1 00:00:33,791 --> 00:00:36,727 <幼なじみの神守幹次郎殿は➡ 2 00:00:36,727 --> 00:00:42,200 私 汀女を 乱暴な夫の手から 救い出してくれました。➡ 3 00:00:42,200 --> 00:00:48,072 3年の旅の果てに 江戸・吉原で 剣の腕を見込まれた幹次郎殿は➡ 4 00:00:48,072 --> 00:00:54,545 吉原裏同心として 勤める事になったのです> 5 00:00:54,545 --> 00:01:01,545 ♬~ 6 00:01:09,060 --> 00:01:12,930 (しじみ売り)し~じみ~! ありがとうございます。 7 00:01:12,930 --> 00:01:15,233 おはよう。 おはようございます。 8 00:01:15,233 --> 00:01:17,268 <幹次郎殿と私は➡ 9 00:01:17,268 --> 00:01:20,104 吉原での暮らしにも ようやく慣れ➡ 10 00:01:20,104 --> 00:01:24,575 穏やかな日々を 過ごしておりました> 11 00:01:24,575 --> 00:01:29,275 どこが簡単なの? すみません。 12 00:01:33,284 --> 00:01:37,522 <ところが…> 13 00:01:37,522 --> 00:01:41,025 おう くれない屋だ。 急げ! (男衆たち)へい! 14 00:01:41,025 --> 00:01:51,202 ♬~ 15 00:01:51,202 --> 00:01:53,137 (仙右衛門)心中だって!? 16 00:01:53,137 --> 00:01:55,706 そうなんです! 誰が心中をしたんだ? 17 00:01:55,706 --> 00:01:58,209 吉原で心中と言やあ 客と遊女に決まってらあ。 18 00:01:58,209 --> 00:02:01,879 女は おかん。 客は… 幸助とかいう大工です。 19 00:02:01,879 --> 00:02:04,679 こちらです。 20 00:02:07,051 --> 00:02:08,986 ああ! 21 00:02:08,986 --> 00:02:11,786 何だ 生きてんじゃねえかよ。 22 00:02:14,725 --> 00:02:20,531 (長吉)こんな ひもじゃ駄目だ。 もっと丈夫なのでなきゃ。 23 00:02:20,531 --> 00:02:22,900 これで 首をくくろうとしたのか? 24 00:02:22,900 --> 00:02:25,736 それしか なかったんで…。 25 00:02:25,736 --> 00:02:29,407 どいた どいた。 26 00:02:29,407 --> 00:02:32,843 ご苦労さまです。 徳蔵さん とんだこって…。 27 00:02:32,843 --> 00:02:35,179 うちの女には 大金がかかってんだ。 28 00:02:35,179 --> 00:02:37,848 そう やすやすと 心中なんかされて たまるかい!➡ 29 00:02:37,848 --> 00:02:40,751 心中は ご法度の大罪だ。 30 00:02:40,751 --> 00:02:43,020 この人が悪いんじゃないんです! 31 00:02:43,020 --> 00:02:44,956 何があったんだい? 32 00:02:44,956 --> 00:02:46,891 訳を話してみな。 33 00:02:46,891 --> 00:02:51,696 この人とは 私の年季が明けたら 一緒になろうって➡ 34 00:02:51,696 --> 00:02:54,198 約束をしてたんです。 それで…➡ 35 00:02:54,198 --> 00:02:56,701 3日前に やっと 私の年季が明けて…。 36 00:02:56,701 --> 00:02:59,737 (仙右衛門)よかったじゃねえか。 だったら 何で? 37 00:02:59,737 --> 00:03:05,710 それが… 旦那が 私には まだ借金が残ってるって。 38 00:03:05,710 --> 00:03:09,880 ああ そうさ。 この おかんのために作った衣装やら➡ 39 00:03:09,880 --> 00:03:13,551 夜具の支払いが残ってんだ。 締めて 18両2分。 40 00:03:13,551 --> 00:03:18,222 (仙右衛門)18両2分も!? (長吉)年季が明けたって事は➡ 41 00:03:18,222 --> 00:03:21,058 借金も含めて 済んだって事だろう。 42 00:03:21,058 --> 00:03:23,894 借金が残ってんだから 年季は明けてねえ。 43 00:03:23,894 --> 00:03:27,594 そ… そんなら 証文があるはずだ。 見せてくれ。 44 00:03:32,169 --> 00:03:37,041 (仙右衛門) 「18両2分。 衣装夜具代金とも」。➡ 45 00:03:37,041 --> 00:03:39,910 日付は 5年前の9月7日か…。 46 00:03:39,910 --> 00:03:43,180 そんなの 知らない…。 47 00:03:43,180 --> 00:03:45,116 (仙右衛門) この「代」っていうのは何だ? 48 00:03:45,116 --> 00:03:47,685 おかんは 字の読み書きが できねえんだ。 49 00:03:47,685 --> 00:03:50,521 そこで おかんの客だった この喜兵衛さんに➡ 50 00:03:50,521 --> 00:03:52,456 代筆を 頼んだって訳さ。 51 00:03:52,456 --> 00:03:56,394 喜兵衛さん? そんな人 知らないよ。 52 00:03:56,394 --> 00:04:00,231 おめえの目の前で書いて これでいいなと念を押したら➡ 53 00:04:00,231 --> 00:04:03,534 うなずいたじゃねえか。 そんなの 知らない! 54 00:04:03,534 --> 00:04:07,405 (徳蔵)物覚えの悪い女だ。 たった5年前の事だぞ。 55 00:04:07,405 --> 00:04:09,407 どうする? 56 00:04:09,407 --> 00:04:15,246 心中は しくじっても 番所へ届けるのが決まりだが…。 57 00:04:15,246 --> 00:04:17,548 それは勘弁してくれ。 58 00:04:17,548 --> 00:04:22,386 こんな男は どうなったっていいが 女を連れていかれたんじゃ大損だ。 59 00:04:22,386 --> 00:04:24,889 なんとか 内輪で済ます訳にいかねえか? 60 00:04:24,889 --> 00:04:26,824 四郎兵衛様に相談してみるが…。 61 00:04:26,824 --> 00:04:29,393 頼む。 このとおりだ。 62 00:04:29,393 --> 00:04:33,264 男は 会所が預かるぜ。 分かった。➡ 63 00:04:33,264 --> 00:04:37,201 3日も居続けた勘定を払って さっさと引き取ってもらおう。 64 00:04:37,201 --> 00:04:39,837 (仙右衛門)おい。 (男衆たち)へい。 65 00:04:39,837 --> 00:04:43,137 さあ 来い! 