1 00:00:34,397 --> 00:00:37,133 (駿太郎)えいっ! やっ! 2 00:00:37,133 --> 00:00:40,169 えい! やっ!➡ 3 00:00:40,169 --> 00:00:42,672 えい! やっ! 4 00:00:42,672 --> 00:00:47,477 正しく生きる者を守ってこそ 武士じゃ。 5 00:00:47,477 --> 00:00:49,562 えい! やっ! 6 00:00:49,562 --> 00:00:51,681 (おきみ)あの… どなたか お訪ねですか? 7 00:00:51,681 --> 00:00:56,719 (槙野源左衛門) あっ こちらに 駿太郎と申す 子供がおると聞いて➡ 8 00:00:56,719 --> 00:01:00,340 参ったのだが。 駿太郎は 俺だ。 9 00:01:00,340 --> 00:01:03,876 そなたが…➡ 10 00:01:03,876 --> 00:01:06,746 そなたが 駿太郎か? 11 00:01:06,746 --> 00:01:09,665 <赤目小籐次が 図らずも➡ 12 00:01:09,665 --> 00:01:16,172 刺客 須藤平八郎の子 駿太郎を 育てる事になって はや5年> 13 00:01:16,172 --> 00:01:19,242 立派になったな。 14 00:01:19,242 --> 00:01:24,781 <今 親子の絆が 試されようとしていた> 15 00:01:24,781 --> 00:01:28,051 赤目様! (小籐次)いかがした? 16 00:01:28,051 --> 00:01:36,551 ♬~(テーマ音楽) 17 00:01:39,045 --> 00:01:42,048 (勝五郎)何だと!? 本当に駿坊の親戚なんだな? 18 00:01:42,048 --> 00:01:47,086 そうまでは言ってないさ。 だけど そんなような事を匂わせてさ。 19 00:01:47,086 --> 00:01:49,872 それじゃ お前 赤目の旦那が斬った➡ 20 00:01:49,872 --> 00:01:52,241 須藤ってお侍と つながりがあるっていうのか? 21 00:01:52,241 --> 00:01:54,644 いや それは どうだか知らないけど➡ 22 00:01:54,644 --> 00:01:57,513 何だか 胸騒ぎがするよ 私は。 23 00:01:57,513 --> 00:01:59,549 (駿太郎)須藤って? あっ…。 24 00:01:59,549 --> 00:02:01,584 いや あの… 何でもない 何でもない。 25 00:02:01,584 --> 00:02:03,669 あの… 駿ちゃん 一緒に お昼作ろう! 26 00:02:03,669 --> 00:02:06,469 ああ そうしな そうしな! うん。 27 00:02:09,509 --> 00:02:14,013 失礼ながら 天下に名をとどろかせる➡ 28 00:02:14,013 --> 00:02:21,571 酔いどれ小籐次殿が かような ご年配とは 意外でござった。 29 00:02:21,571 --> 00:02:26,809 老いぼれはもとより 藻屑蟹のような顔。 30 00:02:26,809 --> 00:02:32,215 噂ばかりが大きくなり お恥ずかしい限りにござる。 31 00:02:32,215 --> 00:02:38,137 なれど 剣の腕は 噂ばかりではございますまい。 32 00:02:38,137 --> 00:02:44,243 何しろ あの須藤平八郎を 斬ったほどのお方だ。 33 00:02:44,243 --> 00:02:49,449 実は 平八郎の実家と 我が槙野家は➡ 34 00:02:49,449 --> 00:02:51,751 親戚でこそなけれ➡ 35 00:02:51,751 --> 00:02:54,971 3代にわたって つきあってきた 縁がござってな。➡ 36 00:02:54,971 --> 00:03:02,512 平八郎などは 赤子の時に 子守を引き受けた事さえあってな。 37 00:03:02,512 --> 00:03:16,008 ♬~ 38 00:03:16,008 --> 00:03:18,110 槙野殿。 赤目殿。 39 00:03:18,110 --> 00:03:23,049 貴殿をなじるつもりなど 毛頭ござらぬ。 40 00:03:23,049 --> 00:03:29,238 いきさつは 今はなき小出家より 承っておる。 41 00:03:29,238 --> 00:03:33,459 刺客を引き受けたのは 平八郎自身だ。 42 00:03:33,459 --> 00:03:39,148 剣には剣で戦うのが 武士でござる。 43 00:03:39,148 --> 00:03:45,238 須藤殿とは 出会い方が違っておれば➡ 44 00:03:45,238 --> 00:03:51,043 年の差こそあれ よき友になれたかもしれんと➡ 45 00:03:51,043 --> 00:03:54,013 言葉を交わした覚えがござる。 46 00:03:54,013 --> 00:04:01,037 それも 自分で選んだ道なれば 致し方なかろう。 47 00:04:01,037 --> 00:04:05,074 しかし 一つだけ 心残りが。 48 00:04:05,074 --> 00:04:11,080 それは 平八郎が それほどまでに して 守りたかった命。 49 00:04:11,080 --> 00:04:14,483 駿太郎の事でござる。 50 00:04:14,483 --> 00:04:21,090 赤目殿 駿太郎には 平八郎の事は? 51 00:04:21,090 --> 00:04:26,012 いや… まだ 話しておりませぬ。 52 00:04:26,012 --> 00:04:34,036 しかし いずれ 話す時が来ると 覚悟はしておりまする。 53 00:04:34,036 --> 00:04:37,890 ならば 率直に申し上げる。 54 00:04:37,890 --> 00:04:40,676 今日 それがしが参ったのは➡ 55 00:04:40,676 --> 00:04:46,315 平八郎の子 駿太郎を 槙野家に 引き取るためでござる。 56 00:04:46,315 --> 00:04:50,102 槙野殿 お待ちくだされ! 57 00:04:50,102 --> 00:04:55,007 須藤殿は ひとかどの武士に 育ててほしいと➡ 58 00:04:55,007 --> 00:04:57,610 駿太郎を それがしに託され申した! 59 00:04:57,610 --> 00:05:01,080 それが 須藤殿の遺言にござる! 60 00:05:01,080 --> 00:05:05,768 承知しておる。 なれど➡ 61 00:05:05,768 --> 00:05:12,541 失礼ながら 赤目殿の暮らしは 到底 武士の暮らしとは思えぬ。 