれ! 赤目! 78 00:06:47,471 --> 00:06:51,309 父上! 父上! 79 00:06:51,309 --> 00:06:54,779 ♬~ 80 00:06:54,779 --> 00:06:57,481 <そのころ 能見五郎兵衛は➡ 81 00:06:57,481 --> 00:07:03,081 満島加賀守の下屋敷で 座敷牢に入れられていた> 82 00:07:05,940 --> 00:07:10,845 <小金井橋での事件の首謀者と 見なされていたからである> 83 00:07:10,845 --> 00:07:15,545 (内方)能見様 粥をお持ちしました。 84 00:07:18,819 --> 00:07:22,719 少しは食べぬと お体にお悪い。 85 00:07:25,710 --> 00:07:29,814 内方。 はっ。 86 00:07:29,814 --> 00:07:33,014 俺は し残した事がある。 87 00:07:36,304 --> 00:07:39,907 一刻も早く ここから出ねばならぬ。 88 00:07:39,907 --> 00:07:44,407 そのような事は。 頼める者は そなたしかおらぬ! 89 00:07:46,547 --> 00:07:49,250 お気持ち お察し申し上げます。 90 00:07:49,250 --> 00:07:55,050 しかし それがしにはできませぬ。 91 00:07:57,508 --> 00:07:59,908 そうか…。 92 00:08:01,946 --> 00:08:04,446 そうだったな。 93 00:08:07,702 --> 00:08:09,902 能見様。 94 00:08:14,075 --> 00:08:16,877 あら? 赤目様。 やっと お帰りかい? 95 00:08:16,877 --> 00:08:20,147 駆け込みの客が多くての。 早く帰ってあげて。 96 00:08:20,147 --> 00:08:22,466 駿ちゃんに 「夕餉 一緒に どうだい?」って言ったけど➡ 97 00:08:22,466 --> 00:08:25,186 「じいじが戻るまで待つ」って 聞かないんだから。 98 00:08:25,186 --> 00:08:27,288 かたじけない。 ごめん。 99 00:08:27,288 --> 00:08:29,306 (谷路遠光)や~っ! (女たち)きゃ~っ!➡ 100 00:08:29,306 --> 00:08:31,809 わっ! わっ! わっ! わっ! 101 00:08:31,809 --> 00:08:34,578 何ヤツだ? 102 00:08:34,578 --> 00:08:39,100 ひと首千両 頂戴に参った。 103 00:08:39,100 --> 00:08:42,019 ひと首千両? ≪(勝五郎)何だい? 何だい? 104 00:08:42,019 --> 00:08:46,907 何の騒ぎだい? おっ! 抜いてるよ このお侍。 105 00:08:46,907 --> 00:08:50,177 (新兵衛)赤目様! これは 一体? 106 00:08:50,177 --> 00:08:53,547 ふん! 107 00:08:53,547 --> 00:08:56,067 (空蔵)事件だ! これは事件だよ。 108 00:08:56,067 --> 00:08:58,419 (桂三郎)お麻 しっかりしろ! 109 00:08:58,419 --> 00:09:00,738 赤目様 どういう事!? 110 00:09:00,738 --> 00:09:03,240 「もめ事は この長屋には 持ち込まないでおくれ」って➡ 111 00:09:03,240 --> 00:09:07,478 いつも 口を酸っぱくして 言ってるだろう!?➡ 112 00:09:07,478 --> 00:09:12,083 ちょっと 黙ってないでさ 何か言ったら どうだい!? 113 00:09:12,083 --> 00:09:15,519 いい加減にしねえか!? おきみ。 えっ? 114 00:09:15,519 --> 00:09:18,919 ♬~ 115 00:09:23,144 --> 00:09:26,947 私とした事が ちょっと 熱くなっちゃって。 116 00:09:26,947 --> 00:09:28,947 駿太郎。 117 00:09:32,153 --> 00:09:36,253 ご迷惑をかけ申した。 ごめん。 118 00:09:43,214 --> 00:09:47,701 この! 赤目の旦那だって 好きで狙われてる訳じゃねえや! 119 00:09:47,701 --> 00:09:50,101 そうだけどさ。 120 00:09:55,142 --> 00:09:58,863 さて 夕餉にするか? 121 00:09:58,863 --> 00:10:02,583 じいじ また 狙われてるのか? 122 00:10:02,583 --> 00:10:04,819 どうにも そうらしい。 123 00:10:04,819 --> 00:10:08,355 「ひと首千両」と申しておった。 124 00:10:08,355 --> 00:10:10,558 バカげた話だ。 125 00:10:10,558 --> 00:10:13,677 じいじ。 126 00:10:13,677 --> 00:10:15,877 案ずるな。 127 00:10:28,776 --> 00:10:32,596 昨夜 至ってのんきな裏長屋に➡ 128 00:10:32,596 --> 00:10:35,966 抜き身を手にした侍が 乗り込んできやがった。 