1 00:00:05,138 --> 00:00:07,407 <お染と弥六。➡ 2 00:00:07,407 --> 00:00:10,944 2人が許されぬ恋に 命を落としてから 百年後。➡ 3 00:00:10,944 --> 00:00:17,117 幽霊となった お染は 幕末の江戸で ついに 弥六を捜し当てた。➡ 4 00:00:17,117 --> 00:00:20,420 あの世の女と この世の男。➡ 5 00:00:20,420 --> 00:00:23,323 2人が始めた 不思議な商売とは…> 6 00:00:23,323 --> 00:00:25,292 (お染)商売…? (弥六)「ゆうれい貸します」。 7 00:00:25,292 --> 00:00:28,295 まともじゃ 太刀打ちできねえが どうしても 恨みを晴らしてえ奴➡ 8 00:00:28,295 --> 00:00:31,632 脅してえ奴 そういう人間を 幽霊で懲らしめてやるんだ。 9 00:00:31,632 --> 00:00:36,303 <今日も誰かが 幽霊を借りにやって来る> 10 00:00:36,303 --> 00:00:50,317 ♬~ (テーマ音楽) 11 00:00:54,688 --> 00:00:57,691 (市太郎)父上 どちらへ? 決まってるじゃないか。 12 00:00:57,691 --> 00:01:02,396 店を開ける時分ですよ。 お客様が いらっしゃったら どうするんです? 13 00:01:02,396 --> 00:01:05,933 お前がいるじゃねえか。 男の子だったら しっかりやれ。 14 00:01:05,933 --> 00:01:09,770 父上…。 15 00:01:09,770 --> 00:01:12,806 お前が戻ったら 少しは変わると思ったんだけどな。 16 00:01:12,806 --> 00:01:15,642 あれが あの人の生まれ変わりとはね…。 17 00:01:15,642 --> 00:01:18,278 百年前とは まるっきり変わっちまったようだ。 18 00:01:18,278 --> 00:01:21,615 どう変わったんです? 変わってねえ。 19 00:01:21,615 --> 00:01:25,285 わしは それが情けない。 20 00:01:25,285 --> 00:01:27,788 あの…。 21 00:01:27,788 --> 00:01:30,123 聞いたよ 弥六さん。 22 00:01:30,123 --> 00:01:34,294 近頃 夜になると 妙ちくりんな 看板出してるんだって? 23 00:01:34,294 --> 00:01:38,298 妙ちくりんとは 言ってくれるじゃねえか。 まあ 確かに 普通じゃねえけどな➡ 24 00:01:38,298 --> 00:01:41,168 こちとら 大真面目だよ。 困ってる人がいたらな➡ 25 00:01:41,168 --> 00:01:43,971 おいらに教えてやってくれよ。 そいつは もうかんのかい? 26 00:01:43,971 --> 00:01:47,441 あたぼうよ。 忙しくて 忙しくて。 27 00:01:47,441 --> 00:01:50,143 (伊助)忙しい人間が 何で こんなとこで飲んでるんだい? 28 00:01:50,143 --> 00:01:53,046 違えねえ 違えねえ。 俺はな 仕事してるんだ。 29 00:01:53,046 --> 00:01:56,316 飲むのも仕事のうちだ。 ハハハ。 そりゃあ いい仕事だ。 30 00:01:56,316 --> 00:02:00,253 俺も その仕事してえな~! 31 00:02:00,253 --> 00:02:06,126 こうやって飲みながらな 噂を広めて 客を集めようと頑張ってるんだよ。 32 00:02:06,126 --> 00:02:09,396 父上 お客様ですよ。 ほら来た。 33 00:02:09,396 --> 00:02:13,200 おお~。 いらっしゃい… ませ。 34 00:02:16,269 --> 00:02:18,605 ⚟ありがとうございました。 35 00:02:18,605 --> 00:02:24,778 すいませんね こんなところで。 (千代)あの… 本当に幽霊を? 36 00:02:24,778 --> 00:02:27,414 はい 本当に。 飛びっ切り怖い幽霊が➡ 37 00:02:27,414 --> 00:02:32,119 あなたの代わりに恨みを晴らしますから。 フッ… え~っと…。 38 00:02:32,119 --> 00:02:34,054 千代と申します。 39 00:02:34,054 --> 00:02:37,924 …で お千代様が晴らしたい恨みとは どんな? 40 00:02:37,924 --> 00:02:41,428 うちの主人を 怖がらせてほしいのです。 41 00:02:41,428 --> 00:02:43,363 ご主人を? はい。 42 00:02:43,363 --> 00:02:46,800 主人は 久坂真之介と申します。 43 00:02:46,800 --> 00:02:52,439 上総東金 中山家江戸屋敷で 勘定役を務めております。 44 00:02:52,439 --> 00:02:54,975 ご新造さんが ご亭主をねえ。 45 00:02:54,975 --> 00:03:00,747 実は 主人のもとへ果たし状が参りました。 果たし状? 46 00:03:00,747 --> 00:03:03,383 主人は 私には 何も申しませんが➡ 47 00:03:03,383 --> 00:03:06,086 偶然 見てしまったのです。 48 00:03:06,086 --> 00:03:08,755 誰かに 恨まれるようなことでも したんですかい? 49 00:03:08,755 --> 00:03:11,792 主人は 人から恨みを買うような人では ありません。 50 00:03:11,792 --> 00:03:14,928 勝手な言いがかりなのです。 51 00:03:14,928 --> 00:03:18,598  回想  (源八郎)お主 俺を見て笑っただろ! 52 00:03:18,598 --> 00:03:21,101 (真之介)あなたのことを笑ったのでは…。 いいや 笑った! 53 00:03:21,101 --> 00:03:24,004 確かに笑った。 違う 勘違いです。 54 00:03:24,004 --> 00:03:27,974 ごまかされんぞ! 拙者 藤代源八郎だ。 55 00:03:27,974 --> 00:03:30,777 表へ出て 正々堂々と 勝負しろ。 56 00:03:30,777 --> 00:03:33,613 そりゃ 迷惑な話だねえ。 57 00:03:33,613 --> 00:03:36,516 それからというもの 主人は➡ 58 00:03:36,516 --> 00:03:41,488 皆から 腰抜けと呼ばれております。 59 00:03:41,488 --> 00:03:43,690 腰抜け…? 60 00:03:45,292 --> 00:03:48,428 藤代源八郎から 言いがかりを つけられた時に➡ 61 00:03:48,428 --> 00:03:54,801 立ち会わずに その場を立ち去ったため そう呼ばれるようになったそうです。 62 00:03:54,801 --> 00:03:58,672 …で ご主人は この… こっちの方は? 63 00:03:58,672 --> 00:04:01,374 ははあ… まるっきり駄目? 64 00:04:01,374 --> 00:04:06,580 そこそこです。 相手の藤代源八郎が 強いらしいのです。 65 00:04:06,580 --> 00:04:12,919 以前 仕えていたお家では 剣術の師範だったとか…。 66 00:04:12,919 --> 00:04:16,790 はあはあ はあはあ… なるほどね。 67 00:04:16,790 --> 00:04:19,092 ええ~ わかりました。 そういうことならね➡ 68 00:04:19,092 --> 00:04:21,128 ええ お引き受けいたしましょう。 本当に!? 69 00:04:21,128 --> 00:04:24,898 皆まで言わずとも 結構…。 ヘヘヘヘヘ…。 70 00:04:24,898 --> 00:04:27,601 うん? うわ! 脅かすんじゃねえよ! 71 00:04:27,601 --> 00:04:30,103 脅かさないのですか? いやいや…➡ 72 00:04:30,103 --> 00:04:33,974 脅かしますよ。 脅かします。 千代さんの気持ちは よ~くわかってます。 73 00:04:33,974 --> 00:04:36,276 何が 「よ~くわかってます」よ! 74 00:04:36,276 --> 00:04:40,147 だから お前 腰抜け旦那のケツを叩いて…。 75 00:04:40,147 --> 00:04:44,618 腰抜けのご主人が逃げ出さないように 脅かせばいいんですよね。 