62 00:05:12,541 --> 00:05:15,978 「ひとかどの武士に」と 申されたな? 63 00:05:15,978 --> 00:05:19,315 されど 仕えるべき主も持たぬ➡ 64 00:05:19,315 --> 00:05:23,869 貧乏暮らしのおぬしに 何ができるか!?➡ 65 00:05:23,869 --> 00:05:30,376 何より 実の父を おぬしが 斬ったと 駿太郎が知ったら➡ 66 00:05:30,376 --> 00:05:32,776 その時は どうするのだ!? 67 00:05:34,847 --> 00:05:37,867 今すぐにとは申さぬ。 68 00:05:37,867 --> 00:05:45,441 駿太郎の将来を くれぐれも お考えあれ! 69 00:05:45,441 --> 00:05:47,476 おっかあ。 70 00:05:47,476 --> 00:05:52,415 ♬~ 71 00:05:52,415 --> 00:05:54,917 ≪(桂三郎)冗談言っちゃ いけねえよ!➡ 72 00:05:54,917 --> 00:05:57,320 そんな ふざけた話が あるかってんだ! 73 00:05:57,320 --> 00:06:00,006 だろう? いきなり やって来てよ➡ 74 00:06:00,006 --> 00:06:03,476 親戚でも何でもねえのに 駿坊を引き取りたいだなんてよ! 75 00:06:03,476 --> 00:06:06,012 大体 向こうの都合がよすぎる! 76 00:06:06,012 --> 00:06:10,199 武家ってだけで 偉そうにしてさ! お武家様が偉いのは 当たり前よ。 77 00:06:10,199 --> 00:06:12,835 それは そうなんだけど➡ 78 00:06:12,835 --> 00:06:15,304 とにかく 赤目様が どれだけ苦労して➡ 79 00:06:15,304 --> 00:06:19,175 駿坊を育ててるのか 知ってるのかって話さ。 でしょ? 80 00:06:19,175 --> 00:06:22,511 そうだ そうだ! 貧乏暮らしだと!? 81 00:06:22,511 --> 00:06:27,533 畜生! この長屋を 何だと思ってんだ! 82 00:06:27,533 --> 00:06:29,502 新兵衛さん。 うん? 83 00:06:29,502 --> 00:06:34,306 怒るところが間違ってるよ。 ああ そう? 84 00:06:34,306 --> 00:06:38,106 (勝五郎)赤目の旦那 どうするつもりだい? 85 00:06:40,079 --> 00:06:43,015 うん。 86 00:06:43,015 --> 00:06:46,335 赤目様は 駿坊のおとっつぁんから 遺言を受けて 引き取ったんだい。 87 00:06:46,335 --> 00:06:49,505 何の差し障りがあるもんですか! 赤目様。 88 00:06:49,505 --> 00:06:52,508 あの槙野ってお侍に どうして はっきり➡ 89 00:06:52,508 --> 00:06:55,594 駿ちゃんは渡さないって 言わなかったんだい!?➡ 90 00:06:55,594 --> 00:06:58,414 みんな とうに知ってるんだよ。➡ 91 00:06:58,414 --> 00:07:01,217 赤目様が ゆくゆくは 長屋を出て➡ 92 00:07:01,217 --> 00:07:04,970 おりょう様と一緒に 暮らすんだって事。 93 00:07:04,970 --> 00:07:09,275 まさか 駿ちゃんの事が 邪魔に なったんじゃないだろうね? 94 00:07:09,275 --> 00:07:13,179 おきみ そりゃあ言い過ぎだい! 失礼は 承知だよ! 95 00:07:13,179 --> 00:07:20,169 だけどね 好き勝手言われて 黙ってる赤目様を見てるとさ➡ 96 00:07:20,169 --> 00:07:24,090 そんな心配も したくなってくるよ! 97 00:07:24,090 --> 00:07:26,342 ♬~ 98 00:07:26,342 --> 00:07:29,078 偉そうな事を言うようだけど➡ 99 00:07:29,078 --> 00:07:32,047 一番近くで 駿ちゃんを見てるのは 私だと思ってる。 100 00:07:32,047 --> 00:07:34,083 今や 息子同然さ。 101 00:07:34,083 --> 00:07:37,870 そうだ! 今や 駿坊は みんなの駿坊だ! 102 00:07:37,870 --> 00:07:40,990 (一同)そうだ! そうだ! 新兵衛長屋の駿坊だい! 103 00:07:40,990 --> 00:07:43,375 (一同)そうだ そうだ! 104 00:07:43,375 --> 00:07:46,145 皆の言うとおりだ。 105 00:07:46,145 --> 00:07:51,450 お気持ち まこと ありがたい。 106 00:07:51,450 --> 00:08:20,679 ♬~ 107 00:08:20,679 --> 00:08:26,469 <小籐次は 駿太郎の一件を おこうに話した> 108 00:08:26,469 --> 00:08:29,038 (おこう)駿ちゃんには その事は? 109 00:08:29,038 --> 00:08:33,442 いや。 まだ 話してはおらぬ。 110 00:08:33,442 --> 00:08:37,179 何を おためらいですか? 赤目様。 111 00:08:37,179 --> 00:08:40,282 何と言っても 駿ちゃんは 赤目様を➡ 112 00:08:40,282 --> 00:08:43,002 実の父親だと思っています。➡ 113 00:08:43,002 --> 00:08:47,223 それが 全てではありませんか? 114 00:08:47,223 --> 00:08:49,875 その槙野というお方には➡ 115 00:08:49,875 --> 00:08:55,130 はっきりお断り申し上げたほうが よろしゅうございます。 116 00:08:55,130 --> 00:09:02,171 だがな おこう殿 それがしは 主家を捨てた身だ。 117 00:09:02,171 --> 00:09:10,012 「仕えるべき主を持たないおぬしに 何ができる!?」。 118 00:09:10,012 --> 00:09:18,512 槙野殿に そう言われた時 何一つ返す言葉がなかった。 119 00:09:20,673 --> 00:09:27,673 赤目様 相談する相手を 間違っておいでです。 120 00:09:33,819 --> 00:09:36,405 <隅田川沿いの空き屋敷では➡ 121 00:09:36,405 --> 00:09:43,913 歌人となるおりょうが 住まうための修繕が行われていた> 122 00:09:43,913 --> 00:09:48,117 (おりょう)そうでございますか。 