1 00:00:17,284 --> 00:00:19,786 (加助)大したもんだ。 2 00:00:21,788 --> 00:00:26,126 大したもんだ! (新九郎)どうした 加助? 3 00:00:26,126 --> 00:00:30,964 何てえか… そよ風が。 4 00:00:30,964 --> 00:00:33,867 そよ風? へい。 5 00:00:33,867 --> 00:00:37,838 そよ風みたいな字でやす 新九郎様。 6 00:00:37,838 --> 00:00:43,977 あっしは商売柄 赤坂で 大店や大名屋敷にも出入りしやしたが➡ 7 00:00:43,977 --> 00:00:47,447 こんな きれいな字を書く お人は いやせんでした。 8 00:00:47,447 --> 00:00:49,516 字は心を表す。 9 00:00:49,516 --> 00:00:51,985 さすが 善人長屋の お人だ。 10 00:00:51,985 --> 00:00:55,856 いや ただの代筆屋だ。 11 00:00:55,856 --> 00:01:00,594 これは挨拶代わり。 お代はいらぬ。 12 00:01:00,594 --> 00:01:06,300 いけやせん! この立派な看板が これから あっしの道しるべだ。 13 00:01:10,270 --> 00:01:15,108 僅かばかりではございやすが どうか…。 14 00:01:15,108 --> 00:01:18,412 どうか お受け取りください! 15 00:01:21,415 --> 00:01:23,617 なら もらおう。 16 00:01:26,286 --> 00:01:29,957 (お縫)何 食べたい? おまんじゅう。 17 00:01:29,957 --> 00:01:32,993 あっ 新九郎様! 18 00:01:32,993 --> 00:01:35,629 やあ お縫。 今 帰りか? 19 00:01:35,629 --> 00:01:38,966 はい。 今日は お針のお稽古だったので。 20 00:01:38,966 --> 00:01:41,301 それより お出かけですか? 21 00:01:41,301 --> 00:01:43,637 ああ やぼ用だ。 22 00:01:43,637 --> 00:01:46,974 朝帰りされた日に? 23 00:01:46,974 --> 00:01:48,909 文をもらっていたのでな。 24 00:01:48,909 --> 00:01:52,779 また 付け文を? 25 00:01:52,779 --> 00:01:56,650 新九郎様 女遊びも ほどほどになさらないと➡ 26 00:01:56,650 --> 00:01:59,653 そのうち 刃傷沙汰になっちゃいますよ。 27 00:02:01,388 --> 00:02:04,925 では ほどほどに行ってまいるよ。 28 00:02:04,925 --> 00:02:14,935 ♬~ 29 00:02:14,935 --> 00:02:18,605 (3人)キャ~! こんな間近で 新九郎様を見ちゃった! 30 00:02:18,605 --> 00:02:22,609 目が合ったわ! なんて きれいなお声! 31 00:02:24,478 --> 00:02:28,782 <千七長屋の住人 梶 新九郎様。➡ 32 00:02:28,782 --> 00:02:34,421 表稼業は代筆屋だけど 裏稼業は贋作づくりの悪党だ。➡ 33 00:02:34,421 --> 00:02:40,627 その上に女たらしで つかみどころのない優しい人> 34 00:02:57,444 --> 00:03:00,247 (新九郎)おい! おい! 35 00:03:00,247 --> 00:03:30,277 ♬~ 36 00:03:30,277 --> 00:03:33,780 <世間様から 善人長屋と呼ばれちゃいますが➡ 37 00:03:33,780 --> 00:03:35,816 うちの店子は そろいもそろって➡ 38 00:03:35,816 --> 00:03:38,618 裏稼業持ちの悪党ばかり> 39 00:03:46,359 --> 00:03:49,863 <差配の一家は 盗品を売りさばく系図買い屋> 40 00:03:51,631 --> 00:03:54,968 <そんな悪党どもが 一人の善人に かき回されて➡ 41 00:03:54,968 --> 00:03:57,003 人助けを するはめになる➡ 42 00:03:57,003 --> 00:04:00,207 不思議な物語でございます> 43 00:04:05,078 --> 00:04:07,581 あ~ 後で…。 分かりやした。 44 00:04:07,581 --> 00:04:10,283 ⚟御免! は~い。 45 00:04:11,918 --> 00:04:16,723 ああっ! すまぬが 筵を頼む。 46 00:04:18,692 --> 00:04:21,261 (佐吉)どういうこったい? 47 00:04:21,261 --> 00:04:24,264 寺町外れのお堂の横で見つけた。 48 00:04:24,264 --> 00:04:26,767 名は おみち。 49 00:04:26,767 --> 00:04:30,403 先日 文を じかに渡され➡ 50 00:04:30,403 --> 00:04:33,106 今日が最初の あいびきだった。 51 00:04:36,943 --> 00:04:39,412 佐吉 どんな具合だ? 52 00:04:39,412 --> 00:04:42,282 (佐吉)袈裟懸けに バッサリでやす。 53 00:04:42,282 --> 00:04:44,284 武家の仕業か。 54 00:04:44,284 --> 00:04:46,786 ほかに刺し傷が いくつも。 55 00:04:46,786 --> 00:04:50,657 お手前 名は? 56 00:04:50,657 --> 00:04:53,860 梶 新九郎。 57 00:04:55,495 --> 00:04:57,798 どちらのご家来衆か? 58 00:05:00,433 --> 00:05:02,569 浪人でござる。 59 00:05:02,569 --> 00:05:04,905 居所は? 60 00:05:04,905 --> 00:05:09,576 深川山本町 浄心寺裏 千七長屋。 61 00:05:09,576 --> 00:05:13,580 ああ な~んだ 善人長屋の住人かい。 62 00:05:20,220 --> 00:05:22,923 刀を拝見したい。 63 00:05:25,125 --> 00:05:27,928 俺の仕業とでも? 64 00:05:34,801 --> 00:05:38,605 なら 見ればよい。 65 00:05:48,281 --> 00:05:51,952 佐吉 縄を打て! 66 00:05:51,952 --> 00:05:54,854 けど 榊の旦那 善人長屋の住人が そんな…。 