1 00:00:33,761 --> 00:00:38,999 <神守幹次郎殿は 幼なじみだった私 汀女を➡ 2 00:00:38,999 --> 00:00:43,838 乱暴な夫 壮五郎の手から 救い出してくれました。➡ 3 00:00:43,838 --> 00:00:51,345 私たちが 3年の逃亡の旅の末に たどりついたのは 江戸・吉原。➡ 4 00:00:51,345 --> 00:00:55,850 しかし そこで 私たちを おびき寄せる罠に使われた➡ 5 00:00:55,850 --> 00:00:59,687 弟 信一郎と遊女 初音は➡ 6 00:00:59,687 --> 00:01:06,687 夫 壮五郎が雇った浪人に斬られ 命を落としました> 7 00:01:08,362 --> 00:01:10,698 死ぬな! 8 00:01:10,698 --> 00:01:14,869 吉原のために お働き願えませぬかな。 9 00:01:14,869 --> 00:01:19,740 つまり 吉原の用心棒になれ という事ですか? 10 00:01:19,740 --> 00:01:23,377 そういう事になりますか。 11 00:01:23,377 --> 00:01:30,151 いわば 吉原裏同心でございます。 12 00:01:30,151 --> 00:01:36,323 吉原は お上のお許しを得た遊里ゆえ➡ 13 00:01:36,323 --> 00:01:39,827 大門の中に 町方の詰め所があり➡ 14 00:01:39,827 --> 00:01:44,331 お役の方が 昼夜交代で詰めておられます。 15 00:01:44,331 --> 00:01:52,206 ところが お役人方も 太平の世に すっかり慣れてしまいましてな➡ 16 00:01:52,206 --> 00:01:55,843 近頃では 何か騒ぎが起きても➡ 17 00:01:55,843 --> 00:01:58,345 お前らで なんとかしろと➡ 18 00:01:58,345 --> 00:02:00,545 おっしゃるばかりです。 19 00:02:02,183 --> 00:02:08,522 我ら会所の者が 廓内の仕置きは 行うておるんですが➡ 20 00:02:08,522 --> 00:02:11,859 時には 刃傷沙汰も起こります。 21 00:02:11,859 --> 00:02:19,033 誰ぞ 腕の立つ者がいたらと 思うておったところを➡ 22 00:02:19,033 --> 00:02:22,233 あなた様を見た。 23 00:02:23,871 --> 00:02:27,741 お引き受け下さいますなら➡ 24 00:02:27,741 --> 00:02:33,241 相応のお礼は致します。 25 00:02:37,518 --> 00:02:44,818 ♬~ 26 00:02:48,996 --> 00:02:53,500 なぜ お断りになったのですか? 27 00:02:53,500 --> 00:02:56,403 吉原は あの初音のように➡ 28 00:02:56,403 --> 00:03:00,374 金で買われてきた女たちが 体を売っている所です。 29 00:03:00,374 --> 00:03:03,210 吉原で用心棒をするという事は➡ 30 00:03:03,210 --> 00:03:09,850 それをさせている連中に 力を貸す事になりませぬか? 31 00:03:09,850 --> 00:03:12,186 そうですね…。 32 00:03:12,186 --> 00:03:15,689 確かに あの四郎兵衛という人は➡ 33 00:03:15,689 --> 00:03:20,361 信一郎と初音を 一緒に手厚く弔ってくれました。 34 00:03:20,361 --> 00:03:22,396 しかし こればっかりは…。 35 00:03:22,396 --> 00:03:26,867 あね様には 苦労をおかけしますが。 36 00:03:26,867 --> 00:03:30,371 信一郎が眠っているそばに いれるだけで➡ 37 00:03:30,371 --> 00:03:35,976 私は心安らかでいられます。 それに…➡ 38 00:03:35,976 --> 00:03:40,176 壮五郎殿が あれで 私たちを 討つ事を諦めたとは思えません。 39 00:03:42,316 --> 00:03:45,819 うわ~! 待て! 40 00:03:45,819 --> 00:03:48,489 それが終わるまでは➡ 41 00:03:48,489 --> 00:03:55,996 私たちの暮らしは 所詮 仮住まいですから。 42 00:03:55,996 --> 00:04:01,335 もう少し 辛抱しましょう。 43 00:04:01,335 --> 00:04:08,635 いつか 腰を落ち着けて 心安らかに暮らせる日が…。 44 00:04:10,344 --> 00:04:14,515 きっと来ます。 45 00:04:14,515 --> 00:04:28,362 ♬~ 46 00:04:28,362 --> 00:04:32,232 お~い 気を付けろ! へい! 47 00:04:32,232 --> 00:04:35,969 仕事はないか? 何でもやる。 48 00:04:35,969 --> 00:04:38,472 あいにく 諸国じゃ天災続きで➡ 49 00:04:38,472 --> 00:04:41,809 江戸に 人が どっと流れ込んできましてね➡ 50 00:04:41,809 --> 00:04:45,479 このとおり 人手は間に合ってまさあ。 51 00:04:45,479 --> 00:04:48,816 おい お前 時間だ。 飯 食ってこい。 へい! 52 00:04:48,816 --> 00:04:51,816 邪魔したな。 53 00:04:53,487 --> 00:04:57,687 助けてくれ~! 54 00:05:02,830 --> 00:05:06,166 おい 大丈夫か!? 55 00:05:06,166 --> 00:05:09,866 あら 元気だねえ! 56 00:05:12,339 --> 00:05:17,678 これは ひどいなあ。 誰にやられた? 57 00:05:17,678 --> 00:05:21,849 この人 吉原の人ですよ。 吉原に使いを出しておきました。 58 00:05:21,849 --> 00:05:25,352 う~ん このやられ方…➡ 59 00:05:25,352 --> 00:05:31,525 相手は 小具足術を心得ておるな。 小具足術というと… あの? 60 00:05:31,525 --> 00:05:35,963 ああ。 戦国伝来の 素手と小太刀で戦う技じゃ。 61 00:05:35,963 --> 00:05:39,466 わしも 昔 かじった事がある。 62 00:05:39,466 --> 00:05:41,402 おう 誰がやられたって!? 63 00:05:41,402 --> 00:05:44,338 何だ 春乃屋の宗助じゃねえかよ。 64 00:05:44,338 --> 00:05:46,807 あ! 65 00:05:46,807 --> 00:05:51,478 ああ この御仁が助けて ここまで運んで下さったんだ。 66 00:05:51,478 --> 00:05:54,314 へえ そうですかい。 そりゃ どうも。 67 00:05:54,314 --> 00:05:56,250 知り合いか? 