1 00:00:33,937 --> 00:00:49,653 ♬~ 2 00:00:49,653 --> 00:00:53,623 <思う者 思われる者。➡ 3 00:00:53,623 --> 00:01:00,330 酔いどれ小籐次を巡って いとおしむ心が重なり合う> 4 00:01:00,330 --> 00:01:08,121 ♬~ 5 00:01:08,121 --> 00:01:10,223 (小籐次)おりょう殿。 6 00:01:10,223 --> 00:01:16,579 <おりょうとおこう 2人の間に挟まれた赤目小籐次> 7 00:01:16,579 --> 00:01:19,149 ♬~ 8 00:01:19,149 --> 00:01:22,986 (男)ごめん。 9 00:01:22,986 --> 00:01:27,107 研ぎ屋でござるが 何ぞ 注文はござらぬか? 10 00:01:27,107 --> 00:01:30,810 (主人)あいにくだったな。 間に合ってるよ。 11 00:01:30,810 --> 00:01:35,115 それがしの研ぎ 巷では 江戸随一と評判じゃが。 12 00:01:35,115 --> 00:01:38,385 そう言わんと 道具を 研がしてくれんか? 13 00:01:38,385 --> 00:01:41,921 それがし 名を 赤目小籐次と申す。 14 00:01:41,921 --> 00:01:44,574 あ… 赤目小籐次!? 15 00:01:44,574 --> 00:01:49,579 (男)あの御鑓拝借の 酔いどれ小籐次様で? 16 00:01:49,579 --> 00:01:52,849 <そして また 新しい事件が➡ 17 00:01:52,849 --> 00:01:56,953 酔いどれ小籐次に 降りかかろうとしている> 18 00:01:56,953 --> 00:02:06,653 ♬~(テーマ音楽) 19 00:02:09,349 --> 00:02:12,285 <小金井橋の果たし合いで 小籐次は➡ 20 00:02:12,285 --> 00:02:19,476 かつて 須藤平八郎の刀だった 同田貫正景の力を借りた。➡ 21 00:02:19,476 --> 00:02:24,314 戦いは激しく 正景の刀は 曲がってしまったが➡ 22 00:02:24,314 --> 00:02:31,588 小籐次は その刀を 脇差しとして よみがえらせたのだった> 23 00:02:31,588 --> 00:02:36,342 さあさあ あの忠義の勇士が またまた 大暴れだ! 24 00:02:36,342 --> 00:02:38,945 今度は さる紙問屋の一人娘を巡って➡ 25 00:02:38,945 --> 00:02:43,149 悪事をたくらんだ番頭一味を 懲らしめたってお話だ! 26 00:02:43,149 --> 00:02:46,453 舞台は 江戸指折りの料亭 万八楼。 27 00:02:46,453 --> 00:02:49,355 酔いどれ様の強さが どれほどのもんだったか➡ 28 00:02:49,355 --> 00:02:51,908 知りたかったら さあ 買った 買った! 29 00:02:51,908 --> 00:02:55,912 (騒ぐ声) 30 00:02:55,912 --> 00:02:58,181 (勝五郎)さあさあ 皆の衆 ここが➡ 31 00:02:58,181 --> 00:03:01,951 酔いどれの旦那の お顔洗いの井戸さ! 32 00:03:01,951 --> 00:03:04,804 (男1)随分 質素だね。 旦那はな➡ 33 00:03:04,804 --> 00:03:09,159 派手な事が お嫌いなのよ。 欲が ねえっつうのか 何つうのかな。 34 00:03:09,159 --> 00:03:11,544 (男2)厠もかい? 俺たちと一緒よ。➡ 35 00:03:11,544 --> 00:03:14,347 いいか? あっちのな。 (新兵衛)一体 何だい? ありゃあ。 36 00:03:14,347 --> 00:03:17,150 うちの長屋 そんなに 面白いものがありましたかね? 37 00:03:17,150 --> 00:03:19,753 長屋じゃねえや。 酔いどれ様さ。 ここんとこ➡ 38 00:03:19,753 --> 00:03:22,739 ホラ蔵の書く読み売りで 酔いどれ様の名が売れちまって➡ 39 00:03:22,739 --> 00:03:25,842 ああして 見物に来るんだよ。 あの人ったら 調子に乗って➡ 40 00:03:25,842 --> 00:03:27,811 ベラベラと みっともないったら ありゃしないよ。 41 00:03:27,811 --> 00:03:32,882 でも 人の噂で 飯を食うってのは どうにも気分が悪いよ。 全くだ。 42 00:03:32,882 --> 00:03:35,051 (伊助)肝心の赤目様のお住まいは どこだい? 43 00:03:35,051 --> 00:03:37,737 こっちよ。 皆の衆 皆の衆 こっち こっち。 44 00:03:37,737 --> 00:03:40,590 こっちだってよ おい。 45 00:03:40,590 --> 00:03:43,293 (勝五郎)皆の衆 そこさ。 46 00:03:43,293 --> 00:03:46,093 ♬~ 47 00:03:48,715 --> 00:03:52,919 (宮蔵)随分汚えじじいだな。 なんと。 48 00:03:52,919 --> 00:03:55,972 赤目様の親御さんか何かかい? 49 00:03:55,972 --> 00:03:58,808 これが 赤目の旦那よ! 50 00:03:58,808 --> 00:04:01,211 (おかめ)へえ? あれが天下の? 51 00:04:01,211 --> 00:04:06,616 こう見えても それがし 昨夜は きちんと 風呂に入っておる。 52 00:04:06,616 --> 00:04:09,519 本当に これが 天下の酔いどれ小籐次? 53 00:04:09,519 --> 00:04:14,040 (駿太郎)じいじの顔が そんなに面白いかのう? 54 00:04:14,040 --> 00:04:20,029 駿太郎 おぬしも それがしをからかうか? 55 00:04:20,029 --> 00:04:22,515 勝五郎。 (勝五郎)すみません。 56 00:04:22,515 --> 00:04:24,884 (おうづ)毎度。 57 00:04:24,884 --> 00:04:28,588 人参を 1つ頂こうか。 ハハハ…。 58 00:04:28,588 --> 00:04:31,007 久しぶりじゃの。 あら 赤目様。 59 00:04:31,007 --> 00:04:33,076 すっかり人気者になって 研ぎ屋なんか➡ 60 00:04:33,076 --> 00:04:36,913 辞めちゃったのかと思ったわ。 皮肉を申すな。 61 00:04:36,913 --> 00:04:39,315 このごろは 野暮な用事に追われてな➡ 62 00:04:39,315 --> 00:04:42,752 すっかり 本業を おろそかにしてしまった。 63 00:04:42,752 --> 00:04:45,455 うん。 