1 00:00:45,477 --> 00:00:47,977 (長尾千春)ああ…。 2 00:01:16,909 --> 00:01:19,578 (子供1)わあ 待って。 3 00:01:19,578 --> 00:01:21,864 (子供2)わ~い わ~い。 4 00:01:21,864 --> 00:01:25,517 三之丞は? 5 00:01:25,517 --> 00:01:28,317 (女中)ちょっと 見てまいります。 6 00:01:34,209 --> 00:01:45,209 ♪♪~ 7 00:01:47,055 --> 00:01:49,758 (丹下典膳)大丈夫か? 8 00:01:49,758 --> 00:01:51,977 しっかりせい! 9 00:01:51,977 --> 00:02:12,564 ♪♪~ 10 00:02:12,564 --> 00:02:16,084 目を開けよ。 11 00:02:16,084 --> 00:02:18,220 痛まぬか? 12 00:02:18,220 --> 00:02:22,320 はい 大事ござりませぬ。 13 00:02:25,694 --> 00:02:28,981 1人か? いえ。 14 00:02:28,981 --> 00:02:32,267 (女中)お嬢様。 (瀬川三之丞)お嬢様。 15 00:02:32,267 --> 00:02:37,089 ♪♪~ 16 00:02:37,089 --> 00:02:39,391 供の者か? はっ。 17 00:02:39,391 --> 00:02:43,445 大丈夫だ。 大した事はない。 18 00:02:43,445 --> 00:02:46,014 かたじけのうござります。 19 00:02:46,014 --> 00:02:48,233 何のための付人だ? 20 00:02:48,233 --> 00:02:50,319 大事があってからでは 遅いぞ。 21 00:02:50,319 --> 00:02:55,674 いえ あの…。 はい 恐れ入ります。 22 00:02:55,674 --> 00:03:02,848 ♪♪~ 23 00:03:02,848 --> 00:03:04,917 ありがとうございました。 24 00:03:04,917 --> 00:03:08,904 少し 休んでいかれるがよい。 25 00:03:08,904 --> 00:03:10,923 母上。 26 00:03:10,923 --> 00:03:15,410 ♪♪~ 27 00:03:15,410 --> 00:03:18,514 あの…。 28 00:03:18,514 --> 00:03:21,083 ぶしつけながら どなた様で? 29 00:03:21,083 --> 00:03:24,520 名乗るほどの事でもあるまい。 30 00:03:24,520 --> 00:03:41,420 ♪♪~ 31 00:03:41,420 --> 00:03:48,020 ♪♪~(テーマ音楽) 32 00:03:58,120 --> 00:04:00,155 ≪(三之丞)お越しにござります。 33 00:04:00,155 --> 00:04:02,155 うん。 34 00:04:12,317 --> 00:04:14,586 おはようございます。 35 00:04:14,586 --> 00:04:16,586 入れ。 36 00:04:22,344 --> 00:04:26,544 三之丞は 遠慮せい。 (三之丞)ははっ。 37 00:04:28,150 --> 00:04:30,485 何事でござりますか? 38 00:04:30,485 --> 00:04:34,990 ああ… 縁談じゃ。 39 00:04:34,990 --> 00:04:39,845 縁談? (権兵衛)お前の縁談じゃ。→ 40 00:04:39,845 --> 00:04:44,483 それも 吉良上野介様からの お話じゃ。 41 00:04:44,483 --> 00:04:46,818 吉良上野介様? 42 00:04:46,818 --> 00:04:50,839 昨日 お屋敷で 茶会が お開きになった後→ 43 00:04:50,839 --> 00:04:56,712 吉良様と殿様が 親子仲良く お酒をお召しあそばした。→ 44 00:04:56,712 --> 00:05:01,750 お相伴役は わしと千坂兵部じゃ。→ 45 00:05:01,750 --> 00:05:07,105 その席で 吉良様は かように仰せであった。 46 00:05:07,105 --> 00:05:10,225 そうじゃ 権兵衛。 (権兵衛)はっ。 47 00:05:10,225 --> 00:05:12,611 そちの娘は いくつになった? 48 00:05:12,611 --> 00:05:17,649 はっ 畏れながら 18にござります。 49 00:05:17,649 --> 00:05:22,888 ああ ああ いい年頃じゃの。 50 00:05:22,888 --> 00:05:28,644 おまけに 類いまれなる美形じゃそうな。 51 00:05:28,644 --> 00:05:33,782 めっそうもない。 (上野介)嫁ぎ先は 決まったのか? 52 00:05:33,782 --> 00:05:35,851 いえ まだ…。 53 00:05:35,851 --> 00:05:43,325 ならば このわしに任せよ。 54 00:05:43,325 --> 00:05:49,414 実はな 耳寄りな話があるんじゃ。 55 00:05:49,414 --> 00:05:56,188 先方は 300石取りの れっきとした旗本じゃ。 56 00:05:56,188 --> 00:06:01,893 ああ… 名は 丹下典膳。→ 57 00:06:01,893 --> 00:06:04,613 当年 24。 58 00:06:04,613 --> 00:06:06,848 丹下典膳? 59 00:06:06,848 --> 00:06:08,984 (権兵衛)しかも この男→ 60 00:06:08,984 --> 00:06:14,690 音に聞こえた一刀流 堀内道場の師範代ときた。 61 00:06:14,690 --> 00:06:18,226 いったん剣を取れば 江戸広しといえども→ 62 00:06:18,226 --> 00:06:22,864 かなう者はなかろうと もっぱらの評判らしい。→ 63 00:06:22,864 --> 00:06:25,317 この男の伯父が→ 64 00:06:25,317 --> 00:06:30,021 江戸城 火の番頭の 後藤七左衛門というて→ 65 00:06:30,021 --> 00:06:33,675 吉良様とは ごじっこんじゃそうな。 66 00:06:33,675 --> 00:06:36,812 どうじゃ? 綱憲。 