1 00:00:33,101 --> 00:00:35,837 <時は幕末 所はお江戸。➡ 2 00:00:35,837 --> 00:00:39,707 参勤交代で 花のお江戸に まかり越した 酒田伴四郎。➡ 3 00:00:39,707 --> 00:00:43,178 高野藩主 松平茂照の養子 清之助と➡ 4 00:00:43,178 --> 00:00:47,048 心を通わせたのも つかの間 身に覚えのない罪で捕縛され➡ 5 00:00:47,048 --> 00:00:50,748 目覚めたるは 見慣れぬ大部屋> 6 00:00:52,687 --> 00:00:55,687 やっと 目が覚めたようだね。 7 00:01:00,195 --> 00:01:04,532 ああ 庄兵衛さん。 どこです? ここは。 8 00:01:04,532 --> 00:01:07,035 庄兵衛? そりゃ どこのどいつだい? 9 00:01:07,035 --> 00:01:09,370 ですから そこのあなたですよ 庄兵衛さん。 10 00:01:09,370 --> 00:01:13,870 私は お徳ってもんだよ。 ここの女中頭さ。 11 00:01:19,080 --> 00:01:21,382 やっぱり 庄兵衛さんじゃないですか。 12 00:01:21,382 --> 00:01:23,418 どうしたのです? このような女中の格好などして…。 13 00:01:23,418 --> 00:01:26,721 触るな! 寝ぼけてないで さっさと支度しな。 14 00:01:26,721 --> 00:01:30,892 あんたは ここに 売られてきたんだよ。 五両でね。 15 00:01:30,892 --> 00:01:36,331 売られたって… ここは? 本当に何も知らないんだね。 16 00:01:36,331 --> 00:01:43,004 ここは南海藩の藩邸 人足用の大部屋さ。 17 00:01:43,004 --> 00:01:45,840 へえ~。 18 00:01:45,840 --> 00:01:47,775 え~っ!? 19 00:01:47,775 --> 00:01:51,346 うるさ~い! 20 00:01:51,346 --> 00:01:55,216 南海藩? 売られた? 21 00:01:55,216 --> 00:01:58,219 (平三)支度は全て 伴四郎に任せておりますゆえ。 22 00:01:58,219 --> 00:02:00,855 追っ手を出せ。 酒田伴四郎を捕らえよ! 23 00:02:00,855 --> 00:02:05,155 なぜです? なぜ私が 腹を切らねばならんのです!? 24 00:02:07,028 --> 00:02:10,064 そんな まさか…。 25 00:02:10,064 --> 00:02:15,370 あっ これは夢か! アハッ 夢か~。 26 00:02:15,370 --> 00:02:18,873 現だよ! その まさかなんだよ! 27 00:02:18,873 --> 00:02:21,776 ほらほら さっさと現場へ出ておいき! 28 00:02:21,776 --> 00:02:40,476 ♬~ 29 00:02:43,998 --> 00:02:46,198 おい 白ネギ! 30 00:02:47,869 --> 00:02:51,339 はい? 31 00:02:51,339 --> 00:02:54,242 お主 どこの畑で育った? 32 00:02:54,242 --> 00:03:02,050 いや どのような畑で育てば そんな青白く育つのか不思議でな。 33 00:03:02,050 --> 00:03:04,852 (笑い声) 34 00:03:04,852 --> 00:03:08,723 私は 高野藩は衣紋…。 35 00:03:08,723 --> 00:03:13,194 どこでもよいでしょう。 どうせ売られた身です。 36 00:03:13,194 --> 00:03:19,067 しかし困ったな。 白ネギでは 人の数に入らん。 37 00:03:19,067 --> 00:03:23,371 急な申しつけで 今月中に 藩邸の増築をせねばならんのに。 38 00:03:23,371 --> 00:03:28,042 やはり頼りは 我ら南海藩士の証し➡ 39 00:03:28,042 --> 00:03:31,012 この力こぶよ。 40 00:03:31,012 --> 00:03:36,484 さすがの大田垣。 キレてござる! (笑い声) 41 00:03:36,484 --> 00:03:40,655 戦も忘れ 貧弱に生きる世の侍とは違うわ。 42 00:03:40,655 --> 00:03:45,993 戦など太平の世の どこにある。 忘れて当然。 忘れるべきものよ。 43 00:03:45,993 --> 00:03:47,993 あ? 44 00:03:49,831 --> 00:03:52,867 貧弱で結構。 野蛮であるよりマシです。 45 00:03:52,867 --> 00:03:57,171 野蛮とは我らの事か? あくまで世間の評判。 