1 00:00:05,606 --> 00:00:10,811 今宵 夢の本屋をめぐる冒険にご招待! 2 00:00:15,282 --> 00:00:20,954 世界には 訪れた人に 目くるめく 夢のような時間を与えてくれる➡ 3 00:00:20,954 --> 00:00:24,424 特別な本屋さんがあります。 4 00:00:24,424 --> 00:00:31,798 さあ ご一緒に そんな世界の すてきな書店を旅しましょう。 5 00:00:31,798 --> 00:00:36,270 と ちょっと その前に…。 6 00:00:36,270 --> 00:00:41,174 ここは 日本の 小さな本屋さん。 7 00:00:41,174 --> 00:00:48,382 一見すると普通ですが でも ちょっと変わった本屋さんなんですよ。 8 00:00:56,156 --> 00:00:58,091 こんにちは…。 9 00:00:58,091 --> 00:01:02,296 あら 久しぶりのお客さん。 10 00:01:05,599 --> 00:01:08,602 クビって どういうことですか!? 11 00:01:10,270 --> 00:01:14,107 残念ながら 今回は ご縁がなかったということで。 12 00:01:14,107 --> 00:01:18,979 あのですね 誰が主要業務こなしてきたと 思ってるんですか? 13 00:01:18,979 --> 00:01:23,417 僕がいなくなったら この店回りませんよ。 14 00:01:23,417 --> 00:01:28,221 では バイトさんの より一層のご活躍を お祈りしております。 15 00:01:29,957 --> 00:01:33,460 まあ 理由は 大体想像つきますけど。 16 00:01:36,430 --> 00:01:39,132 店長? フフフ…。 17 00:01:39,132 --> 00:01:41,068 店…。 18 00:01:41,068 --> 00:01:44,271 帰ってきて下さ~い! 19 00:01:47,641 --> 00:01:50,143 ただでさえ 少ないお客さんを➡ 20 00:01:50,143 --> 00:01:54,014 近くに 新しく出来た大型書店に 奪われたからですよね。 21 00:01:54,014 --> 00:01:56,016 あれは カフェ。 22 00:01:56,016 --> 00:01:59,152 いや 本屋ですよ。 カフェ併設の本屋で➡ 23 00:01:59,152 --> 00:02:01,388 本を読みながら カフェで くつろげるってコンセプトの…。 24 00:02:01,388 --> 00:02:03,323 フフッ しょうもない。 25 00:02:03,323 --> 00:02:07,594 店長 卑屈になるのは よくないです。 26 00:02:07,594 --> 00:02:11,398 私が? 卑屈? 何で? 27 00:02:11,398 --> 00:02:16,770 売り上げで負けてるからといって この店が劣ってるってわけじゃないです。 28 00:02:16,770 --> 00:02:21,274 でも 新しい本屋のいいところは 吸収するべきです。 29 00:02:21,274 --> 00:02:24,277 どこがいいの! あんな店! 30 00:02:24,277 --> 00:02:28,415 まあ まあ…。 31 00:02:28,415 --> 00:02:31,284 あそこの客が何読んでるか見たことある? 32 00:02:31,284 --> 00:02:34,121 雑誌 雑誌 雑誌 み~んな雑誌! 33 00:02:34,121 --> 00:02:36,056 コンビニで 立ち読みする代わりに➡ 34 00:02:36,056 --> 00:02:38,625 コーヒー飲みがてら タダで読み放題してるだけ。 35 00:02:38,625 --> 00:02:40,560 行ったんですね。 36 00:02:40,560 --> 00:02:43,797 旅行雑誌 何冊も広げて グループで旅行計画立てるとか➡ 37 00:02:43,797 --> 00:02:45,732 本屋ですること? 38 00:02:45,732 --> 00:02:50,570 あそこは ちょっとオシャレで 知的で充実した気分になれる屋。 39 00:02:50,570 --> 00:02:55,409 店長 こだわりがあるのは 分かりますけどね➡ 40 00:02:55,409 --> 00:03:00,914 せめて もう少し 売れてる本とか ベストセラーの本 置いた方が…。 41 00:03:00,914 --> 00:03:02,849 他人が評価した本なんて いらない。 42 00:03:02,849 --> 00:03:06,586 ここは おばあちゃんが残してくれたお店。 43 00:03:06,586 --> 00:03:10,090 おばあちゃんが いいと思った本。 私が いいと思った本しか置かない。 44 00:03:10,090 --> 00:03:13,126 分からない人は 分からなくて 結構。 45 00:03:13,126 --> 00:03:15,762 潰れたら おしまいですよ。 46 00:03:15,762 --> 00:03:20,100 そのとおり。 だから 経費削減のため クビです。 