68 00:05:56,250 --> 00:05:59,820 この人はよ 四郎兵衛様の ありがたい申し出を断ったんだよ。 69 00:05:59,820 --> 00:06:01,755 全く もったいねえ事を。 70 00:06:01,755 --> 00:06:04,691 某の勝手だ。 フン! そりゃそうだ。 71 00:06:04,691 --> 00:06:08,328 仙右衛門さんよ…。 しゃべれるようになったか? 72 00:06:08,328 --> 00:06:13,200 (仙右衛門)何があったんだい? 付け馬を しくじっちまって…。 73 00:06:13,200 --> 00:06:18,505 付け馬? 付け馬も知らねえのか? 吉原で遊んだ客が➡ 74 00:06:18,505 --> 00:06:21,408 金が足りなくなって 家まで取りに帰るって時➡ 75 00:06:21,408 --> 00:06:23,844 一緒に ついていく役目の事さ。➡ 76 00:06:23,844 --> 00:06:26,880 客に 一人で行かせたんじゃ ドロンされるのが オチだからな。 77 00:06:26,880 --> 00:06:32,553 客の名前は弥七。 3日前に 梅園の所にあがって➡ 78 00:06:32,553 --> 00:06:36,957 居続けてして さんざん 飲み食いしてよ➡ 79 00:06:36,957 --> 00:06:38,892 金ならあると 言い張るんだが➡ 80 00:06:38,892 --> 00:06:41,462 3日も4日も 居続けられたんじゃ➡ 81 00:06:41,462 --> 00:06:45,332 店の方だって心配にもならあな。➡ 82 00:06:45,332 --> 00:06:50,804 「俺は 神田の呉服屋の伜だ。 家に 金を取りに戻って➡ 83 00:06:50,804 --> 00:06:53,841 耳そろえて払う」。 そう言うんで…。 84 00:06:53,841 --> 00:06:57,478 (仙右衛門)お前が 付け馬になって 家まで行ったんだな? 85 00:06:57,478 --> 00:07:01,982 ♬~ 86 00:07:01,982 --> 00:07:05,853 おう ここだ。 87 00:07:05,853 --> 00:07:27,841 ♬~ 88 00:07:27,841 --> 00:07:32,112 (相庵)その… 取りっぱぐれたって 金は どうなるんだ?➡ 89 00:07:32,112 --> 00:07:34,948 梅園って遊女の借金に➡ 90 00:07:34,948 --> 00:07:36,884 つけられちまうんじゃ なかろうな? 91 00:07:36,884 --> 00:07:41,288 そんな! いや 春乃屋なら やりかねねえな。 92 00:07:41,288 --> 00:07:46,159 いくらなの? 20両だ。 そんなに!? 93 00:07:46,159 --> 00:07:49,162 ああ 3日も飲み食いすりゃ そんなもんさ。 94 00:07:49,162 --> 00:07:53,000 梅園はよ 器量はいいが どうも 愛想が悪くてよ➡ 95 00:07:53,000 --> 00:07:55,636 そんなに稼げる玉じゃねえんだよ。 96 00:07:55,636 --> 00:07:58,472 まあ 3年は 年季が延びるだろうなあ。 97 00:07:58,472 --> 00:08:03,810 3年も? かわいそうに…。 98 00:08:03,810 --> 00:08:09,616 お芳 お前も 遊女にならなくて よかったなあ。 99 00:08:09,616 --> 00:08:12,986 ヘッ! お前なんか 遊女になっても 客がつくかよ。 100 00:08:12,986 --> 00:08:16,323 あら 私 これでも 結構 もてるのよ。 101 00:08:16,323 --> 00:08:19,359 おい 何だと!? 誰に もててるっていうんだよ! 102 00:08:19,359 --> 00:08:22,996 お芳目当てに 仮病まで使ってやって来る輩が➡ 103 00:08:22,996 --> 00:08:25,832 何人もいるっていうのを 知らないな。 104 00:08:25,832 --> 00:08:30,170 ヘヘッ! 悪い冗談だぜ。 105 00:08:30,170 --> 00:08:35,008 梅園とやら 厄介な事に ならなければよいが…。 106 00:08:35,008 --> 00:08:41,281 厄介? ああ。 遊女の厄介といえば 足抜き 心中 首くくり。➡ 107 00:08:41,281 --> 00:08:46,781 借金が増えて ヤケを起こさんとも限らん。 108 00:08:51,291 --> 00:09:01,301 <そのころ 私は 弟 信一郎と 初音の墓参りに来ていました> 109 00:09:01,301 --> 00:09:09,810 ♬~ 110 00:09:09,810 --> 00:09:18,819 (信一郎) 私が弱いばかりに… 初音を。 111 00:09:18,819 --> 00:09:21,119 ご苦労さまでございます。 112 00:09:22,689 --> 00:09:26,693 後で 本堂に お立ち寄り下さい。 113 00:09:26,693 --> 00:09:28,893 はあ…。 114 00:09:32,265 --> 00:09:34,201 あ…。 115 00:09:34,201 --> 00:09:38,701 ああ これは これは。 どうぞ。 116 00:09:40,440 --> 00:09:43,276 私に 何か? 117 00:09:43,276 --> 00:09:49,082 今度 墓参に来られた時には 必ず 私に知らせてくれと➡ 118 00:09:49,082 --> 00:09:51,985 ご住職に お願いしておきました。 119 00:09:51,985 --> 00:09:58,759 先日の書状のお礼を 申し上げたくて…。 120 00:09:58,759 --> 00:10:03,597 弟を手厚く葬って下さり まことに ありがとう存じました。 121 00:10:03,597 --> 00:10:06,299 いや ご丁寧に。 122 00:10:06,299 --> 00:10:14,641 あなたの文は まことに優しゅうて 品がございます。 123 00:10:14,641 --> 00:10:19,813 字も 実に美しい。 いえ。 124 00:10:19,813 --> 00:10:25,318 さぞ 修練なさった事と。 はあ。 125 00:10:25,318 --> 00:10:28,989 父が いかに貧しくとも➡ 126 00:10:28,989 --> 00:10:32,859 武家の娘には たしなみがなくては ならぬと申して➡ 127 00:10:32,859 --> 00:10:41,168 至らぬまでも 書に茶の湯 俳諧の道を一とおり…。 うむ。 128 00:10:41,168 --> 00:10:48,842 いかがでしょうな。 私と ご同道願えませぬか? 129 00:10:48,842 --> 00:10:50,777 え? 130 00:10:50,777 --> 00:10:56,183 この吉原には さまざまなお客様が いらっしゃいます。 131 00:10:56,183 --> 00:11:00,854 中でも 上客と呼ばれるお方の お相手をする遊女は➡ 132 00:11:00,854 --> 00:11:05,525 ただ美しいというだけでは 務まりませんのでな。 