1 00:00:33,577 --> 00:00:35,579 (川越)春野 どこ 行ったんだろうな?➡ 2 00:00:35,579 --> 00:00:37,581 実家 帰ったのかな? ねえ。 春野の実家 知ってる? 3 00:00:37,581 --> 00:00:39,583 (須美花)分かんないんだよね。 同居してる お友達も➡ 4 00:00:39,583 --> 00:00:41,585 個人情報だからって 教えてくれないし。 5 00:00:41,585 --> 00:00:43,587 (川越)ああ そっか。 6 00:00:43,587 --> 00:00:45,589 (須美花)あっ。 (細井)何? 7 00:00:45,589 --> 00:00:47,591 (須美花)春野さんから。 (細井・川越)えっ? 8 00:00:47,591 --> 00:00:50,594 (守)おはよう。 (一同)おはようございます。 9 00:00:50,594 --> 00:00:52,596 (須美花)社長。 郵便で 来たんですけど➡ 10 00:00:52,596 --> 00:00:57,601 春野さんからの 退職届です。 差し出し住所は ここになってます。 11 00:00:57,601 --> 00:00:59,601 そうですか。 12 00:01:01,605 --> 00:01:06,610 (須美花)社長。 このままで いいんですか? 13 00:01:06,610 --> 00:01:08,612 何が? (須美花)春野さんのこと。 14 00:01:08,612 --> 00:01:10,614 もちろん。 15 00:01:10,614 --> 00:01:12,616 『8月のボレロ』の台本は 完成してますし➡ 16 00:01:12,616 --> 00:01:17,621 退職は 彼女の意思ですから。 (須美花)そうですか。 17 00:01:17,621 --> 00:01:19,621 あっ。 失礼しました。 18 00:01:26,630 --> 00:01:33,630 (進)今日は 何の用件ですか? 調停の件ですか? 19 00:01:36,573 --> 00:01:39,573 (小林)これを お返ししようと思って。 20 00:01:41,578 --> 00:01:43,580 (進)これは? (小林)ご覧いただければ➡ 21 00:01:43,580 --> 00:01:45,580 分かります。 22 00:01:49,586 --> 00:01:51,588 何だろう? 23 00:01:51,588 --> 00:01:56,593 [TEL] 24 00:01:56,593 --> 00:01:58,593 もしもし。 25 00:02:03,600 --> 00:02:06,603 「ねえ。 ゆきちゃんみたいな 年ごろの女の子って➡ 26 00:02:06,603 --> 00:02:11,608 今 どんな映画が 見たいの?」 (ゆき)「えっ?」 27 00:02:11,608 --> 00:02:15,612 (玲子)進さん。 お待たせして すみません。➡ 28 00:02:15,612 --> 00:02:19,616 先日は 色々 ご迷惑を お掛けいたしました。 29 00:02:19,616 --> 00:02:21,618 いえ。 30 00:02:21,618 --> 00:02:25,622 玲子さんから お電話いただいたの 初めてですね。 31 00:02:25,622 --> 00:02:27,624 どうしたんですか? 32 00:02:27,624 --> 00:02:31,645 (玲子)あのう。 お聞きしたいことがあって。 33 00:02:31,645 --> 00:02:34,564 何でしょう? 進さんは➡ 34 00:02:34,564 --> 00:02:36,566 守さんの ネックレスを ご存じですか? 35 00:02:36,566 --> 00:02:39,569 兄貴のネックレス? ええ。 36 00:02:39,569 --> 00:02:42,572 守さんから 頂くことに なっているんですけど➡ 37 00:02:42,572 --> 00:02:44,574 音沙汰がなくて。 38 00:02:44,574 --> 00:02:46,576 《ネックレス?》 《玲子さんに➡ 39 00:02:46,576 --> 00:02:48,578 あげる予定だったのを ずいぶん前に➡ 40 00:02:48,578 --> 00:02:51,581 預かってもらってね。 そのままなんだ》 41 00:02:51,581 --> 00:02:53,583 あれはですね…。 42 00:02:53,583 --> 00:03:06,596 ♬~ 43 00:03:06,596 --> 00:03:12,602 たぶん ゆきちゃんが 持ってます。 44 00:03:12,602 --> 00:03:31,588 ♬~ 45 00:03:31,588 --> 00:03:51,475 ♬~ 46 00:03:51,475 --> 00:03:56,475 ♬~ 47 00:06:08,411 --> 00:06:13,416 (さち)なんも いいって ゆき。 ここだは 一人で できるはんで。 48 00:06:13,416 --> 00:06:15,418 (ゆき)なんも いいの いいの。 動いてた方が➡ 49 00:06:15,418 --> 00:06:17,420 余計なこと 考えねくて 済むはんで。 50 00:06:17,420 --> 00:06:20,420 ≪(車の走行音) 51 00:06:29,432 --> 00:06:38,441 ♬~ 52 00:06:38,441 --> 00:06:40,441 (ゆき)玲子さん。 53 00:06:49,452 --> 00:06:55,458 (玲子)いいところですね。 何にもない村なんです。 54 00:06:55,458 --> 00:06:58,461 (玲子)そこが いいんです。 55 00:06:58,461 --> 00:07:03,466 あのう。 青森の温泉にでも いらしたんですか? 56 00:07:03,466 --> 00:07:08,405 (玲子)いいえ。 あなたに 会いに来たんです。 57 00:07:08,405 --> 00:07:11,408 私に? (玲子)そうです。➡ 58 00:07:11,408 --> 00:07:15,412 あなたに お話ししたいことがあって。 59 00:07:15,412 --> 00:07:22,419 何でしょう? あなたと 守さんのことです。 60 00:07:22,419 --> 00:07:25,422 私と 社長? 61 00:07:25,422 --> 00:07:29,426 私と 社長は 従業員と 雇い主というだけで➡ 62 00:07:29,426 --> 00:07:34,431 玲子さんが 青森にいらしてまで お話しするようなことは 何も。 63 00:07:34,431 --> 00:07:36,433 ゆきさん。 64 00:07:36,433 --> 00:07:42,439 人は 正直な気持ちを隠して 生きていくことは できないわ。➡ 65 00:07:42,439 --> 00:07:47,444 最初に 守さんが 私に プロポーズしてくださったとき➡ 66 00:07:47,444 --> 00:07:54,451 守さんは あなたへの思いを 私に 正直に言ったのよ。 67 00:07:54,451 --> 00:07:57,454 えっ? 守さんは➡ 68 00:07:57,454 --> 00:08:00,457 結婚なんて 必要ないと 思ってたって。➡ 69 00:08:00,457 --> 00:08:07,397 でも それが ゆきさんに会って 変わったって。 