47 00:03:20,100 --> 00:03:22,135 いや… ですから あ~…➡ 48 00:03:22,135 --> 00:03:25,906 僕がいなくなったら この店は 回らなくなって どの道潰れます! 49 00:03:25,906 --> 00:03:27,841 経営再建の方法を考えましょう。 50 00:03:27,841 --> 00:03:30,744 嫌。 バイトさんとは 本屋に対する価値観が合わない。 51 00:03:30,744 --> 00:03:34,648 僕だって 本が好きなんです。 52 00:03:34,648 --> 00:03:37,651 本屋が潰れるところは 見たくない。 53 00:03:43,790 --> 00:03:50,664 申し遅れました。 私 この店の店長の死んだ祖母です。 54 00:03:50,664 --> 00:03:54,434 孫の麦が 店を継いでくれたんですが➡ 55 00:03:54,434 --> 00:04:00,574 あの子も 私に似て ちょっと ひねくれてるから…。 56 00:04:00,574 --> 00:04:02,876 店長。 57 00:04:08,749 --> 00:04:15,622 居たたまれないので ちょっと助け船 出しましょう。 よっと! 58 00:04:15,622 --> 00:04:18,458 (物音)うわっ! 商品 傷つけた。 クビです。 59 00:04:18,458 --> 00:04:20,460 何もしてませんよ! 60 00:04:24,598 --> 00:04:28,268 うん? 店長 これ 商品じゃないですよ。 61 00:04:28,268 --> 00:04:30,570 何か ノートみたいな…。 62 00:04:33,406 --> 00:04:35,909 あっ おばあちゃんの字だ! 63 00:04:38,945 --> 00:04:42,783 これ おばあちゃんが 世界中の本屋さん 回って書いた記録だよ。 64 00:04:42,783 --> 00:04:46,419 すごい資料じゃないですか。 65 00:04:46,419 --> 00:04:51,925 これ この店の経営再建のヒントに なりませんか? 66 00:05:00,901 --> 00:05:05,705 それでは 夢の本屋へ出かけましょう。 67 00:05:08,074 --> 00:05:14,781 「夢の本屋をめぐる冒険」第一章は フランス・パリの書店を訪ねます。 68 00:05:17,250 --> 00:05:20,754 ここからは 本好きの千葉君 麦ちゃんにも➡ 69 00:05:20,754 --> 00:05:25,258 役を離れて 一緒にVTRを見てもらいましょう。 70 00:05:27,093 --> 00:05:33,099 数多くの芸術家たちに愛される街 パリ。 71 00:05:34,768 --> 00:05:41,575 景色も そこにいる人々も 何もかもが オシャレね~。 72 00:05:44,945 --> 00:05:47,280 だけど ノン ノン! 73 00:05:47,280 --> 00:05:53,787 私が この街にやって来たのは もっと別のお目当てがあったから。 74 00:05:57,791 --> 00:06:05,098 それは ず~っと憧れだった 世界一と うわさされる本屋さん。 75 00:06:10,237 --> 00:06:16,743 ここ ここ! シェイクスピア・アンド・カンパニー。 76 00:06:22,582 --> 00:06:27,087 本屋の中に 一歩足を踏み入れると…。 77 00:06:27,087 --> 00:06:30,790 どう? この雰囲気。 78 00:06:33,760 --> 00:06:41,468 色とりどりの背表紙 時代を感じる本棚や壁…。 79 00:06:44,271 --> 00:06:47,774 100年の歴史を持つ この本屋さん。 80 00:06:47,774 --> 00:06:56,483 1万冊の本が置いてあるんだけど ほとんどが英語の本なんですって。 81 00:06:59,119 --> 00:07:03,323 本好きにとって まさに天国。 82 00:07:10,363 --> 00:07:12,732 いる人たちも オシャレだ。 83 00:07:12,732 --> 00:07:15,635 あっ 猫いるんだ。あっ 猫がいる! すごい! 84 00:07:15,635 --> 00:07:18,071 ♬~ 85 00:07:18,071 --> 00:07:22,742 (2人)えっ!? マジ!? 86 00:07:22,742 --> 00:07:26,379 思い思いに過ごす お客さんたち。 87 00:07:26,379 --> 00:07:30,750 まるで誰かの書斎に お邪魔したみたいね。 88 00:07:30,750 --> 00:07:33,053 フフフフ…。 89 00:07:34,621 --> 00:07:39,759 う~ん…。 確かに。 90 00:07:39,759 --> 00:07:42,262 何か 陳列のしかたも そういう感じ…。ねっ! 91 00:07:42,262 --> 00:07:46,132 家の 本棚みたいな…。 うん。 92 00:07:46,132 --> 00:07:50,136 あ~ そして 外にね…。 うん いいですね。 93 00:07:51,938 --> 00:07:54,841 お店の奥には…。 