46 00:03:57,171 --> 00:04:00,508 「南海藩士は野蛮で乱暴だ」と よく耳にしますので。 47 00:04:00,508 --> 00:04:07,849 おい 白ネギ! 新入りが随分と生意気を申すなあ。 48 00:04:07,849 --> 00:04:11,719 ここがどこか その体に教えてやろう。 49 00:04:11,719 --> 00:04:13,719 取り押さえろ。 50 00:04:15,523 --> 00:04:18,426 放せ! 51 00:04:18,426 --> 00:04:22,697 白ネギは それを野蛮だと 申しておるのだ。 52 00:04:22,697 --> 00:04:27,535 ならば勇敢に 決闘といこうではないか。 53 00:04:27,535 --> 00:04:29,535 承知した。 54 00:04:31,139 --> 00:04:33,074 いざ! えっ? 55 00:04:33,074 --> 00:04:38,774 おら~! 白ネギ! これでも くらえ! 56 00:04:40,481 --> 00:04:44,986 貴様…。 こんな所 いられるか! 57 00:04:44,986 --> 00:04:49,824 皆の者! あやつを 白ネギを捕らえよ! 58 00:04:49,824 --> 00:04:57,331 ♬~ 59 00:04:57,331 --> 00:04:59,831 ご承知頂けましたか? 60 00:05:02,503 --> 00:05:07,842 ですから 主亡き今 長屋を 遊ばせておく訳にはいかず➡ 61 00:05:07,842 --> 00:05:11,712 次のために 部屋を空けねばならんのです。 62 00:05:11,712 --> 00:05:16,184 どうして夫は…➡ 63 00:05:16,184 --> 00:05:24,058 伴四郎は 腹を切らねば ならなかったのでしょう。 64 00:05:24,058 --> 00:05:29,730 せめて 亡骸を一目見る事は かないませんか? 65 00:05:29,730 --> 00:05:32,430 それは もう かないません。 66 00:05:34,469 --> 00:05:49,317 ♬~ 67 00:05:49,317 --> 00:05:51,817 何をしようってんだい!? 68 00:05:54,655 --> 00:05:57,158 死んでどうするつもりさ。 69 00:05:57,158 --> 00:06:04,031 私だって さみしくて 悲しくて 腹が立ってしかたがない。 70 00:06:04,031 --> 00:06:09,170 でも あんた 間違っても 死ぬなんて考えるんじゃないよ。 71 00:06:09,170 --> 00:06:14,170 そんな… 死のうなんて思っておりません。 72 00:06:17,512 --> 00:06:23,684 伴様のぬくもりを 感じたかったのです。 73 00:06:23,684 --> 00:06:29,357 伴様が死んだなんて どうしても思えなくて…。 74 00:06:29,357 --> 00:06:35,557 このまま 国元に帰る気にもなれず…。 75 00:06:37,798 --> 00:06:40,468 小さい仕出し屋だけど➡ 76 00:06:40,468 --> 00:06:44,305 女一人 居候させるくらい 訳ないよ。 77 00:06:44,305 --> 00:06:49,477 うちも 伴四郎様には いろいろと世話になったんだ。 78 00:06:49,477 --> 00:06:51,412 遠慮なく使っておくれ。 79 00:06:51,412 --> 00:06:57,985 ありがとうございます。 お菊さんは お優しい方ですね。 80 00:06:57,985 --> 00:07:03,858 あっ。 惨助 あんた どの面下げて現れたんだい? 81 00:07:03,858 --> 00:07:06,661 その事で すずさんに お話があります。 82 00:07:06,661 --> 00:07:14,168 高野の殿様からの伝言ですが 酒田殿は まだ生きてございます。 83 00:07:14,168 --> 00:07:17,505 藩の秘密に関わる事ゆえ他言無用。 84 00:07:17,505 --> 00:07:21,676 詳しくは明らかにできませんが 確かに生きてございます。 85 00:07:21,676 --> 00:07:27,848 ご安心下さい。 伴様が… 生きている…。 86 00:07:27,848 --> 00:07:34,288 藩の都合で生かしたり殺したり デタラメばっかりで信用できないね。 87 00:07:34,288 --> 00:07:39,126 生きてる証しはあるのかい? 見せておくれよ。➡ 88 00:07:39,126 --> 00:07:42,126 さあ 見せておくれよ。 