1 00:00:33,813 --> 00:00:35,748 <神守幹次郎殿は➡ 2 00:00:35,748 --> 00:00:39,752 理不尽な夫から 私 汀女を救い出し➡ 3 00:00:39,752 --> 00:00:44,390 3年の逃亡の果てに 江戸に流れ着きました。➡ 4 00:00:44,390 --> 00:00:50,196 そして 吉原の女たちを 守る事になったのです> 5 00:00:50,196 --> 00:00:58,196 ♬~ 6 00:01:02,742 --> 00:01:35,374 ♬~ 7 00:01:35,374 --> 00:01:43,174 どうかなさいましたか? いえ。 行きましょう。 8 00:01:48,888 --> 00:01:53,888 ごめんよ。 おけがは? いや。 9 00:02:01,067 --> 00:02:04,937 (ウグイスの鳴き声) 10 00:02:04,937 --> 00:02:08,741 そうそう 今度 薄墨太夫の所に➡ 11 00:02:08,741 --> 00:02:10,776 伊勢亀さんが いらっしゃるそうですね。 12 00:02:10,776 --> 00:02:13,579 ええ。 伊勢亀さん? 13 00:02:13,579 --> 00:02:16,482 呉服商いでは 江戸でも5本の指に入る➡ 14 00:02:16,482 --> 00:02:21,320 大店のご主人ですよ。 そりゃもう 大金持ち! 15 00:02:21,320 --> 00:02:25,591 一日で 何百両という 大盤振る舞いをなさるんですって。 16 00:02:25,591 --> 00:02:29,462 あ~ 私も あんなお大尽様に 見初められたいもの。 17 00:02:29,462 --> 00:02:31,764 あやかりたや~ あやかりたや~! 18 00:02:31,764 --> 00:02:34,367 お客様は どなたでも同じ事。 19 00:02:34,367 --> 00:02:38,667 いつもどおり おもてなしするだけです。 20 00:02:48,214 --> 00:02:52,551 一日で何百両も…。 想像がつきません。 21 00:02:52,551 --> 00:02:57,223 でも 考えてみれば 私たちが 会所から頂いているお金も➡ 22 00:02:57,223 --> 00:03:02,395 元はと言えば 皆さんが 稼いで下さったお金なのですね。 23 00:03:02,395 --> 00:03:07,566 それで 私たちは こうして ごはんが食べられているのです。 24 00:03:07,566 --> 00:03:11,437 言われてみれば 確かに…。 25 00:03:11,437 --> 00:03:14,240 薄墨太夫の あの肩に➡ 26 00:03:14,240 --> 00:03:19,578 どれだけ たくさんの人の暮らしが 懸かっている事か…。 27 00:03:19,578 --> 00:03:26,252 実は 一つ 気になる事が…。 何ですか? 28 00:03:26,252 --> 00:03:32,052 あっ いえ… 気のせいかもしれません。 29 00:03:36,696 --> 00:03:39,496 女は切手! 女は切手だよ! 30 00:03:41,867 --> 00:03:44,770 おっ どうなされやした? 頭取。 31 00:03:44,770 --> 00:03:47,673 伊勢亀さんのお座敷に 招かれたんだい。 32 00:03:47,673 --> 00:03:50,543 あのお大尽の? そりゃ~ 結構ですなあ! 33 00:03:50,543 --> 00:03:52,578 なにが 結構なもんかい。 34 00:03:52,578 --> 00:03:55,047 かしこまって 座ってなくちゃいけねえんだぞ。 35 00:03:55,047 --> 00:03:57,717 でも うまいもん食って 酒も たらふく飲めるんでしょ。 36 00:03:57,717 --> 00:03:59,652 何なら あっしが 代わりましょうか? 37 00:03:59,652 --> 00:04:03,222 代われるもんなら 代わって もらいてえぐれえなもんだよ! 38 00:04:03,222 --> 00:04:08,894 やれやれ 本当に気が重いんだ もう! 39 00:04:08,894 --> 00:04:13,566 あっ 神守様 ご苦労さまにございます。 40 00:04:13,566 --> 00:04:16,902 気が重いとか言いながら 妙に足取りは軽いじゃねえか。 41 00:04:16,902 --> 00:04:19,238 料理や酒より いいものがある。 42 00:04:19,238 --> 00:04:23,075 天下の薄墨太夫を 間近に眺めてられるんだぜ。 43 00:04:23,075 --> 00:04:27,246 あ~ そりゃ 羨ましいねえ。 どうだい え? 44 00:04:27,246 --> 00:04:29,582 知るか。 45 00:04:29,582 --> 00:04:45,364 ♬~ 46 00:04:45,364 --> 00:04:48,868 <宴会は 滞りなく行われ➡ 47 00:04:48,868 --> 00:04:53,868 伊勢亀さんは 機嫌よく帰ったそうです> 48 00:04:55,541 --> 00:05:01,241 <薄墨太夫は 務めを果たしました> 49 00:05:02,882 --> 00:05:05,551 本日は ご苦労さまでした。 50 00:05:05,551 --> 00:05:08,587 まあ これも お務めでございますから。 51 00:05:08,587 --> 00:05:12,224 ところで 薄墨太夫が 四郎兵衛様に➡ 52 00:05:12,224 --> 00:05:15,261 何か お話ししたい事があると 申しておりますが。 53 00:05:15,261 --> 00:05:18,761 あっ 私に…。 54 00:05:29,408 --> 00:05:32,178 本日は ご苦労さまに ございました。 55 00:05:32,178 --> 00:05:39,518 いいえ。 …で 話ってのは 何でございましょう? 56 00:05:39,518 --> 00:05:42,421 実は…。 57 00:05:42,421 --> 00:05:46,692 えっ 誰かが 薄墨太夫を 付け狙ってるっていうんですかい。 58 00:05:46,692 --> 00:05:52,031 7日ほど前から 時々つけられてる ような気配があったっていうんだ。 59 00:05:52,031 --> 00:05:55,701 どうして すぐに 店の者に 言わなかったんでしょう? 60 00:05:55,701 --> 00:05:57,636 伊勢亀さんが お見えになる前に➡ 61 00:05:57,636 --> 00:06:00,206 騒ぎは 起こしたくなかったってんだ。 62 00:06:00,206 --> 00:06:03,876 大した心掛けだ。 さすが 吉原一だね! 63 00:06:03,876 --> 00:06:06,912 薄墨太夫に 付け狙われる心当たりは? 64 00:06:06,912 --> 00:06:11,383 ないと言っとる。 だが ちらりと見た限りでは➡ 65 00:06:11,383 --> 00:06:15,554 どうやら 若い侍だという事だ。 若い侍…。 66 00:06:15,554 --> 00:06:17,890 代わりばんこに 守ろうじゃねえか。 67 00:06:17,890 --> 00:06:20,226 付け狙ってるやつを とっつかまえて➡ 68 00:06:20,226 --> 00:06:22,728 何者か 突き止めてやろうじゃねえか。 69 00:06:22,728 --> 00:06:25,397 (男衆たち)おう! 頼むぞ。 70 00:06:25,397 --> 00:06:31,570 薄墨太夫は 三浦屋だけじゃねえ。 この吉原にとっても 大切な宝だ。 71 00:06:31,570 --> 00:06:34,473 どんな事があっても 傷一つ つけちゃいけねえ。 72 00:06:34,473 --> 00:06:36,473 (男衆たち)へい! 73 00:06:38,344 --> 00:06:43,015 どうして薄墨太夫は そのお大尽が 来るまで黙っていたのだ? 74 00:06:43,015 --> 00:06:44,950 分からねえのかい? 75 00:06:44,950 --> 00:06:48,821 騒ぎになりゃ お大尽のお越しが 取りやめになるかもしれねえだろ。 76 00:06:48,821 --> 00:06:52,024 そうなりゃ その あがりを当てに してた連中は 大損じゃねえかよ。 77 00:06:52,024 --> 00:06:55,361 皆の暮らしを守ったという事か。 そういう事よ。 78 00:06:55,361 --> 00:07:00,232 それが 吉原の遊女の張りと 粋ってもんだ。 79 00:07:00,232 --> 00:07:07,540 ♬~ 80 00:07:07,540 --> 00:07:09,475 おう ちょうどいいや。 81 00:07:09,475 --> 00:07:11,877 ありがとよ。 使わせてもらうぜ。 へい。 82 00:07:11,877 --> 00:07:14,547 確か あの辺りが 薄墨太夫の部屋だな。 83 00:07:14,547 --> 00:07:20,347 ここからなら 怪しいやつがいれば 逆に 丸見えだ。 84 00:07:22,888 --> 00:07:24,823 お! 85 00:07:24,823 --> 00:07:36,835 ♬~ 86 00:07:36,835 --> 00:07:39,872 おっ おいおい おい こっちを見て 礼をしたぞ。 87 00:07:39,872 --> 00:07:42,508 俺たちが ここから見守る という事は 伝えてある。 88 00:07:42,508 --> 00:07:44,443 礼ぐらい するだろう。 89 00:07:44,443 --> 00:08:17,209 ♬~ 90 00:08:17,209 --> 00:08:19,712 よっ 薄墨太夫! 91 00:08:19,712 --> 00:08:22,615 ふだんの様子もいいが やっぱり これだね! 92 00:08:22,615 --> 00:08:25,384 見る所が違う。 分かってるよ。 93 00:08:25,384 --> 00:08:28,287 うおっ! 代わるぜ。 な… 何だい もうかよ? 94 00:08:28,287 --> 00:08:31,824 このお役目ばかりはな みんなが やりたがってな➡ 95 00:08:31,824 --> 00:08:34,727 順番が つっかえてるんだ。 さっさと帰んなよ。 96 00:08:34,727 --> 00:08:38,163 ああ そうかい。 では 頼む。 真面目くさった顔して…。 97 00:08:38,163 --> 00:08:41,000 本当は もっと 見ていたかったんじゃねえのか? 98 00:08:41,000 --> 00:08:43,902 ご新造さんには 言いにくい仕事でやすな。 99 00:08:43,902 --> 00:08:47,673 どうしてだ? 言えるとも。 100 00:08:47,673 --> 00:08:53,479 ♬~ 101 00:08:53,479 --> 00:08:58,384 やはり 薄墨太夫は 黙っていたのですね。 102 00:08:58,384 --> 00:09:02,021 あね様の勘は 当たっていたようです。 103 00:09:02,021 --> 00:09:03,956 しかし どうも 私には➡ 104 00:09:03,956 --> 00:09:08,360 薄墨太夫が黙っていた理由の 得心がいきません。 105 00:09:08,360 --> 00:09:14,233 私には 少し分かる気がします。 106 00:09:14,233 --> 00:09:19,872 吉原に お金で売られてきた以上 その役割を貫く事が➡ 107 00:09:19,872 --> 00:09:23,709 女としての意地なのでは ないでしょうか。 108 00:09:23,709 --> 00:09:26,545 はあ…。 