1 00:00:01,235 --> 00:00:04,805 ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ…! 2 00:00:04,805 --> 00:00:07,708 ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ➡ 3 00:00:07,708 --> 00:00:11,612 ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ…! 4 00:00:13,380 --> 00:00:17,584 ハァッ ハァッ ハァッ… ハァッ…! 5 00:00:17,584 --> 00:00:19,820 (獣の息遣い) っ…!あぁ…! 6 00:00:19,820 --> 00:00:21,822 うっ…!あっ…。 7 00:00:24,324 --> 00:00:26,260 …っ!ぁ あ…。 8 00:00:26,260 --> 00:00:28,195 うわっ…! (二人)うわぁああ! 9 00:00:28,195 --> 00:00:30,197 うっ! 10 00:00:30,197 --> 00:00:32,966 うぅ… っ! 11 00:00:32,966 --> 00:00:34,968 雪雉! 12 00:00:34,968 --> 00:00:37,905 っ…。 13 00:00:37,905 --> 00:00:40,207 雪雉! 雪雉! 14 00:00:41,975 --> 00:00:44,177 …ハッ⁉ 15 00:00:49,316 --> 00:00:51,652 っ…! 16 00:00:51,652 --> 00:00:53,654 あぁ! 17 00:01:06,233 --> 00:01:08,702 た… 助けて…! 18 00:01:08,702 --> 00:01:11,738 助けてください! 弟を助けて…! 19 00:01:11,738 --> 00:01:14,474 お願いします 僕の命はいりません! 20 00:01:14,474 --> 00:01:16,476 だから どうか…! 21 00:01:18,245 --> 00:01:21,048 (嗚咽) 22 00:01:26,053 --> 00:01:28,055 …っ! 23 00:01:33,627 --> 00:01:36,129 金の 烏…? 24 00:01:41,969 --> 00:01:46,707 案ずるな。 二人とも親元へ帰す。 25 00:01:46,707 --> 00:01:51,111 いずれまた 会う時もあろう。 26 00:01:51,111 --> 00:01:54,414 今は忘れて 眠るがいい。 27 00:02:19,172 --> 00:02:22,709 <三本の足を持つ この異形の鳥は➡ 28 00:02:22,709 --> 00:02:27,681 ある時より 人の姿となって大地に降り立つと➡ 29 00:02:27,681 --> 00:02:32,819 田畑を耕し 町を築いていった。➡ 30 00:02:32,819 --> 00:02:37,424 「八咫烏」たちの長は「金烏」と呼ばれる。➡ 31 00:02:37,424 --> 00:02:41,895 金烏は「山内」の最高権力者であり➡ 32 00:02:41,895 --> 00:02:46,700 その地位は 親から子へと代々引き継がれる。➡ 33 00:02:46,700 --> 00:02:50,971 金烏は永きにわたり よく民を治め➡ 34 00:02:50,971 --> 00:02:54,307 山内に繁栄をもたらしてきた。➡ 35 00:02:54,307 --> 00:02:58,745 しかし それはまた 玉座に群がる者たちの➡ 36 00:02:58,745 --> 00:03:02,349 権謀術数の歴史でもあった。➡ 37 00:03:02,349 --> 00:03:07,487 その最たるものが 皇太子ーー 若宮の后を選ぶ➡ 38 00:03:07,487 --> 00:03:09,790 「登殿」である。➡ 39 00:03:09,790 --> 00:03:13,660 未来の金烏の妻という たった一つの座を➡ 40 00:03:13,660 --> 00:03:16,863 貴族の姫たちが奪い合う。➡ 41 00:03:16,863 --> 00:03:20,834 まさに 家を背負った熾烈な戦いの幕が➡ 42 00:03:20,834 --> 00:03:24,538 今 切って落とされようとしていた> 43 00:03:29,409 --> 00:03:32,312 「あせび」…ではどうだ? 44 00:03:32,312 --> 00:03:34,981 …あせ び? 45 00:03:34,981 --> 00:03:36,950 そなたの仮名だ。 46 00:03:36,950 --> 00:03:39,186 …? 47 00:03:39,186 --> 00:03:43,423 いやしくも 若宮の妻になるやもしれぬ姫が➡ 48 00:03:43,423 --> 00:03:46,827 名無しの二の姫では おかしいであろう。