1 00:00:33,384 --> 00:00:35,787 <時は幕末 所はお江戸。➡ 2 00:00:35,787 --> 00:00:39,657 参勤交代で 花のお江戸に まかり越した 酒田伴四郎。➡ 3 00:00:39,657 --> 00:00:41,659 食いしん坊の 寂しがり➡ 4 00:00:41,659 --> 00:00:44,796 風雲急を告げる巷の熱狂も どこ吹く風と➡ 5 00:00:44,796 --> 00:00:47,465 のんきな毎日を 過ごしておりました。➡ 6 00:00:47,465 --> 00:00:49,400 そんなある日 ひょんな事から➡ 7 00:00:49,400 --> 00:00:51,335 自藩のお殿様と知り合った 伴四郎は➡ 8 00:00:51,335 --> 00:00:53,805 さまざまな面倒事に 巻き込まれるも➡ 9 00:00:53,805 --> 00:00:56,307 その全てを あの手この手の手料理で➡ 10 00:00:56,307 --> 00:00:58,242 解決する事となるのです。➡ 11 00:00:58,242 --> 00:01:01,813 はてさて 今日は どんな事件に巻き込まれるやら…> 12 00:01:01,813 --> 00:01:06,684 酒田伴四郎よ 前へ。 はっ。 13 00:01:06,684 --> 00:01:16,360 ♬~ 14 00:01:16,360 --> 00:01:21,499 昨年 我が妻 千代のために 心を尽くした膳を支度し➡ 15 00:01:21,499 --> 00:01:25,169 よくぞ そのふさいだ心を 解きほぐしてくれたな。 16 00:01:25,169 --> 00:01:29,841 そなたの食に対する誠実さは 藩邸でも評判だ。 17 00:01:29,841 --> 00:01:33,611 もったいなきお言葉です。 18 00:01:33,611 --> 00:01:35,546 褒美を取らす。 19 00:01:35,546 --> 00:01:37,746 ありがたき幸せ。 20 00:01:42,320 --> 00:01:56,801 ♬~ 21 00:01:56,801 --> 00:02:01,672 こりゃ うまい! (どよめき) 22 00:02:01,672 --> 00:02:05,309 この軍鶏鍋は…➡ 23 00:02:05,309 --> 00:02:10,481 鶏肉の宝石箱よ! (歓声) 24 00:02:10,481 --> 00:02:13,384 本当ですか? 伴四郎様。 本当だ。 25 00:02:13,384 --> 00:02:17,384 今や「きじや」の軍鶏鍋は お江戸一! 26 00:02:21,192 --> 00:02:24,829 ありがとうございました。 きゃ~ 伴様~! 27 00:02:24,829 --> 00:02:27,164 伴様 うちにも 寄ってってちょうだいな。 28 00:02:27,164 --> 00:02:30,001 うちが先です! い~や うちが本命でしょう? 29 00:02:30,001 --> 00:02:31,936 いやもう 腹は いっぱいなんだが…。 30 00:02:31,936 --> 00:02:34,272 (3人)もう! そんな事言わずにさあ。 31 00:02:34,272 --> 00:02:39,110 じゃあ 少しだけ。 (拍手) 32 00:02:39,110 --> 00:02:46,450 蕎麦の… 天の川よ! 33 00:02:46,450 --> 00:02:51,750 大福の… 富士山よ! 34 00:02:53,791 --> 00:02:58,129 寿司の…➡ 35 00:02:58,129 --> 00:03:01,465 宝石ば…。 36 00:03:01,465 --> 00:03:04,165 賽銭箱よ! 37 00:03:05,803 --> 00:03:09,640 (歓声) 38 00:03:09,640 --> 00:03:24,655 ♬~ 39 00:03:24,655 --> 00:03:29,827 (平三)何が「賽銭箱」よ! 全く 意味が分からん。 40 00:03:29,827 --> 00:03:33,698 おお 確かに。 41 00:03:33,698 --> 00:03:37,101 伴四郎殿は いつの間に こんな評判に…。 42 00:03:37,101 --> 00:03:40,938 全ては 高野の殿様のせいじゃ。 43 00:03:40,938 --> 00:03:44,275 考えもなしに 褒美など取らせたがために➡ 44 00:03:44,275 --> 00:03:50,448 伴四郎も世間も勘違いをしておる。 江戸料理のご意見番か何かとな。 45 00:03:50,448 --> 00:03:55,748 全く あのバカ殿め! 「バカ殿」は言い過ぎでは…。 46 00:03:57,321 --> 00:04:02,626 あ~ 伴四郎め だいぶ調子に乗っておるようじゃ。 47 00:04:02,626 --> 00:04:05,463 (千代) あなたが褒美を与えたのです。 48 00:04:05,463 --> 00:04:08,132 え? いや しかし こうして➡ 49 00:04:08,132 --> 00:04:12,303 そなたと食事を共にするように なったのも 伴四郎のおかげ。 