来るんだ! 66 00:04:44,709 --> 00:04:48,846 おかん きっと おめえ 迎えに来っから! 67 00:04:48,846 --> 00:04:53,718 あんた… 待ってるよ~! 68 00:04:53,718 --> 00:04:58,718 フン。 何年先になる事かな。 69 00:05:06,030 --> 00:05:09,700 場合によっちゃ 大門の脇に 3日の間 さらされるんだぞ。 70 00:05:09,700 --> 00:05:11,900 へ… へい。 71 00:05:29,720 --> 00:05:33,420 ちょいと 主さん。 72 00:05:36,494 --> 00:05:42,299 ♬~ 73 00:05:42,299 --> 00:05:45,002 のむんだよ! 74 00:05:45,002 --> 00:05:47,037 え? 75 00:05:47,037 --> 00:06:11,128 ♬~ 76 00:06:11,128 --> 00:06:15,366 (せきこみ) 77 00:06:15,366 --> 00:06:20,204 その節は かたじけのうござんした。 78 00:06:20,204 --> 00:06:24,504 あの男には きっと天罰が下ります。 79 00:06:28,913 --> 00:06:31,816 あっ あ~! 80 00:06:31,816 --> 00:06:43,828 ♬~ 81 00:06:43,828 --> 00:06:48,828 な… 何だよ? どうしたんだよ? 分からん。 82 00:06:53,504 --> 00:06:57,842 …で おかんは 身に覚えのない➡ 83 00:06:57,842 --> 00:07:00,344 証文だと言ったんだな。 84 00:07:00,344 --> 00:07:05,216 は… はい。 くれない屋の徳蔵か。 85 00:07:05,216 --> 00:07:09,854 何かと評判の悪い男だったな。 へえ。 86 00:07:09,854 --> 00:07:13,524 客に 言いがかりをつけて 金を ふんだくったり➡ 87 00:07:13,524 --> 00:07:18,863 もめ事を起こしたり… 吉原の面汚しみてえな野郎ですよ。 88 00:07:18,863 --> 00:07:22,199 あの証文も 本物かどうか怪しいと? 89 00:07:22,199 --> 00:07:27,037 うむ。 まず その証文が 本物か偽物かを➡ 90 00:07:27,037 --> 00:07:29,073 確かめなくちゃいけねえな。 91 00:07:29,073 --> 00:07:32,810 吉原へ来て 遊女になった限りは➡ 92 00:07:32,810 --> 00:07:37,147 年季が明けるまでは きっちり働いてもらう。 93 00:07:37,147 --> 00:07:42,019 だが 年季が明けりゃあ 自由の身だ。 94 00:07:42,019 --> 00:07:45,489 晴れて 大手を振って 大門を出ていける。 95 00:07:45,489 --> 00:07:48,993 それが 吉原の決まりだ。 96 00:07:48,993 --> 00:07:51,495 偽の証文か何か使って➡ 97 00:07:51,495 --> 00:07:56,667 もう年季の明けた女を 余計に 働かせるなんて事があっちゃあ➡ 98 00:07:56,667 --> 00:08:01,338 この吉原の名折れだ。 (男衆たち)へい! 99 00:08:01,338 --> 00:08:04,375 これから どうします? 100 00:08:04,375 --> 00:08:07,845 五町の名主様方に お知らせを。 101 00:08:07,845 --> 00:08:09,780 へい。 102 00:08:09,780 --> 00:08:13,480 村崎の旦那のお越しです! (男衆たち)へい! 103 00:08:15,185 --> 00:08:19,523 ごめん。 104 00:08:19,523 --> 00:08:23,027 何だ? 何かあったのか? 105 00:08:23,027 --> 00:08:26,897 これは 村崎の旦那! 本日の吉原は 至って平穏。 106 00:08:26,897 --> 00:08:31,735 ケンカ一つ 起こっておりません。 そうか? 107 00:08:31,735 --> 00:08:36,573 ヒエッ! あ…。 この男は 誰だ? 108 00:08:36,573 --> 00:08:41,512 へえ。 それ 私の遠縁の者でございましてな。 109 00:08:41,512 --> 00:08:45,282 年甲斐もなく この会所の 若い衆になりたいって➡ 110 00:08:45,282 --> 00:08:47,818 田舎から出てまいりました。 (仙右衛門)つらい仕事だから➡ 111 00:08:47,818 --> 00:08:50,321 やめておけと みんなで 諭していたところなんですよ。 112 00:08:50,321 --> 00:08:54,191 うむ。 俺も やめといた方がいいと思うぞ。 113 00:08:54,191 --> 00:08:59,997 旦那! 甘納豆にごぜえやす。 おっ かたじけない。 114 00:08:59,997 --> 00:09:03,334 うち 持って帰ろう! 村崎の旦那のお帰りだ! 115 00:09:03,334 --> 00:09:05,269 (男衆たち)ご苦労さまです! 116 00:09:05,269 --> 00:09:08,839 では 某は これで。 うむ。 117 00:09:08,839 --> 00:09:13,677 じゃあ おめえさんも 一旦 うちへ帰んな。 118 00:09:13,677 --> 00:09:16,714 それが あの…➡ 119 00:09:16,714 --> 00:09:20,184 帰れねえんです! 帰れねえって 何でだよ? 120 00:09:20,184 --> 00:09:24,521 あっし 今度の事で 仕事を 3日も無断で休んでしまいました。 121 00:09:24,521 --> 00:09:26,457 帰ったら 親方に 何て言われるか。 122 00:09:26,457 --> 00:09:29,026 そりゃ 謝るしかねえだろう。 いやいや いやいや! 123 00:09:29,026 --> 00:09:32,296 うちの親方 もう本当に すご~く厳しい人なんです。 124 00:09:32,296 --> 00:09:34,231 もう金輪際 許してくれません! 125 00:09:34,231 --> 00:09:38,469 あ~ もう こうなったら このまんま 旅にでも出るしか…。 126 00:09:38,469 --> 00:09:40,971 それは 困るんだよ。 127 00:09:40,971 --> 00:09:44,641 事が済むまでは この江戸にいてもらうぞ。 128 00:09:44,641 --> 00:09:47,441 しかし…。 129 00:09:50,514 --> 00:09:57,821 ♬~ 130 00:09:57,821 --> 00:10:02,326 …という訳で うちに 2~3日 泊めてやってくれと言われまして。 131 00:10:02,326 --> 00:10:04,261 某は断ったのですが。 