よっ! 64 00:04:45,455 --> 00:04:49,843 おうづ殿 今日は 久々に 昼餉を 竹藪蕎麦で 一緒に どうだ? 65 00:04:49,843 --> 00:04:53,780 あら? 今 私も 同じ事を考えてたわ。 66 00:04:53,780 --> 00:04:55,780 (美造)お待ち。 67 00:04:57,917 --> 00:05:01,838 今や 赤目様の名も 江戸中に広がりましたな。 68 00:05:01,838 --> 00:05:03,990 何を言うか。 69 00:05:03,990 --> 00:05:06,709 空蔵の読み売りのおかげで➡ 70 00:05:06,709 --> 00:05:11,614 長屋にまで 見物人が押しかけて いい迷惑だ。 71 00:05:11,614 --> 00:05:14,517 こんな老いぼれの どこが面白い! 72 00:05:14,517 --> 00:05:17,687 それがしの本業は ただの研ぎ屋だ。 73 00:05:17,687 --> 00:05:20,023 のう? おうづ殿。 74 00:05:20,023 --> 00:05:23,142 そうよ。 赤目様は 職人なんだから。 75 00:05:23,142 --> 00:05:27,814 しかし こう お偉くなられちゃ 研ぎ仕事も 頼みづらいや。 76 00:05:27,814 --> 00:05:31,818 美造 おぬしまで それがしをいじめるか? 77 00:05:31,818 --> 00:05:35,171 いつでも 何でも 研がせてくれ。 へえ! 78 00:05:35,171 --> 00:05:38,291 (万作)あんたが 噂の 酔いどれ小籐次かい? 79 00:05:38,291 --> 00:05:43,713 おう 万作。 あっ この方が かの有名な酔いどれ様よ。 80 00:05:43,713 --> 00:05:47,016 お前さんも 研ぎ仕事を頼みなさるかい? 81 00:05:47,016 --> 00:05:49,919 赤目様 こいつは 万作といって➡ 82 00:05:49,919 --> 00:05:52,589 この先の横丁で 曲物屋をやっとります。 83 00:05:52,589 --> 00:05:55,391 さようか。 俺は いいよ。 84 00:05:55,391 --> 00:06:00,280 何だい? 赤目様の研ぎは 江戸で 一番の腕だぞ。 85 00:06:00,280 --> 00:06:04,417 こっちには 悪評しか聞こえてこないがね。 86 00:06:04,417 --> 00:06:07,020 それは どういう意味だい? どういうって➡ 87 00:06:07,020 --> 00:06:10,623 そのまんまの意味だ。 息子の 太郎吉に聞いてみろ。 なあ? 88 00:06:10,623 --> 00:06:13,126 (太郎吉)ああ。 太郎吉➡ 89 00:06:13,126 --> 00:06:15,211 どこで そんな悪評 聞いた? 90 00:06:15,211 --> 00:06:17,914 下谷広小路の髪結いさ。 91 00:06:17,914 --> 00:06:20,466 剃刀を研いでもらったが そりゃ ひどい研ぎだったって。➡ 92 00:06:20,466 --> 00:06:23,920 しかも 剃刀1本 2朱だ 1分だと 研ぎ代ふっかけて。 93 00:06:23,920 --> 00:06:26,222 何だと!? 太郎吉さんといったわね? 94 00:06:26,222 --> 00:06:30,310 えっ? うん。 95 00:06:30,310 --> 00:06:33,012 今から その髪結い 案内してちょうだい。 96 00:06:33,012 --> 00:06:36,316 「善は急げ」よ。 私もついていくわ。 97 00:06:36,316 --> 00:06:40,653 <小籐次は おうづと太郎吉に連れられて➡ 98 00:06:40,653 --> 00:06:43,823 偽者が現れたという 床屋に出向いた> 99 00:06:43,823 --> 00:06:47,694 ごめんなすって! あんた 赤目小籐次じゃないよ。 100 00:06:47,694 --> 00:06:51,714 違うの。 この方が 本物の赤目小籐次様よ。 101 00:06:51,714 --> 00:06:54,267 何 言ってんだい! こっちは➡ 102 00:06:54,267 --> 00:06:56,352 えらい迷惑 かけられちまったんだよ。 103 00:06:56,352 --> 00:06:58,321 それがしも 迷惑しておる。 104 00:06:58,321 --> 00:07:00,406 (主人)あいつの面 忘れるもんかい。 105 00:07:00,406 --> 00:07:04,460 あのひでえ研ぎでよ 1丁 120文も取るんだぜ。 106 00:07:04,460 --> 00:07:09,082 その偽者が研いだという剃刀を それがしに見せてはもらえんか? 107 00:07:09,082 --> 00:07:12,385 (主人)研ぎ直すってかい? うん。 108 00:07:12,385 --> 00:07:15,688 それがしが いくら 本物の赤目小籐次と申しても➡ 109 00:07:15,688 --> 00:07:18,374 そなたは 信じまい? このわしの 研ぎの腕で…。 110 00:07:18,374 --> 00:07:23,074 ああ あれだよ。 あれが 俺の知ってる赤目小籐次だよ。 111 00:07:25,181 --> 00:07:27,183 あれが 偽者? 112 00:07:27,183 --> 00:07:32,422 (男1)ささ こちらでございます。 赤目様。 ささ どうぞ。 113 00:07:32,422 --> 00:07:39,679 ご主人 研ぎの腕より 剣の腕で 証しを立ててやる。 114 00:07:39,679 --> 00:07:44,317 まさか あの御鑓拝借の 赤目小籐次様に➡ 115 00:07:44,317 --> 00:07:48,955 こうやって お近づきになれるとは 夢にも思っておりませんでした。 116 00:07:48,955 --> 00:07:54,844 (男2)光栄な事でございます。 ささ もう一つ どうぞ どうぞ。 117 00:07:54,844 --> 00:08:00,416 かたじけない。 そなたらの好意 それがしも うれしいぞ。 118 00:08:00,416 --> 00:08:05,221 ああ… これ 赤目様のそばへ来んか。 119 00:08:05,221 --> 00:08:08,024 ≪(芸者たち)は~い。 120 00:08:08,024 --> 00:08:10,124 (男1)ささ ささ。 121 00:08:12,245 --> 00:08:14,263 (芸者)赤目様。 122 00:08:14,263 --> 00:08:17,917 赤目様 今後とも ごじっこんに➡ 123 00:08:17,917 --> 00:08:22,305 よろしくお願いしとうございます。 まあ よい よい。 124 00:08:22,305 --> 00:08:28,605 ♬~ 125 00:08:30,480 --> 00:08:35,551 それがしの名を騙っておるのは お前か? 126 00:08:35,551 --> 00:08:43,051 赤目小籐次を演じるのも 今日を最後と思え。 