そのような事が。 123 00:09:48,117 --> 00:09:54,117 正直なところ それがしも どうしてよいか 迷っておる。 124 00:10:00,646 --> 00:10:03,382 私が この世でほれた殿御は➡ 125 00:10:03,382 --> 00:10:08,370 赤目小籐次様 ただお一人にございます。 126 00:10:08,370 --> 00:10:12,408 2人で 駿太郎様の行く末を 見守る事ができるなら➡ 127 00:10:12,408 --> 00:10:15,644 これ以上の幸せはございません。 128 00:10:15,644 --> 00:10:22,868 おりょう殿。 なれど それは 私のみの幸せ。 129 00:10:22,868 --> 00:10:28,668 駿太郎様の将来にとって それが よいのかどうかは 分かりませぬ。 130 00:10:30,743 --> 00:10:35,481 駿太郎様にとって 本当に大切なものは…。 131 00:10:35,481 --> 00:10:38,667 (物音) 132 00:10:38,667 --> 00:10:41,687 ≪(大工)何しやがるんだ! 危ねえじゃねえかい! 133 00:10:41,687 --> 00:10:43,772 ごめん。 134 00:10:43,772 --> 00:10:45,741 (大工)離せ! (石動)我が主の屋敷で➡ 135 00:10:45,741 --> 00:10:48,544 何をしておる!? 何ヤツだ? 136 00:10:48,544 --> 00:10:52,047 (男)じじい 何者だ? 137 00:10:52,047 --> 00:10:58,003 このような場合 訪ねてきた側から 名乗るのが 礼儀であろう。 138 00:10:58,003 --> 00:11:03,809 黙れ! この屋敷の主は 秋本信濃守様であるぞ。 139 00:11:03,809 --> 00:11:08,480 この家は 既に 秋本様のものではない。 140 00:11:08,480 --> 00:11:12,718 芝口橋の紙問屋 久慈屋の手を経て➡ 141 00:11:12,718 --> 00:11:17,106 今は 北川家のご息女のものとなった。 142 00:11:17,106 --> 00:11:22,011 じじい 邪魔立て致すな。 それが うぬのためだ。 143 00:11:22,011 --> 00:11:27,366 おぬしに じじい呼ばわりされる 筋合いはない。 144 00:11:27,366 --> 00:11:30,869 赤目小籐次という名が ちゃんとある。 145 00:11:30,869 --> 00:11:35,491 ハハハ… 噂の剣豪が こんなじじいである訳がないわ。 146 00:11:35,491 --> 00:11:37,710 試してみるか? 147 00:11:37,710 --> 00:11:39,828 こしゃくな! 148 00:11:39,828 --> 00:11:53,342 ♬~ 149 00:11:53,342 --> 00:11:57,079 さて いかがする? 150 00:11:57,079 --> 00:11:59,281 引け! どけ! 151 00:11:59,281 --> 00:12:04,887 ♬~ 152 00:12:04,887 --> 00:12:07,487 赤目様 おけがは? 153 00:12:09,775 --> 00:12:15,275 (掛け声) 154 00:12:17,282 --> 00:12:19,268 (駿太郎)や~! 155 00:12:19,268 --> 00:12:24,606 (達次)痛い。 参った 参った。 やっぱり 駿太郎は強いや。 156 00:12:24,606 --> 00:12:27,176 (松五郎)そりゃあ 赤目様の息子だもん。 157 00:12:27,176 --> 00:12:30,512 なあ 駿太郎は お侍になるんだよな? 158 00:12:30,512 --> 00:12:33,532 ああ! だけどさ➡ 159 00:12:33,532 --> 00:12:37,269 お侍は ちゃんとした武家屋敷に 住むだろう? 160 00:12:37,269 --> 00:12:39,872 駿太郎は どうして 俺たちと一緒なのさ? 161 00:12:39,872 --> 00:12:43,575 赤目様は 何だって こんな長屋に 住んでいるのかって➡ 162 00:12:43,575 --> 00:12:46,975 うちのおとうが 不思議がってた。 163 00:12:55,204 --> 00:12:57,706 じいじ。 164 00:12:57,706 --> 00:13:02,861 何だ? じいじは 武士だろう? 165 00:13:02,861 --> 00:13:08,450 うん。 まあ 武士だ。 166 00:13:08,450 --> 00:13:12,721 俺も いつか お侍になる。 167 00:13:12,721 --> 00:13:14,840 うん。 168 00:13:14,840 --> 00:13:19,011 お侍が 長屋に住むのは おかしいのか? 169 00:13:19,011 --> 00:13:23,248 屋敷に住むのが 本当のお侍なのか? 170 00:13:23,248 --> 00:13:25,451 誰が そのような事を申した? 171 00:13:25,451 --> 00:13:27,751 達次だ。 172 00:13:31,039 --> 00:13:36,345 駿太郎 じいじは 訳あって➡ 173 00:13:36,345 --> 00:13:40,048 武家の屋敷で暮らす事は かなわなかった。 174 00:13:40,048 --> 00:13:45,220 今は 長屋暮らしの研ぎ屋だ。 175 00:13:45,220 --> 00:13:50,642 だがな じいじは 死ぬまで武士だ。 176 00:13:50,642 --> 00:13:53,145 その息子であるお前には➡ 177 00:13:53,145 --> 00:13:59,084 じいじが 必ずや 立派な屋敷で 暮らせる武士にしてみせる。 178 00:13:59,084 --> 00:14:02,020 心配するな。 179 00:14:02,020 --> 00:14:06,058 もう遅い。 眠るんじゃ。 180 00:14:06,058 --> 00:14:19,138 ♬~ 181 00:14:19,138 --> 00:14:24,776 <数日後 小籐次は 再び 槙野に会う事となった> 182 00:14:24,776 --> 00:14:26,776 (美造)ごゆっくり。 183 00:14:28,797 --> 00:14:30,949 なかなかの蕎麦でござった。 184 00:14:30,949 --> 00:14:35,504 かたじけない。 