70 00:08:07,397 --> 00:08:12,402 考えていることが 違うから 知りたい。 知ってほしい。 71 00:08:12,402 --> 00:08:14,404 違うから 面白い。➡ 72 00:08:14,404 --> 00:08:18,408 お互いが 面白いと思えるものを 探していく感覚。➡ 73 00:08:18,408 --> 00:08:21,411 もっと いいものが あるんじゃないかと考え➡ 74 00:08:21,411 --> 00:08:27,417 頭を 悩ませる時間は この上なく 楽しかったって。 75 00:08:27,417 --> 00:08:33,423 私 守さんといて 分かったの。 76 00:08:33,423 --> 00:08:40,430 守さんと 一緒にいるのは 私には 無理だってこと。 77 00:08:40,430 --> 00:08:45,430 私よりも あなたの方が 守さんを 深く知っているということ。 78 00:08:51,441 --> 00:08:57,441 私 運命って 決まっていると思うんです。 79 00:08:59,449 --> 00:09:04,454 社長との出会いから 今までを 振り返ってみても➡ 80 00:09:04,454 --> 00:09:07,390 出会った瞬間に 運命の人だなんて 思えるような➡ 81 00:09:07,390 --> 00:09:11,394 劇的なことは 何も 起こらなかったんです。 82 00:09:11,394 --> 00:09:18,394 きっと 私と 社長は そういう 運命じゃなかったんでしょうね。 83 00:09:21,404 --> 00:09:26,404 玲子さんと 社長こそ 運命の2人だと思います。 84 00:09:28,411 --> 00:09:31,411 この世に 運命なんて ないのよ。 85 00:09:33,416 --> 00:09:38,421 (玲子)幸せは あなた自身が つかみ取るしかないのよ。 86 00:09:38,421 --> 00:09:41,421 いいえ。 運命は 存在します。 87 00:09:43,426 --> 00:09:48,426 例えば この魚。 88 00:09:50,433 --> 00:09:55,438 この魚は 干物になる運命なんです。 89 00:09:55,438 --> 00:09:57,438 いいえ。 90 00:09:59,442 --> 00:10:01,442 (男性)あっ。 91 00:10:06,382 --> 00:10:09,385 運命なんて ないのよ。➡ 92 00:10:09,385 --> 00:10:13,389 あっ!? 申し訳ありません。 お幾らですか? 93 00:10:13,389 --> 00:10:15,391 (男性)50円。 94 00:10:15,391 --> 00:10:18,394 (玲子)お願い。 (執事)はい。 玲子さま。➡ 95 00:10:18,394 --> 00:10:20,396 それでは これで。 96 00:10:20,396 --> 00:10:22,398 (男性)こんなもの わしは 扱ったことない。 97 00:10:22,398 --> 00:10:24,400 (執事)いや…。 (男性)もう いいから 向こう行け。 98 00:10:24,400 --> 00:10:29,405 (玲子)私は さっきから 穏やかに話していますが➡ 99 00:10:29,405 --> 00:10:34,410 本当は とても 腹を立てているんですのよ。 100 00:10:34,410 --> 00:10:36,412 私だって 守さんが好き。 101 00:10:36,412 --> 00:10:41,417 でも 守さんの中には あなたしか いないのが 分かったから➡ 102 00:10:41,417 --> 00:10:45,421 こうやって あなたと お話をしているのだけど➡ 103 00:10:45,421 --> 00:10:50,426 本当のことを言えば 私は あなたの首根っこを つかまえて➡ 104 00:10:50,426 --> 00:10:53,426 海に 放り投げたいくらいで ございますのよ。 105 00:10:56,432 --> 00:10:58,432 帰ります。 106 00:11:00,436 --> 00:11:04,440 (男性)いやぁ。 すごい お嬢さんだな。➡ 107 00:11:04,440 --> 00:11:08,378 いやぁ。 すごいな。 108 00:11:08,378 --> 00:11:11,378 素晴らしい方だよ。 109 00:11:13,383 --> 00:11:16,386 社長。 今 リハーサルを兼ねて カメラテスト やってるんですけど➡ 110 00:11:16,386 --> 00:11:18,388 山下さんが 脚本家に会って 話がしたいって➡ 111 00:11:18,388 --> 00:11:20,390 言ってるんですけど。 春野さんに? 112 00:11:20,390 --> 00:11:23,393 うまく 断れませんか? いや。 そんな雰囲気じゃ。 113 00:11:23,393 --> 00:11:25,395 せりふのことなんで。 ゆきちゃんの携帯➡ 114 00:11:25,395 --> 00:11:28,398 留守電にもならなくて 最悪 クランクインが 遅れるかもしれません。 115 00:11:28,398 --> 00:11:33,398 どうしましょう? 少し 時間を下さい。 116 00:11:35,405 --> 00:11:38,408 [TEL] あっ。 117 00:11:38,408 --> 00:11:40,410 [TEL] 118 00:11:40,410 --> 00:11:42,412 堪忍。 (さち)なんも。 119 00:11:42,412 --> 00:11:44,414 もしもし。 120 00:11:44,414 --> 00:11:47,417 春野さん。 どうして 電話に出ないんですか? 121 00:11:47,417 --> 00:11:49,419 社長? 122 00:11:49,419 --> 00:11:51,421 [TEL]仕事の話だから 切らないでください。 123 00:11:51,421 --> 00:11:55,425 山下さんが せりふのことで 直接 君に会って 話したいそうです。 124 00:11:55,425 --> 00:11:59,429 えっ? 退職願は 受け取りました。 125 00:11:59,429 --> 00:12:01,431 キネマ・エトワールの 社員としてではなく➡ 126 00:12:01,431 --> 00:12:04,434 一人の脚本家として その日だけでも➡ 127 00:12:04,434 --> 00:12:08,371 戻ってきてくれませんか? いや…。 128 00:12:08,371 --> 00:12:13,371 君が書いた脚本です。 山下さんと 話すべきじゃないですか? 129 00:12:15,378 --> 00:12:19,378 分かりました。 明日 伺います。 130 00:12:23,386 --> 00:12:27,390 ありがとう。 (沙織)あっ。 あのう。 131 00:12:27,390 --> 00:12:29,392 何でしょうか? 132 00:12:29,392 --> 00:12:31,394 (沙織)ゆき。 社長からの 誕生日プレゼント…。 133 00:12:31,394 --> 00:12:35,398 あの エンパイアステートビル。 とても 感激してましたよ。 134 00:12:35,398 --> 00:12:42,398 そうですか。 