50 00:04:12,303 --> 00:04:15,639 褒美の一つくらいは 授けて当然と思ったがな。 51 00:04:15,639 --> 00:04:18,309 そんな理屈を語らずとも➡ 52 00:04:18,309 --> 00:04:21,979 あなたは 酒田伴四郎が ただ お好きなのでしょう? 53 00:04:21,979 --> 00:04:26,851 まさか…。 たかが衣紋方の 端くれに対して 好きも嫌いも…。 54 00:04:26,851 --> 00:04:31,155 しかし その「端くれ」の話ばかり するではありませんか! 55 00:04:31,155 --> 00:04:33,424 屋敷にいるはずのあなたが➡ 56 00:04:33,424 --> 00:04:37,595 どこで そんな話を耳に入れるのか 知りませんが。 57 00:04:37,595 --> 00:04:44,101 いや…。 清之助にも同じく 関心を寄せて頂きたいものです。 58 00:04:44,101 --> 00:04:49,974 私一人が気をもんでいるようで 少々寂しい気も致します。 59 00:04:49,974 --> 00:04:54,111 養子とはいえ 清之助は跡継ぎなのですから。 60 00:04:54,111 --> 00:04:58,449 しかし 今のあやつに 藩主が務まるか…。 61 00:04:58,449 --> 00:05:00,785 元服を済ませたとはいえ➡ 62 00:05:00,785 --> 00:05:05,485 今のままでは 家督を譲る訳にはいかん。 63 00:05:08,292 --> 00:05:13,130 伴四郎。 お主に ちと頼みがある。 64 00:05:13,130 --> 00:05:16,801 よく似合うておる。 伴四郎様ったら お上手。 65 00:05:16,801 --> 00:05:19,703 おっ 帯まで新しく…。 聞けい! 66 00:05:19,703 --> 00:05:22,306 そんなに どならなくても…。 67 00:05:22,306 --> 00:05:26,477 どうせ また あれが食いたい これが食いたいの頼みでしょ? 68 00:05:26,477 --> 00:05:30,648 お主 清之助の側用人にならんか? 69 00:05:30,648 --> 00:05:33,084 蕎麦なら 「きじや」の向かいの 「みのや」へ どうぞ。 70 00:05:33,084 --> 00:05:38,422 側用人じゃ。 だから 蕎麦… 側用人? 71 00:05:38,422 --> 00:05:41,325 清之助様のお側役 という事ですか? 72 00:05:41,325 --> 00:05:45,763 お主が出世などに興味がない事は 承知しておる。 しかし…。 73 00:05:45,763 --> 00:05:49,433 喜んで務めさせて頂きます! 74 00:05:49,433 --> 00:05:56,107 衣紋方の私が いよいよ跡継ぎの側用人? 75 00:05:56,107 --> 00:06:01,445 なんという出世よ。 さすが俺だ。 76 00:06:01,445 --> 00:06:04,482 さすが俺だ~! 77 00:06:04,482 --> 00:06:08,319 (清之助)エゲレス公使の接待を その衣紋方とですか? 78 00:06:08,319 --> 00:06:14,458 さよう。 衣紋方より お主の側用人へと引き上げた。 79 00:06:14,458 --> 00:06:19,330 九州は南海藩の手引きで やっと実現した酒宴だ。 80 00:06:19,330 --> 00:06:24,168 しくじる事のないように頼むぞ。 しかし 接待ごとき➡ 81 00:06:24,168 --> 00:06:26,804 衣紋方上がりの側用人など 付けずとも➡ 82 00:06:26,804 --> 00:06:29,140 私一人の力で十分かと。 ならん。 83 00:06:29,140 --> 00:06:33,978 お主一人では 意味がないのだ。 84 00:06:33,978 --> 00:06:38,249 清之助様の側用人!? 85 00:06:38,249 --> 00:06:42,920 わしの事も同じく引き上げるよう 頼み込んでくれんか? 86 00:06:42,920 --> 00:06:45,256 (庄兵衛)情けないのう! うわ~ うるさい! 87 00:06:45,256 --> 00:06:47,191 しかし 清之助様には➡ 88 00:06:47,191 --> 00:06:49,426 既に数名の側用人が 付いておったはずだが。 89 00:06:49,426 --> 00:06:53,297 エゲレス公使のもてなし料理を 仕切るよう任された。 90 00:06:53,297 --> 00:06:56,600 しかし 丸腰のお主に➡ 91 00:06:56,600 --> 00:06:59,103 もてなし料理など 支度できるのか? 92 00:06:59,103 --> 00:07:02,439 それは どういう意味です? これまでの手柄は➡ 93 00:07:02,439 --> 00:07:06,277 すずに… すずの指南書に 頼っての事じゃろ? 94 00:07:06,277 --> 00:07:10,447 ほれ ちょうど すずより包みが届いておる。 