76 00:04:44,618 --> 00:04:47,120 ああ 武士たる者 逃げたりしたら お家の恥。 77 00:04:47,120 --> 00:04:51,992 違います。 逆です。 主人を止めてほしいのです。 78 00:04:51,992 --> 00:04:54,795 ほ~ら ご覧。 全然 わかってないじゃないの。 79 00:04:54,795 --> 00:04:56,730 横やり入れるなよ! 80 00:04:56,730 --> 00:04:58,665 横やりなんかじゃありません! 81 00:04:58,665 --> 00:05:02,536 主人の仕える中山家では 私闘を 固く禁じられております。 82 00:05:02,536 --> 00:05:08,441 もし 受けてしまったら たとえ 主人が 藤代源八郎を倒したとしても切腹です。 83 00:05:08,441 --> 00:05:11,912 なるほど。 それで 腰抜けを止めようとね。 84 00:05:11,912 --> 00:05:15,382 いたんですか? あっ 私にも 一杯おくれよ。 85 00:05:15,382 --> 00:05:19,252 お足 あるんですか? 幽霊だから お足は ありません。 86 00:05:19,252 --> 00:05:21,188 お前 払えよ。 87 00:05:21,188 --> 00:05:24,090 わかりました…。 いやいや…➡ 88 00:05:24,090 --> 00:05:26,026 いやいや 千代さん そうじゃなくて…。 89 00:05:26,026 --> 00:05:28,261 依頼の代金は ちゃんと頂くんだ。 90 00:05:28,261 --> 00:05:33,400 ここは お近づきのしるしに 俺に ごちそうさせてくださいよ。 ねっ フフ…。 91 00:05:33,400 --> 00:05:38,104 何だい あの にやけた顔は! 鼻の下 こ~んなに伸ばしちゃってさ。 92 00:05:38,104 --> 00:05:43,610 ご依頼を承ってただけだろ。 はは~ん お前 妬いてるんだな。 ヘヘ…。 93 00:05:43,610 --> 00:05:46,112 大体 おかしいよ。 立ち会わせたくないんなら➡ 94 00:05:46,112 --> 00:05:48,048 相手の方を脅せば済むんじゃないの。 95 00:05:48,048 --> 00:05:50,617 聞いてただろ? 相手が おびえても➡ 96 00:05:50,617 --> 00:05:53,286 真之介さんが立ち会ったら 切腹なんだよ。 97 00:05:53,286 --> 00:05:57,157 でもさ 何か 弱い方を脅かすってのがさ…。 98 00:05:57,157 --> 00:05:59,960 お千代さんとしては 相手を脅すのは➡ 99 00:05:59,960 --> 00:06:02,362 いくら何でも卑怯だと 思ったんじゃないのかな。 100 00:06:02,362 --> 00:06:04,898 へえ~ 千代さんが そう言ったの いつ? 101 00:06:04,898 --> 00:06:07,934 いやいや それは… まあ 何となくわかるっていうか。 102 00:06:07,934 --> 00:06:10,770 ああ そうですか。 よ~く お気持ちがわかりますこと。 103 00:06:10,770 --> 00:06:13,907 何だよ。 言いたいことがあるなら はっきり言えよ! 104 00:06:13,907 --> 00:06:18,078 2人とも やめてください。 とにかく お客様がいらして➡ 105 00:06:18,078 --> 00:06:20,580 父上は それを引き受けたのですから。 106 00:06:20,580 --> 00:06:23,483 きちんと お依頼の儀 果たしませんと。 107 00:06:23,483 --> 00:06:27,454 おうよ。 引き受けたからには やり遂げなきゃな。 なあ? 108 00:06:27,454 --> 00:06:29,589 気に食わない。 109 00:06:29,589 --> 00:06:32,092 私は 嫌だよ。 また そんな…。 110 00:06:32,092 --> 00:06:35,595 みつ。 みつ いるかい? みつ? 111 00:06:37,264 --> 00:06:39,199 だ… 誰だ!? 112 00:06:39,199 --> 00:06:41,268 (おみつ)みつでございます。 113 00:06:41,268 --> 00:06:44,771 お染姐さんには 死後 いろいろと お世話になっております。 114 00:06:44,771 --> 00:06:48,942 こんばんは 市太郎さん。 こ… こんばんは。 115 00:06:48,942 --> 00:06:52,779 お前さんも 何だ その… あの 幽霊? 116 00:06:52,779 --> 00:06:54,714 はい。 何だよ お前➡ 117 00:06:54,714 --> 00:06:59,953 早く紹介してくれりゃいいのによ。 みつ 私の代わりに化けて出ておくれよ。 118 00:06:59,953 --> 00:07:03,723 う~ん… でも 脅せるのかい? 待ってました。 119 00:07:03,723 --> 00:07:06,359 色仕掛けで やめさせますか? 120 00:07:06,359 --> 00:07:11,564 かえって喜ばねえか? ⚟(お絹)それ 私が やる。 121 00:07:11,564 --> 00:07:13,600 おっ母さん…。 後から後から…。 122 00:07:13,600 --> 00:07:17,904 この依頼 私が やってあげるよ。 いいだろ?え~ それは 今 私が…! 123 00:07:17,904 --> 00:07:21,241 いいね!? はい。 お願いいたします。 124 00:07:21,241 --> 00:07:23,176 ちょっと 待ってくれよ。 125 00:07:23,176 --> 00:07:25,745 いくら腰抜けだからって 手抜きはいけねえぜ。 126 00:07:25,745 --> 00:07:28,081 第一 その年で…。 そ… その年!? 127 00:07:28,081 --> 00:07:30,016 いやいや… それは あの~ 言葉の何とやらで…。 128 00:07:30,016 --> 00:07:33,253 黙らっしゃい! 私じゃ 不足だってのかい! 129 00:07:33,253 --> 00:07:36,756 いえ もう 是非 よろしく お願いいたしますです。 130 00:07:36,756 --> 00:07:40,093 (お勘)やっぱり ありゃ変だよ。 独り言 言ってたと思ったら➡ 131 00:07:40,093 --> 00:07:43,396 今度は 頭下げてるよ。 おっ母 いいかげんにしねえか! 132 00:07:43,396 --> 00:07:47,267 ちょ… ちょ… お前も のぞいてごらん。 いいよ…。のぞいてごらん! 133 00:07:47,267 --> 00:07:51,271 まあ 任せておきなって。 134 00:07:56,609 --> 00:07:58,611 何…? 135 00:08:03,216 --> 00:08:05,919 わかったよ もう。 136 00:08:08,054 --> 00:08:11,758 ほら… 自分だって 心配なんじゃねえか…。 137 00:08:16,563 --> 00:08:18,498 みっちゃん ヘヘヘヘ…。 138 00:08:18,498 --> 00:08:23,203 お近づきのしるしに 一杯 どう? ねっ いける?信じらんない…。 139 00:08:25,238 --> 00:08:29,242 父上…! 何だい? 140 00:08:30,910 --> 00:08:32,846 (和馬)母上 まだ よいでしょ? 141 00:08:32,846 --> 00:08:35,081 (千代)父上に言いつけますよ。 はい。 142 00:08:35,081 --> 00:08:37,584 何か お話をしてください。 143 00:08:37,584 --> 00:08:40,086 はいはい。 144 00:08:40,086 --> 00:08:43,590 うらやましい眺めだね。 145 00:08:45,258 --> 00:08:53,266 ⚟(千代が本を読む声) 146 00:09:05,044 --> 00:09:07,714 やっぱり 果たし合いに 行くみたいだね。う~ん。 147 00:09:07,714 --> 00:09:11,017 今晩 早速やってみようか。 148 00:09:13,053 --> 00:09:16,890 誰か いるのか!? 149 00:09:16,890 --> 00:09:18,825 ⚟(物音) うわ…。 