じゃあ 引き続き 掃除の方 よろしく お願いします。 135 00:12:53,416 --> 00:12:57,420 (玲子)守さん。 これ お返しします。 136 00:12:57,420 --> 00:12:59,422 マンションのキーです。 いや。 でも…。 137 00:12:59,422 --> 00:13:04,427 私 守さんと一緒に 生活してみて やはり 無理だと思いました。 138 00:13:04,427 --> 00:13:07,363 それに 守さんの お部屋にあった 母子手帳を見て➡ 139 00:13:07,363 --> 00:13:09,365 出生時間から あらためて 占ってみたんですけど➡ 140 00:13:09,365 --> 00:13:13,369 時間を入れる前の 占いでは 1万人に一人の 相性でしたが➡ 141 00:13:13,369 --> 00:13:17,373 時間を考慮すると ごく普通の つまらない相性でした。➡ 142 00:13:17,373 --> 00:13:20,376 一人で 盛り上がっていた私が バカだったんです。 143 00:13:20,376 --> 00:13:23,379 玲子さん。 あのマンションには➡ 144 00:13:23,379 --> 00:13:27,383 母子手帳は ないはずですが。 あら。 そうだったかしら? 145 00:13:27,383 --> 00:13:29,385 まあ そんなことは どうでもいいんです。 146 00:13:29,385 --> 00:13:32,388 ネックレスも もう 必要ありません。 147 00:13:32,388 --> 00:13:37,388 今 ネックレスを持っている方と お幸せになってくださいね。 148 00:13:44,400 --> 00:13:47,400 では ごきげんよう。 149 00:13:51,407 --> 00:13:54,410 叔母さんとの約束を 果たせなくて すみませんでした。 150 00:13:54,410 --> 00:13:56,412 (亜希子)でも まあ 向こうの方から➡ 151 00:13:56,412 --> 00:13:59,415 お断りされたんじゃ しょうがないわね。 152 00:13:59,415 --> 00:14:01,417 この際 私➡ 153 00:14:01,417 --> 00:14:05,438 子供を産んでくださる方なら どなたでも 賛成するわ。 154 00:14:05,438 --> 00:14:11,361 私にとって 何よりも大切なのは 星野家の存続なのよ。 155 00:14:11,361 --> 00:14:15,365 守。 子宝よ。 156 00:14:15,365 --> 00:14:21,371 こ・だ・か・ら。 「子宝」 157 00:14:21,371 --> 00:14:40,371 ♬~ 158 00:16:20,556 --> 00:16:27,563 あのう。 専務。 お話が…。 その前に 俺の話 聞いてくれる? 159 00:16:27,563 --> 00:16:29,563 はい。 160 00:16:31,567 --> 00:16:34,570 あのさ やっぱり 俺➡ 161 00:16:34,570 --> 00:16:37,573 ゆきちゃんとは 合わないと思うんだよね。 162 00:16:37,573 --> 00:16:42,578 ほら。 俺 クリエーター気質じゃないしさ。 163 00:16:42,578 --> 00:16:48,584 それにさ 俺 ゆきちゃん一人じゃ 物足りないっていうか➡ 164 00:16:48,584 --> 00:16:53,589 もっと 別の女の子とも 付き合いたいんだよね。 165 00:16:53,589 --> 00:16:57,593 ゆきちゃん ヤマタノオロチとは 付き合えないだろ? 166 00:16:57,593 --> 00:17:04,600 だからさ ゆきちゃんとは 正式に 別れたいんだ。 167 00:17:04,600 --> 00:17:12,625 それにさ 離婚。 あれも やめになりそうなんだ。 168 00:17:12,625 --> 00:17:14,544 元のさやに 戻るんだよ。 169 00:17:14,544 --> 00:17:19,544 だから ホント 申し訳ない。 170 00:17:23,553 --> 00:17:26,553 で? ゆきちゃんの話は? 171 00:17:30,560 --> 00:17:33,563 いいえ。 あっ そう。 172 00:17:33,563 --> 00:17:35,565 あっ そうそう。 173 00:17:35,565 --> 00:17:38,568 急に帰ってきてもらって 申し訳ないんだけど➡ 174 00:17:38,568 --> 00:17:42,572 山下さんとのミーティング。 あれ あしたになりそうなんだよ。 175 00:17:42,572 --> 00:17:48,578 だから あした 日本映画の スタジオに 来てくれる? 176 00:17:48,578 --> 00:17:52,578 はい。 じゃあ また あした。 177 00:17:57,587 --> 00:18:02,592 (小林)人生最高のものを 失われたのですね。 178 00:18:02,592 --> 00:18:06,596 いや。 いいんだ。 179 00:18:06,596 --> 00:18:13,536 彼女は もともと 兄貴とが 一番 お似合いなんだから。 180 00:18:13,536 --> 00:18:15,538 俺は それを 認めたくないばかりに➡ 181 00:18:15,538 --> 00:18:22,545 ずいぶんと 兄貴のことも ゆきちゃんのことも➡ 182 00:18:22,545 --> 00:18:25,548 傷つけちゃったなと思って。 183 00:18:25,548 --> 00:18:29,552 (小林)あなたを ずっと 観察していて➡ 184 00:18:29,552 --> 00:18:37,560 何だか あなたのことが 好きになってしまいました。 185 00:18:37,560 --> 00:18:42,565 あんたに 好かれたって 何も いいことないよ。 186 00:18:42,565 --> 00:18:46,569 あなたは 私が 当初 思っていた 人間ではなかった。 187 00:18:46,569 --> 00:18:51,574 思っていたよりも もっと 真っすぐな人間だった。 188 00:18:51,574 --> 00:18:57,580 私も 同情しますよ。 もう いいよ。 189 00:18:57,580 --> 00:19:04,587 彼女にとって それが 一番 幸せなんだから。 190 00:19:04,587 --> 00:19:07,590 そうですか。 191 00:19:07,590 --> 00:19:11,594 では 離婚調停中の奥さまから 新しい ご提案が。 192 00:19:11,594 --> 00:19:13,529 えっ? さらに 別荘も➡ 193 00:19:13,529 --> 00:19:16,532 私のものではないかと おっしゃっています。 194 00:19:16,532 --> 00:19:21,537 確かに 彼女には それを請求する 権利が おありのようなのですが。 195 00:19:21,537 --> 00:19:25,541 冗談だろ? 俺に 同情してくれたんじゃないの? 196 00:19:25,541 --> 00:19:33,541 うーん。 それは それ。 これは これ。 197 00:19:37,553 --> 00:19:40,553 今日 専務と別れた。 