95 00:07:10,447 --> 00:07:13,117 また これまでのように 泣きつくか? 96 00:07:13,117 --> 00:07:15,953 「すず… すず…」。 うるさい! 97 00:07:15,953 --> 00:07:20,453 すずなどに頼らずとも 見事に成功させてみせる! 98 00:07:23,694 --> 00:07:27,464 エゲレス公使への もてなし料理を 試作してまいりました。 99 00:07:27,464 --> 00:07:30,501 どうぞ お召し上がり下さい。 100 00:07:30,501 --> 00:07:37,074 貧乏くさい料理よ。 下がれ。 お主は お役御免だ。 101 00:07:37,074 --> 00:07:41,412 はっ? 耳も悪いのか。 使い物にならん。 お役御免だ。 102 00:07:41,412 --> 00:07:46,083 困ります! どうして私が!? やかましい。 お役御免だ。 103 00:07:46,083 --> 00:07:49,420 しかし このままでは 殿に顔向けができません。 104 00:07:49,420 --> 00:07:51,720 せっかくの出世が…。 105 00:07:53,757 --> 00:07:58,262 余の側用人を 余がどう処遇しようと 余の勝手。 106 00:07:58,262 --> 00:08:01,932 お役御免だ。 107 00:08:01,932 --> 00:08:04,835 どうか いま一度 機会を頂けないでしょうか。 108 00:08:04,835 --> 00:08:07,104 どのような言いつけにも 応えてみせます! 109 00:08:07,104 --> 00:08:09,440 ならば 罷免は取り下げよう。 110 00:08:09,440 --> 00:08:14,778 しかし たかが衣紋方風情の 知恵など必要ない。➡ 111 00:08:14,778 --> 00:08:18,778 賄方と共に下働きでもしておれ。 112 00:08:24,288 --> 00:08:29,126 あら お江戸料理のご意見番 酒田伴四郎様。 113 00:08:29,126 --> 00:08:34,898 いや ご意見番だなんて…。 今や私は 藩の跡継ぎ➡ 114 00:08:34,898 --> 00:08:40,771 松平清之助様の側用人に 引き上げられし「高野の昇り龍」。 115 00:08:40,771 --> 00:08:45,409 そう評判の立つ男です ええ。 116 00:08:45,409 --> 00:08:48,078 その ご立派な側用人様が➡ 117 00:08:48,078 --> 00:08:50,014 こんな所で 油売ってていいのかい? 118 00:08:50,014 --> 00:08:54,251 それが エゲレス公使のもてなし料理を 頼まれたのですが➡ 119 00:08:54,251 --> 00:08:59,423 その清之助様というのが 性根のねじくれ曲がった男で…。 120 00:08:59,423 --> 00:09:04,595 私の力量をはかろうともせず 追い返されてしまって。 121 00:09:04,595 --> 00:09:09,266 でも 構いません。 私一人でやります。 122 00:09:09,266 --> 00:09:13,066 あんた 随分変わったね。 123 00:09:16,440 --> 00:09:19,777 悪いけど これから仕込みなんだ。 出ていっておくれ。 124 00:09:19,777 --> 00:09:23,614 お茶の一杯くらい出してくれても よいではありませんか。 与一。 125 00:09:23,614 --> 00:09:25,949 うわ~っ! 126 00:09:25,949 --> 00:09:28,852 与一 お前まで…。 127 00:09:28,852 --> 00:09:32,052 すみません。 お菊さんの言いつけなんで。 128 00:09:34,058 --> 00:09:36,058 (扉を閉める音) 129 00:09:41,565 --> 00:09:47,071 「柚釜のあんかけ豆腐」と 「ひめますの焼き物」ですか。 130 00:09:47,071 --> 00:09:49,406 余が選んだ献立だ。 131 00:09:49,406 --> 00:09:53,577 衣紋方風情に頼らずとも もてなしはできる。 132 00:09:53,577 --> 00:09:58,449 随分と田舎くさい献立だな。 どうなさいます? 133 00:09:58,449 --> 00:10:03,287 このとおりにいくしかあるまい。 …が こちらにもやりようはある。 134 00:10:03,287 --> 00:10:06,590 はっ? 味付け 食材は こちらの勝手。 135 00:10:06,590 --> 00:10:11,762 この田舎くさい献立に 江戸の華を添えようではないか。 136 00:10:11,762 --> 00:10:14,098 相手は 舌の肥えたエゲレス公使だ。 137 00:10:14,098 --> 00:10:17,434 魚は 身の太い部分のみを残し あとは捨てよ。 138 00:10:17,434 --> 00:10:21,734 大根は できるだけ厚く皮をむけよ。 