➡ 49 00:03:46,827 --> 00:03:50,997 それとも 妾の名付けでは不満かえ? 50 00:03:50,997 --> 00:03:53,834 っ! と とんでもない! 51 00:03:53,834 --> 00:03:58,672 皇后さまより直々に… 身に余る光栄にございます! 52 00:03:58,672 --> 00:04:01,041 あら まあ…。 あせびですって。 53 00:04:01,041 --> 00:04:04,978 皇后さまも おたわむれが過ぎますわ。 お分かりになってないのかしら…。 54 00:04:04,978 --> 00:04:09,349 では決まりだな あせびの君。➡ 55 00:04:09,349 --> 00:04:12,552 春殿を頼んだぞ。 56 00:04:12,552 --> 00:04:15,155 は はい! 57 00:04:15,155 --> 00:04:19,793 おめでとうございます。 本日 登殿の儀をもちまして➡ 58 00:04:19,793 --> 00:04:24,197 皆さまは正式に 若宮殿下の后候補となられました。 59 00:04:38,612 --> 00:04:43,016 しかし最終的に選ばれますのは お一方のみ。 60 00:04:43,016 --> 00:04:46,887 ここ桜花宮にて 互いに切磋琢磨され➡ 61 00:04:46,887 --> 00:04:50,090 一年後 よき日を迎えられますよう。 62 00:04:50,090 --> 00:04:52,092 …フッ。 63 00:05:05,005 --> 00:05:10,343 それにしても 主賓がおられぬのは やはり寂しいですなあ。➡ 64 00:05:10,343 --> 00:05:14,781 今日こそは お招きに応じていただけると 思いましたが…。 65 00:05:14,781 --> 00:05:18,652 まったく 若宮は何をお考えなのか。 66 00:05:18,652 --> 00:05:23,490 大切な姫を送り出す こちらの身にもなってもらいたいものだ。 67 00:05:23,490 --> 00:05:26,793 白珠殿はまだ十四でしたかな。 68 00:05:26,793 --> 00:05:28,762 それはご心配でしょう。 69 00:05:28,762 --> 00:05:33,366 我々四家を ないがしろにして 政がつとまるものか。➡ 70 00:05:33,366 --> 00:05:35,669 遠からず お分かりになるだろう。 71 00:05:35,669 --> 00:05:37,671 おお こわやこわや。 72 00:05:37,671 --> 00:05:40,941 何を企んでおられるのかな。➡ 73 00:05:40,941 --> 00:05:45,745 いずれにしろ どちらの姫が選ばれても 恨みっこなしだ。 74 00:05:48,615 --> 00:05:51,818 おねえさま! ん…? 75 00:05:51,818 --> 00:05:56,156 わぁ…! 内親王殿下! 76 00:05:56,156 --> 00:06:00,126 何年ぶりでしょう! まさかここで お会いできるなんて。 77 00:06:00,126 --> 00:06:05,332 文もせず失礼いたしました。 殿下もお元気そうで何よりです。 78 00:06:05,332 --> 00:06:10,136 堅苦しいのはやめて。 私とあなたの仲なのですから。 79 00:06:10,136 --> 00:06:14,474 …フ はい。 では藤波さま。 80 00:06:14,474 --> 00:06:19,412 (藤波)それにしても 本当におきれいになられましたね。 81 00:06:19,412 --> 00:06:24,651 お兄さま… 若宮殿下のお目にとまるのは 間違いありません。 82 00:06:24,651 --> 00:06:27,454 まあ ありがとうございます。 83 00:06:27,454 --> 00:06:29,923 でも それは言い過ぎですわ。 84 00:06:29,923 --> 00:06:31,858 いいえ 本当です! 85 00:06:31,858 --> 00:06:35,729 私は おねえさまが 選ばれればいいと思ってるの。 86 00:06:35,729 --> 00:06:39,132 だってそうすれば 私たち 本当の姉妹になるでしょ? 87 00:06:39,132 --> 00:06:41,067 ⚟ハハハハハ…。 88 00:06:41,067 --> 00:06:45,605 早くも若宮殿下の妹君に 取り入るとはねぇ。 89 00:06:45,605 --> 00:06:47,974 なかなかやるじゃないか。 90 00:06:47,974 --> 00:06:50,377 ええと 確か南家のーー。 91 00:06:50,377 --> 00:06:53,213 浜木綿殿 無礼だぞ。 92 00:06:53,213 --> 00:06:56,116 さようで。 それは失礼を。 93 00:06:56,116 --> 00:06:58,084 …フッ。 