198 00:19:42,558 --> 00:19:50,558 っていうか 私から 別れ話 持ち出す前に 専務から 振られた。 199 00:19:52,568 --> 00:19:54,570 (沙織)ふーん。 200 00:19:54,570 --> 00:19:57,573 ヤマタノオロチに 戻るんだって。 201 00:19:57,573 --> 00:20:04,580 あと 離婚も やめるって 言ってたけど。 202 00:20:04,580 --> 00:20:08,584 たぶん 嘘だよね。 203 00:20:08,584 --> 00:20:13,584 やっぱり 専務って 優しいんだね。 204 00:20:16,525 --> 00:20:22,525 うん。 優し過ぎるよね。 205 00:20:25,534 --> 00:20:27,534 で ゆきは? 206 00:20:31,540 --> 00:20:33,540 素直になりなよ。 207 00:20:39,548 --> 00:20:46,548 もう 全て 終わったことだよ。 208 00:20:52,561 --> 00:20:54,563 ≪(ドアの開く音) 209 00:20:54,563 --> 00:20:58,567 ≪ただいま。 おかえり。 210 00:20:58,567 --> 00:21:01,570 飲んできたんだ? うん。 211 00:21:01,570 --> 00:21:03,572 まだまだ 飲み足りない気分。 212 00:21:03,572 --> 00:21:06,575 じゃあ 飲む? うん。 213 00:21:06,575 --> 00:21:10,575 おい。 脱いだ服は 自分の部屋に。 214 00:21:14,517 --> 00:21:16,519 兄貴。 うん? 215 00:21:16,519 --> 00:21:18,521 俺 ゆきちゃんと 正式に別れたから。 216 00:21:18,521 --> 00:21:20,523 えっ? 217 00:21:20,523 --> 00:21:24,527 やっぱりさ 俺 一人の女じゃ 駄目なんだよね。 218 00:21:24,527 --> 00:21:26,529 兄貴が言ってたように もともと ゆきちゃんって➡ 219 00:21:26,529 --> 00:21:29,532 俺の趣味じゃないしね。 ほら。 もっと 派手でさ➡ 220 00:21:29,532 --> 00:21:32,535 すぐに ベッドに来てくれるような 女が 好きなんだよね。 221 00:21:32,535 --> 00:21:35,538 お前らしくないな。 そんな 優しいことするなんて。 222 00:21:35,538 --> 00:21:38,538 どこがだよ? 俺 振られたんだぜ。 223 00:21:45,548 --> 00:21:47,550 兄貴。 224 00:21:47,550 --> 00:21:50,553 兄貴が ゆきちゃんに いくべきなんだよ。 225 00:21:50,553 --> 00:21:53,553 バカなこと 言ってんじゃない。 226 00:21:55,558 --> 00:22:00,558 玲子さん? 玲子さんなら もう とっくに 気付いてるよ。 227 00:22:04,567 --> 00:22:07,570 玲子さんには 今日 正式に 断られた。 228 00:22:07,570 --> 00:22:09,570 えっ? 229 00:22:12,591 --> 00:22:16,591 だから 今夜 独身貴族してるんだ。 230 00:22:18,514 --> 00:22:23,514 ここは しかし 振られた男の 吹きだまりだな。 231 00:22:27,523 --> 00:22:31,527 弟は ただ一人だと思った人に 振られ➡ 232 00:22:31,527 --> 00:22:35,527 兄は あんなに献身的だった人に 振られ。 233 00:22:37,533 --> 00:22:41,533 俺たち 何やってんだろうな? 234 00:24:21,537 --> 00:24:27,543 (須美花)こっちよ。 急ぎめで。 はい。 235 00:24:27,543 --> 00:24:29,545 ≪(ノック) はい。 236 00:24:29,545 --> 00:24:32,545 (須美花)失礼します。 社長。 春野さん いらっしゃいました。 237 00:24:35,551 --> 00:24:39,555 おはようございます。 ああ。 春野さん。 238 00:24:39,555 --> 00:24:42,558 わざわざ 東京まで ありがとうございます。 239 00:24:42,558 --> 00:24:44,558 どうぞ。 240 00:24:51,567 --> 00:24:55,571 こちらの 身勝手で 退職願を 出して すみませんでした。 241 00:24:55,571 --> 00:24:58,574 いえ。 キネマ・エトワールとしても➡ 242 00:24:58,574 --> 00:25:00,576 脚本家を このまま 雇っておくか どうか➡ 243 00:25:00,576 --> 00:25:03,579 考えていたところだったので ちょうど よかったです。 244 00:25:03,579 --> 00:25:06,582 本来 脚本家は フリーですからね。 245 00:25:06,582 --> 00:25:08,582 そうですか。 246 00:25:10,586 --> 00:25:14,590 あのう。 山下さんは? あっ。 リハーサル終わりで➡ 247 00:25:14,590 --> 00:25:16,592 打ち合わせってことに なってるんだけど➡ 248 00:25:16,592 --> 00:25:19,611 全体的に 遅れてるんで ここで 社長と 待っててもらえます? 249 00:25:19,611 --> 00:25:22,531 二人きりで。 積もる話も あるでしょ? 250 00:25:22,531 --> 00:25:26,531 はあ…。 積もる話? 251 00:25:31,540 --> 00:25:35,544 あのう。 散歩に行っても いいですか? 252 00:25:35,544 --> 00:25:37,546 えー? 253 00:25:37,546 --> 00:25:41,550 どうぞ。 では。 254 00:25:41,550 --> 00:25:45,550 じゃあ。 失礼します。 255 00:25:48,557 --> 00:25:50,559 (助監督)山下さん 入ります。 (水島)山下 智久さん。➡ 256 00:25:50,559 --> 00:25:52,561 お入りになられます。 257 00:25:52,561 --> 00:25:54,563 (一同)おはようございます。 (助監督)では シーン72。➡ 258 00:25:54,563 --> 00:25:57,566 カメラテストを兼ねた リハーサル 始めます。➡ 259 00:25:57,566 --> 00:26:00,569 お願いします。 (水島)よろしく お願いします。 260 00:26:00,569 --> 00:26:02,571 (監督)こちらになります。➡ 261 00:26:02,571 --> 00:26:04,573 じゃあ 軽く 1回 通して やってもらって いいですか? 262 00:26:04,573 --> 00:26:06,575 (一同)はい。 はい。 はい。 263 00:26:06,575 --> 00:26:08,577 (監督)じゃあ テスト いきます。 (一同)テスト! 264 00:26:08,577 --> 00:26:11,580 (監督)用意。 スタート。 (かちんこの音) 265 00:26:11,580 --> 00:26:13,582 (女優)「すごい おしゃれだね。 この店」 266 00:26:13,582 --> 00:26:15,584 (山下)「だろ? ここ 俺の お気に入りの お店」➡ 267 00:26:15,584 --> 00:26:18,587 「ずっと ハルカのこと 連れてきたいと 思ってたの」 268 00:26:18,587 --> 00:26:22,524 (女優)「フフッ」 (山下)「でね 夏になると➡ 269 00:26:22,524 --> 00:26:26,524 ここに ヒマワリの絵が 飾られててさ」 270 00:26:28,530 --> 00:26:32,534 (山下)「ずっと お前のこと 考えてた」 271 00:26:32,534 --> 00:26:35,537 (女優)「ユウヤ」 272 00:26:35,537 --> 00:26:42,544 「俺さ ハルカのこと 思い出さないようにって思ってて」 273 00:26:42,544 --> 00:26:45,547 「でも…」 274 00:26:45,547 --> 00:26:47,549 (助監督)「自分に 嘘は つけないから」 275 00:26:47,549 --> 00:26:49,551 (山下)いや。 分かってます。 あのう。 276 00:26:49,551 --> 00:26:51,553 せりふは 入ってるんですけど。 277 00:26:51,553 --> 00:26:53,555 (監督)カット カット。 1回 切ります。➡ 278 00:26:53,555 --> 00:26:56,558 どうしました? (山下)この せりふのくだり➡ 279 00:26:56,558 --> 00:26:58,560 言えないんですよね。 280 00:26:58,560 --> 00:27:00,562 (水島)ハァー。 まずいですね。 281 00:27:00,562 --> 00:27:02,564 (水島)早いとこ 春野さんに 連絡 取らないと。 282 00:27:02,564 --> 00:27:04,566 (監督)すいません。 ちょっと 時間もらっても いいですか? 283 00:27:04,566 --> 00:27:06,568 (助監督)申し訳ないんですが 必要最小限の人数で➡ 284 00:27:06,568 --> 00:27:08,570 お願いします。 じゃあ 自分 残ります。 285 00:27:08,570 --> 00:27:10,570 あっ。 お願いします。 286 00:27:14,576 --> 00:27:20,516 [TEL] 287 00:27:20,516 --> 00:27:22,518 もしもし。 (川越)あっ。 春野? 288 00:27:22,518 --> 00:27:25,521 監督と山下さんが 台本のことで もめてんだよね。 289 00:27:25,521 --> 00:27:28,524 今すぐ 控室 来れるか? すぐに 行きます。 290 00:27:28,524 --> 00:27:31,527 (一同)落ち着いてください。 やめてくださいよ。➡ 291 00:27:31,527 --> 00:27:33,529 やめてください。 専務。 この野郎! 292 00:27:33,529 --> 00:27:35,531 (スタッフ)落ち着いてください。 何だ てめえ! 293 00:27:35,531 --> 00:27:37,533 (川越)専務! ちょっと 専務。 大丈夫ですか? 294 00:27:37,533 --> 00:27:39,535 この野郎! 295 00:27:39,535 --> 00:27:42,538 専務! 296 00:27:42,538 --> 00:27:45,541 駄目です! やめろ! 297 00:27:45,541 --> 00:27:47,543 (一同)やめてください! 落ち着いてください! 298 00:27:47,543 --> 00:27:49,545 社長! 放せ! 放せ! 299 00:27:49,545 --> 00:27:51,547 フゥー。 放せ! 300 00:27:51,547 --> 00:27:53,549 社長! 社長。 大丈夫ですか? 301 00:27:53,549 --> 00:27:55,551 大丈夫です。 302 00:27:55,551 --> 00:27:58,554 救急箱。 氷 探してきます。 303 00:27:58,554 --> 00:28:00,556 待って。 大丈夫ですから。 304 00:28:00,556 --> 00:28:10,566 ♬~ 305 00:28:10,566 --> 00:28:12,568 (水島)この ワイヤは ワイヤ アクションの➡ 306 00:28:12,568 --> 00:28:14,570 ワイヤだろ? えっ?➡ 307 00:28:14,570 --> 00:28:16,572 えっ? 『8月のボレロ』には➡ 308 00:28:16,572 --> 00:28:19,591 ワイヤ アクションは ないはずだけど。➡ 309 00:28:19,591 --> 00:28:21,510 あっ。 あのう。 すいません。➡ 310 00:28:21,510 --> 00:28:24,513 この ワイヤは ワイヤ アクションの ワイヤでしょ? 311 00:28:24,513 --> 00:28:26,515 社長? 312 00:28:26,515 --> 00:28:28,517 (水島)だって このワイヤ あれ どう見たって ワイヤでしょ。➡ 313 00:28:28,517 --> 00:28:31,520 いやいや いやいや。 あれは ワイヤだよな。 314 00:28:31,520 --> 00:28:34,523 進。 何だ? この茶番は。 315 00:28:34,523 --> 00:28:37,526 こんな茶番 組んで 何やってんだ? 316 00:28:37,526 --> 00:28:42,531 山下さん。 進の バカな提案に お付き合いさせて➡ 317 00:28:42,531 --> 00:28:44,533 申し訳ございませんでした。 このとおり 許してください。 318 00:28:44,533 --> 00:28:48,537 (山下)いや。 僕の方こそ すいませんでした。 319 00:28:48,537 --> 00:28:50,539 山下さん。 俺が 頼んだことだから。 320 00:28:50,539 --> 00:28:52,541 僕も よかれと思って やったんですけど➡ 321 00:28:52,541 --> 00:28:55,544 余計なこと しちゃったみたいで。 322 00:28:55,544 --> 00:28:57,546 川越君。 みんなを 連れてってくれますか? 323 00:28:57,546 --> 00:28:59,548 (川越)分かりました。 あっ。 山下さん。➡ 324 00:28:59,548 --> 00:29:04,553 監督も。 皆さんも 一度 外へ。 すいませんでした。➡ 325 00:29:04,553 --> 00:29:06,555 あっ。 すいません。 1回 外へ。 (水島)うん? 何で? 326 00:29:06,555 --> 00:29:08,555 (川越)すいません。 お願いします。 327 00:29:13,562 --> 00:29:16,562 春野さん。 君も。 328 00:29:20,502 --> 00:29:22,502 はい。 329 00:29:26,508 --> 00:29:29,511 進。 お前 何 やってんだ? 