139 00:10:23,307 --> 00:10:30,614 十二両? こんなに? 構わん。 金に糸目はつけるな。 140 00:10:30,614 --> 00:10:32,614 はっ。 141 00:10:34,785 --> 00:10:39,456 何をしておる? 本当に暇な男じゃのう。 142 00:10:39,456 --> 00:10:43,794 宇治井殿の申しておった事 本当かもしれんぞ。 143 00:10:43,794 --> 00:10:46,830 高野の殿様は バカ殿よ。 144 00:10:46,830 --> 00:10:51,030 い~や 大バカ殿だと言ったのじゃ。 145 00:11:06,483 --> 00:11:11,321 本日は お招き頂きまして まことに ありがとうござります。 146 00:11:11,321 --> 00:11:13,357 互いの友好を深めるため➡ 147 00:11:13,357 --> 00:11:17,995 本日は もてなしの膳を用意した。 酒田。 148 00:11:17,995 --> 00:11:20,495 はっ。 膳を。 149 00:11:35,112 --> 00:11:40,412 では 遠慮なく堪能してくれ。 (一同)頂きます。 150 00:11:50,961 --> 00:11:56,467 どうかされましたか? 日本語で 何と…? 151 00:11:56,467 --> 00:11:59,369 ま…。 ま? 152 00:11:59,369 --> 00:12:02,806 あっ まことにうまい? 153 00:12:02,806 --> 00:12:06,143 まずい! ま… ずい? 154 00:12:06,143 --> 00:12:08,479 酒田 膳を下げよ。 155 00:12:08,479 --> 00:12:11,381 えっ? しかし まだ 食事は始まったばかりです。 156 00:12:11,381 --> 00:12:17,187 さよう。 始まってすぐに 箸を置かれた。 これ以上 無駄。 157 00:12:17,187 --> 00:12:20,991 本日の膳は 常陸の国より 取り寄せたる五大珍味➡ 158 00:12:20,991 --> 00:12:23,026 鮟鱇の肝ばかりを…。 酒田。 159 00:12:23,026 --> 00:12:26,330 しかし…。 膳を下げよ。 160 00:12:26,330 --> 00:12:30,501 口に合わぬものをお出しして 大変 失礼した。 161 00:12:30,501 --> 00:12:34,371 こちらは座興。 ここからが本番。 162 00:12:34,371 --> 00:12:36,940 お楽しみは これからでございます。 163 00:12:36,940 --> 00:12:40,611 新たな膳を持てい。 すずよ! 164 00:12:40,611 --> 00:12:42,646 すず? 165 00:12:42,646 --> 00:13:03,000 ♬~ 166 00:13:03,000 --> 00:13:08,472 すず。 お主 なぜここに? 167 00:13:08,472 --> 00:13:12,142 (小声で)すず。 酒田。 はい。 168 00:13:12,142 --> 00:13:15,812 お主の出番は終わりだ。 下がれ。 169 00:13:15,812 --> 00:13:24,154 ♬~ 170 00:13:24,154 --> 00:13:26,089 (すず)どうぞ。 171 00:13:26,089 --> 00:13:34,431 ♬~ 172 00:13:34,431 --> 00:13:40,131 エクセレント! そして あなたも エクセレント。 173 00:13:49,780 --> 00:13:52,449 伴様 お久しぶりです。 174 00:13:52,449 --> 00:13:57,788 すず…。 国元におるはずのお主が なぜ? 175 00:13:57,788 --> 00:14:02,125 さすが わしじゃ。 叔父上 どうして…。 176 00:14:02,125 --> 00:14:04,795 わしが すずを江戸に呼んだのじゃ。 177 00:14:04,795 --> 00:14:08,465 殿のご下命でな。 なぜ 殿が? 178 00:14:08,465 --> 00:14:10,400 理由など知るか! 179 00:14:10,400 --> 00:14:15,339 重要なのは 殿が このわしを 頼りにしたという事実よ。 180 00:14:15,339 --> 00:14:20,644 これで褒美 いや 出世は確実じゃろうな。 181 00:14:20,644 --> 00:14:25,144 さすが わしじゃ! アハハハハ! 182 00:14:27,985 --> 00:14:33,757 久し… ぶりだな すず。 はな坊は どうしておる? 183 00:14:33,757 --> 00:14:38,595 母に預かってもらっています。 会いたいのう…。 184 00:14:38,595 --> 00:14:40,931 会わせる訳にはいきません。 185 00:14:40,931 --> 00:14:45,268 今の伴様は 人が 変わってしまったようですから。 186 00:14:45,268 --> 00:14:47,304 いや そんな事はない。 いいえ。 