67 00:06:36,812 --> 00:06:43,952 上杉家は 15万石といえども 外様大名じゃ。 68 00:06:43,952 --> 00:06:49,107 徳川家譜代の旗本と 縁をつないでおけば→ 69 00:06:49,107 --> 00:06:53,829 いつかは きっと役に立つ。 70 00:06:53,829 --> 00:06:58,717 少なくとも 損はない。 71 00:06:58,717 --> 00:07:00,752 仰せ ごもっとも。 72 00:07:00,752 --> 00:07:05,157 大名たる者 それぐらいの才覚が なくて どうする? 73 00:07:05,157 --> 00:07:09,544 家老も またしかり。 74 00:07:09,544 --> 00:07:12,414 はっ。 武勇一辺倒の世は→ 75 00:07:12,414 --> 00:07:14,683 とうに終わっておる。 76 00:07:14,683 --> 00:07:21,089 さすがは 吉良様。 ご卓見 肝に銘じまする ハハハ…。 77 00:07:21,089 --> 00:07:24,743 ハハハ… ほら。 78 00:07:24,743 --> 00:07:27,612 (権兵衛)千春。 はい。 79 00:07:27,612 --> 00:07:32,267 この話は もう断れんぞ。 80 00:07:32,267 --> 00:07:36,021 ♪♪~ 81 00:07:36,021 --> 00:07:41,660 丹下典膳は 家柄もよく 人物も温厚で→ 82 00:07:41,660 --> 00:07:45,347 おごり高ぶったところなど 微塵もないそうじゃ。 83 00:07:45,347 --> 00:07:50,852 上役の信用も厚く 出世は間違いないと→ 84 00:07:50,852 --> 00:07:54,052 折り紙付きじゃそうな。 85 00:07:56,124 --> 00:07:59,711 (権兵衛)何か 不足でもあるのか? 86 00:07:59,711 --> 00:08:03,482 いいえ。 不足など思いも寄らぬ事。 87 00:08:03,482 --> 00:08:07,552 にわかのお話ゆえ 何と お答えすればよいのかと…。 88 00:08:07,552 --> 00:08:12,357 ハハハ… にっこり笑ってれば よいのだ。 89 00:08:12,357 --> 00:08:15,377 先方様に断られたら どうします? 90 00:08:15,377 --> 00:08:21,577 お前を断るような男が この世に居って たまるか!? 91 00:08:25,053 --> 00:08:27,953 (剣術の練習の声) 92 00:08:36,982 --> 00:08:40,782 (堀内正春)それまで! (一同)おう…。 93 00:08:46,725 --> 00:08:51,379 先生 昨日の むさ苦しい浪人者が また やって来て→ 94 00:08:51,379 --> 00:08:53,481 入門を願い出ておりまするが。 95 00:08:53,481 --> 00:08:55,984 ほう 熱心だな。 96 00:08:55,984 --> 00:08:58,720 太刀筋を ご覧になりますか? 97 00:08:58,720 --> 00:09:00,722 うん いいだろう。 98 00:09:00,722 --> 00:09:03,308 (高木敬之進)武兵衛。 はい。 99 00:09:03,308 --> 00:09:07,608 お前が 相手しろ。 はっ。 100 00:09:23,778 --> 00:09:28,917 (中山安兵衛)お待たせ致し申した。 名乗らんか!? 101 00:09:28,917 --> 00:09:32,754 はっ! 中山安兵衛でござる! 102 00:09:32,754 --> 00:09:37,954 (敬之進)生まれは? 越後の国 新発田でござる! 103 00:09:41,513 --> 00:09:44,013 (敬之進)それでは 一本勝負。 104 00:09:46,001 --> 00:09:48,086 いざ。 いざ。 105 00:09:48,086 --> 00:09:50,086 始め! 106 00:09:55,794 --> 00:09:59,614 ああ~っ! (門人達の笑い声) 107 00:09:59,614 --> 00:10:01,983 およよっ! 108 00:10:01,983 --> 00:10:05,086 とう! およよっ! 109 00:10:05,086 --> 00:10:18,650 ♪♪~ 110 00:10:18,650 --> 00:10:21,169 離せ! 離せ!→ 111 00:10:21,169 --> 00:10:23,188 無礼者が! 112 00:10:23,188 --> 00:10:39,821 ♪♪~ 113 00:10:39,821 --> 00:10:43,308 あ 痛~! 何じゃ!? そのざまは! 114 00:10:43,308 --> 00:10:46,111 ぬかりました! ぬかりもへったくれもあるか!? 115 00:10:46,111 --> 00:10:48,146 とっとと出ていけ! 116 00:10:48,146 --> 00:10:50,346 待った。 117 00:10:55,687 --> 00:10:58,039 立て。 はっ? 118 00:10:58,039 --> 00:11:00,839 中段に構えてみよ。 119 00:11:04,295 --> 00:11:06,831 もっと 腰を落とせ。 120 00:11:06,831 --> 00:11:12,554 ♪♪~ 121 00:11:12,554 --> 00:11:16,574 真剣勝負なら お前は死んでいたぞ。 122 00:11:16,574 --> 00:11:18,574 忘れるな。 123 00:11:21,680 --> 00:11:27,819 よいか? 一刀流は 礼節を尊び 古式の型を重んじる。 124 00:11:27,819 --> 00:11:30,488 それを覚えるだけで 3年は かかるぞ。 125 00:11:30,488 --> 00:11:34,592 それでも入門したいか? ははっ! 126 00:11:34,592 --> 00:11:38,496 ならば 雑巾がけから始めよ。 127 00:11:38,496 --> 00:11:42,350 当面は 見習いじゃ。 128 00:11:42,350 --> 00:11:45,754 ありがたき幸せ! 129 00:11:45,754 --> 00:11:50,925 ♪♪~ 130 00:11:50,925 --> 00:11:53,011 あっ! (門人1)おっ! 131 00:11:53,011 --> 00:11:56,948 気を付けんか!? 