1 00:00:04,087 --> 00:00:04,921 (ダリューン) ナルサス! 2 00:00:06,423 --> 00:00:08,550 俺だ ダリューンだ 3 00:00:08,675 --> 00:00:09,968 (アルスラーン)んっ 4 00:00:15,098 --> 00:00:15,932 あ… 5 00:00:18,143 --> 00:00:21,938 (ナルサス)名乗る必要はない 騒々しいやつめ 6 00:00:22,647 --> 00:00:23,857 (ナルサス) お主の声は― 7 00:00:23,982 --> 00:00:25,567 1ファルサングも 遠くから― 8 00:00:25,692 --> 00:00:27,694 聞こえておったぞ 9 00:00:28,570 --> 00:00:29,821 (ダリューン)フッ 10 00:00:31,239 --> 00:00:34,200 (ナルサス)ちょうど筆が 乗ってきたところだというのに― 11 00:00:34,325 --> 00:00:37,328 よくも邪魔をしてくれたな ダリューン 12 00:00:37,704 --> 00:00:40,498 おお それは よいことをした 13 00:00:40,623 --> 00:00:43,084 がらくたな絵が世に出るのを 阻止してやったぞ 14 00:00:43,543 --> 00:00:45,837 褒めてもらおう (ナルサス)何を! 15 00:00:45,962 --> 00:00:47,213 (アルスラーン)はぁ… 16 00:00:56,681 --> 00:00:58,475 こちらは… (アルスラーン)ナルサス 17 00:00:58,600 --> 00:01:01,269 アンドラゴラス王の子 アルスラーンだ 18 00:01:02,062 --> 00:01:04,397 お主のうわさは ダリューンから聞いている 19 00:01:05,065 --> 00:01:10,028 今は 一介の隠者にすぎませぬよ アルスラーン殿下 20 00:01:11,446 --> 00:01:16,451 ♪~ 21 00:02:35,947 --> 00:02:40,952 ~♪ 22 00:02:46,082 --> 00:02:47,250 (ナルサス)エラム! 23 00:02:47,375 --> 00:02:50,420 ご苦労だが お客様に食事の用意をしてくれ 24 00:02:50,545 --> 00:02:51,713 (エラム)はい 25 00:02:52,171 --> 00:02:54,382 (ナルサス) どうぞ アルスラーン殿下 26 00:02:54,507 --> 00:02:57,135 大したもてなしも できませぬが 27 00:02:57,260 --> 00:02:58,553 世話になる 28 00:03:00,555 --> 00:03:01,556 えっ!? 29 00:03:02,265 --> 00:03:03,683 見てはなりませぬ 30 00:03:04,017 --> 00:03:05,935 これが… 絵? 31 00:03:07,145 --> 00:03:08,187 どうなさいました? 32 00:03:08,563 --> 00:03:11,983 (アルスラーン)はっ は… いや すごいものを見て… あっ ああ! 33 00:03:12,108 --> 00:03:13,192 殿下! 34 00:03:16,988 --> 00:03:18,114 (ナルサス)さあ どうぞ 35 00:03:18,907 --> 00:03:21,367 温かいうちに お召し上がりください 36 00:03:21,868 --> 00:03:23,369 では ありがたく 37 00:03:27,165 --> 00:03:27,999 うまい 38 00:03:33,546 --> 00:03:36,132 お前が宮廷を去って 3年になるな 39 00:03:36,925 --> 00:03:38,509 もう そんなになるか 40 00:03:39,219 --> 00:03:40,637 宮廷にいたのか? 41 00:03:41,179 --> 00:03:44,974 はい 書記官として お仕えしておりました 42 00:03:45,099 --> 00:03:49,145 こやつは 大層な奇策で パルスを救ったことがあるのです 43 00:03:49,562 --> 00:03:52,023 ほう どのような策だ? 