67 00:05:54,854 --> 00:05:58,425 佐吉! 68 00:05:58,425 --> 00:06:01,328 (佐吉)へい…。 69 00:06:01,328 --> 00:06:06,066 やはり 聞く耳は持たぬか。 70 00:06:06,066 --> 00:06:08,568 今 何と言った? 71 00:06:10,570 --> 00:06:13,907 よい。 72 00:06:13,907 --> 00:06:19,779 ん~ そうか。 友達のお目当ては 新九郎様だったのかい。 73 00:06:19,779 --> 00:06:22,916 そうなの。 けどな お縫➡ 74 00:06:22,916 --> 00:06:28,088 素人の娘さんを なるたけ 新九郎様には近づけない方がいい。 75 00:06:28,088 --> 00:06:32,392 新九郎様は 元は上野のお侍で➡ 76 00:06:32,392 --> 00:06:35,929 女でしくじって 国元を離れたそうな。 77 00:06:35,929 --> 00:06:39,766 それが 悪党に落ちた始まりだとも おっしゃってた。 78 00:06:39,766 --> 00:06:44,938 お国元でも やっぱり 女の人といろいろ? 79 00:06:44,938 --> 00:06:47,774 やぼなこと聞くんじゃねえよ。 80 00:06:47,774 --> 00:06:49,709 あっ そう。 81 00:06:49,709 --> 00:06:53,013 男って そういうとこ かばい合うんだから。 82 00:06:56,483 --> 00:06:59,286 (半造)大変だ! 83 00:06:59,286 --> 00:07:01,888 新九郎様が 女殺しで お縄になった! 84 00:07:01,888 --> 00:07:04,724 (お俊)えっ 女殺し!? 85 00:07:04,724 --> 00:07:07,060 お俊。 うん。 半造さん。 86 00:07:07,060 --> 00:07:09,062 へい。 87 00:07:10,730 --> 00:07:13,066 お父っつぁん…。 何かの間違いに違いない。 88 00:07:13,066 --> 00:07:16,369 俺が 直接 番屋に行って 事情を聞いてくる。 89 00:07:22,575 --> 00:07:25,478 おい! もたもたすんな! 90 00:07:25,478 --> 00:07:29,349 お改めが来るぞ! 急げ おい! これ お願い。へい。 91 00:07:29,349 --> 00:07:33,920 どうした? お縫坊。 手が止まってんぞ。 92 00:07:33,920 --> 00:07:38,224 心配すんな。 新九郎様に限って ねえよ。 93 00:07:42,629 --> 00:07:46,099 私のせいだ。 何が? 94 00:07:46,099 --> 00:07:51,771 「女遊びも ほどほどにしないと そのうち 刃傷沙汰になる」。 95 00:07:51,771 --> 00:07:55,608 あんなこと 言わなきゃよかった! 96 00:07:55,608 --> 00:08:02,349 お縫… お前 新九郎様が人を殺したって 本当に思ってるのかい? 97 00:08:02,349 --> 00:08:08,555 だって 女よ。 きっと心中を迫られて 断り切れずに相手を殺して…。 98 00:08:08,555 --> 00:08:11,891 アッハハハッ! おっ母さん! 99 00:08:11,891 --> 00:08:14,928 夢見がちにも程がある。 100 00:08:14,928 --> 00:08:22,902 あのお人は たとえ 己が殺されたって 女だけは 決して死なせやしないさ。 101 00:08:22,902 --> 00:08:27,240 女を 本当に大事になさる。 102 00:08:27,240 --> 00:08:31,911 あのお人の袖が いつも付け文で膨らんでるのは➡ 103 00:08:31,911 --> 00:08:36,616 見目形のせいばかりじゃない。 そうだろ? 104 00:08:41,388 --> 00:08:47,193 そうだった。 江戸一番の女たらしだった。 105 00:08:47,193 --> 00:08:50,397 (儀右衛門) まことに申し訳ございません!➡ 106 00:08:50,397 --> 00:08:55,602 この度は 佐吉親分のお手を煩わせ まことに まことに申し訳なく! 107 00:08:55,602 --> 00:08:59,806 千鳥屋さん もう 頭 上げてくんねえ! 108 00:09:03,209 --> 00:09:08,348 あ~ おみちさん… あ~ なんまんだぶ なんまんだぶ…。 109 00:09:08,348 --> 00:09:12,218 榊の旦那はよ 下手人だと決めつけてるが➡ 110 00:09:12,218 --> 00:09:14,888 場所は寺町外れだ。 111 00:09:14,888 --> 00:09:20,193 町奉行所と寺社奉行所で 手柄の取り合い 小競り合い。 112 00:09:24,230 --> 00:09:28,568 まあ しばらく ここに留め置きだろうよ。 113 00:09:28,568 --> 00:09:33,773 あ~ そう… あの親分は 何で 新九郎様に お縄を? 114 00:09:37,911 --> 00:09:43,583 梶 新九郎は 日頃から女の出入りが激しいらしい。 115 00:09:43,583 --> 00:09:47,087 男女の仲がこじれたあげくの殺しだ。➡ 116 00:09:47,087 --> 00:09:51,591 おみちとは 前から深い仲だったに違いねえ。 117 00:09:51,591 --> 00:09:59,098 なぜなら 仏を抱いて わざわざ ここまで 連れてきたってえのが怪しすぎる。 118 00:09:59,098 --> 00:10:03,770 (佐吉)ま 確かによ 本当に今日が初めてのあいびきなら➡ 119 00:10:03,770 --> 00:10:07,273 普通は そこまでしねえわな。 120 00:10:07,273 --> 00:10:12,111 いくら 善人長屋の善人でもよ。 121 00:10:12,111 --> 00:10:17,917 その上 当の本人が 申し開きしねえんだから…。 122 00:10:17,917 --> 00:10:20,787 はあ!? 申し開きをしてねえ!? 123 00:10:20,787 --> 00:10:23,089 知らねえよ! 124 00:10:28,128 --> 00:10:31,631 銭を使わせ すまんな 差配殿。 125 00:10:31,631 --> 00:10:37,504 何で申し開きをなさらねえんで? 殺してねえんでしょ? 126 00:10:37,504 --> 00:10:42,509 どれほど申し開きをしたところで しかたあるまい。 