132 00:10:04,261 --> 00:10:06,997 よいではありませんか。 どうも すみません! 133 00:10:06,997 --> 00:10:08,932 すみませんと言いながら よく食べるな! 134 00:10:08,932 --> 00:10:11,335 いや ここ3日 ろくなもん 食ってなかったもんで。 135 00:10:11,335 --> 00:10:13,270 甘やかす事ありません。 136 00:10:13,270 --> 00:10:15,205 でも 聞けば聞くほど かわいそうじゃありませんか。 137 00:10:15,205 --> 00:10:19,510 どうも この男は かわいそうを 売り物にしている気がするんです。 138 00:10:19,510 --> 00:10:23,847 ゴホッ! いや… すみません。 139 00:10:23,847 --> 00:10:27,518 本当 私は情けねえ男でして。 140 00:10:27,518 --> 00:10:30,854 棟梁からも 駄目だ駄目だって もう どなられ続けて…。 141 00:10:30,854 --> 00:10:33,357 でも おかんは 年季が明けたら➡ 142 00:10:33,357 --> 00:10:35,292 一緒になろうって 言ってくれやした。 143 00:10:35,292 --> 00:10:39,029 あっ 「俺みてえな情けねえ男で いいのかい?」って聞いたら➡ 144 00:10:39,029 --> 00:10:42,066 「私は あんたの この 優しいところが好きなのよ」って。 145 00:10:42,066 --> 00:10:45,536 今度は ノロケか? あ…。 これも 会所の仕事です。 146 00:10:45,536 --> 00:10:48,872 よいではありませんか。 フン。 147 00:10:48,872 --> 00:10:54,044 助けないとは言っていません。 お世話になります! 148 00:10:54,044 --> 00:10:57,548 礼などよいから 明日は ちゃんと 親方の所に謝りに行け。 149 00:10:57,548 --> 00:11:00,884 いや そりゃ無理です。 150 00:11:00,884 --> 00:11:04,221 うちの親方 どんだけ怖いか…。 それは もう聞いた。 151 00:11:04,221 --> 00:11:08,559 親方の前じゃ もう神守様も おじけづくに違いありませんよ。 152 00:11:08,559 --> 00:11:12,396 おじけづくものか! そんな! うちの親方 知らねえからだ。 153 00:11:12,396 --> 00:11:16,233 一度 会ってごらんなさい。 154 00:11:16,233 --> 00:11:18,168 そんな事 言うなら…。 155 00:11:18,168 --> 00:11:22,106 あっ そうやって 某を 代わりに 謝りに行かせようとしてるな! 156 00:11:22,106 --> 00:11:24,575 いやいや いやいや そんな事 言ってませんよ。 157 00:11:24,575 --> 00:11:29,079 この人 そんな事 言ってませんよ。 ねえ? 158 00:11:29,079 --> 00:11:35,079 あね様まで こやつの肩を持つ事は ないでしょう。 159 00:11:37,187 --> 00:11:59,576 (いびき) 160 00:11:59,576 --> 00:12:02,412 眠れないのですか? 161 00:12:02,412 --> 00:12:07,712 やはり 明日 私が 棟梁の所に行ってきます。 162 00:12:09,553 --> 00:12:16,553 (いびき) 163 00:12:23,400 --> 00:12:29,740 <こちらに おそろいの方々は 吉原五町の名主様たち。➡ 164 00:12:29,740 --> 00:12:34,578 四郎兵衛様を筆頭に 吉原を仕切る面々です> 165 00:12:34,578 --> 00:12:38,182 あなたが 喜兵衛さんでらっしゃいますね? 166 00:12:38,182 --> 00:12:40,217 はい。 さようでございます。 167 00:12:40,217 --> 00:12:44,054 石町で 小間物問屋を営んでおります。 168 00:12:44,054 --> 00:12:53,530 ここにある証文に あなたの名前が ありますが これへ…。 169 00:12:53,530 --> 00:12:55,866 覚えてらっしゃいますか? 170 00:12:55,866 --> 00:13:00,704 はい。 私が書いたものに 相違ございません。 171 00:13:00,704 --> 00:13:05,576 おかんとは なじみでございましたか? はい。 172 00:13:05,576 --> 00:13:08,879 実は こちらの徳蔵さんから➡ 173 00:13:08,879 --> 00:13:12,216 おかんさんの借金の証文を 作りたいが➡ 174 00:13:12,216 --> 00:13:15,552 おかんさんは 字の読み書きができないので➡ 175 00:13:15,552 --> 00:13:20,724 代筆してくれと頼まれまして 証文に名前を書きました。 176 00:13:20,724 --> 00:13:23,627 その場に おかんも同席しておりましたか? 177 00:13:23,627 --> 00:13:25,596 はい 確かに。 178 00:13:25,596 --> 00:13:29,900 当人が 借金をしたのは確かだと 言っておりますので➡ 179 00:13:29,900 --> 00:13:32,502 私も証人になったんですよ。 180 00:13:32,502 --> 00:13:36,840 さようでございますか。 いや 分かりました。 181 00:13:36,840 --> 00:13:40,677 わざわざのご足労 ありがとうございます。 182 00:13:40,677 --> 00:13:45,477 それでは 私は これで。 183 00:13:47,451 --> 00:13:53,257 ご納得頂けましたかな。 では 私も これで失礼しますよ。 184 00:13:53,257 --> 00:13:56,860 お待ちなさい。 何ですか? 185 00:13:56,860 --> 00:14:02,366 今日 ここに 吉原の名主様方が お集まりになったのには➡ 186 00:14:02,366 --> 00:14:05,202 訳があります。 ほう。 187 00:14:05,202 --> 00:14:09,873 我々には 吉原の掟を守る役目がある。 188 00:14:09,873 --> 00:14:12,909 それを破った者は 厳しい咎めを受ける事になる。 189 00:14:12,909 --> 00:14:15,545 これまでにも 不始末を起こして➡ 190 00:14:15,545 --> 00:14:20,217 吉原で商売できなくなった者が 何人もおります。 191 00:14:20,217 --> 00:14:27,090 私が 吉原の掟とやらを 乱していると? 192 00:14:27,090 --> 00:14:31,395 私の どこが悪いのか はっきり言ってもらいましょう! 