44 00:03:53,733 --> 00:03:56,903 もう 昔の話です 45 00:04:00,114 --> 00:04:02,283 (ナルサス) 今から5年前のことです 46 00:04:02,951 --> 00:04:07,914 トゥラーン シンドゥラ チュルクの3国が同盟を結び― 47 00:04:08,039 --> 00:04:10,250 パルスに攻め込んだのです 48 00:04:11,000 --> 00:04:13,002 (領主)敵は50万とな 49 00:04:13,127 --> 00:04:15,922 (領主)こちらの損害も かなりのものになろうな 50 00:04:17,465 --> 00:04:20,677 (ナルサス)急死した父に代わり 参上いたしました 51 00:04:21,135 --> 00:04:23,054 (アンドラゴラス三世) 息子のナルサスか 52 00:04:23,179 --> 00:04:24,347 お主の父は― 53 00:04:24,472 --> 00:04:28,351 5,000の騎兵を率いて駆けつけると 申しておったではないか 54 00:04:28,476 --> 00:04:31,980 それが半数にも 満たないとは… 55 00:04:32,105 --> 00:04:34,816 よく この王の前に 顔が出せたな 56 00:04:35,441 --> 00:04:38,778 実は我が家の奴隷を 全て解放いたしまして 57 00:04:38,903 --> 00:04:40,280 (アンドラゴラス三世)何!? 58 00:04:40,405 --> 00:04:42,073 そのため歩兵がなくなりました 59 00:04:42,615 --> 00:04:44,325 騎兵が少ないのは? 60 00:04:44,951 --> 00:04:47,996 あきれ果てて 私の元を去ってしまいました 61 00:04:48,121 --> 00:04:51,082 (領主たちの笑い声) (アンドラゴラス三世)さもあらん 62 00:04:52,458 --> 00:04:54,836 陛下! お望みとあれば― 63 00:04:54,961 --> 00:04:59,215 私の策をもって 3か国同盟を 退散させてご覧に入れます 64 00:04:59,632 --> 00:05:01,259 大層な口を… 65 00:05:01,384 --> 00:05:03,970 どうせ 兵の10万もよこせと 言うのだろう 66 00:05:05,638 --> 00:05:06,973 1兵も いりません 67 00:05:16,065 --> 00:05:18,234 (アンドラゴラス三世) うん… 任せよう 68 00:05:18,359 --> 00:05:19,193 (領主たちのどよめき) 69 00:05:19,319 --> 00:05:20,653 (ナルサス)ありがたき幸せ 70 00:05:20,778 --> 00:05:22,113 (側近)陛下! 71 00:05:22,822 --> 00:05:26,159 何 信用したわけではない 72 00:05:26,284 --> 00:05:31,289 失敗したときの面を 拝んでやろうと思ってな 73 00:05:33,249 --> 00:05:37,628 (ダリューン)その日 ナルサスは 部下を伴って姿を消してしまい― 74 00:05:38,546 --> 00:05:40,506 3日ほどで戻ってくると― 75 00:05:40,757 --> 00:05:42,383 あきれたことに こやつは― 76 00:05:43,051 --> 00:05:47,055 2,000人の捕虜を 全員逃がしてしまったのです 77 00:05:47,638 --> 00:05:49,390 (武将) どういうことか? ナルサス殿! 78 00:05:49,891 --> 00:05:53,394 我々が どれだけ苦労して あいつらを捕らえたと思っている? 79 00:05:53,519 --> 00:05:54,520 (武将)説明せよ! 80 00:05:57,398 --> 00:05:59,317 くっ! 決闘だ! 81 00:05:59,442 --> 00:06:02,528 (武将たち)うおー! 82 00:06:03,654 --> 00:06:05,406 (武将)うおっ うおーっ! 83 00:06:05,782 --> 00:06:06,824 えーい! 84 00:06:08,034 --> 00:06:10,036 うっ ううっ 85 00:06:10,453 --> 00:06:12,663 仲間割れしている場合か! 86 00:06:12,789 --> 00:06:15,249 今夜のうちに 3国同盟は崩れ去る 87 00:06:15,374 --> 00:06:16,793 (武将たちのどよめき) 88 00:06:17,168 --> 00:06:20,296 我らも総攻撃の準備を! 