109 00:09:26,545 --> 00:09:30,382 それにしても ずっと見張っているというのも➡ 110 00:09:30,382 --> 00:09:35,354 骨の折れるお務めですね。 いえ そのような事は。 111 00:09:35,354 --> 00:09:39,658 さようですね。 美しい女子を見ているのは➡ 112 00:09:39,658 --> 00:09:41,593 むしろ お楽しみでしょうか。 113 00:09:41,593 --> 00:09:45,464 いえ。 それは 男衆たちの 話であって 私は別に。 114 00:09:45,464 --> 00:09:47,399 無理を なさらずとも。 115 00:09:47,399 --> 00:09:49,668 無理… 無理など しておりませぬ! 116 00:09:49,668 --> 00:09:54,668 フフフッ。 117 00:09:56,341 --> 00:10:00,012 この暮らしをするようになって 1年…。 118 00:10:00,012 --> 00:10:03,048 以前よりも 身の回りの いろいろな事に➡ 119 00:10:03,048 --> 00:10:05,818 目が行くようになりました。 120 00:10:05,818 --> 00:10:07,753 どうしてですか? 121 00:10:07,753 --> 00:10:10,723 吉原の女たちは➡ 122 00:10:10,723 --> 00:10:14,526 こうして 思うように 外の世界を見る事もできません。 123 00:10:14,526 --> 00:10:20,399 なので 手習いの折には みんなに 外の世界の事を話してあげたいと。 124 00:10:20,399 --> 00:10:24,199 それは よい心掛けです。 125 00:10:26,538 --> 00:10:29,441 つけられています。 え? 126 00:10:29,441 --> 00:10:34,441 そのまま 気付かぬふりを。 はい。 127 00:10:59,238 --> 00:11:04,409 ♬~ 128 00:11:04,409 --> 00:11:10,582 「加門 麻に 必ずや天誅を加ふる者也」。 129 00:11:10,582 --> 00:11:16,782 もしや… 薄墨太夫を 付け狙う者の仕業では? 130 00:11:18,323 --> 00:11:25,130 「加門 麻に 必ずや天誅を加ふる者也」。 131 00:11:25,130 --> 00:11:28,133 穏やかじゃありませんな。 132 00:11:28,133 --> 00:11:32,538 その加門 麻という名前は? 133 00:11:32,538 --> 00:11:39,411 薄墨太夫の本当の名前です。 やはり…。 134 00:11:39,411 --> 00:11:43,248 敵は 薄墨太夫の過去と➡ 135 00:11:43,248 --> 00:11:47,386 関わりのある人間で ございましょうな。 過去…。 136 00:11:47,386 --> 00:11:52,057 吉原の女は 望むと望まざるにかかわらず➡ 137 00:11:52,057 --> 00:11:55,894 過去というものを 捨ててまいります。 138 00:11:55,894 --> 00:11:59,231 …が こたびは➡ 139 00:11:59,231 --> 00:12:05,731 過去の方から こちらに 寄ってきたようでございますね。 140 00:12:07,406 --> 00:12:10,909 それにしても 神守様をつけるとは➡ 141 00:12:10,909 --> 00:12:14,580 どういう了見なんで ございましょうな。 142 00:12:14,580 --> 00:12:18,917 相手は 恐らく武士です。 143 00:12:18,917 --> 00:12:22,588 同じ武士の端くれの某に 目をつけて➡ 144 00:12:22,588 --> 00:12:26,788 果たし状を 突きつけたつもりなのでしょう。 145 00:12:28,393 --> 00:12:34,533 これは しばらく 私が預からせて頂きます。 146 00:12:34,533 --> 00:12:37,533 承知致しました。 147 00:12:39,371 --> 00:12:45,878 ♬~ 148 00:12:45,878 --> 00:12:48,378 (一同)おお~! 149 00:12:50,382 --> 00:12:55,882 待ってました! よっ 薄墨太夫! 150 00:12:57,556 --> 00:12:59,856 美しいね! 151 00:13:02,394 --> 00:13:06,094 いい眺めだね。 152 00:13:09,268 --> 00:13:13,068 薄墨太夫! 153 00:13:15,574 --> 00:13:19,745 はあ~ さすがに疲れるねえ。 最初の勢いは どうした? 154 00:13:19,745 --> 00:13:23,081 それにしても どうだい 薄墨太夫の様子は。 155 00:13:23,081 --> 00:13:25,584 片ときも 姿勢を崩そうとしねえ。 156 00:13:25,584 --> 00:13:29,454 時には こう「あ~ 疲れた」とか ならないもんかね。 157 00:13:29,454 --> 00:13:32,391 あれ…➡ 158 00:13:32,391 --> 00:13:35,391 頭取!? 159 00:13:46,204 --> 00:13:48,874 あ…。 160 00:13:48,874 --> 00:13:52,744 え? ととととと… 頭取と薄墨太夫が➡ 161 00:13:52,744 --> 00:13:54,746 何の話があるってんだよ!? なあなあなあ! 162 00:13:54,746 --> 00:13:56,946 どういう事だと思う? 黙ってろ。 163 00:14:01,887 --> 00:14:03,887 これは…。 164 00:14:08,760 --> 00:14:16,435 これを書いたのは 恐らく 私の事を知ってる者です。 165 00:14:16,435 --> 00:14:19,304 やはり…。 