それがしの得意先にござる。 185 00:14:35,504 --> 00:14:38,841 研ぎ屋と聞いたが? いかにも。 186 00:14:38,841 --> 00:14:45,397 包丁1本研いで 蕎麦を1杯 馳走になる。 187 00:14:45,397 --> 00:14:50,652 赤目殿は 老い先を どう考えておられるかな? 188 00:14:50,652 --> 00:14:53,172 老い先にござるか? 189 00:14:53,172 --> 00:14:57,176 それがしは 早くに 妻を亡くした。 190 00:14:57,176 --> 00:15:02,381 去年 嫡男が代を継ぎ それがしは隠居の身となった。 191 00:15:02,381 --> 00:15:06,969 そうなって 初めて それまでの 人生を振り返ってみた。 192 00:15:06,969 --> 00:15:09,171 これからの事も 考えた。 193 00:15:09,171 --> 00:15:13,675 残った命で 果たして 何ができるか➡ 194 00:15:13,675 --> 00:15:18,714 何をしたいか 何を思い残しているか。 195 00:15:18,714 --> 00:15:23,368 それが 駿太郎であった。 196 00:15:23,368 --> 00:15:27,673 実を申すとな 江戸へ逃げてくる前➡ 197 00:15:27,673 --> 00:15:32,761 平八郎は それがしのもとに 助けを請いに来た。➡ 198 00:15:32,761 --> 00:15:35,914 相当な手傷を負ってな。➡ 199 00:15:35,914 --> 00:15:39,714 追っ手を振り切って 逃げてきたらしかった。 200 00:15:44,172 --> 00:15:48,443 これから どう致す? 201 00:15:48,443 --> 00:15:50,846 (須藤)江戸に出ます。 202 00:15:50,846 --> 00:15:56,046 とにかく 何でもいい。 食い扶持を 探して 生きていかなくては。 203 00:15:58,587 --> 00:16:01,240 駿太郎は 重荷であろう? 204 00:16:01,240 --> 00:16:06,528 落ち着くまで わしのところに 引き取ってもよいが? 205 00:16:06,528 --> 00:16:09,298 何の重荷でございましょうや。 206 00:16:09,298 --> 00:16:16,772 駿太郎をおぶっていると 自然と 足が軽くなります。➡ 207 00:16:16,772 --> 00:16:20,772 駿太郎を 立派に育てなければ。 208 00:16:22,778 --> 00:16:26,365 それが 私の生きがいに なり申した。 209 00:16:26,365 --> 00:16:40,312 ♬~ 210 00:16:40,312 --> 00:16:45,212 困った事あらば いつでも頼ってまいれ。 211 00:16:47,602 --> 00:16:49,905 かたじけない。 212 00:16:49,905 --> 00:16:55,110 ♬~ 213 00:16:55,110 --> 00:17:02,317 槙野様 それがし 天涯孤独の身でありますが➡ 214 00:17:02,317 --> 00:17:08,307 槙野様の事は まことの父親と 思うております! 215 00:17:08,307 --> 00:17:13,662 ♬~ 216 00:17:13,662 --> 00:17:17,215 平八郎が死んだと聞いた時➡ 217 00:17:17,215 --> 00:17:21,603 最初に浮かんだのは 駿太郎の事であった。 218 00:17:21,603 --> 00:17:27,242 あの時 無理にでも 駿太郎を引き取っていたら➡ 219 00:17:27,242 --> 00:17:32,347 平八郎は 貴殿への刺客とは ならなかったであろう。 220 00:17:32,347 --> 00:17:38,136 その事は 悔やまれてならぬのじゃ。 221 00:17:38,136 --> 00:17:44,042 こたびも 初めは 顔を見るだけのつもりであった。 222 00:17:44,042 --> 00:17:47,746 成長ぶりを見届けるだけで 十分だと。 223 00:17:47,746 --> 00:17:52,351 しかし いざ 駿太郎を 見てしまうと…。 224 00:17:52,351 --> 00:17:57,789 赤目殿 先日は ご無礼を申した。 225 00:17:57,789 --> 00:18:02,828 それがし 情に溺れてしもうてな。 226 00:18:02,828 --> 00:18:07,482 お気持ち 痛いほど 分かり申す。 227 00:18:07,482 --> 00:18:14,539 赤目殿。 槙野源左衛門 最後の頼みと思うてくれ。 228 00:18:14,539 --> 00:18:19,211 駿太郎を 武士として 大成させたいのなら➡ 229 00:18:19,211 --> 00:18:24,149 やはり どこぞに 仕官をさせねばならぬだろう!?➡ 230 00:18:24,149 --> 00:18:28,303 浪人のご貴殿に それは たやすい事ではあるまい? 231 00:18:28,303 --> 00:18:33,809 それがしも また 同じ過ちを 繰り返したくはないのだ! 232 00:18:33,809 --> 00:18:38,330 駿太郎の行く末を 考えてくださるのなら➡ 233 00:18:38,330 --> 00:18:42,484 この槙野に引き取らせてくれ! 234 00:18:42,484 --> 00:18:45,470 頼む。➡ 235 00:18:45,470 --> 00:18:53,378 駿太郎を それがしの 最後の生きる証しにしたいのだ。 236 00:18:53,378 --> 00:18:59,301 赤目殿 このとおりでござる。 237 00:18:59,301 --> 00:19:05,001 ♬~ 238 00:19:08,009 --> 00:19:10,712 [ 回想 ] (槙野)頼む!➡ 239 00:19:10,712 --> 00:19:17,912 駿太郎を それがしの 最後の生きる証しにしたいのだ。 240 00:19:20,172 --> 00:19:24,372 駿太郎 ここに座れ。 241 00:19:30,182 --> 00:19:33,001 この間の武士を覚えとるか? 242 00:19:33,001 --> 00:19:37,072 俺の事を知っていた あのお侍か? 243 00:19:37,072 --> 00:19:44,012 そうだ。 名を 槙野源左衛門殿と申してな➡ 244 00:19:44,012 --> 00:19:47,232 はるばる 駿河国から参られた。 