127 00:08:45,511 --> 00:08:48,011 (悲鳴) 128 00:08:50,416 --> 00:08:52,416 待て。 129 00:08:54,504 --> 00:08:58,274 この顔 思い出さんか? 130 00:08:58,274 --> 00:09:00,643 聞く耳 持たん。 131 00:09:00,643 --> 00:09:43,743 ♬~ 132 00:09:45,955 --> 00:09:49,158 おぬし? 133 00:09:49,158 --> 00:09:52,195 太刀筋で 気付いたか? 134 00:09:52,195 --> 00:09:56,249 北堀五郎兵衛。 135 00:09:56,249 --> 00:10:00,386 久しぶりだな 小籐次! 136 00:10:00,386 --> 00:10:10,379 ハハハ…。 ハハハ…。 137 00:10:10,379 --> 00:10:13,716 ♬~ 138 00:10:13,716 --> 00:10:16,986 ハハハ… まさか おぬしが➡ 139 00:10:16,986 --> 00:10:19,755 それがしの名を 騙っておったとはな フフフ…。 140 00:10:19,755 --> 00:10:23,125 ちょっとしたしゃれじゃと思うて どうか 許してくれ。 141 00:10:23,125 --> 00:10:27,063 おぬしの事だ 悪気がないのは 分かっとる。 142 00:10:27,063 --> 00:10:31,384 おこう殿 この男はな 北堀五郎兵衛といってな➡ 143 00:10:31,384 --> 00:10:33,486 それがしの幼なじみだ。 144 00:10:33,486 --> 00:10:38,891 小さい頃から いたずら好きでな よく一緒に遊んだもんだ。 145 00:10:38,891 --> 00:10:43,613 森の殿様の下屋敷で 毎日 遊んだな。 146 00:10:43,613 --> 00:10:47,516 覚えてるか? 一緒に 川で 溺れかけて。 147 00:10:47,516 --> 00:10:52,121 おぬしがおらなかったら 死んでおったと思ったんだがな。 148 00:10:52,121 --> 00:10:59,812 ああ。 ところが 立ってみたら こんな浅瀬でな ハハハ…。 149 00:10:59,812 --> 00:11:04,684 今日の赤目様は まるで 子供に 返ったかのようでございますよ。 150 00:11:04,684 --> 00:11:07,119 どうぞ。 こいつに会ったら➡ 151 00:11:07,119 --> 00:11:13,676 昔の事を いっぺんに思い出したわ ハハハ…。 152 00:11:13,676 --> 00:11:20,583 時に 五郎兵衛 今まで どうやって生きとった? 153 00:11:20,583 --> 00:11:26,555 部屋住みだったゆえ あの道場に 婿に入った。 154 00:11:26,555 --> 00:11:32,995 道場? という事は 一人娘の おぬい殿をめとったか? 155 00:11:32,995 --> 00:11:35,648 ああ。 元気にしておるか? 156 00:11:35,648 --> 00:11:39,652 うん。 157 00:11:39,652 --> 00:11:43,923 まあ 飲め。 うむ。 158 00:11:43,923 --> 00:11:50,246 婿に入ったのは もう20年も前になるが➡ 159 00:11:50,246 --> 00:11:56,385 俺の才覚がないのか 道場は すっかり 廃れてしもうた。 160 00:11:56,385 --> 00:11:59,555 剣の道は 商いではないぞ。 161 00:11:59,555 --> 00:12:02,858 そんな事 百も承知。 162 00:12:02,858 --> 00:12:05,177 じゃがな➡ 163 00:12:05,177 --> 00:12:08,414 俺が 頑固なのかのう。 164 00:12:08,414 --> 00:12:11,984 若い者とは どうも考え方が違う。 165 00:12:11,984 --> 00:12:18,641 あやつら 強い者に取り入る事しか 考えとらん。 166 00:12:18,641 --> 00:12:22,979 金もなくてな。 167 00:12:22,979 --> 00:12:31,187 途方に暮れて 町を歩いておったら 「赤目様!」と 声をかけられた。 168 00:12:31,187 --> 00:12:33,990 こやつとは 昔から 背格好も よう似ておってな。 169 00:12:33,990 --> 00:12:38,044 よう間違えられたんじゃ。 今も 似ておいでですよ。 170 00:12:38,044 --> 00:12:40,579 江戸での小籐次の噂は 聞いておった。 171 00:12:40,579 --> 00:12:45,785 そこで お前の名を借りる事を 思いついてな。➡ 172 00:12:45,785 --> 00:12:48,621 やってみると 思った以上に 皆が だまされる。 173 00:12:48,621 --> 00:12:52,325 おまけに 赤目様 赤目様と 馳走してくれるんじゃ。 174 00:12:52,325 --> 00:13:00,116 小籐次! おかげで いい女子とも遊べたぞ ハハハ…。 175 00:13:00,116 --> 00:13:03,519 このたわけ! おこう殿の前で 何を申すか! 176 00:13:03,519 --> 00:13:05,838 ハハハ…。 177 00:13:05,838 --> 00:13:08,991 まあ まあ まあ どうぞ。 ああ かたじけない。 178 00:13:08,991 --> 00:13:10,991 ああ…。 179 00:13:15,014 --> 00:13:19,518 (北堀)倒した刺客の子を育てるか。 180 00:13:19,518 --> 00:13:22,521 お前も 酔狂な事をするな。 181 00:13:22,521 --> 00:13:24,774 遺言じゃ。 182 00:13:24,774 --> 00:13:31,981 しかし 子育ても やってみると 案外 面白いものだ。 183 00:13:31,981 --> 00:13:37,303 俺には 子がないので分からんが 男手一つで 大変だな。 184 00:13:37,303 --> 00:13:41,323 嫁でも もらえ。 年を考えろ。 185 00:13:41,323 --> 00:13:43,926 (北堀)考えるから もらうんだろうが! 186 00:13:43,926 --> 00:13:47,980 おこうといったな? 万八楼の。 あれは どうだ? 187 00:13:47,980 --> 00:13:51,317 おこう殿を 物のように申すな。 188 00:13:51,317 --> 00:13:56,038 あの女 お前に ほれとると見たが。 189 00:13:56,038 --> 00:13:58,991 戯言を。 