133 00:11:05,525 --> 00:11:09,362 そこそこの学も 必要なんでございますよ。 134 00:11:09,362 --> 00:11:12,162 はあ…。 まあ どうぞ。 135 00:11:17,237 --> 00:11:21,942 それに もう一度 お客様に お越し頂けるように➡ 136 00:11:21,942 --> 00:11:24,377 文をしたためるというのも➡ 137 00:11:24,377 --> 00:11:28,215 大事な仕事でございます。 さようですか。 138 00:11:28,215 --> 00:11:34,821 まあ 女たちは 貧しい出の者が 多うございますからな➡ 139 00:11:34,821 --> 00:11:38,992 この吉原に来て 初めて読み書きを習って➡ 140 00:11:38,992 --> 00:11:44,292 難儀している者も たんとおりますよ。 さあ どうぞ。 141 00:11:47,334 --> 00:11:50,370 お師匠さん これでいいですか? 142 00:11:50,370 --> 00:11:54,007 何だい これは! ミミズが のたくってるような字だねえ。 143 00:11:54,007 --> 00:11:57,844 こんな手紙もらったら どんな客も逃げちまうよ。 ええ!? 144 00:11:57,844 --> 00:12:02,182 私の娘で 玉藻といいます。 あ! 145 00:12:02,182 --> 00:12:06,853 この巴屋を任せておりましてな。 巴屋…。 146 00:12:06,853 --> 00:12:12,526 茶屋ですよ。 遊女と客が 待ち合わせて 宴を張るとこです。 147 00:12:12,526 --> 00:12:16,696 私は もう会所の方に 掛かりっきりでございますから➡ 148 00:12:16,696 --> 00:12:18,632 この店は こいつに…。 149 00:12:18,632 --> 00:12:21,868 あっ もう一人 清次って伜がいるんですがね➡ 150 00:12:21,868 --> 00:12:24,204 あれは まだ 青二才ですから➡ 151 00:12:24,204 --> 00:12:28,375 会所で見習い修業中でございます。 152 00:12:28,375 --> 00:12:31,711 店が忙しくて 嫁に行く暇もありゃしませんよ。 153 00:12:31,711 --> 00:12:34,614 てやんでい! 嫁のもらい手がねえのは➡ 154 00:12:34,614 --> 00:12:37,317 てめえの口が悪いせいだろうが。 155 00:12:37,317 --> 00:12:39,986 おお!? お? おお! 156 00:12:39,986 --> 00:12:42,986 おお! おお! だろうよ! 157 00:12:47,727 --> 00:12:51,498 吉原で 手習いの師匠を? 158 00:12:51,498 --> 00:12:55,168 はい。 遊女たちに いろいろ 教えてやってくれないかと➡ 159 00:12:55,168 --> 00:12:57,103 四郎兵衛様に言われまして。 160 00:12:57,103 --> 00:13:00,340 あの方たちのために してやれる事があるのなら➡ 161 00:13:00,340 --> 00:13:05,140 やってみたいのですが…。 162 00:13:06,847 --> 00:13:12,147 よいではありませんか。 163 00:13:14,721 --> 00:13:19,860 某も 明日やる事が決まりました。 164 00:13:19,860 --> 00:13:22,696 <この時 幹次郎殿は➡ 165 00:13:22,696 --> 00:13:29,396 遊女たちの手助けとなる仕事を する決意を固めていたのです> 166 00:13:35,275 --> 00:13:37,811 はい ごめんよ ごめんよ! 167 00:13:37,811 --> 00:13:41,314 (村崎)付け馬に行った 妓楼の若い者が➡ 168 00:13:41,314 --> 00:13:43,817 狼藉を加えられた上➡ 169 00:13:43,817 --> 00:13:48,688 客に逃げられたとの知らせが 来ておる。 そのあと どうなった? 170 00:13:48,688 --> 00:13:51,558 へえ。 弥七と名乗った客の行方を➡ 171 00:13:51,558 --> 00:13:53,827 八方 手を尽くして 捜してるところで。 172 00:13:53,827 --> 00:13:56,496 一刻も早く捜し出せ! へえ。 173 00:13:56,496 --> 00:13:59,833 さっさと 捜しに行かねえか! (男衆たち)へい! 174 00:13:59,833 --> 00:14:04,533 痛えな! 離せ! 175 00:14:06,172 --> 00:14:08,842 宗助を殴って逃げたのは この男だ。 176 00:14:08,842 --> 00:14:10,777 えっ 本当か!?➡ 177 00:14:10,777 --> 00:14:14,714 宗助を連れてこい! 人相を改めさせる。 へい! 178 00:14:14,714 --> 00:14:19,352 こいつを ふん縛れ! (男衆たち)へい! 179 00:14:19,352 --> 00:14:22,856 一体 どうやって? 相庵先生が言ってた。 180 00:14:22,856 --> 00:14:27,193 相手は 小具足術を心得ておるな。 181 00:14:27,193 --> 00:14:30,864 聞いたところ 江戸には 小具足術の道場が3軒ある。 182 00:14:30,864 --> 00:14:35,468 その3軒を訪ね歩いて 急に 金回りがよくなった者を見つけた。 183 00:14:35,468 --> 00:14:42,268 あ~! あ あ あ! 何なんだよ! あ! あ~! あ~! 184 00:14:44,644 --> 00:14:46,579 アイテテテテテッ! 185 00:14:46,579 --> 00:14:53,153 …で 賭場で遊んでいたところを 捕まえたという訳だ。 では。 186 00:14:53,153 --> 00:14:55,488 おい ちょっと待ちなよ。 何だ? 187 00:14:55,488 --> 00:14:59,159 昨日は 宗助を助けてくれて 今日は こいつを捕まえてくれた。 188 00:14:59,159 --> 00:15:02,062 礼をしない訳にはいかねえ。 礼など無用だ。 189 00:15:02,062 --> 00:15:04,497 そうはいかねえ。 ただで帰したんじゃ➡ 190 00:15:04,497 --> 00:15:06,533 この仙右衛門の男が 廃るってもんだ。 191 00:15:06,533 --> 00:15:10,003 お前の男が どうなろうと 某は知らん。 192 00:15:10,003 --> 00:15:12,906 この男は 何者だ? 193 00:15:12,906 --> 00:15:16,706 名乗るほどの者でもありません。 では。 194 00:15:18,511 --> 00:15:22,682 チッ! この男の取り調べをする。 連れていくぞ。 195 00:15:22,682 --> 00:15:25,719 あっ 村崎様。 