187 00:14:47,304 --> 00:14:50,140 あの料理を見れば分かります。 188 00:14:50,140 --> 00:14:55,979 江戸の風は 人を変えてしまうのでしょう。 189 00:14:55,979 --> 00:14:59,816 私は 先に長屋へ 戻らせて頂きます。 190 00:14:59,816 --> 00:15:02,616 少々 くたびれてしまいました。 191 00:15:04,621 --> 00:15:07,421 おい すず…。 192 00:15:10,427 --> 00:15:16,633 お主には まだ 人をもてなすなど 荷が重かったのかもしれん。 193 00:15:16,633 --> 00:15:21,138 しかし父上 今回の責は 私ではなく酒田伴四郎に。 194 00:15:21,138 --> 00:15:25,838 申したはずじゃ。 一人では無理だと。 195 00:15:30,147 --> 00:15:35,419 この世にいる限り 何事も 一人きりでなす事などありえん。 196 00:15:35,419 --> 00:15:40,290 それは 政ともなればなおさら。 それをお主は…。 197 00:15:40,290 --> 00:15:43,593 ならば なぜ衣紋方などを 私に付けたのです? 198 00:15:43,593 --> 00:15:47,431 政をなすのに 身分も家柄もない。 199 00:15:47,431 --> 00:15:50,333 それが分からず 思い上がってるお主に➡ 200 00:15:50,333 --> 00:15:53,937 藩の行く末を任せる訳にはいかん。 201 00:15:53,937 --> 00:16:15,125 ♬~ 202 00:16:15,125 --> 00:16:17,825 ありがとうございました。 203 00:16:19,796 --> 00:16:23,967 あっ。 おおお… お羽 どうした? 204 00:16:23,967 --> 00:16:29,639 お帰り下さい。 エゲレス様の もてなしを しくじったのでしょ? 205 00:16:29,639 --> 00:16:31,908 鉄鍋で ぶん殴ったとか➡ 206 00:16:31,908 --> 00:16:35,245 怒り狂ったエゲレス人が 江戸に大砲をぶっ放すとか。 207 00:16:35,245 --> 00:16:38,582 そんな大げさな。 ほとぼりが冷めるまで➡ 208 00:16:38,582 --> 00:16:40,917 どうか うちには 出入りされませぬよう➡ 209 00:16:40,917 --> 00:16:43,954 お願いします。 薄情な事を申すな。 210 00:16:43,954 --> 00:16:47,654 今まで あんなに よくしてくれたではないか。 211 00:16:59,269 --> 00:17:06,777 ついに 私の相手をする者は 誰もいなくなってしまった。 212 00:17:06,777 --> 00:17:10,477 お前まで 私をシカトするのか? 213 00:17:12,449 --> 00:17:16,449 なあ すず。 すずよ。 214 00:17:20,123 --> 00:17:24,628 これは何です? 包み… だな。 215 00:17:24,628 --> 00:17:32,068 見れば分かります。 この包みも 伴様に宛てた文も➡ 216 00:17:32,068 --> 00:17:35,572 封すら開けずに ほったらかしてありました。 217 00:17:35,572 --> 00:17:41,912 私の気持ちなど 構う価値もないという事ですか? 218 00:17:41,912 --> 00:17:45,582 聞きましたよ 伴様。 江戸の料理屋じゃ➡ 219 00:17:45,582 --> 00:17:48,485 店の娘に 鼻の下を 伸ばしているようですね。 220 00:17:48,485 --> 00:17:50,453 そん… ば…。 221 00:17:50,453 --> 00:17:55,091 誰から そのような話を…。 (小声で)叔父上か。 222 00:17:55,091 --> 00:17:57,761 皆が そう言っています。 223 00:17:57,761 --> 00:18:00,430 「高野の昇り龍」は 女たらしであると。 224 00:18:00,430 --> 00:18:02,933 藩邸では 専らの噂だとか。 225 00:18:02,933 --> 00:18:05,836 まさか そのような思い上がりは ありえん。 226 00:18:05,836 --> 00:18:11,942 いいえ。 昨日の伴様のお料理 その一品一品が申しておりました。 227 00:18:11,942 --> 00:18:16,813 料理が? 何を? 見えっ張りで 身勝手な料理の数々は➡ 228 00:18:16,813 --> 00:18:21,451 伴様が伴様の事しか 考えていなかった証しです。➡ 229 00:18:21,451 --> 00:18:24,788 料理は 料理人のためにあるのでも➡ 230 00:18:24,788 --> 00:18:27,824 ましてや 出世のためにあるのでも ありません。 231 00:18:27,824 --> 00:18:32,896 それを食べる どなたかのために あるのでしょう。 