1 00:00:33,169 --> 00:00:37,339 <時は幕末 所はお江戸。 南海藩に売り飛ばされ➡ 2 00:00:37,339 --> 00:00:41,677 成り行きで賄方にまで 出世してしまった酒田伴四郎。➡ 3 00:00:41,677 --> 00:00:45,848 高野藩の跡継ぎ 清之助の出自に まつわる書状を奪い返し➡ 4 00:00:45,848 --> 00:00:49,185 高野藩に戻る事は かなうのか?> 5 00:00:49,185 --> 00:00:52,021 その辺で見ておれ! 6 00:00:52,021 --> 00:00:54,523 勝手が分からないのですから➡ 7 00:00:54,523 --> 00:00:57,026 まだ 力になれずとも しかたがありません。 8 00:00:57,026 --> 00:00:59,361 落ち着いて下さい。 9 00:00:59,361 --> 00:01:02,264 これまで 料理は した事があるのですが➡ 10 00:01:02,264 --> 00:01:05,167 下働きの経験はないもので…。 11 00:01:05,167 --> 00:01:07,103 調子に乗るなよ。 12 00:01:07,103 --> 00:01:11,373 どうだ? お常。 ずうずうしいとは思わんか? 13 00:01:11,373 --> 00:01:13,309 思いません! あぁ…。 14 00:01:13,309 --> 00:01:16,245 だって 伴四郎様の腕は ピカイチではありませんか! 15 00:01:16,245 --> 00:01:19,048 先日のオムレットも 麦飯にのせた辛味噌だって➡ 16 00:01:19,048 --> 00:01:22,384 大評判だったんですよ。 しかし このような男に➡ 17 00:01:22,384 --> 00:01:27,556 賄方が務まるとは思えんが。 私が協力します。 18 00:01:27,556 --> 00:01:29,492 共に頑張りましょう。 19 00:01:29,492 --> 00:01:32,792 そう言ってもらえると ありがたい。 20 00:01:36,265 --> 00:01:50,780 ♬~ 21 00:01:50,780 --> 00:01:52,980 発表致します。 22 00:01:55,351 --> 00:01:59,522 (お常)「召し放ち」。 「総入れ札」。 23 00:01:59,522 --> 00:02:04,693 そう。 これより 「第1回 召し放ち 総入れ札」を➡ 24 00:02:04,693 --> 00:02:07,530 開催致します。 どういう意味でしょう? 25 00:02:07,530 --> 00:02:12,368 要するに 藩の財政難を解消する 一案として➡ 26 00:02:12,368 --> 00:02:16,872 賄方をお役御免とし 給金を浮かせようというのだ。 27 00:02:16,872 --> 00:02:21,672 あ~ なるほど。 それで「召し放ち」ですか。 28 00:02:23,379 --> 00:02:27,550 (一同)え~っ!? 29 00:02:27,550 --> 00:02:30,386 うるさ~い! 静まれ 静まれぃ! 30 00:02:30,386 --> 00:02:33,289 黙ってなどいられません! 藩から お払い箱にされたら➡ 31 00:02:33,289 --> 00:02:35,224 明日から どうやって 生きていくのです? 32 00:02:35,224 --> 00:02:39,662 知るか! そんな事より 藩の財政難の方が一大事じゃろ。 33 00:02:39,662 --> 00:02:42,498 お徳さん! 我々勘定方は そんな話 聞いておりませんが。 34 00:02:42,498 --> 00:02:44,433 言ってないもの。 言って下さい。 35 00:02:44,433 --> 00:02:47,837 うるさい。 なにも全員を一気に 召し放ちする訳じゃないよ。➡ 36 00:02:47,837 --> 00:02:51,674 とりあえず 入れ札により 最も能力の低い者を選び➡ 37 00:02:51,674 --> 00:02:54,974 その者を召し放ちするのさ。 あっ…。 38 00:02:57,546 --> 00:03:00,546 どうして そんな急に…。 39 00:03:02,685 --> 00:03:07,857 お恥ずかしい話ですが このままでは 桔梗屋も➡ 40 00:03:07,857 --> 00:03:12,728 南海藩と共倒れになるかと。 それは いけません。 41 00:03:12,728 --> 00:03:16,028 私に 何か お手伝いできる事は? 42 00:03:18,200 --> 00:03:21,036 財政を立て直すにあたり➡ 43 00:03:21,036 --> 00:03:24,707 まず第一に手をつけるのは 藩士の給金。 44 00:03:24,707 --> 00:03:29,545 余裕のあるところから 削っていくのが定石かと。 45 00:03:29,545 --> 00:03:36,318 なるほど。 それで 少しでも 桔梗屋様のお役に立てるのなら…。 46 00:03:36,318 --> 00:03:41,618 ありがとう。 これを お徳さんに。 