129 00:10:35,966 --> 00:10:39,937 侍の目当ては あの御鑓拝借の忠義の勇士。 130 00:10:39,937 --> 00:10:43,440 その勇士に向かって言った ひと言が なんと➡ 131 00:10:43,440 --> 00:10:46,710 「ひと首千両」ときたもんだ! 132 00:10:46,710 --> 00:10:50,510 続きが読みたけりゃ さあ 買った! 買った! 133 00:10:52,700 --> 00:10:56,086 (美濃屋)随分と 騒ぎになりましたな。 134 00:10:56,086 --> 00:11:00,374 高田屋さん 私は 手を引かせてもらいますよ。 135 00:11:00,374 --> 00:11:05,646 (越前屋)美濃屋さんが そう おっしゃるのなら 私も。 136 00:11:05,646 --> 00:11:10,734 解せませぬな。 まだ 始まったばかりですのに。 137 00:11:10,734 --> 00:11:13,771 騒動が 大きくなり過ぎだよ! 高田屋さん。 138 00:11:13,771 --> 00:11:17,141 こんな事で ご公儀の お調べでもあった日には➡ 139 00:11:17,141 --> 00:11:19,176 たまったもんじゃない! 140 00:11:19,176 --> 00:11:23,147 弱気な。 美濃屋さんらしくありませんな。 141 00:11:23,147 --> 00:11:27,051 私はね 骨の髄まで商人でね。 142 00:11:27,051 --> 00:11:31,651 あなたのように お武家様の出ではないのでね。 143 00:11:44,151 --> 00:11:50,841 これは 長崎から取り寄せた ぶどう酒です。 144 00:11:50,841 --> 00:11:54,812 全て つつがなく済みましたら➡ 145 00:11:54,812 --> 00:11:58,916 祝いの酒にしようと 思っておりましたのに➡ 146 00:11:58,916 --> 00:12:04,855 まさか 幕引きの杯と なってしまおうとは。 147 00:12:04,855 --> 00:12:13,480 ♬~ 148 00:12:13,480 --> 00:12:16,233 どうなさいました? いや。 149 00:12:16,233 --> 00:12:21,939 あなたにしては 随分と 聞き分けがいいと思ってな。 150 00:12:21,939 --> 00:12:26,744 ハハハ… 私も おとなしくなりましたよ。 151 00:12:26,744 --> 00:12:28,846 久慈屋さんとの一件からね。 152 00:12:28,846 --> 00:12:33,784 その事は もう 忘れたほうがいい。 153 00:12:33,784 --> 00:12:39,056 ええ。 では。 154 00:12:39,056 --> 00:12:43,227 ♬~ 155 00:12:43,227 --> 00:12:45,262 う~ん。 156 00:12:45,262 --> 00:12:57,725 ♬~ 157 00:12:57,725 --> 00:13:01,645 うっ! ううっ! 158 00:13:01,645 --> 00:13:06,500 ♬~ 159 00:13:06,500 --> 00:13:09,870 高田屋! おのれ! 160 00:13:09,870 --> 00:13:15,459 ♬~ 161 00:13:15,459 --> 00:13:19,930 (美濃屋と越前屋のうめき声) 162 00:13:19,930 --> 00:13:29,907 ♬~ 163 00:13:29,907 --> 00:13:34,812 人には 忘れられない事が あるものですよ。 164 00:13:34,812 --> 00:13:43,270 (うめき声) 165 00:13:43,270 --> 00:13:53,514 ♬~ 166 00:13:53,514 --> 00:13:55,514 (美濃屋)ああっ! 167 00:14:00,587 --> 00:14:02,806 (商人1)全くひどい話だ!➡ 168 00:14:02,806 --> 00:14:05,676 結局 自分の息子たちを 婿養子に送り込んで! 169 00:14:05,676 --> 00:14:08,876 (商人2)これじゃ 体のいい乗っ取りだ! 170 00:14:20,474 --> 00:14:23,274 失礼致します。 171 00:14:28,515 --> 00:14:31,235 寄り合いは お済みでしょうか? 172 00:14:31,235 --> 00:14:34,972 今 終わりました。 173 00:14:34,972 --> 00:14:40,244 ですが 少しの間 ここで 飲ませてもらいましょうか。 174 00:14:40,244 --> 00:14:44,815 実に 気分がいいもので。 175 00:14:44,815 --> 00:14:46,815 はい。 176 00:14:53,474 --> 00:15:00,798 この万八楼で 赤目小籐次様は 1斗5升の酒を飲まれたそうで。 177 00:15:00,798 --> 00:15:04,251 はい。 178 00:15:04,251 --> 00:15:08,972 剣の腕が立つばかりではなく 酒にも強い。 