94 00:07:54,841 --> 00:07:59,612 書店のあちこちに このように タイプライターが置かれたスペースがあって➡ 95 00:07:59,612 --> 00:08:04,351 座って本を読んだり 自由に文章を書いたりできるんです。 96 00:08:04,351 --> 00:08:07,053 しゃれてるわね…。 しゃれてるわね。 97 00:08:07,053 --> 00:08:10,256 一個一個 様になるわね。 98 00:08:11,891 --> 00:08:15,195 そして こちらの本棚は…。 99 00:08:16,763 --> 00:08:19,566 反対側に立っている人が 見えるようにして➡ 100 00:08:19,566 --> 00:08:23,069 互いに コミュニケーションを 取れるようにしています。 101 00:08:23,069 --> 00:08:26,940 空間をつくる場合も そんなロマンチックな面を生かしました。 102 00:08:26,940 --> 00:08:28,942 なるほど! 103 00:08:30,810 --> 00:08:35,582 本を通して 人と人とがつながってほしい。 104 00:08:35,582 --> 00:08:39,786 そんな願いが込められているのね。 105 00:08:43,757 --> 00:08:48,628 週末には こんなイベントも。 106 00:08:48,628 --> 00:08:53,400 お客さん同士が お気に入りの詩を披露し合う➡ 107 00:08:53,400 --> 00:08:55,335 ティーパーティー。 108 00:08:55,335 --> 00:08:58,938 こんなフレンドリーなイベントが しょっちゅうあれば➡ 109 00:08:58,938 --> 00:09:02,709 すてきな出会いも たくさん生まれそう。 110 00:09:02,709 --> 00:09:07,047 パリで過ごした休暇の中で 最高の時間でした。 111 00:09:07,047 --> 00:09:09,349 本当に楽しかったわ。 112 00:09:09,349 --> 00:09:13,553 現在の店主は 三代目。 113 00:09:13,553 --> 00:09:17,891 本がつなぐ出会いを大事にする という精神は➡ 114 00:09:17,891 --> 00:09:21,561 初代から受け継いでいるの。 115 00:09:21,561 --> 00:09:25,532 始まりは 1919年。 116 00:09:25,532 --> 00:09:32,572 アメリカで裕福な牧師の家庭に生まれ パリでフランス文学を勉強していた➡ 117 00:09:32,572 --> 00:09:37,243 シルヴィア・ビーチ。 私の憧れの人。 118 00:09:37,243 --> 00:09:44,584 当時 32歳だった彼女は パリに住む アメリカ人作家を支援したいと➡ 119 00:09:44,584 --> 00:09:47,487 英語専門の本屋を開いたの。 120 00:09:47,487 --> 00:09:51,491 それが シェイクスピア・アンド・カンパニー。 121 00:09:53,259 --> 00:09:55,261 すると シルヴィアの店には➡ 122 00:09:55,261 --> 00:10:03,770 若さと才能を持て余したような 一癖も 二癖もある作家たちが集まった。 123 00:10:05,605 --> 00:10:10,110 「華麗なるギャツビー」で有名な フィッツジェラルドや➡ 124 00:10:10,110 --> 00:10:16,883 後にノーベル文学賞を受賞する ヘミングウェイ。 125 00:10:16,883 --> 00:10:19,419 作家だけじゃない。 126 00:10:19,419 --> 00:10:23,723 写真家のマン・レイも常連だったそう。 127 00:10:26,626 --> 00:10:30,964 時は 第1次世界大戦の直後。 128 00:10:30,964 --> 00:10:35,301 大きな喪失感を抱えた若者の間に➡ 129 00:10:35,301 --> 00:10:38,638 古い価値観を ひっくり返し➡ 130 00:10:38,638 --> 00:10:45,512 新しい文化や芸術を生み出そう という流れが生まれていた。 131 00:10:45,512 --> 00:10:47,814 シルヴィアの本屋は➡ 132 00:10:47,814 --> 00:10:52,652 そんな大人の目からは ちょっと やんちゃに見える➡ 133 00:10:52,652 --> 00:10:56,990 若い芸術家たちを引き寄せたのね。 134 00:10:56,990 --> 00:11:01,961 当時 スッカラカンの貧乏作家だった ヘミングウェイは➡ 135 00:11:01,961 --> 00:11:07,267 シェイクスピア・アンド・カンパニーに 入り浸っていた自分のことを➡ 136 00:11:07,267 --> 00:11:10,570 小説に書いているわ。 137 00:11:31,291 --> 00:11:40,300 シェイクスピア・アンド・カンパニーに 集まった 才能あふれる若き芸術家たち。 