94 00:06:58,084 --> 00:07:00,120 …? 95 00:07:00,120 --> 00:07:03,657 あんたーー もとい東家の二の姫。 96 00:07:03,657 --> 00:07:05,592 は はい。 97 00:07:05,592 --> 00:07:10,263 (浜木綿)あせびなんて仮名をもらって 本当に喜んでいるのかい? 98 00:07:10,263 --> 00:07:14,134 っ…! ええ 素敵で良い名ですわ! 99 00:07:14,134 --> 00:07:18,471 アッハハハハ! そいつはケッサクだ。 浜木綿! 100 00:07:18,471 --> 00:07:21,274 あの 私 何か…? 101 00:07:21,274 --> 00:07:24,544 姫さま それは後ほど私がーー。 102 00:07:24,544 --> 00:07:28,949 あせびは 馬の酔う木 と書くのですわ。 103 00:07:32,919 --> 00:07:37,557 馬酔木の花には毒があるのです。➡ 104 00:07:37,557 --> 00:07:43,129 その花を口にすると 馬は ぶざまにも酔っ払ってしまう。➡ 105 00:07:43,129 --> 00:07:47,967 花とはあなた そして馬とはーー。 ん…? 106 00:07:47,967 --> 00:07:50,870 上品ぶらないで はっきり言いな。 107 00:07:50,870 --> 00:07:54,708 馬は若宮のことだって。 え…? 108 00:07:54,708 --> 00:07:58,645 マヌケな馬が 馬酔木を口にして酔っ払うように➡ 109 00:07:58,645 --> 00:08:03,249 若宮程度の男なら お前にも酔いしれることだろう。➡ 110 00:08:03,249 --> 00:08:06,152 せいぜい うまくおやりーってワケだ。 111 00:08:06,152 --> 00:08:12,559 要するに 皇后はあんたの仮名を利用して 若宮を貶めたのさ。➡ 112 00:08:12,559 --> 00:08:15,462 いかにも あの御仁がやりそうなことだ。 113 00:08:15,462 --> 00:08:18,431 そんな 若宮さまが馬だなんて私…。 114 00:08:18,431 --> 00:08:21,434 姫さま! それ以上はなりません! (藤波)っ…! 115 00:08:24,170 --> 00:08:26,139 藤波さま…。 116 00:08:26,139 --> 00:08:30,777 お気の毒に。 大好きな兄君を あのように言われてはね…。 117 00:08:30,777 --> 00:08:32,746 あ…。 118 00:08:32,746 --> 00:08:35,215 あなたのせいではなくてよ。 119 00:08:35,215 --> 00:08:39,586 あらためまして 西家一の姫 真赭の薄ですわ。 120 00:08:39,586 --> 00:08:41,521 あ… 私は。 121 00:08:41,521 --> 00:08:45,959 わたくし 美しいものや可愛らしいものが 大好きですの。 122 00:08:45,959 --> 00:08:48,595 あなたとは いいお友達になれそう。 123 00:08:48,595 --> 00:08:50,997 は はあ…。 124 00:08:50,997 --> 00:08:55,835 それにしても 性悪につかまって ご愁傷さまでしたわね。 125 00:08:55,835 --> 00:08:59,172 ハッ 出た出た西家の八方美人。 126 00:08:59,172 --> 00:09:02,442 がめつくて品のない南家よりは ましですわ。 127 00:09:02,442 --> 00:09:07,380 南家は正直なんでね。 白々しい作り笑いはできないのさ。 128 00:09:07,380 --> 00:09:09,749 (真赭の薄)ご立派ですこと。 では➡ 129 00:09:09,749 --> 00:09:13,086 若宮殿下にも むっつり顔で通されるとよろしいわ。 あ… あの…。 130 00:09:13,086 --> 00:09:16,322 相手にされていないのですよ。 131 00:09:16,322 --> 00:09:18,391 白珠…さま? 132 00:09:18,391 --> 00:09:21,094 あなたも あたくしも。 133 00:09:21,094 --> 00:09:23,830 后に選ばれるわけはないと。 134 00:09:23,830 --> 00:09:26,433 あぁ…。 135 00:09:26,433 --> 00:09:30,303 はぁー やめやめ。 酒がまずくなりそうだ。 136 00:09:30,303 --> 00:09:34,808 フッ… では皆さま ごめんあそばせ。 137 00:09:48,288 --> 00:09:52,592 もっとよく 事情をお知らせしておくべきでした。 