1 00:00:33,957 --> 00:00:37,727 (千春)幾久しく おそばに はべらせて頂きます。 2 00:00:37,727 --> 00:00:41,331 (典膳)わしには 過ぎたる妻じゃ。 3 00:00:41,331 --> 00:00:44,033 狼藉者に 命はないぞ! 4 00:00:44,033 --> 00:00:48,438 もはや お前と 同じ墓に納まる事はできぬ。 5 00:00:48,438 --> 00:00:52,258 だが お前を 世間のさらし者にはしとうない。 6 00:00:52,258 --> 00:00:59,949 ご息女 千春殿を 長尾家に ご返上つかまつります。 7 00:00:59,949 --> 00:01:03,169 何をなさるのじゃ!? 8 00:01:03,169 --> 00:01:10,369 ♪♪~(テーマ音楽) 9 00:01:27,093 --> 00:01:29,493 ああ…。 10 00:01:43,059 --> 00:01:46,596 ここは どこじゃ? 11 00:01:46,596 --> 00:01:50,796 千坂兵部様のお屋敷にございます。 12 00:01:52,769 --> 00:01:56,869 あっ。 じっとして。 13 00:02:00,109 --> 00:02:05,131 なぜ わしは ここに居る? 14 00:02:05,131 --> 00:02:09,802 大ケガをなされて 運び込まれました。 15 00:02:09,802 --> 00:02:11,771 大ケガとは? 16 00:02:11,771 --> 00:02:18,161 おとといの夜 離縁を巡って 父と口論があり→ 17 00:02:18,161 --> 00:02:23,061 逆上した兄が 狼藉を働きました。 18 00:02:24,901 --> 00:02:28,701 (龍之進)千春の恨み 思い知ったか!? 19 00:02:32,308 --> 00:02:38,448 千春。 はい。 20 00:02:38,448 --> 00:02:40,566 それから どうなった? 21 00:02:40,566 --> 00:02:46,639 おびただしい血が流れて お気を失いました。 22 00:02:46,639 --> 00:02:50,026 一刻も早く 医者方へ担ぎ込もうと→ 23 00:02:50,026 --> 00:02:53,630 お体を 表へ運び出しました。 24 00:02:53,630 --> 00:02:59,802 すると 外からお戻りの千坂様に たまさか 見とがめられ…。 25 00:02:59,802 --> 00:03:05,141 千春殿 こんな夜分に どちらへ参られる? 26 00:03:05,141 --> 00:03:09,095 ケガ人が出まして お医者様に。 27 00:03:09,095 --> 00:03:12,165 ケガをしたのは 誰じゃ? 28 00:03:12,165 --> 00:03:14,717 それは…。 29 00:03:14,717 --> 00:03:18,454 ♪♪~ 30 00:03:18,454 --> 00:03:20,454 御免。 31 00:03:23,459 --> 00:03:26,162 (兵部)やや! 丹下典膳ではないか!? 32 00:03:26,162 --> 00:03:31,200 どうか お見逃しを! 誰が? 33 00:03:31,200 --> 00:03:33,970 長尾殿か? いえ。 34 00:03:33,970 --> 00:03:36,873 仕掛けたのは 誰じゃ? 何とぞ! 35 00:03:36,873 --> 00:03:42,428 果たし合いか? ともかく お医者様に! 36 00:03:42,428 --> 00:03:46,966 まかりならん。 主人は 深手を負うております。 37 00:03:46,966 --> 00:03:50,670 小十郎 御殿医を呼べ。 (小十郎)ははっ。 38 00:03:50,670 --> 00:03:53,873 丹下殿の身柄は わしが預かる。 戻るのじゃ。 39 00:03:53,873 --> 00:03:56,793 千坂様。 たわけ! 40 00:03:56,793 --> 00:04:02,198 屋敷内の殺傷が 表沙汰になれば 上杉家は お取り潰しじゃ。 41 00:04:02,198 --> 00:04:04,698 ぐずぐず致すな! 42 00:04:06,669 --> 00:04:13,009 わしの腕は 斬り落とされたのか? 43 00:04:13,009 --> 00:04:21,100 (仁斎)いえ 斬り落としたのは この仁斎にござります。 44 00:04:21,100 --> 00:04:24,003 皮一枚で つながっておりましたが→ 45 00:04:24,003 --> 00:04:30,893 もはや お役に立たぬと見極め やむなく 切断致しました。→ 46 00:04:30,893 --> 00:04:33,780 申し訳ござりませぬ。 47 00:04:33,780 --> 00:04:50,463 ♪♪~ 48 00:04:50,463 --> 00:04:54,563 そのまま そのまま。 49 00:05:01,157 --> 00:05:03,292 どうかな? 50 00:05:03,292 --> 00:05:09,365 はい ただいまのところ お命に関わる事はござりませぬ。 51 00:05:09,365 --> 00:05:13,603 うん。 傷痕が 膿みさえしなければ→ 52 00:05:13,603 --> 00:05:16,422 10日程で ご自宅に戻れましょう。 53 00:05:16,422 --> 00:05:19,575 重畳至極。 54 00:05:19,575 --> 00:05:22,095 ご厄介をかけまする。 55 00:05:22,095 --> 00:05:24,497 気遣いは 無用じゃ。 56 00:05:24,497 --> 00:05:30,097 傷口が塞がるまで 存分に 当家で養生せい。 57 00:05:32,405 --> 00:05:38,995 帰宅後の暮らしについては 全て 上杉家が 面倒を見る。 58 00:05:38,995 --> 00:05:42,298 いや それは…。 (兵部)まあ 聞け。 59 00:05:42,298 --> 00:05:49,205 そのかわりというては何じゃが おぬしに 相談がある。 