179 00:15:08,972 --> 00:15:13,794 何とも 頼もしいお方ですな。 それは もう。 180 00:15:13,794 --> 00:15:20,918 時に 赤目様は 刃物研ぎを 稼業としておられるとか? 181 00:15:20,918 --> 00:15:23,036 はい。 182 00:15:23,036 --> 00:15:27,324 うちにも 1振り 研いで いただきたい刀があるのですが➡ 183 00:15:27,324 --> 00:15:29,643 赤目様が お見えになられましたなら➡ 184 00:15:29,643 --> 00:15:32,546 お伝えいただけますでしょうか? 185 00:15:32,546 --> 00:15:35,232 お刀ですか? 186 00:15:35,232 --> 00:15:40,332 な~に。 ちょいとした道楽ですよ。 187 00:15:42,973 --> 00:15:45,109 (走る足音) 188 00:15:45,109 --> 00:15:47,244 (女中たち)お帰りなさいませ。 (観右衛門)これは 赤目様。 189 00:15:47,244 --> 00:15:49,244 邪魔しておる。 190 00:15:53,667 --> 00:15:56,870 観右衛門殿 いかがなされた? 191 00:15:56,870 --> 00:16:01,842 実は 先日 紙問屋の主が2人 斬り殺されてしまって。 192 00:16:01,842 --> 00:16:06,180 何だと! 今日の寄り合いも その話で 持ちきりで。 193 00:16:06,180 --> 00:16:10,984 結局 何もかも 高田屋さんが 取りしきってしまったんですが。 194 00:16:10,984 --> 00:16:15,806 高田屋? 実は 高田屋さんと うちは➡ 195 00:16:15,806 --> 00:16:20,077 因縁がございましてね。 196 00:16:20,077 --> 00:16:25,816 旗本の家に 四男坊として生まれた私は➡ 197 00:16:25,816 --> 00:16:32,339 幼い頃から 読み書きそろばん そして 剣術においても➡ 198 00:16:32,339 --> 00:16:36,443 兄たちより優れておりました。 199 00:16:36,443 --> 00:16:42,549 なのに 父は 私を認めようとはしなかった。 200 00:16:42,549 --> 00:16:46,136 なぜでしょうか? 201 00:16:46,136 --> 00:16:51,536 私1人が 後添えの子だったからですよ。 202 00:16:54,261 --> 00:16:57,581 母には かわいがられましたよ。 203 00:16:57,581 --> 00:17:01,018 でも 父は それが 気に入らなかったのでしょう。 204 00:17:01,018 --> 00:17:03,987 [ 回想 ] (甚左衛門)父上 離してください! (父)うるさい! 205 00:17:03,987 --> 00:17:08,525 (高田屋)母は なんとか 私を 武家へ婿入りさせようと➡ 206 00:17:08,525 --> 00:17:10,978 父に勧めてくれました。➡ 207 00:17:10,978 --> 00:17:18,585 しかし 父は 首を縦には振らず 私を 商家に売り飛ばしたのです。 208 00:17:18,585 --> 00:17:21,672 母上! 209 00:17:21,672 --> 00:17:25,842 12で 奉公に出された私は➡ 210 00:17:25,842 --> 00:17:30,714 慣れぬ暮らしに 初めは かなり苦労致しました。 211 00:17:30,714 --> 00:17:35,786 それは それは 父を恨みました。 212 00:17:35,786 --> 00:17:41,441 何故 私が 家を 追い出されねばならぬのか。 213 00:17:41,441 --> 00:17:46,241 何故 母と会う事すらも 許されぬのか。 214 00:17:48,448 --> 00:17:50,484 そうですか。 215 00:17:50,484 --> 00:17:58,175 そんな私を支えて 商売のイロハを 教えてくださったのが➡ 216 00:17:58,175 --> 00:18:01,612 久慈屋昌右衛門様。 217 00:18:01,612 --> 00:18:07,451 以来 私は 商いの父と 仰いでおります。 218 00:18:07,451 --> 00:18:10,637 店を任されるようになった 高田屋さんは➡ 219 00:18:10,637 --> 00:18:13,774 小さな店を だいぶ大きくされました。 220 00:18:13,774 --> 00:18:18,412 ただ やり口が やはり強引で。 221 00:18:18,412 --> 00:18:20,864 どのような? 買い占め➡ 222 00:18:20,864 --> 00:18:24,084 仲間への脅し お役人への賄賂。 223 00:18:24,084 --> 00:18:28,672 更には 先代の主である 伊助さんが亡くなると➡ 224 00:18:28,672 --> 00:18:31,458 連日のように 旦那様を訪ね➡ 225 00:18:31,458 --> 00:18:37,214 息子さんを この店の婿にしようと。 