138 00:09:52,592 --> 00:09:56,096 皆 我こそはと登殿に臨まれているのです。 139 00:09:56,096 --> 00:10:00,934 どの家も我が姫を金烏の后にしようと 躍起になっていますから。 140 00:10:00,934 --> 00:10:05,572 はあー 疲れたわ。 もう何が何だか…。 141 00:10:05,572 --> 00:10:07,507 ん? 142 00:10:07,507 --> 00:10:11,778 「山内囀喙集」 こちらでお勉強しましょう。 143 00:10:11,778 --> 00:10:15,682 姫さまのお小さい頃 うこぎが読んでさしあげたでしょう。 144 00:10:15,682 --> 00:10:17,984 ああ あの眠くなる…。 145 00:10:17,984 --> 00:10:19,919 姫さま! うっ! 146 00:10:19,919 --> 00:10:21,855 まずは基本中の基本➡ 147 00:10:21,855 --> 00:10:24,491 山内の成り立ちから復習です。 148 00:10:24,491 --> 00:10:27,827 よーく! お聞きなさいませ。 149 00:10:27,827 --> 00:10:31,297 山神さまが この地にご光来ましました時➡ 150 00:10:31,297 --> 00:10:35,735 山の峰からは水が溢れ たちまち木々は花を付け➡ 151 00:10:35,735 --> 00:10:38,538 稲穂は重く頭を垂れた。 152 00:10:38,538 --> 00:10:42,408 その豊かな地を山神さまは山内と名付け➡ 153 00:10:42,408 --> 00:10:46,646 自分の代わりに治めるよう 金の烏にお命じになり➡ 154 00:10:46,646 --> 00:10:50,984 金の烏は 四人の子に土地を分けることにした。 155 00:10:50,984 --> 00:10:53,920 一番目には花咲く東の地を。 156 00:10:53,920 --> 00:10:57,323 二番目には果実稔る南の地を。 157 00:10:57,323 --> 00:11:00,793 三番目には稲穂垂れる西の地を。 158 00:11:00,793 --> 00:11:04,597 四番目には水湧き躍る北の地を。 159 00:11:04,597 --> 00:11:07,500 これが四家四領の始まりです。 160 00:11:07,500 --> 00:11:10,703 一方 金の烏は金烏と名乗られ➡ 161 00:11:10,703 --> 00:11:13,640 山神さまの一番近く 中央山を➡ 162 00:11:13,640 --> 00:11:16,509 代々のお住まいに定められました。 163 00:11:16,509 --> 00:11:19,546 四家に対して こちらは宗家と呼び…➡ 164 00:11:19,546 --> 00:11:22,148 って姫さま! 起きてます⁉ 165 00:11:22,148 --> 00:11:24,918 はっ! も もちろんよ! 166 00:11:24,918 --> 00:11:29,722 金烏が山神さまにお仕えすることで 山内の安寧が保たれているのよね? 167 00:11:29,722 --> 00:11:31,658 そのとおり。 168 00:11:31,658 --> 00:11:34,427 若宮も今は皇太子のお立場ですが➡ 169 00:11:34,427 --> 00:11:37,830 遠からず 金烏として即位されるでしょう。 170 00:11:37,830 --> 00:11:42,335 若宮の后になることは 山内の平和を支えること。 171 00:11:42,335 --> 00:11:47,006 それは姫を送り出す どの家にとっても 誇らしいことなのです。 172 00:11:47,006 --> 00:11:50,877 ーーと いうのは建て前で!えっ⁉ 173 00:11:50,877 --> 00:11:54,747 これは戦争です! せ… 戦争? 174 00:11:54,747 --> 00:11:58,618 宗家の御威光は 広く山内の政治経済に及びます。 175 00:11:58,618 --> 00:12:03,089 当然 金烏の后も それは例外ではありません。 176 00:12:03,089 --> 00:12:06,859 皇后さまのこと? …んっ んん! 177 00:12:06,859 --> 00:12:10,230 ひとたび后を送り込めば その家には何だかんだで➡ 178 00:12:10,230 --> 00:12:13,600 莫大な利益と権力が転がり込む。 179 00:12:13,600 --> 00:12:17,136 お子が生まれれば やれ後見人だ お目付け役だと➡ 180 00:12:17,136 --> 00:12:19,138 さらに一族を宗家に引き入れ➡ 181 00:12:19,138 --> 00:12:23,309 その子が男子であれば ゆくゆくは また金烏となり。 182 00:12:23,309 --> 00:12:26,012 お家の将来は安泰に…。 