193 00:14:31,395 --> 00:14:34,831 そう いきりたちなさんな。 194 00:14:34,831 --> 00:14:40,031 何もないんなら それで結構。 195 00:14:47,411 --> 00:14:51,014 証文に名前があった 喜兵衛って男➡ 196 00:14:51,014 --> 00:14:55,852 確かに自分が書いたって 言いやがって。 そうか…。 197 00:14:55,852 --> 00:15:00,190 気になってきたのかい? それもあるが 実は頼みがある。 198 00:15:00,190 --> 00:15:02,225 え? 何だい。 199 00:15:02,225 --> 00:15:05,529 ここの棟梁と話をつけます。 200 00:15:05,529 --> 00:15:08,198 相手は 相当 ケンカっ早いそうだから➡ 201 00:15:08,198 --> 00:15:13,537 某が ケンカしそうになったら 止めて頂きたい。 202 00:15:13,537 --> 00:15:18,237 大事な仕事って それかよ…。 203 00:15:20,210 --> 00:15:22,210 ごめん! 204 00:15:23,880 --> 00:15:30,754 あっしが 栄蔵でござんすが 吉原のお方が どんな御用で? 205 00:15:30,754 --> 00:15:34,157 ここにいる 幸助という職人の事です。 206 00:15:34,157 --> 00:15:36,827 幸助? まあ 確かに➡ 207 00:15:36,827 --> 00:15:40,163 前には そんな名前のやつは おりやしたが➡ 208 00:15:40,163 --> 00:15:44,835 断りもなしに 3日も仕事を休みやがったんで➡ 209 00:15:44,835 --> 00:15:47,504 暇を出しちめえました。 210 00:15:47,504 --> 00:15:50,540 無断で休んだのには訳がある。 実は…。 211 00:15:50,540 --> 00:15:56,179 大工ってのは 断りもなしに仕事を休むなんざ➡ 212 00:15:56,179 --> 00:15:59,015 金輪際 あっちゃならねえこった。 213 00:15:59,015 --> 00:16:01,351 だから 事情があると 申しておるではないか。 214 00:16:01,351 --> 00:16:05,222 第一 本人が来ねえってのは これ どういうこってす? 215 00:16:05,222 --> 00:16:10,360 それは… 某も気に食わぬ。 216 00:16:10,360 --> 00:16:14,231 まあ お侍さんが こうして来なすったんだから➡ 217 00:16:14,231 --> 00:16:18,034 一応 その訳を伺いましょうか。 218 00:16:18,034 --> 00:16:21,705 それは その… 女の事だが。 219 00:16:21,705 --> 00:16:24,541 吉原の女のこってすかい? 220 00:16:24,541 --> 00:16:30,213 遊女なんてのは 男をだまして なんぼの商売だ。 221 00:16:30,213 --> 00:16:33,183 おかんは 人をだますような女ではない。 222 00:16:33,183 --> 00:16:37,320 「あちきは 主さんに 首ったけでありんす」とか➡ 223 00:16:37,320 --> 00:16:43,493 口から出任せ抜かして 男から金を巻き上げようってんだ。 224 00:16:43,493 --> 00:16:45,529 何! お前は 黙ってろ。 225 00:16:45,529 --> 00:16:48,365 あとは 俺に任せな。 226 00:16:48,365 --> 00:16:51,368 ねえ 親方さん。 何だい? 227 00:16:51,368 --> 00:16:55,105 いいですか? 吉原の女だって 人間だ。 228 00:16:55,105 --> 00:16:58,008 心底 男に惚れちまう事だって あるんですよ。 229 00:16:58,008 --> 00:17:01,511 おかんと幸助は 互いに 心底 惚れ合って➡ 230 00:17:01,511 --> 00:17:04,181 所帯を持とうと 固く約束したんだ。 231 00:17:04,181 --> 00:17:07,517 フン。 うんうん… いや 笑いごっちゃねえんだ。 232 00:17:07,517 --> 00:17:11,021 何だい 吉原の女は 男をだますのが仕事だと? 233 00:17:11,021 --> 00:17:13,523 あっしは 本当の事を言ったまでだい。 234 00:17:13,523 --> 00:17:15,459 ふ~ん。 そう決めつけるって事は➡ 235 00:17:15,459 --> 00:17:18,361 さしずめ 自分が 相当 痛い目に 遭ったからじゃないんですかい? 236 00:17:18,361 --> 00:17:21,264 何だと! あっ 怒った。 当たりですかい? 237 00:17:21,264 --> 00:17:23,233 余計なお世話だ! 238 00:17:23,233 --> 00:17:26,036 とっとと帰りやがれ! ああ 帰るさ! 239 00:17:26,036 --> 00:17:28,538 待て待て待て! 幸助の事は どうなる? 240 00:17:28,538 --> 00:17:31,374 そんなやつは うちにはいねえって 言ったはずだい。 241 00:17:31,374 --> 00:17:35,345 どうしても駄目だってんだな? あっしは 一遍 言った事は➡ 242 00:17:35,345 --> 00:17:38,982 曲げねえたちなんだい。 ああ そうか。 分かったよ。 243 00:17:38,982 --> 00:17:42,486 おう 帰るぜ! え? ああ…。 244 00:17:42,486 --> 00:17:46,986 おい 塩だ! 塩! へい! 245 00:17:50,994 --> 00:17:55,165 お師さん 出来ました。 はい。 246 00:17:55,165 --> 00:17:58,502 よく書けていますよ。 247 00:17:58,502 --> 00:18:02,005 お師さん これは どういう意味なんですか? 248 00:18:02,005 --> 00:18:04,841 「山中暦日なし」。 249 00:18:04,841 --> 00:18:09,012 俗世間を離れて 山の中で暮らす人にとっては➡ 250 00:18:09,012 --> 00:18:12,048 歳月など 無縁の事 という意味です。 251 00:18:12,048 --> 00:18:16,753 (遊女たち)ふ~ん。 私たちとは えらい違い。 252 00:18:16,753 --> 00:18:18,722 (笑い声) 253 00:18:18,722 --> 00:18:23,360 私たちは 毎日毎日 あと何日で年季が明けるか➡ 254 00:18:23,360 --> 00:18:25,295 指折り数えてるんだからね。 255 00:18:25,295 --> 00:18:28,198 そんなもの 数えない方が 身のためだよ。 