89 00:06:23,549 --> 00:06:26,385 (ダリューン) その夜 ナルサスの言葉どおり― 90 00:06:26,511 --> 00:06:30,515 3か国同盟軍は 激烈な同士討ちをしました 91 00:06:31,307 --> 00:06:35,019 それに乗じて 我が軍は 敵を潰走させ… 92 00:06:35,144 --> 00:06:39,190 (兵士たちの雄たけび) 93 00:06:39,315 --> 00:06:41,025 (ダリューン)パルス騎兵隊は― 94 00:06:41,150 --> 00:06:43,820 大陸に その名を とどろかせることになったのです 95 00:06:46,447 --> 00:06:48,199 どのような策を弄(ろう)したんだ? 96 00:06:48,908 --> 00:06:52,829 “一片の流言は10万の兵に勝る” と申します 97 00:06:53,412 --> 00:06:55,915 流言をばらまいていたのです 98 00:06:56,833 --> 00:06:58,668 チュルク軍に対しては― 99 00:06:58,793 --> 00:07:02,213 〝シンドゥラは裏切って パルスに通じている 〞 100 00:07:02,338 --> 00:07:03,172 〝その証拠に― 〞 101 00:07:03,297 --> 00:07:05,967 〝シンドゥラの捕虜は 全員解放される 〞 102 00:07:07,343 --> 00:07:09,720 トゥラーン軍に関しては 〝チュルク軍は― 〞 103 00:07:09,846 --> 00:07:12,473 〝パルス軍と 結託している 〞と 104 00:07:12,932 --> 00:07:14,350 シンドゥラの 捕虜には― 105 00:07:14,851 --> 00:07:15,726 〝講和を 嗅ぎつけた― 〞 106 00:07:15,852 --> 00:07:17,270 〝トゥラーンと チュルクが― 〞 107 00:07:17,395 --> 00:07:18,646 〝シンドゥラを 攻撃する 〞と― 108 00:07:18,771 --> 00:07:21,023 かたって 解放しました 109 00:07:22,233 --> 00:07:25,611 かくして 3か国同盟は疑心暗鬼となり― 110 00:07:25,736 --> 00:07:27,572 内部崩壊したのです 111 00:07:27,697 --> 00:07:31,117 (アルスラーン) ほう 大した策士だな 112 00:07:34,370 --> 00:07:37,123 おかげで人心地ついた 礼を言う 113 00:07:37,540 --> 00:07:40,001 礼には及びません 殿下 114 00:07:40,126 --> 00:07:42,712 私は 先ほどお話しした奇策で― 115 00:07:42,837 --> 00:07:46,632 お父君から 1万枚もの金貨を頂きました 116 00:07:46,757 --> 00:07:50,303 今日の食卓は 銀貨1枚にも及びませんよ 117 00:07:51,179 --> 00:07:56,809 さて 大体の事情は分かっているが 詳しく話を聞こう 118 00:07:57,977 --> 00:08:00,771 アトロパテネで 我が軍は惨敗したのだな? 119 00:08:02,148 --> 00:08:04,650 カーラーンが… 裏切った 120 00:08:05,109 --> 00:08:11,199 ん… 濠(ごう)と柵と火と霧と 裏切り者も使う 121 00:08:11,908 --> 00:08:13,910 どうやら ルシタニアの蛮族どもにも― 122 00:08:14,035 --> 00:08:15,828 知恵者がいるようだな 123 00:08:15,953 --> 00:08:16,996 そうだ 124 00:08:17,121 --> 00:08:20,291 そこで 殿下のために お主の知恵を借りたいのだ 125 00:08:21,709 --> 00:08:26,255 ダリューン せっかくだが 今更 浮世と縁を持つ気はない 126 00:08:26,380 --> 00:08:29,133 しかし 山奥で 下手な絵を 描き散らしているより― 127 00:08:29,258 --> 00:08:31,469 はるかに ましだろう! (ナルサス)うっ! 128 00:08:32,094 --> 00:08:35,223 この男を信用なさっては いけませんぞ 殿下 129 00:08:35,348 --> 00:08:37,266 こいつは 戦士の中の戦士(マルダーンフ・マルダーン)で― 130 00:08:37,391 --> 00:08:39,477 ものの道理も よく わきまえておりますが― 131 00:08:39,727 --> 00:08:41,938 芸術を理解する心を持ちません! 