これには 吉原の面目が懸かってます。 196 00:15:25,719 --> 00:15:29,719 こっちで やらせて頂きます。 ふ~ん。 勝手にしろ。 197 00:15:31,391 --> 00:15:36,129 てめえ 仲間がいたな。 どこの どいつだ! 198 00:15:36,129 --> 00:15:38,129 知らねえよ。 とぼけるな! 199 00:15:40,000 --> 00:15:47,700 (藤兵衛)手はずは かねて話したとおりだ。 いいな。 200 00:15:50,677 --> 00:15:54,514 (梅園)やっぱり やるつもりなの? あんな恐ろしい事。 201 00:15:54,514 --> 00:16:02,822 客に 金 踏み倒されて また 年季明けが延びたそうだな。 202 00:16:02,822 --> 00:16:08,522 このままでは いつになっても 吉原から出られんぞ。 203 00:16:14,334 --> 00:16:19,334 この暮らしを終わりにしたければ やるんだ。 204 00:16:22,208 --> 00:16:29,516 それに… これは お前一人の事じゃないんだ。 205 00:16:29,516 --> 00:16:35,816 分かっておるだろう? 分かってるよ。 206 00:16:41,795 --> 00:16:49,295 この吉原の連中に ほえ面かかせてやる。 207 00:16:50,970 --> 00:16:54,841 よろしくお願い致します。 208 00:16:54,841 --> 00:16:59,646 あの~ 何を教えて下さるのですか? 209 00:16:59,646 --> 00:17:03,516 皆さんが習いたい事を 何でも お教え致します。 210 00:17:03,516 --> 00:17:06,716 (歓声) 211 00:17:08,354 --> 00:17:10,356 (遊女たち)わ~! 212 00:17:10,356 --> 00:17:13,156 私も よろしゅうございますか? 213 00:17:18,832 --> 00:17:24,832 <この方は 薄墨太夫。 吉原の華です> 214 00:17:26,506 --> 00:17:28,441 お客様への文は➡ 215 00:17:28,441 --> 00:17:30,844 ただ 早く会いに来てと 催促するだけでは➡ 216 00:17:30,844 --> 00:17:33,279 相手のお気持ちも 萎えてしまいますよ。 217 00:17:33,279 --> 00:17:41,020 では どのようにしたら…。 そうですね。 218 00:17:41,020 --> 00:17:46,826 いつ会えるか いつ会えるかと お越しになるのを待ちかねて➡ 219 00:17:46,826 --> 00:17:50,630 涙が袖をぬらさぬ日とて ありませぬ。 220 00:17:50,630 --> 00:17:58,304 お師匠様は なまじな遊女よりも 色恋の道にたけておられるご様子。 221 00:17:58,304 --> 00:18:02,976 あっ いえ。 私は ただ 幼少の頃より➡ 222 00:18:02,976 --> 00:18:07,147 「源氏物語」や「伊勢物語」を 読みふけっておりましたので。 223 00:18:07,147 --> 00:18:12,318 耳年増ってやつでありんすね。 (笑い声) 224 00:18:12,318 --> 00:18:16,818 私のも見て頂けますか? はい。 225 00:18:20,994 --> 00:18:26,694 これは… 美しい! 226 00:18:28,334 --> 00:18:31,771 「随處作主」。 227 00:18:31,771 --> 00:18:34,674 どこにいても 自分らしくあれば➡ 228 00:18:34,674 --> 00:18:39,445 そこは まことに すばらしい場所となる。 229 00:18:39,445 --> 00:18:44,317 私たちの中には 前の暮らしが あまりに貧しく➡ 230 00:18:44,317 --> 00:18:47,787 吉原で 三度三度 白いごはんが 食べられるだけで➡ 231 00:18:47,787 --> 00:18:51,124 満足という者もおります。➡ 232 00:18:51,124 --> 00:18:56,462 でも それだけでは あまりに悲しゅうございます。 233 00:18:56,462 --> 00:19:01,301 好きな人に身請けされて 吉原を出られれば➡ 234 00:19:01,301 --> 00:19:05,171 もちろん それが一番の幸せ。 235 00:19:05,171 --> 00:19:10,009 でも 私は この吉原の中にも➡ 236 00:19:10,009 --> 00:19:13,813 遊女なりの幸せが あるのではないかと。 237 00:19:13,813 --> 00:19:19,485 いえ そう思いたいのです。 238 00:19:19,485 --> 00:19:24,824 お師匠様は お幸せですか? 239 00:19:24,824 --> 00:19:27,660 苦労もありますが➡ 240 00:19:27,660 --> 00:19:33,099 夫と2人 ささやかながら 幸せに暮らしております。 241 00:19:33,099 --> 00:19:40,099 羨ましい事を。 さぞかし お優しい旦那様なのでしょう。 242 00:19:51,284 --> 00:19:53,319 「梅雨明けて➡ 243 00:19:53,319 --> 00:19:58,791 三千世界に 炎立つ」。 244 00:19:58,791 --> 00:20:03,791 戯れに書いただけの事。 意味はありません。 245 00:20:19,812 --> 00:20:22,315 何ですか? 246 00:20:22,315 --> 00:20:26,152 吉原の中を 歩いてみたくなりました。 247 00:20:26,152 --> 00:20:30,023 物好きだね。 どうして あんな句を? 248 00:20:30,023 --> 00:20:34,494 さあね。 もう忘れたよ。 でも…。 249 00:20:34,494 --> 00:20:37,530 あ! おう! 250 00:20:37,530 --> 00:20:40,166 幹殿 どうして? 251 00:20:40,166 --> 00:20:43,836 この春乃屋の梅園という女の 帰りを待っていました。 252 00:20:43,836 --> 00:20:51,177 梅園さんなら この人ですよ。 おう そうか。 253 00:20:51,177 --> 00:20:55,048 付けを踏み倒して 逃げた客を捕まえた。 254 00:20:55,048 --> 00:20:57,517 その男が持っていた金だ。 255 00:20:57,517 --> 00:21:02,017 全部ではないだろうが 何かの足しにはなるだろう。 256 00:21:04,190 --> 00:21:06,693 何だい? あんた。 257 00:21:06,693 --> 00:21:13,366 この人は 私の夫です。 258 00:21:13,366 --> 00:21:16,202 これっぽっち戻っても どうしようもないよ。 259 00:21:16,202 --> 00:21:19,038 私たちに 何か できる事はありますか? 