127 00:10:51,818 --> 00:10:55,989 さすがは 千鳥屋儀右衛門の目だ。 128 00:10:55,989 --> 00:10:59,459 今 己が ヒビの入った茶わんの心持ちがした。 129 00:10:59,459 --> 00:11:02,762 もう見てくれるな。 新九郎様! 130 00:11:02,762 --> 00:11:04,697 何で申し開きをなさらねえんで! 131 00:11:04,697 --> 00:11:06,100 したところで…! 132 00:11:09,636 --> 00:11:12,939 どうにもならぬ。 133 00:11:12,939 --> 00:11:16,776 新九郎様が そんなことを。 134 00:11:16,776 --> 00:11:22,582 「柳に風」と受け流すお人だとは 思ってはいたが➡ 135 00:11:22,582 --> 00:11:27,787 ありゃあ 柳どころか 草一本 生えちゃいねえ。 136 00:11:27,787 --> 00:11:30,123 荒れ野だ。 137 00:11:30,123 --> 00:11:37,430 心の奥の深~いところで 何かを諦めちまってる…。 138 00:11:40,833 --> 00:11:43,136 ねえ お父っつぁん➡ 139 00:11:43,136 --> 00:11:45,972 今度は私が 番屋に様子を見に行ってもいい? 140 00:11:45,972 --> 00:11:48,875 ならねえ。 番屋なんぞ 年頃の娘が行く所じゃねえよ。 141 00:11:48,875 --> 00:11:51,144 でも…。 ⚟千鳥屋! 142 00:11:51,144 --> 00:11:54,981 お~ これは 佐吉親分のところの。 何か御用で? 143 00:11:54,981 --> 00:11:58,818 この千七長屋の店子で 錠前屋の加助ってのは➡ 144 00:11:58,818 --> 00:12:01,788 間違いなく お前んとこの店子だな? 145 00:12:01,788 --> 00:12:04,257 ええ。 え~ 今度は加助さんが 何か? 146 00:12:04,257 --> 00:12:07,760 梶 新九郎は潔白だと 番屋で大騒ぎだ。➡ 147 00:12:07,760 --> 00:12:10,096 あげくに居座って てこでも動かねえ。 148 00:12:10,096 --> 00:12:12,031 ただいま… ただいま すぐに! 149 00:12:12,031 --> 00:12:15,902 お父っつぁん 私が行ってくる! おい お縫! お縫! 150 00:12:15,902 --> 00:12:20,106  心の声 だって 新九郎様の様子を 一目見ないと…。 151 00:12:20,106 --> 00:12:23,409 新九郎様は 人を殺すようなお人じゃねえ! 152 00:12:23,409 --> 00:12:26,112 どうか この縄だけでも 解いてあげておくんさい! 153 00:12:26,112 --> 00:12:28,047 だから 何度も言ってんじゃねえか。➡ 154 00:12:28,047 --> 00:12:31,918 番屋に牢はねえ。 つないどくしかねえんだよ。 155 00:12:31,918 --> 00:12:34,787 だったら あっしも 一緒に ひっくくってくだせえ! 156 00:12:34,787 --> 00:12:40,126 おい おめえら いいかげん こいつ つまみ出せ! 157 00:12:40,126 --> 00:12:44,130 千七長屋の差配の娘 縫と申します。 158 00:12:46,633 --> 00:12:49,969 加助さん ここは ひとまず帰ろう。 ねっ? 159 00:12:49,969 --> 00:12:52,005 いやっ! あっしは帰らねえ! 160 00:12:52,005 --> 00:12:54,440 (佐吉)お前ら なんとかしろ! へい。 161 00:12:54,440 --> 00:12:58,978 おっ! てめえはガキか! 離れろ この野郎! 162 00:12:58,978 --> 00:13:01,381 新九郎様を お解き放ちくだせえ! 163 00:13:01,381 --> 00:13:05,184 それまで あっしは ここを離れねえ! 164 00:13:07,186 --> 00:13:09,255 新九郎様 大丈夫ですか? 165 00:13:09,255 --> 00:13:11,758 早く加助を連れて帰れ。 166 00:13:11,758 --> 00:13:15,928 無理です。 人のために必死になってる加助さんは➡ 167 00:13:15,928 --> 00:13:17,964 お相撲さんだって動かせません。 168 00:13:17,964 --> 00:13:23,603 そうか。 これが噂の善人加助のおせっかいか。➡ 169 00:13:23,603 --> 00:13:25,538 骨身にしむが。 170 00:13:25,538 --> 00:13:33,279 それより 娘さんの骸を見つけた時 何か気にかかったこと なかったですか? 171 00:13:33,279 --> 00:13:37,283 くしが落ちていた。 娘のものだ。➡ 172 00:13:37,283 --> 00:13:42,622 開いた目で じ~っと くしを見ている様が哀れでな➡ 173 00:13:42,622 --> 00:13:46,125 髪に戻しておいた。 ほかには? 174 00:13:49,295 --> 00:13:53,633 袈裟懸けが逆だった。 逆? 175 00:13:53,633 --> 00:13:57,303 刀は普通 右肩に担ぐ。 176 00:13:57,303 --> 00:14:06,379 そのまま下ろせば 相手の左首から… 刀が入る。 177 00:14:06,379 --> 00:14:14,087 だが 娘の骸は 右首から入り 袈裟懸けに斬り下ろされていた。 178 00:14:19,258 --> 00:14:24,130 下手人は 左利きかもしれぬ。 179 00:14:24,130 --> 00:14:26,632 左利き…。 180 00:14:28,968 --> 00:14:35,708 すまんな。 何がです? 181 00:14:35,708 --> 00:14:39,946 長屋の衆に余計な火の粉がかからぬよう➡ 182 00:14:39,946 --> 00:14:44,817 さっさと 咎を受けて しまいにするつもりだよ。 183 00:14:44,817 --> 00:14:50,590  心の声 これが お父っつぁんの言ってた 心の中の荒れ野…。➡ 184 00:14:50,590 --> 00:14:55,094 深いところで 何かを諦めちまってる…。 185 00:14:58,331 --> 00:15:04,570 うちの長屋を 甘く見てもらっちゃ困ります。 