60 00:05:49,205 --> 00:05:58,364 よいか? 長尾家で起きた事は 一切 口外しないでもらいたい。 61 00:05:58,364 --> 00:06:02,401 上杉家家老の嫡男が 旗本を斬ったと分かれば→ 62 00:06:02,401 --> 00:06:06,556 ただごとならず。 ご公儀は 黙っていまい。 63 00:06:06,556 --> 00:06:12,562 龍之進は切腹 長尾家は断絶じゃ。→ 64 00:06:12,562 --> 00:06:16,365 いや それだけにとどまらず→ 65 00:06:16,365 --> 00:06:20,636 上杉家も きついおとがめを受けよう。→ 66 00:06:20,636 --> 00:06:24,957 おぬしの心中は 察するに余りあるが→ 67 00:06:24,957 --> 00:06:27,560 長尾家は 千春殿の親元じゃ。→ 68 00:06:27,560 --> 00:06:34,867 親族のよしみで なんとか こらえてくれんか? 69 00:06:34,867 --> 00:06:38,321 龍之進には いずれ わびを入れさせる。→ 70 00:06:38,321 --> 00:06:42,275 相応の償いもさせようぞ。 71 00:06:42,275 --> 00:06:55,204 ♪♪~ 72 00:06:55,204 --> 00:06:59,325 (権兵衛)龍之進は 勘当じゃ。 73 00:06:59,325 --> 00:07:02,295 追い出したのか? いや。 74 00:07:02,295 --> 00:07:07,667 白金の下屋敷に 押し込めた。 75 00:07:07,667 --> 00:07:10,636 一歩も 表に出してはならんぞ。 76 00:07:10,636 --> 00:07:15,224 分かっておる。 倅を勘当すれば済むものではない。 77 00:07:15,224 --> 00:07:19,195 表沙汰になれば 上杉家の存亡に関わる。 78 00:07:19,195 --> 00:07:22,431 もはや これまでじゃ。 79 00:07:22,431 --> 00:07:24,467 腹を切って おわび申し上げる。 80 00:07:24,467 --> 00:07:27,904 その前に 典膳に謝ったら どうか? 81 00:07:27,904 --> 00:07:31,641 ああ… 合わせる顔がない。 82 00:07:31,641 --> 00:07:35,061 今のうちに 手を打たねば 事が露見するぞ。 83 00:07:35,061 --> 00:07:38,898 手を打つというても…。 84 00:07:38,898 --> 00:07:42,935 わしは これより 鍛冶橋の吉良様のお屋敷に赴く。 85 00:07:42,935 --> 00:07:46,155 吉良邸? 上野介様に かくかくしかじかと→ 86 00:07:46,155 --> 00:07:48,941 事の次第を打ち明け お力になって頂く。 87 00:07:48,941 --> 00:07:53,963 ああ… おしかりを被ろうぞ。 88 00:07:53,963 --> 00:07:59,201 おしかりはともかく 吉良様は 殿のご尊父ではないか!? 89 00:07:59,201 --> 00:08:02,438 上杉家の大事は 吉良家の大事じゃ。 90 00:08:02,438 --> 00:08:06,325 いざという時は ご老中はじめ→ 91 00:08:06,325 --> 00:08:09,795 評定所一座に おとりなし頂く。 92 00:08:09,795 --> 00:08:14,267 吉良様は お側用人 柳沢吉保様とも ごじっこんじゃ。 93 00:08:14,267 --> 00:08:22,758 それはありがたいが 刃傷沙汰が 表に出れば 倅は助かるまい。 94 00:08:22,758 --> 00:08:25,511 「虎穴に入らずんば 虎児を得ず」じゃ。 95 00:08:25,511 --> 00:08:28,764 隠せば隠す程 罪は重うなる。 96 00:08:28,764 --> 00:08:32,768 あ~あ…。 97 00:08:32,768 --> 00:08:37,239 だから 早う謝れと申しておる。 98 00:08:37,239 --> 00:08:40,539 指図致すな! 99 00:08:46,065 --> 00:08:49,565 ≪(女)長尾様 お越しにござります。 100 00:08:52,021 --> 00:08:54,890 ≪(権兵衛)わしじゃ! 101 00:08:54,890 --> 00:08:58,090 少し お待ち下さい。 102 00:09:11,440 --> 00:09:13,440 (咳払い) 103 00:09:24,253 --> 00:09:31,093 ああ… 痛みは 和らいだか? 104 00:09:31,093 --> 00:09:34,030 はい。 105 00:09:34,030 --> 00:09:37,516 よう眠れるか? 106 00:09:37,516 --> 00:09:40,670 はい。 107 00:09:40,670 --> 00:09:45,570 まずは おぬしに 礼を言わねばならぬ。 108 00:09:47,593 --> 00:09:52,948 倅が逆上して 刀を抜いた折→ 109 00:09:52,948 --> 00:09:56,902 おぬしは じっとこらえて 抜かなんだ。 110 00:09:56,902 --> 00:09:59,839 もし 抜いておれば→ 111 00:09:59,839 --> 00:10:04,239 倅は ひとたまりもなく 斬り殺されたであろう。 112 00:10:06,328 --> 00:10:13,903 その事は 謹慎中の倅にも よう 言うて聞かせた。 113 00:10:13,903 --> 00:10:21,327 「お前が 死なずに済んだのは 典膳のおかげじゃ」とな。→ 114 00:10:21,327 --> 00:10:29,235 龍之進は 己の狼藉を悔い 深く 恥じ入っておる。 115 00:10:29,235 --> 00:10:33,806 よう 我慢してくれた。 116 00:10:33,806 --> 00:10:38,306 親として 礼を申すぞ。 117 00:10:41,297 --> 00:10:43,866 それだけですか? 