190 00:13:58,991 --> 00:14:03,691 妻というのも 持ってみると いいもんだぞ。 191 00:14:06,649 --> 00:14:10,102 俺も 亡くして気付いた。 192 00:14:10,102 --> 00:14:12,855 亡くした? 193 00:14:12,855 --> 00:14:15,458 5年前だ。 194 00:14:15,458 --> 00:14:17,676 なぜ 早く言わん? 195 00:14:17,676 --> 00:14:19,945 久しぶりの再会じゃ。 196 00:14:19,945 --> 00:14:24,183 楽しい酒に つらい話は似合わんだろう? 197 00:14:24,183 --> 00:14:26,986 病か? 198 00:14:26,986 --> 00:14:30,055 (北堀)ああ。➡ 199 00:14:30,055 --> 00:14:35,444 おぬしも知ってのとおり 勝ち気な家付き娘。 200 00:14:35,444 --> 00:14:40,844 ああしろ こうしろと指図されて もう 憎うてたまらんかった。 201 00:14:43,018 --> 00:14:51,844 年上のおてんばで わしも よう いたずらをして泣かされた。 202 00:14:51,844 --> 00:15:02,538 だが 心根がまっすぐで 気持ちのよい女子であった。 203 00:15:02,538 --> 00:15:07,710 ちいと真っ正直すぎたがな。 204 00:15:07,710 --> 00:15:10,346 それが 死なれてみると➡ 205 00:15:10,346 --> 00:15:17,146 全ては 俺を思うての事じゃったと 気付き 切なかった。 206 00:15:19,605 --> 00:15:24,210 たちまち 道場は廃れ このざまよ。 207 00:15:24,210 --> 00:15:26,912 お前も 妻をめとれ。 208 00:15:26,912 --> 00:15:30,733 俺に比べて 名声もある。 209 00:15:30,733 --> 00:15:35,621 妙ないきさつとはいえ 子もある。 210 00:15:35,621 --> 00:15:39,024 そう気楽には考えられぬ。 211 00:15:39,024 --> 00:15:46,866 駿太郎が 実の父を失った 顛末を知ったらと思うとな。 212 00:15:46,866 --> 00:15:51,187 育ての父に 斬りかかってくるか!? 213 00:15:51,187 --> 00:15:54,507 そうなったら 小籐次 手加減は無用だ。 214 00:15:54,507 --> 00:15:57,576 それでこそ 武士の子育てよ。 215 00:15:57,576 --> 00:16:05,050 ♬~ 216 00:16:05,050 --> 00:16:07,653 (空蔵)今度は さるお旗本のお女中が➡ 217 00:16:07,653 --> 00:16:10,539 突如 暇を申し出るって 話の裏だ。➡ 218 00:16:10,539 --> 00:16:14,159 表向きは 和歌の道へ進むって 綺麗事だが さにあらず。➡ 219 00:16:14,159 --> 00:16:16,512 実は お殿様に 無理やり➡ 220 00:16:16,512 --> 00:16:19,748 手込めにされたってんだから 事は穏やかじゃねえや。 221 00:16:19,748 --> 00:16:22,384 真相は ここに 全部書いてある。 222 00:16:22,384 --> 00:16:24,720 さあ 買った 買った! 223 00:16:24,720 --> 00:16:30,042 空蔵! 今の話 よもや おりょう殿の事ではあるまいな? 224 00:16:30,042 --> 00:16:34,213 赤目様。 へへ そいつは どうでしょう。 225 00:16:34,213 --> 00:16:36,849 おぬしのホラも そこまでにしておけ。 226 00:16:36,849 --> 00:16:39,418 それがしに食い飽きて 今度は おりょう殿を➡ 227 00:16:39,418 --> 00:16:41,887 食い物にするつもりか!? よこせ! 何しやがるんだ! 228 00:16:41,887 --> 00:16:44,757 ああっ! やめろ! おい! 229 00:16:44,757 --> 00:16:47,977 へっ! 230 00:16:47,977 --> 00:16:54,316 <小籐次は 直接 水野監物を訪ねた> 231 00:16:54,316 --> 00:16:58,120 噂が出るのも やむをえまい。 232 00:16:58,120 --> 00:17:01,190 水野様。 (水野)赤目 はやるな。➡ 233 00:17:01,190 --> 00:17:03,792 わしが おりょうに 手をつけたなど➡ 234 00:17:03,792 --> 00:17:07,513 天と地がひっくり返ってもない。 235 00:17:07,513 --> 00:17:13,269 実はな わしを 勘定奉行にとの話が出た。 236 00:17:13,269 --> 00:17:17,606 まことに めでたき事に存じます。 237 00:17:17,606 --> 00:17:22,478 うむ。 しかし 当然ながら 横槍も入っておる。 238 00:17:22,478 --> 00:17:27,016 こたびの噂も その筋の輩が 火をつけたのであろう。 239 00:17:27,016 --> 00:17:30,786 まあ 気にするな。 空蔵は➡ 240 00:17:30,786 --> 00:17:33,022 それがしが 厳しく叱っておきます。 241 00:17:33,022 --> 00:17:40,079 なに おりょうが 和歌の道に 進みたいと申すは 事実だ。 242 00:17:40,079 --> 00:17:44,479 そのおりょうのためにも 事を 穏便に運びたい。 243 00:18:04,019 --> 00:18:08,107 赤目様 りょうでございます。 244 00:18:08,107 --> 00:18:11,176 お顔を見せてくださらないのは➡ 245 00:18:11,176 --> 00:18:16,749 きっと 読み売りを読まれたからで ございましょうね。 246 00:18:16,749 --> 00:18:21,587 水野様と私の わりない仲など 根も葉もない噂。 247 00:18:21,587 --> 00:18:27,326 何よりも 私の まことの気持ちを お伝えするのがよいと考えて➡ 248 00:18:27,326 --> 00:18:29,826 今日は 参りました。 249 00:18:31,947 --> 00:18:35,684 こたび 私は 歌人となるべく➡ 250 00:18:35,684 --> 00:18:40,255 水野のお家から お暇を頂く決心を致しました。 251 00:18:40,255 --> 00:18:46,278 それも 全て 赤目様あっての事。 252 00:18:46,278 --> 00:18:51,183 奉公を辞めれば いつまでも 赤目様のおそばにいられる。 