183 00:12:26,012 --> 00:12:27,947 さよう! 184 00:12:27,947 --> 00:12:30,683 つまるところ登殿は 姫君による➡ 185 00:12:30,683 --> 00:12:33,586 四家の代理戦争なのです! 186 00:12:33,586 --> 00:12:35,588 はあ…。 187 00:12:35,588 --> 00:12:40,159 道理で… ぽっと出の私なんて 相手にされるはずないわ。 188 00:12:40,159 --> 00:12:43,496 弱気になってはなりません! ⚟姫さま。ん? 189 00:12:43,496 --> 00:12:47,700 秋殿の真赭の薄さまから ご挨拶の品が届いております。 190 00:12:49,302 --> 00:12:51,838 わあ…! 191 00:12:51,838 --> 00:12:53,773 蘇芳の衣よ! 192 00:12:53,773 --> 00:12:56,242 まあ 刺繍もなんて繊細な…。 193 00:12:56,242 --> 00:13:00,680 ここ こんな立派なものを! ああ お返しはどうしよう…。 194 00:13:00,680 --> 00:13:03,583 (真赭の薄)明日 茶会をひらきますの。➡ 195 00:13:03,583 --> 00:13:06,352 どうぞ気楽においでませね。 196 00:13:06,352 --> 00:13:10,223 わあ…! お友達と茶会なんて初めてよ。 197 00:13:10,223 --> 00:13:13,126 真赭の薄さまは なんて良いお方なのかしら! 198 00:13:13,126 --> 00:13:15,128 っ…。 199 00:13:30,910 --> 00:13:32,945 今回の登殿には…➡ 200 00:13:32,945 --> 00:13:36,616 烏太夫が紛れ込んでいるようです。 201 00:13:36,616 --> 00:13:40,286 慌てて 取り除くほどのことではないでしょう。 202 00:13:40,286 --> 00:13:42,722 むしろ刺激になって➡ 203 00:13:42,722 --> 00:13:46,492 良い方向へと転ぶやも…。 204 00:13:46,492 --> 00:13:48,494 フッ…。 205 00:13:55,201 --> 00:13:58,404 せいぜい 楽しませてもらいましょうぞ。 206 00:13:58,404 --> 00:14:01,607 若宮殿下のお手並みとともに。 207 00:14:12,985 --> 00:14:15,288 おほほほほ… ほほほっ…。 208 00:14:18,858 --> 00:14:21,294 はぁ…! 209 00:14:21,294 --> 00:14:23,229 こちら 白珠さまにお持ちいただいた➡ 210 00:14:23,229 --> 00:14:25,231 練香にございます。 211 00:14:25,231 --> 00:14:28,801 北家代々に伝わるものでございます。 212 00:14:28,801 --> 00:14:32,605 製法も配合も秘伝中の秘伝。➡ 213 00:14:32,605 --> 00:14:35,508 本日は皆さまのため特別にーー。 214 00:14:35,508 --> 00:14:40,279 確かに 珍しい香りね。 丁字が強いのかしら。 215 00:14:40,279 --> 00:14:45,118 まあ 黒方にも似ているようだから 大体の配合は分かりますわ。 216 00:14:45,118 --> 00:14:47,053 ム…。 217 00:14:47,053 --> 00:14:51,624 フフッ…。 白珠 わたくしの香はいかが? 218 00:14:51,624 --> 00:14:55,061 少し麝香が強いのでしょうか。 219 00:14:55,061 --> 00:14:57,630 茉莉花にも似ていますが…。 220 00:14:57,630 --> 00:15:00,032 よくお分かりですこと。 221 00:15:00,032 --> 00:15:03,770 (菊野)そちらは真赭の薄さまが 御自ら調合されたものでございます! 222 00:15:03,770 --> 00:15:07,640 うこぎ これは? 練香の配合を当てる遊びです。 223 00:15:07,640 --> 00:15:10,643 ああ 嫌な予感が当たってしまった…。 224 00:15:10,643 --> 00:15:14,914 あせびの君 あなたの香は どのようなものですの? 225 00:15:14,914 --> 00:15:17,784 はい? あ…。 226 00:15:17,784 --> 00:15:21,087 すみません 私よく分からなくて。 227 00:15:21,087 --> 00:15:25,558 (一同)…? 香は使いますけど… 何かしら? 228 00:15:25,558 --> 00:15:29,262 麝香とか そういう高価なものではないと思います。 