118 00:10:43,866 --> 00:10:45,866 うん? 119 00:10:51,290 --> 00:10:58,564 ああ… 千春との離縁じゃがの→ 120 00:10:58,564 --> 00:11:04,703 事 ここに及んでは いかんともなしがたし。 121 00:11:04,703 --> 00:11:12,228 おぬしの申し分を 神妙に聞き入れ 当家に引き取る。 122 00:11:12,228 --> 00:11:16,332 父上。 何じゃ? 123 00:11:16,332 --> 00:11:20,269 千春は 長尾家に戻りませぬ。 124 00:11:20,269 --> 00:11:25,424 ああ… 戻らぬとは どういう事か? 125 00:11:25,424 --> 00:11:28,494 このまま 丹下家のお屋敷に 立ち返り→ 126 00:11:28,494 --> 00:11:32,364 主人のお世話を致します。 127 00:11:32,364 --> 00:11:34,366 お前は 離縁された。 128 00:11:34,366 --> 00:11:38,704 されば 嫁ではなく 奉公人としてお仕え致します。 129 00:11:38,704 --> 00:11:40,790 (権兵衛)たわけを申すな! 130 00:11:40,790 --> 00:11:42,975 父上こそ! 131 00:11:42,975 --> 00:11:46,875 婿殿は お前の事を 疎んじておる。 132 00:11:48,931 --> 00:11:54,904 たとえ 疎んじられても 一生 かけて 償いをせねばなりませぬ。 133 00:11:54,904 --> 00:11:58,007 (権兵衛)よりを戻せば 厄介な事になる。→ 134 00:11:58,007 --> 00:12:00,993 龍之進も 黙ってはいまい。 135 00:12:00,993 --> 00:12:04,530 お控えなされませ! 136 00:12:04,530 --> 00:12:07,733 主人に言いがかりをつけ→ 137 00:12:07,733 --> 00:12:11,670 大ケガをさせたのは どなたですか? 138 00:12:11,670 --> 00:12:15,891 武士の片腕をもぎ取ったのは どなたですか!? 139 00:12:15,891 --> 00:12:19,591 父上と兄上ではござりませぬか!? 140 00:12:21,564 --> 00:12:28,504 ところが 父上は わびも入れず 償いを 口にする事もなく→ 141 00:12:28,504 --> 00:12:37,129 ただ 「娘を引き取る」と 事もなげに仰せになりました。 142 00:12:37,129 --> 00:12:42,468 千春は 情けのうございます。 143 00:12:42,468 --> 00:12:46,805 恥ずかしゅうて 消え入りとうござります。 144 00:12:46,805 --> 00:12:49,525 ♪♪~ 145 00:12:49,525 --> 00:12:56,365 無論 事の発端は 千春の不始末にござります。 146 00:12:56,365 --> 00:13:02,655 さればこそ 丹下家にとどまり この身を尽くしとう存じます。 147 00:13:02,655 --> 00:13:07,109 ♪♪~ 148 00:13:07,109 --> 00:13:10,629 すまん! 149 00:13:10,629 --> 00:13:15,267 どうか このわしを許してくれ! 150 00:13:15,267 --> 00:13:22,691 龍之進を許してくれ! このとおりじゃ。 151 00:13:22,691 --> 00:13:27,162 お手をお上げなされませ。 152 00:13:27,162 --> 00:13:51,262 ♪♪~ 153 00:14:12,207 --> 00:14:15,807 (久右衛門)お帰りなされませ。 ご苦労。 154 00:14:23,769 --> 00:14:26,469 (嘉次平)お帰りなされませ。 155 00:14:32,027 --> 00:15:26,532 ♪♪~ 156 00:15:26,532 --> 00:15:30,686 おい! お前は 知っておったのか? 157 00:15:30,686 --> 00:15:32,786 えっ? 158 00:15:37,176 --> 00:15:39,576 ええっ!? 159 00:15:48,620 --> 00:15:51,156 お待たせ致しました。 160 00:15:51,156 --> 00:15:54,593 かたじけない。 何を仰せられます。 161 00:15:54,593 --> 00:16:00,065 千春は はしためと お心得なされませ。 162 00:16:00,065 --> 00:16:03,569 あとで 町駕籠を頼んでくれ。 163 00:16:03,569 --> 00:16:07,339 町駕籠? お出かけですか? 164 00:16:07,339 --> 00:16:11,060 さにあらず。 お前を送り返すのだ。 165 00:16:11,060 --> 00:16:16,331 送り返す? 親が 心配していよう。 166 00:16:16,331 --> 00:16:19,331 お断り致します。 167 00:16:22,171 --> 00:16:27,292 千春は ここにとどまり 丹下典膳の左腕になります。 168 00:16:27,292 --> 00:16:29,278 そうはいかぬ。 169 00:16:29,278 --> 00:16:31,947 どうぞ お箸を。 170 00:16:31,947 --> 00:16:36,735 ♪♪~ 171 00:16:36,735 --> 00:16:41,256 哀れみは 受けとうないのだ。 172 00:16:41,256 --> 00:16:44,393 帯は どうやってお締めですか? 173 00:16:44,393 --> 00:16:47,763 一人で お背中が流せますか? 174 00:16:47,763 --> 00:16:51,767 火打ち石は 打てますか? 175 00:16:51,767 --> 00:16:54,436 バカにするな。 176 00:16:54,436 --> 00:16:59,041 ご飯ですか? おみそ汁ですか? 177 00:16:59,041 --> 00:17:01,310 山芋じゃ。 