ん? 186 00:15:04,570 --> 00:15:10,443 必ず下手人を捕まえて この縄 解いてさしあげます。 187 00:15:10,443 --> 00:15:12,445 諦めちゃ終わりです! 188 00:15:12,445 --> 00:15:19,452 うちの長屋の悪党なら悪党らしく 往生際は悪くなくっちゃいけません。 189 00:15:28,594 --> 00:15:32,465 フフ… ハハハハハ…。 190 00:15:32,465 --> 00:15:35,468 ハハハハハハハハハハッ! 191 00:15:35,468 --> 00:15:38,271 何事だ? ハハハハハッ! 192 00:15:38,271 --> 00:15:41,274 いえ 何でも。 193 00:15:41,274 --> 00:15:44,610 うう~! 194 00:15:44,610 --> 00:15:50,116 なら 少し 望みをつないでみようかな。 195 00:15:55,955 --> 00:16:02,061 <私たちは手分けして おみちさんと関わりのある人を探した。➡ 196 00:16:02,061 --> 00:16:07,733 下手人は 相当な憎しみを持っていると お父っつぁんは にらんだ。➡ 197 00:16:07,733 --> 00:16:09,669 そして…> 198 00:16:09,669 --> 00:16:12,238 いや~ びっくりたまげたね。 199 00:16:12,238 --> 00:16:14,240 あの殺された おみちって娘➡ 200 00:16:14,240 --> 00:16:17,109 男出入りの激しさは 新九郎様と いい勝負だ。 201 00:16:17,109 --> 00:16:19,111 本当? (唐吉)町人は無論➡ 202 00:16:19,111 --> 00:16:23,850 お旗本から 行きずりの男まで 取っ替え引っ替えの ありさまで。 203 00:16:23,850 --> 00:16:28,788 全くな。 桂井といや そこそこの料理屋。 204 00:16:28,788 --> 00:16:31,490 そこの箱入り娘が とんだ…。 205 00:16:34,260 --> 00:16:36,929 親泣かせでやす。 箱入り娘が➡ 206 00:16:36,929 --> 00:16:38,965 何で そんなことに なっちまったんだろうね? 207 00:16:38,965 --> 00:16:43,603 いや~ しかし 参ったなあ。 208 00:16:43,603 --> 00:16:47,473 そんなに男が多いんじゃ 絞り込むにも時がかかるし➡ 209 00:16:47,473 --> 00:16:52,945 その間に伝馬町送りになっちまったら もう助けるすべがねえ。 210 00:16:52,945 --> 00:16:56,616 旦那 その伝馬町送り もうしばらく かかるそうで。 211 00:16:56,616 --> 00:16:58,551 (儀右衛門) えっ どういうことよ? 半造さん。 212 00:16:58,551 --> 00:17:02,221 あの善人野郎が 番屋の外に響く大きな声で➡ 213 00:17:02,221 --> 00:17:06,726 「下手人の確たる証しは どこにもねえ」 って騒ぎ立てるもんだから➡ 214 00:17:06,726 --> 00:17:09,762 同心の榊様も 頭を抱えてるようで。 215 00:17:09,762 --> 00:17:13,232 (唐吉)うまい具合に 時を稼いでくれてるってわけか。 216 00:17:13,232 --> 00:17:17,236 「知らぬが仏」だ。 あの善人野郎め! 217 00:17:17,236 --> 00:17:20,106 じゃあ うまくいけば お解き放ちに? 218 00:17:20,106 --> 00:17:25,244 いや 下手人の確たる証しはねえが 潔白のそれもねえ。 219 00:17:25,244 --> 00:17:30,750 本人が申し開きをしねえ限り いずれは伝馬町送りだ。 220 00:17:33,953 --> 00:17:38,257 お父っつぁん おみちさんのお通夜は? 221 00:17:38,257 --> 00:17:42,128 あ… 仏さんが うちに戻ったのが ついさっきだから➡ 222 00:17:42,128 --> 00:17:47,266 明日が通夜で 葬式は その2~3日先だろう。 223 00:17:47,266 --> 00:17:49,201 お父っつぁん! 224 00:17:49,201 --> 00:17:53,406 質流れのくしを頂戴。 それも 極上のくし! 225 00:17:53,406 --> 00:17:57,109 くしを? 私に考えがあるの。 226 00:18:08,721 --> 00:18:11,023 (新九郎)おい! おい! 227 00:18:13,059 --> 00:18:23,369 ♬~ 228 00:18:23,369 --> 00:18:29,175 <私は 文さんをお供にして おみちさんの通夜に行った。➡ 229 00:18:29,175 --> 00:18:35,114 前からの友達と名乗って…。 ごめんね おみちさん> 230 00:18:35,114 --> 00:18:37,750 よく来てくれました。 231 00:18:37,750 --> 00:18:43,255 おみちに こんな かわいい友達が まだ いたなんて…。 232 00:18:43,255 --> 00:18:48,127 男出入りが多くなってから こっち➡ 233 00:18:48,127 --> 00:18:52,431 友達に嫌われちまってね。 234 00:19:00,539 --> 00:19:06,045 これを おみっちゃんと一緒に 埋めてあげてください。 235 00:19:06,045 --> 00:19:09,348 友達のしるしに。 236 00:19:09,348 --> 00:19:14,053 それで… よければ…➡ 237 00:19:14,053 --> 00:19:20,059 そのくし おみっちゃんの形見に 頂けませんか? 238 00:19:27,066 --> 00:19:31,904 しかし 下手人が わざわざ通夜に来るかねえ。 239 00:19:31,904 --> 00:19:35,775 来るわよ。 きっと来る。 240 00:19:35,775 --> 00:19:39,578 私が下手人だったら やっぱり気になるもの。 241 00:19:39,578 --> 00:19:43,749 殺した娘のことがか? 242 00:19:43,749 --> 00:19:47,253 それもだけど…➡ 243 00:19:47,253 --> 00:19:52,091 新九郎様が ずっと番屋に 留め置きになってるでしょ? 244 00:19:52,091 --> 00:19:54,927 なぜだろうって気になるもの。 