260 00:21:19,038 --> 00:21:24,711 ああ。 何でも言え。 何だい 2人して気持ち悪いね。 261 00:21:24,711 --> 00:21:29,215 身内でもない女郎に 何で そんな…。 262 00:21:29,215 --> 00:21:31,150 それは…。 263 00:21:31,150 --> 00:21:37,023 我らは ある遊女を 救う事ができなかったんだ。 264 00:21:37,023 --> 00:21:42,161 私の弟と吉原の遊女が 逃げようとして…。 265 00:21:42,161 --> 00:21:50,036 ああ 噂で聞いた事あるね。 外に 逃げて 2人とも殺されたって。 266 00:21:50,036 --> 00:21:54,340 あんたたち あの2人の関わりの者かい。 267 00:21:54,340 --> 00:21:58,010 みすみす 2人を死なせてしまった。 268 00:21:58,010 --> 00:22:02,682 それゆえか 困っている 遊女を見ると どうも気になる。 269 00:22:02,682 --> 00:22:09,856 じゃあ あんたたちが 私を 吉原から出してくれるのかい? 270 00:22:09,856 --> 00:22:12,358 それは…。 271 00:22:12,358 --> 00:22:19,532 薄墨さんは この吉原の暮らしにも 楽しみや幸せがあると言った。 272 00:22:19,532 --> 00:22:23,870 フン。 そんなもんが あるもんかい。 273 00:22:23,870 --> 00:22:27,740 ただ 次に生まれ変わった時には➡ 274 00:22:27,740 --> 00:22:34,313 娘を売らなきゃいけない家には 生まれたくない。 それだけさ。 275 00:22:34,313 --> 00:22:43,823 ♬~ 276 00:22:43,823 --> 00:22:51,697 「梅雨明けて 三千世界に 炎立つ」。 277 00:22:51,697 --> 00:22:56,002 あの女が そんな句を…。 278 00:22:56,002 --> 00:22:59,702 「炎立つ」。 279 00:23:03,743 --> 00:23:06,345 何か あの人の…➡ 280 00:23:06,345 --> 00:23:09,849 暗い怒りのようなものが 籠もっている気がして…。 281 00:23:09,849 --> 00:23:16,355 借金がかさんで 年季が延びて ヤケになって そんな句を? 282 00:23:16,355 --> 00:23:21,355 どうも それだけでは ないような気がします。 283 00:23:26,032 --> 00:23:28,534 よくぞ話して下さいました。 284 00:23:28,534 --> 00:23:31,971 差し出がましい事とは 思ったのですが。 いえいえ。 285 00:23:31,971 --> 00:23:35,475 その梅園の付けを踏み倒した 弥七が➡ 286 00:23:35,475 --> 00:23:38,978 仲間の事を 少しずつ 口を割り始めまして…。 287 00:23:38,978 --> 00:23:41,314 もう一遍 話してみろ! 許して下せえ! 288 00:23:41,314 --> 00:23:45,151 私は頼まれただけなんです! 頼まれた? 289 00:23:45,151 --> 00:23:48,821 島田藤兵衛とかいう浪人と 賭場で知り合って…。➡ 290 00:23:48,821 --> 00:23:53,326 その野郎 吉原に恨みがあるとかで 今度の事を頼まれたんでさあ。 291 00:23:53,326 --> 00:23:57,163 春乃屋の梅園の所にあがって さんざん 飲み食いしておいて➡ 292 00:23:57,163 --> 00:23:59,198 その金を踏み倒せって。➡ 293 00:23:59,198 --> 00:24:02,335 うまくやった礼に 5両の金 くれたんでさあ。 294 00:24:02,335 --> 00:24:04,670 (仙右衛門)口から 出任せ 言いやがったら 承知しねえぞ! 295 00:24:04,670 --> 00:24:07,173 (弥七)本当ですって! これは ほんの手始めだ。➡ 296 00:24:07,173 --> 00:24:10,076 次には もっと でかい事をやる。➡ 297 00:24:10,076 --> 00:24:16,182 吉原を丸焼けにしてやるって 言ってました! え!? 298 00:24:16,182 --> 00:24:23,856 (半鐘の音と悲鳴) 299 00:24:23,856 --> 00:24:31,030 「三千世界に 炎立つ」。 つながりましたな。 300 00:24:31,030 --> 00:24:34,300 その藤兵衛って男の素性は? 301 00:24:34,300 --> 00:24:36,636 この吉原に どんな恨みがあるんだ! 302 00:24:36,636 --> 00:24:39,305 さあ。 それ以上の事は何も。 303 00:24:39,305 --> 00:24:44,810 ほう そうかい。 じゃあ もう少し 思い出してもらおうか。 304 00:24:44,810 --> 00:24:50,683 ほ… 本当だ! 何も知らねえんだ! おい! 305 00:24:50,683 --> 00:24:54,820 (長吉)四郎兵衛様。 梅園の事を聞いてきました。 306 00:24:54,820 --> 00:24:58,691 おう。 梅園の親元は 芝にあります。 307 00:24:58,691 --> 00:25:01,327 代々 菓子屋を 営んでおりましたが➡ 308 00:25:01,327 --> 00:25:05,498 オヤジが 無理に 商売を広げようとして しくじり➡ 309 00:25:05,498 --> 00:25:10,169 おまけに 博打に手を出して 借金を作ったあげく➡ 310 00:25:10,169 --> 00:25:13,839 2年前に娘を売るはめになった。➡ 311 00:25:13,839 --> 00:25:19,345 その娘 お千代が 梅園です。 312 00:25:19,345 --> 00:25:23,015 仙右衛門。 梅園のうちへ 一走りだ。 313 00:25:23,015 --> 00:25:26,052 何か分かるかもしれない。 (仙右衛門)へい。 314 00:25:26,052 --> 00:25:33,052 待ちな! 表にいるお人に ご同行願っちゃ どうだ? 315 00:25:36,662 --> 00:25:39,465 あ! 316 00:25:39,465 --> 00:25:41,801 俺一人でもいいのによ。 317 00:25:41,801 --> 00:25:44,837 あんたが一人で行って やられたら それっきりだ。 それは困る。 318 00:25:44,837 --> 00:25:49,475 フン! ありがたいねえ。 梅園という女を助けたいのだ。 319 00:25:49,475 --> 00:25:51,410 妙に肩入れするね。 320 00:25:51,410 --> 00:25:54,347 ただでさえ 吉原に売られてきた 哀れな境遇なのに➡ 321 00:25:54,347 --> 00:25:58,150 その上 悪事に巻き込まれようと しているんだぞ。 