226 00:18:37,214 --> 00:18:40,017 あまりにも強引なやり方を いさめるために➡ 227 00:18:40,017 --> 00:18:43,570 私は 旦那様には無断で➡ 228 00:18:43,570 --> 00:18:50,177 高田屋さんの取引先に手を回して 紙を買わせなくしました。 229 00:18:50,177 --> 00:18:52,679 それは 高田屋も困ったであろう? 230 00:18:52,679 --> 00:18:56,350 ええ。 潰れる寸前までいきました。 231 00:18:56,350 --> 00:19:02,322 すると 高田屋さんは この店まで やって来て 衆目の中 土下座を。 232 00:19:02,322 --> 00:19:06,143 ♬~ 233 00:19:06,143 --> 00:19:08,645 実の父だけでなく➡ 234 00:19:08,645 --> 00:19:13,250 商いの父である あなた様にまでも 捨てられるのであれば➡ 235 00:19:13,250 --> 00:19:16,903 私は 生きていてもしかたがない! 236 00:19:16,903 --> 00:19:20,707 今すぐにでも この命 捨て去ります! 237 00:19:20,707 --> 00:19:25,078 (観右衛門)旦那様は 「潰すまで する事はない」とおっしゃり➡ 238 00:19:25,078 --> 00:19:27,881 うちへの出入りを 差し止めるという事で➡ 239 00:19:27,881 --> 00:19:30,884 お許しになられたので。 240 00:19:30,884 --> 00:19:37,374 まことに 久慈屋昌右衛門様は 大きなお方。 241 00:19:37,374 --> 00:19:41,978 私にとっては 気高き山。 242 00:19:41,978 --> 00:19:46,800 ♬~ 243 00:19:46,800 --> 00:19:54,074 いつか 私も その山の頂まで たどりつきたい。 244 00:19:54,074 --> 00:19:58,478 そして そこで見えるものを 見てみたい。 245 00:19:58,478 --> 00:20:01,381 何としてでも。 246 00:20:01,381 --> 00:20:04,281 ♬~ 247 00:20:15,929 --> 00:20:22,803 ♬~ 248 00:20:22,803 --> 00:20:24,903 おぬし 以前の? 249 00:20:26,873 --> 00:20:29,159 おりゃ~っ! 250 00:20:29,159 --> 00:20:38,919 ♬~ 251 00:20:38,919 --> 00:20:42,005 「ひと首千両」とは どういう事だ!? 252 00:20:42,005 --> 00:20:44,691 答えろ! 投げ込まれたんだ 書状が! 253 00:20:44,691 --> 00:20:48,278 書状? 254 00:20:48,278 --> 00:20:51,064 (おりょう)「赤目小籐次を 討ち取りせし者に➡ 255 00:20:51,064 --> 00:20:54,401 金1千両を進呈し候。➡ 256 00:20:54,401 --> 00:20:58,038 これは 嘘偽りにあらず。➡ 257 00:20:58,038 --> 00:21:01,141 金満仙人」。 258 00:21:01,141 --> 00:21:06,847 どうにも 面倒事に 巻き込まれる定めのようじゃ。 259 00:21:06,847 --> 00:21:10,667 このような事をなさるのは 赤目様を討ち取る事で➡ 260 00:21:10,667 --> 00:21:13,603 より多くの利を得る方の仕業では ないでしょうか? 261 00:21:13,603 --> 00:21:17,207 千両以上の利。 262 00:21:17,207 --> 00:21:20,507 それがしには 全く見当がつかぬ。 263 00:21:24,131 --> 00:21:26,466 いかがなされた? いえ。 264 00:21:26,466 --> 00:21:30,921 この書状に使われた紙が 気になりまして。 265 00:21:30,921 --> 00:21:33,540 紙? はい。 266 00:21:33,540 --> 00:21:36,576 私 和歌をたしなみますもので➡ 267 00:21:36,576 --> 00:21:41,314 歌会の時には いろいろな土地の 紙を用いる趣向がございます。 268 00:21:41,314 --> 00:21:44,534 珍しい紙にござるか? はい。 269 00:21:44,534 --> 00:21:47,170 私も 一度だけ…。 270 00:21:47,170 --> 00:21:52,309 あっ 思い出しました! これは きっと 越後の紙です。 271 00:21:52,309 --> 00:21:57,409 越後? 確か 雪床紙とか。 272 00:22:00,834 --> 00:22:04,938 さすが おりょう殿。 よい事を聞いた。 273 00:22:04,938 --> 00:22:09,242 この紙が 何かの手がかりに なるやもしれぬ。 274 00:22:09,242 --> 00:22:11,711 赤目様は 命の恩人。 275 00:22:11,711 --> 00:22:16,817 ご恩に 少しでも報いる事が できれば 私もうれしいです。 