150 00:09:18,825 --> 00:09:21,061 (鳴き声) 151 00:09:21,061 --> 00:09:24,731 はあ… 驚かすなよ…。 152 00:09:24,731 --> 00:09:29,602 フフ… 確かに 腰抜けだわ。 うん…。 153 00:09:29,602 --> 00:09:33,239 父上。 どうかなさいました? 154 00:09:33,239 --> 00:09:38,111 いや 何でもない。 ハハハ…。 155 00:09:38,111 --> 00:09:43,950 火の用心! 156 00:09:43,950 --> 00:09:56,396 ♬~ 157 00:09:56,396 --> 00:09:58,932 恨めしや~…! 158 00:09:58,932 --> 00:10:01,267 うわ~…! 159 00:10:01,267 --> 00:10:06,406 恨めしや… 久坂真之介…。 160 00:10:06,406 --> 00:10:08,775 母上…! 母上? 161 00:10:08,775 --> 00:10:10,710 申し訳ございません! 162 00:10:10,710 --> 00:10:12,946 久坂の家名に 傷をつけるようなことを しでかしてしまい➡ 163 00:10:12,946 --> 00:10:15,415 真之介 まことに申し訳なく 思っております。いや…。 164 00:10:15,415 --> 00:10:18,618 ですが 母上 ご安心ください。 腰抜けと言われた その汚名➡ 165 00:10:18,618 --> 00:10:20,954 見事 晴らすつもりでございます。 ちょ… ちょっと➡ 166 00:10:20,954 --> 00:10:23,289 ちょっと お待ちなさいよ。 いいえ もう 待てません。 167 00:10:23,289 --> 00:10:25,792 いや 勘違いしないで。 私は 単なる幽霊で…。 168 00:10:25,792 --> 00:10:28,828 わかってます! 母上は 私が ふがいないので出ていらしたんでしょう。 169 00:10:28,828 --> 00:10:31,297 あんたはね 私の息子なんかじゃありません! 170 00:10:31,297 --> 00:10:37,170 お怒り ごもっともです…! いや そうじゃなくてね… 全く…。 171 00:10:37,170 --> 00:10:40,006 すいませんね。 今 片づけますから。 172 00:10:40,006 --> 00:10:42,909 こちらこそ お仕事中に申し訳ございません。 173 00:10:42,909 --> 00:10:46,646 こんなものしかありませんが…。 174 00:10:46,646 --> 00:10:49,149 佐島屋の大福ではありませんか。 175 00:10:49,149 --> 00:10:53,653 ええ これが 大好物の人が いるんです。 176 00:10:53,653 --> 00:10:57,457 うちの主人も これが 大好物なんです。 177 00:10:57,457 --> 00:11:01,761 何かあると すぐに佐島屋の大福が食べたいと。 178 00:11:01,761 --> 00:11:05,598 自分が死んだら これを 位牌に供えてくれと いつも申します。 179 00:11:05,598 --> 00:11:09,269 ⚟(お絹)豆が違うからね。 ああ やっと来たか。 180 00:11:09,269 --> 00:11:13,773 お千代さん 今から あなたに 幽霊を ご紹介しますけどね➡ 181 00:11:13,773 --> 00:11:15,808 驚かないでくださいよ。 182 00:11:15,808 --> 00:11:18,011 はい…。 183 00:11:20,113 --> 00:11:24,617 あっ…! こ… この方々は…!? 184 00:11:24,617 --> 00:11:26,553 幽霊の染です。 185 00:11:26,553 --> 00:11:28,955 幽霊の絹と申します。 186 00:11:28,955 --> 00:11:33,426 どうぞよろしく…。 どうも…。 187 00:11:33,426 --> 00:11:35,495 人の家をね のぞくもんじゃないんだよ! 188 00:11:35,495 --> 00:11:38,298 母ちゃんにだけは言われたくねえ。 そんな子に 育てた覚えない! 189 00:11:38,298 --> 00:11:41,301 「蛙の子は蛙」って言うだろ! 「人のふり見て我がふり直せ」! 190 00:11:41,301 --> 00:11:44,170 やはり 果たし合いに 行くつもりだったのですね。 191 00:11:44,170 --> 00:11:49,008 みたいですね。 しかし 母親と間違えるとはねえ…。 192 00:11:49,008 --> 00:11:53,313 腰抜けの上に おっちょこちょいとはな。 やりにくいっちゃありゃしないよ。 193 00:11:53,313 --> 00:11:56,649 それはもう厳しい母でしたから。 よかった。 194 00:11:56,649 --> 00:12:01,087 えっ? 私の母は 優しい人でしたから。 195 00:12:01,087 --> 00:12:05,959 そう。 よかったね。 あんたには 優しい私がいるじゃないか。 196 00:12:05,959 --> 00:12:10,597 よく言うよ。 幼い娘を辰巳にやったのは どこの誰さ。フン。 197 00:12:10,597 --> 00:12:13,099 じゃあ 私が成仏できないのは 誰のせいなんだい!? 198 00:12:13,099 --> 00:12:15,401 何かっていうと すぐそれだ。 大体ね おっ母さんはね…。あんたが…。 199 00:12:15,401 --> 00:12:18,104 いいかげんにしねえか! 200 00:12:18,104 --> 00:12:22,408 幽霊の世界も いろいろあるんですね。 …らしいですよ。 201 00:12:22,408 --> 00:12:24,477 キッ! それで どうなったんだい? 202 00:12:24,477 --> 00:12:27,947 真之介さん まともに顔も見てくれないし➡ 203 00:12:27,947 --> 00:12:31,417 しょうがないからね 母親のふりをしてさ…。 204 00:12:31,417 --> 00:12:33,953  回想 こら! 真之介! 205 00:12:33,953 --> 00:12:36,990 わざわざ 母が ここまで出張ってきたっていうのに➡ 206 00:12:36,990 --> 00:12:42,428 何ですか そのざまは! きちんと ここ こっち向いて! 207 00:12:42,428 --> 00:12:46,299 そんなに 命を粗末にしたいのか…。 208 00:12:46,299 --> 00:12:49,969 死にたくない! 勘弁してください! 209 00:12:49,969 --> 00:12:52,438 (笑い声)こうやってね…。 そりゃいいや。 210 00:12:52,438 --> 00:12:56,142 やっぱり 腰抜けだ。 あの様子じゃ 果たし合いは 諦めたね。 211 00:12:56,142 --> 00:12:58,444 かわいいもんだよ。 アハ… 情けない。 212 00:12:58,444 --> 00:13:00,747 しょうがねえだろ 腰抜けなんだからよ。 213 00:13:00,747 --> 00:13:04,083 お侍にも 腰抜けがいるんですね。 そりゃ いるさ。 214 00:13:04,083 --> 00:13:08,388 いざとなったら ピュ~ッと逃げちゃう 腰抜けがよ。(笑い声) 215 00:13:08,388 --> 00:13:12,592 うちの人は 腰抜けなどでは ありません! 千代さん? 216 00:13:12,592 --> 00:13:14,927 うちの人は 情けなくなどありません。 217 00:13:14,927 --> 00:13:17,263 逃げたりもしていません! 218 00:13:17,263 --> 00:13:20,266 でも 因縁つけられて逃げたんだろ? 219 00:13:20,266 --> 00:13:26,272 違います。 そういう噂が広まっただけです。 220 00:13:26,272 --> 00:13:28,207 主人は 逃げたのではなく…。 221 00:13:28,207 --> 00:13:32,945  回想 勘違いです。 ごまかされんぞ! 拙者 藤代源八郎だ。 222 00:13:32,945 --> 00:13:37,817 表へ出て 正々堂々と 勝負しろ! 223 00:13:37,817 --> 00:13:42,655 それは できません。 逃げる気か! 224 00:13:42,655 --> 00:13:46,959 拙者 中山伯耆守が家来 久坂真之介でござる。 