322 00:25:58,150 --> 00:26:03,823 あんた 吉原が嫌いかい? 好きとは言えないね。 323 00:26:03,823 --> 00:26:09,629 俺は好きだ。 何しろ 自分が生まれ育った所だ。 324 00:26:09,629 --> 00:26:11,564 吉原の生まれなのか。 325 00:26:11,564 --> 00:26:14,834 吉原には 何も 遊女だけがいるんじゃねえ。 326 00:26:14,834 --> 00:26:17,503 そこにいる大勢の人間が 働いてるんだ。 327 00:26:17,503 --> 00:26:20,339 畳屋もありゃあ 米屋もある。 328 00:26:20,339 --> 00:26:25,177 俺のオヤジは 八百屋をやってた。 そうなのか。 329 00:26:25,177 --> 00:26:31,784 相庵先生の所にいる お芳… あいつは 貸本屋の娘だったんだ。 330 00:26:31,784 --> 00:26:35,655 あいつとは幼なじみで 妹みたいなもんさ。 331 00:26:35,655 --> 00:26:41,293 吉原を庭みてえにして 一緒に遊んで育ったのよ。 332 00:26:41,293 --> 00:26:47,800 吉原が ふるさとか。 人の ふるさとの事は 悪くは言えんな。 333 00:26:47,800 --> 00:26:51,671 我らは ふるさとを捨ててきた身だ。 334 00:26:51,671 --> 00:26:56,471 ふるさとがあるのはいい。 335 00:26:58,310 --> 00:27:01,310 おう ここだ。 336 00:27:05,484 --> 00:27:09,822 あっ ちょいと ものを尋ねるが ここは お千代さんのお里かい? 337 00:27:09,822 --> 00:27:11,757 千代は 私の姉ですが…。 338 00:27:11,757 --> 00:27:15,628 えっ あんた 妹さんかい? 姉が何か? 339 00:27:15,628 --> 00:27:17,563 いやいや ちょっと 聞きたい事があるだけだ。 340 00:27:17,563 --> 00:27:20,833 オヤジさんは? そこの角の居酒屋に。 341 00:27:20,833 --> 00:27:24,670 昼間から酒かい? 祝いだと言って。 342 00:27:24,670 --> 00:27:27,006 明日には 借金が片づくそうなんです。 343 00:27:27,006 --> 00:27:29,341 借金? おい 待てよ。 344 00:27:29,341 --> 00:27:32,945 借金のカタに 2年前 お千代を 吉原に売ったんだろ? 345 00:27:32,945 --> 00:27:35,614 お父っさんは また 山っ気を出して しくじって…。 346 00:27:35,614 --> 00:27:37,550 でも 困っていたところに➡ 347 00:27:37,550 --> 00:27:41,287 借金を肩代わりしてくれる人が 現れたそうなんです。 348 00:27:41,287 --> 00:27:44,123 それで 私は 吉原に行かなくて済むんです。 349 00:27:44,123 --> 00:27:49,795 えっ 妹のあんたまで 吉原に売られるとこだったのか? 350 00:27:49,795 --> 00:27:53,299 私は 吉原に行ってもいいって 言ったんです。 351 00:27:53,299 --> 00:27:56,635 姉さんだけに つらい思いをさせるのは…。 352 00:27:56,635 --> 00:28:01,474 その… 借金の肩代わりをして くれる人ってのは 誰なんだい? 353 00:28:01,474 --> 00:28:05,644 確か 藤兵衛さんとか…。 島田藤兵衛!? 354 00:28:05,644 --> 00:28:10,816 これは お前一人の事じゃないんだ。 355 00:28:10,816 --> 00:28:16,516 この子のオヤジさんに話を聞こう。 ああ。 邪魔したな。 356 00:28:18,324 --> 00:28:22,828 梅園は 吉原を この世の地獄のように思っている。 357 00:28:22,828 --> 00:28:26,699 あの妹が 吉原に売られずに 済むためなら 何でもするだろう。 358 00:28:26,699 --> 00:28:30,336 藤兵衛ってやつは その梅園の気持ちにつけ込んで➡ 359 00:28:30,336 --> 00:28:35,107 悪事を手伝わせようって魂胆かい。 360 00:28:35,107 --> 00:28:38,444 あんたが 吉原を 嫌いになる気持ちも分かるぜ。 361 00:28:38,444 --> 00:28:40,379 え? 362 00:28:40,379 --> 00:28:44,116 自分の妹が売られたら どんな気持ちになんのか➡ 363 00:28:44,116 --> 00:28:47,953 ちょっと考えちまったよ。 364 00:28:47,953 --> 00:29:05,971 ♬~ 365 00:29:05,971 --> 00:29:08,874 どうした? な… 何でえ!? 366 00:29:08,874 --> 00:29:13,145 かねて 市中を騒がせたる 2人組の押し込み強盗が➡ 367 00:29:13,145 --> 00:29:15,481 ここに 立ち寄るとの知らせがあった。 368 00:29:15,481 --> 00:29:17,516 その方らであろう? 何 言ってやがる! 369 00:29:17,516 --> 00:29:20,319 俺たちは… ちょっと! 問答無用! お縄につけ! 370 00:29:20,319 --> 00:29:23,656 待て! これは 何かの間違いだ! おとなしくしろ! 371 00:29:23,656 --> 00:29:27,827 何かの間違いなんだって! 確かに 全然違うな。 372 00:29:27,827 --> 00:29:29,762 じゃあ さっさと出してくれよ! 373 00:29:29,762 --> 00:29:34,600 与力様 じきじきのお調べとなる。 しばらく待っておれ! 374 00:29:34,600 --> 00:29:38,437 捕り方は 俺たちを張ってたぜ。 どうしてだ? 375 00:29:38,437 --> 00:29:41,106 誰かが 偽の訴えを出したんだろう。 376 00:29:41,106 --> 00:29:44,009 何のために? 俺たちが ひっくくられたとしても➡ 377 00:29:44,009 --> 00:29:46,912 調べがつきゃ 無実と分かって 放免されるだろうよ。 378 00:29:46,912 --> 00:29:50,115 私たちを ここに足止めするのが ねらいだ。 379 00:29:50,115 --> 00:29:52,451 え? 敵は 今日 何かやるつもりだ。 380 00:29:52,451 --> 00:29:56,121 何かって? 恐らく 梅園に火付けをさして➡ 381 00:29:56,121 --> 00:29:58,958 そのドサクサに紛れて 火事場泥棒でもやるんだろう。 382 00:29:58,958 --> 00:30:01,460 ちょっ… 早く なんとかしなきゃ! どうする!? 383 00:30:01,460 --> 00:30:04,964 それを 今 考えてるんだ。 