276 00:22:16,817 --> 00:22:19,853 かたじけない。 277 00:22:19,853 --> 00:22:25,353 もとはといえば それがしの行いが招いた事。 278 00:22:28,078 --> 00:22:34,178 おりょう殿 夜は よく眠れまするか? 279 00:22:36,219 --> 00:22:39,973 私 このごろ よく 夢を見ます。 280 00:22:39,973 --> 00:22:48,148 夢? よもや かどわかされる 夢ではあるまいな? 281 00:22:48,148 --> 00:22:51,134 違います。 282 00:22:51,134 --> 00:22:53,537 ならば よかった。 283 00:22:53,537 --> 00:22:58,575 ♬~ 284 00:22:58,575 --> 00:23:01,375 ご安心ください。 285 00:23:03,513 --> 00:23:07,984 見るのは それはよい夢ですから。 286 00:23:07,984 --> 00:23:20,430 ♬~ 287 00:23:20,430 --> 00:23:23,166 満月にございますな。 288 00:23:23,166 --> 00:23:28,071 ♬~ 289 00:23:28,071 --> 00:23:32,025 [ 心の声 ] それは よい夢です。 290 00:23:32,025 --> 00:23:43,425 ♬~ 291 00:23:46,539 --> 00:23:49,676 赤目様 いらっしゃいますか? 292 00:23:49,676 --> 00:23:53,176 ≪ おこう殿 お入りくだされ。 293 00:23:55,215 --> 00:23:57,515 こんばんは。 294 00:24:00,520 --> 00:24:03,723 駿ちゃん 佃煮 持ってきましたよ。 295 00:24:03,723 --> 00:24:07,510 佃煮? いつも すまぬな。 296 00:24:07,510 --> 00:24:10,510 ありがとう。 いいえ。 297 00:24:14,167 --> 00:24:18,555 いかがした? 昼間 紙問屋の寄り合いが➡ 298 00:24:18,555 --> 00:24:21,808 うちでありましてね。 高田屋さんが➡ 299 00:24:21,808 --> 00:24:24,577 赤目様に研いでいただきたい 刀があると。 300 00:24:24,577 --> 00:24:30,900 高田屋? あの永代橋近くの 高田屋甚左衛門か? 301 00:24:30,900 --> 00:24:34,220 そうですけど 何かあったんですか? 302 00:24:34,220 --> 00:24:36,306 いや。 それで? 303 00:24:36,306 --> 00:24:40,577 正直 あのようなお方 私は 苦手です。 304 00:24:40,577 --> 00:24:42,729 というと? 305 00:24:42,729 --> 00:24:44,814 こういう商売をしてると➡ 306 00:24:44,814 --> 00:24:47,283 どうしたって 人の顔色を見てしまうもので。 307 00:24:47,283 --> 00:24:52,973 なのに あの高田屋さんからは 何もうかがえないんです。➡ 308 00:24:52,973 --> 00:24:56,843 あの方の目は 商人でも武士でもない。 309 00:24:56,843 --> 00:24:59,045 では 何だ? 310 00:24:59,045 --> 00:25:03,817 まるで 暗い洞穴のよう。 311 00:25:03,817 --> 00:25:07,704 ♬~ 312 00:25:07,704 --> 00:25:10,940 赤目小籐次様に じきじきに お越しいただけるとは➡ 313 00:25:10,940 --> 00:25:13,977 思いも寄りませんでした。 それがしに研いでほしい➡ 314 00:25:13,977 --> 00:25:18,448 刀があると聞いた。 お耳が早い。 ハハハ…。 315 00:25:18,448 --> 00:25:23,069 ああ 赤目様は お酒がないと。 気の利きませぬ事で。 316 00:25:23,069 --> 00:25:25,869 おい。 あれ持ってきなさい。 (手代)はい。 317 00:25:27,841 --> 00:25:33,279 高田屋 一つ聞きたい事がある。 何でございましょう? 318 00:25:33,279 --> 00:25:38,051 おぬしの店で 雪床紙なる物を 仕入れておるか? 319 00:25:38,051 --> 00:25:42,072 いえいえ。 越後の雪床紙なら➡ 320 00:25:42,072 --> 00:25:47,260 一番に扱ってらっしゃるのは 越前屋さんでございましょうな。 321 00:25:47,260 --> 00:25:50,880 あの 主が殺された越前屋か? 322 00:25:50,880 --> 00:25:52,880 はい。 323 00:25:54,918 --> 00:25:58,118 そうそう。 刀でしたな。 324 00:26:01,007 --> 00:26:04,477 この刀なのですが。 325 00:26:04,477 --> 00:26:10,784 ♬~ 326 00:26:10,784 --> 00:26:12,819 ごめん。 