166 00:14:19,304 --> 00:14:24,304 その者に 心当たりは? 167 00:14:28,113 --> 00:14:33,313 長いな…。 何やってんだよ。 168 00:14:37,689 --> 00:14:40,525 あの男…。 169 00:14:40,525 --> 00:14:42,525 え? 170 00:14:47,866 --> 00:14:50,535 女は切手! 171 00:14:50,535 --> 00:14:56,408 ♬~ 172 00:14:56,408 --> 00:15:00,045 邪魔だ。 どいてくれ! 173 00:15:00,045 --> 00:15:09,054 ♬~ 174 00:15:09,054 --> 00:15:11,957 くそ! 175 00:15:11,957 --> 00:15:17,229 ご苦労さまでございました。 いえ それでは。 176 00:15:17,229 --> 00:15:20,732 ああ。 今 手習いが終わったとこです。 177 00:15:20,732 --> 00:15:23,068 ちょうど ようございました。 178 00:15:23,068 --> 00:15:28,568 ちょっと話を聞いて頂けませんか。 何でしょう? 179 00:15:30,575 --> 00:15:33,011 実は 私…➡ 180 00:15:33,011 --> 00:15:39,518 薄墨太夫が この吉原に来た時に 少し 関わりを持ちましてな。 181 00:15:39,518 --> 00:15:41,453 関わりを…。 182 00:15:41,453 --> 00:15:45,390 薄墨太夫… 本名は加門 麻。 183 00:15:45,390 --> 00:15:48,226 加門家は武士。 184 00:15:48,226 --> 00:15:55,367 微禄ながら れっきとした お旗本でございました。 185 00:15:55,367 --> 00:16:02,040 学問や武芸に親しみ 美貌にも恵まれた才女でした。 186 00:16:02,040 --> 00:16:06,378 行く末が楽しみと いわれておりました。 187 00:16:06,378 --> 00:16:13,378 麻には 父親が決めた 許嫁がおりましてな。 188 00:16:15,053 --> 00:16:18,890 麻より 3つ年上でした。 189 00:16:18,890 --> 00:16:23,061 親が決めた相手とはいえ 当人同士の間にも➡ 190 00:16:23,061 --> 00:16:27,933 そこはかとない思いが 芽生えていたようでございますよ。 191 00:16:27,933 --> 00:16:30,402 そんな立派な武家の娘が➡ 192 00:16:30,402 --> 00:16:35,240 しかも 許嫁までいるというのに どうして また吉原に? 193 00:16:35,240 --> 00:16:42,848 麻が 14の時でございます。 お父上が 病で倒れられましてな。 194 00:16:42,848 --> 00:16:45,350 その看病をしていた母御に➡ 195 00:16:45,350 --> 00:16:49,050 その病が うつったのでございますよ。 196 00:16:51,857 --> 00:16:55,360 麻は 加門家の長女です。 197 00:16:55,360 --> 00:16:59,531 病で倒れた両親を 必死に看病しました。 198 00:16:59,531 --> 00:17:06,031 しかし その看病もむなしく 両親とも亡くなってしまいました。 199 00:17:10,709 --> 00:17:15,881 麻が偉かったのは むしろ それからです。 200 00:17:15,881 --> 00:17:19,217 立派に両親の弔いを済ませて➡ 201 00:17:19,217 --> 00:17:28,393 残ったのは 両親の治療のための 費用の支払いでございます。 202 00:17:28,393 --> 00:17:35,667 その金の工面のために 麻は 自らを吉原に売りました。 203 00:17:35,667 --> 00:17:38,467 自らを…。 204 00:17:40,839 --> 00:17:46,344 その時に相談を受けたのが 私でございますよ。 205 00:17:46,344 --> 00:17:49,848 その間宮慶一郎という許嫁とは? 206 00:17:49,848 --> 00:17:54,352 はい。 吉原に行くと決めた上で➡ 207 00:17:54,352 --> 00:18:00,152 その許嫁にも 別れを告げたそうです。 208 00:18:02,227 --> 00:18:05,864 自ら決心を…。 209 00:18:05,864 --> 00:18:12,370 薄墨太夫が ここに 初めて来た時を思い出します。 210 00:18:12,370 --> 00:18:14,406 まだ 年若いのに➡ 211 00:18:14,406 --> 00:18:20,111 少しも おびえたところを見せず 凜として。 212 00:18:20,111 --> 00:18:26,111 その気丈な様子が 健気で 可憐でね…。 213 00:18:27,852 --> 00:18:31,056 それにしても あの手紙は一体…。 214 00:18:31,056 --> 00:18:38,863 あっ これ 薄墨太夫に見せましたらな…。 215 00:18:38,863 --> 00:18:45,003 これを書いたのは 恐らく 私の事を知ってる者です。 216 00:18:45,003 --> 00:18:49,341 その者に 心当たりは? 217 00:18:49,341 --> 00:18:53,178 ございません。 218 00:18:53,178 --> 00:18:56,848 私の許嫁だった慶一郎様は➡ 219 00:18:56,848 --> 00:19:03,622 私が吉原に来て1年後に ご病気で お亡くなりになったそうです。 220 00:19:03,622 --> 00:19:06,558 そうでしたか。 