178 00:17:01,310 --> 00:17:04,146 かしこまりました。 179 00:17:04,146 --> 00:17:22,498 ♪♪~ 180 00:17:22,498 --> 00:17:24,800 ≪(久右衛門)申し上げます。 はい。 181 00:17:24,800 --> 00:17:28,200 ≪(久右衛門)後藤七左衛門様 お越しにござります。 182 00:17:32,057 --> 00:17:35,757 (七左衛門)う~ん。 183 00:17:38,330 --> 00:17:41,083 おいでなされませ。 184 00:17:41,083 --> 00:17:44,903 何たるザマじゃ!? 申し訳ござりませぬ。 185 00:17:44,903 --> 00:17:49,875 丹下典膳ともあろう者がじゃ 腕を斬り落とされるとはな! 186 00:17:49,875 --> 00:17:52,294 一刀流の看板が泣くぞ! 187 00:17:52,294 --> 00:17:56,365 お恥ずかしゅうござります。 188 00:17:56,365 --> 00:18:02,738 昨日 上杉家から 評定所へ 届け出があった。 189 00:18:02,738 --> 00:18:09,661 お前は 先月晦日 桜田堀端で 何者かに襲われたな?→ 190 00:18:09,661 --> 00:18:13,432 斬り倒されたお前を 上杉家の夜回り番が見つけ→ 191 00:18:13,432 --> 00:18:16,418 屋敷内に担ぎ込んだな? 192 00:18:16,418 --> 00:18:18,503 覚えがござりませぬ。 193 00:18:18,503 --> 00:18:22,341 家老の千坂兵部が 直ちに 医者を呼び寄せ→ 194 00:18:22,341 --> 00:18:24,476 ねんごろに 手当てを施した。 195 00:18:24,476 --> 00:18:28,597 はい。 なぜ わしに知らせなんだ? 196 00:18:28,597 --> 00:18:32,334 忘れたのか? わしは お前の身元の請け人じゃぞ! 197 00:18:32,334 --> 00:18:35,934 婚礼の媒酌人じゃぞ! 198 00:18:37,873 --> 00:18:43,462 して お前を斬ったのは 何者か? 199 00:18:43,462 --> 00:18:45,831 暗闇で よう分かりませんが→ 200 00:18:45,831 --> 00:18:50,102 風体からして 5~6人のならず者が…。 201 00:18:50,102 --> 00:18:53,105 しかと相違ないか? はい。 202 00:18:53,105 --> 00:18:57,005 (七左衛門)隠し事は ためにならぬぞ。 203 00:19:01,530 --> 00:19:07,569 わしの目を 節穴とでも 思うておるのか!? えっ!? 204 00:19:07,569 --> 00:19:11,823 お前を襲うたのは 化け狐じゃ。 205 00:19:11,823 --> 00:19:15,060 化け狐? よいか? 206 00:19:15,060 --> 00:19:19,698 おぬひの通夜の席で お前は 化け狐を 退治してみせたな? 207 00:19:19,698 --> 00:19:25,787 あの狐の仲間が ならず者に化けて 意趣返しをしたのじゃ。 208 00:19:25,787 --> 00:19:27,973 はあ…。 209 00:19:27,973 --> 00:19:32,073 そういう事にしておこう。 210 00:19:33,996 --> 00:19:36,665 やれやれ 情けないのう。 211 00:19:36,665 --> 00:19:41,770 たった一人の自慢の甥が 今や 天下の笑いものじゃ。 えっ? 212 00:19:41,770 --> 00:19:50,162 生き恥をさらすくらいなら いっそ 斬られて死んでしまえ。 213 00:19:50,162 --> 00:19:52,764 ハハハ… ハハハ…。 214 00:19:52,764 --> 00:19:55,434 ハハハ…。 後藤様。 215 00:19:55,434 --> 00:19:57,970 あん? 主人は→ 216 00:19:57,970 --> 00:20:01,106 おとがめを受けましょうか? 当たり前じゃ。 217 00:20:01,106 --> 00:20:05,844 まずは 登城の差し止め。 下手をすれば 蟄居閉門。 218 00:20:05,844 --> 00:20:08,263 えっ? 219 00:20:08,263 --> 00:20:13,335 いざという時の腹づもりは しておいたほうが よいぞ。 220 00:20:13,335 --> 00:20:15,335 はっ! 221 00:20:29,251 --> 00:20:31,303 なに!? 典膳が? 222 00:20:31,303 --> 00:20:36,141 腕を斬り落とされたそうじゃ。 223 00:20:36,141 --> 00:20:39,344 誰にやられた? さあ それは…。 224 00:20:39,344 --> 00:20:42,948 そんなバカな! 典膳に限って ありえぬ話じゃ。 225 00:20:42,948 --> 00:20:46,768 されど 城中では もっぱらの噂です。 226 00:20:46,768 --> 00:20:52,040 信じられんな。 真であれば 由々しき事じゃ。 227 00:20:52,040 --> 00:20:54,126 武兵衛。 はっ! 228 00:20:54,126 --> 00:20:58,126 中山安兵衛を呼べ。 心得ました。 229 00:21:07,239 --> 00:21:56,338 ♪♪~ 230 00:21:56,338 --> 00:21:58,407 何をなさります!? 231 00:21:58,407 --> 00:22:00,442 おやめなされませ! 232 00:22:00,442 --> 00:22:02,828 どうした? 233 00:22:02,828 --> 00:22:06,598 ご短慮はなりませぬ! 234 00:22:06,598 --> 00:22:09,851 わしが 腹でも切ると思うたか? 235 00:22:09,851 --> 00:22:11,870 よこせ。 