330 00:29:29,511 --> 00:29:31,513 兄貴と ゆきちゃんが 2人で話せる シチュエーション➡ 331 00:29:31,513 --> 00:29:34,516 つくりたかっただけだよ。 何だ それは? 332 00:29:34,516 --> 00:29:37,519 お前の筋書きか? 最悪のシナリオだな。 333 00:29:37,519 --> 00:29:40,522 春野ゆきと 俺の仲を 取り持とうっていうのか? 334 00:29:40,522 --> 00:29:44,526 彼女に対しても 失礼じゃないか! 335 00:29:44,526 --> 00:29:47,529 いいかげん 自分の気持ちに 素直になれよ。 336 00:29:47,529 --> 00:29:49,531 俺も 玲子さんも 身を引いたんだ。 337 00:29:49,531 --> 00:29:52,534 もう 足かせは 何もないはずだろ? 338 00:29:52,534 --> 00:29:56,538 お前 何 言ってんだ? お前 やってることは➡ 339 00:29:56,538 --> 00:29:58,540 めちゃくちゃなんだよ。 迷惑なんだよ。 340 00:29:58,540 --> 00:30:00,542 お前は 勘違い してるかもしれないけどな➡ 341 00:30:00,542 --> 00:30:03,545 俺は 今の生活で じゅうぶんに 幸せなんだ。 342 00:30:03,545 --> 00:30:07,549 幸せ? 違うだろ! 343 00:30:07,549 --> 00:30:09,551 兄貴は ただ 怖がってるだけだろ! 344 00:30:09,551 --> 00:30:11,553 怖がってる? どういうことだよ? 345 00:30:11,553 --> 00:30:16,558 兄貴は ただ 臆病なだけだよ。 傷つくのが 怖いだけなんだ。 346 00:30:16,558 --> 00:30:19,578 独身が いいだの パーソナルスペースが どうのって➡ 347 00:30:19,578 --> 00:30:21,496 色々 理屈を こねてるけど。 348 00:30:21,496 --> 00:30:25,500 それってさ ただ 自分が 傷つくのが 怖いだけで➡ 349 00:30:25,500 --> 00:30:29,504 自分の周りに 壁をつくって 閉じこもってるだけだろ。 350 00:30:29,504 --> 00:30:34,509 兄貴は 人との関わりを 怖がってる 臆病者だ! 351 00:30:34,509 --> 00:30:36,511 何 訳の分からないこと 言ってんだ? 352 00:30:36,511 --> 00:30:39,514 俺は 子供のころから 一人が好きなんだ。 353 00:30:39,514 --> 00:30:41,516 パートナーなんて いらないんだよ。 354 00:30:41,516 --> 00:30:47,522 俺にはな 誰も。 誰も 必要ないんだ! 355 00:30:47,522 --> 00:30:52,522 それが ゆきちゃんでも? 356 00:30:58,533 --> 00:31:02,537 誰であっても 変わらない。 357 00:31:02,537 --> 00:31:05,540 兄貴! 358 00:31:05,540 --> 00:31:10,545 兄貴が 今後 どんなに いい映画を 作ったとしても➡ 359 00:31:10,545 --> 00:31:13,548 兄貴は 最低な人間だよ! 360 00:31:13,548 --> 00:31:25,548 ♬~ 361 00:33:36,558 --> 00:33:48,570 ♬~ 362 00:33:48,570 --> 00:33:51,573 まだ いらっしゃったんですね。 363 00:33:51,573 --> 00:33:55,577 クリスマスツリーが 奇麗だったので。 364 00:33:55,577 --> 00:33:57,577 すてきですね。 365 00:33:59,514 --> 00:34:04,519 つまらないことに 付き合わせて ホントに 申し訳ない。 366 00:34:04,519 --> 00:34:07,522 役者まで 巻き込んで わざわざ 君を 呼び出すために➡ 367 00:34:07,522 --> 00:34:11,522 あんなこと するなんて あいつ どうかしてるよ。 368 00:34:13,528 --> 00:34:16,531 そうですよね。 369 00:34:16,531 --> 00:34:20,535 社長にとっては 本当に つまらない➡ 370 00:34:20,535 --> 00:34:24,539 意味のない 茶番ですよね。 371 00:34:24,539 --> 00:34:31,539 でも 私 怒ってないです。 腹も立ってません。 372 00:34:33,548 --> 00:34:36,551 専務は いつだって 優しいんです。 373 00:34:36,551 --> 00:34:41,556 これだって 専務の優しさから やったことだと思います。 374 00:34:41,556 --> 00:34:49,564 私 専務の その優しさに 引かれていました。 375 00:34:49,564 --> 00:34:56,571 でも 本当に優しかったのは 社長です。 376 00:34:56,571 --> 00:35:00,508 社長の優しさは 専務の優しさとは 違うので➡ 377 00:35:00,508 --> 00:35:04,508 最初 私は 気が付きませんでした。 378 00:35:07,515 --> 00:35:10,518 初めて 社長と会ったとき➡ 379 00:35:10,518 --> 00:35:14,522 社長は 私の 脚本を読んで こう 言いましたよね? 380 00:35:14,522 --> 00:35:18,526 「構成は めちゃくちゃ。 ストーリーも ありきたり」 381 00:35:18,526 --> 00:35:21,529 「テーマも キャラクターも 弱過ぎる」 382 00:35:21,529 --> 00:35:24,532 「映画学校の学生が 書いたものでも➡ 383 00:35:24,532 --> 00:35:27,532 これよりは ずっと ましです」って。 384 00:35:29,537 --> 00:35:37,537 でも 最後に 「だが せりふだけは よかった」って。 385 00:35:42,550 --> 00:35:50,558 社長だけだったんです。 本当に 私を認めてくれたのは。 386 00:35:50,558 --> 00:35:56,558 社長だけだったんです。 私を 必要としてくれたのは。 387 00:35:58,500 --> 00:36:02,504 私 色々と 鈍くって みんなの気持ちにも➡ 388 00:36:02,504 --> 00:36:05,507 私自身の気持ちにも 全然 気が付かなくて。 389 00:36:05,507 --> 00:36:13,507 気が付いたときには もう 社長は 玲子さんと 結婚するときで。 390 00:36:15,517 --> 00:36:20,517 だけど 今は分かっています。 391 00:36:23,525 --> 00:36:25,525 自分の気持ちを。 392 00:36:32,534 --> 00:36:34,534 社長。 393 00:36:36,538 --> 00:36:41,543 社長は 私にとって 大切な人です。 