221 00:19:06,558 --> 00:19:12,058 それ以来 間宮家の事は何も…。 222 00:19:16,534 --> 00:19:25,243 吉原の中で 籠の鳥の私には 何が分かりましょうか。 223 00:19:25,243 --> 00:19:29,043 さようですよね。 224 00:19:33,652 --> 00:19:37,155 私も 少し 調べてはみたんですがな➡ 225 00:19:37,155 --> 00:19:39,991 間宮家は もう既に絶えておりまして➡ 226 00:19:39,991 --> 00:19:43,862 そのあと どうなっているのか よく分からないんでございますよ。 227 00:19:43,862 --> 00:19:50,335 某が調べてみます。 あっ 今お話を申しましたように➡ 228 00:19:50,335 --> 00:19:56,675 薄墨太夫が この吉原に来る世話を したのは 私でございます。 229 00:19:56,675 --> 00:19:58,610 今頃になって➡ 230 00:19:58,610 --> 00:20:03,448 昔の事で 薄墨太夫に 面倒が かかるような事があっちゃあ…➡ 231 00:20:03,448 --> 00:20:08,386 何か 私に 手落ちがあったような 気が致しましてな。 232 00:20:08,386 --> 00:20:11,856 あの方の事になると 特別なんですよね。 233 00:20:11,856 --> 00:20:15,356 おい! 余計な事 言うなよ。 234 00:20:23,868 --> 00:20:33,578 ♬~ 235 00:20:33,578 --> 00:20:35,880 間宮慶一郎の一家の➡ 236 00:20:35,880 --> 00:20:38,783 その後の事について 調べてきました。 237 00:20:38,783 --> 00:20:41,052 どうでした? 238 00:20:41,052 --> 00:20:46,725 慶一郎には 鋭三郎という弟がおります。 239 00:20:46,725 --> 00:20:50,895 弟が…。 慶一郎が死んだあと➡ 240 00:20:50,895 --> 00:20:55,233 鋭三郎は 他家に 養子に出されておりましたが➡ 241 00:20:55,233 --> 00:20:59,404 間宮家が没落したあとは 養子先からも追い出され➡ 242 00:20:59,404 --> 00:21:03,742 直参崩れのヤクザまがいに 落ちぶれておりました。 243 00:21:03,742 --> 00:21:08,913 ケンカ沙汰を起こしたり ゆすり たかりなどもやっていたようです。 244 00:21:08,913 --> 00:21:15,587 そんな男が ある時 兄の許嫁だった加門 麻と➡ 245 00:21:15,587 --> 00:21:22,387 吉原一の薄墨太夫が 同じ女だと知ったとしたら…。 246 00:21:30,769 --> 00:21:34,539 やはり 鋭三郎様でしたか…。 247 00:21:34,539 --> 00:21:39,210 分かっていたのですか? いや しかとは…。 248 00:21:39,210 --> 00:21:42,113 ただ そんな気がしておりました。 249 00:21:42,113 --> 00:21:46,084 鋭三郎とは 会った事があるのですか? 250 00:21:46,084 --> 00:21:48,887 はい 何度も。 251 00:21:48,887 --> 00:21:54,692 慶一郎様と共に 我が家を訪れたのです。➡ 252 00:21:54,692 --> 00:22:00,992 天真らんまんで 笑顔が とても朗らかな少年でした。 253 00:22:03,435 --> 00:22:06,438 (鋭三郎)あ! 254 00:22:06,438 --> 00:22:15,580 (泣き声) 255 00:22:15,580 --> 00:22:18,416 (泣き声) 256 00:22:18,416 --> 00:22:25,116 武士の子でしょ。 誇りを持ちなさい。 257 00:22:27,592 --> 00:22:30,592 はい…。 258 00:22:37,202 --> 00:22:43,007 どうして あなたを狙うのでしょう? 259 00:22:43,007 --> 00:22:47,212 分かりません。 260 00:22:47,212 --> 00:22:50,114 ただ…。 261 00:22:50,114 --> 00:22:54,814 ただ? あの文字を見た時…。 262 00:22:58,389 --> 00:23:03,061 そこに込められた 激しい怒りを見て➡ 263 00:23:03,061 --> 00:23:07,899 私は恐ろしくなりました。 264 00:23:07,899 --> 00:23:14,572 私は 一家のために 吉原に身を売りました。 265 00:23:14,572 --> 00:23:21,913 その事に 悔いはありません。 でも その事が➡ 266 00:23:21,913 --> 00:23:28,419 慶一郎様を どれほど傷つけて いたのだろうかと思うと…。 267 00:23:28,419 --> 00:23:35,226 鋭三郎様は 兄の仇を 討とうとしているのではないかと。 268 00:23:35,226 --> 00:23:40,865 鋭三郎は すっかり 身を持ち崩しているようです。 269 00:23:40,865 --> 00:23:42,800 兄の仇を討つなどと➡ 270 00:23:42,800 --> 00:23:47,500 考えるような男では なくなっているに違いありません。 271 00:23:50,542 --> 00:23:52,877 だったら なおさら…➡ 272 00:23:52,877 --> 00:23:56,877 そのような人にしてしまったのは 私のせいなのでは!? 273 00:23:58,750 --> 00:24:02,554 考え過ぎです。 274 00:24:02,554 --> 00:24:06,424 さようでしょうか…。 