245 00:19:47,232 --> 00:19:52,537 駿太郎 お前を引き取るためだ。 246 00:19:52,537 --> 00:19:56,741 ふ~ん。 いつだ? 247 00:19:56,741 --> 00:20:05,217 「支度ができたら すぐにでも」と 槙野殿は話された。 248 00:20:05,217 --> 00:20:07,819 10日もあれば十分であろう。 249 00:20:07,819 --> 00:20:14,242 じいじと 旅するのか? 楽しみじゃ! 250 00:20:14,242 --> 00:20:18,246 じいじは 行かん。 行かん? 251 00:20:18,246 --> 00:20:21,049 ≪お前一人で行って➡ 252 00:20:21,049 --> 00:20:25,904 槙野家に養われるのだ。 屋敷住まいだぞ。 253 00:20:25,904 --> 00:20:31,109 嫌じゃ! じいじが行かんのなら 俺も行かん! 254 00:20:31,109 --> 00:20:40,051 駿太郎 人は いつか 必ず 別れなければならない時が来る。 255 00:20:40,051 --> 00:20:42,304 それを我慢するのが 男だ。 256 00:20:42,304 --> 00:20:44,304 嫌じゃ! 257 00:20:46,441 --> 00:20:52,180 俺 侍にはならぬ! じいじと一緒に 研ぎ屋をやる! 258 00:20:52,180 --> 00:20:56,501 ならぬ! 何でじゃ!? 何でじゃ!? 259 00:20:56,501 --> 00:21:02,440 駿太郎 お前は 槙野家の人間になるんだ。 260 00:21:02,440 --> 00:21:07,746 それが お前の道だ。 261 00:21:07,746 --> 00:21:11,349 じいじは 俺を捨てるのか!? 262 00:21:11,349 --> 00:21:16,338 やっぱり 俺が嫌いなんじゃ! 263 00:21:16,338 --> 00:21:18,390 駿太郎。 264 00:21:18,390 --> 00:21:22,377 ♬~ 265 00:21:22,377 --> 00:21:28,600 ≪(駿太郎の泣き声) 266 00:21:28,600 --> 00:21:41,930 (小籐次の泣き声) 267 00:21:41,930 --> 00:21:45,467 おい! 野暮な事すんじゃねえ! 268 00:21:45,467 --> 00:21:55,267 ♬~ 269 00:21:59,080 --> 00:22:01,880 (大工)何だ!? これは! 270 00:22:04,970 --> 00:22:07,539 既に 人に譲った別邸を 襲うなんざ➡ 271 00:22:07,539 --> 00:22:09,674 常人の考える事じゃありやせんぜ。 272 00:22:09,674 --> 00:22:11,743 さようでございますな。 273 00:22:11,743 --> 00:22:16,998 早速 秋本様に使いを出して 詳細をただしてみましょう。 274 00:22:16,998 --> 00:22:21,620 ええ。 あっしも 今夜から 赤目の旦那と張り込みまさぁ。 275 00:22:21,620 --> 00:22:24,422 ねえ? 旦那。➡ 276 00:22:24,422 --> 00:22:28,122 旦那。 うん。 277 00:22:30,445 --> 00:22:36,635 親分 私は ちょっと 赤目様に ご相談が。 278 00:22:36,635 --> 00:22:39,738 ええ。 じゃ あっしは 先に。 279 00:22:39,738 --> 00:22:43,838 旦那 夜に 落ち合いやしょう。 うん。 280 00:22:49,280 --> 00:22:55,637 昌右衛門殿 それがしに相談とは? 281 00:22:55,637 --> 00:23:04,512 相談は 赤目様に あるのではございませんか? 282 00:23:04,512 --> 00:23:08,983 ♬~ 283 00:23:08,983 --> 00:23:13,571 (昌右衛門)なんと! 駿太郎様を 駿河に帰す? 284 00:23:13,571 --> 00:23:18,126 そんなご無体な! 285 00:23:18,126 --> 00:23:22,313 駿太郎の行く末を思うと➡ 286 00:23:22,313 --> 00:23:28,870 槙野家に引き取っていただくのが 良策と考え申した。 287 00:23:28,870 --> 00:23:34,943 なぜ 私に ひと言 ご相談いただけませんでした? 288 00:23:34,943 --> 00:23:43,952 誰に 何を申そうが それがしが 浪人である事に変わりはござらぬ。 289 00:23:43,952 --> 00:23:49,140 一介の研ぎ屋に 何ができようか! 290 00:23:49,140 --> 00:23:56,247 それは 赤目様の ご本心でございますか!? 291 00:23:56,247 --> 00:23:58,299 いかにも。 292 00:23:58,299 --> 00:24:01,236 ♬~ 293 00:24:01,236 --> 00:24:05,090 さようでございますか。 294 00:24:05,090 --> 00:24:08,143 ♬~ 295 00:24:08,143 --> 00:24:16,384 それなら もう 私は これ以上 何も申しますまい。 296 00:24:16,384 --> 00:24:19,938 ♬~ 297 00:24:19,938 --> 00:24:23,174 しかし…。 298 00:24:23,174 --> 00:24:27,078 ♬~ 299 00:24:27,078 --> 00:24:30,732 (銀太郎)秋本家の別邸だった頃の 奉公人に聞いてみたところ➡ 300 00:24:30,732 --> 00:24:34,402 秋本の殿様には 酒乱の癖があるようで。 301 00:24:34,402 --> 00:24:38,273 (秀次)ほう。 (銀太郎)大酒飲んで 刀振り回し➡ 302 00:24:38,273 --> 00:24:40,975 お女中衆や ご家来衆を 傷つけた事は➡ 303 00:24:40,975 --> 00:24:42,944 一度や二度じゃないそうです。 304 00:24:42,944 --> 00:24:44,979 (秀次)物騒な事だ。 305 00:24:44,979 --> 00:24:48,433 (銀太郎)今度の事も 新しい主が 女と知って➡ 306 00:24:48,433 --> 00:24:51,236 「脅せば たやすく取り返せる」➡ 307 00:24:51,236 --> 00:24:53,338 ぐれえに 思ったんじゃなかろうかと。 