89 00:07:44,932 --> 00:07:48,135 惨助…。 90 00:07:48,135 --> 00:07:50,071 すず…。 91 00:07:50,071 --> 00:07:52,071 伴様…。 92 00:07:55,309 --> 00:08:00,109 あっ ここにおったか 白ネギ! 93 00:08:02,984 --> 00:08:05,486 観念せい。 与一 頼む! 94 00:08:05,486 --> 00:08:08,322 何事です? 待て! な… 何なんです!? 95 00:08:08,322 --> 00:08:11,225 何だ お前は! どけよ! 駄目だって! 96 00:08:11,225 --> 00:08:14,829 ごめん。 伴四郎! 97 00:08:14,829 --> 00:08:18,165 惨助…。 伴四郎。 私を南海へ売ったのはお主か? 98 00:08:18,165 --> 00:08:21,068 説明させてくれ。 なっ? ひとまず こっちだ。 99 00:08:21,068 --> 00:08:27,674 ♬~ 100 00:08:27,674 --> 00:08:31,111 説明してもらおうか。 ちょっと待て。 101 00:08:31,111 --> 00:08:33,146 なぜ 私を売った? なぜ 私が➡ 102 00:08:33,146 --> 00:08:35,615 このような目に遭わねば ならんのだ!? 答えよ! 103 00:08:35,615 --> 00:08:40,954 惨助 答えよ! 惨助! だから 落ち着けと申しておる! 104 00:08:40,954 --> 00:08:45,154 どうして私が…。 すず…。 105 00:08:49,629 --> 00:08:55,502 確かに お主を南海藩に売ったのは わしだ。 106 00:08:55,502 --> 00:09:02,809 伴四郎よ 我が藩のため 極秘の任を引き受けてくれ。 107 00:09:02,809 --> 00:09:05,312 極秘の任? 108 00:09:05,312 --> 00:09:10,150 お主を売ったのは 南海藩内に お主を潜伏させ➡ 109 00:09:10,150 --> 00:09:14,654 とある書状を 探し出してもらうため。 110 00:09:14,654 --> 00:09:16,690 お主を捕らえたあの日➡ 111 00:09:16,690 --> 00:09:19,493 わしは 幕府のお偉方に 呼び出され➡ 112 00:09:19,493 --> 00:09:21,528 とある嫌疑をかけられたのだ。 113 00:09:21,528 --> 00:09:24,831 妙な話を耳にした。 114 00:09:24,831 --> 00:09:32,272 高野の殿様は 己の跡目について 幕府を欺こうとしておるという。 115 00:09:32,272 --> 00:09:37,611 幕府に対して隠し事など あろうはずがありません。 116 00:09:37,611 --> 00:09:39,611 分かった。 117 00:09:43,417 --> 00:09:46,319 松平殿。 118 00:09:46,319 --> 00:09:50,319 背中に焦げ穴が 一つ 開いておるぞ。 119 00:09:52,959 --> 00:09:57,297 外国へと視野を広げようと しておるようだが➡ 120 00:09:57,297 --> 00:10:04,070 背中の焦げ穴にすら 気付かぬようでは 話にならぬ。 121 00:10:04,070 --> 00:10:10,477 そのような僅かな穴が 藩の 命取りになる事もあるのだからな。 122 00:10:10,477 --> 00:10:16,817 そう 我が藩には 外には漏らせぬ穴がある。 123 00:10:16,817 --> 00:10:20,654 それが いつしか 幕府にまで届こうとは…。 124 00:10:20,654 --> 00:10:27,427 藩の存亡に関わる一大事よ。 一体 何の話です? 125 00:10:27,427 --> 00:10:30,664 決して持ち出されてはならぬ 書状が➡ 126 00:10:30,664 --> 00:10:35,535 何者かの手によって 持ち出されてしもうた。 127 00:10:35,535 --> 00:10:40,373 南方の風 南海藩にな。 128 00:10:40,373 --> 00:10:42,843 ならば 私ではなくても➡ 129 00:10:42,843 --> 00:10:45,879 ほかの誰かに探らせれば よいではありませんか! 130 00:10:45,879 --> 00:10:52,552 伴四郎! お主 まさに 穴 開けたろう。 わしの着物に。 131 00:10:52,552 --> 00:10:54,554 こういうやつ。 132 00:10:54,554 --> 00:10:59,392 焦げ穴があるとは気付かず 大変 申し訳ありませんでした! 