申し訳ござらん。 132 00:11:56,948 --> 00:12:01,019 逃げるのは得意と見えるな。 (門人2)いかにも。 133 00:12:01,019 --> 00:12:05,540 (一同)ハハハ…。 134 00:12:05,540 --> 00:12:08,109 (正春)なぜ あんなへっぽこを? 135 00:12:08,109 --> 00:12:12,130 あの男は へっぽこのふりを 致しております。 136 00:12:12,130 --> 00:12:15,650 ふり? そうは思えませぬが。 137 00:12:15,650 --> 00:12:21,306 いや 逃げながらも 巧みに 攻撃をかわしておった。 138 00:12:21,306 --> 00:12:24,426 さては 技を盗みに来おったか? 139 00:12:24,426 --> 00:12:27,011 さあ それは分かりませんが→ 140 00:12:27,011 --> 00:12:31,950 しばらく 様子を見たほうが いいでしょう。 141 00:12:31,950 --> 00:12:33,950 うん。 142 00:12:48,316 --> 00:12:51,416 (嘉次平)お帰り! 143 00:12:56,708 --> 00:13:00,278 (勘蔵)旦那様 お帰りなされませ。 どうした? 144 00:13:00,278 --> 00:13:03,181 先程より 後藤様が お待ちかねにござります。 145 00:13:03,181 --> 00:13:06,381 ほう 伯父上が? 146 00:13:12,857 --> 00:13:14,826 お待たせ致しました。 147 00:13:14,826 --> 00:13:16,911 (後藤七左衛門)どこを うろついておった!? 148 00:13:16,911 --> 00:13:19,180 堀内道場にござります。 ええい! 149 00:13:19,180 --> 00:13:21,649 やっとうにかまけておる 場合ではない! 150 00:13:21,649 --> 00:13:25,220 いかがなされました? (ぬひ)そなたの縁談じゃ。 151 00:13:25,220 --> 00:13:27,322 ほう? 152 00:13:27,322 --> 00:13:29,741 ぶったまげて 腰を抜かすなよ。 153 00:13:29,741 --> 00:13:33,011 そんじょそこいらの縁談とは 訳が違うぞ。 154 00:13:33,011 --> 00:13:36,114 はあ。 何が 「はあ」じゃ? 155 00:13:36,114 --> 00:13:38,683 耳の穴をかっぽじいて よう聞け。 156 00:13:38,683 --> 00:13:41,019 前置きは ともかく…。 うるさい。 157 00:13:41,019 --> 00:13:43,087 謹んで 承ります。 158 00:13:43,087 --> 00:13:47,775 婚礼は この秋。 (咳払い) 159 00:13:47,775 --> 00:13:52,413 媒酌人は 後藤七左衛門 このわしが 相務める。 160 00:13:52,413 --> 00:13:54,482 ありがとう存じます。 161 00:13:54,482 --> 00:13:59,320 花嫁はの…。 待て 待て。 出しゃばるな。 162 00:13:59,320 --> 00:14:03,224 この縁談を持ちかけたのは 恐れ多くもじゃ→ 163 00:14:03,224 --> 00:14:08,646 朝廷との典礼儀式をつかさどる 高家筆頭 吉良上野介様じゃ。 164 00:14:08,646 --> 00:14:13,251 禄高は 4,200石じゃが 身分格式は 大名並みじゃ。 165 00:14:13,251 --> 00:14:17,355 分かったか? すると 花嫁は 朝廷から? 166 00:14:17,355 --> 00:14:20,658 (七左衛門)早まるな! 吹くな! 167 00:14:20,658 --> 00:14:27,115 あのな 上杉15万石の当主 綱憲公は 吉良殿の実子じゃ。 168 00:14:27,115 --> 00:14:30,385 上杉家の養子に入って 家督を継いだのじゃ。 169 00:14:30,385 --> 00:14:34,389 ほう。 その上杉家の 江戸家老を務めるのが→ 170 00:14:34,389 --> 00:14:37,942 長尾権兵衛というてな。 名無しの権兵衛? 171 00:14:37,942 --> 00:14:41,079 (七左衛門)長尾権兵衛じゃ。 ご無礼致しました。 172 00:14:41,079 --> 00:14:45,617 その娘がな 千春というて お前の花嫁になる。 173 00:14:45,617 --> 00:14:47,919 はあ。 よいか? 典膳。 174 00:14:47,919 --> 00:14:51,189 これが 途方もない美人でな。 175 00:14:51,189 --> 00:14:54,709 小野小町か 楊貴妃か。 ありがたき幸せ。 176 00:14:54,709 --> 00:14:57,011 まだ 早い。 はっ? 177 00:14:57,011 --> 00:15:00,648 他に 女はおるまいな? 妾とか 隠し子とか。 178 00:15:00,648 --> 00:15:05,787 居りますものか!? この子は 堅物で 堅物で。 179 00:15:05,787 --> 00:15:07,822 (七左衛門)むっつりすけべと いうのもある。 180 00:15:07,822 --> 00:15:11,042 そんな…。 ねんごろな女が居るなら→ 181 00:15:11,042 --> 00:15:14,879 今すぐ 別れよ。 まるで 居りませぬ。 182 00:15:14,879 --> 00:15:17,879 それとも…。 はっ? 183 00:15:24,555 --> 00:15:27,508 男が好きとか…? 184 00:15:27,508 --> 00:15:32,046 ハハハ… ご勘弁を。 185 00:15:32,046 --> 00:15:36,517 兄上! よろしゅうお頼みします。 186 00:15:36,517 --> 00:15:40,421 ええい この果報者めが。 187 00:15:40,421 --> 00:15:45,621 ハハハ…。 188 00:16:07,849 --> 00:16:10,952 (三之丞)お嬢様。 189 00:16:10,952 --> 00:16:12,920 何を お探しですか? 190 00:16:12,920 --> 00:16:16,124 端渓の硯じゃ。 