138 00:11:40,300 --> 00:11:48,174 その中に もう一人 忘れてはならない人物がいた。 139 00:11:48,174 --> 00:11:53,012 20世紀最高の文豪の一人とも いわれている➡ 140 00:11:53,012 --> 00:11:57,150 アイルランドの作家 ジェイムズ・ジョイス。 141 00:11:57,150 --> 00:12:04,958 彼の代表作「ユリシーズ」は この店と深い関わりがあるの。 142 00:12:04,958 --> 00:12:11,397 この作品は 過激なわいせつ表現が問題になって➡ 143 00:12:11,397 --> 00:12:15,268 アメリカやイギリスで 発売禁止になっていた。 144 00:12:15,268 --> 00:12:20,607 今 読むと それほどでもって感じだけど。 145 00:12:20,607 --> 00:12:26,279 そこに救いの手を差し伸べたのが シルヴィアだった。 146 00:12:26,279 --> 00:12:30,984 なんと貴重な肉声が残っているの。 147 00:12:53,973 --> 00:12:59,145 こうして 今では 20世紀を代表する小説といわれる➡ 148 00:12:59,145 --> 00:13:02,115 「ユリシーズ」を世に送り出し➡ 149 00:13:02,115 --> 00:13:09,589 このパリの小さな本屋の名は 世界中に知れ渡るようになったの。 150 00:13:09,589 --> 00:13:17,764 新しい時代の表現に挑んでいた そうそうたる顔ぶれの若き芸術家たち。 151 00:13:17,764 --> 00:13:25,271 そんな彼らの心のよりどころ シェイクスピア・アンド・カンパニー。 152 00:13:25,271 --> 00:13:29,776 しかし 夢のような時間は 長くは続かない。 153 00:13:29,776 --> 00:13:33,646 そう ナチスが侵攻してきたの。 154 00:13:33,646 --> 00:13:41,454 第2次世界大戦で とうとう パリまでもが占領された。 155 00:13:43,289 --> 00:13:49,095 そして 1941年 シェイクスピア・アンド・カンパニーも➡ 156 00:13:49,095 --> 00:13:52,632 閉店を余儀なくされたの。 157 00:13:52,632 --> 00:13:56,302 一旦は途絶えた この本屋の歴史。 158 00:13:56,302 --> 00:13:59,639 でも 跡を継ぐ者が現れる。 159 00:13:59,639 --> 00:14:05,345 やがて 二代目店主となる ジョージ・ホイットマン。 160 00:14:07,246 --> 00:14:13,586 アメリカの退役軍人だった彼は 軍が放出した本などを元手に➡ 161 00:14:13,586 --> 00:14:22,095 1951年 パリに ル・ミストラルという 書店を開いたの。 162 00:14:22,095 --> 00:14:27,400 すると そこに常連として やって来るようになったのが➡ 163 00:14:27,400 --> 00:14:29,469 あのシルヴィア・ビーチ。 164 00:14:29,469 --> 00:14:33,272 2人は 意気投合! 165 00:14:33,272 --> 00:14:35,775 ご縁だね。 166 00:14:35,775 --> 00:14:38,678 そして シルヴィアが亡くなる時➡ 167 00:14:38,678 --> 00:14:45,284 彼女は 自分の本や遺品の全てを ジョージに譲り渡した。 168 00:14:45,284 --> 00:14:48,955 その中には シェイクスピア・アンド・カンパニー➡ 169 00:14:48,955 --> 00:14:53,626 という店の名前も…。 170 00:14:53,626 --> 00:14:57,497 本屋の歴史を受け継いだジョージ。 171 00:14:57,497 --> 00:15:01,434 初代店主 シルヴィアへの敬意を込めて➡ 172 00:15:01,434 --> 00:15:08,141 自分の娘にも シルヴィアという名前を付けたの。 173 00:15:08,141 --> 00:15:11,744 そう 現在 シェイクスピア・アンド・カンパニーの➡ 174 00:15:11,744 --> 00:15:16,249 看板を守り続けている 三代目店主こそが➡ 175 00:15:16,249 --> 00:15:20,586 ジョージの娘 シルヴィア・ホイットマン。 176 00:15:20,586 --> 00:15:24,757 父は 1964年 本屋の名前を➡ 177 00:15:24,757 --> 00:15:28,594 シェイクスピア・アンド・カンパニーに 変えました。 178 00:15:28,594 --> 00:15:31,097 父は シルヴィア・ビーチから➡ 179 00:15:31,097 --> 00:15:34,600 書店運営のアドバイスを 受けていたんです。 180 00:15:34,600 --> 00:15:36,536 本屋を開くと すぐに➡ 181 00:15:36,536 --> 00:15:40,273 パリに住む英語圏の作家たちが 集まってきました。 