256 00:18:28,198 --> 00:18:31,535 途中で借金して 年季が 延びる事だってあるんだから。 257 00:18:31,535 --> 00:18:34,437 そんなに 借金が かさむものなのですか? 258 00:18:34,437 --> 00:18:38,808 つきあいで いろいろとね…。 そうなんですか。 259 00:18:38,808 --> 00:18:45,682 その点 薄墨太夫は稼ぎが違うから そんな苦労は ないんでしょうね。 260 00:18:45,682 --> 00:18:48,818 知らないのかい? 薄墨太夫は 薄墨太夫で➡ 261 00:18:48,818 --> 00:18:50,754 いろいろと物入りなんだよ。 262 00:18:50,754 --> 00:18:53,990 新造や禿の面倒も 見なきゃなんないし。 263 00:18:53,990 --> 00:18:55,926 でも あれくらいになれば➡ 264 00:18:55,926 --> 00:18:58,328 身請けしたい人が 列をなしてるでしょう。 265 00:18:58,328 --> 00:19:00,263 薄墨太夫ともなると➡ 266 00:19:00,263 --> 00:19:04,501 身請けするにも何百 何千両という お金が要るのを知ってるだろう。 267 00:19:04,501 --> 00:19:07,537 おいそれと 身請けなんか できないんだよ。 268 00:19:07,537 --> 00:19:12,676 (遊女たち)ふ~ん。 そういえば 今日は 薄墨太夫は? 269 00:19:12,676 --> 00:19:18,876 何でも 風邪をひいたとか…。 (遊女たち)ふ~ん。 270 00:19:20,417 --> 00:19:23,320 ケンカを止めてくれと頼んだはずだ。 271 00:19:23,320 --> 00:19:30,093 すまん。 そりゃ 確かに吉原の女は 男を通わして なんぼのもんだ。 272 00:19:30,093 --> 00:19:34,297 でも あんな言われ方したんじゃ ついよ…。 273 00:19:34,297 --> 00:19:37,968 これでは ますます 幸助が 棟梁の所に帰れないではないか。 274 00:19:37,968 --> 00:19:43,768 しょうがねえ。 もう少し 置いてやんな。 275 00:19:46,676 --> 00:19:49,579 どうした? 276 00:19:49,579 --> 00:19:54,279 つけられておる。 振り向くな! 277 00:20:03,827 --> 00:20:07,664 何者? 神守幹次郎と知っての事か? 278 00:20:07,664 --> 00:20:09,599 問答無用! 279 00:20:09,599 --> 00:20:17,374 ♬~ 280 00:20:17,374 --> 00:20:19,376 うわ~! 281 00:20:19,376 --> 00:20:26,850 ♬~ 282 00:20:26,850 --> 00:20:29,185 あっ 斬り合いだ! 斬り合いだ! 283 00:20:29,185 --> 00:20:31,855 斬り合いだ! 斬り合いだ~! くっそ~。 284 00:20:31,855 --> 00:20:34,524 待て! 285 00:20:34,524 --> 00:20:36,824 何者だ!? 286 00:20:43,199 --> 00:20:45,199 そうか。 287 00:20:53,376 --> 00:20:57,076 次の手を考えねばな。 288 00:21:01,551 --> 00:21:03,887 朝から何をしている? 289 00:21:03,887 --> 00:21:07,390 屋根板が壊れたので 直して頂いております。 290 00:21:07,390 --> 00:21:09,325 (相庵)おい。 へい。 291 00:21:09,325 --> 00:21:12,729 後で うちの雨漏りも 直してくれないか? 292 00:21:12,729 --> 00:21:14,664 へい。 かしこまりました。 293 00:21:14,664 --> 00:21:17,901 こういう男がいると 役に立つなあ。 294 00:21:17,901 --> 00:21:20,236 もう ずっといたらどうだ? 295 00:21:20,236 --> 00:21:23,573 困ります。 うん? あっ そういえば➡ 296 00:21:23,573 --> 00:21:26,242 昨日 棟梁の所へは 行かれなかったのですか? 297 00:21:26,242 --> 00:21:29,746 え? あ~… 参りました。 298 00:21:29,746 --> 00:21:31,715 それで 棟梁は? 299 00:21:31,715 --> 00:21:35,015 え~ いや…。 300 00:21:38,354 --> 00:21:40,390 大変です! どうした? 301 00:21:40,390 --> 00:21:43,026 おかんを身請けしたいという男が 来たんです! 302 00:21:43,026 --> 00:21:44,961 ええ!? (幸助)ああ! 303 00:21:44,961 --> 00:21:49,899 しっかりしなさい! おい 大丈夫か? ほら。 304 00:21:49,899 --> 00:21:54,204 それは… それは 一体…! 誰だ? 305 00:21:54,204 --> 00:21:56,504 それが…。 306 00:22:00,543 --> 00:22:03,343 こちらです! 307 00:22:06,416 --> 00:22:09,416 あんたが!? 308 00:22:11,888 --> 00:22:14,390 あいつが 喜兵衛だ。 309 00:22:14,390 --> 00:22:17,390 まあ どうぞ。 310 00:22:20,563 --> 00:22:23,600 あの… どういう事なんですかい? 311 00:22:23,600 --> 00:22:25,902 この度の話を聞いて➡ 312 00:22:25,902 --> 00:22:29,405 おかんさんの事が 心配になりましてね。 313 00:22:29,405 --> 00:22:33,009 久しぶりに会って いろいろ 話をするうちに➡ 314 00:22:33,009 --> 00:22:36,880 そこはまあ 男と女ですから…。 315 00:22:36,880 --> 00:22:42,685 借金を払った上で 身請けをしたいと思います。 316 00:22:42,685 --> 00:22:48,491 家を持たせて 何不自由なく 暮らせるようにします。 317 00:22:48,491 --> 00:22:52,028 それは… 本当ですか? 318 00:22:52,028 --> 00:22:54,063 はい。 あなたは? 319 00:22:54,063 --> 00:22:57,763 あ… あっしは…。 320 00:23:02,038 --> 00:23:04,541 (幸助)おかん! 321 00:23:04,541 --> 00:23:13,883 おや 皆さん おそろいで どうなさんした? 