253 00:18:51,183 --> 00:18:54,420 そう思ったからでございます。 254 00:18:54,420 --> 00:18:59,425 無分別と思われても 構いませぬ。 255 00:18:59,425 --> 00:19:05,414 赤目様 お慕い申しております。 256 00:19:05,414 --> 00:19:15,774 ♬~ 257 00:19:15,774 --> 00:19:17,943 (駿太郎)おりょうさん! 258 00:19:17,943 --> 00:19:20,846 あっ 駿太郎様。 259 00:19:20,846 --> 00:19:56,346 ♬~ 260 00:20:05,240 --> 00:20:11,513 俺には 何もないか。 261 00:20:11,513 --> 00:20:14,713 (拭き掃除の音) 262 00:20:16,718 --> 00:20:21,974 ♬~ 263 00:20:21,974 --> 00:20:26,478 おぬい もう よいではないか。 264 00:20:26,478 --> 00:20:30,382 (おぬい)代々 受け継いできた この板敷きを見るたびに➡ 265 00:20:30,382 --> 00:20:37,973 私は ここを 何としてでも 守り抜かなければと思うのですよ。 266 00:20:37,973 --> 00:20:42,678 父が ここまで 頑張ってくれたのですから。 267 00:20:42,678 --> 00:20:47,549 それもこれも 五郎兵衛様➡ 268 00:20:47,549 --> 00:20:55,040 あなたに 立派に 引き継いでもらいたい私の一心。 269 00:20:55,040 --> 00:21:08,821 ♬~ 270 00:21:08,821 --> 00:21:12,524 (おぬい)五郎兵衛様 この道場だけが➡ 271 00:21:12,524 --> 00:21:18,324 私とあなたの たった一つの よりどころでございますね。 272 00:21:28,740 --> 00:21:34,780 (男1)北堀五郎兵衛さんよ 金の用意はできたかい? 273 00:21:34,780 --> 00:21:40,035 (男2)今日が期限。 忘れてないだろうね? 274 00:21:40,035 --> 00:21:43,839 いま少し 待ってくれぬか。 275 00:21:43,839 --> 00:21:46,425 (男2)その言葉を聞くのは 5度目だ。➡ 276 00:21:46,425 --> 00:21:53,825 もう 待てませんよ。 約定どおり この道場は 頂きますよ。 277 00:21:58,987 --> 00:22:02,891 このとおりだ! 頼む! 278 00:22:02,891 --> 00:22:06,245 お侍が 町民に 土下座とはな。 279 00:22:06,245 --> 00:22:09,845 こうなっちゃ 恥も外聞もありゃしねえやな。 280 00:22:11,750 --> 00:22:18,023 妻の… 妻のためにも➡ 281 00:22:18,023 --> 00:22:23,245 この屋敷だけは 手放しとうないのじゃ! 282 00:22:23,245 --> 00:22:28,967 (男3)おぬし 御鑓拝借の 赤目小籐次の名を騙って➡ 283 00:22:28,967 --> 00:22:32,871 商いをしておるそうだな?➡ 284 00:22:32,871 --> 00:22:39,494 この道場と引き換えに 我らの 頼みを聞いてみる気はあるか? 285 00:22:39,494 --> 00:22:43,548 ♬~ 286 00:22:43,548 --> 00:22:51,139 ふ~ん つまりは 出世を巡る いざこざに紛れた謀だったと? 287 00:22:51,139 --> 00:22:53,225 そうだ。 288 00:22:53,225 --> 00:22:55,644 どこから知った事か存ぜぬが➡ 289 00:22:55,644 --> 00:22:59,514 そやつとは もう 縁を切ったほうがいいな。 290 00:22:59,514 --> 00:23:02,751 へえ。 こいつは とんだ過ちで。 291 00:23:02,751 --> 00:23:06,521 しかし 赤目様 気持ちは分かるが➡ 292 00:23:06,521 --> 00:23:09,558 私情を挟んでちゃ あっしの仕事は務まりませんや。 293 00:23:09,558 --> 00:23:12,828 せっかく こしらえた読み売りを 破るのは やりすぎでしょう!? 294 00:23:12,828 --> 00:23:15,080 やかましい! 295 00:23:15,080 --> 00:23:17,516 空蔵さん そりゃ 分が悪いわ。 296 00:23:17,516 --> 00:23:20,218 何てったって おりょう様の事ですもの。 297 00:23:20,218 --> 00:23:23,018 ねえ? 赤目様。 298 00:23:25,140 --> 00:23:28,176 ヘヘヘ…。 299 00:23:28,176 --> 00:23:31,647 何を笑っておる!? いや 笑ってませんよ。 ヘヘヘ…。 300 00:23:31,647 --> 00:23:34,147 笑っとるじゃろう!? 301 00:23:40,222 --> 00:23:42,222 おぬい。 302 00:23:44,643 --> 00:23:50,248 おぬい 俺は 鬼になるぞ! 303 00:23:50,248 --> 00:24:07,666 ♬~ 304 00:24:07,666 --> 00:24:10,052 (侍1)何ヤツか!? 305 00:24:10,052 --> 00:24:16,475 (北堀)水野家家臣 中田新八殿か? いかにも。 306 00:24:16,475 --> 00:24:20,479 中田殿 命 もらい受ける! 307 00:24:20,479 --> 00:24:24,249 (侍2)酒に酔っての狼藉か!? 年寄りゆえ とがめ立てはせぬ。➡ 308 00:24:24,249 --> 00:24:27,219 早々に立ち去れ! 309 00:24:27,219 --> 00:24:34,993 年寄りじゃと? 赤目小籐次 腕まで老いた覚えはない! 310 00:24:34,993 --> 00:24:39,748 赤目小籐次とな? 御鑓拝借の赤目殿か? 311 00:24:39,748 --> 00:24:43,552 いかにも! 312 00:24:43,552 --> 00:24:46,938 乱心されたか! 赤目殿! 313 00:24:46,938 --> 00:24:56,481 ♬~ 314 00:24:56,481 --> 00:25:00,001 ま… 待て 赤目! 赤目殿! 待て!➡ 315 00:25:00,001 --> 00:25:03,889 わあ~っ! ああっ! 316 00:25:03,889 --> 00:25:07,943 (浜造)さあ 大変だ 大変だ! あの酔いどれ小籐次➡ 317 00:25:07,943 --> 00:25:12,114 御鑓拝借の赤目小籐次が 昨夜 新堀の中ノ橋上で➡ 318 00:25:12,114 --> 00:25:15,250 辻斬りをやりやがった! あっ!