47 00:03:43,192 --> 00:03:46,892 お徳と そうお呼び下さい。 48 00:03:49,031 --> 00:03:52,531 では お徳。 49 00:03:59,508 --> 00:04:02,011 きれいだよ。 50 00:04:02,011 --> 00:04:10,719 ♬~ 51 00:04:10,719 --> 00:04:15,190 お徳。 お徳さん? 52 00:04:15,190 --> 00:04:21,697 どうされました? お徳さん。 うるさい! 気安く呼ぶな! 53 00:04:21,697 --> 00:04:24,600 私が賄方に残された暁には➡ 54 00:04:24,600 --> 00:04:28,370 独自のつてを使い 鮮魚の仕入れを充実させます! 55 00:04:28,370 --> 00:04:32,975 本当に そんな事が できるのかねぇ。 次。 56 00:04:32,975 --> 00:04:36,812 誰よりも早起きし 皆の者が集まる前に➡ 57 00:04:36,812 --> 00:04:39,148 この炊事場の掃除を 入念に済ませておきます! 58 00:04:39,148 --> 00:04:42,818 調子のいい事 言うんじゃないよ! 次。 59 00:04:42,818 --> 00:04:47,489 私が賄方に残された暁には…➡ 60 00:04:47,489 --> 00:04:49,992 エゲレス様に喜んで頂けるような➡ 61 00:04:49,992 --> 00:04:52,828 新たな献立の創作に 力を入れようと思います! 62 00:04:52,828 --> 00:04:56,498 オムレットで しくじったあんたに できるとは思えないけどね。 63 00:04:56,498 --> 00:04:58,434 (平三)次! 64 00:04:58,434 --> 00:05:03,272 私が賄方に残された暁には…。 65 00:05:03,272 --> 00:05:06,208 次! まだ何も約束しておりませんが。 66 00:05:06,208 --> 00:05:10,008 今 考えてるようじゃ 話になんないよ。 次! 67 00:05:13,048 --> 00:05:18,354 何が「召し放ち 総入れ札」だ。 バカバカしい。 68 00:05:18,354 --> 00:05:20,856 ほれ。 食え食え。 69 00:05:20,856 --> 00:05:25,056 たらふく食っていいのだぞ。 ほれ。 70 00:05:27,029 --> 00:05:29,365 取った。 え? 71 00:05:29,365 --> 00:05:32,365 新八殿 ごめん! 72 00:05:38,807 --> 00:05:41,643 母上 お呼びでしょうか? 73 00:05:41,643 --> 00:05:45,314 エゲレス公使を招いての 酒宴よりこちら➡ 74 00:05:45,314 --> 00:05:49,184 一層 荒れてるそうですね。 友を失ったのです。 75 00:05:49,184 --> 00:05:54,023 荒れて当然ではありませんか。 友を? 76 00:05:54,023 --> 00:05:58,827 いえ…。 とにかく ここ最近の父上の行いは➡ 77 00:05:58,827 --> 00:06:06,502 納得のいかぬ事ばかり。 辟易しております。 清之助! 78 00:06:06,502 --> 00:06:09,171 同感です。 79 00:06:09,171 --> 00:06:12,207 フッと姿を消す事も しばしば。 80 00:06:12,207 --> 00:06:15,677 かねてより雲隠れの癖は あったものの➡ 81 00:06:15,677 --> 00:06:19,548 ここ最近のそれは 尋常ではありません。 82 00:06:19,548 --> 00:06:25,020 身勝手で わがままで 周囲は振り回されてばかり。 83 00:06:25,020 --> 00:06:29,525 ならば 直接 お咎めになってはいかがですか? 84 00:06:29,525 --> 00:06:32,494 咎める事などできません。 85 00:06:32,494 --> 00:06:38,333 それらは全て いつも誰かのためなのですから。 86 00:06:38,333 --> 00:06:43,639 己ではなく ほかの誰かの。 87 00:06:43,639 --> 00:06:51,513 あきれた事に あなたの父は そういうお方なのです。 88 00:06:51,513 --> 00:06:57,186 しかし それは余のためではない。 89 00:06:57,186 --> 00:06:59,188 奪う事はあっても➡ 90 00:06:59,188 --> 00:07:03,025 父上が 余のために 何かしてくれた事などありません。 91 00:07:03,025 --> 00:07:05,525 ただの一度も。 92 00:07:07,863 --> 00:07:11,667 「召し放ち 総入れ札」? ええ。 93 00:07:11,667 --> 00:07:15,838 私が お役御免となれば すずと共に江戸を去り➡ 94 00:07:15,838 --> 00:07:18,874 郷里のはな坊を連れて 誰の目も届かぬ場所で➡ 95 00:07:18,874 --> 00:07:21,710 新たな生活を 送る事となりましょう。 