133 00:10:59,392 --> 00:11:01,692 構わん。 134 00:11:05,232 --> 00:11:07,432 いや…。 135 00:11:09,069 --> 00:11:13,540 追い込まれ 思い出したのが お主の顔だ。 136 00:11:13,540 --> 00:11:16,376 着物の穴で お主を切腹へと追い込み➡ 137 00:11:16,376 --> 00:11:21,715 その裏で 南海藩へ送り込む。 例の書状を取り戻すためにな。 138 00:11:21,715 --> 00:11:25,218 あの穴は 私の責ではありません! 139 00:11:25,218 --> 00:11:27,554 叔父上に 罪を なすりつけられただけです! 140 00:11:27,554 --> 00:11:30,457 分かっておる。 平三ならば お主のあとに➡ 141 00:11:30,457 --> 00:11:32,826 同じく南海へ売った。 142 00:11:32,826 --> 00:11:35,729 (お徳)庄兵衛じゃない! 庄兵衛であろう! 143 00:11:35,729 --> 00:11:39,699 どこから どう見ても。 触るな! 144 00:11:39,699 --> 00:11:44,538 あんたは ここに 売られてきたんだよ。 三両でね。 145 00:11:44,538 --> 00:11:47,173 えっ?➡ 146 00:11:47,173 --> 00:11:50,076 え~っ!? 147 00:11:50,076 --> 00:11:53,046 叔父上では 何の役にも立ちません。 148 00:11:53,046 --> 00:11:55,849 孤独を紛らす事くらいは できるだろう。 149 00:11:55,849 --> 00:11:58,184 どうして衣紋方の私が…。 150 00:11:58,184 --> 00:12:00,520 身に覚えのない罪を 着せられて…。 151 00:12:00,520 --> 00:12:04,691 ほかに誰もおらんのだ。 152 00:12:04,691 --> 00:12:07,193 我が藩に信頼できる家臣など おらん。 153 00:12:07,193 --> 00:12:11,064 しかし これでは あまりにも…。 154 00:12:11,064 --> 00:12:13,700 このとおりだ 伴四郎。 155 00:12:13,700 --> 00:12:18,371 信頼できるのは お主しかおらんのだ。 156 00:12:18,371 --> 00:12:24,244 桃色の包みだ。 その中に書状がある。 157 00:12:24,244 --> 00:12:29,549 取り戻した暁には 必ず お主を藩に引き戻す。 158 00:12:29,549 --> 00:12:33,420 信じてくれ 伴四郎。 159 00:12:33,420 --> 00:12:38,158 その書状とは 一体 何なのです? 160 00:12:38,158 --> 00:12:41,661 まだ言えん。 そんな勝手な…。 161 00:12:41,661 --> 00:12:43,597 ≪(伴四郎を追う声) 162 00:12:43,597 --> 00:12:48,001 頼んだぞ 伴四郎。 えっ? ちょっと 殿! 163 00:12:48,001 --> 00:12:51,838 殿! おお…。 白ネギ~。 164 00:12:51,838 --> 00:12:53,773 やめて…。 165 00:12:53,773 --> 00:12:56,773 うわ~っ! もう逃がさんぞ。 166 00:13:03,550 --> 00:13:08,688 叔父上。 随分と派手にやられたな 伴四郎。 167 00:13:08,688 --> 00:13:10,624 かたじけない。 168 00:13:10,624 --> 00:13:14,027 しかし なぜ このような目に 遭わねばならんのでしょう。 169 00:13:14,027 --> 00:13:17,364 本当じゃ。 話によれば➡ 170 00:13:17,364 --> 00:13:22,869 わしらは この南海に 三両で売られたらしい。 171 00:13:22,869 --> 00:13:26,740 いや 私は五両でと聞きましたが。 172 00:13:26,740 --> 00:13:32,312 五両? その二両の差は何じゃ! 173 00:13:32,312 --> 00:13:37,812 さあ… 人の価値というものは 時に残酷なものですな。 174 00:13:41,321 --> 00:13:43,256 叔父上? 175 00:13:43,256 --> 00:13:47,994 三両のわしに助けられては 五両の価値が落ちよう。 176 00:13:47,994 --> 00:13:54,194 自力で なんとかせい。 ちょっと… 叔父上! 叔父上! 177 00:13:57,704 --> 00:14:01,174 あっ お… おい。 