394 00:36:41,543 --> 00:36:50,543 ♬~ 395 00:37:08,503 --> 00:37:13,508 君といると➡ 396 00:37:13,508 --> 00:37:18,513 いつも 僕の心は ざわついて➡ 397 00:37:18,513 --> 00:37:23,513 何も 冷静な判断が できなくなってしまうんです。 398 00:37:25,520 --> 00:37:29,520 これ以上 こんな気持ちには なりたくありません。 399 00:37:33,528 --> 00:37:40,535 僕は 君のことを 全て忘れて➡ 400 00:37:40,535 --> 00:37:45,535 一人 静かに 生きていきたいんです。 401 00:38:03,491 --> 00:38:13,501 ♬~ 402 00:38:13,501 --> 00:38:16,504 これ。 403 00:38:16,504 --> 00:38:20,504 ずっと お返しできなくて すみませんでした。 404 00:38:23,511 --> 00:38:27,511 ≪(男性)すいません。 照明 落としますよ。 405 00:38:35,523 --> 00:38:40,523 今まで 本当に お世話になりました。 406 00:38:42,530 --> 00:38:45,533 ありがとうございました。 407 00:38:45,533 --> 00:39:00,482 ♬~ 408 00:39:00,482 --> 00:39:02,484 ≪(沙織)ゆき。 409 00:39:02,484 --> 00:39:13,495 ♬~ 410 00:39:13,495 --> 00:39:17,499 (沙織)ゆき? (すすり泣く声) 411 00:39:17,499 --> 00:39:23,499 私 こんなに 人を 好きになったこと ないのに。 412 00:39:27,509 --> 00:39:29,509 ゆき。 413 00:39:34,516 --> 00:39:38,516 ≪(足音) 414 00:39:42,524 --> 00:39:47,529 (玲子)守さん。 お話があります。 415 00:39:47,529 --> 00:39:50,532 玲子さん。 どうして こちらに? 416 00:39:50,532 --> 00:39:53,535 (玲子)あの 山下さんを 巻き込んだ 茶番。➡ 417 00:39:53,535 --> 00:39:58,473 あれは 私と 進さんで 考えたことだからなんです。 418 00:39:58,473 --> 00:40:01,476 玲子さんまで。 419 00:40:01,476 --> 00:40:05,480 守さん。 何を お考えなのですか? 420 00:40:05,480 --> 00:40:08,483 どうして 素直に ならないんですか? 421 00:40:08,483 --> 00:40:11,486 どうして ゆきさんのところへ 行かないのですか? 422 00:40:11,486 --> 00:40:14,489 玲子さん。 あなたには 関係のないことでしょう。 423 00:40:14,489 --> 00:40:16,491 いいえ。 大ありです。 424 00:40:16,491 --> 00:40:18,493 あなたが ゆきさんと 結ばれないと➡ 425 00:40:18,493 --> 00:40:22,497 私の立場が ますます 惨めなものに なるんですよ。 426 00:40:22,497 --> 00:40:24,499 いったい 私は 何のために➡ 427 00:40:24,499 --> 00:40:26,501 あなたと お別れ 申し上げたのでございましょうか。 428 00:40:26,501 --> 00:40:29,504 大きな お世話です。 429 00:40:29,504 --> 00:40:32,507 いい大人の男が 子供のように 意固地になって➡ 430 00:40:32,507 --> 00:40:36,511 駄々をこねて いったい 何事ですか! 431 00:40:36,511 --> 00:40:38,511 しっかりなさい。 432 00:40:45,520 --> 00:40:48,520 ただいま。 433 00:40:51,526 --> 00:40:53,526 兄貴。 434 00:40:58,466 --> 00:41:04,466 俺は もう 兄貴には 何も言わないよ。 435 00:41:09,477 --> 00:41:13,481 兄貴の人生だもん。 436 00:41:13,481 --> 00:41:15,481 兄貴が 決めることだし…。 437 00:41:18,486 --> 00:41:28,496 兄貴が 一人がいい 独身がいいと いうなら➡ 438 00:41:28,496 --> 00:41:30,496 それでいいと 思うよ。 439 00:41:48,516 --> 00:41:53,516 進。 俺は どうしたらいい? 440 00:41:58,459 --> 00:42:03,459 兄貴は もう とっくに 分かってるんじゃないの? 441 00:42:08,469 --> 00:42:10,471 違う? 442 00:42:10,471 --> 00:42:26,487 ♬~ 443 00:42:26,487 --> 00:42:41,502 ♬~ 444 00:42:41,502 --> 00:42:56,517 ♬~ 445 00:42:56,517 --> 00:43:11,532 ♬~ 446 00:43:11,532 --> 00:43:26,547 ♬~ 447 00:43:26,547 --> 00:43:41,562 ♬~ 448 00:43:41,562 --> 00:43:45,566 ♬~ 449 00:43:45,566 --> 00:43:47,566 おはよう。 450 00:43:49,570 --> 00:43:54,575 兄貴? 兄貴? 451 00:43:54,575 --> 00:44:11,526 ♬~ 452 00:44:11,526 --> 00:44:20,535 ♬~ 453 00:44:20,535 --> 00:44:25,535 うちで クリスマスなんて 何年ぶりだべな? 454 00:44:32,547 --> 00:44:34,549 (男性)あれ? ゆきちゃん。 455 00:44:34,549 --> 00:44:36,551 (男性)もう 帰ってきたの? 456 00:44:36,551 --> 00:44:39,554 東京での用事は すぐに 終わったはんで。 457 00:44:39,554 --> 00:44:42,557 (男性)思い出したよ。 ゆうべ タラがよ➡ 458 00:44:42,557 --> 00:44:47,562 いっぱい 取れたんで うちにあるから 持って帰って。 459 00:44:47,562 --> 00:44:50,565 食ってくれ。 ありがとう。 じっちゃ。 460 00:44:50,565 --> 00:44:54,569 あんまり 寒いからよ 風邪 ひくなよ。 461 00:44:54,569 --> 00:44:56,571 分かったよ。 462 00:44:56,571 --> 00:45:07,515 ♬~ 463 00:45:07,515 --> 00:45:21,529 ♬~ 464 00:45:21,529 --> 00:45:36,544 ♬~ 465 00:45:36,544 --> 00:45:44,552 ♬~ 466 00:45:44,552 --> 00:45:47,552 どうして? 467 00:45:49,557 --> 00:45:53,561 君に まだ 会う前➡ 468 00:45:53,561 --> 00:45:55,563 君が テーブルに置いてった➡ 469 00:45:55,563 --> 00:45:59,500 『8月のボレロ』を 最初に読んだとき➡ 470 00:45:59,500 --> 00:46:03,500 書いた人間が どういう人か すぐに 分かったよ。 