➡ 319 00:25:15,250 --> 00:25:17,219 おい 浜造! えっ? 320 00:25:17,219 --> 00:25:19,371 何 でたらめ言ってやがるんだ!? コンチクショー! 321 00:25:19,371 --> 00:25:21,706 昨夜だと? 昨夜の赤目様は➡ 322 00:25:21,706 --> 00:25:23,725 何を隠そう 俺と一緒にいたんだい! 323 00:25:23,725 --> 00:25:26,611 こっちだって その場を見たヤツがいらぁ! 324 00:25:26,611 --> 00:25:30,148 ちゃんと証拠もあらぁな。 何だって!? 325 00:25:30,148 --> 00:25:33,418 しかも 斬られた相手は 水野家のお侍 3人だぜ。 326 00:25:33,418 --> 00:25:36,721 ホラ蔵 もう 赤目小籐次で 商売はできねえな。 327 00:25:36,721 --> 00:25:40,659 ほら。 同業のよしみで 1枚くれてやるよ。➡ 328 00:25:40,659 --> 00:25:43,628 さあ 事の顛末は…。 一体全体➡ 329 00:25:43,628 --> 00:25:48,183 何が どうなってやがんだい? 330 00:25:48,183 --> 00:25:52,871 <小籐次は 長屋から 姿を消していた。➡ 331 00:25:52,871 --> 00:25:56,324 その行方は 誰にも分からなかった> 332 00:25:56,324 --> 00:25:58,543 (新兵衛)昨夜から 帰っておりませんで。 333 00:25:58,543 --> 00:26:00,512 (御用聞き)嘘は 自分のためにならねえぞ。 334 00:26:00,512 --> 00:26:04,216 (新兵衛)そんな! 嘘だなんて! 335 00:26:04,216 --> 00:26:08,186 旦那 赤目様は 断じて 辻斬りなんて やっておりません! 336 00:26:08,186 --> 00:26:10,589 (御用聞き)赤目様がやったか やらねえか決めるのは➡ 337 00:26:10,589 --> 00:26:14,689 うちの旦那のお仕事だ。 素人が四の五の言うんじゃねえ! 338 00:26:16,511 --> 00:26:19,915 (駿太郎)この! この! この! 339 00:26:19,915 --> 00:26:23,385 みんなをいじめるな! この! この!➡ 340 00:26:23,385 --> 00:26:28,423 この! この! この! この! 341 00:26:28,423 --> 00:26:30,492 この! この! 342 00:26:30,492 --> 00:26:33,111 大変だ 大変だ 大変だ! 大変だ! 343 00:26:33,111 --> 00:26:35,213 おい どいてくれ! 大変だ! 344 00:26:35,213 --> 00:26:38,817 おうづさん! おうづさん 聞いたかい? 345 00:26:38,817 --> 00:26:43,922 何を? 赤目様が 辻斬りをしたって話だよ。 346 00:26:43,922 --> 00:26:46,107 だから? 347 00:26:46,107 --> 00:26:49,010 何とも思わないのかい? 太郎吉さん。 348 00:26:49,010 --> 00:26:52,547 うろたえるのは 少しでも 赤目様の事を疑ってる証拠よ。 349 00:26:52,547 --> 00:26:56,218 いやいや 俺だって 本当に 赤目様が 辻斬りをしたなんて。 350 00:26:56,218 --> 00:27:00,856 だったら いつものように 商いを続ける事だわ。 351 00:27:00,856 --> 00:27:04,059 人を信じるって そういう事だと思うわ。 352 00:27:04,059 --> 00:27:07,959 太郎吉さんも さっさと 仕事場に戻りなさいな。 353 00:27:10,866 --> 00:27:13,051 ほれた。 354 00:27:13,051 --> 00:27:15,051 ああっ! ちょっと ちょっと…。 355 00:27:31,453 --> 00:27:34,406 辻斬り騒動で➡ 356 00:27:34,406 --> 00:27:37,926 赤目様の行方が 分からなくなっております。 357 00:27:37,926 --> 00:27:40,045 はい。 358 00:27:40,045 --> 00:27:45,145 もしや おこうさんの所で かくまっているのではと。 359 00:27:47,152 --> 00:27:51,752 私は おりょう様が かくまっているのかと。 360 00:27:53,842 --> 00:27:56,842 ああ…。 ああ…。 361 00:27:58,847 --> 00:28:05,754 こたび 私 水野家を辞する事を 決心致しました。 362 00:28:05,754 --> 00:28:08,540 さようでございますか。 363 00:28:08,540 --> 00:28:12,377 とうとう 和歌一筋に ご精進されるのですね。 364 00:28:12,377 --> 00:28:19,517 とは申せ すぐにとは参りませぬ。 いろいろと 支度もありますゆえ。 365 00:28:19,517 --> 00:28:23,038 赤目様も 喜ばれる事でしょう。 366 00:28:23,038 --> 00:28:29,077 おりょう様と 今以上に 身近になれるのですから。 367 00:28:29,077 --> 00:28:33,515 おこうさんは それでよいのですか? 368 00:28:33,515 --> 00:28:39,104 赤目様は おこうさんの思い人であるはず。 369 00:28:39,104 --> 00:28:45,260 ♬~ 370 00:28:45,260 --> 00:28:49,581 はばかりながら 赤目様の事は➡ 371 00:28:49,581 --> 00:28:55,720 おりょう様より 私のほうが よく 知っていると自負しております。 372 00:28:55,720 --> 00:28:59,407 その私が申し上げます。 373 00:28:59,407 --> 00:29:06,047 赤目様の見つめる先は おりょう様 ただ一人。 374 00:29:06,047 --> 00:29:09,284 それは おりょう様も 同じでしょう? 375 00:29:09,284 --> 00:29:13,188 ♬~ 376 00:29:13,188 --> 00:29:18,576 これ以上の結び付きが ありましょうか? 377 00:29:18,576 --> 00:29:24,683 おりょう様 余計な事は考えなくて よろしゅうございます。 378 00:29:24,683 --> 00:29:29,454 ただ ご自分の幸せのみを 考えてください。 379 00:29:29,454 --> 00:29:32,140 ♬~ 380 00:29:32,140 --> 00:29:35,627 はい。 