132 00:08:42,063 --> 00:08:44,732 何が芸術だ! お主のは… 133 00:08:45,900 --> 00:08:49,320 芸術は永遠 興亡は一瞬 134 00:08:53,115 --> 00:08:54,825 (2人)ああ… あ… 135 00:08:55,076 --> 00:08:58,829 フッ フフ… はぁ… 136 00:08:59,372 --> 00:09:03,334 一瞬が 今 このときとすれば 手をこまねいては いられない 137 00:09:05,378 --> 00:09:08,839 どうか ナルサス お主の考えを聞かせてほしい 138 00:09:09,674 --> 00:09:13,094 さて 考えと言われましても… 139 00:09:15,972 --> 00:09:20,434 殿下 今更 申し上げるのも 詮なきことながら― 140 00:09:20,560 --> 00:09:24,105 父王陛下は 奴隷制度を 廃止なさるべきだったのです 141 00:09:24,230 --> 00:09:26,107 (アルスラーン)あっ (ダリューン)う… 142 00:09:30,278 --> 00:09:35,241 このような考えゆえ 私は父王に 大層 嫌われてしまいました 143 00:09:35,741 --> 00:09:41,122 あ… それなら 私もダリューンも 父上に嫌われておる 144 00:09:41,247 --> 00:09:43,749 どうせなら 仲良く嫌われようではないか 145 00:09:51,173 --> 00:09:55,261 誠に非礼かと存じますが お約束はできません 146 00:09:55,386 --> 00:09:57,388 ただ ここにおいでの間は― 147 00:09:57,513 --> 00:10:00,016 できるだけの お世話をさせていただきます 148 00:10:00,474 --> 00:10:03,227 ん… 分かった 149 00:10:03,561 --> 00:10:05,396 無理を言って すまなかった 150 00:10:27,084 --> 00:10:30,212 (ダリューン)俺がセリカに 使者団の護衛で行っている間に― 151 00:10:30,630 --> 00:10:34,342 王宮から追放されているとはな ナルサス 152 00:10:34,675 --> 00:10:37,219 どうだ? セリカに いい女はいたか? 153 00:10:37,678 --> 00:10:40,306 ナルサス (ナルサス)フッ… 154 00:10:41,140 --> 00:10:45,895 アンドラゴラス王は戦には強いが 政治を軽んじすぎる 155 00:10:46,020 --> 00:10:47,480 アトロパテネも そうだ 156 00:10:48,230 --> 00:10:53,110 己の強さを過信し 戦法を軽んじた結果が これだ 157 00:10:53,235 --> 00:10:57,990 うん 殿下には 王のてつを 踏んでほしくはないものだな 158 00:10:58,574 --> 00:11:00,201 どうだ? ダリューン 159 00:11:00,326 --> 00:11:03,245 お前から見て アルスラーン殿下という人物は 160 00:11:04,580 --> 00:11:07,625 こたびは 置き去りにした兵を気にかけ― 161 00:11:07,750 --> 00:11:09,418 落ち込んでおられた 162 00:11:09,543 --> 00:11:13,506 カーラーンの裏切りにも 怒りより悲しみが勝ったようだ 163 00:11:14,131 --> 00:11:18,511 繊細で優しい方だ だが そこが心配だ 164 00:11:21,097 --> 00:11:23,641 伯父上も そんな殿下を心配してか― 165 00:11:23,766 --> 00:11:26,769 俺に “殿下個人に忠誠を尽くせ”と 166 00:11:27,311 --> 00:11:28,646 ヴァフリーズ殿が? 167 00:11:29,522 --> 00:11:32,024 (ダリューン) うん あの言い方は引っかかる 168 00:11:32,942 --> 00:11:35,861 タハミーネ王妃に あれほど甘い王が― 169 00:11:35,986 --> 00:11:38,030 殿下には妙に冷たくてな 170 00:11:38,739 --> 00:11:43,411 王妃も 自分の息子なのに 殿下を遠ざけているかのようだ 171 00:11:44,995 --> 00:11:46,997 納得いかぬよ 172 00:12:04,056 --> 00:12:07,143 (アルスラーン)あ… はぁ… 173 00:12:09,353 --> 00:12:10,604 あ… 174 00:12:14,275 --> 00:12:15,109 あっ 175 00:12:28,956 --> 00:12:30,207 エラム 176 00:12:30,624 --> 00:12:33,419 (エラム) おはようございます 殿下 177 00:12:35,796 --> 00:12:38,048 何か手伝いをさせてくれ 178 00:12:38,340 --> 00:12:40,301 これを並べ… あ… ああっ 179 00:12:41,635 --> 00:12:43,095 すまない! 180 00:12:45,681 --> 00:12:47,892 どうか お手を出されませぬよう 181 00:12:48,017 --> 00:12:49,185 手伝いには及びません 182 00:12:49,643 --> 00:12:52,438 あ… すまぬ 183 00:12:55,316 --> 00:12:58,736 手慣れたものだな 私には とても… 184 00:12:59,862 --> 00:13:02,948 (エラム)長いこと ナルサス様に仕えておりますから 185 00:13:04,783 --> 00:13:07,161 1つ聞かせてくれぬか? 