191 00:16:16,124 --> 00:16:18,924 それなら こちらに。 192 00:16:25,650 --> 00:16:28,586 ああ すまぬ。 193 00:16:28,586 --> 00:16:31,689 お嬢様。 194 00:16:31,689 --> 00:16:34,789 いよいよ お輿入れですな。 195 00:16:37,879 --> 00:16:40,279 おめでとうござります。 196 00:16:42,450 --> 00:16:45,153 お屋敷は 火が消えたようになりましょう。 197 00:16:45,153 --> 00:16:50,108 千春様のおわさぬ日々など 考えられませぬ。 198 00:16:50,108 --> 00:16:53,077 三之丞。 199 00:16:53,077 --> 00:16:55,177 はっ。 200 00:17:00,735 --> 00:17:04,255 そなたには 面倒をかけました。 201 00:17:04,255 --> 00:17:06,341 面倒とは? 202 00:17:06,341 --> 00:17:12,246 幼い頃から 読み書きを教わり 遊び相手にもなってもらい…。 203 00:17:12,246 --> 00:17:16,317 それが 生きがいにござりました。 204 00:17:16,317 --> 00:17:21,973 それがしは 太平の御世が 憎うござります。 205 00:17:21,973 --> 00:17:24,826 忌々しゅうござります。 206 00:17:24,826 --> 00:17:27,912 忌々しい? 207 00:17:27,912 --> 00:17:33,818 合戦があれば 大手柄を立てて 出世する事ができます。 208 00:17:33,818 --> 00:17:37,855 秀吉公も 神君家康公も→ 209 00:17:37,855 --> 00:17:43,878 相次ぐ合戦によって身を立て ついに 天下を取りました。 210 00:17:43,878 --> 00:17:49,917 天下とは申さぬまでも しかるべき身分を得れば→ 211 00:17:49,917 --> 00:17:54,355 お慕いするお嬢様を 妻に迎えるも 夢ならずと→ 212 00:17:54,355 --> 00:17:56,391 己に言い聞かせてまいりましたが。 213 00:17:56,391 --> 00:17:59,291 繰り言を申すでない。 214 00:18:03,014 --> 00:18:06,814 どうか お幸せに。 215 00:18:08,886 --> 00:18:11,986 そなたも 達者でな。 216 00:18:28,523 --> 00:18:32,143 ♪♪「高砂や」 217 00:18:32,143 --> 00:18:52,146 ♪♪「この浦船に 帆をあげて」 218 00:18:52,146 --> 00:19:01,756 ♪♪「月もろともに 出で潮の」 219 00:19:01,756 --> 00:19:56,644 ♪♪~ 220 00:19:56,644 --> 00:19:59,213 ふつつか者ではございますが→ 221 00:19:59,213 --> 00:20:03,534 幾久しく おそばに はべらせて頂きます。 222 00:20:03,534 --> 00:20:05,920 よう来てくれた。 223 00:20:05,920 --> 00:20:08,789 わしには 過ぎたる妻じゃ。 224 00:20:08,789 --> 00:20:10,942 めっそうもない。 225 00:20:10,942 --> 00:20:15,913 皆 そなたの美しさに 感じ入っておった。 226 00:20:15,913 --> 00:20:18,216 無論 わしもだ。 227 00:20:18,216 --> 00:20:23,254 お目にかかるのは 今日が初めてではございません。 228 00:20:23,254 --> 00:20:25,254 うん? 229 00:20:27,692 --> 00:20:30,244 今 何と申した? 230 00:20:30,244 --> 00:20:36,801 私も 祝言の途中で はっと気付き まさかと驚きました。 231 00:20:36,801 --> 00:20:39,720 はて? 232 00:20:39,720 --> 00:20:44,892 谷中の七面社でございます。 233 00:20:44,892 --> 00:20:47,712 七面社? 234 00:20:47,712 --> 00:20:53,768 夜桜を見物していた娘が 過って 石段を踏み外しました。 235 00:20:53,768 --> 00:20:56,520 なに!? さるお武家様が→ 236 00:20:56,520 --> 00:20:58,620 助けて下さりました。 237 00:21:00,625 --> 00:21:04,662 あの時の? フフフ…。 238 00:21:04,662 --> 00:21:07,648 いやはや これは 驚いた。 239 00:21:07,648 --> 00:21:10,651 すると あの娘が? 240 00:21:10,651 --> 00:21:14,822 ハハハ… これは とんだ巡り合わせじゃの。 241 00:21:14,822 --> 00:21:19,126 抱き上げられた時は あまりの 恥ずかしさに 痛みも忘れ→ 242 00:21:19,126 --> 00:21:22,196 死んだふりを致しました。 243 00:21:22,196 --> 00:21:27,668 ♪♪~ 244 00:21:27,668 --> 00:21:30,371 こうだったか? 245 00:21:30,371 --> 00:21:32,757 ♪♪~ 246 00:21:32,757 --> 00:21:37,011 こうでございます。 247 00:21:37,011 --> 00:21:43,084 そういえば よい香りがした。 248 00:21:43,084 --> 00:21:47,972 ぬくもりは この手が覚えておる。 249 00:21:47,972 --> 00:21:50,574 お許し下さりませ。 250 00:21:50,574 --> 00:21:55,579 生来の粗忽者でございます。 251 00:21:55,579 --> 00:21:58,049 相分かった。 252 00:21:58,049 --> 00:22:15,182 ♪♪~ 253 00:22:15,182 --> 00:22:18,135 あれまあ あの時の? 254 00:22:18,135 --> 00:22:20,621 お恥ずかしゅうございます。 255 00:22:20,621 --> 00:22:24,392 ご縁ですな。 