308 00:24:53,338 --> 00:24:55,673 もし この事が 表沙汰になりゃあ➡ 309 00:24:55,673 --> 00:24:58,143 秋本家のお取り潰しは 間違えねえだろうな。 310 00:24:58,143 --> 00:25:01,943 へえ。 (信吉)誰か来やしたぜ。 311 00:25:06,851 --> 00:25:08,951 おりょう様。 312 00:25:16,644 --> 00:25:20,248 じいじ。 うん? 313 00:25:20,248 --> 00:25:24,035 じいじのお里は どんな所だった? 314 00:25:24,035 --> 00:25:27,238 国元の事か? 315 00:25:27,238 --> 00:25:31,292 一度 用事を頼まれて 帰った事があったが➡ 316 00:25:31,292 --> 00:25:35,647 ほんに いい所であった。 317 00:25:35,647 --> 00:25:43,538 切り株のようなお山の周りにな 田畑が ずっと広がってな。 318 00:25:43,538 --> 00:25:46,538 のどかな風景だった。 319 00:25:48,643 --> 00:25:55,250 人も 皆 穏やかで 優しかった。 320 00:25:55,250 --> 00:26:00,054 ふ~ん 一度 行ってみたいのう。 321 00:26:00,054 --> 00:26:05,109 駿河には そんな所があるかのう。 322 00:26:05,109 --> 00:26:08,963 ある。 きっと ある。 323 00:26:08,963 --> 00:26:13,051 ♬~ 324 00:26:13,051 --> 00:26:15,904 おりょう殿。 325 00:26:15,904 --> 00:26:20,408 屋敷の事が心配で参りました。 326 00:26:20,408 --> 00:26:26,648 おりょうさん 俺は 駿河に行くんだそうな。 327 00:26:26,648 --> 00:26:33,938 ♬~ 328 00:26:33,938 --> 00:26:37,038 どんなお屋敷かなぁ。 329 00:26:39,210 --> 00:26:44,249 つらいのは じいじも同じだもんな。 330 00:26:44,249 --> 00:26:52,949 ♬~ 331 00:26:57,245 --> 00:26:59,845 銀の字。 へい! 332 00:27:17,882 --> 00:27:20,935 (秀次)秋本の殿様 どうなさるおつもりで? 333 00:27:20,935 --> 00:27:25,673 (秋本順道)町方風情が 我が屋敷で うろうろするな! 334 00:27:25,673 --> 00:27:28,473 どけ どけ! 335 00:27:31,179 --> 00:27:34,379 赤目様! 来たか? 336 00:27:42,740 --> 00:27:46,311 酔いどれ小籐次? 秋本順道。 337 00:27:46,311 --> 00:27:49,781 途方もない勘違いを致したな。 338 00:27:49,781 --> 00:27:54,936 こんな事では 秋本家先祖代々が泣いておろう。 339 00:27:54,936 --> 00:27:57,872 ここは 帰ったほうが 身のためですぜ。 340 00:27:57,872 --> 00:27:59,841 ええい! やれ! 341 00:27:59,841 --> 00:28:01,876 や~っ! 342 00:28:01,876 --> 00:28:19,227 ♬~ 343 00:28:19,227 --> 00:28:21,262 (銀太郎)親分! 344 00:28:21,262 --> 00:28:24,232 ♬~ 345 00:28:24,232 --> 00:28:26,250 あっ! 346 00:28:26,250 --> 00:28:36,544 ♬~ 347 00:28:36,544 --> 00:28:39,247 この! 離せ! 離せ! 348 00:28:39,247 --> 00:28:43,851 赤目小籐次 命はもらった! 349 00:28:43,851 --> 00:28:47,071 父上に 何をする!? 350 00:28:47,071 --> 00:28:49,674 駿太郎! や~っ! 351 00:28:49,674 --> 00:28:52,810 駿坊! 352 00:28:52,810 --> 00:28:54,810 駿太郎様! 353 00:28:56,914 --> 00:29:02,003 あ~! あっ! うっ! はっ! 354 00:29:02,003 --> 00:29:05,339 秋本家に 嫡男はおるか!? 355 00:29:05,339 --> 00:29:08,076 それに免じて 許してやる。 356 00:29:08,076 --> 00:29:12,013 運がよければ 相続も認められるだろう。 357 00:29:12,013 --> 00:29:14,415 もう二度と このようなバカなまねはするな。 358 00:29:14,415 --> 00:29:18,715 分かった! 引け! 359 00:29:20,772 --> 00:29:23,372 おととい来やがれってんだ! 360 00:29:29,881 --> 00:29:32,781 じいじ! 駿太郎! 361 00:29:34,836 --> 00:29:38,639 駿太郎 よくやった! 362 00:29:38,639 --> 00:30:07,539 ♬~ 363 00:30:14,742 --> 00:30:19,842 駿太郎 おぬしに進ぜよう。 364 00:30:41,919 --> 00:30:44,319 達者でな。 365 00:30:51,179 --> 00:30:53,579 父上。 366 00:30:58,536 --> 00:31:01,022 ご武運を。 367 00:31:01,022 --> 00:31:49,453 ♬~ 368 00:31:49,453 --> 00:31:51,472 さあ。 369 00:31:51,472 --> 00:32:14,879 ♬~ 370 00:32:14,879 --> 00:32:18,482 つらかろうが おぬしのためなのじゃ。 371 00:32:18,482 --> 00:32:20,668 分かっております。 372 00:32:20,668 --> 00:32:24,872 父上のする事に 間違いはありません。 373 00:32:24,872 --> 00:32:26,908 うん。 374 00:32:26,908 --> 00:32:41,372 ♬~ 375 00:32:41,372 --> 00:32:46,572 わしは なんというむごい事を。 376 00:32:51,299 --> 00:32:58,499 駿太郎 おぬしの父は ただ一人じゃ。 