96 00:07:21,710 --> 00:07:26,181 でも それも しかたのない事。 ええ しかたのない事なのです。 97 00:07:26,181 --> 00:07:30,052 お主 本当は 召し放たれたいのか? 98 00:07:30,052 --> 00:07:33,622 バ… バカな事を! 私は ここに残り➡ 99 00:07:33,622 --> 00:07:36,291 例の書状を奪い返さなければ ならないと➡ 100 00:07:36,291 --> 00:07:40,629 心より そう思っております。 しかし 召し放たれちゃったら➡ 101 00:07:40,629 --> 00:07:44,500 まあ それは しかたないでしょ? ね? ならん! 102 00:07:44,500 --> 00:07:47,136 お主に抜けられては困るのだ。 103 00:07:47,136 --> 00:07:53,475 独自に探りを入れた結果 南海藩には 何やら裏がある。 104 00:07:53,475 --> 00:08:00,649 ♬~ 105 00:08:00,649 --> 00:08:03,986 おや もう お引き揚げなさるんで? 106 00:08:03,986 --> 00:08:09,491 今日は ツイておらん。 そう言わず もう一勝負どうです? 107 00:08:09,491 --> 00:08:13,328 南海藩は これから 景気がよくなると聞いてますが。 108 00:08:13,328 --> 00:08:17,666 どこで そんな話を? エゲレス公使を藩邸に招き➡ 109 00:08:17,666 --> 00:08:20,169 異国相手の商売を なさるそうですね。 110 00:08:20,169 --> 00:08:23,505 エゲレス様が何だって? 商売? 111 00:08:23,505 --> 00:08:28,844 貿易? そんな訳があるか。 112 00:08:28,844 --> 00:08:31,346 あやつらは 我が藩に住み着き➡ 113 00:08:31,346 --> 00:08:35,117 好き勝手に 食い潰しておるだけよ。 114 00:08:35,117 --> 00:08:40,923 南海藩は エゲレスと 何をしようというのです? 115 00:08:40,923 --> 00:08:46,295 書状が奪われた事と 関係があるやもしれん。 116 00:08:46,295 --> 00:08:50,132 お主は引き続き 目を光らせておいてくれ。 117 00:08:50,132 --> 00:08:53,632 くれぐれも 召し放たれるなよ。 118 00:08:56,305 --> 00:09:00,976 まだ起きているのですか? 伴四郎様。 119 00:09:00,976 --> 00:09:06,481 早く寝た方がいい。 明日も早いのですから。 120 00:09:06,481 --> 00:09:10,152 眠れないのです。 121 00:09:10,152 --> 00:09:16,325 このままでは恐らく 召し放ちとなるのは私。 122 00:09:16,325 --> 00:09:22,197 そうなれば 父と2人 路頭に迷う事となりましょうね。 123 00:09:22,197 --> 00:09:25,667 お父上と…。 124 00:09:25,667 --> 00:09:30,005 偏屈で 面倒な奴だと思ったでしょ? 125 00:09:30,005 --> 00:09:32,975 あ いえ…。 でも➡ 126 00:09:32,975 --> 00:09:37,746 幼き頃より私を守ってくれた ただ一人の父です。 127 00:09:37,746 --> 00:09:43,652 父上! しっかりして下さい! 128 00:09:43,652 --> 00:09:47,289 耳元で やかましい。 129 00:09:47,289 --> 00:09:49,289 寝るなら布団へ。 130 00:09:50,959 --> 00:09:57,299 (お常)母が亡くなってから 父一人 子一人で生きてきました。 131 00:09:57,299 --> 00:09:59,234 父が年老いた今➡ 132 00:09:59,234 --> 00:10:03,105 次は 私が しっかりしなければ いけないのに…。 133 00:10:03,105 --> 00:10:06,008 (泣き声) 134 00:10:06,008 --> 00:10:09,008 あの… 大丈夫ですか? 135 00:10:11,647 --> 00:10:16,151 私も 訳あって 賄方を降りる訳にはまいりません。 136 00:10:16,151 --> 00:10:21,490 しかし お常さんが召し放ちに なるなど あってはならぬ事! 137 00:10:21,490 --> 00:10:27,996 互いに力を合わせ 召し放ちを免れましょう! 138 00:10:27,996 --> 00:10:30,899 はい! 139 00:10:30,899 --> 00:10:33,599 よろしくお願いします! 140 00:10:36,672 --> 00:10:40,342 お常 野菜を持ってきてくれ。 はい。 