245 00:19:54,927 --> 00:19:57,963 いろいろ探りたくなるのが 人情ってもんよ。 246 00:19:57,963 --> 00:19:59,965 ふ~ん。 247 00:20:01,801 --> 00:20:04,937 このくしは下手人を知ってる。 248 00:20:04,937 --> 00:20:08,941 下手人も このくしを知ってる。 249 00:20:17,950 --> 00:20:21,787 ささ。 250 00:20:21,787 --> 00:20:25,124 あ~。 251 00:20:25,124 --> 00:20:28,427 すまんな。 いえ。 252 00:20:39,638 --> 00:20:45,978 加助。 なぜ それほど 俺の世話を焼く? 253 00:20:45,978 --> 00:20:50,783 新九郎様を 一人で ほっぽっとくわけにゃいきやせん。 254 00:20:55,154 --> 00:21:04,463 あっしは去年 赤坂の大火事で 女房と娘を亡くしやした。 255 00:21:06,265 --> 00:21:14,406 火が出た時 下谷の錠前の師匠の家におりやして➡ 256 00:21:14,406 --> 00:21:17,910 てめえ一人 生き残っちまって。 257 00:21:20,212 --> 00:21:26,619 もし そん時… そん時ね…➡ 258 00:21:26,619 --> 00:21:33,926 女房と娘のそばにいりゃ 助けられたかもしれねえ…。 259 00:21:38,130 --> 00:21:42,001 だから 決めたんでやす。 260 00:21:42,001 --> 00:21:45,437 ここが肝心と思う時は➡ 261 00:21:45,437 --> 00:21:51,143 大事な人のそばにいて てこでも動かねえって。 262 00:21:51,143 --> 00:22:01,387 今がね… 今が その時と思うだけで。 それだけでやす。 263 00:22:01,387 --> 00:22:12,598 ♬~ 264 00:22:12,598 --> 00:22:19,104 俺は…➡ 265 00:22:19,104 --> 00:22:24,610 上野の小藩の 国家老のせがれとして生まれた。 266 00:22:24,610 --> 00:22:30,783 お国家老様の…? なに 三男坊さ。 267 00:22:30,783 --> 00:22:34,620 当時は おなごに ようモテて➡ 268 00:22:34,620 --> 00:22:40,793 色男めと 朋輩どもに よく からかわれた。 269 00:22:40,793 --> 00:22:46,298 今より おモテに? へえ~。 270 00:22:46,298 --> 00:22:51,804 それが… 災いしたのだろうか。 271 00:22:54,173 --> 00:22:57,376 友のいいなずけが自害した。 272 00:23:03,082 --> 00:23:09,388 友は 俺が そのいいなずけに 無体を働いたためだと➡ 273 00:23:09,388 --> 00:23:11,690 目付に訴えた。 274 00:23:14,226 --> 00:23:18,130 もちろん 俺は そんなことはしておらん。 だが…。 275 00:23:18,130 --> 00:23:22,401 父上 申し開きを! せめて申し開きを! 276 00:23:22,401 --> 00:23:27,773 切腹は明朝。 よいな? 277 00:23:27,773 --> 00:23:34,280 父上! 父上は私を信じてはくれぬのですか! 278 00:23:34,280 --> 00:23:39,285 己の日頃の行いが…! 279 00:23:45,891 --> 00:23:51,630 (新九郎) 俺は つくづく武家が嫌になった。 280 00:23:51,630 --> 00:23:57,436 同情してくれた者もあり 力を借りて出奔した。 281 00:24:00,439 --> 00:24:08,080 国元では切腹したとされ 墓まであるそうな。 282 00:24:08,080 --> 00:24:14,386 生きて汚名をそそげず 亡霊となった。 283 00:24:14,386 --> 00:24:18,257 武家は無慈悲で冷たい。 284 00:24:18,257 --> 00:24:21,260 しかし…➡ 285 00:24:21,260 --> 00:24:25,764 町人は温かいな。 286 00:24:25,764 --> 00:24:28,400 加助。 287 00:24:28,400 --> 00:24:35,774 お縫も お前も 長屋の皆も➡ 288 00:24:35,774 --> 00:24:48,787 申し開きをせぬ俺の潔白を信じ 怒り 叱り 世話をする。 289 00:24:48,787 --> 00:24:55,494 俺は… 皆が好きだよ。 290 00:25:02,234 --> 00:25:06,071 新九郎様…➡ 291 00:25:06,071 --> 00:25:09,908 あっしも 新九郎様が好きでやす。 292 00:25:09,908 --> 00:25:17,383 新九郎様は あっしに 立派な看板を書いてくださった。 293 00:25:17,383 --> 00:25:25,591 あの字を見た時 あっしの中に そよ風が吹きやした。 294 00:25:25,591 --> 00:25:31,096 どんなに つらくても 悲しくても➡ 295 00:25:31,096 --> 00:25:39,772 「さあ 前を向いて お稼ぎよ!」って…➡ 296 00:25:39,772 --> 00:25:44,109 女房の…➡ 297 00:25:44,109 --> 00:25:48,981 声が… 聞こえた気がしたんでさ。 298 00:25:48,981 --> 00:25:55,421 あっしは… あっしは…。 299 00:25:55,421 --> 00:25:57,923 泣くな 加助。 300 00:26:01,894 --> 00:26:06,565 女の涙なら 乾かしようもあるが➡ 301 00:26:06,565 --> 00:26:13,906 男の涙は… どうしてよいか分からぬ。 302 00:26:13,906 --> 00:26:26,485 ♬~ 303 00:26:26,485 --> 00:26:32,091 もう来ねえって。 諦めて帰ろうや お縫坊。 304 00:26:32,091 --> 00:26:34,927 店にも迷惑だ。 305 00:26:34,927 --> 00:26:39,264 来るわ。 きっと来る。 けどよ…。 306 00:26:39,264 --> 00:26:41,467 文さん。 307 00:26:43,268 --> 00:26:57,950 ♬~ 308 00:26:57,950 --> 00:27:00,919 (文吉)左利きだ…。 