びっくり致しました。 256 00:22:24,392 --> 00:22:28,329 わしは 命の恩人じゃ。 はい。 257 00:22:28,329 --> 00:22:31,749 大げさな。 258 00:22:31,749 --> 00:22:36,020 お前が あの場に居合わせたのは 誰のおかげじゃ? 259 00:22:36,020 --> 00:22:38,489 はっ? 260 00:22:38,489 --> 00:22:42,143 夜桜が見たいと言うたのは この母じゃ。 261 00:22:42,143 --> 00:22:47,581 おかげで 千春殿は 命が助かった。 はい。 262 00:22:47,581 --> 00:22:51,786 おかげで 息子は この上ない嫁をもろうた。 263 00:22:51,786 --> 00:22:54,755 はい! あっ いえ…。 264 00:22:54,755 --> 00:22:58,592 親孝行は 徳をもたらす。 265 00:22:58,592 --> 00:23:02,413 ものは 言いようですな。 (女達の笑い声) 266 00:23:02,413 --> 00:23:06,534 (咳) あっ 母上。 267 00:23:06,534 --> 00:23:09,253 よい よい。 咳は持病じゃ。 268 00:23:09,253 --> 00:23:14,191 お茶を。 構わんで よい。 269 00:23:14,191 --> 00:23:17,211 あの…。 うん? 270 00:23:17,211 --> 00:23:21,949 おみそ汁は もう少し 薄めがよろしゅうございますか? 271 00:23:21,949 --> 00:23:24,852 いや これでよい。 272 00:23:24,852 --> 00:23:27,805 私は 米沢育ちでございまして。 273 00:23:27,805 --> 00:23:32,410 水仕事は 下女に任せなさい。 はっ? 274 00:23:32,410 --> 00:23:35,012 冬場は 手が荒れます。 275 00:23:35,012 --> 00:23:40,512 見よ この白魚のような手を。 276 00:23:45,689 --> 00:23:51,212 お言葉ではございますが 私は 台所仕事が嫌いではございません。 277 00:23:51,212 --> 00:23:54,248 聞いたかや? 長十郎。 278 00:23:54,248 --> 00:23:57,551 父に言われて 朝餉を作る事もありました。 279 00:23:57,551 --> 00:24:00,621 お父上は さぞ 寂しかろう。→ 280 00:24:00,621 --> 00:24:05,976 大事な一人娘を 嫁に出して。 いかにも。 281 00:24:05,976 --> 00:24:11,715 おかげさまで 丹下家は 暗闇に ぱ~っと 花が咲いたようじゃ。 282 00:24:11,715 --> 00:24:13,918 暗闇? そうとも。 283 00:24:13,918 --> 00:24:17,755 無骨な一人息子と 病がちな母親が→ 284 00:24:17,755 --> 00:24:22,059 ぼそぼそ暮らす古屋敷に ぱ~っとな。 285 00:24:22,059 --> 00:24:24,945 いえ そんな。 286 00:24:24,945 --> 00:24:31,852 先代も 草葉の陰で 大いに喜んでいる事であろう。 287 00:24:31,852 --> 00:24:34,288 何の花ですかな? 288 00:24:34,288 --> 00:24:36,307 ああ おやめ下されませ。 289 00:24:36,307 --> 00:24:40,161 牡丹ですかな? 芍薬ですかな? 290 00:24:40,161 --> 00:24:43,447 桜に決まっておろうが。 291 00:24:43,447 --> 00:24:48,986 (女達の笑い声) 292 00:24:48,986 --> 00:25:04,802 ♪♪~ 293 00:25:04,802 --> 00:25:11,125 ♪♪~ 294 00:25:11,125 --> 00:25:13,194 行ってらっしゃいませ。 295 00:25:13,194 --> 00:25:15,229 うん。 296 00:25:15,229 --> 00:25:20,251 ♪♪~ 297 00:25:20,251 --> 00:25:23,504 参るぞ。 (家人達)ははっ。 298 00:25:23,504 --> 00:25:25,956 ♪♪~ 299 00:25:25,956 --> 00:25:28,609 (女達)行ってらっしゃいませ。 300 00:25:28,609 --> 00:25:47,661 ♪♪~ 301 00:25:47,661 --> 00:25:57,861 (カラスの鳴き声) 302 00:26:06,380 --> 00:26:09,080 (嘉次平)お帰り! 303 00:26:11,151 --> 00:26:13,354 お帰りなされませ。 304 00:26:13,354 --> 00:26:17,391 父の使いの者が 季節の果物を 届けにまいりました。 305 00:26:17,391 --> 00:26:19,410 ほう。 いつぞやは→ 306 00:26:19,410 --> 00:26:21,512 ご無礼つかまつりました。 307 00:26:21,512 --> 00:26:24,348 長尾家の用人 瀬川三之丞と申します。 308 00:26:24,348 --> 00:26:28,448 ご苦労。 では これにて。 309 00:26:34,625 --> 00:26:36,744 お前の付人だったな。 310 00:26:36,744 --> 00:26:39,644 さようでございます。 311 00:26:42,616 --> 00:26:44,652 ああ。 312 00:26:44,652 --> 00:26:47,554  回想  お嬢様! 313 00:26:47,554 --> 00:26:50,554 あの時の…。 314 00:27:05,889 --> 00:27:09,689 お帰り。 はっ。 315 00:27:17,785 --> 00:27:21,685 何じゃ? 改まった話とは。 316 00:27:25,476 --> 00:27:30,347 されば 本日 ご老中のご沙汰 これあり。 317 00:27:30,347 --> 00:27:35,419 それがしは 大坂勤番を仰せつけられました。 318 00:27:35,419 --> 00:27:38,689 えっ? 大坂じゃと? 319 00:27:38,689 --> 00:27:42,693 さよう。 出立は 今月末。 