322 00:23:13,883 --> 00:23:18,555 おめえ この人が言った事 本当か!? 323 00:23:18,555 --> 00:23:23,059 さいざます。 そんな! 324 00:23:23,059 --> 00:23:30,233 確かに 主とは 所帯を持つ話をしやんした。 325 00:23:30,233 --> 00:23:32,502 さりながら…➡ 326 00:23:32,502 --> 00:23:40,844 主に あちきの借金の肩代わりを しなんす甲斐性は ありんせん。 327 00:23:40,844 --> 00:23:50,353 この方に乗り換えたからとて 罰が当たるもんでもありんすまい。 328 00:23:50,353 --> 00:23:55,692 俺は 何年かかっても おめえを迎えに来るつもりだ! 329 00:23:55,692 --> 00:24:00,196 そんなに待つ事はできんせん。 330 00:24:00,196 --> 00:24:03,099 俺とは 本気じゃなかったっていうのか!? 331 00:24:03,099 --> 00:24:11,908 まあ 今となっては そういう事になりんすねえ。 332 00:24:11,908 --> 00:24:16,746 遊女が男をだますのは当たり前。 333 00:24:16,746 --> 00:24:23,219 稼業のようなものでござんす。 334 00:24:23,219 --> 00:24:35,798 ♬~ 335 00:24:35,798 --> 00:24:40,798 おい なんとか言ってやったら どうなんだよ? 336 00:24:44,540 --> 00:24:47,840 よかったな…。 337 00:24:51,180 --> 00:24:55,180 幸せになんな。 338 00:25:00,690 --> 00:25:04,990 ありがとうござんす。 339 00:25:07,363 --> 00:25:10,863 おい… おい! 340 00:25:12,535 --> 00:25:17,535 では 証文を。 どうぞ。 341 00:25:26,883 --> 00:25:31,721 その証文 某に頂戴できませぬか? 342 00:25:31,721 --> 00:25:34,021 え? 343 00:25:39,462 --> 00:25:41,831 ≪何か問題でも? 344 00:25:41,831 --> 00:25:45,668 いいえ 別に。 345 00:25:45,668 --> 00:26:00,516 ♬~ 346 00:26:00,516 --> 00:26:06,856 文使い 大黒屋 よろしゅう~! 347 00:26:06,856 --> 00:26:10,526 これは お師さん どうされました? 348 00:26:10,526 --> 00:26:12,462 お風邪と聞いて お見舞いに。 349 00:26:12,462 --> 00:26:15,398 これは 竹瀝です。 私のふるさとでは➡ 350 00:26:15,398 --> 00:26:18,401 これを 風邪の時に飲むのです。 351 00:26:18,401 --> 00:26:26,542 (笑い声) 352 00:26:26,542 --> 00:26:35,151 実は 今日のお客が嫌で…。 さりとて 断る事もできぬお方で。 353 00:26:35,151 --> 00:26:41,491 あっ そうでしたか…。 お礼申し上げます。 354 00:26:41,491 --> 00:26:46,362 いいえ。 ただ あなたが お顔を見せませんと➡ 355 00:26:46,362 --> 00:26:49,665 手習いのみんなも 張り合いが出ません。 356 00:26:49,665 --> 00:26:56,339 私も お師さんに教わるのが 楽しみです。 357 00:26:56,339 --> 00:26:59,175 不思議なものですね。 358 00:26:59,175 --> 00:27:02,078 吉原で このような暮らしを する事になるとは➡ 359 00:27:02,078 --> 00:27:06,516 思いもしませんでした。 お国は どちらですか? 360 00:27:06,516 --> 00:27:15,691 九州の豊後です。 もう何年も前に 出たきり 帰っていません。 361 00:27:15,691 --> 00:27:21,197 多分 もう一生…。 362 00:27:21,197 --> 00:27:26,197 あ… また どうして? 363 00:27:31,541 --> 00:27:34,977 飲み過ぎるな。 へい…。 364 00:27:34,977 --> 00:27:41,851 あっしはね 神守様と ご新造様が羨ましい。 365 00:27:41,851 --> 00:27:50,159 え? あんなに仲良く 誰にも邪魔されず…。 366 00:27:50,159 --> 00:27:54,497 邪魔されず…。 そう見えるか? 367 00:27:54,497 --> 00:27:56,497 え? 368 00:27:58,167 --> 00:28:01,838 追われる身…。 ええ。 369 00:28:01,838 --> 00:28:04,173 相手は まだ…➡ 370 00:28:04,173 --> 00:28:09,373 妻敵討ちを諦めていないかも しれないのですね。 371 00:28:11,347 --> 00:28:16,853 よくぞ お話し下さいました。 372 00:28:16,853 --> 00:28:20,189 つらい暮らしをしてきた お二人だから➡ 373 00:28:20,189 --> 00:28:23,860 しっかりと結ばれているのですね。 374 00:28:23,860 --> 00:28:28,197 私と幹次郎殿と お会いしましたでしょうか? 375 00:28:28,197 --> 00:28:33,197 いえ。 でも 分かります。 376 00:28:34,804 --> 00:28:42,145 私は 時々 年季が明けて 吉原から外に出る時の夢を見ます。 377 00:28:42,145 --> 00:28:45,481 さようですか。 378 00:28:45,481 --> 00:28:49,152 恐ろしい夢です。 379 00:28:49,152 --> 00:28:53,322 広い世間に たった一人 放り出されて➡ 380 00:28:53,322 --> 00:28:59,829 風ばかり吹く荒れ野を 当てもなく さまようのです。 381 00:28:59,829 --> 00:29:05,001 あなたが お一人なんて そんなはずは…。 きっと 誰かが。 382 00:29:05,001 --> 00:29:08,301 …だと よいのですが。 383 00:29:12,175 --> 00:29:14,110 いなすった! 384 00:29:14,110 --> 00:29:16,679 (いびき) おう。 何か分かったか? 385 00:29:16,679 --> 00:29:21,184 この男は 橘屋の手代で…。 冬吉と申しやす。 386 00:29:21,184 --> 00:29:24,687 橘屋? 喜兵衛の店だな。 387 00:29:24,687 --> 00:29:29,859 あの喜兵衛という男 羽振りよく見せちゃいますが➡ 388 00:29:29,859 --> 00:29:32,295 相当 金に困ってるようです。 