327 00:26:12,819 --> 00:26:26,699 ♬~ 328 00:26:26,699 --> 00:26:35,341 作者は 誰かは分からぬが よく鍛えられた刀だ。 329 00:26:35,341 --> 00:26:38,211 手入れも行き届いておる。 330 00:26:38,211 --> 00:26:42,515 ♬~ 331 00:26:42,515 --> 00:26:47,570 その刀は 名もなき刀工の作。 332 00:26:47,570 --> 00:26:50,573 いかに 切れ味鋭くとも➡ 333 00:26:50,573 --> 00:26:56,346 その値打ちが 認められる事はございませぬ。 334 00:26:56,346 --> 00:27:04,037 赤目様 この世は 理不尽ではございませぬか。 335 00:27:04,037 --> 00:27:09,876 私は 武士として 世を全うしたかった。➡ 336 00:27:09,876 --> 00:27:13,947 なのに 私には 3人も 兄がおりました。 337 00:27:13,947 --> 00:27:21,104 それゆえ このように 商家の婿へと納まった。 338 00:27:21,104 --> 00:27:25,909 私も あなた様のように 剣で生きていく事ができれば。 339 00:27:25,909 --> 00:27:29,395 それがしは ただの研ぎ屋だ。 340 00:27:29,395 --> 00:27:31,397 ご謙遜を。 341 00:27:31,397 --> 00:27:36,669 ♬~ 342 00:27:36,669 --> 00:27:42,809 ともあれ 幼き頃からの悔しさを 忘れぬよう➡ 343 00:27:42,809 --> 00:27:50,300 この刀を 己の分身と思い 大切に持ち続けているのです。 344 00:27:50,300 --> 00:27:54,971 まあ 戯れではございますが。 345 00:27:54,971 --> 00:27:58,107 (手代)お待たせ致しました。 346 00:27:58,107 --> 00:28:05,148 これは 南蛮の酒ですが 一杯 いかがですかな? 347 00:28:05,148 --> 00:28:08,818 酔いどれ小籐次様を 素面でお帰ししたとあらば➡ 348 00:28:08,818 --> 00:28:12,772 高田屋の名折れになりますので。 349 00:28:12,772 --> 00:28:17,777 それがしも 理不尽な事に悩まされておる。 350 00:28:17,777 --> 00:28:22,749 ほう。 金満仙人とやらに➡ 351 00:28:22,749 --> 00:28:26,536 この首に 賞金を懸けられた。 352 00:28:26,536 --> 00:28:28,821 首に 賞金を? 353 00:28:28,821 --> 00:28:32,175 ひと首千両。 354 00:28:32,175 --> 00:28:34,260 千両でございますか? 355 00:28:34,260 --> 00:28:38,481 遺恨あって狙われるならば まだしも➡ 356 00:28:38,481 --> 00:28:43,981 金子目当てに狙われるのは 不愉快極まりない。 357 00:28:47,507 --> 00:28:50,407 戯れで済ます事は できぬ。 358 00:28:53,780 --> 00:29:00,119 まさか その金を出すのが 私だとでも お思いでしょうか? 359 00:29:00,119 --> 00:29:02,219 分からぬ。 360 00:29:04,307 --> 00:29:08,107 本日は 退散致す。 361 00:29:17,787 --> 00:29:20,540 ♬~ 362 00:29:20,540 --> 00:29:25,395 赤目小籐次。 363 00:29:25,395 --> 00:30:02,982 ♬~ 364 00:30:02,982 --> 00:30:05,435 かたじけない。 365 00:30:05,435 --> 00:30:20,835 ♬~ 366 00:30:41,020 --> 00:30:44,507 10年ぶりだな。 367 00:30:44,507 --> 00:30:47,810 はい。 368 00:30:47,810 --> 00:30:53,583 まさか 久慈屋さんの敷居を 再び またげる日が来ようとは。 369 00:30:53,583 --> 00:30:56,869 知らせが来た時は 耳を疑いました。 370 00:30:56,869 --> 00:31:05,411 美濃屋さんや越前屋さんは お気の毒な事をした。 371 00:31:05,411 --> 00:31:10,516 斬られる前に 毒を盛られていたそうだな? 372 00:31:10,516 --> 00:31:13,302 毒を? 373 00:31:13,302 --> 00:31:15,505 それは 初耳でございます。 374 00:31:15,505 --> 00:31:21,110 お供の手代たちも 行方知れずとか。 375 00:31:21,110 --> 00:31:25,415 お二人とも 財布を 抜かれておられましたそうで。 376 00:31:25,415 --> 00:31:30,837 町方は 手代が結託して あやめたのではないかと。 