186 00:13:07,661 --> 00:13:11,081 エラムの両親は 奴隷から解放されたのだったな 187 00:13:11,582 --> 00:13:12,791 (エラム)はい 188 00:13:13,209 --> 00:13:16,420 前領主 テオス様が お亡くなりになり― 189 00:13:16,545 --> 00:13:19,215 ナルサス様が 相続なされたときのことです 190 00:13:20,549 --> 00:13:23,344 全ての奴隷を 解放してくださいました 191 00:13:23,844 --> 00:13:25,804 ならば 自由の身であろう 192 00:13:25,930 --> 00:13:28,682 なぜ いつまでも ナルサスの下におるのだ? 193 00:13:30,226 --> 00:13:32,853 私の意思で おそばにおります 194 00:13:33,395 --> 00:13:34,355 (アルスラーン)あ… 195 00:13:39,276 --> 00:13:41,862 (ルシタニアの少年兵) 人は皆 平等だ! 196 00:13:44,823 --> 00:13:48,285 やはり 奴隷は解放すべきなのだろうか? 197 00:13:52,373 --> 00:13:54,959 (エラム) ご自分で お考えなさいませ 198 00:14:07,721 --> 00:14:10,558 見覚えがある カーラーンの部下だ 199 00:14:11,141 --> 00:14:12,268 ほう 200 00:14:12,393 --> 00:14:16,146 お前を捜して ここへ来るとは いい読みをしている 201 00:14:16,814 --> 00:14:19,149 カーラーンは よく部下をしつけているな 202 00:14:19,650 --> 00:14:24,113 おっ! 今まで聞くのを 忘れていたが ダリューン 203 00:14:24,446 --> 00:14:27,324 ここに来るのに どの道をたどってきた? 204 00:14:27,449 --> 00:14:28,284 (ダリューン)フッ 205 00:14:28,617 --> 00:14:32,288 お前! さては カーラーンの 城の近くを通ったな! 206 00:14:32,788 --> 00:14:34,164 この悪党め 207 00:14:34,290 --> 00:14:37,793 最初から 俺を巻き込むつもりで わざと やつらの目に付く道を… 208 00:14:37,918 --> 00:14:42,798 ナルサス ひとえに お前の知略を尊しとすればこそだ 209 00:14:43,465 --> 00:14:46,844 こうなったからには 芸術とやらは諦めて― 210 00:14:46,969 --> 00:14:50,472 殿下に お仕えするのだな フフフ… 211 00:14:50,598 --> 00:14:51,807 くっ! う~ん 212 00:15:05,738 --> 00:15:09,992 (カーラーンの部下)先年まで ダイラムの領主であったナルサス卿 213 00:15:10,117 --> 00:15:11,911 それに相違ありませんな? 214 00:15:12,411 --> 00:15:14,663 今は 一介の隠者にすぎぬ 215 00:15:15,289 --> 00:15:16,790 ナルサス卿ですな? 216 00:15:17,291 --> 00:15:20,669 さよう ナルサスに相違ないが 217 00:15:21,378 --> 00:15:23,339 当方が名乗ったからには― 218 00:15:23,464 --> 00:15:26,884 そちらも 身分を 明らかになさるべきではないかな 219 00:15:27,009 --> 00:15:29,762 うっ… 失礼いたした 220 00:15:29,887 --> 00:15:34,391 我らは 大将軍(エーラーン) カーラーン様の き下の者でござる 221 00:15:35,267 --> 00:15:37,019 (アルスラーン)何を言っている? 222 00:15:37,144 --> 00:15:38,646 父上の即位以来― 223 00:15:38,771 --> 00:15:41,690 大将軍といえば ヴァフリーズ1人だけだ 224 00:15:42,399 --> 00:15:46,695 (ナルサス) 大将軍 カーラーンとは 韻を踏んだ よき呼称ですな 225 00:15:47,154 --> 00:15:50,074 しかし 私が宮廷を退いたとき― 226 00:15:50,199 --> 00:15:53,953 この国の大将軍“エーラーン”は ヴァフリーズ老であったが 227 00:15:54,870 --> 00:15:57,581 老は引退でもなさったのか? 