141 00:10:40,342 --> 00:10:56,642 ♬~ 142 00:11:05,567 --> 00:11:10,205 これはこれは 高野の狐殿。 143 00:11:10,205 --> 00:11:13,241 本日も お上の機嫌を 伺いに来たようですな。 144 00:11:13,241 --> 00:11:17,079 南海殿こそ また 南方の風に乗り➡ 145 00:11:17,079 --> 00:11:21,383 よからぬ噂を吹聴に来たようで。 他意はござらん。 146 00:11:21,383 --> 00:11:27,055 場が退屈であったがゆえに ちょいと 賑やかしただけの事。 147 00:11:27,055 --> 00:11:28,990 たちの悪い。 148 00:11:28,990 --> 00:11:33,328 そう 目くじらを お立てになるな。 149 00:11:33,328 --> 00:11:38,834 こちらに敵意のない証しとして 酒宴を開こうかと思うております。 150 00:11:38,834 --> 00:11:44,334 以前 エゲレス公使と共に 家老衆が招かれた返礼として。 151 00:11:46,174 --> 00:11:51,174 承知した。 楽しみに伺わせて頂きます。 152 00:11:53,048 --> 00:11:59,688 あっ そうだ。 清之助殿も ご一緒にいかがですかな? 153 00:11:59,688 --> 00:12:02,688 共に楽しみましょうぞ。 154 00:12:04,359 --> 00:12:11,133 それとも 今は まだ 表に出せぬ理由でもおありか?➡ 155 00:12:11,133 --> 00:12:13,633 残念ですなぁ。 156 00:12:15,537 --> 00:12:17,537 結果が出たぞ! 157 00:12:26,047 --> 00:12:28,047 あ…。 158 00:12:31,219 --> 00:12:33,188 お常さん? 159 00:12:33,188 --> 00:12:36,057 私も お常さんも 立派に務めたではありませんか! 160 00:12:36,057 --> 00:12:40,829 どうして我々が? 役立たずは伴四郎一人でしょう。 161 00:12:40,829 --> 00:12:44,499 お常まで札を集めたのは 納得がいきません。 162 00:12:44,499 --> 00:12:46,835 厳正なる入れ札の結果さ。 163 00:12:46,835 --> 00:12:49,671 同じ札数なんだから しかたないだろ。 164 00:12:49,671 --> 00:12:54,342 でも どう考えても 役立たずは 伴四郎の方ではありませんか! 165 00:12:54,342 --> 00:12:57,012 確かに伴四郎の方が 役立たずではある。 166 00:12:57,012 --> 00:12:59,848 ただ この男には 実績があるからね。 167 00:12:59,848 --> 00:13:02,684 でも 役立たずは 役立たずでしょう。 168 00:13:02,684 --> 00:13:06,354 ああ 役立たずだよ! そんな言い方…。 169 00:13:06,354 --> 00:13:10,692 ひどいと思いませんか お常さん。 170 00:13:10,692 --> 00:13:14,863 新八様の言うとおり! 171 00:13:14,863 --> 00:13:18,700 召し放ちは この男だけに して下さい。 えっ? 172 00:13:18,700 --> 00:13:22,571 職を失えば 親子で路頭に迷う事になります。 173 00:13:22,571 --> 00:13:26,875 そんな… お常さん 2人で 力を合わせましょうって…。 174 00:13:26,875 --> 00:13:30,212 お黙り! こんな どこの馬の骨だか分からない➡ 175 00:13:30,212 --> 00:13:33,815 男と共倒れじゃ 男手一つ私を育ててくれた父に➡ 176 00:13:33,815 --> 00:13:36,151 申し訳が立ちません。 共に頑張りましょうって…。 177 00:13:36,151 --> 00:13:39,054 黙れ! いや…。 黙れ 黙れ 黙れ~! 178 00:13:39,054 --> 00:13:41,656 (お徳)落ち着きなさい! 179 00:13:41,656 --> 00:13:44,326 期せず 同じ札数となっちまったが➡ 180 00:13:44,326 --> 00:13:47,229 そもそも お役御免は たった一人の予定だった。 181 00:13:47,229 --> 00:13:51,199 従って 賄方らしく お常と伴四郎 2名で➡ 182 00:13:51,199 --> 00:13:56,338 料理勝負を行い 敗者1名を召し放ちとする。 183 00:13:56,338 --> 00:14:00,175 料理勝負? 近々 高野の殿様を招き➡ 184 00:14:00,175 --> 00:14:04,346 酒宴を開く事になったのさ。 座興として2人に➡ 185 00:14:04,346 --> 00:14:07,249 もてなし料理を 作らせようじゃないか。 186 00:14:07,249 --> 00:14:11,019 しかし お常さんとでは 気が進みません。 