225 00:13:46,959 --> 00:13:51,130 逃げも隠れもいたしませぬ。 ただ 私は 殿に仕えている身。 226 00:13:51,130 --> 00:13:55,301 この命は 殿のもの。 このような私事で 無駄に失うわけにはゆかないのです。 227 00:13:55,301 --> 00:13:58,304 わかっていただきたい。 主君を持たぬ俺たちは➡ 228 00:13:58,304 --> 00:14:01,240 無駄に死んでもかまわないと 言いたいのか?そうではない。 229 00:14:01,240 --> 00:14:06,579 俺はな お前みたいな侍を見ると 虫ずが走るんだ! 230 00:14:06,579 --> 00:14:14,087 叩きのめしてやる。 武士なら 刀で勝負しろ! 231 00:14:14,087 --> 00:14:16,923 御免…! 232 00:14:16,923 --> 00:14:22,595 逃げる気か! 口ばっかり達者な 腰抜け侍が。 233 00:14:22,595 --> 00:14:26,299 そうだ そうだ! 腰抜けだ! 234 00:14:29,102 --> 00:14:32,004 腰抜けだ! 腰抜けが 逃げたぞ! 235 00:14:32,004 --> 00:14:37,810 みんな 聞け! 中山家の久坂真之介は 腰抜けだ! 236 00:14:37,810 --> 00:14:40,713 なるほど その噂が広がったわけだ。 237 00:14:40,713 --> 00:14:44,283 夫が断ったのは むしろ 侍として 当然のことなのです。 238 00:14:44,283 --> 00:14:47,120 確かに そうかもしれないけど…。 夫は 間違っておりません。 239 00:14:47,120 --> 00:14:52,625 ご家中の皆様も 最初は 夫の振る舞いを よしとしてくださいました。 240 00:14:52,625 --> 00:14:55,962 でも そのうち…。 241 00:14:55,962 --> 00:14:58,297  回想 (津田)やってられませんよ。 (久世)どうした? 242 00:14:58,297 --> 00:15:01,734 あの人のせいで 我々まで 腰抜け呼ばわりだ。 243 00:15:01,734 --> 00:15:04,237 貴殿も言われたか。 244 00:15:04,237 --> 00:15:10,743 しかしなあ 久坂は 間違ってはおらん。 おらんのだが…。 245 00:15:10,743 --> 00:15:16,249 なんとかなりませんかね。 このままでは 中山家は世間の笑いものだ。 246 00:15:16,249 --> 00:15:20,253 殿まで 腰抜けと言われかねない。 (せきばらい) 247 00:15:23,022 --> 00:15:25,758 (千代)私は 夫が正しいと 信じております。➡ 248 00:15:25,758 --> 00:15:28,594 だから 果たし合いなどしてほしくないのです。 249 00:15:28,594 --> 00:15:31,931 闘うのも駄目 闘わねえのも駄目。 250 00:15:31,931 --> 00:15:35,268 武士ってのは 面倒だねえ。 251 00:15:35,268 --> 00:15:37,770 ⚟(物音) ⚟(かね)あんた 無一文とは➡ 252 00:15:37,770 --> 00:15:39,705 どういうことだい! ⚟(亀吉)うるせえ! 切った張ったはな➡ 253 00:15:39,705 --> 00:15:42,642 男の甲斐性でい! 254 00:15:42,642 --> 00:15:44,644 ろくに稼ぎもしないで➡ 255 00:15:44,644 --> 00:15:47,113 何が 男の甲斐性だ! ああ~!悔しかったらな➡ 256 00:15:47,113 --> 00:15:50,416 あんた… 稼いで… 稼いでこい! 257 00:15:50,416 --> 00:15:52,485 しょうがねえな あの夫婦は…。 258 00:15:52,485 --> 00:15:56,789 でも まあ ああやって言い合うのも 大切かもしれないね。 259 00:15:56,789 --> 00:16:00,359 千代さんも 心を開いて 本心 伝えたらいいのに。 260 00:16:00,359 --> 00:16:03,262 「行っちゃ嫌!」とか…。 そんなこと…。 261 00:16:03,262 --> 00:16:05,731 いくら何でも お武家の ご新造が➡ 262 00:16:05,731 --> 00:16:08,634 恥ずかしげもなく そんなこと言えるわけないだろ! 263 00:16:08,634 --> 00:16:11,237 つまんねえもんだな。 だから…➡ 264 00:16:11,237 --> 00:16:15,241 こうやって 皆様のお力を借りようと…。 265 00:16:15,241 --> 00:16:19,378 まあ 果たし合いなんかやっても ろくな幕切れには ならないからね。 266 00:16:19,378 --> 00:16:23,249 「武士の喧嘩の後に後家二人」ってか…。 267 00:16:23,249 --> 00:16:28,588 明日にでも 私が もう一押ししますから。 268 00:16:28,588 --> 00:16:31,591 よろしくお願いいたします。 269 00:16:41,167 --> 00:16:43,936 ご主人思いの いい ご新造さんだね。 270 00:16:43,936 --> 00:16:48,107 どこが よい妻なんですか。 全然よくありませんよ。 271 00:16:48,107 --> 00:16:50,409 あんた 本当に唐突だねえ。 272 00:16:50,409 --> 00:16:53,946 武家の妻なら 黙って ぐっとこらえて送り出すのが➡ 273 00:16:53,946 --> 00:16:55,882 当然の務めじゃないですか。 274 00:16:55,882 --> 00:16:58,618 それに 幽霊に脅かされたからやめるなんて…➡ 275 00:16:58,618 --> 00:17:03,456 そんなの武士じゃない。 さすがは 元お武家だ。そうなの? 276 00:17:03,456 --> 00:17:07,326 大体 武士っていうのは いざという時に 命を捨てられるよう➡ 277 00:17:07,326 --> 00:17:11,063 禄を食んでるわけですよ。 それも 極端な話だなあ。 278 00:17:11,063 --> 00:17:14,901 そもそも 真之介さんに ないしょで 事を運ばなきゃいけないっていうのが➡ 279 00:17:14,901 --> 00:17:16,836 おかしいんじゃないの? でも 夫のメンツも➡ 280 00:17:16,836 --> 00:17:19,372 立てなくてはなりませんし…。 あんた どっちの味方なの? 281 00:17:19,372 --> 00:17:21,440 私は ただ…。 ああ~ わかった わかった。 282 00:17:21,440 --> 00:17:25,745 とにかくな 今は 真之介さんが 命を落とさねえようにするのが先決だよ。 283 00:17:25,745 --> 00:17:30,249 なあ。 大体な 剣術もからっきしなのに 果たし合いを受けるなんて お前➡ 284 00:17:30,249 --> 00:17:32,251 身の程知らずも いいところだろ。 285 00:17:32,251 --> 00:17:34,921 身の程知らずの 何が いけないの? 286 00:17:34,921 --> 00:17:37,957 何だよ いきなり? あんただって…。 287 00:17:37,957 --> 00:17:41,794  回想 今まで 一度も 身の程知らずと 言われたことはなかった。 288 00:17:41,794 --> 00:17:46,532 悔やんでるの? いや お前のおかげだ。 289 00:17:46,532 --> 00:17:48,768 言ってたじゃないか。 290 00:17:48,768 --> 00:17:52,939 確かに 俺もな 「身の程を 越えてみたくなった」とは言ったさ。 291 00:17:52,939 --> 00:17:56,809 けどよ お前 命を捨ててもいい ってことには ならねえだろうが。 292 00:17:56,809 --> 00:18:00,212 あんた そんな人じゃなかった…。 おあいにくさま。 293 00:18:00,212 --> 00:18:02,715 俺は 生まれつき こんな野郎だよ。 294 00:18:02,715 --> 00:18:05,217 (お絹)染…。 295 00:18:07,586 --> 00:18:11,223 …おら~ 何だっていうんだ? 