236 00:22:11,870 --> 00:22:15,791 ♪♪~ 237 00:22:15,791 --> 00:22:22,130 わしはな 片腕で 刀が使えるか どうかを 試しておったのだ。 238 00:22:22,130 --> 00:22:25,133 お刀は もう…。 239 00:22:25,133 --> 00:22:36,495 ♪♪~ 240 00:22:36,495 --> 00:22:43,568 わしは 武士の子として生まれ 武士の子として育った。 241 00:22:43,568 --> 00:22:50,268 剣をもって主君に仕えるのが 武門の義であると教わった。 242 00:22:52,310 --> 00:22:59,167 わしは 明けても暮れても 剣の道にいそしんだ。 243 00:22:59,167 --> 00:23:06,007 剣術の他には 何の取り柄もない男だ。 244 00:23:06,007 --> 00:23:09,528 こんな体にはなったが→ 245 00:23:09,528 --> 00:23:16,628 わしが 剣を捨てるのは 魂を捨てるのと同じ事だ。 246 00:23:18,970 --> 00:23:21,056 (足音) 247 00:23:21,056 --> 00:23:23,492 申し上げます。 ≪ はい。 248 00:23:23,492 --> 00:23:27,792 ただいま 評定所のご使者が お見えになりました。 249 00:23:35,654 --> 00:23:38,754 お支度が整いました。 250 00:24:00,762 --> 00:24:04,199 (熊倉文吾)丹下典膳か? ははっ! 251 00:24:04,199 --> 00:24:08,436 目付 熊倉文吾じゃ。 神妙にせい。 252 00:24:08,436 --> 00:24:10,436 ははっ! 253 00:24:14,526 --> 00:24:18,580 上意! ははっ! 254 00:24:18,580 --> 00:24:23,602 ♪♪~ 255 00:24:23,602 --> 00:24:26,902 「小普請組 丹下典膳」。 256 00:24:28,974 --> 00:24:35,664 「右の者は ご城下 桜田堀端にて 無頼の徒と 刃傷沙汰に及び→ 257 00:24:35,664 --> 00:24:38,934 手傷を負いたる段 不届き至極。→ 258 00:24:38,934 --> 00:24:43,004 ご政道の尊厳を 著しく傷つけるものなり。→ 259 00:24:43,004 --> 00:24:49,461 よって 家禄 3百石を召し上げ 丹下家の断絶を申しつける」。 260 00:24:49,461 --> 00:24:51,563 ははっ! 261 00:24:51,563 --> 00:24:55,567 (文吾)「なお 麹町の当屋敷は 10日以内に立ち退き→ 262 00:24:55,567 --> 00:25:01,072 神妙に 明け渡すべき事。 よって くだんのごとし」。 263 00:25:01,072 --> 00:25:06,094 ♪♪~ 264 00:25:06,094 --> 00:25:10,699 しかと 承りました。 265 00:25:10,699 --> 00:25:13,799 ♪♪~ 266 00:25:16,938 --> 00:25:19,938 うん? 267 00:25:32,003 --> 00:25:37,108 おい 待て。 今のは 何じゃ? 何があったのじゃ? 268 00:25:37,108 --> 00:25:39,127 存じませぬ。 269 00:25:39,127 --> 00:25:42,427 おい じい! おい! 270 00:25:46,568 --> 00:25:49,170 あっ! 丹下様は ご在宅か? 271 00:25:49,170 --> 00:25:52,807 お取り込み中でございます。 272 00:25:52,807 --> 00:25:56,628 大ケガをなされたそうじゃな? 申し上げかねます。 273 00:25:56,628 --> 00:25:58,730 おい! 取り次いでくれ! 274 00:25:58,730 --> 00:26:02,133 お断り致します。 堀内道場から見舞いに来たのだ。 275 00:26:02,133 --> 00:26:05,203 どうか どうか お引き取りを! 276 00:26:05,203 --> 00:26:08,573 おい! おい! 277 00:26:08,573 --> 00:26:11,259 なぜ あのようなお仕置きを→ 278 00:26:11,259 --> 00:26:15,830 甘んじて お受けになったのですか? 279 00:26:15,830 --> 00:26:20,835 なぜ 本当の事を 仰せにならなかったのですか? 280 00:26:20,835 --> 00:26:24,339 千坂様とのお約束じゃ。 281 00:26:24,339 --> 00:26:29,911 いくら お約束でも 殿は ご身分を召し上げられ→ 282 00:26:29,911 --> 00:26:34,065 丹下家は お取り潰しとなりました。 283 00:26:34,065 --> 00:26:39,270 一方で 事を起こした長尾家は 何のおとがめも受けず→ 284 00:26:39,270 --> 00:26:44,592 偽りを申し立てた上杉様も ご安泰でございます。 285 00:26:44,592 --> 00:26:48,892 これほどの理不尽が ござりましょうか!? 286 00:26:51,299 --> 00:26:55,770 どうか 明日にでも 評定所へお出向きになり→ 287 00:26:55,770 --> 00:26:59,624 事の次第を明らかになされませ。 288 00:26:59,624 --> 00:27:04,763 お許しを頂ければ 千春も お供致します。 289 00:27:04,763 --> 00:27:10,863 お前は 兄上や父上を 地獄に落としたいのか? 290 00:27:13,405 --> 00:27:20,161 事を明らかにしても 今更 わしの仕置きは変わらぬ。 291 00:27:20,161 --> 00:27:24,149 長尾家や上杉家を 巻き添えにするだけで→ 292 00:27:24,149 --> 00:27:27,368 評定所も 面目を失う。 