377 00:31:30,837 --> 00:31:35,858 怖い話だ。 378 00:31:35,858 --> 00:31:40,296 世も末でございますな。 379 00:31:40,296 --> 00:31:44,450 高田屋甚左衛門。 380 00:31:44,450 --> 00:31:46,602 (高田屋)何でございましょう? 381 00:31:46,602 --> 00:31:50,957 あの時 お前を助けたのは➡ 382 00:31:50,957 --> 00:31:57,146 人の情けを悟ったと思ったからだ。 383 00:31:57,146 --> 00:32:03,853 今でも 私を 商いの父と思うているのなら➡ 384 00:32:03,853 --> 00:32:08,691 まことの事を言いなさい。 385 00:32:08,691 --> 00:32:12,745 ♬~ 386 00:32:12,745 --> 00:32:20,186 なぜ 道を誤った!? 387 00:32:20,186 --> 00:32:51,784 ♬~ 388 00:32:51,784 --> 00:32:53,970 いかがであったか? 389 00:32:53,970 --> 00:32:59,976 腹を割って 話すはずもございませんでした。 390 00:32:59,976 --> 00:33:02,161 さようか。 391 00:33:02,161 --> 00:33:08,484 ♬~ 392 00:33:08,484 --> 00:33:13,172 父に捨てられた恨みを乗り越え➡ 393 00:33:13,172 --> 00:33:17,827 きっと よい商人になってくれると 見込んで 世話をしました。 394 00:33:17,827 --> 00:33:22,732 が あの男の目の奥には➡ 395 00:33:22,732 --> 00:33:31,374 望むものを 全てのみ込もうとする 深い闇が潜んでいます。 396 00:33:31,374 --> 00:33:35,111 深い闇? 397 00:33:35,111 --> 00:33:45,204 財を成し 力を蓄え 全てを思うままにしたいという。 398 00:33:45,204 --> 00:33:50,810 己のためには 欲しいものは 全て手に入れ➡ 399 00:33:50,810 --> 00:33:56,699 要らぬものは 全て切り捨てる。 400 00:33:56,699 --> 00:34:00,570 赤目様。 401 00:34:00,570 --> 00:34:06,142 私は 大変な間違いを 犯してしまいました。 402 00:34:06,142 --> 00:34:13,249 あの時 あの男に 情けをかけなければ。 403 00:34:13,249 --> 00:34:22,249 昌右衛門殿。 久慈屋 一生の不覚でございます。 404 00:34:26,896 --> 00:34:54,540 ♬~ 405 00:34:54,540 --> 00:34:57,940 では 行ってまいる。 406 00:35:00,046 --> 00:35:02,882 父上。 407 00:35:02,882 --> 00:35:06,502 ご武運を。 うむ。 408 00:35:06,502 --> 00:35:18,798 ♬~ 409 00:35:18,798 --> 00:35:21,617 まるで 血のような色だな。 410 00:35:21,617 --> 00:35:25,338 酔いどれ小籐次で その名の通る赤目様が➡ 411 00:35:25,338 --> 00:35:29,108 南蛮の酒をお飲みになられた事が ないというのは➡ 412 00:35:29,108 --> 00:35:31,708 いかがなものかと。 413 00:35:42,755 --> 00:35:47,677 ♬~ 414 00:35:47,677 --> 00:35:49,712 では。 415 00:35:49,712 --> 00:35:55,751 ♬~ 416 00:35:55,751 --> 00:35:59,839 ああ… どうぞ。 417 00:35:59,839 --> 00:36:09,539 ♬~ 418 00:36:13,602 --> 00:36:20,409 ところで このような夜更けに 何用でございますか? 419 00:36:20,409 --> 00:36:23,679 ひと首千両。 420 00:36:23,679 --> 00:36:29,285 それがしの首に懸けたのは おぬしだと思っておる。 421 00:36:29,285 --> 00:36:32,288 ほう。 422 00:36:32,288 --> 00:36:43,733 更に 越前屋 美濃屋 いまだ行方の 分からない それぞれの手代。 423 00:36:43,733 --> 00:36:50,133 その4人をあやめたのも おぬしだと見ている。 424 00:36:52,208 --> 00:36:54,308 おぬしは…。 425 00:37:00,583 --> 00:37:03,283 いかがなされました? 426 00:37:07,573 --> 00:37:12,845 どうやら 千両の金子など 払わずに済みそうだ。 427 00:37:12,845 --> 00:37:18,968 ♬~ 428 00:37:18,968 --> 00:37:25,975 お前の首に 千両懸けたのは この私だよ。 429 00:37:25,975 --> 00:37:34,517 ところが 美濃屋 越前屋と すぐに怖がり始めて。 