何? 389 00:29:32,295 --> 00:29:35,198 3年前の春に 江戸に 参りましてね➡ 390 00:29:35,198 --> 00:29:40,469 小間物屋を始めたものの うまくいってないようです。 391 00:29:40,469 --> 00:29:43,139 見えを張って 派手な暮らしをしていますが➡ 392 00:29:43,139 --> 00:29:46,475 内情は火の車です。 393 00:29:46,475 --> 00:29:48,811 間違いねえな? 394 00:29:48,811 --> 00:29:53,511 はい。 ありがとよ。 395 00:29:58,154 --> 00:30:03,025 では なぜ おかんの借金を 肩代わりするなどと? 396 00:30:03,025 --> 00:30:08,798 恐らく ウソでしょう。 ウソ…。 何のために? 397 00:30:08,798 --> 00:30:12,001 徳蔵に 頼まれたんじゃないですかね。 398 00:30:12,001 --> 00:30:15,838 しかし おかんの借金は 18両。 399 00:30:15,838 --> 00:30:19,508 そのために そんな 手の込んだ事をするものか? 400 00:30:19,508 --> 00:30:25,308 う~ん。 それだけじゃない 何かがあるんじゃないですかね。 401 00:30:27,016 --> 00:30:33,516 さっき 喜兵衛が江戸に来たのは 3年前の春だと言ったな? はい。 402 00:30:38,194 --> 00:30:44,367 この証文にある日付は5年前の秋。 江戸にいない喜兵衛に➡ 403 00:30:44,367 --> 00:30:46,402 この証文が書ける訳がない。 404 00:30:46,402 --> 00:30:53,102 なるほど。 これで この証文は 偽物と決まりましたな。 405 00:30:55,711 --> 00:30:59,882 ウソが露見する前に 喜兵衛の身請け話を持ち出して➡ 406 00:30:59,882 --> 00:31:02,551 話を うやむやにしようと たくらんだに違いない。 407 00:31:02,551 --> 00:31:06,889 はあ~ 姑息な事を。 408 00:31:06,889 --> 00:31:13,763 ♬~ 409 00:31:13,763 --> 00:31:17,463 あやつ 今の話を聞いたな。 410 00:31:34,050 --> 00:31:36,519 イテッ! 411 00:31:36,519 --> 00:31:39,355 旦那! 何をする気だ? 412 00:31:39,355 --> 00:31:43,526 徳蔵と喜兵衛 やつらが許せねえ! 413 00:31:43,526 --> 00:31:47,196 幸助 お前が行ってどうなる? 414 00:31:47,196 --> 00:31:51,534 神守様は ご新造さんを助けて 逃げたんでしょう? 415 00:31:51,534 --> 00:31:56,872 あっしも おかんのために 何かやらねえと➡ 416 00:31:56,872 --> 00:32:01,872 男が… 男が立たねえよ! 417 00:32:03,546 --> 00:32:08,246 男なんか 立てなくていい。 418 00:32:10,886 --> 00:32:12,886 (戸を開ける音) 419 00:32:14,557 --> 00:32:17,757 じゃあ 戸締まり頼んだよ。 はい 分かりました。 420 00:32:21,330 --> 00:32:25,735 女切手! 女切手! 421 00:32:25,735 --> 00:32:33,342 ♬~ 422 00:32:33,342 --> 00:32:36,679 どうした? 用もないのに ここに来るな。 423 00:32:36,679 --> 00:32:39,479 おい! へい。 424 00:32:43,853 --> 00:32:48,724 俺は 抜けさしてもらうよ。 今更 何を言ってる。 425 00:32:48,724 --> 00:32:52,194 あんたと道連れになるのは ごめんだね。 426 00:32:52,194 --> 00:32:55,097 俺の言うとおりしてりゃ いくらでも もうけさしてやるぜ。 427 00:32:55,097 --> 00:32:59,068 おかんは どうする? 借金の肩代わりは➡ 428 00:32:59,068 --> 00:33:02,905 ウソっぱちだって 明るみに出たら おしまいだぞ。 429 00:33:02,905 --> 00:33:07,743 あんな女 いざとなりゃ 口封じに殺せば済む事だ。 430 00:33:07,743 --> 00:33:13,215 人殺しの仲間にされるのは ごめんだね。 431 00:33:13,215 --> 00:33:20,556 まあ 上州の田舎にでも引っ込んで また 地味に暮らすさ。 432 00:33:20,556 --> 00:33:24,894 この野郎 そうはさせるか! 人殺し! 433 00:33:24,894 --> 00:33:26,894 でや~! 434 00:33:28,764 --> 00:33:31,764 ≪やめな! 435 00:33:34,336 --> 00:33:38,841 今の話 全て聞いた。 観念致せ。 436 00:33:38,841 --> 00:33:42,141 くそ…。 おい! 437 00:33:45,614 --> 00:33:47,850 お主か…。 438 00:33:47,850 --> 00:33:50,686 頼むぜ。 439 00:33:50,686 --> 00:33:56,492 ♬~ 440 00:33:56,492 --> 00:33:59,862 (悲鳴) 441 00:33:59,862 --> 00:34:30,826 ♬~ 442 00:34:30,826 --> 00:34:32,761 ぐわっ! 443 00:34:32,761 --> 00:34:41,337 ♬~ 444 00:34:41,337 --> 00:34:43,272 死ね! 445 00:34:43,272 --> 00:34:49,211 ♬~ 446 00:34:49,211 --> 00:34:54,850 どうだ。 まだ 男を立てたいか? 447 00:34:54,850 --> 00:35:05,350 ♬~ 448 00:35:07,029 --> 00:35:09,729 ≪(おかん)あんた~! 449 00:35:13,202 --> 00:35:17,873 あんた! おかん! 450 00:35:17,873 --> 00:35:22,745 証文は偽物だった。 451 00:35:22,745 --> 00:35:25,614 それじゃ…。 452 00:35:25,614 --> 00:35:32,614 晴れて年季明けだ。 自由の身だぜ。 453 00:35:37,226 --> 00:35:39,226 うん。 454 00:35:46,335 --> 00:35:51,006 徳蔵の悪事を暴くのに 幸助も 一働きしてくれた。 455 00:35:51,006 --> 00:35:53,909 いや あっしは何も。 456 00:35:53,909 --> 00:35:57,880 この男 何の取り柄も ないようだが➡ 457 00:35:57,880 --> 00:36:02,017 あなたを思う気持ちだけは 本物です。 