228 00:15:59,083 --> 00:16:01,210 ヴァフリーズ老人は死んだ 229 00:16:01,460 --> 00:16:02,962 (アルスラーン)はっ! (ダリューン)あっ! 230 00:16:03,420 --> 00:16:05,047 (部下)今頃 あの しわ首は― 231 00:16:05,172 --> 00:16:08,092 エクバターナの城門の前に さらされて― 232 00:16:08,217 --> 00:16:12,346 ひび割れた口で 城内の者どもに 降伏を勧めておろうよ 233 00:16:12,680 --> 00:16:14,598 (ダリューン)くっ… くう… (物音) 234 00:16:15,015 --> 00:16:16,100 (部下たち)ん? 235 00:16:16,433 --> 00:16:17,601 (ダリューン)はっ… 236 00:16:19,395 --> 00:16:20,604 何の音で? 237 00:16:21,105 --> 00:16:23,148 野ねずみでしょうよ 238 00:16:23,273 --> 00:16:27,361 ところで 朝からのご来訪は 何が目的ですかな? 239 00:16:28,237 --> 00:16:31,782 敗軍の将のアルスラーンと ダリューンの両人が― 240 00:16:31,907 --> 00:16:35,077 この山に逃げ込んだとの 証言がござる 241 00:16:35,202 --> 00:16:36,120 ご存じで? 242 00:16:36,745 --> 00:16:39,206 さて とんと知らぬ 243 00:16:39,707 --> 00:16:41,709 敗軍の将とおっしゃるが― 244 00:16:41,834 --> 00:16:44,545 そもそも ダリューンが負けるはずがない 245 00:16:44,670 --> 00:16:47,006 よほど卑劣な裏切りでも 遭わぬかぎり 246 00:16:47,214 --> 00:16:49,550 (部下)ええっ この! うっ! 247 00:16:49,675 --> 00:16:51,260 どうですかな? 248 00:16:51,385 --> 00:16:53,679 あの足手まといな 王子をかばって― 249 00:16:53,804 --> 00:16:56,974 戦局を見誤ったかもしれませんぞ 250 00:16:58,600 --> 00:17:01,895 実は もう1つ 用件がございましてな 251 00:17:02,021 --> 00:17:02,896 (ナルサス)何ですか? 252 00:17:03,731 --> 00:17:06,567 我らが大将軍 カーラーン公は― 253 00:17:06,692 --> 00:17:10,529 ナルサス卿を き下に加えたく お考えでござる 254 00:17:10,654 --> 00:17:14,324 貴公の知略に加え 剣名も また一流と― 255 00:17:14,450 --> 00:17:16,660 高く評価しておられるのですが 256 00:17:17,202 --> 00:17:18,203 フン 257 00:17:18,579 --> 00:17:22,166 もし 私が カーラーン公の き下となった暁には― 258 00:17:22,291 --> 00:17:24,418 何を保障してくださるのかな? 259 00:17:24,960 --> 00:17:28,964 イアルダボート教の 信徒としての権利の全て 260 00:17:29,089 --> 00:17:32,926 それに 返上なさった ダイラム領主権の回復を 261 00:17:33,510 --> 00:17:35,054 ご返答は いかに? 262 00:17:36,930 --> 00:17:39,308 この場で返答せねばならぬかな? 263 00:17:39,808 --> 00:17:41,060 是非とも 264 00:17:45,439 --> 00:17:46,523 (ナルサス)では 帰って― 265 00:17:46,648 --> 00:17:48,317 カーラーンの犬めに 伝えてもらおう! 266 00:17:48,650 --> 00:17:49,318 (部下たちのどよめき) 267 00:17:49,318 --> 00:17:51,195 (部下たちのどよめき) 268 00:17:49,318 --> 00:17:51,195 “腐肉は1人で食え! ナルサスには まずすぎる”とな 269 00:17:51,195 --> 00:17:53,072 “腐肉は1人で食え! ナルサスには まずすぎる”とな 270 00:17:53,405 --> 00:17:54,448 貴様! 271 00:17:54,573 --> 00:17:56,241 (部下たち)うおーっ! 272 00:17:57,242 --> 00:17:59,787 (部下たちの叫び声) 273 00:17:59,912 --> 00:18:02,331 (部下たち)な… 何だ? 274 00:18:02,831 --> 00:18:03,791 バカめ 275 00:18:03,916 --> 00:18:08,087 (部下たちのうめき声) 276 00:18:08,212 --> 00:18:09,046 出せ! 277 00:18:09,171 --> 00:18:10,422 (部下)ひきょうだぞ! 