232 00:18:32,896 --> 00:18:36,399 その事を忘れて 身勝手に手を入れたのでは➡ 233 00:18:36,399 --> 00:18:39,399 食べられたものではありません。 234 00:18:46,109 --> 00:18:49,946 これは…。 乾燥味噌です。 235 00:18:49,946 --> 00:18:53,950 ごまと合わせて火にかけ 乾燥させました。 236 00:18:53,950 --> 00:19:00,423 伴様の事を思って送ったのですが まさか 放っておかれるとは…。 237 00:19:00,423 --> 00:19:03,326 なぜ わざわざ このようなものを? 238 00:19:03,326 --> 00:19:05,295 味噌は滋養十分。 239 00:19:05,295 --> 00:19:11,067 少しでも精をつけてもらおうと 伴様を思って お作りしました。 240 00:19:11,067 --> 00:19:14,767 私を思って…。 241 00:19:19,276 --> 00:19:21,945 お役御免だ。 242 00:19:21,945 --> 00:19:23,980 承知しました。 243 00:19:23,980 --> 00:19:30,954 父上は 跡目として ふさわしいかどうか➡ 244 00:19:30,954 --> 00:19:35,558 という見方でしか余を見ておらん。 245 00:19:35,558 --> 00:19:42,358 しくじりでも したらと考えると 何をするにも恐ろしくてな。 246 00:19:45,068 --> 00:19:48,905 あの殿が… ですか? ああ。 247 00:19:48,905 --> 00:19:53,410 かといって 父の期待に応えようと力めば➡ 248 00:19:53,410 --> 00:20:00,410 それを思い上がりだと責められる。 一体 どうしろというのか…。 249 00:20:02,419 --> 00:20:09,092 藩邸にいると 常に 父上に試されているようで…➡ 250 00:20:09,092 --> 00:20:11,392 気が緩まぬ。 251 00:20:15,865 --> 00:20:18,565 お江戸見物にでも 出てはいかがです? 252 00:20:21,104 --> 00:20:24,975 中間に化けるなど よく思いついたな。 253 00:20:24,975 --> 00:20:28,979 前例がありますから。 254 00:20:28,979 --> 00:20:32,479 あっ いえ こちらの話です。 255 00:20:35,618 --> 00:20:37,654 中間でいる間は➡ 256 00:20:37,654 --> 00:20:41,958 ご自身が藩の跡継ぎである という事は忘れて下さいね。 257 00:20:41,958 --> 00:20:46,296 そうだな…。 258 00:20:46,296 --> 00:20:48,296 若造! 259 00:20:56,006 --> 00:20:59,009 青井若造でどうでしょう。 260 00:20:59,009 --> 00:21:03,847 若造とは 随分な言いぐさだな。 あくまで世を忍ぶ仮の名前です。 261 00:21:03,847 --> 00:21:07,150 よし これで決まりだ。 262 00:21:07,150 --> 00:21:15,492 ♬~ 263 00:21:15,492 --> 00:21:17,427 お待たせ致しました。 264 00:21:17,427 --> 00:21:28,004 ♬~ 265 00:21:28,004 --> 00:21:31,441 お主 どうして余の献立どおりに 作らなかった? 266 00:21:31,441 --> 00:21:35,612 いや 献立のとおりです。 ただ 江戸風に手を加えただけで。 267 00:21:35,612 --> 00:21:38,948 だから それが余計だと言うのだ。 いや しかし➡ 268 00:21:38,948 --> 00:21:43,119 私の提案した献立を 貧乏くさいと くさしたではありませんか。 269 00:21:43,119 --> 00:21:46,623 そんなあなたが あんな田舎くさい献立を…。 270 00:21:46,623 --> 00:21:49,659 郷里の味よ。 271 00:21:49,659 --> 00:21:55,131 親元を離れ 松平家に 養子に入ったのが8歳の時。 272 00:21:55,131 --> 00:21:58,968 それまで当たり前だった 朝げ 夕げの味が➡ 273 00:21:58,968 --> 00:22:01,871 遠いものとなってしまった。 274 00:22:01,871 --> 00:22:05,475 そんな中 求めたのは やはり あの味。 275 00:22:05,475 --> 00:22:11,347 藩邸においては 口にする事もかなわぬ味だ。 276 00:22:11,347 --> 00:22:16,986 結果 献立を任された余は もてなしの気持ちを忘れ➡ 277 00:22:16,986 --> 00:22:21,491 つい ふるさとの味を 求めてしまった。 