178 00:14:01,174 --> 00:14:04,678 や… やめい! おい。 179 00:14:04,678 --> 00:14:10,178 (英語) 180 00:14:13,386 --> 00:14:18,024 (英語) 181 00:14:18,024 --> 00:14:21,695 何を言うておる。 分かるように しゃべらんか。 182 00:14:21,695 --> 00:14:27,500 アボットさんは 「いつになれば 増築は完成するか」と➡ 183 00:14:27,500 --> 00:14:31,805 おっしゃっております。 フンッ。 エゲレス様の急な言いつけで➡ 184 00:14:31,805 --> 00:14:36,476 しかたなく人足仕事などを しておるが 我らは武士! 185 00:14:36,476 --> 00:14:40,146 一日二日で済む訳がなかろう。 ごもっともでございます。 186 00:14:40,146 --> 00:14:49,823 (英語) 187 00:14:49,823 --> 00:14:52,325 「皆の衆 お疲れであろうが➡ 188 00:14:52,325 --> 00:14:56,162 できる限り 早く完成させてくれ」と。 189 00:14:56,162 --> 00:14:59,199 ク… ク… タ…。 190 00:14:59,199 --> 00:15:03,670 「苦労をかけるが たの…」。 191 00:15:03,670 --> 00:15:08,174 口を動かす前に 手を動かせ! たわけ! 192 00:15:08,174 --> 00:15:10,210 何だと こら! 193 00:15:10,210 --> 00:15:12,512 (大田垣)調子に乗るなよ エゲレス野郎! 194 00:15:12,512 --> 00:15:15,548 誰が たわけ者か 思い知らせてくれるわ! 195 00:15:15,548 --> 00:15:19,185 サガレ! 196 00:15:19,185 --> 00:15:24,057 ああ… まあまあまあ。 お二人とも。 ミスター アーロン。 197 00:15:24,057 --> 00:15:38,057 ♬~ 198 00:15:46,980 --> 00:15:51,151 おい 眼鏡! 何だ 急に。 199 00:15:51,151 --> 00:15:53,820 藩邸の増築に もっと人手がいる。 200 00:15:53,820 --> 00:15:57,991 あと10人雇う余裕があるかどうか そろばんをはじけ。 201 00:15:57,991 --> 00:16:00,660 はじくまでもない。 202 00:16:00,660 --> 00:16:05,999 これ以上 人足に割く金など ある訳がなかろう。 203 00:16:05,999 --> 00:16:09,335 しかし あのエゲレス野郎は 急げと言って聞かんのだ。 204 00:16:09,335 --> 00:16:15,141 なら 急げ! さもなきゃ 賄いの費用を削ろうか? 205 00:16:15,141 --> 00:16:18,441 新たに 人足10人を雇うなら…。 206 00:16:20,046 --> 00:16:22,682 晩の麦飯を半分にすれば賄えるな。 207 00:16:22,682 --> 00:16:27,554 日に一度の麦飯を半分にされたら いよいよ体が動かんわ! 208 00:16:27,554 --> 00:16:31,291 ならば諦めろ。 (机をたたく音) 209 00:16:31,291 --> 00:16:35,791 相変わらず生意気な眼鏡だのう。 210 00:16:43,002 --> 00:16:47,841 もうちょっと こう… 色気のある夕げにならんかのう。 211 00:16:47,841 --> 00:16:51,477 せめて 汁の一品は欲しいが。 212 00:16:51,477 --> 00:16:56,649 なんとか ここを出る方法が ないもんかのう。 213 00:16:56,649 --> 00:17:00,153 桃色の包みだ。 その中に書状がある。 214 00:17:00,153 --> 00:17:04,324 取り戻した暁には 必ず お主を藩に引き戻す。 215 00:17:04,324 --> 00:17:06,359 信じてくれ 伴四郎。 216 00:17:06,359 --> 00:17:10,496 ない事はありません。 本当か? 217 00:17:10,496 --> 00:17:15,196 しかし たやすくかなうとも 思いません。 218 00:17:18,171 --> 00:17:22,041 また あの衣紋方の事を 考えておるのですか? 219 00:17:22,041 --> 00:17:26,346 確かに 着物の穴ぐらいで➡ 220 00:17:26,346 --> 00:17:31,117 なにも切腹まで言い渡さなくても よいでしょうに…。 