275 00:24:06,424 --> 00:24:18,102 ♬~ 276 00:24:18,102 --> 00:24:24,102 いずれにしても 必ず あなたを お守りします。 277 00:24:28,413 --> 00:24:30,915 では。 278 00:24:30,915 --> 00:24:34,415 お願いがあります! 279 00:24:36,721 --> 00:24:44,721 鋭三郎様を どうか 殺さないで下さい。 280 00:24:47,398 --> 00:24:53,871 守って頂きながら このようなお願いは…。 281 00:24:53,871 --> 00:24:59,744 しかし 一緒に遊んだあの子を➡ 282 00:24:59,744 --> 00:25:06,944 この身を守るために 殺してくれとは… どうしても。 283 00:25:13,257 --> 00:25:18,396 お気持ちは分かります。 284 00:25:18,396 --> 00:25:27,596 鋭三郎を生きたまま捕らえると お約束致します。 285 00:25:29,407 --> 00:25:33,407 ありがとうございます。 286 00:25:43,054 --> 00:25:48,054 女は切手! 女は切手! 287 00:25:50,528 --> 00:25:53,865 (男衆)頭取が お戻りです! 288 00:25:53,865 --> 00:25:58,369 今 三浦屋の主が来てな➡ 289 00:25:58,369 --> 00:26:03,541 伊勢亀さんが 薄墨太夫を 大川の 舟遊びに連れ出したいんだそうだ。 290 00:26:03,541 --> 00:26:07,378 え!? 吉原の外に 連れ出すってんですかい? 291 00:26:07,378 --> 00:26:12,717 伊勢亀さんほどの上客だ。 金も それ相応に用意して下さる。 292 00:26:12,717 --> 00:26:14,752 むげに断る訳にはいかねえ。 293 00:26:14,752 --> 00:26:19,223 吉原の外では 薄墨太夫を守る事が 難しくなります。 294 00:26:19,223 --> 00:26:23,895 ここは お断りするしか ないでしょう。 295 00:26:23,895 --> 00:26:29,233 ところが 太夫は行くと言ってる。 (男衆たち)え? 296 00:26:29,233 --> 00:26:31,736 気の強え人だからなあ。 297 00:26:31,736 --> 00:26:36,174 一度 言いだしたら もう引かねえんだ。 298 00:26:36,174 --> 00:26:39,844 しかし 薄墨太夫を外に出しては➡ 299 00:26:39,844 --> 00:26:44,844 まんまと やつの懐に飛び込む ようなものではありませんか。 300 00:26:56,861 --> 00:26:58,796 幹殿…。 301 00:26:58,796 --> 00:27:03,735 薄墨太夫に話があります。 何でしょう? 302 00:27:03,735 --> 00:27:09,207 私たちは ご遠慮します。 そうですね。 行きましょう。 303 00:27:09,207 --> 00:27:12,543 (薄墨)いえ。➡ 304 00:27:12,543 --> 00:27:16,881 構いません。 305 00:27:16,881 --> 00:27:20,551 ムチャな事は やめて頂きたい。 306 00:27:20,551 --> 00:27:23,351 ムチャとは? 307 00:27:25,056 --> 00:27:27,725 伊勢亀に呼ばれて 外に出るなど➡ 308 00:27:27,725 --> 00:27:30,061 危ない目に わざわざ 遭いに行くようなものです。 309 00:27:30,061 --> 00:27:35,833 それが務めです。 時と場合によります。 310 00:27:35,833 --> 00:27:40,705 あなたを守る者の身にも なって頂きたい。 311 00:27:40,705 --> 00:27:49,347 いえ 某はよいのですが ほかの者たちが…。 312 00:27:49,347 --> 00:27:57,047 私の このわがまま 聞いて頂けませんでしょうか。 313 00:27:59,857 --> 00:28:03,361 危険な事は承知の上。 314 00:28:03,361 --> 00:28:08,533 皆様にも ご迷惑をおかけ致します。 315 00:28:08,533 --> 00:28:16,833 しかし ここで我が身を守るために 逃げるような事をしては…。 316 00:28:20,144 --> 00:28:24,944 バカな意地と思われても しかたありません。 でも…。 317 00:28:27,718 --> 00:28:30,221 お願い致します。 318 00:28:30,221 --> 00:28:38,830 ♬~ 319 00:28:38,830 --> 00:28:42,530 分かりました。 320 00:28:44,502 --> 00:28:50,675 ただし 許嫁の弟だから 命は助けてほしいという頼みは➡ 321 00:28:50,675 --> 00:28:54,875 お聞きできるかどうか 分かりません。 322 00:28:56,848 --> 00:29:00,718 分かりました。 323 00:29:00,718 --> 00:29:04,589 よろしくお願い致します。 324 00:29:04,589 --> 00:29:12,029 ♬~ 325 00:29:12,029 --> 00:29:15,529 必ず あなたを お守りします。 326 00:29:17,201 --> 00:29:21,539 私も守られてみたい…。 327 00:29:21,539 --> 00:29:29,280 ♬~ 328 00:29:29,280 --> 00:29:32,817 <そして…➡ 329 00:29:32,817 --> 00:29:38,817 薄墨太夫が 伊勢亀さんと 出かける日が来ました> 330 00:29:42,326 --> 00:29:45,162 相庵先生が 廓内に 往診をなさいます。 