309 00:27:00,919 --> 00:27:04,356  心の声 私の勘が騒いでる。➡ 310 00:27:04,356 --> 00:27:09,061 悪党のにおいが… すごく強い。 311 00:27:09,061 --> 00:27:18,737 ♬~ 312 00:27:18,737 --> 00:27:21,073  心の声 こいつだ。 313 00:27:21,073 --> 00:27:23,075 あら やだ。 314 00:27:31,783 --> 00:27:34,586 お縫坊。 315 00:27:34,586 --> 00:27:36,588 お願い。 316 00:27:45,931 --> 00:27:49,401 (下っ引きたち)おお~! 317 00:27:49,401 --> 00:27:54,106 こいつは豪勢だ! 318 00:27:54,106 --> 00:27:56,942 おひとつ どうぞ。 そいつは いけねえ。 319 00:27:56,942 --> 00:27:58,977 それだけは いけねえよ。 320 00:27:58,977 --> 00:28:03,549 いつも うちの店子が お世話になってるんですから せめてもの。 321 00:28:03,549 --> 00:28:05,484 男前の親分さん。 322 00:28:05,484 --> 00:28:09,688 よせやい。 おっととと…! 323 00:28:11,423 --> 00:28:15,227 うめえ! (笑い声) 324 00:28:20,365 --> 00:28:23,068 新九郎様。 ん? 325 00:28:23,068 --> 00:28:28,373 仙場和氏という浪人者に 心当たりはありませんか? 326 00:28:28,373 --> 00:28:31,076 仙場? ご存じなんですね。 327 00:28:31,076 --> 00:28:33,979 お縫さん 誰だい? その仙場ってのは。 328 00:28:33,979 --> 00:28:36,381 ゆうべ 文さんが 後をつけてくれたの。 329 00:28:36,381 --> 00:28:38,317 何で? どこで? 330 00:28:38,317 --> 00:28:43,755 お縫。 仙場和氏が 江戸にいるのか? 331 00:28:43,755 --> 00:28:47,593 はい。 元は上野のお侍だそうですが。 332 00:28:47,593 --> 00:28:51,763 上野? 新九郎様と同じお国の。 333 00:28:51,763 --> 00:28:54,266 半造おじさんが聞き込んでくれました。 334 00:28:54,266 --> 00:28:57,936 国で何やら しくじりを重ねて お役を解かれて➡ 335 00:28:57,936 --> 00:29:01,206 5年前に江戸に来たと。 へえ~。 336 00:29:01,206 --> 00:29:04,042 髪結は よろず早耳だが➡ 337 00:29:04,042 --> 00:29:06,712 そんなことまで聞こえてくるってのは すげえな。 338 00:29:06,712 --> 00:29:10,048 そうよ! 半造おじさんは すごいの! 339 00:29:10,048 --> 00:29:12,951 (佐吉)えっ 何が すごいんだ? 340 00:29:12,951 --> 00:29:17,356 ささ 親分 親分! 何が すごいんだ? 341 00:29:17,356 --> 00:29:19,291 お縫。 342 00:29:19,291 --> 00:29:23,562 仙場と おみちは どういう関わりなのだ? 343 00:29:23,562 --> 00:29:26,365 少し前まで つきあってたみたいです。 344 00:29:26,365 --> 00:29:31,570 その おみちさんって人が 新九郎様にも文を…。 345 00:29:31,570 --> 00:29:33,605 それで仙場が嫉妬して➡ 346 00:29:33,605 --> 00:29:39,311 たまたま 新九郎様とのあいびきの場所で 殺したんじゃないかって お父っつぁんが。 347 00:29:41,747 --> 00:29:45,250 あの むごい刺し傷は…➡ 348 00:29:45,250 --> 00:29:49,254 嫉妬ではなく憎しみだ。 349 00:29:49,254 --> 00:29:53,759 仙場が憎しみをぶつけた相手は おみちではなく…。 350 00:29:56,395 --> 00:30:00,098 俺だ。 351 00:30:00,098 --> 00:30:06,872 そうか。 そのまま黙っちまわれたか…。 352 00:30:06,872 --> 00:30:11,810 あ~! 分かんない! 353 00:30:11,810 --> 00:30:15,580 よし! お父っつぁん どこに? 354 00:30:15,580 --> 00:30:19,951 八丁堀だ。 八丁堀って… まさか同心の!? 355 00:30:19,951 --> 00:30:23,622 このまま 新九郎様を 見殺しにするわけにはいかねえだろ。 356 00:30:23,622 --> 00:30:25,557 けど! あれ? 357 00:30:25,557 --> 00:30:33,632 何だ お縫 そんなに お父っつぁんが心配?はあ? 358 00:30:33,632 --> 00:30:36,968 それより 何する気? 359 00:30:36,968 --> 00:30:43,642 新九郎様が黙っちまったなら しゃべってもらうのは 一人しかいねえ。 360 00:30:43,642 --> 00:30:46,311 一人って? ああ。 361 00:30:46,311 --> 00:30:48,613 お父っつぁんの出番だ。 362 00:30:51,149 --> 00:30:53,985 さあさあ さあさあ 大変だ! 大変だ! 363 00:30:53,985 --> 00:31:03,395 本所緑町 桂井の娘 おみち殺しの下手人が よもやよもやのお解き放ちだ~!➡ 364 00:31:03,395 --> 00:31:10,936 千七長屋の代筆屋で 当代きっての色男が 身の証しを立てちまった。➡ 365 00:31:10,936 --> 00:31:13,772 まことの下手人は 果たして いずこ!➡ 366 00:31:13,772 --> 00:31:17,275 手がかりは ありや なしや! 367 00:31:17,275 --> 00:31:21,146 さあ! さあさあ さあさあ! 買った 買った 買った~! 368 00:31:21,146 --> 00:32:17,769 ♬~ 369 00:32:17,769 --> 00:32:22,607 (仙場) 解き放たれたとは まことであったか。 370 00:32:22,607 --> 00:32:26,778 おみちを手にかけたのは お主なのか。 