458 00:36:02,017 --> 00:36:11,193 ♬~ 459 00:36:11,193 --> 00:36:17,993 おかん… なぜ あんな芝居を? 460 00:36:20,703 --> 00:36:25,541 徳蔵に言われて…。 461 00:36:25,541 --> 00:36:33,983 それに 私の事なんか諦めた方が あんたの幸せだと思って…。 462 00:36:33,983 --> 00:36:45,183 バカ! おめえがいねえで なにが幸せだ。 463 00:36:49,465 --> 00:36:52,368 あんた~! 464 00:36:52,368 --> 00:37:03,846 (泣き声) 465 00:37:03,846 --> 00:37:07,716 くれない屋も これで取り潰しだ。 466 00:37:07,716 --> 00:37:12,187 女たちは ほかの店に くら替えって事になるな。 467 00:37:12,187 --> 00:37:15,524 一件落着! 468 00:37:15,524 --> 00:37:20,524 あっ いや…。 落着してねえや。 469 00:37:22,197 --> 00:37:27,536 あっしが 棟梁に話します。 いや 話をこじらせたのは某だ。 470 00:37:27,536 --> 00:37:29,471 いやいやいや 俺が悪かったんだよ。 471 00:37:29,471 --> 00:37:31,471 いやいやいや あっ ちょっと! 472 00:37:33,342 --> 00:37:35,344 どうして!? 473 00:37:35,344 --> 00:37:38,180 おそろいで。 474 00:37:38,180 --> 00:37:43,485 こちらのお方から 洗えざらい聞きやした。 475 00:37:43,485 --> 00:37:46,785 まあまあ お座りなすって。 476 00:37:55,497 --> 00:37:59,168 棟梁 この度は…。 477 00:37:59,168 --> 00:38:05,841 聞いた。 いろいろ苦労したな。 はあ…。 478 00:38:05,841 --> 00:38:09,178 四郎兵衛様が 私に話をしてくれたのです。 479 00:38:09,178 --> 00:38:12,081 あなたたちだと また 話がこじれるから➡ 480 00:38:12,081 --> 00:38:15,851 先に行って 棟梁に話せって。 481 00:38:15,851 --> 00:38:21,190 亭主の不始末は 女房が片をつける。 482 00:38:21,190 --> 00:38:28,530 おめえさんも いい女房を お持ちなすったねえ。 はあ…。 483 00:38:28,530 --> 00:38:38,530 (笑い声) 484 00:38:42,177 --> 00:38:47,015 <そして 晴れて自由の身となった おかんさんが➡ 485 00:38:47,015 --> 00:38:52,315 吉原の大門を 出ていく日が来ました> 486 00:38:58,327 --> 00:39:41,870 ♬~ 487 00:39:41,870 --> 00:39:46,141 達者でな! 達者でな。 488 00:39:46,141 --> 00:40:05,141 ♬~ 489 00:40:06,829 --> 00:40:11,500 年季明けか…。 私の年季は いつ明ける事やら。 490 00:40:11,500 --> 00:40:14,403 姉さんは遊女じゃないだろう。 バカ。 491 00:40:14,403 --> 00:40:17,306 玉藻は いつ 自分が 嫁に行けるかって➡ 492 00:40:17,306 --> 00:40:21,009 その話をしてんだい。 お父っつぁん よくお分かりだね。 493 00:40:21,009 --> 00:40:24,346 何年 おめえたちの親やってると 思ってやがんだ。 494 00:40:24,346 --> 00:40:26,381 …で いつ明けるの? 495 00:40:26,381 --> 00:40:30,519 ん? それは こいつに聞きなよ。 496 00:40:30,519 --> 00:40:34,389 えっ 俺? おめえが一人前になったら➡ 497 00:40:34,389 --> 00:40:37,192 この巴屋を おめえに任せられるじゃねえか。 498 00:40:37,192 --> 00:40:39,127 そうなったら…➡ 499 00:40:39,127 --> 00:40:42,427 玉藻の年季は 晴れて明けるだろうが。 500 00:40:55,878 --> 00:41:00,749 吉原は 人の世の 写し絵のようなものですね。 501 00:41:00,749 --> 00:41:03,051 写し絵? 502 00:41:03,051 --> 00:41:11,760 善人もいれば 悪人もいる。 よい事もあれば 悪い事もある。 503 00:41:11,760 --> 00:41:14,460 さようですね。 504 00:41:16,231 --> 00:41:19,134 あね様 腹が減りました。 505 00:41:19,134 --> 00:41:21,904 え? さっき おそば 食べたばかりじゃないですか。 506 00:41:21,904 --> 00:41:24,239 そばは 腹もちがしません。 507 00:41:24,239 --> 00:41:30,112 じゃあ 何か すぐに支度をします。 お願いします。 508 00:41:30,112 --> 00:41:32,514 (笑い声) 509 00:41:32,514 --> 00:41:42,224 ♬~ 510 00:41:42,224 --> 00:41:44,226 誰だ!? 511 00:41:44,226 --> 00:41:47,029 (悲鳴) お願いがあって参りました! 512 00:41:47,029 --> 00:41:50,699 この子が遊女になりたいと…。 そんなに言うなら 遊女になれ。 513 00:41:50,699 --> 00:41:52,634 本当に? 幹殿! 514 00:41:52,634 --> 00:41:55,537 お父っつぁん! 娘を売りたい親なんて! 515 00:41:55,537 --> 00:41:57,873 あの2人を守ってあげて下さいね。 516 00:41:57,873 --> 00:42:01,673 娘たちが どんな思いで 吉原に売られたか 知っておろう。 517 00:42:03,745 --> 00:42:15,290 ♬「君のそばにいる」 518 00:42:15,290 --> 00:42:26,401 ♬「君を守って行く」 519 00:42:26,401 --> 00:42:38,013 ♬「悲しみを 消してあげることは 出来ないけど」 520 00:42:38,013 --> 00:42:48,724 ♬「ここからは ふたり 同じ道を行く」 521 00:42:48,724 --> 00:43:00,202 ♬「せめて ひととき」 522 00:43:00,202 --> 00:43:11,380 ♬「風よ やさしく」 523 00:43:11,380 --> 00:43:24,880 ♬「二人 包んで」