377 00:33:02,510 --> 00:33:05,780 行け。 378 00:33:05,780 --> 00:33:08,666 駿太郎。 379 00:33:08,666 --> 00:33:17,008 ♬~ 380 00:33:17,008 --> 00:33:21,112 じいじ! 駿太郎! 381 00:33:21,112 --> 00:33:24,782 駿太郎! 382 00:33:24,782 --> 00:33:26,751 駿太郎…。 383 00:33:26,751 --> 00:33:33,941 ♬~ 384 00:33:33,941 --> 00:33:40,514 平八郎 駿太郎は 立派に育っておるわ。 385 00:33:40,514 --> 00:33:48,572 ♬~ 386 00:33:48,572 --> 00:33:50,541 駿太郎。 387 00:33:50,541 --> 00:33:55,963 ♬~ 388 00:33:55,963 --> 00:33:58,332 駿太郎。 389 00:33:58,332 --> 00:34:00,868 ♬~ 390 00:34:00,868 --> 00:34:02,853 駿太郎。 391 00:34:02,853 --> 00:34:11,696 ♬~ 392 00:34:11,696 --> 00:34:13,696 駿太郎…。 393 00:34:18,652 --> 00:34:22,690 <中秋の名月の今宵 万八楼で➡ 394 00:34:22,690 --> 00:34:28,112 浩介とおやえの祝言が 執り行われた> 395 00:34:28,112 --> 00:34:48,399 ♬~(「高砂」) 396 00:34:48,399 --> 00:34:52,486 ♬~ 397 00:34:52,486 --> 00:35:02,713 私の夢が とうとう…。 398 00:35:02,713 --> 00:35:11,055 ♬~ 399 00:35:11,055 --> 00:35:14,658 よう似合いの2人じゃ。 のう? おりょう。 400 00:35:14,658 --> 00:35:18,162 ええ。 おやえさん ほんに美しゅうございます。 401 00:35:18,162 --> 00:35:20,264 ありがとうございます。 402 00:35:20,264 --> 00:35:26,020 亡くなった若旦那や奥様も きっと 喜んでいらっしゃる事と存じます。 403 00:35:26,020 --> 00:35:30,691 ♬~ 404 00:35:30,691 --> 00:35:35,346 ささ 赤目様も ご一献。 405 00:35:35,346 --> 00:35:37,698 ♬~ 406 00:35:37,698 --> 00:35:41,118 昌右衛門殿 おめでとうござる。 407 00:35:41,118 --> 00:35:45,756 ありがとうございます。 408 00:35:45,756 --> 00:35:51,145 思えば 箱根の山で 山賊に襲われた時に➡ 409 00:35:51,145 --> 00:35:55,900 赤目様に助けていただきました。 410 00:35:55,900 --> 00:36:03,257 あれ以来 赤目様は 久慈屋の守り神。 411 00:36:03,257 --> 00:36:06,927 どうぞ 今後とも あの2人を➡ 412 00:36:06,927 --> 00:36:10,898 末永く よろしくお願いを申し上げます。 413 00:36:10,898 --> 00:36:14,385 承知つかまつった。 414 00:36:14,385 --> 00:36:16,520 実は 昌右衛門殿。 はい。 415 00:36:16,520 --> 00:36:21,725 本日は おうづさんと太郎吉から 祝いの品を預かってまいった。 416 00:36:21,725 --> 00:36:24,225 それは それは。 417 00:36:30,351 --> 00:36:32,386 産湯に使う たらいにござる。 418 00:36:32,386 --> 00:36:35,586 (昌右衛門)ありがとうございます。 419 00:36:37,958 --> 00:36:42,930 いや こうして 駿太郎様も お戻りになりました。 420 00:36:42,930 --> 00:36:49,019 次は 赤目様と おりょう様の番でございますな。 421 00:36:49,019 --> 00:36:52,423 いや。 (昌右衛門)ねえ? 水野様 ハハハ…。 422 00:36:52,423 --> 00:36:55,326 (水野)ハハハ…。 423 00:36:55,326 --> 00:36:59,230 ♬~ 424 00:36:59,230 --> 00:37:03,234 いいね。 輝いてるね 今日は 特に。 425 00:37:03,234 --> 00:37:06,453 ただいま 帰った。 おっ お帰りなさい。 426 00:37:06,453 --> 00:37:09,890 みんな そろって 月見酒か? 赤目様 お帰りなさい。 427 00:37:09,890 --> 00:37:12,760 駿太郎 やはり ここが 一番 落ち着くな。 428 00:37:12,760 --> 00:37:15,262 うん! 赤目様は➡ 429 00:37:15,262 --> 00:37:18,732 どこまでも 欲がないですねぇ。 430 00:37:18,732 --> 00:37:21,318 はい! まあ ゆっくり休みねえ。 431 00:37:21,318 --> 00:37:23,487 かたじけない。 祝言の土産物だ。 432 00:37:23,487 --> 00:37:27,992 (一同)おう! 頂いたよ!➡ 433 00:37:27,992 --> 00:37:30,895 ひゃ~! (勝五郎)何だ 何だ 何だ 何だ? 434 00:37:30,895 --> 00:37:34,215 お~っ 鯛なんて いつ以来だ? 435 00:37:34,215 --> 00:37:37,234 忘れた。 おきみ もっと 酒だい! 436 00:37:37,234 --> 00:37:39,820 それと 早いとこ 新兵衛さん 呼んできな! お麻ちゃんもな! 437 00:37:39,820 --> 00:37:43,257 はいよ! ちゃんと聞こえてますよ。 438 00:37:43,257 --> 00:37:46,860 みんなの声が 大きいんだもの。 439 00:37:46,860 --> 00:37:50,197 赤目の旦那 まだ 飲むだろう? 440 00:37:50,197 --> 00:37:52,883 当たり前だ! (勝五郎)さすがだねえ! 441 00:37:52,883 --> 00:37:54,902 駿太郎 まだ 食べるのか? 