229 00:15:29,262 --> 00:15:34,100 …ご冗談でしょう? 貴族のたしなみですのよ。 230 00:15:34,100 --> 00:15:37,703 ⚟(笑い声)⚟信じられませんわ。 ⚟東家はそれほど余裕がないのかしら。 231 00:15:37,703 --> 00:15:40,006 恐れながら! 我が東家にも➡ 232 00:15:40,006 --> 00:15:43,810 代々受け継がれる 由緒正しき香はございます。 233 00:15:43,810 --> 00:15:47,980 ですが姫さまは 幼少よりお体が少しばかり弱く➡ 234 00:15:47,980 --> 00:15:50,216 香になじみがありませぬゆえ。 235 00:15:50,216 --> 00:15:53,119 まあ それはお気の毒。 236 00:15:53,119 --> 00:15:57,290 まもなく雛の祭りですから 悪い気を払われるといいわ。 237 00:15:57,290 --> 00:16:01,761 あ…! あの 私持っています。 238 00:16:01,761 --> 00:16:03,963 雛の祭りのお人形…。 239 00:16:07,967 --> 00:16:09,902 (女房たち)おほほほほほ…! 240 00:16:09,902 --> 00:16:13,339 なんてみすぼらしい 下賤の人形じゃないの。 241 00:16:13,339 --> 00:16:17,210 おやめなさいな。 田舎の方は あれで精いっぱいなのよ。 242 00:16:17,210 --> 00:16:19,946 (女房たちの笑い声) っ…。 243 00:16:19,946 --> 00:16:23,449 あせびの君… あなた…➡ 244 00:16:23,449 --> 00:16:27,186 本当に ここにいるべき方なのかしら…。 245 00:16:27,186 --> 00:16:29,956 (割れる音)(一同)っ! あら…。 246 00:16:29,956 --> 00:16:31,891 これは失礼いたしました。 247 00:16:31,891 --> 00:16:34,794 姫さまお気に入りの青鷺印の茶器が! 248 00:16:34,794 --> 00:16:38,030 これ菊野! みっともない。 249 00:16:38,030 --> 00:16:40,366 姫さま! …あぅっ!➡ 250 00:16:40,366 --> 00:16:42,468 姫さま!! (あせびの足音) 251 00:16:48,708 --> 00:16:52,044 うっ… っ… ふっ…。 252 00:16:52,044 --> 00:16:54,380 っ… うっ…。 253 00:16:54,380 --> 00:16:56,983 (浜木綿)さては いじめられたな。 っ! 254 00:16:58,718 --> 00:17:01,621 真赭の薄か 白珠か? 255 00:17:04,056 --> 00:17:06,158 あ…! 256 00:17:08,027 --> 00:17:12,565 私には ここにいる資格なんてないんです。 257 00:17:12,565 --> 00:17:15,201 本当は姉が来るはずでした。 258 00:17:15,201 --> 00:17:19,839 でも病で… 急きょ私が登殿することに。 259 00:17:19,839 --> 00:17:21,774 うれしかった。 260 00:17:21,774 --> 00:17:26,612 物心ついた時には 私は田舎の別邸にいたんです。 261 00:17:26,612 --> 00:17:30,983 周りは心配性の女房ばかりで 外に出ることも➡ 262 00:17:30,983 --> 00:17:35,288 同じ年頃の子と遊ぶことも ほとんどなかったから。 263 00:17:35,288 --> 00:17:39,592 でも だめね。 場違いすぎる。 264 00:17:39,592 --> 00:17:41,994 じゃあ宿下がりするか? 265 00:17:41,994 --> 00:17:43,996 …。 266 00:17:45,865 --> 00:17:50,202 そういや 今回はあんたの他に もう一人 場違いがいるな。 267 00:17:50,202 --> 00:17:52,138 えっ? 268 00:17:52,138 --> 00:17:56,475 長い外遊から戻ってきたら おかしくなっていたらしい。 269 00:17:56,475 --> 00:17:59,912 世間いわく とんでもない「うつけ」だと。 270 00:17:59,912 --> 00:18:02,315 …? 271 00:18:02,315 --> 00:18:05,718 若宮さ。 若宮さまが? 272 00:18:05,718 --> 00:18:08,454 結構有名な話だがね。 273 00:18:08,454 --> 00:18:12,925 あんた 本当に何も知らないんだな。ぅ…。 274 00:18:12,925 --> 00:18:15,895 じゃあ これも初耳か。 