278 00:18:10,547 --> 00:18:12,174 (部下たちのうめき声) 279 00:18:12,299 --> 00:18:15,844 (ダリューン)こやつらは はい上がってくるだろうか? 280 00:18:15,969 --> 00:18:18,847 (ナルサス) これくらいの高さがあれば問題ない 281 00:18:18,972 --> 00:18:21,600 さて どう役に立ててやろうか? 282 00:18:22,017 --> 00:18:23,602 (部下)出すのだ! 283 00:18:24,269 --> 00:18:26,605 殺気を飛ばしすぎだ ダリューン 284 00:18:28,357 --> 00:18:29,566 すまん 285 00:18:31,652 --> 00:18:34,863 (アルスラーン) いつも 稽古をつけてくれたのだ 286 00:18:36,406 --> 00:18:39,034 ヴァフリーズが 鍛えてくれなければ― 287 00:18:39,326 --> 00:18:42,371 私は アトロパテネで死んでいた 288 00:18:43,038 --> 00:18:47,709 なのに… 私は いつも愚痴ばかりを… 289 00:18:49,962 --> 00:18:51,004 (ヴァフリーズ)殿下 290 00:18:51,130 --> 00:18:53,882 ご自身の身は ご自分でお守りください 291 00:18:54,341 --> 00:18:55,801 分かっておる 292 00:18:55,926 --> 00:18:58,762 だが こう毎日 剣の稽古では 身がもたぬ 293 00:18:59,304 --> 00:19:01,431 戦が長きにわたっても― 294 00:19:01,557 --> 00:19:04,226 今のような言葉を おっしゃるつもりか? 295 00:19:07,354 --> 00:19:09,231 (アルスラーン)ヴァフリーズ… 296 00:19:09,356 --> 00:19:12,609 (アルスラーンのすすり泣き) 297 00:19:12,734 --> 00:19:16,071 いや 忘れていた 朝食だ 298 00:19:16,196 --> 00:19:18,991 まずは腹ごしらえといきましょう 299 00:19:26,081 --> 00:19:27,416 (アルスラーン)結局― 300 00:19:27,541 --> 00:19:30,961 私は他人の助けや奉仕を 受けるばかりで― 301 00:19:31,086 --> 00:19:33,046 誰の役にも立っていない 302 00:19:38,385 --> 00:19:39,261 あっ 303 00:19:41,388 --> 00:19:42,264 (部下)あっ! 304 00:19:42,389 --> 00:19:45,559 (部下たちのどよめき) 305 00:19:45,684 --> 00:19:49,938 ナルサス様 お皿を 粗末になさらないでください 306 00:19:50,063 --> 00:19:51,607 すまん すまん 307 00:19:51,732 --> 00:19:53,025 (エラム)もう… ん… 308 00:19:55,194 --> 00:19:59,781 お食事が進まないようですが 何か他のものを作りましょうか? 309 00:20:00,199 --> 00:20:04,578 いや エラム もう十分だ ありがとう 310 00:20:04,703 --> 00:20:07,372 こいつに 何かしてやる必要はないぞ 311 00:20:07,497 --> 00:20:08,790 この悪党のおかげで― 312 00:20:08,916 --> 00:20:12,961 新しい隠れがを 探さなくてはならないのだからな 313 00:20:13,086 --> 00:20:15,088 (ダリューン) だから 世捨て人などやめて― 314 00:20:15,214 --> 00:20:16,715 殿下にお仕えすればよい 315 00:20:16,840 --> 00:20:20,928 黙れ 裏切り者! 