面白そうな話してんなあ! 384 00:30:04,964 --> 00:30:06,899 (仙右衛門)なにが面白いだ! 引っ込んでろよ! 385 00:30:06,899 --> 00:30:09,802 あんたは? わしかい? 386 00:30:09,802 --> 00:30:11,737 さる大店の若旦那が➡ 387 00:30:11,737 --> 00:30:13,672 博打で間違いを起こしてね➡ 388 00:30:13,672 --> 00:30:16,141 懲らしめのために 10日間の入牢と なったが➡ 389 00:30:16,141 --> 00:30:18,811 その身代わりで ここにいるのさ。 身代わり? 390 00:30:18,811 --> 00:30:22,314 あっ 聞いた事がある! 身代わり屋ってやつだな? 391 00:30:22,314 --> 00:30:24,984 金をもらって 牢に入る 身代わりになるんだろ? 392 00:30:24,984 --> 00:30:28,320 変な商売だな。 しかし 役人も身代わりに気付くだろう? 393 00:30:28,320 --> 00:30:32,658 役人も承知の上だ。 誰かが 形だけ 牢に入ればいいのさ。 394 00:30:32,658 --> 00:30:34,593 いい加減なものだな。 395 00:30:34,593 --> 00:30:37,329 佐吉 出ろ。 へい。 396 00:30:37,329 --> 00:30:42,329 今日が 晴れて ご放免の日なんでね。 じゃあな! 397 00:30:46,338 --> 00:30:51,638 おい 俺たちは いつになったら出られるんだよ! 398 00:30:54,213 --> 00:30:57,516 おいおい どうした? 商売だ。 399 00:30:57,516 --> 00:31:00,185 身代わりになってやる。 5両で請け負うぜ。 400 00:31:00,185 --> 00:31:02,855 そいつは ありがたい! ちょちょちょちょちょ…! 401 00:31:02,855 --> 00:31:06,191 一度に 2人は無理だよ。 どっちか1人だけ出してやる。 402 00:31:06,191 --> 00:31:08,527 では 某を。 何で お前なんだよ! 403 00:31:08,527 --> 00:31:11,196 足が速い方だ。 え!? 404 00:31:11,196 --> 00:31:42,194 ♬~ 405 00:31:42,194 --> 00:31:44,496 おやめなさい! 406 00:31:44,496 --> 00:31:47,533 そんな事して どうなるんです!? やるしかないんだよ! 407 00:31:47,533 --> 00:31:51,370 あなたは 藤兵衛という男に だまされているんです。 408 00:31:51,370 --> 00:31:55,140 付けをためて逃げた弥七という 男は 藤兵衛の仲間でした。 409 00:31:55,140 --> 00:31:57,076 どうして そんな事を? 410 00:31:57,076 --> 00:32:01,680 恐らく あなたを追い詰めて 言う事を聞かせるためでしょう。 411 00:32:01,680 --> 00:32:07,486 ウソだ。 あの人は 妹を売られずに 済むようにしてやると…。 412 00:32:07,486 --> 00:32:09,421 それも どこまで本当か…。 413 00:32:09,421 --> 00:32:11,857 信じてはいけません! うるさい! 414 00:32:11,857 --> 00:32:14,193 今更 やめる訳には いかないんだよ! 415 00:32:14,193 --> 00:32:16,128 もう後戻りは…! 416 00:32:16,128 --> 00:32:18,864 まだ 間に合います! 私の夫が 今 あなたを助けようと➡ 417 00:32:18,864 --> 00:32:21,767 必死になっています! うるさい! 418 00:32:21,767 --> 00:32:25,037 ≪梅園さん!? 梅園さん! 419 00:32:25,037 --> 00:32:28,374 私を信じて ここを開けて下さい! 420 00:32:28,374 --> 00:32:32,174 ≪梅園さん! 梅園さん! ここを開けて下さい! 421 00:32:37,983 --> 00:32:40,886 おやめなさい! ここを開けなさい! 422 00:32:40,886 --> 00:33:07,012 ♬~ 423 00:33:07,012 --> 00:33:12,351 火事だ~! 火事だ~! (悲鳴) 424 00:33:12,351 --> 00:33:18,524 (悲鳴) 425 00:33:18,524 --> 00:33:22,194 (藤兵衛)あそこの土蔵には たんまり お宝がある。➡ 426 00:33:22,194 --> 00:33:26,065 因業オヤジが ため込んでるからな。 427 00:33:26,065 --> 00:33:29,701 おい 分け前は確かだな。 428 00:33:29,701 --> 00:33:33,401 ああ。 行くぞ。 おう。 429 00:33:39,812 --> 00:33:42,147 何だ? お前は。 430 00:33:42,147 --> 00:33:46,485 あいにく 火事は起こっていない。 何だと!? 431 00:33:46,485 --> 00:33:48,420 (半鐘の音と悲鳴) 432 00:33:48,420 --> 00:33:53,258 (半鐘の音と悲鳴) 火事だ~! 火事だ~! 433 00:33:53,258 --> 00:34:01,834 ≪(半鐘の音と悲鳴) 434 00:34:01,834 --> 00:34:04,736 やあやあやあ ご苦労 ご苦労! おおきにな! おおきにな! 435 00:34:04,736 --> 00:34:06,705 はいはいはい ご苦労 ご苦労! 436 00:34:06,705 --> 00:34:08,705 畜生! 437 00:34:10,509 --> 00:34:13,345 ぐわっ! 438 00:34:13,345 --> 00:34:15,848 所詮は 火事場泥棒か…。 439 00:34:15,848 --> 00:34:21,520 違う。 遺恨を晴らすためだ。 遺恨? 440 00:34:21,520 --> 00:34:26,820 俺は 10年前 この春乃屋で用心棒をしていた。 441 00:34:34,099 --> 00:34:37,302 それは 土蔵の鍵だった。➡ 442 00:34:37,302 --> 00:34:41,102 主が置き忘れたのだ。 443 00:34:42,808 --> 00:34:48,680 ほんの少しだけで よかったんだ。 それで 当分は遊んで暮らせる。➡ 444 00:34:48,680 --> 00:34:55,320 しかし 春乃屋の主は 食い詰め 浪人たちを雇って この俺を…! 445 00:34:55,320 --> 00:35:04,329 ♬~ 446 00:35:04,329 --> 00:35:10,502 この春乃屋と吉原の連中に あの時の借りを返す。 447 00:35:10,502 --> 00:35:15,674 ただの逆恨みだ。 