296 00:18:11,223 --> 00:18:17,563 そのうちわかる。 いや わかってほしいね。 297 00:18:17,563 --> 00:18:27,239 ♬~ 298 00:18:27,239 --> 00:18:30,142 (お絹)期限は あと27日だ。 299 00:18:30,142 --> 00:18:32,745 お染姐さんが かわいそすぎます。 300 00:18:32,745 --> 00:18:34,680 捜し回って ようやく見つけた➡ 301 00:18:34,680 --> 00:18:37,917 弥六さんの生まれ変わりなのに。 見つけただけじゃ駄目さ。 302 00:18:37,917 --> 00:18:40,953 自分のことを 本当に思ってもらわないと。 303 00:18:40,953 --> 00:18:45,391 その相手に 心を込めて 念仏を唱えてもらえなきゃ➡ 304 00:18:45,391 --> 00:18:47,326 成仏は できない。 駄目だったら? 305 00:18:47,326 --> 00:18:52,031 染と私は 無間地獄に落ちちまう。 306 00:18:55,134 --> 00:19:01,640 染… その覚悟で あれに 火をともしたんだろう? 307 00:19:03,709 --> 00:19:06,345 しょうがない子だねえ。 308 00:19:06,345 --> 00:19:10,049 だったら 落ち込んでるより やることがあるんじゃないのかい。 309 00:19:10,049 --> 00:19:12,551 おっ母さん…。 あいつが 嫌だって言っても➡ 310 00:19:12,551 --> 00:19:16,889 そばに いるんだよ。 仮にも お前が契った男だろ。 311 00:19:16,889 --> 00:19:24,397 そこまでされて 何も感じないような 薄情な奴なのかい? 312 00:19:30,436 --> 00:19:33,906 弥六よ。 おお 大家さん。 313 00:19:33,906 --> 00:19:37,777 お前 最近 ちゃんと仕事してんのかい? してますよ。 314 00:19:37,777 --> 00:19:41,247 いや してねえな。 あんな変な看板 下げて➡ 315 00:19:41,247 --> 00:19:43,916 「ゆうれい貸します」だなんて 言いふらして➡ 316 00:19:43,916 --> 00:19:47,787 どう見たって お前 まともじゃねえぞ。 だから それは…。 317 00:19:47,787 --> 00:19:51,590 お前さん。 何しに来やがった! 318 00:19:51,590 --> 00:19:55,461 何…! わしは お前のことを思って わざわざ…。 319 00:19:55,461 --> 00:19:58,464 お酌させとくれよ。 酌なんか いらねえよ。 320 00:19:58,464 --> 00:20:01,934 誰が 酌なんか するもんか! 321 00:20:01,934 --> 00:20:04,937 さっきは 悪かったよ。 322 00:20:06,605 --> 00:20:11,277 俺は 俺なんだ。 昔 お前と 何があったか知らねえが➡ 323 00:20:11,277 --> 00:20:15,281 今の俺は… ろくでもねえ酒飲みで➡ 324 00:20:15,281 --> 00:20:21,921 息子に説教されてる 情けねえ父親で…。 325 00:20:21,921 --> 00:20:25,124 でも それが 俺なんだよ。 326 00:20:25,124 --> 00:20:29,628 わかってる。 だから ほら 機嫌直して…。 327 00:20:37,837 --> 00:20:41,974 なあ この商売 どう思う? 328 00:20:41,974 --> 00:20:45,644 どうって… あんたが 言いだしたんじゃないか。 329 00:20:45,644 --> 00:20:50,449 そうなんだが。 こういう依頼が来るとは…➡ 330 00:20:50,449 --> 00:20:55,154 人と人ってのは 難しいもんだなあ。 331 00:20:57,156 --> 00:21:00,392 おらっ。 何するんだよ。 しめっぽいね。 332 00:21:00,392 --> 00:21:04,196 引き受けたからには 最後までやり遂げるんじゃなかったの? 333 00:21:08,134 --> 00:21:10,402 そうだな。 334 00:21:10,402 --> 00:21:15,774 ♬~ 335 00:21:15,774 --> 00:21:17,710 これも お願いね。 へい。 336 00:21:17,710 --> 00:21:20,946 悪いわね 本当に ただでいいの? 337 00:21:20,946 --> 00:21:27,419 これも修業ですから…。 ところでね ちょいと 小耳に挟んだんですが➡ 338 00:21:27,419 --> 00:21:31,957 こちらには 腰抜けと呼ばれてる お侍さんが いるそうですね。 339 00:21:31,957 --> 00:21:35,294 ああ 久坂様のこと…。 340 00:21:35,294 --> 00:21:39,165 その方 最近 変わったご様子は ありませんか? 341 00:21:39,165 --> 00:21:47,373 ♬~ 342 00:21:49,141 --> 00:21:51,343 何か…? 343 00:21:52,978 --> 00:21:55,814 失礼。 344 00:21:55,814 --> 00:22:03,389 やはり 噂は 本当のようだな。 お主 あの 久坂真之介であろう。 345 00:22:03,389 --> 00:22:08,594 こそこそ逃げて それでも 武士か? 346 00:22:08,594 --> 00:22:12,097 (平沢)貴様ら どういうつもりだ! 347 00:22:12,097 --> 00:22:15,301 あなた方には 関わりのないことだ。 348 00:22:18,404 --> 00:22:21,607 へっ 腰抜けが…! 349 00:22:25,945 --> 00:22:31,750 全く… ただだからって どっから こんなに 持ってきやがったんだ。 350 00:22:31,750 --> 00:22:35,421 ⚟(津田)久坂殿 待たれよ 久坂殿。 ⚟(平沢)よさぬか。 351 00:22:35,421 --> 00:22:37,489 ⚟(津田)久坂殿。 ⚟(平沢)よせと言うておるのに。 352 00:22:37,489 --> 00:22:39,792 なぜ 逃げたんですか! 353 00:22:39,792 --> 00:22:42,828 逃げたのではない。 逃げたではありませんか!よさぬか。 354 00:22:42,828 --> 00:22:45,297 いいや 今日こそは言わせていただきます。 355 00:22:45,297 --> 00:22:48,300 あなたのせいで 我々まで 腰抜け扱いだ。 356 00:22:48,300 --> 00:22:53,439 それは すまんと思っておる。 だが 当家では 私闘は ご法度で…。 357 00:22:53,439 --> 00:22:56,809 あなたは そうやって理屈ばかりだ。 つまりは 命が惜しいだけなんだ。 358 00:22:56,809 --> 00:22:59,645 認めたらどうですか! その辺にしておけ。 359 00:22:59,645 --> 00:23:01,614 申し訳ござらぬ。 360 00:23:01,614 --> 00:23:05,918 久坂殿。 私も 津田殿と同じ気持ちだ。 361 00:23:05,918 --> 00:23:09,255 武士たる者 主君に恥をかかせたなら➡ 362 00:23:09,255 --> 00:23:14,960 命に代えて その恥辱を晴らそうと しないでどうする。 そうではないか。 363 00:23:16,762 --> 00:23:20,266 やいやいやい! さっきから聞いてりゃ 何だい。 364 00:23:20,266 --> 00:23:23,102 あんたたちだって 最初は この人のこと褒めてたんだろ! 365 00:23:23,102 --> 00:23:26,405 知り合いか?いいえ。 通りすがりの桶屋だ。 366 00:23:26,405 --> 00:23:30,276 下がれ 町人! あ… 痛て…。 何しやがるんだよ! 367 00:23:30,276 --> 00:23:33,279 あなたも ちょっと 何か言い返したら どうなんですかい。 368 00:23:33,279 --> 00:23:36,081 余計な口出しは 無用に願う。 369 00:23:39,785 --> 00:23:42,821 ありがとうございました。 370 00:23:42,821 --> 00:23:45,958 豆腐屋さん。 