221 00:17:31,117 --> 00:17:37,790 父上は 人の気持ちが分からんのだ。 222 00:17:37,790 --> 00:17:44,790 余から 親も郷里も そして友まで奪おうとは…。 223 00:18:05,018 --> 00:18:09,718 叔父上 申し訳ない。 いつか きっと迎えに来ます。 224 00:18:12,692 --> 00:18:15,328 何奴だ? 225 00:18:15,328 --> 00:18:20,166 あっ いや… 名乗るほどの者では ありま…。 226 00:18:20,166 --> 00:18:22,835 あれ? 227 00:18:22,835 --> 00:18:28,007 おっ。 ああ 新入りか。 228 00:18:28,007 --> 00:18:30,977 五両で売りつけられた。 229 00:18:30,977 --> 00:18:34,447 大丈夫ですか? 230 00:18:34,447 --> 00:18:38,318 やったのは あの大田垣とかいう奴でしょう。 231 00:18:38,318 --> 00:18:41,120 私も同じくされました。 232 00:18:41,120 --> 00:18:48,294 そろばんをはじくしか能のない 私は 南海藩士の恥なのだろう。 233 00:18:48,294 --> 00:18:53,800 しかし 恨んではおらん。 気が立つのもしかたない。 234 00:18:53,800 --> 00:18:57,500 さっ。 さあ さあさあ。 235 00:19:02,976 --> 00:19:05,878 我が藩の勝手向きは火の車。 236 00:19:05,878 --> 00:19:11,150 そこへ来て エゲレス公使から 藩邸を増築しろと急な命令だ。 237 00:19:11,150 --> 00:19:13,186 心穏やかにいられる訳がない。 238 00:19:13,186 --> 00:19:17,023 どうして そこまで エゲレスに気を遣うのです? 239 00:19:17,023 --> 00:19:23,162 エゲレスとの関係こそ 我が南海藩 起死回生の一手だからな。 240 00:19:23,162 --> 00:19:27,333 いや お主には関係のない話。 忘れてくれ。 241 00:19:27,333 --> 00:19:30,670 引き止めて 申し訳なかったな。 242 00:19:30,670 --> 00:19:34,273 見逃してくれるのですか? 243 00:19:34,273 --> 00:19:40,473 助けてもらった恩は 返さねばならん。 かたじけない。 244 00:19:42,148 --> 00:19:46,786 いや やはり逃げられては困るな。 245 00:19:46,786 --> 00:19:50,289 お主を買った五両分は 働いてもらわんと損だ。 246 00:19:50,289 --> 00:19:53,126 今 しかし 恩返しだと…。 であえい! 247 00:19:53,126 --> 00:19:55,461 人足の一人が 逃げようとしておるぞ! 248 00:19:55,461 --> 00:19:57,797 そんな…。 ≪何奴!? 249 00:19:57,797 --> 00:20:00,700 どこだ!? あっ いや 違う。 250 00:20:00,700 --> 00:20:03,302 違います! あっ ちょっと…。 251 00:20:03,302 --> 00:20:07,802 私は そろばんをはじくしか 能のない男だからな。 252 00:20:21,154 --> 00:20:27,654 これは? 乾燥味噌です。 味噌は滋養十分。 253 00:20:33,733 --> 00:20:38,233 すずよ… 必ず 逃げ出してみせるからな。 254 00:20:56,055 --> 00:20:59,192 惚れておるのか? 255 00:20:59,192 --> 00:21:02,528 バ… バカな事 言うんじゃないよ。 256 00:21:02,528 --> 00:21:06,528 膳を下げる間合いを うかがっているだけさ。 257 00:21:08,334 --> 00:21:13,239 確かに よい男だのう。 あの… え~。 258 00:21:13,239 --> 00:21:17,043 桔梗屋源次。 乾物から反物 材木まで➡ 259 00:21:17,043 --> 00:21:19,946 手広く扱う商才の持ち主さ。➡ 260 00:21:19,946 --> 00:21:24,717 随分若く見えるけど 50は超えてるって話だよ。 261 00:21:24,717 --> 00:21:27,753 詳しいな。 262 00:21:27,753 --> 00:21:32,825 生娘でもあるまいし 文でも したためてみたらどうじゃ? 263 00:21:32,825 --> 00:21:35,728 読み書きなんか できゃしないよ。 