182 00:15:40,273 --> 00:15:43,176 ジェームズ・ボールドウィンや➡ 183 00:15:43,176 --> 00:15:46,612 ヘンリー・ミラー➡ 184 00:15:46,612 --> 00:15:51,484 アレン・ギンズバーグなども 常連だったんですよ。 185 00:15:51,484 --> 00:15:54,487 初代 シルヴィアから ジョージへ。 186 00:15:54,487 --> 00:15:59,625 そして ジョージから 現店主のシルヴィアへ。 187 00:15:59,625 --> 00:16:04,630 受け継がれる シェイクスピア・アンド・カンパニーの精神。 188 00:16:06,232 --> 00:16:10,903 本がつなぐ 人と人との出会いを大切に➡ 189 00:16:10,903 --> 00:16:16,776 文化や芸術が輝き続ける 掛けがえのない場所。 190 00:16:16,776 --> 00:16:20,580 先人たちの思いの詰まった本屋は➡ 191 00:16:20,580 --> 00:16:28,287 今日も セーヌ川のほとりで 世界中からの訪問客を待っているわ。 192 00:16:31,924 --> 00:16:34,760 純粋に行ってみたいなって…。 193 00:16:34,760 --> 00:16:39,265 ねえ すてきな…。 すてきな場所だし➡ 194 00:16:39,265 --> 00:16:42,602 本当に 何か 空間っていうか 流れてる空気も➡ 195 00:16:42,602 --> 00:16:49,775 ちょっと こう 普通の本屋さんとは 違う感じがしましたね。 196 00:16:49,775 --> 00:16:54,947 何か 日本の本屋さんは 何だろう… 全部 一概には言えないけど➡ 197 00:16:54,947 --> 00:16:58,618 静かにしなきゃいけない場所 っていう印象が強いじゃない? 198 00:16:58,618 --> 00:17:03,055 でも きっと 何か そういう感じとは また ちょっと違って➡ 199 00:17:03,055 --> 00:17:06,559 誰かが タイプライター たたいてる音だったりとか➡ 200 00:17:06,559 --> 00:17:08,895 あと ピアノ弾いてる人だったりとか➡ 201 00:17:08,895 --> 00:17:17,570 何か すごく あったかそうな場所だな っていうふうに思いました。 202 00:17:17,570 --> 00:17:20,239 何か 生活の一部みたいな感じ…。 203 00:17:20,239 --> 00:17:22,575 だって こう 何て言うんだろう…➡ 204 00:17:22,575 --> 00:17:25,912 本屋さんの造りもさ まあ 日本でも もう そういう所あるけどさ➡ 205 00:17:25,912 --> 00:17:30,249 何か こう 棚の向こう側で 読んでる人と➡ 206 00:17:30,249 --> 00:17:32,752 コミュニケーション交わせるとかさ➡ 207 00:17:32,752 --> 00:17:37,089 何か 一つ一つが もう すごい ぬくもりを感じるよね。 208 00:17:37,089 --> 00:17:39,592 すごく だから 顔が見える造りだよね。 209 00:17:39,592 --> 00:17:42,628 見えるお客さん同士の…。 ねえ オシャレだよね。 210 00:17:42,628 --> 00:17:44,764 だって こう 階段のところのさ➡ 211 00:17:44,764 --> 00:17:47,600 斜めのところにも ちゃんと本が入っててさ➡ 212 00:17:47,600 --> 00:17:49,535 いや 本当 すてき。 213 00:17:49,535 --> 00:17:52,271 初代のシルヴィアさんから どんどん継承されて➡ 214 00:17:52,271 --> 00:17:54,607 今の三代目の方につながった あのエピソード…➡ 215 00:17:54,607 --> 00:17:57,276 結構 何か 感動した…。 ねえ グッと来ました。 216 00:17:57,276 --> 00:17:59,211 鳥肌が…。 ねえ。 217 00:17:59,211 --> 00:18:04,884 本を伝えたいっていう人の思いが あの店もつないでいって お店も。 218 00:18:04,884 --> 00:18:07,553 そして きっと また ねえ 四代目 五代目って➡ 219 00:18:07,553 --> 00:18:11,057 どんどん これからも 続いていくんだろうなっていう感じが➡ 220 00:18:11,057 --> 00:18:13,059 しますね。 221 00:18:18,731 --> 00:18:21,367 すてきだね。 222 00:18:21,367 --> 00:18:27,173 私も でも 学生の頃は 本当に もう 毎日といってもいいぐらいに➡ 223 00:18:27,173 --> 00:18:30,109 時間が余ったら 本屋に行ってた。 224 00:18:30,109 --> 00:18:35,247 何か 学校から帰ってきて 次の用事まで 例えば 1時間半あるとか。 