331 00:29:45,162 --> 00:29:48,462 ああ 相庵先生か。 通りな。 332 00:29:53,037 --> 00:29:55,506 あれっ 神守様は? 333 00:29:55,506 --> 00:29:59,677 おい どこ行ったんだよ? こんな大事な時に! 334 00:29:59,677 --> 00:30:03,514 相庵先生が往診でございます。 え? 相庵先生なら➡ 335 00:30:03,514 --> 00:30:06,417 さっき 駕籠で通ったろう。 何を言うとる! 336 00:30:06,417 --> 00:30:09,854 わしは 今 ここに立っとる。 駕籠などに乗らん。 337 00:30:09,854 --> 00:30:12,189 ええ!? おい どうした? 338 00:30:12,189 --> 00:30:15,092 だって 相庵先生なら 確かに さっき 駕籠に乗って…。 339 00:30:15,092 --> 00:30:17,061 確かにって 顔は見たのかい? 340 00:30:17,061 --> 00:30:21,761 駕籠の中なんで 顔は見えません。 え…。 341 00:30:23,534 --> 00:30:32,209 ほう。 わしの偽者が出たのか。 こりゃ面白い。 342 00:30:32,209 --> 00:30:39,550 ♬~ 343 00:30:39,550 --> 00:30:43,888 あ! (長吉 清次)ああ! 344 00:30:43,888 --> 00:30:48,759 あいつは吉原の中だ。 薄墨太夫が危ない! 345 00:30:48,759 --> 00:31:09,559 ♬~ 346 00:31:24,528 --> 00:31:27,828 出ておいでなさい。 347 00:31:35,873 --> 00:31:39,744 鋭三郎様ですね。 348 00:31:39,744 --> 00:31:44,048 お久しゅうございます。 349 00:31:44,048 --> 00:31:46,951 なぜ 私を…。 知れた事。 350 00:31:46,951 --> 00:31:52,223 兄を捨てて 遊女になるなど…。 間宮家の面汚しを許してはおけぬ。 351 00:31:52,223 --> 00:31:55,893 私は 間宮家の者ではありません。 352 00:31:55,893 --> 00:32:02,093 許嫁となったからには 間宮の身内も同様。 353 00:32:03,768 --> 00:32:06,768 覚悟しろ。 354 00:32:11,442 --> 00:32:16,080 どうして! 襲うのは外だと思った 我々の警護は➡ 355 00:32:16,080 --> 00:32:18,582 吉原の中では手薄になる。 356 00:32:18,582 --> 00:32:21,252 そこを襲うと思い 待っていた。 357 00:32:21,252 --> 00:32:25,589 思ったとおり ただの浪人者ではないな。 358 00:32:25,589 --> 00:32:30,094 このお方は お強い。 刀を お捨てなさい。 359 00:32:30,094 --> 00:32:37,894 何を言うか! 私は武士だ。 武士に刀を捨てろとは…。 360 00:32:39,537 --> 00:32:45,409 お前は 私に言ったはずだ。 え? 361 00:32:45,409 --> 00:32:51,609 武士の子でしょ。 誇りを持ちなさい。 362 00:32:53,384 --> 00:32:55,584 はい…。 363 00:33:02,093 --> 00:33:09,400 私は 没落する家を なんとか 立て直そうとした。 364 00:33:09,400 --> 00:33:12,903 お前に言われた あの言葉を この胸に➡ 365 00:33:12,903 --> 00:33:16,407 武士の誇りを守ろうとした。 366 00:33:16,407 --> 00:33:20,911 しかし かなわなかった。 367 00:33:20,911 --> 00:33:25,749 10年前 兄は お前が どうして姿を消したのか➡ 368 00:33:25,749 --> 00:33:27,685 何も話さなかった。 369 00:33:27,685 --> 00:33:34,385 私は お前が立派に武家の娘として 暮らしているとばかり…。 370 00:33:36,193 --> 00:33:41,699 吉原の薄墨太夫が 加門 麻だと聞いた私は➡ 371 00:33:41,699 --> 00:33:47,037 それを信じられず 確かめようと お前の後をつけた。 372 00:33:47,037 --> 00:33:50,537 何なのだ その姿は! 373 00:33:52,209 --> 00:33:57,548 武士の誇りを持てと 言っておきながら➡ 374 00:33:57,548 --> 00:34:03,721 自らは 誇りを捨てて 遊女になど成り下がりおって…。 375 00:34:03,721 --> 00:34:07,221 許せん! 376 00:34:08,893 --> 00:34:17,893 確かに… 私は 武家の誇りなど捨てました。 377 00:34:21,906 --> 00:34:30,606 私にあるのは… 遊女の誇り。 378 00:34:32,349 --> 00:34:35,186 ふざけるな! 379 00:34:35,186 --> 00:34:41,859 ♬~ 380 00:34:41,859 --> 00:34:44,195 抜け! 381 00:34:44,195 --> 00:34:52,369 ♬~ 382 00:34:52,369 --> 00:34:54,872 何だ それは! 383 00:34:54,872 --> 00:34:58,072 侍同士なら 尋常に勝負しろ! 384 00:35:00,544 --> 00:35:02,479 うわ~! 385 00:35:02,479 --> 00:35:16,779 ♬~ 386 00:35:32,476 --> 00:35:37,181 ♬~ 387 00:35:37,181 --> 00:35:39,116 うわ~! 