320 00:27:42,693 --> 00:27:45,980 期限は およそ2年。 321 00:27:45,980 --> 00:27:48,248 あらまあ…。 322 00:27:48,248 --> 00:27:50,351 2年…。 323 00:27:50,351 --> 00:27:55,222 上意とは申せ 長らく 江戸を留守に致します。 324 00:27:55,222 --> 00:28:01,311 親不孝の段は なにとぞ お許し下さりませ。 325 00:28:01,311 --> 00:28:06,016 ♪♪~ 326 00:28:06,016 --> 00:28:08,585 武士の本分は 忠義じゃ。 327 00:28:08,585 --> 00:28:13,507 ご下命に従い 心置きなく 務めを果たすがよい。 328 00:28:13,507 --> 00:28:17,911 留守宅は 母と嫁が守る。 329 00:28:17,911 --> 00:28:20,731 かたじけのうござります。 330 00:28:20,731 --> 00:28:23,417 よいな? 千春殿。 331 00:28:23,417 --> 00:28:27,621 ♪♪~ 332 00:28:27,621 --> 00:28:31,475 しかと 承りました。 333 00:28:31,475 --> 00:28:38,148 ♪♪~ 334 00:28:38,148 --> 00:28:41,952 大坂か。 335 00:28:41,952 --> 00:28:46,340 まあ まずは めでたいと 言わねばならぬ。 336 00:28:46,340 --> 00:28:50,144 大坂勤番は 出世の前触れじゃ。 337 00:28:50,144 --> 00:28:52,679 ありがたき仰せ。 338 00:28:52,679 --> 00:28:56,100 (お菊)しかし 2年とはな。 339 00:28:56,100 --> 00:28:58,218 断る訳にもいくまい。 340 00:28:58,218 --> 00:29:02,456 祝言を挙げたばかりだというのに 不粋なお仕打ちですな。 341 00:29:02,456 --> 00:29:05,959 島流しではないぞ。 342 00:29:05,959 --> 00:29:08,912 誉れの門出と心得よ。 343 00:29:08,912 --> 00:29:13,283 来年こそ 孫の顔が見られると 楽しみにしておりましたのに。 344 00:29:13,283 --> 00:29:15,586 くどくど申すな! 345 00:29:15,586 --> 00:29:20,974 武士の出処進退は これ全て 主君のおぼし召しじゃ。 346 00:29:20,974 --> 00:29:24,745 しからば これにて。 (権兵衛)うん。 347 00:29:24,745 --> 00:29:27,781 (長尾龍之進)残念ですな。 (権兵衛)うん? 348 00:29:27,781 --> 00:29:29,817 何がじゃ? 349 00:29:29,817 --> 00:29:34,421 典膳殿とは 一度 お手合わせ 願いたいと思うておりました。 350 00:29:34,421 --> 00:29:38,408 (権兵衛)ハハハ… 思い上がるな。 351 00:29:38,408 --> 00:29:41,995 婿殿は 江戸随一の使い手なるぞ。 352 00:29:41,995 --> 00:29:45,682 さればこそ! お手合わせではなく→ 353 00:29:45,682 --> 00:29:53,006 極意をご伝授頂きたいと かように申せ。 354 00:29:53,006 --> 00:29:55,759 是非 ご伝授を。 355 00:29:55,759 --> 00:29:58,846 しからば 2年後に。 356 00:29:58,846 --> 00:30:03,746 心得ました。 せいぜい 腕を磨いておきましょう。 357 00:30:06,553 --> 00:30:10,553 (ドラの音) 358 00:30:22,052 --> 00:30:27,391 粗忽者は ここから落ちたのか? はい。 359 00:30:27,391 --> 00:30:30,210 突き落とされたのか? いえ。 360 00:30:30,210 --> 00:30:33,380 桜の小枝が跳ね返って この目に ぴしりと。 361 00:30:33,380 --> 00:30:36,984 目がくらんだのだな。 バチが当たったのでしょうか? 362 00:30:36,984 --> 00:30:41,955 そうではない。 棚から ぼた餅が落ちてきたのだ。 363 00:30:41,955 --> 00:30:44,791 棚から ぼた餅? 364 00:30:44,791 --> 00:30:47,578 わしにとってはな。 365 00:30:47,578 --> 00:30:51,014 まあ フフフ…。 366 00:30:51,014 --> 00:30:55,536 ♪♪~ 367 00:30:55,536 --> 00:30:58,205 宮仕えは つらいの。 368 00:30:58,205 --> 00:31:00,624 はっ? 369 00:31:00,624 --> 00:31:06,096 本音を言えば 大坂へは行きとうない。 370 00:31:06,096 --> 00:31:13,496 僅か ひと月ではあるが わしには 掛けがえのない日々であった。 371 00:31:15,756 --> 00:31:23,280 朝晩 そなたの顔を見るのが 無上の楽しみであった。 372 00:31:23,280 --> 00:31:25,980 旦那様。 373 00:31:28,619 --> 00:31:35,742 わしは お前が いとしゅうてならぬ。 374 00:31:35,742 --> 00:31:40,742 遠く離れて暮らすのは 切ない。 375 00:31:42,766 --> 00:31:46,086 思うただけで 胸が詰まる。 376 00:31:46,086 --> 00:31:54,177 ♪♪~ 377 00:31:54,177 --> 00:31:58,031 わしは 女々しいか? 378 00:31:58,031 --> 00:32:00,984 ♪♪~ 379 00:32:00,984 --> 00:32:03,503 いいえ。 380 00:32:03,503 --> 00:32:10,110 ♪♪~ 381 00:32:10,110 --> 00:32:14,481 母を頼むぞ。 382 00:32:14,481 --> 00:32:16,483 はい。 383 00:32:16,483 --> 00:32:33,617 ♪♪~ 384 00:32:33,617 --> 00:32:39,790 (嘉次平)ああ なんと つれないお言葉。 