225 00:18:35,247 --> 00:18:39,118 そうすると カフェとかじゃなくて 本屋に行くみたいな。 226 00:18:39,118 --> 00:18:42,588 で ずっと… そんなお金もなかったし➡ 227 00:18:42,588 --> 00:18:46,926 古本屋さんとかだったら 立ち読みとかしたりとか➡ 228 00:18:46,926 --> 00:18:48,861 本当にしょっちゅう行ってました 本屋に。 229 00:18:48,861 --> 00:18:54,600 大学通ってたんだけど その時に 文学研究みたいな授業が好きで➡ 230 00:18:54,600 --> 00:18:58,771 一人の… 例えば 僕は 芥川龍之介とかをやってたんだけど➡ 231 00:18:58,771 --> 00:19:01,207 その人の作品を 本当に深くまで掘り下げて➡ 232 00:19:01,207 --> 00:19:06,078 その時 芥川龍之介が 何があったのかとか バックグラウンドも含めて➡ 233 00:19:06,078 --> 00:19:08,547 その作品を読み解くみたいなとこが…➡ 234 00:19:08,547 --> 00:19:16,889 そういう授業取ってた時は よく本当に 書店に足しげく通ってたかな。 235 00:19:16,889 --> 00:19:23,562 思い返すと 何か こう… もちろん 授業があったっていうのもあるけど➡ 236 00:19:23,562 --> 00:19:27,066 それ以外にも 何か こう もんもんとすることが多くて➡ 237 00:19:27,066 --> 00:19:29,001 何か それを 例えば 音楽とかでも➡ 238 00:19:29,001 --> 00:19:31,370 結構 解消できてたりする部分って あったんだけど➡ 239 00:19:31,370 --> 00:19:35,574 そのほかに やっぱ 文章っていうのは 自分の中で結構大きかったなと思って➡ 240 00:19:35,574 --> 00:19:40,246 例えば その 音楽を聴いてた そのアーティストが➡ 241 00:19:40,246 --> 00:19:43,149 影響受けた小説だったりとか…➡ 242 00:19:43,149 --> 00:19:45,584 銀杏BOYZがすごい好きで➡ 243 00:19:45,584 --> 00:19:47,620 その歌詞とかに 大槻ケンヂさんの➡ 244 00:19:47,620 --> 00:19:49,755 「グミ・チョコレート・パイン」っていうの 出てきたりとかして➡ 245 00:19:49,755 --> 00:19:51,791 それで読んだりとかしたから➡ 246 00:19:51,791 --> 00:19:57,096 何か そういう 自分のもやもやしたのを 言葉にできないことを➡ 247 00:19:57,096 --> 00:20:00,132 言葉に代わりにしてくれてる人がいる 本を見つけるっていうのは➡ 248 00:20:00,132 --> 00:20:03,602 結構 そういう場所だったかな 本屋さんっていうのは…。 249 00:20:03,602 --> 00:20:06,272 それは すっごいよく分かるかも。 250 00:20:06,272 --> 00:20:09,942 私も まず活字中毒だったから➡ 251 00:20:09,942 --> 00:20:14,814 字がある場所に囲まれるっていうことが すごく自分にとって落ち着く環境で➡ 252 00:20:14,814 --> 00:20:18,951 プラス やっぱり まだ形容しきれてない➡ 253 00:20:18,951 --> 00:20:23,289 言葉では形容しきれない気持ちとかって➡ 254 00:20:23,289 --> 00:20:26,192 やっぱ 思春期の学生の頃とかは すごいあるけど➡ 255 00:20:26,192 --> 00:20:28,961 何て言ったらいいか分かんない この気持ちっていうのを➡ 256 00:20:28,961 --> 00:20:31,864 でも 何か 本とかで見ると 「これだ!」みたいな。 257 00:20:31,864 --> 00:20:35,301 「いっつも これ何だろうと思ってたの これだった!」みたいな➡ 258 00:20:35,301 --> 00:20:38,637 あるじゃない? 何か。 そういうの やっぱ 強烈に残ってるし➡ 259 00:20:38,637 --> 00:20:43,642 やっぱ そういうのを探しに 私も本屋に通ってたかな。 260 00:20:52,651 --> 00:20:56,655 パリっ子って 本当に本が好き。 261 00:20:58,524 --> 00:21:04,530 そのことは パリの街を歩いてみるとよく分かるわ。 262 00:21:06,198 --> 00:21:09,101 セーヌ川のほとりには➡ 263 00:21:09,101 --> 00:21:13,606 屋台のような小さな本屋が ずら~り並んでいる。 264 00:21:13,606 --> 00:21:17,610 その距離 およそ3キロ。 265 00:21:20,279 --> 00:21:27,586 人々は まるで宝探しをするように いくつもの本屋をめぐるのよ。 266 00:21:29,288 --> 00:21:36,996 そして パリの路地でも 個性的な本屋に たくさん出会うことができる。 