442 00:37:54,902 --> 00:37:58,422 目刺しのほうが おいしい! (一同)ハハハ…。 443 00:37:58,422 --> 00:38:02,960 いいね! 駿坊。 (一同)ハハハ…。 444 00:38:02,960 --> 00:38:05,496 そうこなくちゃな 駿坊。 445 00:38:05,496 --> 00:38:10,284 ♬~ 446 00:38:10,284 --> 00:38:14,388 昨夜は ほんによい祝言であった。 447 00:38:14,388 --> 00:38:19,860 ええ。 そして 私たちの仮祝言➡ 448 00:38:19,860 --> 00:38:24,660 約束どおり 今日 挙げとうございました。 449 00:38:26,884 --> 00:38:34,458 せんだっての赤目様と 駿太郎様を 見て 私 はっきりと悟りました。 450 00:38:34,458 --> 00:38:40,164 やはり 今 私が 2人の間に 割って入るべきではないと。 451 00:38:40,164 --> 00:38:42,483 おりょう殿。 452 00:38:42,483 --> 00:38:45,669 赤目様も 同じお気持ちのはず。 453 00:38:45,669 --> 00:38:49,523 ♬~ 454 00:38:49,523 --> 00:38:55,696 赤目様を慕う気持ちは 生涯 変わりは致しませぬ。 455 00:38:55,696 --> 00:39:00,034 駿太郎様が 立派に 独り立ちなされるまで➡ 456 00:39:00,034 --> 00:39:04,622 私が この家を 独りで守ります。 457 00:39:04,622 --> 00:39:10,060 この赤目小籐次 その時には➡ 458 00:39:10,060 --> 00:39:14,860 必ずや おりょう殿のもとに参ります。 459 00:39:16,867 --> 00:39:21,622 お待ち申しております いつまでも。 460 00:39:21,622 --> 00:39:26,727 ♬~ 461 00:39:26,727 --> 00:39:28,996 ≪(女中)失礼します。 462 00:39:28,996 --> 00:39:33,584 ♬~ 463 00:39:33,584 --> 00:39:37,984 赤目様 庭のほうに お客人が。 464 00:39:40,457 --> 00:39:42,826 おうづさん 太郎吉! 465 00:39:42,826 --> 00:39:45,462 (太郎吉)どっから入ったらいいか 分かんなくてさ。 466 00:39:45,462 --> 00:39:47,498 (おうづ)だから やめようって 言ったじゃない。 467 00:39:47,498 --> 00:39:49,783 よく いらっしゃいました。 468 00:39:49,783 --> 00:39:53,287 お二人の事は いつも 赤目様から伺っております。 469 00:39:53,287 --> 00:39:56,287 さあ お上がりください。 470 00:40:00,894 --> 00:40:05,099 あの… おりょう様は お茶も なさるって聞いたもんだからさ➡ 471 00:40:05,099 --> 00:40:10,154 実は 引っ越し祝に こんな物を作ってみたんでさぁ。 472 00:40:10,154 --> 00:40:13,524 ああ… なんと見事な! 473 00:40:13,524 --> 00:40:17,745 ありがとうございます。 早速 使わせていただきます。 474 00:40:17,745 --> 00:40:19,797 それと 実は 私たち➡ 475 00:40:19,797 --> 00:40:23,634 おとっつぁんの喪が明けたら 一緒になる事に決めたんです。 476 00:40:23,634 --> 00:40:26,053 そうか! それは よかった! 477 00:40:26,053 --> 00:40:29,123 そいで その時は 是非とも お二人に➡ 478 00:40:29,123 --> 00:40:31,892 仲人をやってもらいたいんだけど。 479 00:40:31,892 --> 00:40:34,528 いや。 わしと おりょう殿は まだ。 480 00:40:34,528 --> 00:40:36,497 よいではありませんか。 481 00:40:36,497 --> 00:40:41,034 ほかならぬ お二人の頼み事。 聞いてさしあげましょう。 482 00:40:41,034 --> 00:40:43,537 ありがとうございます! 483 00:40:43,537 --> 00:40:49,993 ♬~ 484 00:40:49,993 --> 00:40:57,593 <翌日 長屋近くの広場に 小籐次と駿太郎の姿があった> 485 00:41:00,104 --> 00:41:03,006 父上 よろしくお願いします。 486 00:41:03,006 --> 00:41:05,025 うむ。 487 00:41:05,025 --> 00:41:08,028 ♬~ 488 00:41:08,028 --> 00:41:10,748 来い。 489 00:41:10,748 --> 00:41:12,748 えい! 490 00:41:14,768 --> 00:41:17,521 駿太郎 もっと強く! 491 00:41:17,521 --> 00:41:21,325 はい! えい! 492 00:41:21,325 --> 00:41:26,914 <父と子の いつもの暮らしが また 始まった> 493 00:41:26,914 --> 00:41:29,533 えい! 494 00:41:29,533 --> 00:41:31,685 よし! 来い! 495 00:41:31,685 --> 00:41:37,324 ♬~ 496 00:41:37,324 --> 00:41:40,828 ♬「寂しくて悲しくて」 497 00:41:40,828 --> 00:41:50,237 ♬「ぽつんと 陽だまりの中に」 498 00:41:50,237 --> 00:41:56,894 ♬「前向きと ほほ笑みも忘れず」 499 00:41:56,894 --> 00:42:08,922 ♬「不器用な私に 言葉残した」 500 00:42:08,922 --> 00:42:15,295 ♬「人はいつか 何になるかを」 501 00:42:15,295 --> 00:42:25,639 ♬「求め目指し 歩いて行く」 502 00:42:25,639 --> 00:42:30,360 ♬「愛ください」 503 00:42:30,360 --> 00:42:38,485 ♬「大事な愛を 置いて来たんです」 504 00:42:38,485 --> 00:42:48,829 ♬「大きな愛を そう あの人の愛を」 505 00:42:48,829 --> 00:42:55,529 ♬「あの日に置いて来た」