293 00:27:27,368 --> 00:27:31,406 ケンカは両成敗で 何の得もない。 294 00:27:31,406 --> 00:27:37,545 殿! もう 殿ではない。 295 00:27:37,545 --> 00:27:40,465 武門の誉れは どうなります!? 296 00:27:40,465 --> 00:27:44,769 あなた様は ならず者に 腕を斬られた腑抜け武士と→ 297 00:27:44,769 --> 00:27:51,826 世間に嘲られ いつまでも 後ろ指をさされましょうぞ! 298 00:27:51,826 --> 00:27:56,197 武士とは そういうものだ。 はっ? 299 00:27:56,197 --> 00:28:02,237 上意とは すなわち 上様のおぼし召しに ほかならぬ。 300 00:28:02,237 --> 00:28:06,241 合戦があれば 進んで 命を捨てる。 301 00:28:06,241 --> 00:28:10,829 ご下命があれば 黙って 腹を切る。 302 00:28:10,829 --> 00:28:14,516 これが 武士の本分だ。 303 00:28:14,516 --> 00:28:21,773 一介の浪人といえども 本分を忘れてはならぬ。 304 00:28:21,773 --> 00:28:37,639 ♪♪~ 305 00:28:37,639 --> 00:28:41,025 (正春)家名断絶か!? 306 00:28:41,025 --> 00:28:45,797 (敬之進)厳罰ですな。 むごすぎますな。 307 00:28:45,797 --> 00:28:49,934 (武兵衛)昨今のご公儀は 財政困難のせいか→ 308 00:28:49,934 --> 00:28:54,889 ささいな過ちにも 目くじらを立て 片っ端から 処分致します。 309 00:28:54,889 --> 00:28:58,860 奉行所の門前で お犬様が死んでいただけで→ 310 00:28:58,860 --> 00:29:01,095 処罰された役人もおります。 311 00:29:01,095 --> 00:29:04,299 典膳は 気落ちしていよう。 312 00:29:04,299 --> 00:29:09,170 当道場としても 何らかの手当てを考えねば。 313 00:29:09,170 --> 00:29:11,506 師範代は もう無理でしょう。 314 00:29:11,506 --> 00:29:13,591 (正春)片腕ではな。 315 00:29:13,591 --> 00:29:15,660 (武兵衛)剣術ではなく→ 316 00:29:15,660 --> 00:29:18,062 作法の指南は いかがでござりましょう?→ 317 00:29:18,062 --> 00:29:20,665 一刀流の由来とか 極意とかを。 318 00:29:20,665 --> 00:29:24,769 ならず者に斬られた男が 道を説いても→ 319 00:29:24,769 --> 00:29:27,472 門弟達は 納得するまい。 320 00:29:27,472 --> 00:29:29,641 さよう さよう。 321 00:29:29,641 --> 00:29:35,029 焦眉の急は 屋敷を追い出される 典膳の住まいを→ 322 00:29:35,029 --> 00:29:37,098 どこに定めるかじゃ。 323 00:29:37,098 --> 00:29:45,073 畏れながら 丹下様のお身柄は この安兵衛が お預かり致します。 324 00:29:45,073 --> 00:29:47,825 ほう。 大きく出たな。 325 00:29:47,825 --> 00:29:50,328 丹下様には 恩義がござります。 326 00:29:50,328 --> 00:29:55,750 堀内道場に 入門を許されたのも 丹下様のお情けあっての事。 327 00:29:55,750 --> 00:29:59,137 どこで預かるのだ? 幸いにして→ 328 00:29:59,137 --> 00:30:01,823 それがしの長屋の隣が 1軒 空いております。 329 00:30:01,823 --> 00:30:05,443 場所は? 牛込天竜寺竹町にござります。 330 00:30:05,443 --> 00:30:07,545 あの長屋は 汚い! 331 00:30:07,545 --> 00:30:10,431 そのかわり 人目につきませぬ。 332 00:30:10,431 --> 00:30:14,469 それがしが ぴったり付いて お守り致します。 333 00:30:14,469 --> 00:30:16,437 食い扶持は どうする? 334 00:30:16,437 --> 00:30:20,725 食い扶持? 3百石は 召し上げだぞ。 335 00:30:20,725 --> 00:30:23,428 さよう さよう。 浪人ならば→ 336 00:30:23,428 --> 00:30:26,030 糊口をしのぐ仕事を 持たねばなるまい。 337 00:30:26,030 --> 00:30:29,534 腕1本の仕事をな。 338 00:30:29,534 --> 00:30:31,534 え~…。 339 00:30:34,822 --> 00:30:41,312 知ってのとおり 丹下家は わしの 不徳によって 断絶を申し渡され→ 340 00:30:41,312 --> 00:30:45,433 この屋敷を 引き払う事になった。 341 00:30:45,433 --> 00:30:48,903 長年にわたり 奉公を尽くしてくれたお前達に→ 342 00:30:48,903 --> 00:30:54,158 にわかに暇をやるのは 心苦しい限りであるが→ 343 00:30:54,158 --> 00:30:58,963 どうか 許してもらいたい。 344 00:30:58,963 --> 00:31:05,737 久右衛門と勘蔵は わしの伯父が 引き取る事になった。 345 00:31:05,737 --> 00:31:12,537 信蔵と甚蔵と キヨの奉公口は 今 探しておるところじゃ。 346 00:31:14,963 --> 00:31:16,931 (キヨの泣き声) 347 00:31:16,931 --> 00:31:19,500 嘉次平。 はっ。 348 00:31:19,500 --> 00:31:23,137 お前は 三河に帰って 百姓でもせい。 