264 00:21:35,728 --> 00:21:41,167 では 弘法大師の生まれ変わりと 称された このわしが➡ 265 00:21:41,167 --> 00:21:45,037 文を代筆してやろう。 いいのかい? 266 00:21:45,037 --> 00:21:49,337 そのかわり 一つ頼みがある。 267 00:21:55,181 --> 00:21:59,051 叔父上 それは? 268 00:21:59,051 --> 00:22:01,687 さすが わしじゃ。 269 00:22:01,687 --> 00:22:10,187 ♬~ 270 00:22:23,876 --> 00:22:25,876 すず。 271 00:22:37,156 --> 00:22:39,156 あ~っ! 272 00:22:41,027 --> 00:22:45,831 いくぞ。 よし。 大丈夫か!? 273 00:22:45,831 --> 00:22:52,705 誰か! 誰か! おい そっち持て。 材木 抜くぞ。 274 00:22:52,705 --> 00:22:56,008 大丈夫か!? 大丈夫か!? ゆっくり返せ。 275 00:22:56,008 --> 00:23:00,513 これに乗せましょう! 276 00:23:00,513 --> 00:23:02,448 よ~し 持ち上げるぞ! 277 00:23:02,448 --> 00:23:06,686 もう限界だ。 278 00:23:06,686 --> 00:23:10,356 体だけではない。 頭も働かんのだからな。 279 00:23:10,356 --> 00:23:13,392 増築が済む前に 我々が潰れてしまうぞ。 280 00:23:13,392 --> 00:23:18,030 情けない事を言うな! 281 00:23:18,030 --> 00:23:22,368 こうなったら 気合いで建てるしかあるまい。 282 00:23:22,368 --> 00:23:25,368 気合いでは どうにもならん。 283 00:23:27,206 --> 00:23:32,478 白ネギが 生意気に意見するか。 284 00:23:32,478 --> 00:23:40,653 聞こうではないか。 我々は どうすればよいのだ? 285 00:23:40,653 --> 00:23:44,824 食う事です。 麦飯だろうと何だろうと➡ 286 00:23:44,824 --> 00:23:48,160 腹におさめねば 力も知恵も出ない。 287 00:23:48,160 --> 00:23:51,063 (笑い声) 288 00:23:51,063 --> 00:23:56,563 しかし 飯が喉を通らんのだ。 胃が受け付けん。 289 00:24:04,610 --> 00:24:08,848 一人に たった6匁の味噌も 賄えんというのですか? 290 00:24:08,848 --> 00:24:12,184 前に申したとおり うちに そんな余裕はない。 291 00:24:12,184 --> 00:24:15,184 無い袖は振れん。 292 00:24:17,523 --> 00:24:19,859 分かりました。 なら 味噌は半分でよい。 293 00:24:19,859 --> 00:24:22,528 そのかわり 唐辛子を用立てて下さい。 294 00:24:22,528 --> 00:24:29,528 無理だ。 とにかく 人足に割く余裕など 一銭もない。 295 00:24:31,137 --> 00:24:33,639 お主は 食えぬひもじさを 知らんから➡ 296 00:24:33,639 --> 00:24:35,574 そのような事が言えるのだ。 297 00:24:35,574 --> 00:24:41,981 人足衆は 夜も眠れぬほど ひもじい思いをしておるのだぞ! 298 00:24:41,981 --> 00:24:46,819 私が ご用立て致しましょう。 299 00:24:46,819 --> 00:24:49,119 桔梗屋様。 300 00:24:51,157 --> 00:24:55,027 その程度の金で 人足衆に力がつくのなら➡ 301 00:24:55,027 --> 00:24:59,027 お安いものでございます。 本当ですか? 302 00:25:01,667 --> 00:25:04,167 では 参る。 303 00:25:07,173 --> 00:25:10,676 私も お手伝いします。 えっ? 304 00:25:10,676 --> 00:25:15,876 これも 藩のためですから。 かたじけない。 305 00:25:19,352 --> 00:25:26,525 もう やめだ。 やってられるか。 バカバカしい。 306 00:25:26,525 --> 00:25:29,362 また現れやがったな。 307 00:25:29,362 --> 00:25:33,132 くたばれ! 怠け者! 308 00:25:33,132 --> 00:25:36,802 もう 何とでも言え。 