381 00:29:35,627 --> 00:29:39,280 ああ… 私とした事が➡ 382 00:29:39,280 --> 00:29:45,220 赤目様が こんなにも 窮地に 立たされているというのに。 383 00:29:45,220 --> 00:29:48,223 赤目様の事は 心配しておりません。 384 00:29:48,223 --> 00:29:52,577 天下の酔いどれ様ですから。 385 00:29:52,577 --> 00:29:54,579 ねえ。 386 00:29:54,579 --> 00:29:58,450 ♬~ 387 00:29:58,450 --> 00:30:05,173 それにしても 本当に どこにいるのかしら。 388 00:30:05,173 --> 00:30:08,526 こうなったのも 全ては あっしのせいでさぁ。 389 00:30:08,526 --> 00:30:15,283 自分の稼ぎのために 赤目様を追い詰めちまった。 390 00:30:15,283 --> 00:30:18,937 空蔵は 昨夜 赤目の旦那と 一緒だったっていうじゃねえか? 391 00:30:18,937 --> 00:30:21,289 それを 読み売りにしねえな。 392 00:30:21,289 --> 00:30:26,277 親分 あの嘘っぱち読み売りのあとだい。 393 00:30:26,277 --> 00:30:31,299 こっちも 腰を据えて 一世一代のものを仕立てて➡ 394 00:30:31,299 --> 00:30:37,689 赤目様に ご恩返しがしたい。 395 00:30:37,689 --> 00:30:41,926 そのためには じかにお目にかからなくちゃ➡ 396 00:30:41,926 --> 00:30:44,929 真実は書けませんや。 397 00:30:44,929 --> 00:30:50,101 空蔵 それは 本心でしょうね? 398 00:30:50,101 --> 00:30:52,954 もちろんでございます。 399 00:30:52,954 --> 00:30:58,810 この空蔵の意地が 懸かっております! 400 00:30:58,810 --> 00:31:00,810 よろしい。 401 00:31:13,958 --> 00:31:18,196 おう! お歴々 よう参った。 402 00:31:18,196 --> 00:31:21,749 あきれたね どうも。 403 00:31:21,749 --> 00:31:24,119 あっしらが 冷や汗かいてるっていうのに➡ 404 00:31:24,119 --> 00:31:26,888 酔いどれ様は 吉原で 大尽遊びですかい!? 405 00:31:26,888 --> 00:31:31,109 何を申すか!? ここは布団部屋だ。 406 00:31:31,109 --> 00:31:33,378 辻斬り騒動を聞いてな➡ 407 00:31:33,378 --> 00:31:36,848 思案する間もなく 家を飛び出した。 408 00:31:36,848 --> 00:31:41,019 どこに行っていいか分からず ふと ここを思い出したんだ。 409 00:31:41,019 --> 00:31:44,539 (清琴)わちきが お世話致しゃんした。 410 00:31:44,539 --> 00:31:51,846 ♬~ 411 00:31:51,846 --> 00:31:55,683 酔いどれ様が 久慈行灯をお作りになられる際➡ 412 00:31:55,683 --> 00:32:00,138 恐れ多くも ご助言致したが 縁でありんす。 413 00:32:00,138 --> 00:32:06,344 清琴には 一度ならず 二度も 世話になった。 礼を申す。 414 00:32:06,344 --> 00:32:09,647 赤目様のお世話ができるなど➡ 415 00:32:09,647 --> 00:32:13,952 これ以上に 光栄な事はござんせん。 416 00:32:13,952 --> 00:32:19,491 <小籐次は 辻斬り騒動の真相を話した> 417 00:32:19,491 --> 00:32:21,643 それじゃ その北堀五郎兵衛が➡ 418 00:32:21,643 --> 00:32:25,613 赤目の旦那に成り済まして 水野様のご家来衆を斬ったと? 419 00:32:25,613 --> 00:32:32,220 そうだ。 五郎兵衛の道場は 今や 廃れ➡ 420 00:32:32,220 --> 00:32:39,944 それがしの名を騙って 研ぎ仕事をしていたそうだ。 421 00:32:39,944 --> 00:32:48,286 恐らく 金欲しさに 辻斬りを引き受けたに違いない。 422 00:32:48,286 --> 00:32:50,538 久しぶりの再会じゃ。 423 00:32:50,538 --> 00:32:54,292 楽しい酒に つらい話は似合わんだろう? 424 00:32:54,292 --> 00:32:58,613 ♬~ 425 00:32:58,613 --> 00:33:02,283 とにかく 赤目様の汚名を 晴らす事が 先決ですね。 426 00:33:02,283 --> 00:33:06,087 あっしに任せてください。 427 00:33:06,087 --> 00:33:09,741 偽の小籐次を討つ人物は 本物しか考えられねえや。 428 00:33:09,741 --> 00:33:13,595 全くだい。 この空蔵 しかと見届け➡ 429 00:33:13,595 --> 00:33:17,749 赤目様の身の潔白を 明らかにしてみせます。➡ 430 00:33:17,749 --> 00:33:22,237 これまでの事 どうか お許しくださいやし! 431 00:33:22,237 --> 00:33:24,522 空蔵。 はい。 432 00:33:24,522 --> 00:33:29,143 読み応えのある読み売りを 期待しとるぞ。 433 00:33:29,143 --> 00:33:34,343 合点だい! こいつは あっしの戦でもありますからね。 434 00:33:36,284 --> 00:33:43,541 赤目様 前祝いに 今日は たんと 召し上がってくださいまし。 435 00:33:43,541 --> 00:33:45,743 かたじけない。 436 00:33:45,743 --> 00:33:52,750 しかし 何だって 赤目様だけ 女に好かれるんだろな…。 437 00:33:52,750 --> 00:33:56,754 ♬~ 438 00:33:56,754 --> 00:33:59,257 <おこうは 一人 酔いしれて➡ 439 00:33:59,257 --> 00:34:04,562 自らの思いを 胸の中に 隠し続けていた> 440 00:34:04,562 --> 00:34:15,623 ♬~ 441 00:34:15,623 --> 00:34:19,327 (男)何? 赤目小籐次の辻斬りは なかったのかい? 442 00:34:19,327 --> 00:34:21,412 よくぞ 聞いてくれた お客人。 443 00:34:21,412 --> 00:34:25,516 いいかい? 中ノ橋で 水野様の ご家来を斬り殺したのは➡ 444 00:34:25,516 --> 00:34:29,520 北堀五郎兵衛という 天真円光流の使い手だ。 