187 00:14:11,019 --> 00:14:15,857 勝っても負けても 腹に一物が残る。 やります! 188 00:14:15,857 --> 00:14:20,362 私の料理で この役立たずを 打ち負かしてやります。 189 00:14:20,362 --> 00:14:25,662 その意気だ お常! 私も助太刀しようではないか。 190 00:14:28,236 --> 00:14:32,641 その後 高野藩からの働きかけは あったか? 191 00:14:32,641 --> 00:14:39,981 茂照の様子では 少なからず 心の内は波立っておったようだが。 192 00:14:39,981 --> 00:14:45,487 じかにはございませんが 気になる男が 1人おりまして。 193 00:14:45,487 --> 00:14:48,323 高野からの間者かもしれず➡ 194 00:14:48,323 --> 00:14:52,193 あぶり出すため 賄方を つついておるところですが…。 195 00:14:52,193 --> 00:14:57,832 間者まで仕込んでおるとは 茂照 やはり狐よのう。 196 00:14:57,832 --> 00:15:01,336 そこで もう一押し。 197 00:15:01,336 --> 00:15:05,206 子狐の方も つついてみようかと。 198 00:15:05,206 --> 00:15:07,208 ≪若! 199 00:15:07,208 --> 00:15:10,011 何があった 騒々しい。 200 00:15:10,011 --> 00:15:13,348 これを。 201 00:15:13,348 --> 00:15:16,848 たった今 藩邸を訪れた者に手渡されました。 202 00:15:19,854 --> 00:15:22,054 (宗太郎)中には 何と? 203 00:15:30,031 --> 00:15:33,802 父上。 おうおう よいところに来た。 204 00:15:33,802 --> 00:15:37,305 南海藩にて 酒宴が開かれる事になった。 205 00:15:37,305 --> 00:15:40,809 我が藩が催した 酒宴の返礼だそうだ。 206 00:15:40,809 --> 00:15:45,680 お主も共にと申しておるが 遠慮する事にした。 207 00:15:45,680 --> 00:15:49,150 今の南海藩は ちと きな臭くてな。 208 00:15:49,150 --> 00:15:55,490 それは… 私が 罪人の子だからですか? 209 00:15:55,490 --> 00:16:01,490 罪人の子が 晴れの席に出席しては 具合が悪いと そう言うのですか? 210 00:16:08,670 --> 00:16:10,970 なぜ それを? 211 00:16:21,016 --> 00:16:23,918 これで分かりました。 212 00:16:23,918 --> 00:16:28,690 まるで汚点を隠すかのように 目を背けるかのように➡ 213 00:16:28,690 --> 00:16:32,293 父上が私を避けておられた訳が。 そうではない。 214 00:16:32,293 --> 00:16:34,229 言い訳は無用です。 215 00:16:34,229 --> 00:16:40,168 私も 藩の汚点になど なりとうございません。 216 00:16:40,168 --> 00:16:44,868 いっそ 私をお見捨て下さい。 217 00:16:52,480 --> 00:16:55,980 あ~ん。 あ~ん。 218 00:16:58,353 --> 00:17:02,824 うん! これは うまい! 本当ですか? 219 00:17:02,824 --> 00:17:06,695 ああ。 完璧じゃ。 220 00:17:06,695 --> 00:17:11,332 どうした? はかどっておらんようだが。 221 00:17:11,332 --> 00:17:14,836 料理勝負など 気が進まんのです。 222 00:17:14,836 --> 00:17:18,506 余裕で勝てると たかをくくって おられるのでしょう。➡ 223 00:17:18,506 --> 00:17:20,842 その油断が 命取りになりましょうね。 224 00:17:20,842 --> 00:17:24,345 親子の絆を危うくするなんて…。 225 00:17:24,345 --> 00:17:27,849 私は 人を不幸にするための 料理など➡ 226 00:17:27,849 --> 00:17:29,884 一度もした事がないのです。 227 00:17:29,884 --> 00:17:35,290 ならば こちらに 手を貸してくれんか? 228 00:17:35,290 --> 00:17:38,626 南京とサツマイモを 買い出しに出てくれ。 229 00:17:38,626 --> 00:17:45,500 それで お常が幸せになるのなら お主も本望であろう。 230 00:17:45,500 --> 00:17:47,800 行ってまいります。 231 00:17:55,643 --> 00:17:58,480 伴四郎? 232 00:17:58,480 --> 00:18:01,316 あっ 清之助… あっ 若造。 