275 00:18:15,895 --> 00:18:21,968 実は金烏の跡継ぎには 若宮ではない大本命がいた。 276 00:18:21,968 --> 00:18:25,204 若宮は次男坊なんだ。 277 00:18:25,204 --> 00:18:29,575 本来であれば 金烏を継ぐのは五つ上の兄宮…。 278 00:18:29,575 --> 00:18:31,978 目から鼻へ抜けるような子どもで➡ 279 00:18:31,978 --> 00:18:36,282 将来は名君になると もっぱらの評判だったそうだ。 280 00:18:36,282 --> 00:18:39,218 だが何を思ったのか 宗家の神官は➡ 281 00:18:39,218 --> 00:18:42,788 あとを継ぐに相応しいのは兄宮でなく➡ 282 00:18:42,788 --> 00:18:46,659 まだ赤ん坊の若宮であると言いだした。 283 00:18:46,659 --> 00:18:50,563 兄宮の母は正室 つまり皇后で➡ 284 00:18:50,563 --> 00:18:55,368 弟である若宮が 側室の子であるにもかかわらずだ。 285 00:18:55,368 --> 00:18:58,104 中央は大騒ぎだったようだよ。 286 00:18:58,104 --> 00:19:00,706 兄宮派と若宮派に真っ二つーー。 287 00:19:03,542 --> 00:19:09,915 結局 権力闘争に敗れたかたちで 兄宮は出家を余儀なくされた。 288 00:19:09,915 --> 00:19:11,984 くっ…! 289 00:19:11,984 --> 00:19:16,322 それで皇后さまは 私の仮名で若宮さまを…。 290 00:19:16,322 --> 00:19:19,125 その兄宮さまも お気の毒だわ。 291 00:19:19,125 --> 00:19:23,062 ま 表向きは一件落着となってはいるがね。 292 00:19:23,062 --> 00:19:26,465 実際腹の中は どんなもんか…。 293 00:19:26,465 --> 00:19:30,336 今回の登殿は何が起こるか分からないぞ。 294 00:19:30,336 --> 00:19:33,005 …浜木綿さまは。 295 00:19:33,005 --> 00:19:35,608 当面は高みの見物。 296 00:19:40,746 --> 00:19:43,649 そうだ 噂をもう一つ。 297 00:19:43,649 --> 00:19:48,454 うつけの若宮は どうやら本物の金烏らしい。 298 00:19:51,123 --> 00:19:53,459 …本物? 299 00:19:53,459 --> 00:19:55,461 (雨音) 300 00:19:55,461 --> 00:19:57,463 (男)う… うわあああ!! (斬撃音) 301 00:20:24,957 --> 00:20:27,026 ⚟お館さま。 302 00:20:27,026 --> 00:20:31,097 おお 雪正。 息災か。 ははっ。 303 00:20:31,097 --> 00:20:34,633 こたびは お招きいただき ありがとうございました。 304 00:20:34,633 --> 00:20:37,002 今 中央よりお戻りですか。 305 00:20:37,002 --> 00:20:41,540 (玄哉)ああ。 登殿が始まって せわしなくてかなわん。 306 00:20:41,540 --> 00:20:43,509 ときに雪正。 (雪正)はっ。 307 00:20:43,509 --> 00:20:45,745 息子たちは来ているのか。 308 00:20:45,745 --> 00:20:48,414 っ…! も もちろん。 309 00:20:48,414 --> 00:20:51,317 ははっ それは楽しみだ。 310 00:20:51,317 --> 00:20:56,222 昨年は腹をこわしたとかで 雪哉は顔を出さなかったからな。 311 00:20:56,222 --> 00:20:59,625 さぞ大きくなっただろう。 312 00:20:59,625 --> 00:21:03,963 っ… どこふらついている あのぼんくら…! 313 00:21:03,963 --> 00:21:06,599 …あのー➡ 314 00:21:06,599 --> 00:21:11,003 どうしても支払いはしていただけない… ということでしょうか? 315 00:21:11,003 --> 00:21:13,472 だから貴様の勘違いだ。 316 00:21:13,472 --> 00:21:17,343 こんな みすぼらしいガキの店で 食い逃げなどするわけなかろう。 317 00:21:17,343 --> 00:21:20,012 ウソだ! だって確かにウチの餅を…! 318 00:21:20,012 --> 00:21:21,947 ⚟くどい! っ! 319 00:21:21,947 --> 00:21:27,486 そもそもお前ら山烏が 我ら宮烏に礼をつくすのは当然のこと。 