349 00:31:23,137 --> 00:31:28,276 何と…? 相応の隠居料と路銀は 用意する。 350 00:31:28,276 --> 00:31:31,996 殿! 世話になったな。 351 00:31:31,996 --> 00:31:38,970 はばかりながら ご先代様は かように ご遺言なされました。 352 00:31:38,970 --> 00:31:41,406 またか。 「嘉次平。→ 353 00:31:41,406 --> 00:31:43,524 倅を頼んだぞ」。 354 00:31:43,524 --> 00:31:46,194 (久右衛門)控えよ! 355 00:31:46,194 --> 00:31:51,516 手前は どこまでも お供致します。 356 00:31:51,516 --> 00:31:56,020 死ぬるまで おそばを離れませぬ! 357 00:31:56,020 --> 00:31:58,106 足手まといじゃ。 358 00:31:58,106 --> 00:32:00,308 何とぞ! 359 00:32:00,308 --> 00:32:06,731 あのな わしは もはや 一介の素浪人じゃ。 360 00:32:06,731 --> 00:32:10,168 奉公人を抱える身分ではない。 361 00:32:10,168 --> 00:32:15,490 ♪♪~ 362 00:32:15,490 --> 00:32:20,428 世にもつれなきお言葉かな…。 363 00:32:20,428 --> 00:32:29,070 (嘉次平の泣き声) 364 00:32:29,070 --> 00:32:35,276 (一同の泣き声) 365 00:32:35,276 --> 00:32:47,238 ♪♪~ 366 00:32:47,238 --> 00:32:49,974 (道具屋)こんなもんで いかがなもんでござんしょう? 367 00:32:49,974 --> 00:32:52,560 う~ん。 (兵部)頼もう。 368 00:32:52,560 --> 00:32:54,929 はっ ただいま! 369 00:32:54,929 --> 00:32:57,698 丹下典膳殿の居宅は ここか? 370 00:32:57,698 --> 00:33:01,669 さようでございます。 千坂兵部じゃ。 371 00:33:01,669 --> 00:33:04,269 おいでなされませ。 372 00:33:07,742 --> 00:33:11,129 (兵部)とんだ事になったな。 373 00:33:11,129 --> 00:33:18,002 面目次第もござりませぬ。 いや おぬしのせいではない。 374 00:33:18,002 --> 00:33:24,302 わしも 長尾権兵衛殿も 後味の悪い思いをしておるわ。 375 00:33:27,829 --> 00:33:35,236 ここに 50両の金子を持参した。 50両? 376 00:33:35,236 --> 00:33:39,490 金の出どころは聞くな。 黙って取っておけ。 377 00:33:39,490 --> 00:33:42,590 口封じにござりますか? それも聞くな。 378 00:33:44,529 --> 00:33:49,217 ぶしつけながら ご無用に願います。 379 00:33:49,217 --> 00:33:51,335 うん? 380 00:33:51,335 --> 00:33:56,958 痩せても枯れても 丹下典膳は 武士でござる。 381 00:33:56,958 --> 00:34:01,596 お約束の儀は 口が裂けても漏らしませぬ。 382 00:34:01,596 --> 00:34:03,731 (兵部)それは分かっておる。 383 00:34:03,731 --> 00:34:06,934 ご無礼つかまつりました。 384 00:34:06,934 --> 00:34:10,404 相変わらずの頑固じゃのう。 385 00:34:10,404 --> 00:34:15,304 わしとて わざわざ持参した金子を 持ち帰る訳にはいかん。 386 00:34:18,029 --> 00:34:26,404 よいか? 身分を失い 禄を失い 屋敷まで引き払えば→ 387 00:34:26,404 --> 00:34:29,423 何かと物入りが重なるに 相違ない。→ 388 00:34:29,423 --> 00:34:33,623 まして おぬしは 立ち居振る舞いも ままならん。 389 00:34:36,063 --> 00:34:41,836 これは 丹下大明神への お賽銭と心得よ。 390 00:34:41,836 --> 00:34:43,836 お賽銭? 391 00:34:46,791 --> 00:34:54,165 それと いまひとつ。 丹下殿は 千春殿を離縁したと聞いたが? 392 00:34:54,165 --> 00:34:58,565 離縁致しました。 離縁した妻が なぜ ここに居る? 393 00:35:00,905 --> 00:35:03,140 私の一存にございます。 394 00:35:03,140 --> 00:35:06,327 (兵部)ほう 一存とは? 395 00:35:06,327 --> 00:35:09,764 今は 奉公人として おそばに仕えております。 396 00:35:09,764 --> 00:35:13,401 (兵部)それは 外聞が悪かろう? はっ? 397 00:35:13,401 --> 00:35:21,158 家老の息女が 浪人の女中ではな。 上杉家の名折れじゃ。 398 00:35:21,158 --> 00:35:27,064 そなたの父上は それを苦にして 白髪が めっきり増えた。→ 399 00:35:27,064 --> 00:35:31,903 母上は とうとう寝込んでしもうた。 400 00:35:31,903 --> 00:35:34,472 真でござりますか? (兵部)ウソか真か→ 401 00:35:34,472 --> 00:35:37,972 実家に帰って 確かめるがよかろう。 402 00:35:40,161 --> 00:35:44,065 (兵部)このままでは 丹下殿も評判を落とす。 403 00:35:44,065 --> 00:35:48,669 「離縁した妻を引き止めて 女中にするとは 言語道断。→ 404 00:35:48,669 --> 00:35:51,372 男の風上にも置けぬ」とな。 