445 00:34:29,520 --> 00:34:33,508 体つきは小柄で 本物の赤目様に よく似たこの人物が➡ 446 00:34:33,508 --> 00:34:36,611 偽の小籐次を名乗り 襲ったって訳よ。 447 00:34:36,611 --> 00:34:38,646 (男)また 何で そんな事をするのさ? 448 00:34:38,646 --> 00:34:40,615 (空蔵)そこよ! この話には➡ 449 00:34:40,615 --> 00:34:43,217 お歴々の 薄汚い内情が絡んでるのさ。 450 00:34:43,217 --> 00:34:46,321 水野の殿様が 勘定奉行となられるのを➡ 451 00:34:46,321 --> 00:34:48,406 邪魔立てしようって連中の策略! 452 00:34:48,406 --> 00:34:51,876 ついでに 赤目小籐次の旦那を 辱めようって了見で➡ 453 00:34:51,876 --> 00:34:56,247 これ 一挙両得と思ったか。 454 00:34:56,247 --> 00:34:59,684 さあ あとは この読み売りに書いてある。➡ 455 00:34:59,684 --> 00:35:02,684 さあ 買った 買った! 456 00:35:33,534 --> 00:36:10,021 ♬~ 457 00:36:10,021 --> 00:36:12,006 (戸をたたく音) 458 00:36:12,006 --> 00:36:25,086 ♬~ 459 00:36:25,086 --> 00:36:30,091 「辻斬りの一件 相知り申し候。➡ 460 00:36:30,091 --> 00:36:35,313 貴殿の姓名も 相分かり申し候。➡ 461 00:36:35,313 --> 00:36:42,754 縄目を避くるには 是非とも 水野家へお越しならるべく候」。 462 00:36:42,754 --> 00:36:54,549 ♬~ 463 00:36:54,549 --> 00:37:00,949 <罠と知りながら 北堀五郎兵衛は 水野家に向かった> 464 00:37:09,847 --> 00:37:12,316 小籐次。 465 00:37:12,316 --> 00:37:18,022 おぬしとは いま一度 酒を 酌み交わせると思っておった。 466 00:37:18,022 --> 00:37:22,527 だが あの夜が最後となった。 467 00:37:22,527 --> 00:37:28,883 五郎兵衛 それがしは おぬしに失望したぞ! 468 00:37:28,883 --> 00:37:34,383 人をあやめたのは これが初めてじゃ。 469 00:37:36,541 --> 00:37:41,241 本当に 嫌なもんだ。 470 00:37:43,481 --> 00:37:45,981 今でも この手が覚えておる。 471 00:37:48,052 --> 00:37:50,852 思い出すと 震える。 472 00:37:53,191 --> 00:37:56,244 (北堀)道場のためじゃった。 473 00:37:56,244 --> 00:37:58,444 それと 金か? 474 00:38:01,249 --> 00:38:04,552 思い出かのう。 475 00:38:04,552 --> 00:38:09,152 思い出は なくしとうない。 476 00:38:12,210 --> 00:38:14,210 おぬいさんか? 477 00:38:18,182 --> 00:38:21,082 (戸が開く音) 478 00:38:23,855 --> 00:38:26,841 この者も 白状致した。 479 00:38:26,841 --> 00:38:28,876 赤目小籐次。 480 00:38:28,876 --> 00:38:31,546 存分に致せ。 481 00:38:31,546 --> 00:38:33,646 はっ! 482 00:38:43,491 --> 00:39:29,891 ♬~ 483 00:39:45,553 --> 00:39:52,253 ♬~ 484 00:39:54,278 --> 00:40:02,878 あの世で おぬいは 泣いておろうのう。 485 00:40:07,408 --> 00:40:16,117 (北堀)お前の剣まで 演じきる事は できんかったようじゃ。 486 00:40:16,117 --> 00:40:22,390 赤目小籐次は それがし ただ一人だ。 487 00:40:22,390 --> 00:40:31,890 一瞬でも 赤目小籐次の気分が 味わえたわい。 488 00:40:33,985 --> 00:40:44,912 図らずも 美しい女から 思いを告げられた。 489 00:40:44,912 --> 00:40:50,685 あれは 気分よかったぞ。 490 00:40:50,685 --> 00:40:52,985 美しい女? 491 00:40:55,122 --> 00:40:58,876 おりょうといったな。 492 00:40:58,876 --> 00:41:05,282 ♬~ 493 00:41:05,282 --> 00:41:11,706 おぬしに しんから ほれておるようじゃ。 494 00:41:11,706 --> 00:41:25,219 ♬~ 495 00:41:25,219 --> 00:41:32,093 <北堀の言葉は 小籐次の心に 深く刻まれた> 496 00:41:32,093 --> 00:41:41,736 ♬~ 497 00:41:41,736 --> 00:41:44,855 (おきね)おうづの嫁入りなんて 名ばかりでさ➡ 498 00:41:44,855 --> 00:41:47,291 要は 妾にでも しようっていう寸法さ。 499 00:41:47,291 --> 00:41:50,811 これが 私の 胸の思いにございます。 500 00:41:50,811 --> 00:41:52,811 夢だ。 501 00:41:55,116 --> 00:42:01,872 正しく生きる者を守ってこそ まことの武士だ。 502 00:42:01,872 --> 00:42:07,661 ♬~ 503 00:42:07,661 --> 00:42:11,215 ♬「寂しくて悲しくて」 504 00:42:11,215 --> 00:42:20,491 ♬「ぽつんと 陽だまりの中に」 505 00:42:20,491 --> 00:42:27,098 ♬「前向きと ほほ笑みも忘れず」 506 00:42:27,098 --> 00:42:39,243 ♬「不器用な私に 言葉残した」 507 00:42:39,243 --> 00:42:45,683 ♬「人はいつか 何になるかを」 508 00:42:45,683 --> 00:42:56,076 ♬「求め目指し 歩いて行く」 509 00:42:56,076 --> 00:43:00,714 ♬「愛ください」 510 00:43:00,714 --> 00:43:08,856 ♬「大事な愛を 置いてきたんです」 511 00:43:08,856 --> 00:43:19,216 ♬「大きな愛を そう あの人の愛を」 512 00:43:19,216 --> 00:43:25,516 ♬「あの日に置いて来た」