385 00:32:39,790 --> 00:32:45,679 後生でございます。 どうか お供をさせて下さりませ。 386 00:32:45,679 --> 00:32:49,816 大坂は 遠い。 お前の足では無理じゃ。 387 00:32:49,816 --> 00:32:53,353 このとおり かくしゃくと致しております。 388 00:32:53,353 --> 00:32:55,572 若い者には 負けませぬ。 389 00:32:55,572 --> 00:32:58,025 よいから 留守宅を守れ。 390 00:32:58,025 --> 00:33:00,477 そうは まいりませぬ。 391 00:33:00,477 --> 00:33:05,148 先代様が ご臨終のみぎり しかと仰せになりました。 392 00:33:05,148 --> 00:33:10,654 「嘉次平 倅を頼むぞ。 決して そばを離れるな」。 393 00:33:10,654 --> 00:33:14,474 作り話を申すな。 真にござりまする! 394 00:33:14,474 --> 00:33:16,910 道中で へたばったら どうする? 395 00:33:16,910 --> 00:33:20,647 (嘉次平)ああ 情けなや。 396 00:33:20,647 --> 00:33:23,517 ご当家にお仕えして 35年。 397 00:33:23,517 --> 00:33:29,456 お家一筋の忠僕を 虫けらのごとく お見限りになるとは。 398 00:33:29,456 --> 00:33:34,277 見限ってはおらぬ。 いたわっておるのだ。 399 00:33:34,277 --> 00:33:38,477 どうか お供を! 400 00:33:46,390 --> 00:33:50,193 へたばったら 捨てていくぞ。 401 00:33:50,193 --> 00:33:52,779 へい? 402 00:33:52,779 --> 00:33:58,719 野たれ死にで よいのだな? 403 00:33:58,719 --> 00:34:02,189 本望でございます! 404 00:34:02,189 --> 00:34:09,713 ♪♪~ 405 00:34:09,713 --> 00:34:12,149 こら! 406 00:34:12,149 --> 00:34:14,351 よそ見するんじゃない! 407 00:34:14,351 --> 00:34:19,756 ちゃんと前を向いて! 背筋を 伸ばして! 槍は こう立てて!→ 408 00:34:19,756 --> 00:34:23,693 まったく… 何度 言ったら分かるんだ!? 409 00:34:23,693 --> 00:34:34,571 ♪♪~ 410 00:34:34,571 --> 00:34:36,590 (鈴の音) 411 00:34:36,590 --> 00:34:44,781 ♪♪~ 412 00:34:44,781 --> 00:34:48,318 今日は どの辺りかの? 413 00:34:48,318 --> 00:34:52,722 箱根に差しかかる頃と存じます。 414 00:34:52,722 --> 00:34:57,027 やれやれ 難儀じゃの。 415 00:34:57,027 --> 00:35:09,055 ♪♪~ 416 00:35:09,055 --> 00:35:13,710 夕餉は サバのみそ煮で よろしゅうございますか? 417 00:35:13,710 --> 00:35:15,679 サバのみそ煮? 418 00:35:15,679 --> 00:35:18,148 先ほど 里から届きましたので。 419 00:35:18,148 --> 00:35:21,151 まあまあ ありがたいこと。 420 00:35:21,151 --> 00:35:24,451 小骨は お取りしておきます。 421 00:35:26,506 --> 00:35:28,542 ≪(勘蔵)申し上げます。 はい。 422 00:35:28,542 --> 00:35:32,579 旗本小十人組の池沢様 お越しにござります。 423 00:35:32,579 --> 00:35:36,900 池沢様? 堀内道場の朋輩じゃ。 424 00:35:36,900 --> 00:35:40,337 ああ。 425 00:35:40,337 --> 00:35:44,307 池沢武兵衛でござる。 426 00:35:44,307 --> 00:35:47,828 丹下殿とは 日頃より じっこんの仲ゆえ→ 427 00:35:47,828 --> 00:35:50,480 留守宅のお見舞いに参じ申した。 428 00:35:50,480 --> 00:35:54,284 かたじけのう存じます。 429 00:35:54,284 --> 00:35:57,584 安兵衛。 はっ。 430 00:35:59,856 --> 00:36:07,481 この男は 堀内道場の門人にて 下っ端の下っ端でござる。 431 00:36:07,481 --> 00:36:11,251 中山安兵衛と申します。 432 00:36:11,251 --> 00:36:14,821 大事に備えて 折々 差し向けますので→ 433 00:36:14,821 --> 00:36:18,942 御用があれば 何なりとお申し付けのほどを。 434 00:36:18,942 --> 00:36:20,977 恐れ入ります。 435 00:36:20,977 --> 00:36:25,582 水くみでも 薪割りでも 漬物石を運ぶのも。 436 00:36:25,582 --> 00:36:27,918 漬物石? 437 00:36:27,918 --> 00:36:32,689 お前の取り柄は バカ力だけじゃ。 438 00:36:32,689 --> 00:36:35,442 ハハハ… ハハハ…。 439 00:36:35,442 --> 00:36:38,311 なるほど。 ハハハ…。 ハハハ…。 440 00:36:38,311 --> 00:36:40,347 (男達の笑い声) 441 00:36:40,347 --> 00:36:42,999 これ。 442 00:36:42,999 --> 00:36:47,220 (半鐘の音) 443 00:36:47,220 --> 00:36:50,807 (勘蔵)大火事ですな。 どの辺りじゃ? 444 00:36:50,807 --> 00:36:54,411 日本橋から神田界隈かと存じます。 445 00:36:54,411 --> 00:36:57,180 どんどん燃え広がっております。 446 00:36:57,180 --> 00:37:00,984 ≪(三之丞)千春様! 447 00:37:00,984 --> 00:37:03,203 ご油断はなりませぬぞ。 