後で こちらにも お願いします。 371 00:23:45,958 --> 00:23:48,627 申し訳ありやせん。 売り切れなもんで。 372 00:23:48,627 --> 00:23:50,929 でも 今…。 373 00:23:52,498 --> 00:23:56,502 勘弁してください。 久坂様が食べてるってわかったら➡ 374 00:23:56,502 --> 00:23:59,305 ほかで売れなくなっちまうんで。 375 00:24:03,742 --> 00:24:06,779 父上…! おお 和馬。 376 00:24:06,779 --> 00:24:11,483 父上は 腰抜けなのですか? 何だと…? 377 00:24:11,483 --> 00:24:18,490 皆が お前の父は 腰抜けだと。 腰抜けとは 何ですか? 378 00:24:26,765 --> 00:24:28,701 ⚟よろしいでしょうか。 379 00:24:28,701 --> 00:24:32,705 おお かまわぬ。 380 00:24:38,777 --> 00:24:42,581 失礼いたします。 どうした? 381 00:24:47,119 --> 00:24:50,422 どうした? 382 00:24:50,422 --> 00:24:56,628 私に お話しなさりたいことは ありませんか? 383 00:24:56,628 --> 00:24:59,298 何のことだ? 384 00:24:59,298 --> 00:25:03,569 なければ よいのです。 385 00:25:03,569 --> 00:25:05,571 待て…。 386 00:25:10,442 --> 00:25:15,247 腰抜けのことか…。 387 00:25:15,247 --> 00:25:19,752 はい。 そうか…。 388 00:25:19,752 --> 00:25:23,622 果たし状を…。 389 00:25:23,622 --> 00:25:25,624 知っていたのか? 390 00:25:25,624 --> 00:25:28,460 申し訳ありません。 391 00:25:28,460 --> 00:25:33,098 謝ることはない。 392 00:25:33,098 --> 00:25:35,401 どうなさるのでしょうか? 393 00:25:35,401 --> 00:25:39,271 う~ん… すまぬ…。 394 00:25:39,271 --> 00:25:41,607 謝らないでください。 395 00:25:41,607 --> 00:25:43,542 すまぬ。 そうではなくて。 396 00:25:43,542 --> 00:25:48,247 わかっている。 もう休め…。 397 00:25:56,155 --> 00:25:58,624 おやすみなさいませ。 398 00:25:58,624 --> 00:26:42,768 ♬~ 399 00:26:42,768 --> 00:26:45,804 来たのか。 腰抜け。 400 00:26:45,804 --> 00:26:48,941 もう腰抜けとは 呼ばせぬ! 401 00:26:48,941 --> 00:26:59,651 ♬~ 402 00:26:59,651 --> 00:27:01,954 いや~! 403 00:27:08,727 --> 00:27:11,230 うわっ…! (お絹)ちょいと。 404 00:27:11,230 --> 00:27:14,233 うわ~! ちょいと ちょいと お待ちなさいよ。 405 00:27:14,233 --> 00:27:18,370 今日は 脅かさないから 私の話を お聞きなさい。 406 00:27:18,370 --> 00:27:21,073 母上の…? うん…? ああ… そう。 407 00:27:21,073 --> 00:27:24,376 母の話を聞きなさい。 408 00:27:24,376 --> 00:27:29,581 母の話を聞くのに その姿勢は 何ですか! 409 00:27:37,389 --> 00:27:42,227 よろしい。 あなたの話は 全て聞きました。 は? 410 00:27:42,227 --> 00:27:45,764 いや 聞かずとも知っています。 411 00:27:45,764 --> 00:27:48,600 母ですから。 はあ…。 412 00:27:48,600 --> 00:27:51,503 …で 果たし合いは どうなりました? 413 00:27:51,503 --> 00:27:53,472 えっ? あ… いや…。 414 00:27:53,472 --> 00:27:56,475 まだ やるつもり? いえ もう…。 415 00:27:56,475 --> 00:28:03,115 あなたの気持ちは よ~くわかります。 でもね 死んでしまったら おしまい。 416 00:28:03,115 --> 00:28:09,721 この私が どうして成仏もできずにいると思います? 417 00:28:09,721 --> 00:28:12,758 私のことが 心配で成仏できないとか? 418 00:28:12,758 --> 00:28:16,895 そうです。 申し訳ありません。 419 00:28:16,895 --> 00:28:20,365 幽霊が成仏できない訳は いろいろあります。 420 00:28:20,365 --> 00:28:23,569 例えば 私の知ってる幽霊に➡ 421 00:28:23,569 --> 00:28:29,741 娘を大切にしてやれなかったばかりに 成仏できなかった女がいます。 422 00:28:29,741 --> 00:28:32,644 娘を? その女は 自分の娘を➡ 423 00:28:32,644 --> 00:28:34,913 こんな ちっちゃい時に 辰巳へ➡ 424 00:28:34,913 --> 00:28:38,383 やってしまいました。 辰巳というと 芸者? 425 00:28:38,383 --> 00:28:41,920 ⚟(お絹) 貧乏暮らしのまま自分といるより➡ 426 00:28:41,920 --> 00:28:44,957 その方が あの子のためだと思ってね。 427 00:28:44,957 --> 00:28:48,093 わかります。 いいや わかっちゃいない。 428 00:28:48,093 --> 00:28:50,128 え? 無理やり 自分に➡ 429 00:28:50,128 --> 00:28:52,397 そう言い聞かせただけさ。 430 00:28:52,397 --> 00:28:56,101 娘と 離れ離れの方がいいだって? そんなの うそだ…。 431 00:28:56,101 --> 00:29:00,872 たとえ どんなに嫌われようが 恨まれようが➡ 432 00:29:00,872 --> 00:29:07,679 あの女は 娘と一緒にいたかったんだ…。 433 00:29:11,216 --> 00:29:13,418 おっ母さん…。 434 00:29:16,722 --> 00:29:20,225 ⚟(お絹) 結局 娘とは 死ぬまで会えずじまい。 435 00:29:20,225 --> 00:29:25,731 私も最期は あばら家で一人っきり…。 436 00:29:25,731 --> 00:29:31,236 誰にも お経もあげてもらえずに さまよっている。 437 00:29:31,236 --> 00:29:33,238 母上が…? うん…。 438 00:29:33,238 --> 00:29:35,240 あっ… えっ…。 (せきばらい) 439 00:29:35,240 --> 00:29:38,910 死んでから悔やんでも もう 遅いのです。 440 00:29:38,910 --> 00:29:40,946 あなたは これから 息子に➡ 441 00:29:40,946 --> 00:29:45,083 自分の頑張ってる姿を見せることが できるじゃありませんか。 442 00:29:45,083 --> 00:29:47,019 和馬に…? 443 00:29:47,019 --> 00:29:52,958 そうです。 今を 懸命に生きてるところを 見せなさい。 444 00:29:52,958 --> 00:29:56,795 人間 どうせ いつかは死ぬんですから。 445 00:29:56,795 --> 00:29:59,598 そうですよね いつかは死ぬんだ…。 446 00:29:59,598 --> 00:30:03,268 そうよ。 和馬のためにも頑張りなさい。 447 00:30:03,268 --> 00:30:08,407 父親として 息子にしてやれるのは 何なのか。 448 00:30:08,407 --> 00:30:12,911 よ~く 考えるのよ。 449 00:30:15,781 --> 00:30:19,618 よくわかりました。 ありがとうございます 母上。 450 00:30:19,618 --> 00:30:23,288 まあ わかってくれたのね! 