309 00:25:36,802 --> 00:25:40,673 くたばるのは まだ早い! 310 00:25:40,673 --> 00:25:44,673 精をつけてもらおうと 食事を用意しました。 311 00:25:50,316 --> 00:25:55,516 また麦飯か… うんざりする。 312 00:26:06,332 --> 00:26:10,169 これで食ってみて下さい。 313 00:26:10,169 --> 00:26:12,669 何だ? この匂いは。 314 00:26:22,515 --> 00:26:28,387 こりゃ うまい! わしにも 1つ。 315 00:26:28,387 --> 00:26:30,389 わしにも。 316 00:26:30,389 --> 00:26:34,126 (笑い声) 317 00:26:34,126 --> 00:26:50,576 ♬~ 318 00:26:50,576 --> 00:26:54,447 うまい。 319 00:26:54,447 --> 00:26:58,447 うまいぞ! うまいぞ! 320 00:27:05,090 --> 00:27:08,090 ノー! サガレ。 321 00:27:13,332 --> 00:27:17,832 では 私が頂きましょう。 322 00:27:22,675 --> 00:27:28,875 うん! これは うまい。 あなたのおかげです 桔梗屋さん。 323 00:27:31,116 --> 00:27:34,987 おい 新八 食わんのか? 324 00:27:34,987 --> 00:27:38,624 どうぞ 私の分も 召し上がって下さい。 325 00:27:38,624 --> 00:27:42,795 何だ 人足衆に義理立てしておるのか? 326 00:27:42,795 --> 00:27:45,297 私も南海藩士の端くれ。 327 00:27:45,297 --> 00:27:47,967 刀を振る代わりに そろばんをはじいておるだけで➡ 328 00:27:47,967 --> 00:27:53,772 心は武士です。 抜け駆けなど できません。 329 00:27:53,772 --> 00:28:08,287 ♬~ 330 00:28:08,287 --> 00:28:12,087 頼んだぞ 伴四郎。 331 00:28:30,342 --> 00:28:34,613 どこへ行く気だ? 332 00:28:34,613 --> 00:28:36,549 今度こそ見逃して下さい! 333 00:28:36,549 --> 00:28:39,785 私には 妻も子もおります。 あっ そういえば 私の料理で➡ 334 00:28:39,785 --> 00:28:42,621 人足の働きが よくなったではありませんか! 335 00:28:42,621 --> 00:28:44,657 そういった意味では もう五両分 働いたと言えるな。 336 00:28:44,657 --> 00:28:47,657 それでは失礼します。 五両どころではない。 337 00:28:49,395 --> 00:28:53,132 桔梗屋様から 材料費の書きつけが来ておる。 338 00:28:53,132 --> 00:28:57,970 書きつけ? 味噌と唐辛子 締めて三両。 339 00:28:57,970 --> 00:29:02,308 しかし その金は桔梗屋さんが…。 桔梗屋様は江戸の商人だぞ。 340 00:29:02,308 --> 00:29:05,644 時に金貸しまでやる 筋金入りの守銭奴が➡ 341 00:29:05,644 --> 00:29:11,150 タダで材料を用立てる訳が なかろう。 342 00:29:11,150 --> 00:29:15,654 身売り代の五両に 書きつけの三両 合わせて八両分は働いてもらう。 343 00:29:15,654 --> 00:29:18,324 八両って そんな…。 344 00:29:18,324 --> 00:29:22,161 私は すずのもとへ帰るのだ! そうはさせん! 345 00:29:22,161 --> 00:29:25,161 どけ! どかん! どけ…。 346 00:29:28,667 --> 00:29:32,438 桃色の包みだ。 その中に書状がある。 347 00:29:32,438 --> 00:29:35,341 それは…。 348 00:29:35,341 --> 00:29:39,341 これは お主には関係のない。 349 00:29:42,147 --> 00:29:44,347 逃げるなよ。 350 00:29:46,452 --> 00:29:51,752 その包みさえあれば 逃げる必要などあるものか。 351 00:30:33,098 --> 00:30:48,714 ♬~ 352 00:30:48,714 --> 00:30:51,483 (てん)あっ。 (隼也)何や お母ちゃんか。 353 00:30:51,483 --> 00:30:54,783 堪忍な 気持ちよう寝てたのに。