俺は平和と芸術に生きたいのだ 316 00:20:21,553 --> 00:20:22,763 (ダリューン)はぁ… 317 00:20:23,597 --> 00:20:24,431 (アルスラーン)ナルサス! 318 00:20:26,433 --> 00:20:28,268 私からも頼む 319 00:20:28,393 --> 00:20:30,812 ダリューンと共に私を助けてくれ 320 00:20:32,064 --> 00:20:34,066 ありがたいお言葉ですが… 321 00:20:34,524 --> 00:20:36,151 では こうしよう 322 00:20:36,276 --> 00:20:41,406 私は お主の忠誠を求める代わりに 十分な代償を支払う 323 00:20:41,531 --> 00:20:45,744 (ナルサス)代償… 父王のように 金貨でもくださると? 324 00:20:45,869 --> 00:20:49,957 いや 金で お主の忠誠心が買えるとは思わぬ 325 00:20:51,291 --> 00:20:54,461 すると 地位ですか? 宰相とか 326 00:20:54,586 --> 00:20:55,712 (アルスラーン)そうではない 327 00:20:56,922 --> 00:21:01,468 私が ルシタニアを追い払い パルスの国王になった暁には… 328 00:21:04,638 --> 00:21:08,767 ナルサス卿 お主を宮廷画家として迎えよう 329 00:21:09,393 --> 00:21:12,396 (ナルサス)あっ! はぁ… 330 00:21:12,854 --> 00:21:14,022 (エラム・ダリューン)なっ 331 00:21:14,439 --> 00:21:17,067 (ナルサス)フフフフ フフフ… 332 00:21:17,192 --> 00:21:18,360 (エラム・ダリューン)あ… 333 00:21:18,860 --> 00:21:22,739 (ナルサス)フフフ… 気に入った 334 00:21:22,864 --> 00:21:24,491 なかなか どうして 335 00:21:24,950 --> 00:21:27,286 どうだ! 聞いたか? ダリューン 336 00:21:27,411 --> 00:21:29,997 殿下の この君主としての度量 337 00:21:30,122 --> 00:21:35,210 芸術に縁のない 惨めな お主の 心性の豊かさにおいて 雲泥の差 338 00:21:35,335 --> 00:21:37,254 ほっておいてもらおう 339 00:21:37,379 --> 00:21:38,547 どうせ惨めなら― 340 00:21:38,672 --> 00:21:41,508 せめて お主の芸術とぐらいは 無縁でいたい 341 00:21:41,633 --> 00:21:44,720 殿下 ナルサスを 宮廷画家になさるなど― 342 00:21:44,845 --> 00:21:48,140 パルスの文化史上に 汚点を残すことになりますぞ 343 00:21:48,765 --> 00:21:50,267 いいではないか 344 00:21:50,392 --> 00:21:54,604 私は ルシタニアの高名な画家に 死に顔を描かれるより― 345 00:21:54,730 --> 00:21:57,274 ナルサスに 生きた姿を描いてもらいたい 346 00:21:58,025 --> 00:21:59,776 お主も そうだろ? 347 00:22:01,069 --> 00:22:03,947 殿下! ダリューンは死ぬのも嫌だが― 348 00:22:04,072 --> 00:22:08,201 私に肖像を描かれるのも嫌という ところらしゅうございますな 349 00:22:10,245 --> 00:22:12,164 ですが 私の名は― 350 00:22:12,289 --> 00:22:14,958 アンドラゴラス王の きいに触れるところ 351 00:22:15,083 --> 00:22:17,961 殿下が ご不興を被ることも ありえますが― 352 00:22:18,086 --> 00:22:19,588 それでも よろしいですか? 353 00:22:20,589 --> 00:22:21,590 無論 354 00:22:31,641 --> 00:22:32,476 (ナルサス)分かりました 355 00:22:33,310 --> 00:22:35,145 このナルサス― 356 00:22:35,270 --> 00:22:39,608 アルスラーン殿下に お仕えいたします 357 00:22:43,570 --> 00:22:48,575 ♪~ 358 00:24:07,946 --> 00:24:12,951 ~♪ 359 00:24:14,035 --> 00:24:16,037 (ナレーション) 今や旅人の群れは絶え― 360 00:24:16,163 --> 00:24:19,040 玉座に 国王アンドラゴラスの姿はなく― 361 00:24:19,166 --> 00:24:21,209 不安の雲が王都を包んでいる 362 00:24:21,668 --> 00:24:22,711 次回… 363 00:24:25,005 --> 00:24:27,966 少年は そして王となる