405 00:35:51,372 --> 00:35:53,758 お言葉ではございますが→ 406 00:35:53,758 --> 00:35:58,162 主人が 腕を斬られ 身分を召し上げられたのは→ 407 00:35:58,162 --> 00:36:00,898 私の不始末が発端にございます。 408 00:36:00,898 --> 00:36:03,698 (兵部)それは もう忘れよ。 409 00:36:05,770 --> 00:36:09,173 過ぎた事にこだわり いつまでも まといつかれては→ 410 00:36:09,173 --> 00:36:11,873 丹下殿も 重荷であろう。 411 00:36:13,728 --> 00:36:16,797 (兵部)どうじゃ? ははっ。 412 00:36:16,797 --> 00:36:19,500 (兵部)ここらで 男らしく節目をつけて→ 413 00:36:19,500 --> 00:36:23,204 嫁を 長尾家に返してはどうか? 414 00:36:23,204 --> 00:36:25,404 かしこまりました。 415 00:36:27,525 --> 00:36:31,963 (兵部)千春殿も 少しは 親孝行せい。 416 00:36:31,963 --> 00:37:13,204 ♪♪~ 417 00:37:13,204 --> 00:37:18,592 千春は 重荷でございましたか? 418 00:37:18,592 --> 00:37:21,228 どうかな? 419 00:37:21,228 --> 00:37:25,928 重荷といえば 重荷かな。 420 00:37:27,885 --> 00:37:32,089 お許し下さりませ。 421 00:37:32,089 --> 00:37:36,160 気にかける事もあるまい。 422 00:37:36,160 --> 00:37:40,760 この世は 重荷だらけだ。 423 00:37:57,765 --> 00:38:03,871 神君 家康公は こう仰せになられた。 424 00:38:03,871 --> 00:38:11,971 「人の一生は 重き荷を負うて 遠き道を行くがごとし」。 425 00:38:15,366 --> 00:38:24,175 だがな 遠き道にも よい景色はあろう。 426 00:38:24,175 --> 00:38:30,281 道端には 野の花も咲いていよう。 427 00:38:30,281 --> 00:38:35,870 雨が降れば 傘を差せばよいのだ。 428 00:38:35,870 --> 00:38:43,928 千春は あなたの傘に なりとうございました。 429 00:38:43,928 --> 00:38:49,128 これからは ぬれていかねばならんな。 430 00:39:00,995 --> 00:39:03,697 身の回りのお世話は 誰が? 431 00:39:03,697 --> 00:39:06,200 心配するな。 432 00:39:06,200 --> 00:39:08,803 ♪♪~ 433 00:39:08,803 --> 00:39:12,803 腕がなければ ないなりの生き方がある。 434 00:39:14,909 --> 00:39:17,545 だんだん 慣れてくる。 435 00:39:17,545 --> 00:39:28,272 ♪♪~ 436 00:39:28,272 --> 00:39:34,672 どうか 優しい奥方が 見つかりますように。 437 00:39:36,730 --> 00:39:38,730 千春。 438 00:39:40,751 --> 00:39:42,770 はい。 439 00:39:42,770 --> 00:39:45,439 ♪♪~ 440 00:39:45,439 --> 00:39:51,245 わしが 妻をめとる事は 二度とない。 441 00:39:51,245 --> 00:39:54,031 ♪♪~ 442 00:39:54,031 --> 00:40:00,938 丹下典膳の妻は この世に たった一人だ。 443 00:40:00,938 --> 00:40:05,793 ♪♪~ 444 00:40:05,793 --> 00:40:08,762 あなた…。 445 00:40:08,762 --> 00:41:13,162 ♪♪~ 446 00:41:16,280 --> 00:41:34,580 ♪♪~ 447 00:41:37,451 --> 00:41:39,903 今日から お仲間の丹下様じゃ。 448 00:41:39,903 --> 00:41:43,090 妙な男じゃの。 ヘヘヘ…。 449 00:41:43,090 --> 00:41:46,627 千春殿に ほれてるんでしょう? もういっぺん 婚礼を挙げて→ 450 00:41:46,627 --> 00:41:50,297 一緒になったら どうです? (女)大変です。 安兵衛さんが。 451 00:41:50,297 --> 00:41:52,283 うん? 高田馬場? 452 00:41:52,283 --> 00:41:57,237 ♪♪~ 453 00:41:57,237 --> 00:42:03,394 ♪♪「真夜中過ぎに羽を広げて」 454 00:42:03,394 --> 00:42:10,434 ♪♪「音もなく飛び去った 鳥を見ていた」 455 00:42:10,434 --> 00:42:16,323 ♪♪「眠れぬ夜は なつかしい」 456 00:42:16,323 --> 00:42:22,663 ♪♪「あの歌を胸の中で」 457 00:42:22,663 --> 00:42:29,503 ♪♪「あまりに無力な この手のひら」 458 00:42:29,503 --> 00:42:35,659 ♪♪「憶えているあの冷たさはまだ」 459 00:42:35,659 --> 00:42:41,699 ♪♪「消えない 胸の奥を」 460 00:42:41,699 --> 00:42:51,008 ♪♪「えぐるよな 痛みはまだ止まらない」 461 00:42:51,008 --> 00:42:57,481 ♪♪「悲しみの叫びよ 静まれ」 462 00:42:57,481 --> 00:43:04,054 ♪♪「自らを傷つける刃を」 463 00:43:04,054 --> 00:43:10,494 ♪♪「心の闇に捨ててしまえ」 464 00:43:10,494 --> 00:43:16,817 ♪♪「生まれ持った優しさで」 465 00:43:16,817 --> 00:43:24,417 ♪♪~