430 00:37:34,517 --> 00:37:42,508 まあ おかげで 店が 2つ転がり込んだ。 431 00:37:42,508 --> 00:37:48,380 あとは あのいまいましい久慈屋だけ。 432 00:37:48,380 --> 00:37:56,472 あの大店を引きずり下ろせば 私の目論見は 全てかなう。 433 00:37:56,472 --> 00:38:05,915 あのお方しか知らない 大いなる山の頂へと立てる。 434 00:38:05,915 --> 00:38:11,170 そこに立って 何を見る? 435 00:38:11,170 --> 00:38:16,609 さあ。 何が見えるのでしょう? 436 00:38:16,609 --> 00:38:23,699 だが その時に きっと分かる。 己が 何者となったのかを。 437 00:38:23,699 --> 00:38:26,299 なるほどな。 438 00:38:30,739 --> 00:38:34,877 どういうからくりだ? おぬしと同じように➡ 439 00:38:34,877 --> 00:38:38,477 前もって 毒消しを のんでおいたのだ。 440 00:38:40,616 --> 00:38:46,972 あのような苦い薬をのませおって。 441 00:38:46,972 --> 00:38:51,577 一杯食わされたのは こちらのほうという訳か。 442 00:38:51,577 --> 00:38:57,683 私は お前を この無銘の刀で斬る。 443 00:38:57,683 --> 00:39:03,389 その前に おぬしが 何者であるのかを➡ 444 00:39:03,389 --> 00:39:08,427 それがしが 教えて進ぜよう。 445 00:39:08,427 --> 00:39:45,414 ♬~ 446 00:39:45,414 --> 00:39:48,651 おぬしは 何者にもなれぬ。 447 00:39:48,651 --> 00:39:51,770 その刀と同様だ。 448 00:39:51,770 --> 00:40:16,070 ♬~ 449 00:40:26,438 --> 00:40:35,514 このたびは 私の失態を 赤目様に償っていただきました。 450 00:40:35,514 --> 00:40:40,202 お礼の申し上げようも ございません。 451 00:40:40,202 --> 00:40:43,622 いや。 構わん。 452 00:40:43,622 --> 00:40:48,911 しかし 世の中には おるものよのう。 453 00:40:48,911 --> 00:40:56,769 (昌右衛門)はい? まるで 物の怪のような者が。 454 00:40:56,769 --> 00:41:05,644 恨みつらみが 人を変えて しまうのでございましょうね。 455 00:41:05,644 --> 00:41:09,044 嘆かわしい事です。 456 00:41:11,433 --> 00:41:19,742 (雷鳴) 457 00:41:19,742 --> 00:41:24,713 これは 降ってまいりますな。 458 00:41:24,713 --> 00:41:26,715 (雷鳴) 459 00:41:26,715 --> 00:41:34,006 <恨みつらみによって 物の怪と化した男が もう一人> 460 00:41:34,006 --> 00:41:37,776 や~っ! 461 00:41:37,776 --> 00:41:42,464 ♬~ 462 00:41:42,464 --> 00:41:46,402 無頼の輩に成り下がったか!? 能見五郎兵衛! 463 00:41:46,402 --> 00:41:48,420 (梅吉)本当にいいのかい? 姉ちゃん。 464 00:41:48,420 --> 00:41:50,472 (浩吉)お花さんが 連れてかれそうなんです! 465 00:41:50,472 --> 00:41:52,808 (お花)私の たった一つの灯でした。 466 00:41:52,808 --> 00:41:57,680 おこうさんも おりょうさんも どっちも好きだな。 467 00:41:57,680 --> 00:42:01,684 暗闇では 道を踏み外してしまう事もある。 468 00:42:01,684 --> 00:42:07,656 ♬~ 469 00:42:07,656 --> 00:42:11,243 ♬「寂しくて悲しくて」 470 00:42:11,243 --> 00:42:20,486 ♬「ぽつんと 陽だまりの中に」 471 00:42:20,486 --> 00:42:27,059 ♬「前向きと ほほ笑みも忘れず」 472 00:42:27,059 --> 00:42:39,271 ♬「不器用な私に 言葉残した」 473 00:42:39,271 --> 00:42:45,611 ♬「人はいつか 何になるかを」 474 00:42:45,611 --> 00:42:56,138 ♬「求め目指し 歩いて行く」 475 00:42:56,138 --> 00:43:00,743 ♬「愛ください」 476 00:43:00,743 --> 00:43:08,751 ♬「大事な愛を 置いて来たんです」 477 00:43:08,751 --> 00:43:19,211 ♬「大きな愛を そう あの人の愛を」 478 00:43:19,211 --> 00:43:27,111 ♬「あの日に置いて来た」