388 00:35:39,116 --> 00:36:00,371 ♬~ 389 00:36:00,371 --> 00:36:02,306 うわ~! 390 00:36:02,306 --> 00:36:37,207 ♬~ 391 00:36:37,207 --> 00:36:41,345 申し訳ありません。 392 00:36:41,345 --> 00:36:45,683 いえ。 393 00:36:45,683 --> 00:36:53,857 武士として死なせてやるのが せめてもの情けなのですね。 394 00:36:53,857 --> 00:37:14,545 ♬~ 395 00:37:14,545 --> 00:37:19,416 武士の子でしょ。 396 00:37:19,416 --> 00:37:22,419 誇りを持ちなさい。 397 00:37:22,419 --> 00:37:43,574 ♬~ 398 00:37:43,574 --> 00:37:51,849 薄墨太夫 滞りなく 伊勢亀さんと 舟遊びに出かけていきましたよ。 399 00:37:51,849 --> 00:37:59,590 さようですか。 一つ お願いが…。 何でしょうか? 400 00:37:59,590 --> 00:38:05,396 鋭三郎の弔いを 出して頂けませぬか? 401 00:38:05,396 --> 00:38:07,865 かしこまりました。 402 00:38:07,865 --> 00:38:15,372 いや 実は 薄墨太夫からも 同じ事を頼まれておりましてな。 403 00:38:15,372 --> 00:38:17,307 さようですか。 404 00:38:17,307 --> 00:38:22,045 神守様も武家の出 薄墨太夫も武家の出。 405 00:38:22,045 --> 00:38:28,385 お互いに 何か分かり合えるものが あるんでしょうね。 406 00:38:28,385 --> 00:38:31,221 さあ それは…。 407 00:38:31,221 --> 00:38:38,962 まあ 私は私なりに これからも 薄墨太夫を見守ってまいりますよ。 408 00:38:38,962 --> 00:38:48,505 ♬~ 409 00:38:48,505 --> 00:38:57,214 武士の子でしょ。 誇りを持ちなさい。 410 00:38:57,214 --> 00:39:03,687 ♬~ 411 00:39:03,687 --> 00:39:11,862 お聞きになったのですね 私が吉原に来た訳を。 はい。 412 00:39:11,862 --> 00:39:17,734 いつかは お話ししたいと 思っておりました。 413 00:39:17,734 --> 00:39:25,709 不思議に あなたと私は 境遇が似ているところがあります。 414 00:39:25,709 --> 00:39:29,213 共に武家の娘として生まれ➡ 415 00:39:29,213 --> 00:39:35,486 あなたは 傾いたご実家を 救うために 吉原に身売りを。 416 00:39:35,486 --> 00:39:42,359 私は 一家のために嫁入りを。 417 00:39:42,359 --> 00:39:49,500 でも 一つ 違うところが。 418 00:39:49,500 --> 00:39:57,300 あなた様には そこから 救い出してくれたお方が。 419 00:40:00,210 --> 00:40:05,349 旦那様を お大事になさいまし。 420 00:40:05,349 --> 00:40:07,851 はい。 421 00:40:07,851 --> 00:40:13,524 ♬~ 422 00:40:13,524 --> 00:40:17,694 あっ お二人とも! 今日も よろしくお願い致します。 423 00:40:17,694 --> 00:40:27,404 ♬~ 424 00:40:27,404 --> 00:40:31,604 おっ あね様。 425 00:40:36,880 --> 00:40:45,380 何を考えていたのですか? はあ… 武士の誇りとは何か。 426 00:40:47,591 --> 00:40:53,330 我らは 壮五郎殿の武士の誇りを 傷つけました。 427 00:40:53,330 --> 00:41:01,738 ♬~ 428 00:41:01,738 --> 00:41:05,409 そうですね…。 429 00:41:05,409 --> 00:41:08,078 だとすれば…➡ 430 00:41:08,078 --> 00:41:14,418 なおさら 今の暮らしを 大切にしなければなりません。 431 00:41:14,418 --> 00:41:18,218 そうは思いませんか? 432 00:41:21,291 --> 00:41:24,428 はい。 433 00:41:24,428 --> 00:41:38,928 ♬~ 434 00:41:42,813 --> 00:41:47,751 女房を返してほしけりゃ 四郎兵衛を殺せ。 何!? 435 00:41:47,751 --> 00:41:51,588 元の亭主が まだ 妻敵討ちを たくらんでるんじゃねえのか。 436 00:41:51,588 --> 00:41:55,726 私が オトリになる。 うわ~! 437 00:41:55,726 --> 00:41:59,726 女子を人質にするとは 卑怯千万! 438 00:42:03,900 --> 00:42:15,412 ♬「君のそばにいる」 439 00:42:15,412 --> 00:42:26,423 ♬「君を守って行く」 440 00:42:26,423 --> 00:42:38,035 ♬「悲しみを 消してあげることは 出来ないけど」 441 00:42:38,035 --> 00:42:48,745 ♬「ここからは ふたり 同じ道を行く」 442 00:42:48,745 --> 00:43:00,223 ♬「せめて ひととき」 443 00:43:00,223 --> 00:43:11,401 ♬「風よ やさしく」 444 00:43:11,401 --> 00:43:24,901 ♬「二人 包んで」