233 00:18:01,316 --> 00:18:03,985 お主 腹を切ったのでは なかったのか? 234 00:18:03,985 --> 00:18:07,489 シ~ッ。 静かに こっち。 黙ってなどいられるか! 235 00:18:07,489 --> 00:18:09,991 お主 腹を! どうして生きておる? 236 00:18:09,991 --> 00:18:14,662 どこで何をしておるのだ? それは… 切腹は免れたのですが➡ 237 00:18:14,662 --> 00:18:17,165 何かの間違いで南海藩に売られ➡ 238 00:18:17,165 --> 00:18:21,035 今は 賄方として働いております。 南海に? 239 00:18:21,035 --> 00:18:23,235 くれぐれも ご内密に。 240 00:18:26,174 --> 00:18:30,044 誰が こんなものを…。 分からん。 241 00:18:30,044 --> 00:18:35,617 しかし これが本当かどうか…。 恐らく本当であろう。 242 00:18:35,617 --> 00:18:39,954 だから父上は 余に つらく あたっておったのだ。 243 00:18:39,954 --> 00:18:43,291 そう考えれば つじつまが合う。 244 00:18:43,291 --> 00:18:46,628 違います。 かつては こんな事もあった。 245 00:18:46,628 --> 00:18:51,800 生みの母が余のために 郷里より 送りよこした好物の栗を➡ 246 00:18:51,800 --> 00:18:56,304 父上が取り上げ 一人で食ってしまったのだ。 247 00:18:56,304 --> 00:19:00,642 「郷里など忘れろ」 そういう訳であろう。 248 00:19:00,642 --> 00:19:03,311 そうやって 当てつけがましく取り上げた。 249 00:19:03,311 --> 00:19:06,648 私など 目障りでしかなかったのだ。 250 00:19:06,648 --> 00:19:10,648 邪魔者でしか…。 そうではない! お主に何が分かる? 251 00:19:12,987 --> 00:19:14,923 分かりません。 252 00:19:14,923 --> 00:19:19,494 しかし 子のためなら 自らを危険にさらす事も➡ 253 00:19:19,494 --> 00:19:24,833 傷つく事もいとわぬのが親です。 たとえ血のつながりがなくとも➡ 254 00:19:24,833 --> 00:19:27,335 子を疎む父など あろうはずがない。 255 00:19:27,335 --> 00:19:32,307 ただの子ではない。 罪人の子なのだ。 256 00:19:32,307 --> 00:19:36,611 南海藩においての酒宴も 遠慮せよと。 257 00:19:36,611 --> 00:19:38,646 酒宴を…? 258 00:19:38,646 --> 00:19:41,146 こちらから願い下げよ。 259 00:19:44,485 --> 00:19:49,324 はあ~… 容易にはいかんな 親子というのは。 260 00:19:49,324 --> 00:19:53,161 何故 心をすれ違わせねば ならないのか…。 261 00:19:53,161 --> 00:19:58,161 世話が焼けますな 殿も清之助様も。 262 00:20:01,135 --> 00:20:05,807 殿。 私より提案がございます。 263 00:20:05,807 --> 00:20:09,310 此度の酒宴に 清之助様もお連れして下さい。 264 00:20:09,310 --> 00:20:15,310 しかし…。 想うだけではなく 伝える事も 親の愛でしょう。 265 00:20:16,985 --> 00:20:19,985 それと もう一つ。 266 00:20:22,657 --> 00:20:25,159 どうするつもりです? こんなに たくさん。 267 00:20:25,159 --> 00:20:27,662 伴四郎が支度しろと言うのだ。 268 00:20:27,662 --> 00:20:32,000 へえ~ 何をしようっていうのかねぇ。 269 00:20:32,000 --> 00:20:35,670 それと これを すず殿に見せるようにと➡ 270 00:20:35,670 --> 00:20:37,670 申しつけられた。 271 00:20:39,340 --> 00:20:41,840 では 頂いてまいる。 272 00:20:43,678 --> 00:20:47,015 (すず)お待ち下さい。 273 00:20:47,015 --> 00:20:50,315 それでは まだ支度が済んでおりません。 274 00:20:52,887 --> 00:20:56,724 あっ…。 275 00:20:56,724 --> 00:21:00,862 栗の皮は硬いのです。 気を付けないと けがをしますよ。 276 00:21:00,862 --> 00:21:03,531 こんな苦労までして 栗など食わずとも…。 277 00:21:03,531 --> 00:21:08,870 あ~ もう そんなにむいては 実が無くなってしまいます。 え? 278 00:21:08,870 --> 00:21:11,372 コツを教えましょうか? ああ 頼む。 