448 00:37:03,203 --> 00:37:05,789 風向きが悪うござります。 449 00:37:05,789 --> 00:37:08,825 とりあえず 大切な物を土蔵へ。 450 00:37:08,825 --> 00:37:11,311 はい。 451 00:37:11,311 --> 00:37:15,282 母上様は? 伏せっております。 452 00:37:15,282 --> 00:37:17,282 いけませんな。 453 00:37:22,055 --> 00:37:25,955 (遠くの雷鳴) 454 00:37:33,917 --> 00:37:38,417 (雷鳴) 455 00:37:51,217 --> 00:37:56,117 (雷鳴) 456 00:38:05,181 --> 00:38:07,284 千春様。 457 00:38:07,284 --> 00:38:10,186 幸い 雨になりました。 458 00:38:10,186 --> 00:38:12,989 雨? 459 00:38:12,989 --> 00:38:18,945 この分では やがて 火事も収まりましょう。 460 00:38:18,945 --> 00:38:22,145 ならば 帰ってよい。 461 00:38:25,685 --> 00:38:29,272 帰りませぬ。 三之丞。 462 00:38:29,272 --> 00:38:33,393 お父上は ご下命あそばしました。 463 00:38:33,393 --> 00:38:38,893 「丹下家に 張り付いていよ」と。 無用じゃ。 464 00:38:40,684 --> 00:38:44,270 火事の後は 盗人やならず者が 横行いたします。 465 00:38:44,270 --> 00:38:47,123 離せ! どうか お静かに。 466 00:38:47,123 --> 00:38:50,477 人を呼びますぞ! お慕いしております。 467 00:38:50,477 --> 00:38:53,430 (雷鳴) 468 00:38:53,430 --> 00:39:11,214 ♪♪~ 469 00:39:11,214 --> 00:39:13,667 (三之丞)千春様。 470 00:39:13,667 --> 00:39:16,386 離せ! 471 00:39:16,386 --> 00:39:19,886 慮外者! お許しを! 472 00:39:22,676 --> 00:39:25,945 気は確かか!? なにとぞ! 473 00:39:25,945 --> 00:39:28,448 狼藉者に 命はないぞ! 474 00:39:28,448 --> 00:39:30,984 悔いはござりませぬ。 475 00:39:30,984 --> 00:39:34,087 ♪♪~ 476 00:39:34,087 --> 00:39:36,106 ああっ! 477 00:39:36,106 --> 00:39:40,493 ♪♪~ 478 00:39:40,493 --> 00:39:44,164 もし も~し! 479 00:39:44,164 --> 00:39:47,550 もし も~し! 何者じゃ? 480 00:39:47,550 --> 00:39:53,590 おっと! 堀内道場より 火事見舞いに はせ参じました。 481 00:39:53,590 --> 00:39:58,090 堀内道場? 中山安兵衛でござる。 482 00:40:00,947 --> 00:40:05,034 ここには 誰も居らぬ。 483 00:40:05,034 --> 00:40:07,034 はっ? 484 00:40:13,610 --> 00:40:16,362 (雷鳴) 485 00:40:16,362 --> 00:40:59,789 ♪♪~ 486 00:40:59,789 --> 00:41:04,344 (富樫頼母)典膳。 ははっ! 487 00:41:04,344 --> 00:41:08,148 4日前の夜 江戸で 大火事があったそうじゃ。 488 00:41:08,148 --> 00:41:10,950 えっ? 子細は まだ分からぬが→ 489 00:41:10,950 --> 00:41:14,053 火は 御茶ノ水から 御徒町まで燃え広がり→ 490 00:41:14,053 --> 00:41:17,640 何千という家屋敷が 焼けたらしいぞ。 491 00:41:17,640 --> 00:41:23,046 安心せい。 麹町の旗本屋敷は 難を逃れておる。 492 00:41:23,046 --> 00:41:25,081 ははっ! 493 00:41:25,081 --> 00:41:36,576 ♪♪~ 494 00:41:36,576 --> 00:41:38,545 何ぞ 隠してはいまいの? 495 00:41:38,545 --> 00:41:40,914 千春を ご成敗下さりませ。 496 00:41:40,914 --> 00:41:46,486 昨年来 当家に取りつきし 魔物の正体にござります。 497 00:41:46,486 --> 00:41:49,856 お前を 世間のさらし者には しとうない。 498 00:41:49,856 --> 00:41:53,259 千春殿を ご返上つかまつります。 499 00:41:53,259 --> 00:41:56,079 何をなさるのじゃ! 500 00:41:56,079 --> 00:42:02,819 ♪♪「真夜中過ぎに羽を広げて」 501 00:42:02,819 --> 00:42:09,759 ♪♪「音もなく飛び去った 鳥を見ていた」 502 00:42:09,759 --> 00:42:15,765 ♪♪「眠れぬ夜は なつかしい」 503 00:42:15,765 --> 00:42:21,921 ♪♪「あの歌を胸の中で」 504 00:42:21,921 --> 00:42:28,811 ♪♪「あまりに無力な この手のひら」 505 00:42:28,811 --> 00:42:34,984 ♪♪「憶えているあの冷たさはまだ」 506 00:42:34,984 --> 00:42:40,974 ♪♪「消えない 胸の奥を」 507 00:42:40,974 --> 00:42:50,316 ♪♪「えぐるよな 痛みはまだ止まらない」 508 00:42:50,316 --> 00:42:56,823 ♪♪「悲しみの叫びよ 静まれ」 509 00:42:56,823 --> 00:43:03,346 ♪♪「自らを傷つける刃を」 510 00:43:03,346 --> 00:43:09,586 ♪♪「心の闇に捨ててしまえ」 511 00:43:09,586 --> 00:43:16,142 ♪♪「生まれ持った優しさで」 512 00:43:16,142 --> 00:43:23,142 ♪♪~