320 00:21:27,486 --> 00:21:31,157 仮に餅を食うたとて それが何だというのだ。 321 00:21:31,157 --> 00:21:33,392 あのー。 ん? 322 00:21:33,392 --> 00:21:38,230 目撃者も多いし 調べれば すぐに分かっちゃうと思いますけど。 323 00:21:38,230 --> 00:21:41,534 餅代 払っていただけませんかねえ? 324 00:21:44,069 --> 00:21:47,273 ⚟分をわきまえぬ山烏め。 へ? あぁっ…。 来い! 325 00:21:47,273 --> 00:21:49,208 ゆ 雪哉! 326 00:21:49,208 --> 00:21:53,445 平気平気 話せば分かってくれるから。 327 00:21:53,445 --> 00:21:57,650 (雪哉のうめき声) 328 00:21:57,650 --> 00:21:59,652 (烏の鳴き声) 329 00:22:02,021 --> 00:22:04,290 雪哉 大丈夫か! 雪哉兄! 330 00:22:04,290 --> 00:22:06,559 …あれ? 331 00:22:06,559 --> 00:22:10,229 兄上に雪雉 どうひまひた? 332 00:22:10,229 --> 00:22:13,566 馬鹿野郎! いつも一人で無茶しやがって! 333 00:22:13,566 --> 00:22:15,534 雪哉兄は悪くないよ! 334 00:22:15,534 --> 00:22:19,205 あいつら 中央の宮烏だからって 俺らのこと馬鹿にして➡ 335 00:22:19,205 --> 00:22:21,140 好き放題やってんだ! 336 00:22:21,140 --> 00:22:25,911 そういえば今日って 北家の宴ですよねぇ。 337 00:22:25,911 --> 00:22:28,214 ああ。 けど その顔じゃ…。 338 00:22:30,716 --> 00:22:33,719 当然 あの宮烏も来るよなあ。 339 00:22:36,055 --> 00:22:37,990 おい お前また何かーー。 340 00:22:37,990 --> 00:22:39,992 いやだなあ 兄上。 341 00:22:39,992 --> 00:22:42,828 別に企んでなんかいませんよぉ。 342 00:22:42,828 --> 00:22:45,497 じゃ 先行ってますね。 343 00:22:45,497 --> 00:22:47,499 (雪雉 雪馬)あっ。 344 00:22:49,201 --> 00:22:51,203 雪哉! 345 00:22:55,007 --> 00:22:58,110 あー… やっぱ痛えわ…。 346 00:22:59,979 --> 00:23:13,993 ♬~ 347 00:23:13,993 --> 00:23:17,863 ♬「羽を伸ばしてふらふら」 348 00:23:17,863 --> 00:23:22,501 ♬「うつけてみたいや 何も考えたくない」 349 00:23:22,501 --> 00:23:24,436 ♬「疲れてしまったよ」 350 00:23:24,436 --> 00:23:28,107 ♬「羽目をはずして ぐだぐた」 351 00:23:28,107 --> 00:23:33,879 ♬「流石に昨日はちょっと 遊びすぎたかもな」 352 00:23:33,879 --> 00:23:38,417 ♬「カァカァ烏合の衆 文句ばっかりじゃない?」 353 00:23:38,417 --> 00:23:43,822 ♬「で何?やっかみ?優雅に壊してくる」 354 00:23:43,822 --> 00:23:51,163 ♬「平気な顔で躊躇いなく嘘をつく」 355 00:23:51,163 --> 00:23:53,098 ♬「騙し合い」 356 00:23:53,098 --> 00:23:55,167 ♬「悲しくなった」 357 00:23:55,167 --> 00:23:58,604 ♬「まだ青く不確かな」 358 00:23:58,604 --> 00:24:04,777 ♬「飾らない僕にも 変わらない愛を」 359 00:24:04,777 --> 00:24:08,781 ♬「目的地が分からない」 360 00:24:08,781 --> 00:24:14,019 ♬「運命的な出会いがしたい」 361 00:24:14,019 --> 00:24:19,892 ♬「どうせなら遠回りもしたい」 362 00:24:19,892 --> 00:24:28,701 ♬~ 363 00:24:31,070 --> 00:24:34,807 <后候補の白珠姫を擁する北家。➡ 364 00:24:34,807 --> 00:24:38,177 一族の宴で騒動を起こした雪哉は➡ 365 00:24:38,177 --> 00:24:43,482 「うつけ」と評判の 若宮の側仕えに指名される。➡ 366 00:24:43,482 --> 00:24:50,155 雪哉と若宮。 二人の数奇な運命が動きだす。➡ 367 00:24:50,155 --> 00:24:52,157 次回…>