うるせえ! 448 00:35:15,674 --> 00:35:21,480 梅園の妹を助けてやると 言ったのは 本心か? 449 00:35:21,480 --> 00:35:27,686 まさか! 金さえ取れりゃ 用済みだ。 何!? 450 00:35:27,686 --> 00:35:34,459 遊女なんぞは 所詮 道具だ。 用が済みゃ 斬って捨てるまで。 451 00:35:34,459 --> 00:35:43,635 だが あの妹は 殺すには惜しい。 どっかに売り飛ばしてやる。 452 00:35:43,635 --> 00:35:53,812 ♬~ 453 00:35:53,812 --> 00:35:56,715 許せん。 454 00:35:56,715 --> 00:36:03,322 ♬~ 455 00:36:03,322 --> 00:36:05,257 やれ! 456 00:36:05,257 --> 00:36:38,790 ♬~ 457 00:36:38,790 --> 00:36:40,726 でや~! 458 00:36:40,726 --> 00:36:45,297 ♬~ 459 00:36:45,297 --> 00:36:47,232 うわ~! 460 00:36:47,232 --> 00:37:07,232 ♬~ 461 00:37:09,321 --> 00:37:12,224 よかった! 462 00:37:12,224 --> 00:37:16,224 よかった…。 463 00:37:52,864 --> 00:37:56,635 ご苦労さまにございました。 464 00:37:56,635 --> 00:37:59,137 梅園は? はい。 465 00:37:59,137 --> 00:38:04,643 汀女様に諭されましてな 少しずつ 白状しております。 466 00:38:04,643 --> 00:38:08,146 だいぶ 気持ちも 落ち着いたようでございますな。 467 00:38:08,146 --> 00:38:12,818 あなた方 ご夫婦には 大層 感謝しておりましたよ。 468 00:38:12,818 --> 00:38:15,854 これから 梅園は どうなります? 469 00:38:15,854 --> 00:38:20,325 さあ そうでございますな…。 (戸を開ける音) 470 00:38:20,325 --> 00:38:24,663 おう 戻ったか。 うるせえ! 471 00:38:24,663 --> 00:38:30,168 仙右衛門。 お前 この神守様とは 妙に息が合うようだな。 472 00:38:30,168 --> 00:38:32,104 そ… そんな訳ないでしょう! 473 00:38:32,104 --> 00:38:35,440 本日は まことに ありがとうございました。 474 00:38:35,440 --> 00:38:39,611 あなた様がいらっしゃらなければ どうなっていた事やら…。 475 00:38:39,611 --> 00:38:41,646 いえ。 476 00:38:41,646 --> 00:38:44,783 いかがでしょうな。 477 00:38:44,783 --> 00:38:51,123 この吉原のために働いて下されと 言うた 私の頼み…➡ 478 00:38:51,123 --> 00:38:56,923 今でも お断りになりますか? 479 00:39:10,142 --> 00:39:13,142 (ウグイスの鳴き声) 480 00:39:15,313 --> 00:39:19,184 よく ご決心されましたね。 481 00:39:19,184 --> 00:39:24,322 四郎兵衛殿が 某の頼みを聞いて下さいました。 482 00:39:24,322 --> 00:39:26,258 頼み? 483 00:39:26,258 --> 00:39:34,132 お前の罪は問わない事にした。 こたびの事を➡ 484 00:39:34,132 --> 00:39:39,604 表沙汰にしてくれるなという話が お前の主からあってな➡ 485 00:39:39,604 --> 00:39:47,479 お前を罪人として突き出すよりは その方が得だと考えたんだろう。 486 00:39:47,479 --> 00:39:53,279 それから もう一つ…。 487 00:39:55,620 --> 00:40:02,794 表沙汰にしないのを引き換えに お前の主から金を出させた。 488 00:40:02,794 --> 00:40:08,967 その金の一部は お前のオヤジに送ってある。 え!? 489 00:40:08,967 --> 00:40:12,637 二度と 博打なんぞに 手を出さないと➡ 490 00:40:12,637 --> 00:40:15,637 しっかり 釘 打ってな。 491 00:40:17,309 --> 00:40:20,812 ありがとうございます。 492 00:40:20,812 --> 00:40:25,684 なんと お礼を言っていいのか。 ありがとうございます。 493 00:40:25,684 --> 00:40:30,322 礼を言うなら この人に言いな。 494 00:40:30,322 --> 00:40:38,822 この条件をのまぬ限り 私の頼みは断るとおっしゃるんだ。 495 00:40:41,032 --> 00:40:45,504 ありがとうございます。 496 00:40:45,504 --> 00:40:54,012 ♬~ 497 00:40:54,012 --> 00:40:59,184 そう。 それは よかった。 498 00:40:59,184 --> 00:41:05,524 ただ 某は 吉原にいる女たちを 守る仕事がしたい。 499 00:41:05,524 --> 00:41:11,396 そのためには あの中に 飛び込んでみるしかありません。 500 00:41:11,396 --> 00:41:25,377 ♬~ 501 00:41:25,377 --> 00:41:32,150 <こうして 神守幹次郎殿の 吉原裏同心としての日々が➡ 502 00:41:32,150 --> 00:41:36,150 始まったのでした> 503 00:41:41,826 --> 00:41:45,330 お見回り ご苦労さまにございます。 504 00:41:45,330 --> 00:41:49,200 お奉行 おけがは!? 卵で けがをするか! 505 00:41:49,200 --> 00:41:52,504 私は もう ここから 出られる事はないからね。 506 00:41:52,504 --> 00:41:55,340 あの世で幸せになるしかないのさ。 507 00:41:55,340 --> 00:41:58,843 きく! もしや…。 508 00:41:58,843 --> 00:42:01,643 なぜ 卵なんだ? 分からん。 509 00:42:03,715 --> 00:42:15,293 ♬「君のそばにいる」 510 00:42:15,293 --> 00:42:26,371 ♬「君を守って行く」 511 00:42:26,371 --> 00:42:37,983 ♬「悲しみを 消してあげることは 出来ないけど」 512 00:42:37,983 --> 00:42:48,693 ♬「ここからは ふたり 同じ道を行く」 513 00:42:48,693 --> 00:43:00,171 ♬「せめて ひととき」 514 00:43:00,171 --> 00:43:11,349 ♬「風よ やさしく」 515 00:43:11,349 --> 00:43:24,849 ♬「二人 包んで」