267 00:21:39,632 --> 00:21:43,969 こちら オーギュスト・ブレゾ。 268 00:21:43,969 --> 00:21:50,976 1840年代から続く 老舗中の老舗。 269 00:21:57,516 --> 00:22:01,520 まあ… 隠し扉!? 270 00:22:04,590 --> 00:22:10,095 階段を下りると 一般の人が立ち入ることのできない➡ 271 00:22:10,095 --> 00:22:13,599 秘密の書庫があって…。 272 00:22:15,267 --> 00:22:21,073 そこには 19世紀のフランス人作家の初版本や➡ 273 00:22:21,073 --> 00:22:24,610 20世紀初頭のアート本など➡ 274 00:22:24,610 --> 00:22:30,316 貴重な本たちが 完璧な状態で保管されているの。 275 00:22:31,951 --> 00:22:39,625 なんと 200年たっても変わらない状態を 保つんだって。 276 00:22:39,625 --> 00:22:45,631 一方 こちらは ヴィオレット・アンド・コ書店。 277 00:22:47,299 --> 00:22:56,308 この本屋で扱っているのは ある特定のコンセプトに基づいた本だけ。 278 00:22:56,308 --> 00:23:00,579 レズビアン ゲイ バイセクシャル➡ 279 00:23:00,579 --> 00:23:06,452 トランスジェンダーなど LGBTや フェミニズムが➡ 280 00:23:06,452 --> 00:23:09,755 テーマの本が置いてあるの。 281 00:23:12,591 --> 00:23:17,930 こんな こだわりのお店もあるのね。 282 00:23:17,930 --> 00:23:24,937 こうした個性的な本屋さんが 街じゅうにあふれているのよ。 283 00:23:27,940 --> 00:23:32,278 そんなパリで 100年の歴史を刻んできた➡ 284 00:23:32,278 --> 00:23:35,581 シェイクスピア・アンド・カンパニー。 285 00:23:39,618 --> 00:23:43,956 ここには ほかの本屋ではあまり見られない➡ 286 00:23:43,956 --> 00:23:47,626 変わったスタッフたちがいるの。 287 00:23:47,626 --> 00:23:51,630 その名は タンブルウィード。 288 00:24:01,573 --> 00:24:04,243 彼の名前は ニック。 289 00:24:04,243 --> 00:24:11,116 アメリカ人の作家の卵で 大学を卒業して すぐ この本屋にやって来た。 290 00:24:11,116 --> 00:24:14,820 彼もタンブルウィードの一人。 291 00:24:16,588 --> 00:24:21,460 タンブルウィードは 無給でお店を手伝うの。 292 00:24:21,460 --> 00:24:27,933 そのかわりに 歴史ある この本屋で 自由に読書を楽しみ➡ 293 00:24:27,933 --> 00:24:31,236 文章を書くことができる。 294 00:24:34,807 --> 00:24:39,545 そして みんなで 家族のように寝食を共にする。 295 00:24:39,545 --> 00:24:46,285 このように お金のない作家や詩人たちに 生活の場を提供することが➡ 296 00:24:46,285 --> 00:24:49,988 この本屋の伝統になっているの。 297 00:24:51,623 --> 00:24:54,126 作家を目指す人間にとって➡ 298 00:24:54,126 --> 00:24:58,630 ここは 最高のインスピレーションが 得られる場所ですね。 299 00:24:58,630 --> 00:25:04,236 ものすごい数の貴重な本と 一緒に過ごすことができるんですから。 300 00:25:04,236 --> 00:25:12,444 しかも パリの歴史的な場所に タダで滞在できるなんて本当に幸せです。 301 00:25:14,880 --> 00:25:23,255 タンブルウィードというのは 風に吹かれて転がる 乾いた草のこと。 302 00:25:23,255 --> 00:25:32,264 チャンスの風を求め 放浪する若者に ぴったりだと名付けられたそう。 303 00:25:32,264 --> 00:25:37,136 二代目店主のジョージが始めた タンブルウィード。 304 00:25:37,136 --> 00:25:42,274 あることがきっかけで ユニークなルールが生まれたの。 305 00:25:42,274 --> 00:25:48,614 1960年代後半 ベトナム戦争が激化すると➡ 306 00:25:48,614 --> 00:25:54,620 パリの学生たちは 反戦運動の先頭に立つようになった。 307 00:25:56,288 --> 00:25:58,624 警察に追われる学生たちを➡ 308 00:25:58,624 --> 00:26:03,629 ジョージは本屋の中に かくまうことにした。 