278 00:22:21,491 --> 00:22:23,993 家督を継ぐ身にありながら➡ 279 00:22:23,993 --> 00:22:26,896 ふるさとを思って 感傷的になるとは➡ 280 00:22:26,896 --> 00:22:30,096 幼子のように未熟であるな。 281 00:22:32,702 --> 00:22:34,702 どうした? 282 00:22:37,440 --> 00:22:44,114 幼きより親元を離れたあなたが ふるさとの味を求めるのは当然! 283 00:22:44,114 --> 00:22:46,449 未熟な事などありましょうか!? 284 00:22:46,449 --> 00:22:48,485 うるさいね! 落ち着け。 285 00:22:48,485 --> 00:22:52,956 落ち着いてなどいられません! 286 00:22:52,956 --> 00:22:58,761 本当のお主は 余が思っていた 男とは ちと違うようだな。 287 00:22:58,761 --> 00:23:03,299 気が変わった。 お主の罷免は取り下げよう。 288 00:23:03,299 --> 00:23:06,970 余の側用人として 今後も仕えてくれ。 289 00:23:06,970 --> 00:23:11,307 私は たかが衣紋方風情に戻ります。 290 00:23:11,307 --> 00:23:15,507 それが 本当の私ですから。 291 00:23:23,820 --> 00:23:27,520 おう 伴四郎。 奇遇だな。 292 00:23:29,325 --> 00:23:32,295 私は これで失礼します。 さっ さあさあ。 293 00:23:32,295 --> 00:23:36,599 いや~ 久しぶりですな~。 茶屋へでも行きませんか。 294 00:23:36,599 --> 00:23:42,105 いやいや わしは ここの煮魚が…。 さあ 行きましょう。 さあさあ。 295 00:23:42,105 --> 00:23:44,941 わしは 清之助が分からん。 296 00:23:44,941 --> 00:23:48,778 あやつが わしに反目してる事は 承知しておる。 297 00:23:48,778 --> 00:23:53,616 しかし どうすれば あの心を 解いてやれるのか見当もつかんわ。 298 00:23:53,616 --> 00:23:58,121 そんな事 じかに清之助様に 尋ねれば済む話でしょう。 299 00:23:58,121 --> 00:24:00,456 血はつながらずとも 親子なのですから。 300 00:24:00,456 --> 00:24:08,131 簡単に申すな。 親子だからこそ こじれてしまう事もあるのだ。 301 00:24:08,131 --> 00:24:13,131 そうか 息が詰まるか…。 302 00:24:19,475 --> 00:24:22,979 今更 料理などして どうしようというのだ? 303 00:24:22,979 --> 00:24:29,652 エゲレス公使のもてなしは失敗。 もう手遅れであろう。 304 00:24:29,652 --> 00:24:35,458 これは あなたへの もてなし料理です。 えっ? 305 00:24:35,458 --> 00:24:38,094 私が衣紋方に戻ったように➡ 306 00:24:38,094 --> 00:24:41,931 あなたも 本当の清之助様に戻りましょう。 307 00:24:41,931 --> 00:25:04,320 ♬~ 308 00:25:04,320 --> 00:25:09,459 随分と楽しそうだな。 何が そんなに面白いのだ? 309 00:25:09,459 --> 00:25:11,794 やれば分かります。 310 00:25:11,794 --> 00:25:17,133 ♬~ 311 00:25:17,133 --> 00:25:20,433 あ~ こちらの手を もう少し下に。 312 00:25:22,005 --> 00:25:25,008 入れろ。 よし。 あえていって下さい。 313 00:25:25,008 --> 00:25:27,477 こうか? そうです。 314 00:25:27,477 --> 00:25:41,177 ♬~ 315 00:25:45,595 --> 00:25:48,498 少し甘かったかもしれませんね。 316 00:25:48,498 --> 00:25:53,798 こっちは味が薄い。 郷里の味からは程遠い。 317 00:25:57,774 --> 00:25:59,974 でも うまい。 318 00:26:02,645 --> 00:26:06,482 しかし 余の側用人を外れたお主が➡ 319 00:26:06,482 --> 00:26:10,486 どうして余のために ここまでしてくれるのだ? 320 00:26:10,486 --> 00:26:14,624 あなたに似ている方を 存じ上げているのです。 余に? 321 00:26:14,624 --> 00:26:18,127 ええ。 その方のために 炊事場に立ったのが➡ 322 00:26:18,127 --> 00:26:21,998 私が料理を始めたきっかけ。 それは誰だ? 323 00:26:21,998 --> 00:26:28,838 何事にも広く理解のある方です。 