371 00:32:26,778 --> 00:32:29,114 ああ。 372 00:32:29,114 --> 00:32:32,784 なぜだ? 373 00:32:32,784 --> 00:32:34,986 なぜ? 374 00:32:37,656 --> 00:32:42,294 俺は お前に いいなずけの志乃を奪われ 全てを失ったのだ。 375 00:32:42,294 --> 00:32:44,629 違う! 376 00:32:44,629 --> 00:32:51,503 お主は 俺が志乃殿に無体を働いたと訴えたが➡ 377 00:32:51,503 --> 00:32:58,310 俺は断じて… 断じて そのようなことはしておらん! 378 00:32:58,310 --> 00:33:03,114 ハッハッハッ! アハハハハハハッ! 379 00:33:03,114 --> 00:33:07,752 そうとも。 お前は志乃に 指一本 触れてはおらぬ。 380 00:33:07,752 --> 00:33:10,255 思いを寄せたのは志乃の方だ。 381 00:33:10,255 --> 00:33:14,759 あの女 お前を好きになったと俺に言った。 382 00:33:14,759 --> 00:33:21,066 俺との縁談を… なかったことにすると。 383 00:33:26,271 --> 00:33:32,143 仙場 まさか お主が…。 384 00:33:32,143 --> 00:33:51,129 ♬~ 385 00:33:51,129 --> 00:33:57,302 (仙場) 俺は 志乃を心底かわいく思っていた。➡ 386 00:33:57,302 --> 00:34:03,008 なのに お前が… 俺から志乃を奪った! 387 00:34:06,011 --> 00:34:09,381 仙場…。 388 00:34:09,381 --> 00:34:13,752 俺の訴えで お前は 腹を切らされるはずだった。 389 00:34:13,752 --> 00:34:18,957 しかし お前は 行方をくらませた。 390 00:34:23,461 --> 00:34:27,933 おみちを殺したのは なぜだ? 391 00:34:27,933 --> 00:34:30,769 ああ…。 392 00:34:30,769 --> 00:34:37,275 (おみち)私ね 好きな人ができちゃったの。 誰だ? 393 00:34:37,275 --> 00:34:41,613 (おみち)梶 新九郎様といって…➡ 394 00:34:41,613 --> 00:34:46,785 そりゃあ 男前なの。 梶…。 395 00:34:46,785 --> 00:34:50,422 明日 あいびきなの。 396 00:34:50,422 --> 00:34:56,227 だから 私たちは 今日でおしまいよ 仙場様。 397 00:34:56,227 --> 00:34:59,798 (仙場)やはり お前は生きていた。 398 00:34:59,798 --> 00:35:03,768 同じ この江戸にいると 俺は悟った。 399 00:35:03,768 --> 00:35:10,742 これは 志乃が俺に… いいなずけの この俺に…➡ 400 00:35:10,742 --> 00:35:14,613 敵討ちをせよと命じたのだと! 401 00:35:14,613 --> 00:35:18,617 なぜ おみちを殺したのだ! 402 00:35:18,617 --> 00:35:21,753 俺ではなく おみちを! 403 00:35:21,753 --> 00:35:28,626 志乃を自害に追いやった その咎を のうのうと逃れた男に 今度こそ➡ 404 00:35:28,626 --> 00:35:32,931 女殺しで罰を受けさせたいではないか。 405 00:35:36,601 --> 00:35:39,104 新九郎様。 406 00:35:42,474 --> 00:35:44,676 おみち。 407 00:35:50,148 --> 00:35:54,452 あ… あ… あ… あ…。 408 00:36:04,562 --> 00:36:07,065 新九郎! (刺す音) 409 00:36:07,065 --> 00:36:09,367 梶 新九郎! (刺す音) 410 00:36:09,367 --> 00:36:13,371 うう~! うう~! うう~! (刺す音) 411 00:36:20,011 --> 00:36:23,381 おみち…。 (仙場)その顔だ。 412 00:36:23,381 --> 00:36:26,918 なぜ 己を捨て置き 女を哀れむ。 413 00:36:26,918 --> 00:36:31,589 ああ~ もう我慢できん! この手で たたっ斬ってやる! 414 00:36:31,589 --> 00:36:33,525 御用だ! 御用だ! 415 00:36:33,525 --> 00:36:35,727 御用だ! 御用だ! 416 00:36:40,265 --> 00:36:44,269 離せ! おい やめろ! 離せ! 417 00:36:44,269 --> 00:36:46,771 離せ! 離せ~! 418 00:36:46,771 --> 00:36:52,410 仙場和氏! お主の 今 申したこと 全て この耳で聞いた。 419 00:36:52,410 --> 00:36:55,613 おみち殺しの咎で召し捕る!➡ 420 00:36:55,613 --> 00:36:58,516 神妙にせい! 421 00:36:58,516 --> 00:37:00,718 千鳥屋! 422 00:37:04,422 --> 00:37:07,225 下手人を おびき出すだと? 423 00:37:07,225 --> 00:37:11,096 榊様が お乗りくださらないなら➡ 424 00:37:11,096 --> 00:37:14,299 寺社方に話を持ちかけます。 425 00:37:17,869 --> 00:37:23,675 フッフッフッ… ハハハハハハッ! 426 00:37:23,675 --> 00:37:26,077 長屋に返すのは3日のみ。 427 00:37:26,077 --> 00:37:30,582 逃亡されては かなわぬゆえ 縄は解かぬ。 428 00:37:30,582 --> 00:37:32,584 それでいいか? 429 00:37:35,253 --> 00:37:37,589 新九郎様! 430 00:37:37,589 --> 00:37:41,926 新九郎様! 今 解きやすぜ! 431 00:37:41,926 --> 00:37:47,098 畜生! 何日も つないだままにしてたから 固くて解けねえ! 432 00:37:47,098 --> 00:37:50,301 よかった! 本当に よかった! 433 00:37:52,270 --> 00:37:54,272 うお~! 434 00:37:55,940 --> 00:37:58,409 死ね~! 