309 00:26:05,898 --> 00:26:10,769 当然 警察は 本屋で寝起きする若者たちの素性を➡ 310 00:26:10,769 --> 00:26:13,472 厳しく問い詰めてくる。 311 00:26:15,574 --> 00:26:19,445 どうすれば彼らを守れるか…。 312 00:26:19,445 --> 00:26:23,916 悩んでいたジョージに名案がひらめいた。 313 00:26:23,916 --> 00:26:29,788 若者たちに 本屋に来るまでの経緯を エッセーにして書かせたの。 314 00:26:29,788 --> 00:26:33,926 彼らを反体制の学生ではなく➡ 315 00:26:33,926 --> 00:26:38,597 作家の卵だと カモフラージュするためにね。 316 00:26:38,597 --> 00:26:42,267 やがて この店で寝泊まりする人は➡ 317 00:26:42,267 --> 00:26:48,140 自分についての文章を残すということが ルールになったのよ。 318 00:26:48,140 --> 00:26:52,611 これまで なんと6万人以上の人たちが➡ 319 00:26:52,611 --> 00:26:58,484 この店でタンブルウィードとして 過ごしたんだって。 320 00:26:58,484 --> 00:27:03,555 タンブルウィードは このお店の大切なメンバーです。 321 00:27:03,555 --> 00:27:11,230 今の時代 人々は 見知らぬ人を恐れているように思います。 322 00:27:11,230 --> 00:27:14,900 移民や難民の問題に触れると➡ 323 00:27:14,900 --> 00:27:20,772 コミュニケーションの大切さに 気付かされますね。 324 00:27:20,772 --> 00:27:25,611 この本屋では タンブルウィードや 本を通じて生まれる➡ 325 00:27:25,611 --> 00:27:30,249 見知らぬ人との交流を 大事にしてるんです。 326 00:27:30,249 --> 00:27:37,122 そうそう 本屋の壁には こんな言葉が書き記してあるの。 327 00:27:37,122 --> 00:27:40,893 「見知らぬ人に 不親切にしてはいけません。➡ 328 00:27:40,893 --> 00:27:45,797 彼らは人間のふりをした 天使かもしれないから」。 329 00:27:45,797 --> 00:27:49,501 父が 昔 書いた言葉です。 330 00:27:51,270 --> 00:27:55,274 味わいある言葉ね。 331 00:27:57,943 --> 00:28:04,750 本がつなぐ 人と人との出会いを 何よりも大切にする精神。 332 00:28:04,750 --> 00:28:10,889 それが この店を 世界一と呼ばれる本屋にしたのね。 333 00:28:10,889 --> 00:28:18,897 その精神は これからも変わらず 受け継がれていくことでしょう。 334 00:28:21,533 --> 00:28:24,436 はあ… すてき。 335 00:28:24,436 --> 00:28:28,440 いつか行ってみたいなあ。 336 00:28:36,915 --> 00:28:40,252 どの本屋も個性豊かで すばらしいですね。 337 00:28:40,252 --> 00:28:43,922 そう! このお店も 個性があるから すばらしいの。 338 00:28:43,922 --> 00:28:46,592 分かってくれた? んっ? あっ… はい? 339 00:28:46,592 --> 00:28:49,928 だから バイトさん。 悪いけど やっぱり クビね。 340 00:28:49,928 --> 00:28:52,264 ちょっと待って下さいよ~。 341 00:28:52,264 --> 00:28:54,199 おばあちゃん ありがとう。 342 00:28:54,199 --> 00:28:59,137 ど… どういたしまして。 343 00:28:59,137 --> 00:29:01,940 いや こういう展開になると 思わなかったな。 344 00:29:01,940 --> 00:29:04,543 何の話? いや だって さっき何か こう➡ 345 00:29:04,543 --> 00:29:07,446 キラキラ ねえ ねえ みたいな やったじゃないですか 何か。 346 00:29:07,446 --> 00:29:09,414 うん だから 決意が固まったの この本のおかげで。 347 00:29:09,414 --> 00:29:13,552 やっぱり あなたはクビ。 はあ…。 348 00:29:13,552 --> 00:29:15,487 おばあ様 どう思います? 349 00:29:15,487 --> 00:29:17,889 (おばあちゃんのものまねで) うん 私も賛成よ。 350 00:29:17,889 --> 00:29:24,229 世界中に本があり 世界中に本屋はある。 351 00:29:24,229 --> 00:29:26,932 おばあちゃん そんなしゃべり方 じゃなかった。 すいません。 352 00:29:28,567 --> 00:29:37,909 夢の本屋をめぐる冒険は 世界に本屋がある限り続きます。 353 00:29:37,909 --> 00:29:42,214 ♬~