つらくあたる事があれば それは➡ 324 00:26:28,838 --> 00:26:33,409 相手への愛情や期待が そうさせるのでしょう。 325 00:26:33,409 --> 00:26:35,445 だから それは 誰の事を申しておるのだ? 326 00:26:35,445 --> 00:26:38,915 それは…➡ 327 00:26:38,915 --> 00:26:43,753 いえ やめときましょう。 申さぬか! じきに分かります。 328 00:26:43,753 --> 00:26:45,953 おい それは…。 329 00:26:50,526 --> 00:26:52,526 うまいですな。 うん。 330 00:26:57,300 --> 00:27:02,939 叔父上 どうかされましたか? あ… どうもせん。 331 00:27:02,939 --> 00:27:05,775 腹痛でも起こしておるのですか? 332 00:27:05,775 --> 00:27:08,444 あっ また拾い食いでも したのでしょう。 333 00:27:08,444 --> 00:27:10,444 あ~ うるさい! 334 00:27:22,792 --> 00:27:28,464 この香りは? はっ。 伽羅にございます。 335 00:27:28,464 --> 00:27:33,069 殿のお気持ちを 少しでも癒やす事がかなえばと➡ 336 00:27:33,069 --> 00:27:35,738 ひと工夫させて頂きました。 337 00:27:35,738 --> 00:27:39,409 なるほど。 これは気分がよい。 338 00:27:39,409 --> 00:27:42,409 ありがたきお言葉。 339 00:27:45,581 --> 00:27:49,419 (扉が開く音) 伴四郎! 伴四郎はおるか! 340 00:27:49,419 --> 00:27:54,290 どうされたのです? 身を隠せ。 はっ? 何を突然。 341 00:27:54,290 --> 00:27:59,762 お主を捕らえよと 殿からご下命があった。 えっ!? 342 00:27:59,762 --> 00:28:03,633 お着物に不備があったとかで 藩の追っ手がお主を探しておる。 343 00:28:03,633 --> 00:28:07,103 しかし 着物の支度は 主に叔父上が…。 344 00:28:07,103 --> 00:28:09,439 穴じゃ。 穴? 345 00:28:09,439 --> 00:28:13,109 着物に穴が開いておったらしい。 間が悪い事に 昨日➡ 346 00:28:13,109 --> 00:28:16,779 幕府のお偉方との接見中に その穴が見つかり➡ 347 00:28:16,779 --> 00:28:20,450 大恥をかいたと。 348 00:28:20,450 --> 00:28:25,321 このままでは 腹を切らされるぞ。 逃げろ 伴四郎! 349 00:28:25,321 --> 00:28:30,460 ♬~ 350 00:28:30,460 --> 00:28:32,395 待て~! 351 00:28:32,395 --> 00:28:34,330 あ~っ! 352 00:28:34,330 --> 00:28:41,904 ♬~ 353 00:28:41,904 --> 00:28:43,840 待て~! 354 00:28:43,840 --> 00:28:49,078 ♬~ 355 00:28:49,078 --> 00:28:52,748 あ~っ! 356 00:28:52,748 --> 00:29:00,423 ♬~ 357 00:29:00,423 --> 00:29:05,094 支度は全て 伴四郎に任せておりますゆえ。 358 00:29:05,094 --> 00:29:08,431 分かった。 追っ手を出せ。➡ 359 00:29:08,431 --> 00:29:11,334 酒田伴四郎を捕らえよ! 360 00:29:11,334 --> 00:29:18,140 ♬~ 361 00:29:18,140 --> 00:29:24,447 危ないとこだったな。 ああ 間一髪だった。 362 00:29:24,447 --> 00:29:27,950 ♬~ 363 00:29:27,950 --> 00:29:31,921 見つけたぞ 伴四郎。 殿…。 観念せい。 364 00:29:31,921 --> 00:29:35,758 なぜです? なぜ私が 腹を切らねばならんのです!? 365 00:29:35,758 --> 00:29:39,061 あの世で分かる。 そんな…。 366 00:29:39,061 --> 00:29:42,932 皆の者! ここにいたぞ! であえい! 367 00:29:42,932 --> 00:29:52,575 ♬~ 368 00:29:52,575 --> 00:29:55,375 許して…。 369 00:30:37,320 --> 00:30:40,122 (栞)あなた…。 370 00:30:40,122 --> 00:30:42,058 (キース)どないした? 371 00:30:42,058 --> 00:30:45,058 (てん)伊能さん? 372 00:30:47,797 --> 00:30:52,668 (志乃)おやまあ いい男だねぇ。 373 00:30:52,668 --> 00:30:57,139 キーちゃんの知り合いかい? おお…。