279 00:21:11,372 --> 00:21:15,243 このままでは栗の前に 手の皮が全てむけてしまうわ。 280 00:21:15,243 --> 00:21:21,082 栗を食べる誰かの事を じっと想いながらむくのです。 281 00:21:21,082 --> 00:21:24,919 心持ちの話か…。 もっと 目に見えるコツはないのか? 282 00:21:24,919 --> 00:21:27,221 ありません! 283 00:21:27,221 --> 00:21:33,027 私も こうして 伴様の喜ぶ顔を 想いながら むいたものです。 284 00:21:33,027 --> 00:21:43,004 ♬~ 285 00:21:43,004 --> 00:21:47,342 [ 回想 ] 殿。 私より提案がございます。 286 00:21:47,342 --> 00:21:53,014 此度の酒宴に 清之助様もお連れして下さい。 287 00:21:53,014 --> 00:21:55,214 なるほど。 288 00:21:58,353 --> 00:22:01,053 あっ…。 289 00:22:02,690 --> 00:22:05,526 高野藩より 栗の差し入れを賜りました。 290 00:22:05,526 --> 00:22:09,397 どうです? そちらでも。 遠慮します。 291 00:22:09,397 --> 00:22:13,034 旬を過ぎた栗など使いません。 292 00:22:13,034 --> 00:22:16,904 それに 何だ この不格好な むき栗は。 ん? 293 00:22:16,904 --> 00:22:23,211 傷だらけではないか。 足を引っ張るのはよせ。 294 00:22:23,211 --> 00:22:25,411 そうですか…。 295 00:22:32,653 --> 00:22:36,524 すず… 力を借りるぞ。 296 00:22:36,524 --> 00:23:10,391 ♬~ 297 00:23:10,391 --> 00:23:13,294 「来るな」と おっしゃったり 「来い」と おっしゃったり。 298 00:23:13,294 --> 00:23:16,197 私を人形か何かと 勘違いされておるようですね。 299 00:23:16,197 --> 00:23:18,232 勘違いではない。 300 00:23:18,232 --> 00:23:21,702 人形になってでも 酒宴を共にせよと➡ 301 00:23:21,702 --> 00:23:25,873 そう言っておる。 お断りします。 302 00:23:25,873 --> 00:23:27,873 清之助。 303 00:23:31,045 --> 00:23:35,883 頼む。 勝手な…。 304 00:23:35,883 --> 00:23:38,583 食事を持てい! 305 00:23:46,527 --> 00:23:48,996 (俊成)本日は趣向を凝らし➡ 306 00:23:48,996 --> 00:23:53,868 賄方の召し放ちを賭けた 料理勝負となります。 307 00:23:53,868 --> 00:23:57,672 各々 後がない状況での 決死の勝負。 308 00:23:57,672 --> 00:24:04,011 さぞや 気合いの入った料理と なりましょう。 楽しみですな。 309 00:24:04,011 --> 00:24:05,947 趣味の悪い。 310 00:24:05,947 --> 00:24:09,350 本日は 晴れの酒宴との事。 311 00:24:09,350 --> 00:24:14,050 こちらも できる限りの華やかさで 支度させて頂きました。 312 00:24:22,697 --> 00:24:26,567 では 次を。 はっ。 313 00:24:26,567 --> 00:24:30,438 本日の料理は 高野藩より差し入れを賜った➡ 314 00:24:30,438 --> 00:24:35,143 栗を使用させて頂きました。 315 00:24:35,143 --> 00:24:39,981 (俊成)産地はどこだ? さぞや名のある栗なのであろうな。 316 00:24:39,981 --> 00:24:43,317 いえ 名もなき栗と存じます。 317 00:24:43,317 --> 00:24:49,617 名もなき栗とは… ハッハハ 高野殿らしい。 318 00:24:51,192 --> 00:24:55,329 しかし これだけの量を 全てむくとなると➡ 319 00:24:55,329 --> 00:25:00,629 多くの手間がかかった事でしょう。 まことに感謝致します。 320 00:25:05,339 --> 00:25:13,014 ♬~ 321 00:25:13,014 --> 00:25:17,014 しかし それにしても 不格好な栗であるな。 322 00:25:22,690 --> 00:25:24,625 うまい! 323 00:25:24,625 --> 00:25:27,028 うまい! 324 00:25:27,028 --> 00:25:30,698 不格好な むき栗ではありますが➡ 325 00:25:30,698 --> 00:25:34,969 傷が多い分 味が よく しみております。 326 00:25:34,969 --> 00:25:41,842 栗をむいた者の不器用さが かえって味をよくする事もあると。 