新九郎様! 435 00:37:58,409 --> 00:38:00,411 お縫! 436 00:38:03,882 --> 00:38:06,217 なぜ抜けぬ!? なぜだ! 437 00:38:06,217 --> 00:38:08,153 うわ~! 加助! 438 00:38:08,153 --> 00:38:11,055 この野郎! ああ~! 439 00:38:11,055 --> 00:38:13,091 ああ~! うう…! 440 00:38:13,091 --> 00:38:16,728 (佐吉)行くぞ。 立て!➡ 441 00:38:16,728 --> 00:38:18,663 立て~! 442 00:38:18,663 --> 00:38:23,234 新九郎~! 梶 新九郎~! 443 00:38:23,234 --> 00:38:27,238 貴様! 許さんぞ! 志乃を返せ! 444 00:38:27,238 --> 00:38:31,743 (佐吉)行くぞ! (仙場)志乃~! 志乃~! 445 00:38:34,746 --> 00:38:39,083 ふんっ! ふんっ! 446 00:38:39,083 --> 00:38:53,631 ♬~ 447 00:38:53,631 --> 00:38:56,267 (儀右衛門)おみちさんの血だ。 448 00:38:56,267 --> 00:39:03,708 あの野郎 殺したあと 血を拭わずに 鞘に納めてやがったんだ。 449 00:39:03,708 --> 00:39:08,346 <それは 乾いた血で固まった➡ 450 00:39:08,346 --> 00:39:11,049 抜けずの刀だった> 451 00:39:11,049 --> 00:39:27,365 ♬~ 452 00:39:27,365 --> 00:39:33,571 あの時は 死ぬかと思った…。 453 00:39:33,571 --> 00:39:38,376 あれから 半造さんに調べてもらったんだがね➡ 454 00:39:38,376 --> 00:39:43,748 おみちさん 文字どおりの箱入り娘だったが➡ 455 00:39:43,748 --> 00:39:51,489 3年ほど前に お稽古事の帰りに 荒くれ者たちに さらわれて➡ 456 00:39:51,489 --> 00:39:57,929 無体を受けたって噂があったそうだ。 え…。 457 00:39:57,929 --> 00:40:03,101 それから 男遊びが始まった。 458 00:40:03,101 --> 00:40:07,972 まるで 自分を罰するかのように➡ 459 00:40:07,972 --> 00:40:13,278 次から次に 男に身を任せて…。 460 00:40:13,278 --> 00:40:18,416 けど 本気で ほれ合った男は いなかったようだ。 461 00:40:18,416 --> 00:40:24,122 ほれる ほれないは… 心だからね。 462 00:40:27,158 --> 00:40:30,795 (お俊)新九郎様は そんな おみちさんに➡ 463 00:40:30,795 --> 00:40:37,435 くしを髪に戻してあげて 番屋に連れてってあげた。➡ 464 00:40:37,435 --> 00:40:44,142 ひどい目に遭ってから ずっと 自分を大事にできなかった娘が➡ 465 00:40:44,142 --> 00:40:49,314 死んで初めて大事にされた。➡ 466 00:40:49,314 --> 00:40:57,055 だから 自分の血で新九郎様を守った。➡ 467 00:40:57,055 --> 00:41:02,260 それが 抜けずの刀。 468 00:41:02,260 --> 00:41:07,398 私にはね そう思えてならないんだよ。 469 00:41:07,398 --> 00:41:09,334 (足音) 470 00:41:09,334 --> 00:41:12,103 (新九郎)おはよう。 471 00:41:12,103 --> 00:41:14,138 おはようございます。 おはようございます。 472 00:41:14,138 --> 00:41:17,608 今日は一段と いい男っぷりだ。 473 00:41:17,608 --> 00:41:22,280 ひょっとして また女ですか? 474 00:41:22,280 --> 00:41:27,151 新九郎様 懲りてないんですか? そう言うな。 475 00:41:27,151 --> 00:41:29,787 そうだ 礼を言わねばな。 476 00:41:29,787 --> 00:41:33,124 えっ 私 何かしましたっけ? 477 00:41:33,124 --> 00:41:35,960 ああ。 悪党は悪党らしく…。 478 00:41:35,960 --> 00:41:39,430 往生際は悪くなくっちゃいけません。 479 00:41:39,430 --> 00:41:41,933 つまらぬ俺を叱ってくれた。 480 00:41:46,137 --> 00:41:48,439 ありがとう。 481 00:41:50,641 --> 00:41:52,643 では。 482 00:41:57,982 --> 00:42:00,752 ちっとも懲りてないみたい。 483 00:42:00,752 --> 00:42:05,256 寺町のお堂に 線香を手向けに行かれるんだよ。 484 00:42:07,925 --> 00:42:11,729 今日は おみちさんの初七日だ。 485 00:42:16,267 --> 00:42:18,202 おはよう! 486 00:42:18,202 --> 00:42:20,605 おはよう 加助さん。 早いのね。 487 00:42:20,605 --> 00:42:24,409 もうじき 錠前稼業も開店だね。 しっかり お稼ぎよ。 488 00:42:24,409 --> 00:42:26,778 へい! 行ってきやす! 489 00:42:26,778 --> 00:42:29,280 (2人)行ってらっしゃい。 490 00:42:31,649 --> 00:42:34,952 行ってらっしゃい! 491 00:42:34,952 --> 00:42:38,289 8両も 余計に ふんだくるなんて 騙りだわ。 492 00:42:38,289 --> 00:42:41,125 けど うちの長屋にだって 騙りの玄人がいる。 493 00:42:41,125 --> 00:42:44,162 ただより高いものはない! 494 00:42:44,162 --> 00:42:46,297 (笑い声) 495 00:42:46,297 --> 00:42:49,133 とぼけるない! 騙りの親分を相手にすりゃあ➡ 496 00:42:49,133 --> 00:42:51,169 これまでみたいな やけどじゃ済まねえ。 497 00:42:51,169 --> 00:42:55,173 それじゃ 人でいるのをやめるのと同じよ。