471 00:46:05,506 --> 00:46:12,513 髪の毛や 服に そんなに 気を使う人じゃなくて➡ 472 00:46:12,513 --> 00:46:18,519 外で遊ぶより 本が好きで 本より もっと 映画が好きで。 473 00:46:18,519 --> 00:46:22,523 でも 好奇心旺盛で➡ 474 00:46:22,523 --> 00:46:27,523 ダイヤの ネックレスよりは 野に咲く 花の方が好き。 475 00:46:30,531 --> 00:46:33,534 いつも 夢見てるけど➡ 476 00:46:33,534 --> 00:46:37,538 物事の本質を 見る目があって➡ 477 00:46:37,538 --> 00:46:42,538 意志が強くて こだわりがあって…。 478 00:46:44,545 --> 00:46:46,545 頑固ともいうけど。 479 00:46:49,550 --> 00:46:53,550 いろんなとこが 似てると 思ったんだ。 480 00:46:56,557 --> 00:47:02,557 この世に そんな人間 自分だけだと 思ってたのに。 481 00:47:07,501 --> 00:47:10,501 やっと 見つけたと思ったんだ。 482 00:47:14,508 --> 00:47:17,508 春野ゆき。 483 00:47:21,515 --> 00:47:30,524 あなたは 僕にとって とっても。 484 00:47:30,524 --> 00:47:34,528 とっても 大切な人なんだ。 485 00:47:34,528 --> 00:47:51,545 ♬~ 486 00:47:51,545 --> 00:48:08,496 ♬~ 487 00:48:08,496 --> 00:48:15,496 これは 星野家の長男の嫁が 代々 持ってるものなんだ。 488 00:48:19,507 --> 00:48:21,509 君が 持っててほしい。 489 00:48:21,509 --> 00:48:36,524 ♬~ 490 00:48:36,524 --> 00:48:51,539 ♬~ 491 00:48:51,539 --> 00:49:06,487 ♬~ 492 00:49:06,487 --> 00:49:17,498 ♬~ 493 00:49:17,498 --> 00:49:25,506 ♬~ 494 00:49:25,506 --> 00:49:29,506 《引き時ですね 私たち》 495 00:49:33,514 --> 00:49:39,520 《でも ゆきちゃん 頑固だからな》 496 00:49:39,520 --> 00:49:42,523 《それは 守さんも同じです》 497 00:49:42,523 --> 00:49:46,527 《よし。 じゃあ まず どうやって ゆきちゃんを➡ 498 00:49:46,527 --> 00:49:48,529 穴から引きずりだそう?》 《例えば➡ 499 00:49:48,529 --> 00:49:50,531 こういうのは どうでしょう?》 500 00:49:50,531 --> 00:49:52,533 《あの 独身社長が?》 501 00:49:52,533 --> 00:49:54,535 《協力して いただけませんでしょうか?》 502 00:49:54,535 --> 00:49:57,555 (山下)《分かりました。 で 僕は どうしたら いいんですか?》 503 00:49:57,555 --> 00:49:59,473 (スタッフ)《じゃあ いくよ》 504 00:49:59,473 --> 00:50:01,475 (一同)《せーの!》 (山下)《この野郎!》 505 00:50:01,475 --> 00:50:03,477 《うわー!?》 (一同)《おおー》 506 00:50:03,477 --> 00:50:06,480 (監督)《いいね。 これね。 こんぐらい 派手じゃないと》 507 00:50:06,480 --> 00:50:08,482 《俺 飛び過ぎじゃないっすか? これ》 508 00:50:08,482 --> 00:50:10,484 《兄貴と ゆきちゃんが来たら 助監督さんが 呼びに来る》 509 00:50:10,484 --> 00:50:12,486 (助監督)《来ました》 《それで 態勢 入ってもらって➡ 510 00:50:12,486 --> 00:50:16,490 山下さんの 「せーの」で殴る。 飛ぶ》 511 00:50:16,490 --> 00:50:20,494 (一同)《おおー》 《だから それ 奇麗過ぎる》 512 00:50:20,494 --> 00:50:23,497 (助監督)《今 来ます》 《じゃあ お願いします》 513 00:50:23,497 --> 00:50:25,497 《お願いします》 514 00:50:27,501 --> 00:50:29,503 (一同)《落ち着いてください。 やめてくださいよ》➡ 515 00:50:29,503 --> 00:50:32,506 《やめてください。 専務》 《この野郎!》 516 00:50:32,506 --> 00:50:34,508 (スタッフ)《落ち着いてください》 《何だ てめえ!》 517 00:50:34,508 --> 00:50:37,511 (川越)《専務! ちょっと 専務。 大丈夫ですか?》 518 00:50:37,511 --> 00:50:40,511 《この野郎!》 《やめろ!》 519 00:50:44,518 --> 00:50:46,520 (山下)《すいません。 当たっちゃいました》 520 00:50:46,520 --> 00:50:48,522 《大丈夫 大丈夫》 (川越)《すげえ リアルでしたよ》 521 00:50:48,522 --> 00:50:50,522 《しーっ》 522 00:50:53,527 --> 00:50:56,530 ただ今より 『8月のボレロ』 クランクインします。 523 00:50:56,530 --> 00:50:59,466 (一同)お願いします。 お願いします。 524 00:50:59,466 --> 00:51:02,466 (スタッフ)じゃあ 明かり いいんで 回していきましょうか。 525 00:51:04,471 --> 00:51:09,471 (沙織)ほらね。 私の 言ったとおりに なったでしょ。 526 00:51:11,478 --> 00:51:13,480 (助監督)間もなく 本番です。 527 00:51:13,480 --> 00:51:17,484 山下さん。 映画史に残る 作品にしましょう。 528 00:51:17,484 --> 00:51:19,486 任してください。 お願いします。 529 00:51:19,486 --> 00:51:22,489 (山下)お願いします。 530 00:51:22,489 --> 00:51:26,493 進。 本物の プロデューサーの顔に なってきたな。 531 00:51:26,493 --> 00:51:30,493 いい作品になりそうですね。 君の脚本のおかげだよ。 532 00:51:32,499 --> 00:51:35,499 (助監督)本番 いきます。 (一同)本番 いきます。 533 00:51:40,507 --> 00:51:43,510 (監督)用意。 スタート。 534 00:51:43,510 --> 00:51:56,510 ♬~