451 00:30:23,288 --> 00:30:26,491 はい。 452 00:30:28,160 --> 00:30:32,431 それで 成仏するって言ってきたの? そう もう大丈夫。 453 00:30:32,431 --> 00:30:34,366 ちゃんとね 言い含めておいたから。 454 00:30:34,366 --> 00:30:37,803 大概のことはね 我慢して頑張るだろうよ。 455 00:30:37,803 --> 00:30:40,439 そいつはよかった。 さすが お母様。 456 00:30:40,439 --> 00:30:42,374 最初からやってくれると思ってましたぜ。 457 00:30:42,374 --> 00:30:45,310 どの口が それを言うかね。 この口 この口…。 458 00:30:45,310 --> 00:30:47,979 こら! (笑い声) 459 00:30:47,979 --> 00:30:54,753 ♬~ 460 00:30:54,753 --> 00:30:57,689 おお できたじゃないか! ハハハ… よ~く できた。 461 00:30:57,689 --> 00:31:00,492 諦めてくださったのね。 462 00:31:04,930 --> 00:31:06,965 ⚟千代。 はい。 463 00:31:06,965 --> 00:31:11,269 ちょっと出かけてくる。 せっかくのお休みなのに どちらへ? 464 00:31:11,269 --> 00:31:16,108 平沢殿の所だ。 うっかり 忘れてた用があった。 465 00:31:16,108 --> 00:31:21,413 お帰りは? 早くても 夜だな。 466 00:31:21,413 --> 00:31:24,316 では 夕飯は どうなさいます。 467 00:31:24,316 --> 00:31:27,953 それより 久方ぶりに 佐島屋の大福が食べたいな。 468 00:31:27,953 --> 00:31:31,623 フフ… 本当に お好きなんですね。 469 00:31:31,623 --> 00:31:33,558 あれより うまいものは ないぞ。 470 00:31:33,558 --> 00:31:36,762 はいはい わかりました。 471 00:31:57,449 --> 00:31:59,651 達者でな…。 472 00:32:02,587 --> 00:32:04,523 和馬! 473 00:32:04,523 --> 00:32:09,094 佐島屋まで 大福を…。 474 00:32:09,094 --> 00:32:11,296 和馬…! 475 00:32:16,401 --> 00:32:20,272  回想 うまい。 私の位牌には この大福を供えてくれよ。 476 00:32:20,272 --> 00:32:24,576 食べる度に それなんですから。 フフ…。 477 00:32:33,285 --> 00:32:37,122 (真之介)「私のために そなたや和馬にまで迷惑をかけ➡ 478 00:32:37,122 --> 00:32:39,624 本当に 申し訳なく思っている。➡ 479 00:32:39,624 --> 00:32:44,496 生きて 恥をさらし続けても 殿に仕えるべきか➡ 480 00:32:44,496 --> 00:32:51,636 死して面目を保つべきか 私は ずっと その答えを探していた。➡ 481 00:32:51,636 --> 00:32:56,141 だが 先日 私の枕元に 亡き母上が現れ➡ 482 00:32:56,141 --> 00:33:00,979 現世の無念ゆえに成仏できぬ 幽霊のことを話してくださった。➡ 483 00:33:00,979 --> 00:33:03,949 家族を守れなかったという悔いが➡ 484 00:33:03,949 --> 00:33:07,786 死した後も なお 付きまとうのだという。➡ 485 00:33:07,786 --> 00:33:14,259 ならば 私は その悔いを残さぬよう お前たちを守るために闘い➡ 486 00:33:14,259 --> 00:33:20,932 そして 死にたいと思う。 私の面目のためではない。➡ 487 00:33:20,932 --> 00:33:25,604 お前が これ以上 腰抜けの妻と 呼ばれぬよう➡ 488 00:33:25,604 --> 00:33:28,406 和馬が 腰抜けの子と呼ばれぬよう➡ 489 00:33:28,406 --> 00:33:31,309 夫として 父として➡ 490 00:33:31,309 --> 00:33:33,945 今の私がしてやれるのは➡ 491 00:33:33,945 --> 00:33:37,282 闘うことだけなのだ。➡ 492 00:33:37,282 --> 00:33:39,951 お前に黙って 果たし合いに出向くことを➡ 493 00:33:39,951 --> 00:33:42,787 どうか 許してほしい。➡ 494 00:33:42,787 --> 00:33:45,123 そして この命 果てた後も➡ 495 00:33:45,123 --> 00:33:47,158 どうか 和馬のことを くれぐれも よろしく頼む…」。 496 00:33:47,158 --> 00:33:50,996 「…和馬に よろしく頼み申し候。 くれぐれも 頼み申し候。➡ 497 00:33:50,996 --> 00:33:55,133 真之介 千代様…」。 なんてこった おっ母さん 全然 駄目じゃねえかよ! 498 00:33:55,133 --> 00:33:57,802 幽霊が 裏目に出ちまったよ! そ… そんな…! 499 00:33:57,802 --> 00:34:01,673 夫は どこですか? 染さんや絹さんにならわかりますよね!? 500 00:34:01,673 --> 00:34:07,612 ♬~ 501 00:34:07,612 --> 00:34:10,916 弥六さん 急いで! わかってます。 502 00:34:10,916 --> 00:34:15,220 わかってますがね 体が言うことをきかないんだよ。 ねえ…。 503 00:34:26,932 --> 00:34:30,402 何やってんだい。 相手が 来ちまったじゃないか。 504 00:34:30,402 --> 00:34:33,605 こうなったら 私たちで なんとか…! お待ち…。 505 00:34:33,605 --> 00:34:35,540 おっ母さん? 506 00:34:35,540 --> 00:34:37,943 大丈夫か? 行くぜ! よしっ。 507 00:34:37,943 --> 00:34:50,422 ♬~ 508 00:34:50,422 --> 00:34:54,793 まずいよ こりゃ。 え~い どうにでもなれ! 509 00:34:54,793 --> 00:34:56,728 待て! 510 00:34:56,728 --> 00:34:59,297 待て 待て 待て 待て…! 危ないよ! 死んじゃうよ! 511 00:34:59,297 --> 00:35:01,733 だからって 放っておけるかよ! 何だ お前は? 512 00:35:01,733 --> 00:35:04,769 あなたは 確か…。 おなじみ 通りすがりの桶屋です。 513 00:35:04,769 --> 00:35:06,905 邪魔だ どけ! 514 00:35:06,905 --> 00:35:08,940 いや どかねえ! こうなったら やけだ! 515 00:35:08,940 --> 00:35:12,644 この人を斬るならな 俺を斬ってからにしてくれい! 516 00:35:14,379 --> 00:35:16,581 お前さん! 517 00:35:21,086 --> 00:35:27,859 すまない! このとおりだ。 なかったことにしてくれ! 518 00:35:27,859 --> 00:35:34,265 実は拙者 この度 播磨・加古川 池田家へ 仕官がかなったのだ。 519 00:35:34,265 --> 00:35:38,136 お主と同じように 池田家も 私闘は厳禁。 520 00:35:38,136 --> 00:35:42,140 このような馬鹿なことで 仕官を ふいにするわけには いかんのだ。 521 00:35:42,140 --> 00:35:46,978 どうなってるんだ? どうりで 殺気がないと思ったよ。 522 00:35:46,978 --> 00:35:51,282 ともかく 果たし合いも 果たし状も➡ 523 00:35:51,282 --> 00:35:56,488 全て なかったことにしてほしいのだ。 頼む…! 524 00:35:58,056 --> 00:36:00,959 わかりました。 525 00:36:00,959 --> 00:36:03,261 すまんな…。 526 00:36:07,565 --> 00:36:09,567 失礼する。 527 00:36:15,740 --> 00:36:18,543 かなうはずないと思ってた…。 