327 00:25:41,842 --> 00:25:45,142 思いも寄らぬ発見でありました。 328 00:25:47,682 --> 00:25:52,987 産地も知れぬ名もなき栗も➡ 329 00:25:52,987 --> 00:25:57,325 その想い一つで 立派に姿を変える。 330 00:25:57,325 --> 00:26:00,995 我が藩も そうなりたいと 願っておる。 331 00:26:00,995 --> 00:26:13,007 ♬~ 332 00:26:13,007 --> 00:26:16,677 「お常」。 「伴四郎」。 333 00:26:16,677 --> 00:26:22,183 「お常」。 「お常」。 334 00:26:22,183 --> 00:26:25,883 「伴四郎」。 「お常」。 335 00:26:34,128 --> 00:26:39,934 新八様 お世話になりました。 336 00:26:39,934 --> 00:26:46,707 お常… 行くな。 私が なんとかしてみせる。 337 00:26:46,707 --> 00:26:51,207 もう いいのです。 覚悟はできました。 338 00:27:00,354 --> 00:27:03,157 (戸が開く音) 339 00:27:03,157 --> 00:27:05,993 お常さん あの…。 340 00:27:05,993 --> 00:27:08,829 去る者にかける言葉など 必要ありません。 341 00:27:08,829 --> 00:27:11,866 しかし 私のせいで お常さんと お父上は…。 342 00:27:11,866 --> 00:27:14,168 おやめ下さい。 343 00:27:14,168 --> 00:27:16,671 父と路頭に迷う事になろうと➡ 344 00:27:16,671 --> 00:27:21,509 親子の縁が切れる訳では ありません。 345 00:27:21,509 --> 00:27:23,809 生きてみせます。 346 00:27:34,455 --> 00:27:38,292 例の栗ですが 父上が むいたのではありませんか? 347 00:27:38,292 --> 00:27:42,963 ハハッ まさか。 いつ どこで栗などを むく事が かなうというのだ? 348 00:27:42,963 --> 00:27:47,635 それはそうですが… ふと 気になったもので。 349 00:27:47,635 --> 00:27:51,305 しかし コツは知っておるぞ。 350 00:27:51,305 --> 00:27:56,177 それを食す者の事を想いながら むくのだそうだ。 351 00:27:56,177 --> 00:28:00,648 清之助 腹は大丈夫か? 352 00:28:00,648 --> 00:28:03,984 栗を食い過ぎては よく腹を壊しておったろう。 353 00:28:03,984 --> 00:28:10,157 誰の言いつけも聞かぬと知り わしが取り上げてやった。 354 00:28:10,157 --> 00:28:15,963 しかし ふるさとの味を 取り上げる事になってしまった。 355 00:28:15,963 --> 00:28:21,168 お主が望むなら あの時の分 ここで むいてみせようか? 356 00:28:21,168 --> 00:28:26,006 いえ。 これ以上 けがをされては困ります。 ん? 357 00:28:26,006 --> 00:28:29,844 ああ… ハハハッ かすり傷よ。 358 00:28:29,844 --> 00:28:36,044 そう… 何事も かすり傷のうちに 対処せねばな。 359 00:28:39,520 --> 00:28:41,489 気を付けよ。 360 00:28:41,489 --> 00:28:45,960 我が藩のどこかに 裏切り者が潜んでおるやもしれん。 361 00:28:45,960 --> 00:28:48,629 裏切り者? ああ。 362 00:28:48,629 --> 00:28:52,967 放っておけば 命に関わる傷になろう。 363 00:28:52,967 --> 00:29:04,311 ♬~ 364 00:29:04,311 --> 00:29:16,490 ♬~ 365 00:29:16,490 --> 00:29:19,527 何奴? 366 00:29:19,527 --> 00:29:23,164 後をつけるには近すぎる。 367 00:29:23,164 --> 00:29:25,666 見失うのを恐れてか? 368 00:29:25,666 --> 00:29:36,944 ♬~ 369 00:29:36,944 --> 00:29:40,944 原田! 原田宗太郎! 370 00:29:42,750 --> 00:29:45,619 ♬~ 371 00:29:45,619 --> 00:29:47,555 なぜだ…。 372 00:29:47,555 --> 00:29:56,255 ♬~ 373 00:30:33,601 --> 00:30:44,245 ♬~ 374 00:30:44,245 --> 00:30:50,017 ♬「出かける時の忘れ物」 375 00:30:50,017 --> 00:30:55,356 ♬「ひょいとつかむ ハンカチのように」