528 00:36:24,449 --> 00:36:27,919 どうして! どうして こんな! お千代…! 529 00:36:27,919 --> 00:36:31,389 あんな手紙一つで 何にも おっしゃらずに行ってしまうなんて! 530 00:36:31,389 --> 00:36:34,926 悪かった。 許してくれ。 私は嫌です! 531 00:36:34,926 --> 00:36:37,829 あなたが苦しんでいるのを 見てるだけなんて。 532 00:36:37,829 --> 00:36:42,667 一緒に苦しんでは いけないのですか! 一緒に耐えては いけないのですか! 533 00:36:42,667 --> 00:36:45,637 お千代さん…。 すまん 許してくれ。 534 00:36:45,637 --> 00:36:48,106 いいえ 許しません。 千代。 535 00:36:48,106 --> 00:36:51,409 約束してくださいまし。 もう二度と…➡ 536 00:36:51,409 --> 00:36:54,946 二度と こんなことはしないと…。 大丈夫だ。 もうしない。 537 00:36:54,946 --> 00:36:56,981 約束して…! 538 00:36:56,981 --> 00:37:02,754 ♬~ 539 00:37:02,754 --> 00:37:07,892 わかった。 約束する。 540 00:37:07,892 --> 00:37:12,564 お前に ないしょで 果たし合いに臨んだりしない。 541 00:37:12,564 --> 00:37:18,903 ♬~ 542 00:37:18,903 --> 00:37:24,609 お前に泣かれるより 腰抜けと呼ばれた方が ましかもしれん。 543 00:37:27,078 --> 00:37:30,915 私も あなたを失うくらいなら➡ 544 00:37:30,915 --> 00:37:34,385 腰抜けの妻と呼ばれる方が ましです。 545 00:37:34,385 --> 00:37:38,256 千代…。 546 00:37:38,256 --> 00:37:40,458 真之介様…。 547 00:37:45,764 --> 00:37:47,799 やっと言えたね お千代さん。 548 00:37:47,799 --> 00:37:50,635 本心で言い合えるってのは いいね。 549 00:37:50,635 --> 00:37:53,505 あんたみたいに 本心だけっていうのもなんだけどね。 550 00:37:53,505 --> 00:37:58,109 何だよ 今 ちょっと いいところだったのに。フフフ…。 551 00:37:58,109 --> 00:38:17,061 ♬~ 552 00:38:17,061 --> 00:38:20,732 お代は…。 もらえねえだろ。 しくじったんだから。 553 00:38:20,732 --> 00:38:24,903 えっ…。おっ母さん。 言わないどくれよ。 554 00:38:24,903 --> 00:38:28,740 わかってるんだからさ。 555 00:38:28,740 --> 00:38:33,077 …けどよ 危うく 俺も幽霊になるところだったぜ。 556 00:38:33,077 --> 00:38:36,748 あんた 十分 身の程知らずだよ。 俺も驚いた。 557 00:38:36,748 --> 00:38:39,250 フフ…。 ハハハハ…。 558 00:38:46,090 --> 00:38:49,394 父上。 559 00:38:49,394 --> 00:38:51,763 父上 腰抜けって 何ですか? 560 00:38:51,763 --> 00:38:54,666 うん…。 561 00:38:54,666 --> 00:38:59,404 そうだな 腰抜けというのはな 和馬➡ 562 00:38:59,404 --> 00:39:01,406 命を無駄にしないということだ。 563 00:39:01,406 --> 00:39:03,408 わかるか? はい 父上。 564 00:39:03,408 --> 00:39:06,044 そうか わかったか。 565 00:39:06,044 --> 00:39:09,080 お帰りなさいませ。 うん 今 帰った。 566 00:39:09,080 --> 00:39:12,784 お大福 買ってありますよ。 そうか では 頂こう。 567 00:39:15,220 --> 00:39:18,122 真之介さん 殿様から褒められたんだって? 568 00:39:18,122 --> 00:39:20,091 ああ。 なんでもな➡ 569 00:39:20,091 --> 00:39:23,928 「武士の意地を立て 主家の恥辱を防がんとした その心情➡ 570 00:39:23,928 --> 00:39:28,233 まことに 殊勝である。 褒めてつかわす」 とか何とか言われたらしいぞ。へえ~。 571 00:39:28,233 --> 00:39:30,168 汚名が返上できて よかったね。 572 00:39:30,168 --> 00:39:34,105 ゆうれい貸屋は 世のため人のためだな。 お代も もらえたしね。 573 00:39:34,105 --> 00:39:36,574 お代っていってもなあ…。 574 00:39:36,574 --> 00:39:42,747 絹さ~ん。 今日 千代さんが わざわざ 持ってきてくれましたよ。 575 00:39:42,747 --> 00:39:45,083 あれ? いないのかな? 576 00:39:45,083 --> 00:39:48,920 真之介さんの説得が失敗して 落ち込んでんのよ。 577 00:39:48,920 --> 00:39:52,924 おっ母さん 出てきなさいよ。 578 00:39:54,726 --> 00:39:57,929 てっきり うまくいったと思ったのに…。 579 00:39:57,929 --> 00:40:00,265 うまくいったじゃねえかよ。 580 00:40:00,265 --> 00:40:03,768 真之介さんは 男になれたし 千代さんは 本心が言えた。 581 00:40:03,768 --> 00:40:06,271 終わりよければ全てよしっていうだろ。 582 00:40:06,271 --> 00:40:09,107 要するにね 全て おっ母さんのおかげなんだよ! 583 00:40:09,107 --> 00:40:13,945 うれしいこと 言ってくれんねえ。 さすが 娘が見込んだ男だよ。 584 00:40:13,945 --> 00:40:16,648 よせやい お前 てれるじゃねえかよ! 585 00:40:23,121 --> 00:40:27,292 見てみなよ。 今日のお月さんは かなり きれいだぜ。 586 00:40:27,292 --> 00:40:29,294 幽霊日和とは言えないけどね。 587 00:40:29,294 --> 00:40:34,065 違えねえや。 なあ…。 何? 588 00:40:34,065 --> 00:40:38,903 その 前の俺ってえのは どんな奴だったんだよ? 589 00:40:38,903 --> 00:40:42,440 そうだね… 今と あべこべ。 590 00:40:42,440 --> 00:40:45,977 じゃあ… かなり いい男だったんだな。 そうだね…。 591 00:40:45,977 --> 00:40:50,148 何を…。 フフフ…。フフフフ…。 592 00:40:50,148 --> 00:40:54,652 でも 今のあんたも 捨てたもんじゃないよ。 593 00:40:54,652 --> 00:40:59,991 ううん… 今のあんたの方が好きかもしれない。 594 00:40:59,991 --> 00:41:02,894 うわ~! 痛い 痛い…。 おい 大丈夫かよ! 595 00:41:02,894 --> 00:41:06,397 痛~い。 お前が変なこと 言うからだよ! 596 00:41:06,397 --> 00:41:16,207 ♬~ 597 00:41:18,142 --> 00:41:21,279 忘れるはずありません。 50年たった今でも…。 598 00:41:21,279 --> 00:41:23,214 お人違いでは ござらぬかな。 599 00:41:23,214 --> 00:41:25,149 …で どなたを脅したいんだよ。 600 00:41:25,149 --> 00:41:27,151 某の 一人息子。 601 00:41:27,151 --> 00:41:29,153 まっとうな 元のあんたに 戻ってもらわないと。 602 00:41:29,153 --> 00:41:33,992 私と染はね もうすぐ この世の中から 消えてなくなるんだよ。 603 00:41:33,992 --> 00:41:37,295 二度と俺の前に 姿を現すな! 604 00:41:37,295 --> 00:42:55,306 ♬~